JP4967672B2 - 乗客コンベアの安全装置 - Google Patents

Description

本発明は、乗客コンベアの安全装置に関するものである。

従来の乗客コンベアの安全装置は、乗客コンベアにおける踏段とスカートガードとの隙間への異物の落下防止と挟まれ防止の対策として、踏段の移動方向に沿って延設され、下辺に傾斜面が形成されるビーム体と、ビーム体に植込まれ、踏段とスカートガードとの隙間を覆うように下方へ傾斜して設けられたブラシ部材を備えたものが提案されている（例えば、特許文献1参照）。

上記従来技術は、例えば踏段とスカートガードとの隙間に異物などが侵入前に上記ブラシ部材によって、該侵入を防止するのに有効である。

特開２００４−２１７３２３号公報

しかし、上記乗客コンベアの安全装置は、踏段の踏面上からスカートガード側に傘、靴などが押し込まれた場合には、異物を階段の踏面に案内するブラシ部材が充分に機能しないという課題があった。

本発明は、上記のような課題を解決させるためになされたもので、踏段とスカートガードとの隙間付近の異物を速やかに検出する乗客コンベアの安全装置を得ることを課題としている。

本発明は、乗客コンベア内を循環移動する複数の踏段と、該踏段の両側に設けられると共に、前記踏段の移動方向に延設されるスカートガードとを備えた乗客コンベアの安全装置において、前記スカートガードに対して前記踏段が移動する領域の反対側に設けられ、前記スカートガードと前記踏段の側面で形成される隙間の上部近傍を通過する光電ビームを発生する投光手段と、前記光電ビームの通過経路間に該光電ビームを反射させる反射手段と、該光電ビームを受光すると共に、該受光が遮断されることにより遮断信号を発生する受光手段と、該遮断信号に基づき異常と判断すると共に、異常信号を発生する異常検出手段とを備えたことを特徴とするものである。
ここで、「前記隙間の上部近傍」は、該隙間に被対象物が巻き込まれることを防止する観点から、隙間の上部とその近傍に被対象物が侵入したことを検知する必要がある。
隙間から離れた位置を検出すると、該隙間に被対象物が巻き込みを未然に防止するという観点からは、好ましい。しかしながら、隙間から離れ過ぎた位置を検出領域に含めると、誤動作の可能性が高くなる。
このため、上記を考慮すると、「前記隙間の上部近傍」は、該隙間の上部からインナーデッキまでの高さで、隙間から踏段の内側に踏段のクシの一ピッチ分程度が好ましい。

本発明によれば、例えば踏段の踏面からスカートガード側に乗客の靴が接近すると、上記受光器は、遮断信号を発生し、異常検出手段は、該遮断信号に基づいて異常信号を発生する。これにより、異常信号により上記踏段の踏面からスカートガード側に接近した乗客の靴が接近したことを検知できるという効果がある。

本発明をより詳細に説明するため、添付の図面に従って説明する。なお、各図中、同一部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。

実施の形態１．
本発明の一実施形態を図1から図４により説明する。図１は本発明の実施の形態を示す乗客コンベアの下部側の側面図、図２は図１のＡＡ断面図、図３は図１のＢＢ断面図、図４は乗客コンベアの安全装置を示すブロック構成図である。
図１において、乗客コンベアは主枠１内を無端状に連結された踏段チェン（図示せず）に取り付けられた踏段２が主枠１内に配設されたガイドレール（図示せず）に案内されて主枠１内を循環移動するように形成されている。
踏段２の両側に欄干３が主枠１に立設されており、欄干３の上方に取り付けられた移動手摺４が踏段２と同期して循環移動するように形成されている。
図２において、踏段２の両側に踏段２の側面と任意の隙間Ｇを設けてスカートガード５が乗客コンベアの移動方向に延設されている。スカートガード５の上端を覆って取り付けられるインナーデッキ６が乗客コンベアの移動方向に延設されている。
主枠１内に立設される縦柱１ａに略Ｌ字断面形状のスカートガード取付金７が乗客コンベアの移動方向に延設されている。

スカートガード５は、スカートガード取付金７にネジ等（図示せず）で固定され、スカートガード５の上端部をインナーデッキ６が覆った状態で、インナーデッキ６がスカートガード取付金７にネジ等（図示せず）で固定される。インナーデッキ６の下方コーナ部６ａ部に、投光器８ａと上記投光器８ａから乗客コンベアの移動方向に任意の間隔で受光器８ｂがインナーデッキ６にネジ等（図示せず）で固定される。また、投光器８ａ、および受光器８ｂが取り付けられるインナーデッキ６には、上記投光器８ａ、および受光器８ｂの配線９を挿通させるための孔（図示せず）が開けられている。

また、上記投光器８ａと該投光器８ａから照射される光電ビーム１０を受光する受光器８ｂとの取り付け間隔は、光電ビーム１０を照射する投光器８ａの照射能力、つまり該光電ビーム１０を受光する受光器８ｂが動作しうる動作可能最大到達距離から設定されるが、一般に上記動作可能最大到達距離より乗客コンベアの全長が大であるため、上記投光器８ａと受光器８ｂが一対となる検知センサー８は乗客コンベアの移動方向に複数組連続して配置される。
また、上記投光器８ａ、および受光器８ｂの取り付け位置（高さ方向）は、例えば乗客の靴により光電ビーム１０が遮断される位置となるように設定される。

ここで、上記の投光器８ａとは、例えば不可視の赤外光を発する発光ダイオードを光源として、発光された分散光を凸レンズで光束として照射するものであり、この光束を光電ビームという。
また、上記投光器８ａから照射される光電ビーム１０を受光する受光器８ｂは、例えば受光素子としてのフォトトランジスタを有しており、上記光電ビーム１０を凸レンズで上記フォトトランジスタに集束させて、上記フォトトランジスタが受光する光量に応じて上記受光素子から電流が出力される。

図４において、安全装置１１は受光器８ｂからの信号に基づいて異常を検出する異常検出手段１２と、上記異常検出手段１２からの信号に基づいて遠隔監視盤や乗客コンベアの周囲等の外部に対して警告を発報する警告発報手段１３、および乗客コンベアの運転を減速させる運転制御手段１４で構成されている。

上記のように構成された乗客コンベアの安全装置の動作を図1から図4を参照して説明する。投光器８ａから受光器８ｂに向けて光電ビーム１０が照射する。該受光器８ｂが光電ビーム１０を受光している場合は、異常検出手段１２は正常と判断し、乗客コンベアは通常の運転を行なう。

ここで、例えば踏段２の踏面からスカートガード５側に接近した乗客の靴が光電ビーム１０を遮断した場合、上記受光器８ｂからの遮断信号に基づき異常検出手段１２により発生される異常信号を受けて警告発報手段１３により警告を発報させたり、上記異常信号を受けて運転制御手段１４により乗客コンベアを減速する。

上記実施形態の乗客コンベアの安全装置によれば、乗客の靴などが光電ビーム１０を遮断した場合、受光器８ｂからの遮断信号により異常検出手段１２から異常信号を発し、警告発報手段１３により発報される警告により踏段２の踏面からスカートガード５側に接近した乗客の靴をスカートガード５から遠ざける方向に導かせる効果がある。
また、上記異常信号を受けて運転制御手段１４により乗客コンベアを減速させることにより安全性が増す。

実施の形態２．
本発明の他の実施形態を図５及び図６により説明する。図５は本発明の他の実施の形態を示す乗客コンベアの下部側の側面図、図６は図５のＣＣ断面図である。
図６において、スカートガード５の上方に乗客コンベアの移動方向に延設される保護体としてのブラシ付きプロテクター１５がスカートガード５にネジ等（図示せず）で固定されている。ブラシ付きプロテクター１５の下方に投光器８ａと投光器８ａから乗客コンベアの移動方向に任意の間隔で受光器８ｂがスカートガード５にネジ等（図示せず）で固定される。

ブラシ付きプロテクター１５は、ブラシ付きプロテクター１５近傍の上方から落下された落下物を受けるとともに、下方が踏段中央側に傾斜して取り付けられたブラシ部分によりスカートガード５から離れた方向の踏段２上に案内させる。

上記の実施の形態によれば、実施の形態１の効果に加え、ブラシ付きプロテクター１５近傍の上方から落下された落下物をブラシ付きプロテクター１５本体で受けるとともに、ブラシ付きプロテクター１５の下方に、踏段中央側に傾斜して取り付けられたブラシ部分によりスカートガード５から離れた方向の踏段２上に案内させている。

実施の形態３．
本発明の他の実施形態を図７及び図８により説明する。図７は本発明の他の実施の形態を示す要部断面図、図８は図７のＤＤ断面図である。
図７において、投光器８ａが光電ビーム１０の照射口（図示せず）をスカートガード５側に向けてスカートガード取付金７にネジ等（図示せず）で取り付けられる。投光器８ａから乗客コンベアの移動方向に任意の間隔をおいて、受光器８ｂが光電ビーム１０の受光口（図示せず）をスカートガード５側に向けてスカートガード取付金７にネジ等（図示せず）で取り付けられる。

投光器８ａ側において、投光器８ａの光電ビーム１０の照射口（図示せず）に反射器１６の反射面１６ａが向けられると共に、該反射面１６ａが上記受光器８ｂ側に向けられて反射器１６がネジ等（図示せず）でスカートガード５に取り付けられる。
受光器８ｂ側において、受光器８ｂの光電ビーム１０の受光口（図示せず）に反射器１６の反射面１６ａが向けられると共に、該反射面１６ａが上記投光器８ａ側に向けられて反射器１６がネジ等（図示せず）でスカートガード５に取り付けられる。
そして、投光器８ａと受光器８ｂが一対となる検知センサー８が乗客コンベアの移動方向に複数組連続して配設されている。
なお、上記投光器８ａ部、および受光器８ｂ部の光電ビーム１０が通過するスカートガード５、およびスカートガード取付金７には光電ビーム１０を透過させるための孔（図示せず）が開けられている。

上記の構成において、乗客コンベアの安全装置は次のように動作する。
投光器８ａから照射されて反射器１６の反射面１６ａで反射される光電ビーム１０は、受光器８ｂ側の反射器１６の反射面１６ａで反射して、受光器８ｂに入光される。
光電ビーム１０は踏段２の側端部で踏段２の上方を通ると共に、スカートガード５の側方に沿って走らせており、動作においては上記実施の形態１と同様である。

上記の実施の形態によれば、実施の形態１の効果に加え、スカートガード５に反射器１６を取り付けたので、投光器８ａは発光ダイオードと、集光用の凸レンズ等が内蔵されており、受光器８ｂは集光用の凸レンズ、受光素子等が内蔵されている。このため、投光器８ａ、受光器８ｂの外形が所要の大きさとなるが、反射器１６は反射板１６ａのみで構成されているので、投光器８ａや受光器８ｂに比較して外形の厚さを薄くすることができる。
よって、反射器１６を薄くすることによりスカートガード５からの反射器１６の突出量を小さくできるため、踏段２の幅方向端部のスペースを有効に使える。
また、乗客コンベアの保守時においてスカートガード５を取り外す場合に、反射器１６は配線９が不要のため、作業性が向上する。

本発明における実施の形態を示す乗客コンベアの下部側の側面図 図１のＡＡ断面図 図１のＢＢ断面図 本発明における実施の形態を示す乗客コンベアの安全装置のブロック構成図 本発明における他の実施の形態を示す乗客コンベアの下部側の側面図 図４のＣＣ断面図 本発明における他の実施の形態を示す要部断面図 図６のＤＤ断面図

符号の説明

２ 踏段 、５ スカートガード 、６ インナーデッキ 、７ スカートガード取付金 、８ 検知センサー 、８ａ 投光器 、８ｂ 受光器 、１０ 光電ビーム 、１１ 安全装置 、１２ 異常検出手段 、１３ 警告発報手段 、１４ 運転制御手段 、１５ ブラシ付きプロテクター 、１６ 反射器 、１６ａ 反射面。

Claims (5)

1. 乗客コンベア内を循環移動する複数の踏段と、該踏段の両側に設けられると共に、前記踏段の移動方向に延設されるスカートガードとを備えた乗客コンベアの安全装置において、
   前記スカートガードに対して前記踏段が移動する領域の反対側に設けられ、前記スカートガードと前記踏段の側面とで形成される隙間の上部近傍を通過する光電ビームを発生する投光手段と、
   前記光電ビームの通過経路間に該光電ビームを反射させる反射手段と、
   該光電ビームを受光すると共に、該受光が遮断されることにより遮断信号を発生する受光手段と、
   該遮断信号に基づき異常と判断すると共に、異常信号を発生する異常検出手段とを備えたことを特徴とする乗客コンベアの安全装置。
2. 前記投光手段、および前記受光手段は、前記スカートガードに対して前記踏段が移動する領域の反対側に設けられ、
   前記反射手段は、前記光電ビームの通過経路間に少なくとも二つ備えたことを特徴とする請求項１に記載の乗客コンベアの安全装置。
3. 前記反射手段は、前記スカートガードに連結固定されたことを特徴とする請求項１又は２に記載の乗客コンベアの安全装置。
4. 前記異常信号に基づいて警告を発報する警告発報手段を備えたことを特徴とする請求項１から３の何れか一つに記載の乗客コンベアの安全装置。
5. 前記異常信号に基づいて乗客コンベアを減速させる運転制御手段を備えたことを特徴とする請求項１から４の何れか一つに記載の乗客コンベアの安全装置。

Images