JP4964016B2 - モータ用分割コア - Google Patents

モータ用分割コア Download PDF

Info

Publication number
JP4964016B2
JP4964016B2 JP2007117792A JP2007117792A JP4964016B2 JP 4964016 B2 JP4964016 B2 JP 4964016B2 JP 2007117792 A JP2007117792 A JP 2007117792A JP 2007117792 A JP2007117792 A JP 2007117792A JP 4964016 B2 JP4964016 B2 JP 4964016B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coil
winding
yoke
core
tooth
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2007117792A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008278603A (ja
Inventor
紳悟 大橋
慎一 飯塚
和高 立松
裕 小松
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Electric Industries Ltd
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Electric Industries Ltd, Toyota Motor Corp filed Critical Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority to JP2007117792A priority Critical patent/JP4964016B2/ja
Publication of JP2008278603A publication Critical patent/JP2008278603A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4964016B2 publication Critical patent/JP4964016B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H02GENERATION; CONVERSION OR DISTRIBUTION OF ELECTRIC POWER
    • H02KDYNAMO-ELECTRIC MACHINES
    • H02K3/00Details of windings
    • H02K3/04Windings characterised by the conductor shape, form or construction, e.g. with bar conductors
    • H02K3/28Layout of windings or of connections between windings
    • HELECTRICITY
    • H02GENERATION; CONVERSION OR DISTRIBUTION OF ELECTRIC POWER
    • H02KDYNAMO-ELECTRIC MACHINES
    • H02K3/00Details of windings
    • H02K3/46Fastening of windings on the stator or rotor structure
    • H02K3/52Fastening salient pole windings or connections thereto
    • H02K3/521Fastening salient pole windings or connections thereto applicable to stators only
    • H02K3/522Fastening salient pole windings or connections thereto applicable to stators only for generally annular cores with salient poles
    • HELECTRICITY
    • H02GENERATION; CONVERSION OR DISTRIBUTION OF ELECTRIC POWER
    • H02KDYNAMO-ELECTRIC MACHINES
    • H02K2203/00Specific aspects not provided for in the other groups of this subclass relating to the windings
    • H02K2203/12Machines characterised by the bobbins for supporting the windings

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Iron Core Of Rotating Electric Machines (AREA)

Description

本発明は、モータの構成部材に利用される分割コアに関するものである。特に、磁路面積が大きく、かつ巻線の巻回作業性に優れる分割コアに関する。
従来、モータの構成部材として、磁性材料からなるコアの外周にコイルを配したローターやステーターが汎用されている。例えば、図6(II)に示すように分割コア100とコイルCとを有する分割ステーターmを複数組み合わせて環状に配置し、環状部材Rにより環状に保持したステーターがある。分割コア100は、図6(I)に示すように複数のT字状の鋼板を積層させたT字状体であり、コイルCをつくる巻線が巻回される直方体状のティース101と、ティース101の両周縁から突出するヨーク102及び鍔103とからなる。ティース101の外周には、インシュレータ110を配置して、コア100とコイルCとを絶縁する(類似の分割コア:特許文献1図17参照)。インシュレータ110は、一対の分割片から構成され、ティース101の外周を覆う筒部111と、筒部111の両周縁から突出し、筒状部111と直交する一対のフランジ112,113とからなる。フランジ112,113は、ヨーク102,鍔103に沿って配置される。筒部111の外周面と、フランジ112におけるフランジ113との対向面と、フランジ113におけるフランジ112との対向面とでつくられる]状の空間をスロット(コイルの収納部)とする。
分割コア100は、ティース101が直方体状であることからスロットにおけるデッドスペース(巻線を巻回できないスペース)が大きくなる。そこで、図7に示す分割コア120のように、ティース121の外周面(の延長面)をコイルの中心軸Ccに交差する四つの傾斜面で構成することで、デッドスペースを低減でき、占積率を高められる(類似の分割コア:特許文献1図1参照)。また、このコア120は、コイルの中心軸Ccに直交する方向の断面積がヨーク122側から鍔123側に亘って均一的であることから、ヨーク122側から鍔123側に亘って磁気特性が均一的になる。更に、このコア120は、ティース121のコイルサイド面121sと、ヨーク122における鍔123との対向面122aとがつくる角θが鈍角となるようにヨーク122を設けている。この構成により、コイルエンド側において、ヨーク122側から巻線の始端部(巻線においてコイルを形成するターンに繋がる部分)を導入して第一ターンをつくる巻線をコイルサイド面121sに配置させ易い。また、この構成により、巻線を多層に巻回してコイルを形成する場合、内層をつくる巻線をティース121の外周に配置させ易い。なお、コイルサイド側とは、分割コアをモータに組み立てた際、他の分割コアと隣り合う側であり、コイルサイド面は、この側に配置される面をいう。コイルエンド側とは、分割コアをモータに組み立てた際、モータの回転軸Cm(図6(II)参照)方向に向いている側であり、コイルエンド面は、この側に配置される面をいう。
一方、分割コアとして、図8に示すようにティース131の全周に亘ってヨーク132が突出されたものが開発されてきている(特許文献2参照)。分割コア130は、図6に示す分割コア100と比較して、ヨークにおける磁路面積(ヨークのコイルサイド面132sの面積)が大きいことから、モータに利用した場合、トルクを向上できる。
占積率を高めるには、巻線を多層に整列巻きすることも効果的である。特に、巻線を多層に巻回する場合、ティースの中間部(途中)ではなくヨーク近傍又は鍔近傍で層を替えるようにすると、占積率をより高められる。層替えは、通常、一方のコイルエンド側で行う。具体的には、例えば、ティースの一方のコイルサイド面から順に一方のコイルエンド面、他方のコイルサイド面、他方のコイルエンド面を経て一ターンを形成する場合を考える。第n層をつくる最終ターン(第mターン)の巻線のうち、終端となる巻線(ティースの他方のコイルエンド面に配置される巻線)を同層の第m-1ターンの終端となる巻線に交差するように配置し、更に、最終ターンに連なり、第n+1層の始端となる巻線を第n層の第mターンの始端となる巻線(ティースの一方のコイルサイド面に配置される巻線)と第m-1ターンの始端となる巻線(同)とがつくる隙間に積む、いわゆる俵積みをする。交差した巻線部分は、ティースの他方のコイルエンド面に配置される。
特開2002-369418号公報 特開2004-328971号公報
図7に示す分割コア120のティース121の形状と、図8に示す分割コア130のヨーク132の形状とを組み合わせると、占積率が高く、磁路面積が大きな分割コアが得られる。しかし、この組み合わせ構造の分割コアでは、トルクの向上に限界がある。そこで、本発明者は、トルクを更に向上するために、組み合わせ構造の分割コアにおいてヨークのコイルサイド面を延長し、面積(磁路面積)を増大することを検討した。具体的には、図7に示すコア120において三角柱状の空隙(図7(II)において破線で囲まれる空間)を埋めるように磁性材料で構成したΔ部dを具える分割コア200を検討した(図9参照)。図9に示す分割コア200は、ティース201の全周に亘ってその外周面から突出するヨーク202を具えることに加えて、一方のコイルエンド側から他方のコイルエンド側までの全範囲、つまりヨーク202のコイルサイド側の全幅に亘ってΔ部dを具える。従って、分割コア200は、ヨーク202のコイルサイド面202sの面積が図8に示す分割コア130よりも大きく、分割コア130よりもトルクを向上できる。また、ティース201のコイルサイド面201sとヨーク202の鍔203との対向面202aとを直交する構成とすることで、層替えを行う際、対向面202aをあたり止めとして利用することができ、層替えに伴う巻きずれを防止して、占積率の低下を抑制することができる。更に、対向面202aとコイルサイド面201sとがつくる角が直角となる構成とすることで、鋭角となる場合と比較して、巻線を多層に巻回するときに内層をつくる巻線をティース201の外周面に配置させやすい。しかし、この分割コア200は、巻線を多層に整列巻きを行う場合、層替えを行えない恐れがある。
鍔203近傍で層替えを行う場合、鍔203側からヨーク202側に向かって折り返す巻線(交差させる巻線)をティース201のコイルサイド面201sとコイルエンド面201eとでつくられる角部近傍に配置される下層の巻線の隙間に積層する。このとき、折り返す巻線の一部がΔ部dの角部(図9(I)において破線円で囲まれる箇所、ティース201のコイルエンド面201eからコイルエンド側に突出している角部)に接触する恐れがある。折り返す巻線がΔ部dの角部にぶつかると、上記角部近傍に配される下層の巻線に引っ掛かりにくくなる。うまく積層できない場合、コイルを形成できない。巻線を確実に積層するには、例えば、自動巻線機から分割コア200を一旦取り外し、巻線を調整すればよいが、このような調整を行うことで、巻回作業性が低下する。
そこで、本発明の主目的は、磁路面積が大きく、かつ、巻回作業性に優れるモータ用分割コアを提供することにある。
本発明は、ヨーク部の一方のコイルエンド面から他方のコイルエンド面までの全範囲に亘ってΔ部を設けるのではなく、この範囲の一部にのみΔ部を設けることで上記目的を達成する。本発明モータ用分割コアは、外周に巻線が多層に巻回されるティースと、このティースの全周に亘ってその外周面から突出して設けられるヨーク部と、コイルサイド側においてヨーク部からティース側に向かって突出する突出部とを具える。ティースのコイルサイド面は、その延長面が巻線からなるコイルの中心軸に交差するように配置される。突出部は、ヨーク部のコイルサイド面と面一である第一面と、ティースのコイルサイド面と直交する第二面とを有する。そして、突出部は、ティースの一方のコイルエンド面から他方のコイルエンド面までの範囲に設ける。
本発明コアは、コイルサイド側にヨーク部のコイルサイド面に連なる突出部を具えることで、磁路面積が増大するため、図7に示す分割コア120,図8に示す分割コア130と比較してトルクの向上を図ることができる。特に、突出部をティースのコイルサイド側における幅の範囲内で設ける、つまり、ティースのコイルエンド面からコイルエンド方向に突出しないように突出部を設けることで、層替えにあたりティースのコイルエンド面で巻線を交差させる際に、巻線が突出部に接触して、巻回作業性を低下させることがない。また、ティースのコイルサイド面(の延長面)をコイルの中心軸に対して交差する構成とすることで本発明コアは、図6に示す分割コア100と比較してデッドスペースを低減することができる。更に、突出部の一面(第二面)をティースのコイルサイド面に直交させることで本発明コアは、この第二面をあたり止めとして利用することができ、巻きずれを防止して占積率を高められる。以下、本発明をより詳しく説明する。
本発明コアは、磁性材料から構成される磁性部材であり、外周に巻線が巻回されて、モータに利用される。基本的構成として、外周に巻線が巻回される柱状のティースと、このティースの一方の周縁から突出して設けられるヨーク部とを具える。特に、ヨーク部は、ティースの全周に亘って有する。つまり、本発明コアは、ティースの外周面がその全周に亘ってヨーク部よりも内側に位置する形状、端的に言うと、コイルサイド側、及びコイルエンド側のいずれから見てもT字状である。コイルエンド側とは、本発明コアにコイルを形成してモータ部品(例えば、分割ステーター)とし、このモータ部品をモータに組み立てた際、モータの回転軸Cm(図6(II)参照)方向に向いている二つの側であり、コイルエンド面は、この側に配置される面をいう。コイルサイド側とは、本発明コアを具えるモータ部品をモータに組み立てた際、他のモータ部品に隣接する二つの側であり、コイルサイド面は、この側に配置される面をいう。
ティースの外周面は、代表的には、一対のコイルエンド面と、一対のコイルサイド面とで構成する。そのうち、コイルサイド面は、その延長面がティースに配置されるコイルの中心軸Cc(図7参照)に交差する傾斜面とする。つまり、対向する両コイルサイド面は、互いに非平行となるようにする。コイルエンド面は、その延長面が中心軸Ccに交差する傾斜面としてもよいし、平行する平行面としてもよい。つまり、対向するコイルエンド面は、互いに非平行となるようにしてもよいし、互いに平行するようにしてもよい。前者の場合、ティースは、図7に示すティース121のように、延長面が中心軸Ccと交差するように配置される四つの傾斜面からなる変形四角錘台状に構成する。具体的には、一対の台形状面を二組組み合わせたティースとする。一方の組の第一台形状面は、ヨーク部から離れるにつれて幅が広くなる面とし、他方の組の第二台形状面は、ヨーク部から離れるにつれて幅が狭くなる面とする。第一台形状面をコイルサイド面、第二台形状面をコイルエンド面とするとよい。この変形四角錘台状のティースは、外周側(ヨーク部側)から内周側に亘って、その断面積(磁路面積)を実質的に等しくすることができ、外周側から内周側に亘って磁気特性を均一的にできる。後者の場合、ティースは、一対の平行面と一対の傾斜面とからなる四角錘台状に構成する。具体的には、一対の台形状面と、一対の長方形状面とを組み合わせたティースとする。この台形状面は、ヨーク部から離れるにつれて幅が狭くなる面とする。長方形状面をコイルサイド面、台形状面をコイルエンド面とするとよい。コイルエンド面とする台形状面、及び上記第二台形状面は、平面としてもよいし曲面にて形成してもよい。傾斜面や曲面を有するティースは、スロット(巻線が配置されるスペース)内のデッドスペースを低減し、占積率を高めたり、巻線を巻回し易くすることができる。
上記ティースの全周に亘って、その外周面から突出するヨーク部を具えることに加えて、本発明コアでは、コイルサイド側においてヨーク部からティース側に向かって突出し、ヨーク部のコイルサイド面に連なり、面一な面(第一面)を有する突出部を具える。即ち、本発明コアは、ヨーク部においてティースと連なる接続面(鍔部を具える場合、鍔部と対向する面)のうち、コイルサイド側に配置される接続面(この面をサイド接続面と呼ぶ)から突出するように突出部を具える。上記第一面を有することで、本発明コアは、従来のコアと比較して、磁路面積を増大することができる。また、突出部は、上記傾斜面からなるティースのコイルサイド面と直交する面(第二面)を具える。第二面を有することで、本発明コアは、この面をあたり止めとして利用することができ、層替えの際の巻きずれを防止する。このような突出部は、コイルエンド側から見たとき、第一面と第二面と上記サイド接続面と合わせて三角形状となるように構成するとよい。
突出部は、ヨーク部のコイルサイド側の全幅に亘って設ける、つまり、ティースのコイルエンド面よりも突出して設けると、第一面の面積が大きく、磁路面積を増大できる。しかし、この場合、上述したように巻線がこの突出箇所に接触して、巻線の巻回を妨げる恐れがある。そこで、本発明では、ヨーク部のコイルサイド側の全幅に亘って突出部を設けるのではなく、同幅の範囲の一部には、突出部を設けない。即ち、突出部は、ティースの一方のコイルエンド面から他方のコイルエンド面までの範囲、つまり、ティースのコイルサイド側における幅の範囲に設ける。なお、ティースのコイルサイド面を台形状面とする場合、ティースのコイルサイド側の幅が均一でなく変化する。従って、この場合、ティースのヨーク部近傍における幅とする。この範囲の少なくとも一部に突出部を設けることで磁路面積を増大することができる。特に、この全範囲に亘って突出部を設けることで、磁路面積を最も大きくすることができる。このとき、突出部の端面(コイルエンド面)は、ティースのコイルエンド面と面一とする。
突出部は、少なくとも一方のコイルサイド側に具えておく。但し、いずれか一方のコイルサイド側のみに突出部を設けると、磁路面積の増大効果が少ない、モータを構成する際に隣り合う別の分割コアの巻線の巻回方向を逆方向にする必要がある。分割コアを圧粉成形体(後述)とする場合、均一的に加圧しにくいため、成形性が劣るといった不具合が生じることが考えられる。従って、突出部は、両コイルサイド側に具えることが好ましい。
また、突出部は、上述のようにモータの軸方向(ティースの一方のコイルエンド面から他方のコイルエンド面に向かう方向)における形成範囲を限定することで、巻線を容易に巻回することができる。しかし、例えば、突出部のコイルエンド側の端面全体をティースのコイルエンド面と面一とすると、巻線を巻回する際、第一面と第二面とこの端面とでつくられる角部に巻線が接触して、巻線表面の絶縁被覆が損傷する恐れがある。そこで、第一面と第二面と端面でつくられる角部の少なくとも一つは、面取りすることが好ましい。例えば、突出部をヨーク部のコイルサイド側の全幅に亘って設ける場合、上記角部は二つつくられる。これら二つの角部を面取りすると、絶縁被覆の損傷防止をより確実に行える。このとき、突出部のコイルエンド側端は、第一面と第二面とに交差するテーパ面を有する。テーパ面は、平面でも曲面でもよい。曲面の場合、巻線の損傷をより効果的に防止できる。このように突出部の角部を部分的に除去することで、突出部に巻線が接触しても、絶縁被覆の損傷を最小限に抑えることができる。
ここで、ティースに巻線を巻回するにあたり、通常、一方のコイルエンド側で巻線の端部の導入及び引き出しを行う。これら巻線の端部は、コイルに電力供給を行うバスバー部材(給電用部材)に接続される。巻線の端部の導入は、鍔部側又はヨーク部側のいずれから行ってもよいが、本発明コアは、コイルエンド側でもヨーク部が突出していることから、巻線の始端部をヨーク部側から導入させにくい。また、仮に巻線の始端部をヨーク部側から導入しても、巻線を多層に整列巻きする場合、ヨーク部のコイルエンド側においてティースと連なる接続面(この面をエンド接続面と呼ぶ)に沿って配置される始端部に各層をつくる巻線が接触して、整列巻きができない。この接触を回避しようとすると、ターン数が減る。そこで、本発明コアでは、上記接触を回避するために巻線の始端部を配置できるようにヨーク部のコイルエンド側に切欠き部を設けることを提案する。
具体的には、ヨーク部のコイルエンド側においてヨーク部とティースとの境界近傍に切欠き部を設ける。切欠き部は、ティースのコイルエンド面と面一とする。従って、ティースのコイルサイド側の全幅に亘って突出部を設ける場合、突出部は、その端面が切欠き部と共にティースのコイルエンド面に面一となるように、切欠き部に連なって設ける。この切欠き部に巻線の始端部を配置することで、始端部に連なり、第一層目の第一ターンをつくる巻線(巻き始めとなる巻線)をヨーク部の切欠き部からティース側に容易に引き出すことができ、ティースの外周面に沿って巻線を巻回できる。また、切欠き部に配置された巻線の始端部は、ティースとヨーク部との境界よりもヨーク部側に存在するため、巻線を多層に整列巻きする場合であっても、始端部と各層をつくる巻線とが接触することがなく、始端部の存在により占積率が低減することもない。従って、このコアは、巻線をヨーク部側から容易に導入することができ、かつ高占積率であるモータ構成部材を形成可能である。
切欠き部は、ヨーク部の一方のコイルサイド面から他方のコイルサイド面までの全範囲、つまり、ヨーク部のコイルエンド側の全幅に亘って設ける。即ち、切欠き部の幅(一方のコイルサイド側から他方のコイルサイド側に向かう方向の大きさ)は、ヨーク部のコイルエンド側の幅と同幅とする。ここで、切欠き部の幅は、少なくとも巻線の大きさ(代表的には、線径)に対応した大きさ、例えば、線径+余裕分としたり、ティースのコイルエンド側の幅と等しくしたりすることができる。このように上記全範囲に亘って切欠き部を設けていなくても、巻線の始端部を配置し、巻線の巻回の際に始端部とコイルをつくる巻線との接触を防止できる。しかし、ヨーク部を巻線の交差を行うコイルエンド側からみたとき、ティースの一方のコイルサイド側からヨーク部の同じコイルサイド側までの範囲のヨーク部が、ティースのコイルエンド面よりも突出していると、巻線を交差させる際に、巻線がヨーク部、特に、ヨーク部のティースとの境界近傍に接触して、巻回性を低下させる恐れがある。本発明では、この接触を効果的に抑制するために、上記全範囲に亘って切欠き部を設けることを提案する。上記全範囲に亘って切欠き部を設けることで、両コイルサイド側が開放された状態となることから、本発明コアを後述する圧粉成形体とする場合、成形性に優れるだけでなく、いずれの側からでも巻線を導入することができる。また、このような切欠き部を設けることで、ティースの一方のコイルサイド側から他方のコイルサイド側に向かって巻線を導入することができ、巻線を過度に曲げることがない。
切欠き部の高さ(ティースからヨーク部の外周側に向かう方向の大きさ)は、巻線の大きさ(代表的には、線径)×巻線数(+余裕度)とすることが好ましい。つまり、切欠き部においてティースとヨーク部との境界から高さ方向に最も離れた部分と同境界との間の距離が巻線の線径×巻線数(+余裕度)で表わされることが好ましい。切欠き部の高さを大きくすると、ヨーク部の体積が減少して磁路面積が少なくなる。従って、切欠き部の高さは、ヨーク部のコイルエンド側の全幅に亘って均一的にすることが好ましい。
切欠き部は、少なくとも一方のコイルエンド側に配置されるヨーク部に設ける。双方のコイルエンド側のヨーク部に切欠き部を設けた場合、いずれか一方の切欠き部を任意に選択して、巻線の始端部を配置できる。また、双方のコイルエンド側のヨーク部に切欠き部、及び突出部を具えて、分割コアを対称形状とすると、このコアを圧粉成形体とする場合、均一的に加圧できるため、成形性に優れる。
その他、本発明コアは、ティースの他方の周縁から突出し、ヨーク部と対向するように鍔部を具える構成としてもよい。鍔部は、ティースの全周に亘って設けてもよいし、部分的に設けてもよい。鍔部を具える場合、本発明コアは、ティースの外周面と、ヨーク部における鍔部との対向面と、鍔部におけるヨーク部との対向面とで囲まれる空間をスロットとして利用する。このコアを具えるモータ部品をモータに組み立てる際、ヨーク部を外周側に配し、鍔部を内周側に配置する。鍔部もティースと直交するように設けると、あたり止めとして利用することができる。
本発明コアを形成する磁性材料は、鉄系材料、特に、鉄や鋼といった軟磁性材料が挙げられる。このような磁性材料からなる板材の積層体や粉末を用いた圧粉成形体、或いはこれら板材の積層体と圧粉成形体との組み合せ物により、本発明コアを形成できる。特に、本発明コアは、ティースの全周に亘ってヨーク部が突出しており、かつコイルサイド側に突出部を具えるといった複雑な形状であるため、圧粉成形体とすると、容易に製造することができて好ましい。圧粉成形体は、所定形状の金型に磁性材料の粉末を充填して加圧して製造する。磁性材料の粉末に更に絶縁材料を混合して各粉末表面に絶縁被膜を形成した被覆粉末を用いた圧粉成形体とすると、電気抵抗を高めて、渦電流の発生に伴う損失を低減できる。上記絶縁材料としては、リン酸塩系の無機材料などが挙げられる。圧粉成形体は、磁気の方向性が一定である板材の積層体と比較して、磁気の方向性の自由度が大きいといった磁気特性に優れている。
本発明コアと巻線とをより確実に絶縁できるように、本発明コアにおける巻線との接触箇所、主としてティースの外周面を覆うようにインシュレータを配置することが好ましい。本発明コアは、突出部をあたり止めとして利用するため、突出部にも巻線が接触する。また、本発明コアが切欠き部を有する場合、切欠き部にも巻線が接触する。従って、インシュレータは、突出部(特に、ティースに直交する第二面)や切欠き部を覆うように形成する。具体的には、インシュレータは、ティースの外周面を覆う筒状部と、筒状部から突出するように設けられ、上記第二面を覆うサイドフランジ部と具える構成とする。サイドフランジ部を設けることで、インシュレータのコイルサイド側は、あたり止めが存在する。
一方、コイルエンド側では、本発明コアのティースの外周面とヨーク部のエンド接続面とを直交するように設けることで、この接続面をあたり止めとして利用できる。このとき、コイルエンド側において、筒状部から突出するようにヨーク部のエンド接続面を覆うヨーク側フランジ部を具えるインシュレータとすると、コイルエンド側にもあたり止めが存在する構成となる。
他方、本発明コアが上記切欠き部を具える場合、インシュレータは、切欠き部を覆う切欠被覆部を具える構成とする。ここで、切欠き部におけるエンド接続面をティースのコイルエンド面に直交するように設けていても、この接続面は、ヨーク部とティースとの境界から離れて(後退して)、つまり、鍔部を有する場合鍔部から離れるように存在するため、境界近傍で層替えを行おうとすると、あたり止めとして利用できない。従って、インシュレータのコイルエンド側において、筒状部と切欠被覆部との境界近傍に、筒状部から突出するようにフランジ部を設けて、このフランジ部をあたり止めとして機能させる。フランジ部は、ヨーク部のコイルエンド側の全幅に亘って設けることが好ましい。全幅に亘ってフランジ部を設ける場合、切欠被覆部から筒状部側に巻線の始端部を引き出せるようにフランジ部の一部に導入溝、又は貫通孔を設けておく。
筒状部の厚さは、できる限り薄くして、コア部分が大きくなるようにすると、トルクの増大、小型化という優れた効果に加えて、発熱したコイルの熱をコアに伝え易くなり、モータの放熱特性をも向上できる。また、筒状部には、巻線を整列配置させ易いように巻線を嵌合する嵌合溝を設けてもよい。更に、筒状部の全周に亘って段差を設けてもよい。段差を設けることで、コイルの外周面を段差のない平滑な面とすることができる。
インシュレータを形成する絶縁材料としては、PPS(Poly Phenylene Sulfide:ポリフェニレンスルフィド)、LCP(Liquid Crystal Polymer:液晶ポリマー)などの樹脂が挙げられる。上記樹脂にガラス(二酸化珪素)、アルミナ(酸化アルミニウム)、酸化チタンなどの無機充填剤を添加させてインシュレータを形成すると、インシュレータ自体の放熱性を向上できる。また、インシュレータは、分割片を組み合わせて一体となるように構成とすると、コアの外周に配置し易い。分割片同士の接合部分は、コイルエンド側に配置することが好ましい。
上記構成を具える本発明コアは、モータを構成する分割ステーターなどのモータ部品に好適に利用することができる。モータ部品は、本発明コアのティース(インシュレータ)の外周に巻線を巻回することで得られる。特に、巻線を多層に整列巻きしてコイルを形成することで、占積率を向上できる。巻線は、丸線の他、角線などの種々のものが利用できる。巻線は、導体の外周に絶縁被覆を具えるものを利用する。
上記モータ部品を所定数用意し、これらモータ部品を環状に配置し、環状部材を用いて環状に保持することで、例えば、アウター型ローターやインナー型ローターのモータのステーターに利用できる。環状に配された各モータ部品は、コイルをつくる巻線端部を接続し、集中巻き構造とすることが好ましい。
本発明モータ用分割コアは、ティースの全周に亘って突出するヨーク部と、ヨーク部に連なる突出部とを具えることで、従来のコアよりも磁路面積を大きくすることができ、トルクの増大に寄与することができる。かつ、本発明コアは、ティースの一方のコイルエンド面から他方のコイルエンド面までの範囲に突出部を具えることで、巻線を巻回する際に巻線がヨーク部の角部に接触することがなく、巻回作業性を劣化させにくい。
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
<実施例1>
[分割コア]
図1(I)は、本発明モータ用分割コアの斜視図、(II)は、本発明コアをコイルエンド側から見た図、(III)は、本発明コアをコイルサイド側から見た図である。分割コア10は、柱状のティース11と、ティース11の一方の周縁から突出して設けられるヨーク部12とを具える。ヨーク部12は、ティース11の全周に亘ってティース11と一体に設けられている。ティース11の外周には、図示しないインシュレータ(後述)が配置され、このインシュレータの上に巻線が巻回されて分割ステーターを構成する。このような分割ステーターを複数用意し、各分割ステーターにおけるヨーク部12のコイルサイド面12s同士を接触させて円環状に配置し、環状部材(図6参照)を用いてこれら分割ステーターを一体にしてモータステーターを構成する。分割ステーター及び分割コアにおいて、モータステーターを組み立てた際、他の分割ステーターに隣接する側がコイルサイド側であり、コイルサイド側に配置される面をコイルサイド面(図1(III)において正面に見えている面)と呼び、隣接しない側がコイルエンド側であり、コイルエンド側に配置される面(図1(II)において正面に見えている面)をコイルエンド面と呼ぶ。
分割コア10の最も特徴とするところは、コイルサイド側において、ヨーク部12からティース側に向かって突出する突出部14を具える点にある。突出部14は、図1(II)に示すようにコイルエンド側から見て端面(コイルエンド面)14eが三角形状であり、同(III)に示すようにコイルサイド側から見てヨーク部12のコイルサイド面12sに連なって面一である長方形状のサイド面(第一面)14sと、ティース11のコイルサイド面11sと直交する直交面(第二面)14oとを具える。
サイド面14sは、分割コア10をステーターに組み立てた際、ヨーク部12のコイルサイド面12sと同様に、別の分割コアのサイド面に接触して磁気回路を構成する。従って、突出部14を具えることで分割コア10は、突出部がない図8に示す分割コア130と比較して、磁路面積を増大することができ、トルクの向上に寄与することができる。
直交面14oは、ティース11の外周に巻線を巻回し、ヨーク部12とティース11との境界近傍で巻線を折り返す際、あたり止めとして利用することができる。従って、突出部14を具えることで分割コア10は、巻線を多層に巻回する際、上記境界近傍で確実に層替えを行え、巻きずれに伴う占積率の低下を防止できる。
突出部14は、ティース11の一方のコイルエンド面11eから他方のコイルエンド面11eまでの全範囲に亘って、つまり、ティース11のコイルサイド側の幅Twと同幅に設け、端面14eがコイルエンド面11eと面一となるようにしている。即ち、図1(III)に示すように、突出部14は、ティース11のコイルエンド面11eから突出していない。従って、ティース11の外周に巻線を多層に整列巻きする際、一方のコイルエンド面11eで巻線を交差させるときに、巻線が突出部14に接触することがない。そのため、分割コア10は、自動巻線機を利用して、巻線の巻回を行うことが期待できる。
ティース11は、平行するように対向配置される一対の台形状面と、非平行に対向配置される一対の長方形状面とから構成される。台形状面は、コイルの中心軸Ccに平行する平行面であり、長方形状面は、その延長面が中心軸Ccに交差する傾斜面であり、いずれの面も平面である。台形状面は、ヨーク部12から離れるに従って幅を狭くしている。台形状面をコイルエンド面11e、長方形状面をコイルサイド面11sとしている。ヨーク部12においてティース11のコイルエンド面11eと接続する接続面(エンド接続面)12fは、コイルエンド面11eと直交するように設けている。従って、接続面12fは、上記直交面14oと同様にあたり止めとして利用できる。ティース11のコイルサイド側には、ティース11の他方の周縁から突出し、ヨーク部12と対向する鍔部13を具える。
分割コア10は、軟磁性材料からなる粉末を用いた圧粉成形体である。圧粉成形体とすることで、複雑な形状の分割コア10を簡単に成形することができる。また、突出部14は、両コイルサイド側に設けて、分割コア10を対称形状としている。対称形状とすることで、分割コア10は、成形性に優れる。
分割コア10は、ティースの全周に亘ってヨーク部を有することに加えて、コイルサイド側に突出部を具えることで、磁路面積を増大することができ、高トルクのモータが得られる。或いは、同じトルクのモータを作製する場合、コアの大きさを小さくすることができるため、モータを小型にできる。また、分割コア10は、コイルエンド側において、ティース11の外周面と突出部14の端面14oとを同じ高さとしている(面一としている)ことで、突出部14の存在により、巻線の巻回を阻害することがない。更に、分割コア10は、巻線を多層に整列巻きする際、突出部14の直交面14o及びヨーク部12の接続面12fをあたり止めとして利用することができ、巻線の巻きずれを防止して、高い占積率とすることができる。
[インシュレータ]
分割コア10と巻線とをより確実に絶縁するために、分割コア10において巻線との接触箇所には、インシュレータを配置することが好ましい。以下、インシュレータを説明する。
図2は、分割コア10の外周にインシュレータを配置した状態を示す図であり、(I)は、コイルエンド側から見た図、(II)は、コイルサイド側から見た図である。図2中、図1と同一符号は同一物を示す。インシュレータ20は、分割コア10において巻線と接触する箇所、或いは接触する可能性が高い箇所の外周に配置させて、巻線とコア10との絶縁性を高める部材であり、ティース11の外周面を覆う筒状部21と、突出部14の外周面を覆う突出被覆部22と、コイルエンド側において筒状部21に連なり、ヨーク部12の接続面12fを覆うヨーク側フランジ部23と、鍔部13におけるヨーク部との対向面を覆う鍔側フランジ部24とを具える。突出部14のサイド面14sは、ヨーク部12のコイルサイド面12sと同様に、インシュレータ20を配置させず、露出させた状態としている。
突出被覆部22は、端面14eを覆う端面被覆部22eと、直交面14oを覆うサイドフランジ部22oとを具える。つまり、コイルサイド側のヨーク部12近傍には、筒状部21から突出するようにサイドフランジ部22oが存在し、コイルエンド側のヨーク部12近傍には、筒状部21から突出するようにヨーク側フランジ部23が存在する。鍔側フランジ部24は、筒状部21の鍔部側において筒状部21の全周に亘って設けられた環状形状であり、分割コア10の鍔部13において内周側面(図2において下面)が露出された状態で配置される。これらサイドフランジ部22o,ヨーク側フランジ部23,及び鍔側フランジ部24は、いずれも筒状部21に直交するように配置され、巻線を多層に巻回する際、あたり止めとして機能する。また、フランジ部22o,23,24と筒状部21とでつくられる]状の空間がスロットとして利用される。
筒状部21においてコイルサイド側の面、及びコイルエンド側の面の一部には、巻線を整列させ易いように嵌合溝を設けている。また、インシュレータ20は、コイルエンド側において鍔側フランジ部24の一部を切欠き(図示せず)、この切欠き部分から巻線の始端部を導入し、巻線の終端部をヨーク部側に引き出す構成である。そこで、インシュレータ20は、巻線の終端部が接触するヨーク部12のコイルエンド面12eを覆うエンド被覆部25を具える構成としている。
インシュレータ20を分割コア10に配置することで、巻線との絶縁を確実に行える。また、インシュレータ20は、筒状部21の両端において、そのほぼ全周に亘ってあたり止め(サイドフランジ部22o,ヨーク側フランジ部23,鍔側フランジ部24)を具えており、これらフランジ部近傍で層替えを行う際に巻きずれを効果的に防止できる。
なお、インシュレータ20は、二つの分割片を組み合わせて一体にする構成であり、分割コア10に簡単に配置できる。本例では、分割片の合わせ目26がコイルエンド側に配置される分割片としたが、コイルサイド側に合わせ目が配置される分割片としてもよい。また、インシュレータ20は、巻回作業中、分割コアから脱落し難いように合わせ目26を接着剤で接合して筒状にする。その他、インシュレータ20の筒状部21に、その全周に亘って段差を設けてもよい。段差を設けることで、コイルの外周面を段差のない平滑な面とすることができる。分割片、接合、段差に関する点は、後述する実施例2のインシュレータ40についても同様である。
<実施例2>
[分割コア]
図3(I)は、切欠き部を具える本発明モータ用分割コアの斜視図、(II)は、このコアをコイルエンド側から見た図、(III)は、このコアをコイルサイド側から見た図である。分割コア30の基本的構成は、図1に示す分割コア10と同様であり、柱状のティース31と、ティース31の全周に亘って一方の周縁から突出して設けられるヨーク部32と、ティース31のコイルサイド側において他方の周縁から突出して設けられる鍔部33とを具える。また、分割コア30は、コイルサイド側において、ヨーク部32からティース側に向かって突出する突出部34を具える。突出部34は、ヨーク部32のコイルサイド面32sに面一であるサイド面34sと、ティース31のコイルサイド面31sに直交する直交面34oと、ティース31のコイルエンド面31eに面一である端面34eとから構成される。突出部34は、ティース31のコイルサイド側の幅Twと同幅となるように設けている。その他、ティース31の形状や分割コア30の材料などは、実施例1の分割コア10と同様としている。
分割コア30の最も特徴とするところは、ヨーク部側から巻線の始端部を導入するにあたり、巻線の始端部をヨーク部32に配置できるように、ヨーク部32の一部を切り欠いている点にある。具体的には、図3に示すようにヨーク部32のコイルエンド側において、ティース31とヨーク部32との境界35近傍を切り欠いている。切り欠いた箇所(切欠き部36t)は、ティース31の外周面(コイルエンド面31e)と面一としている。つまり、切欠き部36tは、突出部34の端面34eと面一である。従って、コイルエンド側においてヨーク部32近傍は、ティース31の外周面よりも高い面(コイルエンド面32e)と、ティース11の外周面と同じ高さである切欠き部36t及び端面34eが存在する。
切欠き部36tは、ヨーク部32の一方のコイルサイド面32sから他方のコイルサイド面32sまでの全範囲に亘って、つまり、ヨーク部32のコイルエンド側の幅Ywと同幅に設けられた帯状の切欠きであり、両コイルサイド側(図3(II)において左右側)が開口している。従って、いずれの側からでも巻線を導入することができる。切欠き部36tの高さ方向の大きさ(高さ)hは、巻線の線径×巻線数(この例では1本)としている。切欠き部36tの高さhをできるだけ小さくしているため、コイルサイド面32sが大きくなり、ヨーク部32における磁路面積を大きくすることができる。なお、切欠き部36tを設けたことで、コイルエンド側においてヨーク部32の接続面32fは、境界35から大きさh分だけ外周側に後退して存在する。
切欠き部36tは、いずれか一方のコイルエンド側に設ければよいが、分割コア30のように両コイルエンド側に切欠き部36tを設けて対称形状とすると、圧粉成形性に優れる。また、このコア30は、いずれの切欠き部に巻線の始端部を配置するかを任意に選択できる。
分割コア30は、上述した実施例1の分割コア10と同様に突出部34を具えることで、磁路面積を増大してトルクの向上を図ることができる。また、分割コア30は、巻回作業性に優れると共に、高占積率のコイルを具えるモータを形成することができる。更に、分割コア30は、切欠き部36tに巻線の始端部を配置させることができるため、巻線の始端部をヨーク部側から導入し、第一層目の第一ターンをつくる巻線をティースとヨーク部の境界35近傍に配置させて、多層に整列巻きを行うことができる。このとき、巻線の始端部に各層を形成する巻線が接触してターン数を減らすことがないため、分割コア30を利用することで、高占積率のコイルを有するモータが得られる。加えて、分割コア30は、ヨーク部側から巻線を導入し、ヨーク部側から巻線を取り出すことができる、即ち、巻線の両端部をヨーク部側に配置させることができるため、バスバー部材の接続などをヨーク部の外周側のみで行うことができる。
[インシュレータ]
図4は、分割コア30にインシュレータを配置した状態を示す図であり、(I)は、コイルエンド側から見た図、(II)は、コイルサイド側から見た図、(III)は、部分斜視図である。図4中、図3と同一符号は同一物を示す。インシュレータ40の基本的構成は、実施例1のインシュレータ20と同様であり、ティース31の外周面を覆う筒状部41と、突出部34を覆う突出被覆部42と、鍔部33を覆う鍔側フランジ部44とを具える。突出被覆部42は、端面被覆部42eと、サイドフランジ部42oとを具える。筒状部41には、嵌合溝を設けている。そして、このインシュレータ40は、巻線の始端部が配置される一方のコイルエンド側において切欠き部36tを覆う切欠被覆部43を具える。
切欠被覆部43は、筒状部41の一方のコイルエンド側の面、及び端面被覆部42eに連なって一体に形成されている。切欠被覆部43と同じコイルエンド側において、インシュレータ40は、ヨーク部32の接続面32fを覆うように、この切欠被覆部43に連なってヨーク側フランジ部45を具えており、巻線の始端部がコア30(接続面32f)に接触しないようにしている。また、このコイルエンド側において、巻線の始端部や終端部をヨーク部32側(図4(I),(II)において上側)に配置するため、ヨーク部42のコイルエンド面32eが巻線と接触しないように、インシュレータ40は、この面32eを覆うエンド被覆部46を具える。そして、インシュレータ40は、このコイルエンド側において、切欠被覆部43と筒状部41のコイルエンド面との境界近傍に、筒状部41のコイルエンド面からヨーク部32の突出方向に沿って突出し、筒状部41に直交するようにフランジ部47を具える。
上記フランジ部47のコイルエンド側の幅は、ヨーク部32のコイルエンド側の幅Yw(図3参照)とほぼ同等としている。具体的には、一方のコイルサイド側(図4(I)において右側)に巻線が配置できるように、巻線の分だけスペースを空けてフランジ部47を設けている。このフランジ部47の他方のコイルサイド側(同左側)は、端面被覆部42eに接続されている。このフランジ部47において切欠被覆部43と筒状部41のコイルエンド面との境界近傍には、フランジ部47の一方のコイルサイド側から他方のコイルサイド側の筒状部近傍に亘って導入溝48を設けて、切欠被覆部43に配置した巻線の始端部を筒状部41側に取り出せるようにしている。導入溝48は、筒状部側(図4(II)では、下方側)の面、つまり、フランジ部47の内周側面、及び一方のコイルサイド側を開口させている。
一方、図4(II)に示すように巻線の始端部を配置しない他方のコイルエンド側にもフランジ部47を設けており、このフランジ部47は、両コイルサイド側をサイドフランジ部42oに接続させている。また、インシュレータ40は、このフランジ部47に連続してエンド被覆部46を設けている。サイドフランジ部42o,鍔側フランジ部44に加えて、フランジ部47を具えることで、インシュレータ40は、筒状部41のほぼ全周に亘ってあたり止めを具える。従って、巻線を多層に整列巻きする場合、巻きずれなどが生じ難く、巻きずれに伴う占積率の低下などを防止できる。
巻線の始端部は、図4(II)の矢印で示すように筒状部41に沿って下方側から導入溝48に嵌め込める。巻回作業を行う場合、巻線300の始端部を導入溝48に嵌め込み、一方のコイルサイド側(図4(I)において右側)の開口部から巻線300の始端部を引き出した状態で端部を固定し、巻線300を巻回する。巻線を多層に巻回する場合、ヨーク部近傍又は鍔部近傍で層替えを行う際、サイドフランジ部42o,鍔側フランジ部44,フランジ部47をあたり止めとして利用する。そして、巻回後、ヨーク側フランジ部45及びエンド被覆部46に沿って巻線300の始端部を折り曲げて、ヨーク部32の外周側に配置させる。
インシュレータ40を分割コア30に配置することで、巻線との絶縁を確実に行えると共に、巻線の始端部を切欠き部(切欠被覆部)に配置させることができる。また、インシュレータ40は、そのほぼ全周に亘ってあたり止め(サイドフランジ部42o,鍔側フランジ部44,フランジ部47)を具えており、層替えの際の巻きずれを効果的に防止できる。
なお、図4(I)では、巻線数を1本としたが、図4(III)に示すように巻線数を2本以上としてもよい。巻回作業の際、巻線の始端部は、固定させておく。また、巻線において始端部や終端部は、バスバー部材に接続されて、始端部や終端部に繋がるコイルを形成する巻線部分に電力を供給するために利用する部分であり、コイルの巻き数(ターン数)に含まれない部分である。
<実施例3>
上記実施例1,2では、突出部の端面全体がティースのコイルエンド面と面一である形状を説明したが、図5(I),(II)に示すコア10',30'のように、突出部14,34のコイルエンド側の両端につくられる角部を面取りしてもよい。図5は、突出部に有する角部の一部を面取りした分割コアを示す斜視図であり、(I)は、実施例1の分割コア、(II)は、実施例2の分割コアである。図5において図1,3と同一符号は同一物を示す。コア10',30'は、突出部の一部を面取りしている点に特徴があり、その他の構成は、実施例1,2のコア10,30と同様であるため、詳細な説明を省略する。
コア10'は、突出部14においてコイルエンド側の両端に位置する角部、つまり、サイド面14sと直交面14oと端面14eとでつくられる角部が面取りされ、これら三面14s,14o,14eに接する三角形状のテーパ面14tを有する。同様に、コア30'は、突出部34においてコイルエンド側の両端に位置する角部、つまり、サイド面34sと直交面34oと端面34eとでつくられる角部が面取りされ、これら三面34s,34o,34eに接する三角形状のテーパ面34tを有する。
コア10',30'は、突出部14,34のコイルエンド側の両端を面取りしていることで、巻線を巻回する際、突出部を構成するサイド面と直交面と端面とでつくられる角部に巻線が接触して絶縁被覆が損傷することを低減できる。なお、図5では、テーパ面を平面としたが、テーパ面とサイド面とでつくられる角部、テーパ面と直交面とでつくられる角部、テーパ面と端面とでつくられる角部をR形状としたり、テーパ面を曲面とすると、巻線の損傷をより効果的に抑制できる。また、コア10',30'の外周にインシュレータを配置する場合、上記テーパ面を覆う箇所は、テーパ面に沿った相似形状にする。
なお、上述した実施例1〜3は、本発明の要旨を逸脱することなく、適宜変更することが可能であり、上述した構成に限定されるものではない。例えば、ティースの形状を四角錘台状ではなく、変形四角錘台状としてもよい。また、例えば、両コイルエンド側において切欠被覆部及び導入溝を具えるインシュレータとしてもよい。
本発明モータ用分割コアは、ステーターといったモータの構成部材に好適に利用することができる。この分割コアを具えるモータは、電気自動車やハイブリッド自動車などの高出力が要求されるモータに好適に利用することができる。
(I)は、本発明モータ用分割コアの斜視図、(II)は、本発明コアをコイルエンド側から見た図、(III)は、本発明コアをコイルサイド側から見た図である。 実施例1に示す分割コアの外周にインシュレータを配置した状態を示す図であり、(I)は、コイルエンド側から見た図、(II)は、コイルサイド側から見た図である。 (I)は、切欠き部を具える本発明モータ用分割コアの斜視図、(II)は、このコアをコイルエンド側から見た図、(III)は、このコアをコイルサイド側から見た図である。 実施例2に示す分割コアの外周にインシュレータを配置した状態を示す図であり、(I)は、コイルエンド側から見た図、(II)は、コイルサイド側から見た図、(III)は、部分斜視図である。 突出部の角部が面取りされている本発明分割コアの斜視図であり、(I)は、実施例1に示すコアにおいて突出部の角部を面取りしたもの、(II)は、実施例2に示すコアにおいて突出部の角部を面取りしたものを示す。 (I)は、従来のステーター用分割コア、及びこのコアに配置するインシュレータの斜視図、(II)は、この分割コアを具える分割ステーターを環状に配置した状態を模式的に示す正面図である。 (I)は、ティースの四面が傾斜面からなる分割コアの斜視図、(II)は、図7(I)のX-X断面図である。 ティースの全周に亘ってヨークを具える分割コアの斜視図である。 (I)は、Δ部を具える分割コアにおいてヨーク近傍を示す部分斜視図であり、(II)は、両側(左右側)がコイルサイド側となるようにこの分割コアを切断した断面図である。
符号の説明
10,10',30,30' 分割コア 11,31 ティース
11e,31e ティースのコイルエンド面 11s,31s ティースのコイルサイド面
12,32 ヨーク部 12f,32f 接続面 12e,32e ヨーク部のコイルエンド面
12s,32s ヨーク部のコイルサイド面 13,33 鍔部 14,34 突出部
14e,34e 端面 14s,34s サイド面 14o,34o 直交面 14t,34t テーパ面
20,40 インシュレータ 21,41 筒状部 22,42 突出被覆部
22e,42e 端面被覆部 22o,42o サイドフランジ部
23,45 ヨーク側フランジ部 24,44 鍔側フランジ部 25,46 エンド被覆部
26合わせ目 35 境界 36t 切欠き部 43 切欠被覆部 47 フランジ部
48 導入溝
100,120,130,200 分割コア 101,121,131,201 ティース
102,122,132,202 ヨーク 103,123,203 鍔 110 インシュレータ
111 筒部 112,113 フランジ
121s,201s ティースのコイルサイド面 201e ティースのコイルエンド面
122a 対向面
132s,202s ヨークのコイルサイド面 202a ヨークの鍔との対向面
300 巻線
m 分割ステーター C コイル R 環状部材 d Δ部

Claims (4)

  1. 外周に巻線が多層に巻回されるティースと、このティースの全周に亘ってその外周面から突出して設けられるヨーク部とを具えるモータ用分割コアにおいて、
    ティースのコイルサイド面は、その延長面が巻線からなるコイルの中心軸に交差するように配置されおり、
    コイルサイド側においてヨーク部からティース側に向かって突出する突出部を具え、
    前記突出部は、ヨーク部のコイルサイド面と面一である第一面と、ティースのコイルサイド面と直交する第二面とを具え、ティースの一方のコイルエンド面から他方のコイルエンド面までの範囲に設けられていることを特徴とするモータ用分割コア。
  2. 突出部を構成する第一面、第二面、及びコイルエンド側の端面とでつくられる角部の少なくとも一つを面取りしていることを特徴とする請求項1に記載のモータ用分割コア。
  3. ティース、ヨーク部、突出部は、圧粉成形体であることを特徴とする請求項1に記載のモータ用分割コア。
  4. ヨーク部のコイルエンド側には、ヨーク部とティースとの境界近傍に、ティースのコイルエンド面と面一である切欠き部を具え、
    切欠き部は、ヨーク部の一方のコイルサイド面から他方のコイルサイド面までの全範囲に亘って設けられていることを特徴とする請求項1に記載のモータ用分割コア。
JP2007117792A 2007-04-26 2007-04-26 モータ用分割コア Expired - Fee Related JP4964016B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007117792A JP4964016B2 (ja) 2007-04-26 2007-04-26 モータ用分割コア

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007117792A JP4964016B2 (ja) 2007-04-26 2007-04-26 モータ用分割コア

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008278603A JP2008278603A (ja) 2008-11-13
JP4964016B2 true JP4964016B2 (ja) 2012-06-27

Family

ID=40055915

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007117792A Expired - Fee Related JP4964016B2 (ja) 2007-04-26 2007-04-26 モータ用分割コア

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4964016B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019186615A1 (ja) * 2018-03-26 2019-10-03 三菱電機株式会社 ステータ、電動機、電気掃除機、及び手乾燥装置
US11522426B2 (en) * 2019-02-26 2022-12-06 Petersen Technology Corporation Double/twin radial air gap permanent magnet brushless motor

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3198425B2 (ja) * 1992-01-20 2001-08-13 日本電産シバウラ株式会社 モールド電動機
JP3307542B2 (ja) * 1996-07-23 2002-07-24 三菱電機株式会社 車両用交流発電機の固定子鉄心
JP2004048878A (ja) * 2002-07-10 2004-02-12 Nissan Motor Co Ltd 回転電機の製造方法
JP4364543B2 (ja) * 2003-04-02 2009-11-18 本田技研工業株式会社 回転電機のコイル
JP4887656B2 (ja) * 2004-10-29 2012-02-29 トヨタ自動車株式会社 回転電機およびそれを搭載した自動車
JP4655764B2 (ja) * 2005-06-06 2011-03-23 トヨタ自動車株式会社 回転電機
JP2008043105A (ja) * 2006-08-08 2008-02-21 Sumitomo Electric Ind Ltd モータ用分割コア

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008278603A (ja) 2008-11-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101539849B1 (ko) 절연 코팅에 적합한 구조를 갖는 모터의 적층 코어
JP5204892B2 (ja) モータの電機子
JP2008043106A (ja) モータ用分割コア
US9793774B2 (en) Armature for rotary electric machine
US7944109B2 (en) Stator of motor having an insulator with lead out guide portions
JP2013046420A (ja) 巻線、および巻線を備えたステータコア
US9059611B2 (en) Stator core
US7830061B2 (en) Electric motor stator and permanent magnet-type electric motor using the same
JP2008278632A (ja) 分割ステータおよび分割ステータの製造方法
JP2009089584A (ja) 電動機
JP2008043105A (ja) モータ用分割コア
US20140265702A1 (en) Electric Machine with Skewed Permanent Magnet Arrangement
JP4725455B2 (ja) モータ用コア部品
JP2016036223A (ja) 回転電機の固定子
JP4964016B2 (ja) モータ用分割コア
US11632010B2 (en) Insulator set and stator used for generator and electric motor, and method for manufacturing stator
JP5154829B2 (ja) 分割コア部品
JP2003319593A (ja) 電動機の固定子
JP2008029157A (ja) ステーターコア
JP2006325318A (ja) 整流子、モータ、及びモータの製造方法
US20080036329A1 (en) Motor stator
JP2009089493A (ja) 電動機
JP2014075929A (ja) 回転電機
CN103166336A (zh) 定子
JP2005130540A (ja) 電動機

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100316

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120307

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120314

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120327

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150406

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees