JP4965857B2 - 扉付きコンセント - Google Patents

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Description

本発明は、扉付きコンセントに関するものである。
従来より、刃受穴を自動的に遮蔽する扉を有した扉付きコンセントが提供されている(例えば、特許文献1参照)。図20は従来の扉付きコンセントの断面図を示しており、この従来例は、箱形のボディ220aとカバー220bを結合してなりカバー220b前面に2個1組の刃受穴221が1乃至複数組設けられた器体220と、器体220内に収納され刃受穴221より挿入される栓刃(平型栓刃)を受ける刃受230と、器体220内に収納され且つ刃受230と電気的に接続された複数の端子(図示せず)と、器体220内において刃受穴221を開放する位置と閉塞する位置との間で器体220前面と略平行に移動可能に設けられた一対の扉240,240と、器体220内においてカバー220bとの間で扉240,240を移動自在に保持する保持部材250と、刃受穴221を開放する位置から閉塞する位置に向けて扉240,240を弾性付勢する一対の弾性部材251,251とを備えている。ここで、刃受230は、刃受穴221から挿入される栓刃を挿入方向と直交する向きで狭持する一対のばね片231,231と、ばね片231,231を保持するフレーム232とからなり、フレーム232に対して一対のばね片231,231が器体220内の前方(図20における上方)に配置されている。なお、一対のばね片231,231の先端部分は互いに離れる向きに折り曲げられ、刃受穴221に挿入される栓刃の先端を一対のばね片231,231の間に誘い込むようになっている。
かかる従来例においては、1組の刃受穴221,221に差込プラグの一対の栓刃が同時に挿入されると一対の扉240,240が栓刃に押されて移動するために一対の栓刃がそれぞれ刃受230,230と接触可能であるが、差込プラグの片方の栓刃だけが刃受穴221に挿入された場合、片方の扉240しか移動しないためにもう片方の扉240が邪魔をして栓刃が刃受230と接触しないように保護されている。また、別の従来例として1つの扉で1組の刃受穴を遮蔽するようにしたものもある。
特開平9−320678号公報
ところで、1つの扉で1組の刃受穴を遮蔽する従来例においては、差込プラグの片方の栓刃だけが刃受穴に挿入された場合、扉が前後方向(栓刃の挿入方向)に傾くことで保持部材やカバーと干渉し、その結果、扉の移動が規制されるために片方の栓刃のみが刃受と接触しないように保護されている。しかしながら、かかる従来例において、傾いた扉が刃受(ばね片)と接触することがあり、ばね片に無理な力がかかって変形等の不具合が生じて刃受の電気的性能が低下する虞があった。
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、その目的は、刃受の電気的性能低下を防止した扉付きコンセントを提供することにある。
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、箱形のボディとカバーを結合してなりカバー前面に2個1組の刃受穴が1乃至複数組設けられた器体と、器体内に収納され前記刃受穴より挿入される栓刃を受ける刃受と、器体内に収納され且つ前記刃受と電気的に接続された複数の端子と、器体内において前記刃受穴を開放する位置と閉塞する位置との間で器体前面と略平行に移動可能に設けられた1乃至複数の扉と、器体内においてカバーとの間で前記扉を移動自在に保持する保持部材と、刃受穴を開放する位置から閉塞する位置に向けて扉を弾性付勢する弾性部材とを備えた扉付きコンセントであって、前記刃受は、刃受穴から挿入される栓刃を挿入方向と直交する向きで狭持する一対のばね片と、該ばね片を器体前面側で保持するフレームとからなり、前記フレームは、前記ばね片間の距離よりも広い間隔で互いに対向する一対の側片と、当該一対の側片の端部同士を連結する連結片と、各側片の後端から後方へ延設された一対のつなぎ片とを有し、これら一対のつなぎ片の後端より前記ばね片がそれぞれ延設されてなり、前記保持部材は、器体の前後方向と直交する方向から前記側片並びに連結片と対向し且つ前面に扉が摺接する対向部と、前記刃受のフレームに前方から当接する当接部とを有し、前記扉は、1組の刃受穴をそれぞれ閉塞する一対の閉塞部と、前記対向部前面と摺接する摺接部とを有し、該摺接部を支点として器体の前後方向に揺動自在であり且つ前記保持部材に対して傾いたときにカバー若しくは保持部材と干渉して移動が妨げられることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記保持部材は、扉の移動方向と直交する方向から扉に当接する段部が前面に設けられたことを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記保持部材は、扉の移動方向と直交する方向から前記摺接部に当接するガイドリブが前面に設けられたことを特徴とする。
請求項1の発明によれば、差込プラグの片方の栓刃だけが刃受穴に挿入された場合、扉が前後方向に傾くことで保持部材あるいはカバーと干渉して扉の移動が規制され、片方の栓刃のみが刃受と接触しないように保護され、また、傾いた扉はフレームに接触することはあってもばね片に接触することがないから、ばね片に無理な力がかからないことで刃受の電気的性能低下を防ぐことができる。しかも、扉が摺接する保持部材の対向部と刃受のフレームを構成する側片並びに連結片とが器体の前後方向と直交する方向から見て重なるように器体内に配置されているから、扉並びに保持部材を収納しているにもかかわらず器体の前後方向の奥行き寸法の増加を抑えることができる。さらに、保持部材が刃受のフレームに前方から当接する当接部を有しているため、栓刃の引き抜き時に刃受が前方へ移動するのを防ぐことができる。
請求項2の発明によれば、段部にガイドされることで扉がスムーズに移動できる。
請求項3の発明によれば、ガイドリブにガイドされることで扉がスムーズに移動できる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、本実施形態では、2極接地極付の連用形扉付きコンセント(定格15A 125V)の1種で2極接地極付の差込プラグがそれぞれ差込接続される差込口を2つ有するとともにアース線が接続されるアースターミナル付きのものを例示するが、これに限定する趣旨ではなく、差込口が1つあるいは3つ以上であるものやアースターミナル無しのものであってもよく、あるいは連用形に限らず露出型や埋込型のコンセントにも本発明の技術思想が適用可能である。
図1は本実施形態の分解斜視図であり、合成樹脂製の箱形のボディ1aとカバー1bとを金属製の組立枠2により結合して器体1を構成している。この組立枠2は、所謂埋込ボックス(スイッチボックス)等に取り付けるための取付枠を兼ねるものであって、日本工業規格(JIS)において規格化されている一連の取付枠(JIS C 8375 大角形連用配線器具の取付枠)とほぼ同一の形状及び寸法に形成されている。一方、器体1は、上記規格化された一連の取付枠に3個まで取り付けることのできる単位寸法の配線器具の3個分の寸法(3個モジュール寸法という。)に形成されており、ボディ1a及びカバー1bの両側面に突設された凸部3a,3bが、組立枠2の両側片2a,2aから各々一対ずつ突設されている略U形の突出片2b…の内側周縁に係止されることによって、ボディ1aとカバー1bとが組立枠2により固定されて器体1が組み立てられている。なお、組立枠2の長手方向に対向する取付片2c,2cには、上記埋込ボックスに取り付けるためのボックスねじ用の長孔2d,2dと、壁を構成する石膏ボードなどに取り付けるための従来周知のはさみ金具(図示せず)が取着される取着孔2e,2eと、前面にプレート(図示せず)等を取り付けるためのプレートねじ用のねじ孔2f,2fと、壁材などに組立枠2を直に取り付ける際の取付ねじ等が挿通されるねじ挿通孔2g…とが少なくとも設けてある。
カバー1bの前面(器体1の前面)には、一対の刃受穴4a,4bと接地極用の刃受穴4cからなる差込口4が長手方向に2組設けてあり、2極接地極付の差込プラグ200(図10参照)を2個同時に接続できるようになっている。また、カバー1bの前面に配設された2組の差込口4の下側にはアース線が接続されるアースターミナル5が配設され、アースターミナル5の前面を覆い隠すアースターミナル用扉6がカバー1bに開閉自在に取り付けられている。
一方、器体1の内部には、2組の刃受穴4a,4b,4cから挿入された電圧側及び接地側の栓刃(平型栓刃)及び接地極の刃と各別に電気的及び機械的に接続される一対の接地側刃受7a,7a、電圧側刃受8a,8a並びに接地刃受9a,9aが、各刃受穴4a,4b,4cの奥に位置するように収納されている。ここで、接地側刃受7a,7aは、板状の金属部材を加工することで接地側端子板10の両端に一体形成される。同様に、電圧側刃受8a,8aも、板状の金属部材を加工することで電圧側端子板10の両端に一体形成される。そして、接地側刃受7a,7aと接地側端子板10とで接地側刃受ブロック7が構成されるとともに、電圧側刃受8a,8aと電圧側端子板10とで電圧側刃受ブロック8が構成されている。なお、これら接地側刃受ブロック7と電圧側刃受ブロック8とは、全く同一の形状を有している。
接地側刃受7a並びに電圧側刃受8a(以下、代表して刃受8aと呼ぶ。)は、図2に示すように刃受穴4bから挿入される栓刃を挿入方向と直交する向きで狭持する一対のばね片80,80と、これら一対のばね片80,80を器体1の前面側で保持するフレーム81とからなる。フレーム81は、ばね片80,80間の距離よりも広い間隔で互いに対向する一対の側片82,82と、これら一対の側片82,82の端部同士を連結する連結片83とが略U字形状に形成されてなり、各側片82,82の刃受穴4bと反対側の後端からそれぞれつなぎ片84,84が後方(図2における下方)へ延設されている。これら一対のつなぎ片84,84は、後方に向かって互いに近づく向きに傾斜し、各つなぎ片84,84の先端(後端)から各々ばね片80,80が後方へ延設されている。なお、フレーム81は、一方の側片82の先端から延設されたリード片85によって電圧側端子板10と連結されており、他方の側片82の先端が自由端、つまり、当該他方の側片82が連結片83で片持ち支持されている。
一方、接地刃受9a,9aは、同じく板状の金属部材を加工することによって、橋絡片(図示せず)の両端に一体形成される。また、橋絡片の一端側には接地極用の端子(速結端子)を構成する一対の接地端子板10’が一体形成されており、接地刃受9a,9aと橋絡片と接地端子板10’とで接地刃受ブロック9が構成されている。また、一対の接地端子板10’にはねじ端子金具5aがかしめ固定され、ねじ端子金具5aとねじ5bと座金5cとでアースターミナル5が構成されている。
アースターミナル用扉6は、可撓性を有する樹脂等から形成されており、先端がカバー1bの挿入口1c,1c(図5参照)に挿入されて、カバー1bに係止離脱自在に係止される係止片6a,6aと、ヒンジ部6b,6bを介して係止片6a,6aに接続されるとともに、カバー1bの前面端部に設けられた開口部1dを開閉自在に覆う覆い部6cとから構成される。覆い部6cは、薄肉状のヒンジ部6b,6bにより、係止片6a,6aに対して曲げ伸ばし自在となっている。すなわち、アースターミナル用扉6の覆い部6cは、係止片6a,6aに対して伸ばしたり折り曲げたりすることにより、カバー1bの開口部1dを開閉することができるようになっており、閉じた時にアースターミナル5を覆い隠すようになっている。
端子板10は、短冊状の主片11と、主片11の長手方向に沿った一方の端縁から後方へ垂下された一対の接触片12と、主片11の長手方向に沿った他方の端縁から後方へ垂下された当接片13とを有し、弾性を有する帯状の金属板を加工して主片11、接触片12、当接片13が一体に形成される(図2参照)。接触片12には電線の挿入方向に沿った両端部において電線を押圧する一対の押圧部12a,12bと、上側の押圧部12bの先を当接片13から離れる向きに曲げ起こしてなる被係止部12cとが設けられ、押圧部12bと主片11の間には、ボディ1aの底壁に貫設されている電線挿入孔(図示せず)と対向し電線が挿通される挿通部14が形成されている。錠ばね20は、図3(b)に示すように弾性を有する帯状の金属板を略J字状に曲げ加工してなり、端子板10の主片11並びに当接片13に当接する鈎形の導通片21と、導通片21の下端より略U字状に曲げ形成されたばね片22とを有し、電線に当接して抜け止めするばね片22の先端が鎖錠部となる。また、ばね片22には電線から離れる向き(導通片21に近づく向き)に凸となる曲げ部22aが設けられている。かかる錠ばね20は、主片11と当接片13に導通片21を当接させるとともにばね片22を接触片12と対向させる形で端子板10の内側に配置される。
上述のように構成される接地側刃受ブロック7並びに電圧側刃受ブロック8は、ボディ1aの長手方向略中央において短手方向両端にそれぞれ設けられた端子板収納室90a,90aに端子板10並びに錠ばね20が収納されるとともに、端子板収納室90a,90aからボディ1aの長手方向両側に設けられた刃受収納室90b,90bに一対の刃受7a,8aがそれぞれ収納される(図1参照)。ここで、端子板10,10’と、錠ばね20と、解除レバー30と、補助ばね50とで外部の電線を刃受7a,8a,9aに接続するための端子(いわゆるねじなし端子あるいは速結端子と呼ばれる。)が構成されている。そして、ボディ1aの底面に貫設された電線挿入孔(図示せず)から挿入される電線を端子板10の接触片12と錠ばね20のばね片22との間で狭持するとともに鎖錠部(ばね片22の先端)を電線に当接することで前記端子に電線を接続し且つ抜け止めすることができる。
解除レバー30は合成樹脂成形品からなり、棒状の操作部31と、矩形板状の係止部32と、操作部31と係止部32の長手方向両端同士を連結する連結部33,33と、連結部33,33より各々側方へ突出する腕部34,34と、腕部34,34の先端部分より内側に突出する軸部35,35と、軸部35,35先端面の中央寄りの位置から突出する突台状の押動部36,36とが一体に形成されている。そして、軸部35,35先端面の外側の部分と押動部36,36の外側の面とで補助ばね50を位置決めするための位置決め部(図示せず)が構成されている。
ここで本実施形態では、各端子板10,10'に対して送り配線用を含めて前記端子がそれぞれ2つずつ設けられ、これら2つの端子がボディ1aの各端子板収納室90aに並べて収納される。ボディ1aの側面には端子板収納室90aと通じる複数の縦溝93が設けられており、隣り合う一対の縦溝93,93を通して連結部33並びに操作部31が器体1の外に配置された状態で解除レバー30がボディ1aに取り付けられる。ボディ1a内で一対の縦溝93,93と電線挿入孔とに挟まれた部位には、解除レバー30の回動時に軸部35,35を支持する一対の支持用リブ(図示せず)が設けられている。
補助ばね50は、図3(b)に示すように帯板状のばね材を曲げ加工してなり、器体1(ボディ1a)の内部壁に当接する当接片51と、先端近傍で解除レバー30に当接するばね片52と、ばね片52と当接片51とを連結する略U字形状の連結片53と、当接片51の先端から突出する鈎形の突片54とを有する。またばね片52は、解除レバー30に当接する部位よりも先端側が解除レバー30から離れる向きに曲げられ、さらに前記当接部位よりも連結片53寄りの部位で解除レバー30から離れる向きに屈曲してなる。かかる補助ばね50は、錠ばね20とともに端子板10の内側に配置され、ばね片52の先端部52aが解除レバー30の腕部34に設けられている位置決め部に位置決めされて解除レバー30を反操作方向に弾性付勢することになる。
電線が接続されていない状態においては、係止部32が端子板10の被係止部12cに係止(ラッチ)する回動位置まで解除レバー30が回動させてある(以下、この回動位置を「初期位置」と呼ぶ)。解除レバー30が初期位置にあるときは錠ばね20のばね片22の両端部が一対の押動部36,36に押動されて鎖錠部(ばね片22の先端)が接触片12から離れる向きに撓んだ状態にある。このときばね片22のばね力と補助ばね50のばね力によって解除レバー30が反操作方向に弾性付勢されるが、係止部32が端子板10の被係止部12cに係止しているために解除レバー30は初期位置に保持されることになる。
そして、電線挿入孔を通して電線を接触片12とばね片22との間に導入すると、挿通部14を通して電線の先端が解除レバー30の係止部32に当接し、係止部32を押し上げて係止部32と被係止部12cとのラッチ状態を解除する。すると、ばね片22並びに補助ばね50のばね力で弾性付勢されていた解除レバー30が反操作方向に回動し、ばね片22先端の鎖錠部が電線に当接することによって電線が抜け止めされるとともにばね片22のばね力によって電線が接触片12に弾接する。さらに電線は一対の押圧部12a,12bによってばね片22の方へ押圧され、鎖錠部と一対の押圧部12a,12bの押圧力が均衡して電線が狭持される。また被係止部12cとの係止が外れる際に係止部32が被係止部12cに弾かれて音が発生する。ここで、端子板10の主片11には電線の先端を挿通部14に案内するための案内部が設けられており、この案内部によって電線を確実に挿通部14に挿通させることができる。
一方、電線が接続された状態で操作部31を前方(図3における上方)へ押し上げるように操作すれば、支持用リブに支持された軸部35,35を支点にして解除レバー30が接続時と反対方向に回動し、押動部33,33が錠ばね20のばね片22を押圧して電線に当接している鎖錠部(ばね片22の先端)を電線から離すようにばね片22を撓ませて電線の引き抜きが可能となる。
而して、端子板10と電線との接続が完了すると解除レバー30の操作部31が初期位置よりも後方(図3における下方)の位置に移動することで電線の接続完了表示を視覚的に確認することができるとともに、係止部32が被係止部12cに弾かれて発生する音によって聴覚的にも確認することができ、しかも、電線の接続を解除するための解除レバー30を電線の接続完了表示に兼用することで部品点数の増加を抑えることができる。
次に、差込口4の刃受穴4a,4bを自動的に遮蔽する扉40について説明する。
扉40は、図1並びに図4に示すように扁平な矩形板状の合成樹脂成形品からなり、一方の刃受穴4aを開放する位置において他方の刃受穴4bと前後方向に重なる透け穴41が略中央部に貫設されており、透け穴41を挟んで対向する両端部がそれぞれ刃受穴4a,4bを閉塞する閉塞部42,43となる。ここで、閉塞部42,43の前面には、図9に示すように前方から後方に向かって外側又は透け穴41に近づく向きの傾斜面42a,43aがそれぞれ形成されている。また、扉40背面(図4における上面)の長手方向略中央における透け穴41の両側には、後方(図4における上方)に向かって山形に突出し先端部分で後述する保持部材100に摺接する一対の摺接部44,44が一体に設けられている。さらに、扉40前面(図1における上面)の中央部には、一部で透け穴41と連通する凹所45が形成されている。すなわち、カバー1bの内底面における刃受穴4bの近傍に薄板状の嵌合突起1fが後方に向かって突設されており、この嵌合突起1fを透け穴41に嵌合する形で扉40がカバー1bに取り付けられる(図5及び図9参照)。このとき、嵌合突起1fの幅寸法が扉40の長手方向における透け穴41の幅寸法よりも小さくなっているから、その寸法差の分だけカバー1bに対して扉40が平行に移動可能である。なお、他方の刃受穴4aの近傍には扉40の閉塞部42側の先端に当接して嵌合突起1fとともに扉40の移動範囲を規制する一対の規制リブ1g,1gが後方に向かって突設されている(図5及び図8参照)。
保持部材100は、図1、図6、図7に示すように扁平な矩形板状である主部101と、主部101の両側面から外側へ突出する一対の対向部102,102と、対向部102を囲むように両端部が主部101の側面に連結されるとともに中央部が対向部102の先端に連結された略コ字状の枠部103,103とが一体に形成された合成樹脂成形品からなる。そして、図9に示すように対向部102と枠部103に囲まれた空間に刃受7a,8aのフレーム71,82を収納する形でカバー1bの内側に保持部材100が収納され、保持部材100によってカバー1bとの間に扉40,40が移動自在に保持される。ここで、対向部102,102の前面にそれぞれ扉40,40の摺接部44,44が先端で摺接し(図3(a)及び図9参照)、後述するように一対の閉塞部42,43が同時に栓刃で押されたときに対向部102,102の前面を摺接部44,44(扉40)が摺動し、片方の閉塞部42又は43のみが押されたときには摺接部44の先端を支点として対向部102(保持部材100)に対して扉40が傾くようになっている。また、扉40,40は、閉塞部42,43が刃受穴4a,4bを開放する位置から閉塞する位置に向けて板ばねからなる弾性部材110により弾性付勢されている。この弾性部材110は、カバー1b内壁部に取り付けられる主片111と、主片111の両端から延設され先端部が扉40,40の閉塞部43の外側面に当接する一対のばね片112,112とを有するものであり、ばね片112,112のばね力で扉40,40を弾性付勢している(図5参照)。。
主部101には前後方向に貫通する一対の貫通穴101a,101aが長手方向に並設されており、器体1前面においてアースターミナル5から遠い位置にある差込口4の接地極用刃受穴4cに挿通された接地極の刃が一方の貫通穴101aを通して刃受9aに接続可能となっている。但し、主部101には一対の貫通穴101a,101aが長手方向に並設されているため、保持部材100が180°反転した状態でカバー1bの内側に収納されたときでも他方の貫通穴101aが接地極用の刃受穴4cと刃受9aとの間に配置されることになり、カバー1bに対する保持部材100の組み付け方向が規制されないようになっている。また、主部101背面における短手方向の両端部からは後方へ突出して端子板収納室90a,90aに収納されている端子板10,10を前方から押さえる押さえ部101b,101bが突設されている(図3(a)参照)。なお、枠部103,103の外側面には、カバー1bの内側壁に設けられている複数の嵌合溝1h(図8参照)と各々嵌合する複数の嵌合突起103aが突設されている。つまり、これら複数の嵌合突起103aをそれぞれ嵌合溝1hに嵌合することでカバー1bに対する保持部材100の位置決め並びに仮保持が可能となっている。
而して、図10(a)に示すように差込口4の刃受穴4a,4bに差込プラグ200の両極の栓刃201,201が同時に挿入されると、栓刃201,201の先端が各々閉塞部42,43の傾斜面42a,43aに当接し、栓刃201,201に傾斜面42a,43aが押されることで弾性部材110のばね片112のばね力に抗して扉40が平行移動し、図10(b)に示すように扉40の閉塞部42,43で閉塞されていた刃受穴4a,4bが開放されて栓刃201,201を刃受7a,8aに接続することができる。また、差込プラグ200を引き抜くと弾性部材110のばね片112のばね力によって扉40が逆向きに平行移動して刃受穴4a,4bを閉塞する位置に復帰し、刃受穴4a,4bを通して器体1内に異物が侵入するのを防ぐことができる。一方、片方の刃受穴4aにだけ栓刃201(あるいは、異物)が挿入された場合、栓刃201の先端が一方の閉塞部42の傾斜面42aに当接して傾斜面42aが押されると、図11(a)に示すように摺接部44の先端を支点として対向部102(保持部材100)に対して扉40が傾き、閉塞部43の前端がカバー1b内底面に形成されているストッパ1iと干渉することで扉40の移動が規制されて刃受穴4a,4bが開放されない。また、もう片方の刃受穴4bにだけ栓刃201(あるいは、異物)が挿入された場合、栓刃201の先端が他方の閉塞部43の傾斜面43aに当接して傾斜面43aが押されると、図11(b)に示すように摺接部44の先端を支点として対向部102(保持部材100)に対して扉40が傾き、閉塞部43の後端が保持部材100の枠部103に干渉することで扉40の移動が規制されて刃受穴4a,4bが開放されない。つまり、何れか一方の刃受穴4a,4bにだけ栓刃201が挿入されても扉40が平行移動せずに刃受穴4a,4bが開放されないから、片方の栓刃201のみが刃受7a又は8aと接触しないように保護されている。ここで、扉40が傾いた場合に扉40の閉塞部42,43が刃受7a,8aに当たる可能性があるが、本発明によれば、傾いた扉40がフレーム71,81に接触することはあってもばね片70,80に接触することがないから、ばね片70,80に無理な力がかからないことで刃受7a,8aの電気的性能低下を防ぐことができる。しかも、扉40が摺接する保持部材100の対向部102,102と刃受7a,8aのフレーム71,81を構成する側片72,82並びに連結片73,83とが器体1の前後方向と直交する方向(図9における左右方向)から見て重なるように器体1内に配置されているから、扉40並びに保持部材100を収納しているにもかかわらず器体1の前後方向(図9における上下方向)の奥行き寸法の増加を抑えることができる。
ところで、差込プラグ200を差込口4から引き抜くときに刃受7a,8aに前方への力が加わるが、本実施形態では刃受7a,8aのリード片75,85の前端が保持部材100の枠部103,103に当接しているため(図3(a)参照)、差込プラグ200(栓刃201,201)の引き抜き時に刃受7a,8aが前方へ移動するのを防ぐことができる。また、図12に示すように枠部103,103の前面に対向部102,102前面と面一になる段部103b,103bを形成すれば、扉40,40の一方の摺接部44に対して扉40の移動方向と直交する方向(図12における左右方向)から段部103b,103bが当接し、段部103b,103bにガイドされることで扉40,40がスムーズに移動できるようになる。あるいは、図13に示すように対向部102,102の前面に、扉40,40の移動方向と直交する方向(保持部材100の長手方向)から扉40,40の摺接部44,44に当接するガイドリブ102a,102aを突設すれば、ガイドリブ102a,102aにガイドされることで扉40,40がスムーズに移動できるようになる。
ところで、扉40,40は保持部材100の対向部102,102前面に摺接して平行移動するから、主部101と対向部102,102のみでもカバー1bとの間で扉40,40を保持することが可能である。したがって、図14に示すように2つある枠部103の一方を削除した保持部材100’としたり、あるいは図15及び図16に示すように一対の枠部103,103を双方とも削除した保持部材100”としても構わない。但し、上述のように一方又は両方の枠部103を削除した場合、一方の刃受穴4bにのみ栓刃201が挿入されて扉40が傾いたときに扉40の閉塞部43の後端と干渉して扉40の移動を規制するための突片104が枠部103の代わりに設けられる。
また、本実施形態では解除レバー30を手動で操作して端子から電線を取り外すようになっているが、手動操作だけでなくドライバなどの工具を使っても操作可能な解除レバーを設けても構わない。図17〜図19はこのように手動操作と工具を使った操作の双方が可能な解除レバー120並びに当該解除レバー120を搭載するコンセントの一例を示している。この解除レバー120は、矩形平板状の第1の操作部121と、第1の操作部121の背面から操作方向に沿って突出する脚片122と、脚片122の先端近傍から第1の操作部121と平行に突出する一対の押動部123,123と、脚片122の先端から押動部123,123と異なる方向に突出する第2の操作部124とが一体に形成された合成樹脂成形品からなり、ボディ1aの側面に設けられた縦溝93’に脚片122が挿通され且つ第1の操作部121が器体1の外に露出した状態で押動部123,123並びに第2の操作部124を端子板収納室90aに収納する形で器体1に取り付けられる。また、図示例は電線が端子に接続されたことを表示(接続完了表示)するための表示部材130が器体1内に収納されている。表示部材130は、四角柱状の表示体131,131と、後述するように電線の先端が当接する当接片132,132と、略M字形であって両端に当接片132並びに表示体131が連結されたばね体133とが一体に形成された合成樹脂成形品からなり、器体1(ボディ1a)の底面に貫設されている挿通孔140,…からそれぞれ表示体131,131の先端部分を突出させるようにして器体1内に収納される(図17参照)。
而して、図19(a)に示すように電線が接続されていない状態では表示部材130の表示体131の先端部分が挿通孔140を通して器体1の外に突出しているが、図19(b)に示すように電線210の心線211が器体1(ボディ1a)の底面に貫設されている電線挿入孔141に挿入されて端子板10と接続されると、表示部材130の当接片132に心線211の先端が当接し、ばね体133のばね力に抗して当接片132並びに表示体131が前方へ移動する。その結果、電線210が端子に接続された状態(接続完了状態)では表示部材130の表示体131が挿通孔140から突出しなくなって接続完了表示を行うことができる。一方、電線210が接続された状態で第1の操作部121を指で押操作すれば、解除レバー120の押動部123が錠ばね(図示例では端子板10と一体に形成されている)の鎖錠部を心線211から離すように撓ませて電線210の引き抜きが可能となり、電線210が引き抜かれるとばね体133のばね力によって表示体131の先端部分が挿通孔140から突出して元の状態に戻る。ここで、器体1(ボディ1a)底面における解除レバー120の第2の操作部124と対向する位置には操作孔142が貫設されており、この操作孔142に挿通した工具(例えば、プラスドライバ)の先端で第2の操作部124を押し動かすと、第1の操作部121を指で押操作したときと同様に解除レバー120の押動部123が錠ばねの鎖錠部を心線211から離すように撓ませて電線210の引き抜きが可能である。
本発明の実施形態を示す分解斜視図である。 同上における刃受ブロックの斜視図である。 (a)(b)は同上の断面図である。 同上における扉の後方から見た斜視図である。 同上におけるカバー、扉、弾性部材の背面図である。 同上における保持部材を示し、(a)は正面図、(b)は背面図である。 同上における保持部材を示し、後方から見た斜視図である。 同上におけるカバーを示し、後方から見た斜視図である。 同上の断面図である。 同上における扉の動作説明図である。 同上における扉の動作説明図である。 同上における保持部材の他の構成を示す斜視図である。 同上における保持部材のさらに他の構成を示す斜視図である。 別の構成の保持部材を備えた同上の分解斜視図である。 さらに別の構成の保持部材を備えた同上の分解斜視図である。 同上におけるさらに別の構成の保持部材を示し、(a)は正面図、(b)は背面図である。 別構成の端子を備えた同上の背面から見た斜視図である。 別構成の端子を備えた同上の一部省略した分解斜視図である。 別構成の端子を備えた同上の電線接続時の動作説明図である。 従来例の断面図である。
符号の説明
1 器体
1a ボディ
1b カバー
4 差込口
4a 刃受穴
4b 刃受穴
4c 接地極用刃受穴
7 接地側刃受ブロック
7a 接地側刃受
8 電圧側刃受ブロック
8a 電圧側刃受
40 扉
41 透け穴
42 閉塞部
43 閉塞部
44 摺接部
80 ばね片
81 フレーム
82 側片
83 連結片
84 つなぎ片
85 リード片
100 保持部材
101 主部
102 対向部
110 弾性部材

Claims (3)

  1. 箱形のボディとカバーを結合してなりカバー前面に2個1組の刃受穴が1乃至複数組設けられた器体と、器体内に収納され前記刃受穴より挿入される栓刃を受ける刃受と、器体内に収納され且つ前記刃受と電気的に接続された複数の端子と、器体内において前記刃受穴を開放する位置と閉塞する位置との間で器体前面と略平行に移動可能に設けられた1乃至複数の扉と、器体内においてカバーとの間で前記扉を移動自在に保持する保持部材と、刃受穴を開放する位置から閉塞する位置に向けて扉を弾性付勢する弾性部材とを備えた扉付きコンセントであって、
    前記刃受は、刃受穴から挿入される栓刃を挿入方向と直交する向きで狭持する一対のばね片と、該ばね片を器体前面側で保持するフレームとからなり、
    前記フレームは、前記ばね片間の距離よりも広い間隔で互いに対向する一対の側片と、当該一対の側片の端部同士を連結する連結片と、各側片の後端から後方へ延設された一対のつなぎ片とを有し、
    これら一対のつなぎ片の後端より前記ばね片がそれぞれ延設されてなり、
    前記保持部材は、器体の前後方向と直交する方向から前記側片並びに連結片と対向し且つ前面に扉が摺接する対向部と、前記刃受のフレームに前方から当接する当接部とを有し、
    前記扉は、1組の刃受穴をそれぞれ閉塞する一対の閉塞部と、前記対向部前面と摺接する摺接部とを有し、該摺接部を支点として器体の前後方向に揺動自在であり且つ前記保持部材に対して傾いたときにカバー若しくは保持部材と干渉して移動が妨げられることを特徴とする扉付きコンセント。
  2. 前記保持部材は、扉の移動方向と直交する方向から扉に当接する段部が前面に設けられたことを特徴とする請求項1記載の扉付きコンセント。
  3. 前記保持部材は、扉の移動方向と直交する方向から前記摺接部に当接するガイドリブが前面に設けられたことを特徴とする請求項1記載の扉付きコンセント
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