JP4967889B2 - 半導体集積回路およびその起動方法 - Google Patents
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Description
詳しくは、本発明は、トランジスタのリーク電流を遮断することにより消費電力を低減する半導体集積回路およびその起動方法に関する。
スイッチトランジスタとして用いられるn型MOSトランジスタのしきい値電圧は、論理回路ブロックに含まれるMOSトランジスタのしきい値電圧よりも高い。
このため、論理回路ブロックが停止しているとき、論理回路ブロックに含まれるMOSトランジスタのリーク電流はスイッチトランジスタによって遮断される。一方、論理回路ブロックが動作しているとき、論理回路ブロックに含まれるMOSトランジスタは高速に動作する。
スイッチトランジスタとして用いられるp型MOSトランジスタのしきい値電圧は、論理回路ブロックに含まれるMOSトランジスタのしきい値電圧よりも高い。
スイッチトランジスタとして用いられるp型MOSトランジスタとn型MOSトランジスタのしきい値電圧は、論理回路ブロックのMOSトランジスタのしきい値電圧よりも高い。
そこで、他の論理回路ブロックの誤動作を防止するため、通常スイッチトランジスタのサイズやゲート電圧を調節することで、突入電流のピークが抑制される。
ここで、MTCMOS技術が非適用の論理回路ブロックと同様に、MTCMOS技術が適用される論理回路ブロックにも、動作の開始した最初の時点で値が定まっていなければ論理回路ブロックが誤動作するフリップフロップ回路が含まれている。例えば、状態遷移回路は順序回路であるため、状態遷移回路を構成しているフリップフロップ回路の値を初期状態に設定しなければ論理回路ブロックが誤動作する。
ただし、例えば、パイプラインとして構成されているデータパスに含まれるフリップフロップ回路は、その値が定まっていなくても論理回路ブロックが誤動作することはない。不定値が出力されている間、その出力を廃棄すれば不都合は生じない。そのため、動作の開始した最初の時点で必ずしもフリップフロップ回路の値を初期状態に設定しなくても良い。
そして、制御部は、第2電圧線の保持電圧の変化開始後から前記スイッチ部の前記制御までの間に、前記回路部内の初期設定を開始する。ここで、前記スイッチ部の前記制御までの間には、スイッチ部の制御と同時が含まれる。すなわち、スイッチ部の制御と初期設定の開始を同時に行う場合も含まれる。
第2電圧線の保持電圧が第1電圧線の印加電圧と第2電圧線の印加電圧の中間であるとき初期設定が行われるため、初期設定の際に回路部に含まれるゲート回路に印加される電圧の振幅は小さい。このため、初期設定に伴う電力消費を低減することができる。
更に、第2電圧線の電圧を第1電圧線の電圧に十分近づけた状態で初期設定を行いながら回路部を起動させるため、第3電圧線側に突入電流が流れるのと同量しか第1電圧線側に突入電流が流れない。このため、スイッチ部の無い第1電圧線側へもスイッチ部による突入電流の抑制効果を反映することができる。
CMOS集積回路100は、制御回路ブロックCNTAと、論理回路ブロックCB1と、不定値伝播遮断回路CUTと、論理回路ブロックCB2と、電源電圧線VDLと、基準電圧線VSLと、仮想基準電圧線V−VSLと、スイッチトランジスタSWssと、電源パッドPddと、電源パッドPssとを有する。
論理回路ブロックCB1は、フリップフロップ回路FF1と論理回路セルLC1を含む。
フリップフロップ回路FF1は、電源電圧線VDLと仮想基準電圧線V−VSLに接続される。フリップフロップ回路FF1は、データ入力端子Dと、データ出力端子Qと、クロック端子CKと、リセット端子RSTを有する。クロック端子CKとリセット端子RSTは後述する制御回路ブロックCNTAのクロック信号CLKとリセット信号RSTに接続される。
なお、フリップフロップ回路FF1は一例であり、他の構成でも良い。例えば、フリップフロップ回路がパイプラインとして構成されているデータパスに含まれる場合等、論理回路ブロックCB1の初期設定時にその値が定まっていなくても論理回路ブロックCB1が誤動作することがない場合には、動作の開始した最初の時点で必ずしもフリップフロップ回路の値を初期状態に設定しなくても良い。この場合、フリップフロップ回路にリセット端子RSTは無くても良い。
論理回路セルLC1は、電源電圧線VDLと仮想基準電圧線V−VSLに接続される。
図1では、論理回路ブロックCB1にフリップフロップ回路FF1と論理回路セルLC1が各々1個含まれる場合を示したが、それぞれ複数個含まれていても良い。
また、制御回路ブロックCNTAと不定値伝播遮断回路CUTと論理回路ブロックCB2は、電源電圧線VDLと基準電圧線VSLに接続される。
電源電圧線VDLと基準電圧線VSLは、それぞれ電源パッドPddと電源パッドPssに接続される。電源パッドPddと電源パッドPssは、実装時に実装基板に設けられているシステム電源等から電源供給を受ける。このとき、電源パッドPddにはハイレベルの電源電圧Vddが印加され、電源パッドPssにはローレベルの基準電圧(例えば、接地電位)Vssが印加される。
一方、スイッチ・トランジスタ・イネーブル信号STEがローレベルのとき、スイッチトランジスタSWssはオフとなり、仮想基準電圧線V−VSLと基準電圧線VSLは切り離される。
論理回路ブロックCB1が停止しているとき、および起動時に初期設定が終了するまで、不定値伝播遮断信号CFEはイネーブル(enable)となり、論理回路ブロックCB1から出力される信号S0は例えば全てローレベル(0)に固定され、信号S1として論理回路ブロックCB2へ入力される。
論理回路ブロックCB1の初期設定が終了すると、不定値伝播遮断信号CFEはディスエーブル(disable)となり、論理回路ブロックCB1から出力される信号S0がそのまま信号S1として論理回路ブロックCB2へ入力される。
論理回路ブロックCB1が停止しているとき、スイッチトランジスタSWssはオフにされ、仮想基準電圧線V−VSLと基準電圧線VSLは切り離される。論理回路ブロックCB1の内部と仮想基準電圧線V−VSLに付加されている容量は、時間が経つに従ってリーク電流により充電される。停止時間が十分に長いと、図2(C)に示すように、論理回路ブロックCB1の内部と仮想基準電圧線V−VSLの電圧は電源電圧Vddとほぼ等しくなる。
初期設定では、論理回路ブロックの誤動作を防止するために状態遷移回路等に含まれるフリップフロップ回路の値が再設定される。初期設定では、通常の動作状態よりも多数のフリップフロップ回路の値が、例えば0(ローレベル)または1(ハイレベル)に変化する。このため、図2(D)に示すように、初期状態の設定の際に流れる電流Ivddと電流Ivssは大きい。また、初期設定のとき、論理回路ブロックCB1に含まれるMOSトランジスタの電圧に生じるグリッチの振幅は、図2(C)に示すように、ほぼ電源電圧Vddと等しい。このため、初期設定の際に流れる電流によって大きな電力が消費される。更に、初期設定の際に流れる電流は周辺回路へのノイズ源となり、動作している他の論理回路ブロックを誤動作させる場合がある。
制御回路ブロックCNTAは、まず停止している論理回路ブロックCB1に入力信号の一部を供給し、論理回路ブロックCB1内の一部を動作させて論理回路ブロックCB1の内部と仮想基準電圧線V−VSLに付加されている容量の充電を促進させ、仮想基準電圧線V−VSLの電圧を強制的に論理回路ブロックCB1が動作しなくなる電圧(電源電圧Vddに近い電圧)まで引き上げる。
スイッチトランジスタSWssはオフであるので、電流Ivssは流れない。このため、電流Ivddによって論理回路ブロックCB1の内部と仮想基準電圧線V−VSLに付加されている容量は充電され、仮想基準電圧線V−VSLの電圧が十分に上昇する。これにより論理回路ブロックCB1の停止時間に関係なく、論理回路ブロックCB1の内部と仮想基準電圧線V−VSLに付加されている容量を必ず十分に充電できる。
このとき、電流Ivssのピークは、スイッチ・トランジスタ・イネーブル信号STEの電圧レベルを調節すること等によって抑制される。
また、論理回路ブロックCB1にクロック信号CLK等の入力信号を供給することによって論理回路ブロックCB1の内部と仮想基準電圧線V−VSLに付加されている容量の充電を行う必要は必ずしもない。例えば、電源電圧線VDLと仮想基準電圧線V−VSLの間をしきい値電圧の高いp型MOSトランジスタで接続しても良い。このp型MOSトランジスタをオンにし、電源電圧線VDLと仮想基準電圧線V−VSLを接続することによって、論理回路ブロックCB1の内部と仮想基準電圧線V−VSLに付加されている容量の充電を促進することができる。その際、このp型MOSトランジスタのサイズやゲート電圧を調節することで、充電するための電流のピークを抑制し、動作している他の論理回路ブロックの誤動作を防ぐことができる。
フッター型MTCMOS論理回路ブロックCB1が停止しているとき、図4(D)に示すように、リーク電流のため、微小な電流Ivddが流れる。このため、図4(C)に示すように、論理回路ブロックCB1の内部と仮想基準電圧線V−VSLに付加されている容量は少しずつ充電される。
停止時間が短い場合、強制的に論理回路ブロックCB1の内部と仮想基準電圧線V−VSLに付加されている容量を充電しないと、図4(C)に示すように、仮想基準電圧線V−VSLの電圧が低い状態で、初期状態の設定が行われることになる。
しかし、電源電圧Vdd側にはスイッチトランジスタが無いため、電源電圧線VDLから流れ込む電流Ivddを抑制することはできず、図4(D)に示すように大きな電流Ivddが流れる。
これにより起動時の初期設定において電源電圧Vddと基準電圧Vssの両方の側の電源ノイズを削減することができる。このため、論理回路ブロックCB1の起動時に動作している他の論理回路ブロックを停止させるといったノイズ対策も不要となる。
CMOS集積回路200は、制御回路ブロックCNTBと、論理回路ブロックCB3と、不定値伝播遮断回路CUTと、論理回路ブロックCB2と、電源電圧線VDLと、基準電圧線VSLと、仮想電源電圧線V−VDLと、スイッチトランジスタSWddと、電源パッドPddと、電源パッドPssとを有する。図1と図5における同一の符号は、同一の構成要素を示す。
図1の論理回路ブロックCB1はフッター型MTCMOS論理回路ブロックであるのに対し、図5の論理回路ブロックCB3はヘッダー型MTCMOS論理回路ブロックである点が異なる。また、論理回路ブロックCB3がヘッダー型MTCMOS論理回路ブロックであることに伴い、制御回路ブロックCNTBのスイッチ・トランジスタ・イネーブル信号STNが負論理に変更されている。
論理回路ブロックCB3は、フリップフロップ回路FF2と論理回路セルLC2を含む。
フリップフロップ回路FF2は、仮想電源電圧線V−VDLと基準電圧線VSLに接続される。フリップフロップ回路FF2は、データ入力端子Dと、データ出力端子Qと、クロック端子CKと、リセット端子RSTを有する。クロック端子CKとリセット端子RSTは後述する制御回路ブロックCNTBのクロック信号CLKとリセット信号RSTに接続される。
なお、フリップフロップ回路FF2は一例であり、他の構成でも良い。例えば、フリップフロップ回路がパイプラインとして構成されているデータパスに含まれる場合等、論理回路ブロックCB3の初期設定時にその値が定まっていなくても論理回路ブロックCB3が誤動作することがない場合には、動作の開始した最初の時点で必ずしもフリップフロップ回路の値を初期状態に設定しなくても良い。この場合、フリップフロップ回路にリセット端子RSTは無くても良い。
論理回路セルLC2は、仮想電源電圧線V−VDLと基準電圧線VSLに接続される。
図5では、論理回路ブロックCB3にフリップフロップ回路FF2と論理回路セルLC2が各々1個含まれる場合を示したが、それぞれ複数個含まれていても良い。
制御回路ブロックCNTBは、制御回路ブロックCNTAと同様に、論理回路ブロックCB3にクロック信号CLKとリセット信号RSTを供給する。クロック信号CLKとリセット信号RSTは論理回路ブロックCB3に含まれるフリップフロップ回路FF2に供給される。
一方、スイッチ・トランジスタ・イネーブル信号STNがハイレベルのとき、スイッチトランジスタSWddはオフとなり、電源電圧線VDLと仮想電源電圧線V−VDLは切り離される。
制御回路ブロックCNTBは、まず停止している論理回路ブロックCB3に入力信号の一部を供給し、論理回路ブロックCB3内の一部を動作させて論理回路ブロックCB3の内部と仮想電源電圧線V−VDLに付加されている容量に蓄えられている電荷の放電を促進させ、仮想電源電圧線V−VDLの電圧を強制的に論理回路ブロックCB3が動作しなくなる電圧(基準電圧Vssに近い電圧)まで引き下げる。
スイッチトランジスタSWddはオフであるので、図6(E)に示すように、電流Ivddは流れないため、電流Ivssによって論理回路ブロックCB3の内部と仮想電源電圧線V−VDLに付加されている容量に蓄えられていた電荷は放電され、図6(D)に示すように、仮想電源電圧線V−VDLの電圧が十分に低下する。これにより論理回路ブロックCB3の停止時間に関係なく、論理回路ブロックCB3の内部と仮想電源電圧線V−VDLに付加されている容量に蓄えられていた電荷を必ず十分に放電できる。
このとき、電流Ivddのピークは、スイッチ・トランジスタ・イネーブル信号STNの電圧レベルを調節すること等によって抑制される。
また、論理回路ブロックCB3にクロック信号CLK等の入力信号を供給することによって、論理回路ブロックCB3の内部と仮想電源電圧線V−VDLに付加されている容量に蓄えられていた電荷の放電を行う必要は必ずしもない。例えば、仮想電源電圧線V−VDLと基準電圧線VSLの間をしきい値電圧の高いn型MOSトランジスタで接続しても良い。このn型MOSトランジスタをオンにし、仮想電源電圧線V−VDLと基準電圧線VSLを接続することによって、論理回路ブロックCB3の内部と仮想電源電圧線V−VDLに付加されている容量に蓄えられていた電荷の放電を促進することができる。その際、このn型MOSトランジスタのサイズやゲート電圧を調節することで、放電するための電流のピークを抑制し、動作している他の論理回路ブロックの誤動作を防ぐことができる。
また、スイッチトランジスタが設けられている側だけでなく、スイッチトランジスタがなく、論理回路ブロックが電源電圧線VDLまたは基準電圧線VSLに直結されている側の突入電流も低減できる。このため、MTCMOS技術が適用された論理回路ブロックを停止している状態から起動するとき、動作している他の論理回路ブロックを停止させるといったノイズ対策も不要となる。
Claims (4)
- 動作の起動と停止が制御される回路部と、
電源電圧または基準電圧の一方が印加される第1電圧線と、
付加される容量に依存して、前記第1電圧線の印加電圧との電圧差で前記回路部に電源供給を行う電圧を保持する第2電圧線と、
前記電源電圧または前記基準電圧の他方が印加される第3電圧線と、
前記第2電圧線と前記第3電圧線間に接続されているスイッチ部と、
前記回路部を停止から起動に制御する過程で、前記第2電圧線の保持電圧を前記第1電圧線の印加電圧に近づくように変化させ、前記スイッチ部を制御して前記第2電圧線と前記第3電圧線を非接続状態から接続状態にし、前記保持電圧の変化開始後から前記スイッチ部の前記制御までの間に、前記回路部内の初期設定を開始する制御部と
を有する半導体集積回路。 - 前記回路部が、フリップフロップ回路を含み、
前記制御部が、前記フリップフロップ回路のクロック信号を供給し、当該クロック信号を制御して前記第2電圧線の保持電圧を前記第1電圧線の印加電圧に近づくように変化させる
請求項1に記載の半導体集積回路。 - 前記回路部が、第1のしきい値電圧である所定の導電型の電界効果トランジスタを含み、
前記スイッチ部が、前記第1のしきい値電圧より高い第2のしきい値電圧である前記所定の導電型の電界効果トランジスタを含む
請求項1に記載の半導体集積回路。 - 動作の起動と停止が制御される回路部と、
電源電圧または基準電圧の一方が印加される第1電圧線と、
付加される容量に依存して、前記第1電圧線の印加電圧との電圧差で前記回路部に電源供給を行う電圧を保持する第2電圧線と、
前記電源電圧または前記基準電圧の他方が印加される第3電圧線と、
前記第2電圧線と前記第3電圧線間に接続されているスイッチ部と
を含む半導体集積回路の起動方法であって、
前記回路部を停止から起動に制御する過程で、前記第2電圧線の保持電圧を前記第1電圧線の印加電圧に近づくように変化させるステップと、
前記スイッチ部を制御して前記第2電圧線と前記第3電圧線を非接続状態から接続状態にするステップと、
前記保持電圧の変化開始後から前記スイッチ部の前記制御までの間に、前記回路部内の初期設定を開始するステップと
を有する半導体集積回路の起動方法。
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