JP2004048878A - 回転電機の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】冷却流路を形成するための型を引き抜く際の損傷を抑制できる回転電機の製造方法を提案する。
【解決手段】スロット7にステータコイル3bを収容し、ロータ2方向に開口するスロット7の開口部を閉塞してスロット7内部に冷媒流路15を形成する回転電機の製造工程として、スロット7内部空間とほぼ等しい断面形状をした弾性体の中子21をスロット7内部に配置し、ステータ3内周とほぼ等しい直径を有する円柱状の金型22をステータ3内周側に配置する工程と、ステータコア3aと中子21と金型22とで区画形成される空間23に樹脂を充填する工程と、充填した樹脂が硬化した後に中子21を引き抜く工程と、を含む。
【選択図】 図5
【解決手段】スロット7にステータコイル3bを収容し、ロータ2方向に開口するスロット7の開口部を閉塞してスロット7内部に冷媒流路15を形成する回転電機の製造工程として、スロット7内部空間とほぼ等しい断面形状をした弾性体の中子21をスロット7内部に配置し、ステータ3内周とほぼ等しい直径を有する円柱状の金型22をステータ3内周側に配置する工程と、ステータコア3aと中子21と金型22とで区画形成される空間23に樹脂を充填する工程と、充填した樹脂が硬化した後に中子21を引き抜く工程と、を含む。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、回転電機の製造方法に関する、特に、ステータコイルを冷却するための冷却流体の流通路を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の回転電機としては、ステータを効率良く冷却する方法として、ステータコイルを直接冷却するためにステータコイルを収装するスロットを冷却通路として利用する特開平4−364343号公報のようなものが知られている。ここでは、ステータ内周側とスロット内部に金型を配置して、ステータコアと金型によって画成された空間に樹脂材料を射出・充填し、これを硬化させることでスロット開口部を閉塞して冷却通路を構成している。
【0003】
【発明が解決しようとしている問題点】
しかしながら、特開平4−364343号公報では、充填した樹脂材料が硬化した後、ステータ内周側とスロット内部に配置した金型を抜き取ることになるが、スロット内部に配置した細長い金型を引き抜く際の作業性が悪く、無理に抜き取ろうとするとステータコアが傷ついたり金型自体が変形したりする恐れがある。
【0004】
そこで本発明は、冷却通路を形成するための型を引き抜く際に生じる損傷を抑制することができる回転電機の製造方法を提案することを目的とする。
【0005】
【問題点を解決するための手段】
本発明は、ステータコアのスロットにコイルを収容し、ロータ方向に開口する前記スロットの開口部を閉塞して前記スロット内部に冷媒通路を形成する回転電機を製造する。製造工程は、前記スロット内部空間とほぼ等しい断面形状をした弾性体の中子を前記スロット内部に配置し、前記ステータ内周とほぼ等しい直径を有する略円柱または略円筒形状の金型を前記ステータ内周側に配置する第一工程と、前記ステータコアと前記中子と前記金型とで区画形成される空間に樹脂を充填する第二工程と、充填した樹脂が硬化した後に前記中子を引き抜く第三工程と、を含む。
【0006】
【作用及び効果】
スロット内部空間とほぼ等しい断面形状をした弾性体の中子をスロット内部に配置し、ステータ内周とほぼ等しい直径を有する略円柱または略円筒形状の金型をステータ内周側に配置し、ステータコアと中子と金型とで区画形成される空間に樹脂を充填し、充填した樹脂が硬化した後に中子を引き抜く。このように中子に弾性体を用いることで、第三工程において中子を引き抜く際にステータコアおよび中子を傷つけるのを避けることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本実施形態で製造する回転電機の構成を図1、図2に示す。図1は回転電機の縦断面であり、図2は横断面を示している。なお、図1は、図2のB−B矢視図であり、図2は図1のA−A矢視図である。
【0008】
回転電機は、ケース1と、それに収容されたロータ2、ステータ3から構成し、モータあるいはジェネレータとして機能する。
【0009】
ケース1は、円筒板1aと、この円筒板1aの軸方向両端の開口部を閉塞する側板1b、1cとから構成する。側板1b、1cは図示しないボルト等を用いて円筒板1aに固定する。
【0010】
ロータ2は円柱形状のロータコア2aと、このロータコア2aの中心軸上に貫通配置されている回転軸2bより構成する。回転軸2bの両端はそれぞれベアリング4を介して側板1b、1cに支持されており、ロータ2をケース1に対して回転自在とする。
【0011】
ステータ3はロータ2の外周を取り囲む円筒形状のステータコア3aと、ステータコイル3bとから構成する。図3にステータ3の詳細な構成を示す。ここで、図3は図1のC−C矢視図である。
【0012】
ステータコア3aは円筒板1aに沿うリング形状のバックコア5と、このバックコア5からロータ2側、ここでは内周側に突出するティース6と、から構成する。このティース6にはステータコイル3bを集中巻きにより巻装する。隣り合うティース6間には、軸方向に伸びる溝状のスロット7が形成され、ティース6に巻装されたステータコイル3bはこのスロット7の内部に収容されている。
【0013】
図1に示すように、上述したようなステータコア3aは薄板鋼板を複数枚積層することにより構成する。ステータコア3aの軸方向両端部に樹脂製エンドプレート8、9を配置し、さらにその外側からステータコイル3bを巻装することによりステータ3を構成する。このようなステータ3はケース1の円筒板1aに焼き嵌め等により圧入するので、ケース1に固定された状態となっている。
【0014】
次に、本実施形態におけるステータ3の冷却構造、ここでは特に発熱の多いステータコイル3bの冷却構造について説明する。
【0015】
図1において、円筒部材10をステータ3の軸方向端部とケース1を構成する側板1bとの間に取り付ける。円筒部材10の内周面をステータ3の内周面と同径とし、円筒板1aの内周面、円筒部材10の外周面、側板1bの内側面、ステータ3の端部により、環状の閉空間である第1冷却液室11を画成する。この第1冷却液室11の壁面となる円筒板1aに、外部に貫通するオイル供給口14を形成して冷却流体の入口部とする。
【0016】
同様に、ステータ3の軸方向端部と側板1cとの間に円筒部材12を取り付ける。円筒部材12の内周面をステータ3の内周面と同径とし、また、円筒板1aの内周面、円筒部材12の外周面、側板1cの内側面、ステータ3の端部により、環状の閉空間である第2冷却液室13を画成する。この第2冷却液室13の壁面となる円筒板1aに、外部に貫通するオイル排出口16を形成して冷却流体の出口部とする。
【0017】
外部からオイル供給口14を介して第1冷却液室11に冷却オイルを供給する。冷却オイルは第1冷却液室11から後述するようにステータ3の内部に設けた冷媒通路15に供給され、冷媒通路15内を軸方向に流れる際にステータコイル3bを冷却する。冷媒通路15から第2冷却液室13に排出された冷却用オイルは、オイル排出口16を介して外部へ排出される。
【0018】
冷媒流路15を図3におけるスロット7の一部で構成する。スロット7の半径方向内周側の開口部に樹脂モールド層20を設け、この樹脂モールド層20により閉塞された軸方向に延びる空間を冷媒通路15とする。スロット7は、軸方向両端部と半径方向内周側とが開口した溝状の空間であり、半径方向内周側の開口部のみを樹脂モールド層20で閉塞し、軸方向両端部は開口したままとする。この両端の開口部はそれぞれ第1冷却液室11や第2冷却液室13に面しているので、第1冷却液室11から供給された冷却オイルは冷媒流路15を介して第2冷却液室13に排出される。
【0019】
ここで、本実施形態のスロット7の形状を説明する。ここでは、ティース6の先端部に周方向に突出した第1突起部24aを形成し、さらに第1突起部24aより外周側に周方向に突出した第2突起部24bを形成する。これにより、スロット7の開口部にはロータ2側(内周側)から、ティース6の第1突起部24a、第1突起部24aと第2突起部24bとの間に形成される溝部24c、第2突起部24bが形成され、さらにその外周側にステータコイル3bを収容する。このように構成したスロット7の開口部を樹脂モールド層20で閉塞することにより、スロット7のステータコイル3b以外の空間を冷媒通路15として、冷却オイルの流通路とする。
【0020】
このようなステータ3を形成する方法、ここでは特に冷媒流路15を形成する方法を、図4、図5を用いて説明する。
【0021】
略T字形状の電磁鋼板を多数積層することにより、バックコア5の一部と一つのティース6を有する分割コアを形成する。この分割コアの両端にティース6と同形状の樹脂製エンドプレート8、9を配置してから、ティース6にステータコイル3bを巻き回して分割ステータを得る。このように形成した分割ステータを複数個、ここでは12個組み合わせて円筒状のステータ3とし、円筒板1aの内部へ組み上げたステータ3を圧入する。円筒板1a内部へステータ3を圧入した状態を図4に示す。
【0022】
次に図5に示すように、スロット7の内部空間とほぼ等しい断面形状を有する弾性体、ここではゴム製の中子21をスロット7の内部に配置する。ここでは、中子21の断面形状を、半径方向にステータコイル3b間から第2突起部24bを介して溝部24cの中間あたりまでスロット7に嵌合する形状とする。スロット7の内部へ中子21を容易に配置するために、中子21の断面形状はスロット7の内部空間の断面形状よりわずかに小さく形成する。また、ステータ3の内周面、つまりティース6の先端面に密接する円柱形状の金型22をステータ3の内周側に配置する。
【0023】
次に、ティース6の先端部側面と、中子21と金型22で画成した空間23に樹脂を充填する。ここでは、空間23は、半径方向に溝部24cの中間あたりから第1突起部24aまでの軸方向に延びた空間となる。
【0024】
樹脂を充填した際に、中子21とステータコイル3bとの隙間に樹脂が漏れ出す可能性があるが、中子21のロータ側、ここでは内周側の面に充填圧力が作用すると中子21の溝部24cに嵌合する部分がティース6の第2突起部24bに押し付けられ、ある程度樹脂漏れを抑えることができる。ここでは、中子21の内周側の面に凹部21bを設けることで、充填圧力によるシールがより有効に働くようにすることができる。なお、冷却に必要な冷却通路15の断面積は、中子21によって確実に確保されており、多少の漏れが発生しても冷却不足等の問題は生じないように構成する。
【0025】
以上のようにして樹脂を充填したら、樹脂が硬化するのを待って中子21と金型22とを取り外せば図3に示す樹脂モールド層20が形成された状態となる。
【0026】
なお、金型22には抜き勾配をつけることができないので、分割して取り出せる構造としておくことが望ましい。また、中子21にも抜き勾配をつけることができないが、この中子21はゴム製であるため、抜き勾配が無くても容易に引き抜くことが可能である。また、ゴム製であるので引き抜きの際にステータコア3aやステータコイル3bを傷つけるのを避けることができる。
【0027】
ただし、中子21の形状に尖端部があると、中子21を引き抜く際にその尖端部がかけ落ちる可能性があるので、突起状の部分や角部に大きめの角度により形成し、突起状の部分や角部に大きな力がかかるのを防ぐことが望ましい。ここでは図5のr1〜r3のように、断面を曲線により構成することで、さらに局所的に力が集中するのを避けることができる。また、図5のr4、r5に示すように、中子21がステータコア3aやコイルの角部に接する部分にも角度を持たせる。ここでは曲線とすることで引き抜きの際に局所的に力が集中するのを防ぐことができるため、中子21が損傷するのを防止する。
【0028】
以下に、本実施形態による効果を説明する。
【0029】
回転電機を製造する工程として、以下のような工程を含む。第一工程として、スロット7内部空間とほぼ等しい断面形状をした弾性体の中子21をスロット7内部に配置し、ステータ3内周とほぼ等しい直径を有する円柱状の金型22をステータ3内周側に配置する。第二工程として、ステータコア3aと中子21と金型22とで区画形成される空間23に樹脂を充填する。第三工程として、充填した樹脂が硬化した後に中子21を引き抜く。このような工程により、弾性体よりなる中子21を引き抜く際にステータコア3を損傷するのを避けることができる。また、中子21自体が弾性体で形成されているので、引き抜きの際に中子21を損傷するのを抑制することができる。これにより、樹脂モールド層20を形成する際の作業性を向上することができるので、回転電機を効率的に製造することができる。
【0030】
このとき、ステータ3の内部に配置する円柱形状の金型22を分割可能に構成することで、金型22によりステータコア3aが損傷するのを避けることができる。
【0031】
ここでは、中子21を弾性体としてのゴムにより形成する。これにより、ステータコア3aの損傷を回避できる中子21の形状が複雑な場合にも容易に形成できるとともに、中子21にかかるコストを抑えることができる。
【0032】
また、中子21のステータコイル3bまたはステータコア3aに接触する部分を曲線により形成することで、引き抜く際に中子21に局所的に力がかかるのを防ぐことができるので、中子21の損傷をさらに抑制することができる。
【0033】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載の技術思想の範囲内で様々な変更が成し得ることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に用いる回転電機の縦断面図である。
【図2】本実施形態に用いる回転電機の横断面図である。
【図3】本実施形態に用いるステータの構成図である。
【図4】本実施形態のステータの構成方法に関する説明図である。
【図5】本実施形態のステータの構成方法に関する説明図である。
【符号の説明】
2 ロータ
3 ステータ
3a ステータコア
3b ステータコイル
7 スロット
15 冷媒流路
20 樹脂モールド層
21 中子
22 金型
【産業上の利用分野】
本発明は、回転電機の製造方法に関する、特に、ステータコイルを冷却するための冷却流体の流通路を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の回転電機としては、ステータを効率良く冷却する方法として、ステータコイルを直接冷却するためにステータコイルを収装するスロットを冷却通路として利用する特開平4−364343号公報のようなものが知られている。ここでは、ステータ内周側とスロット内部に金型を配置して、ステータコアと金型によって画成された空間に樹脂材料を射出・充填し、これを硬化させることでスロット開口部を閉塞して冷却通路を構成している。
【0003】
【発明が解決しようとしている問題点】
しかしながら、特開平4−364343号公報では、充填した樹脂材料が硬化した後、ステータ内周側とスロット内部に配置した金型を抜き取ることになるが、スロット内部に配置した細長い金型を引き抜く際の作業性が悪く、無理に抜き取ろうとするとステータコアが傷ついたり金型自体が変形したりする恐れがある。
【0004】
そこで本発明は、冷却通路を形成するための型を引き抜く際に生じる損傷を抑制することができる回転電機の製造方法を提案することを目的とする。
【0005】
【問題点を解決するための手段】
本発明は、ステータコアのスロットにコイルを収容し、ロータ方向に開口する前記スロットの開口部を閉塞して前記スロット内部に冷媒通路を形成する回転電機を製造する。製造工程は、前記スロット内部空間とほぼ等しい断面形状をした弾性体の中子を前記スロット内部に配置し、前記ステータ内周とほぼ等しい直径を有する略円柱または略円筒形状の金型を前記ステータ内周側に配置する第一工程と、前記ステータコアと前記中子と前記金型とで区画形成される空間に樹脂を充填する第二工程と、充填した樹脂が硬化した後に前記中子を引き抜く第三工程と、を含む。
【0006】
【作用及び効果】
スロット内部空間とほぼ等しい断面形状をした弾性体の中子をスロット内部に配置し、ステータ内周とほぼ等しい直径を有する略円柱または略円筒形状の金型をステータ内周側に配置し、ステータコアと中子と金型とで区画形成される空間に樹脂を充填し、充填した樹脂が硬化した後に中子を引き抜く。このように中子に弾性体を用いることで、第三工程において中子を引き抜く際にステータコアおよび中子を傷つけるのを避けることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本実施形態で製造する回転電機の構成を図1、図2に示す。図1は回転電機の縦断面であり、図2は横断面を示している。なお、図1は、図2のB−B矢視図であり、図2は図1のA−A矢視図である。
【0008】
回転電機は、ケース1と、それに収容されたロータ2、ステータ3から構成し、モータあるいはジェネレータとして機能する。
【0009】
ケース1は、円筒板1aと、この円筒板1aの軸方向両端の開口部を閉塞する側板1b、1cとから構成する。側板1b、1cは図示しないボルト等を用いて円筒板1aに固定する。
【0010】
ロータ2は円柱形状のロータコア2aと、このロータコア2aの中心軸上に貫通配置されている回転軸2bより構成する。回転軸2bの両端はそれぞれベアリング4を介して側板1b、1cに支持されており、ロータ2をケース1に対して回転自在とする。
【0011】
ステータ3はロータ2の外周を取り囲む円筒形状のステータコア3aと、ステータコイル3bとから構成する。図3にステータ3の詳細な構成を示す。ここで、図3は図1のC−C矢視図である。
【0012】
ステータコア3aは円筒板1aに沿うリング形状のバックコア5と、このバックコア5からロータ2側、ここでは内周側に突出するティース6と、から構成する。このティース6にはステータコイル3bを集中巻きにより巻装する。隣り合うティース6間には、軸方向に伸びる溝状のスロット7が形成され、ティース6に巻装されたステータコイル3bはこのスロット7の内部に収容されている。
【0013】
図1に示すように、上述したようなステータコア3aは薄板鋼板を複数枚積層することにより構成する。ステータコア3aの軸方向両端部に樹脂製エンドプレート8、9を配置し、さらにその外側からステータコイル3bを巻装することによりステータ3を構成する。このようなステータ3はケース1の円筒板1aに焼き嵌め等により圧入するので、ケース1に固定された状態となっている。
【0014】
次に、本実施形態におけるステータ3の冷却構造、ここでは特に発熱の多いステータコイル3bの冷却構造について説明する。
【0015】
図1において、円筒部材10をステータ3の軸方向端部とケース1を構成する側板1bとの間に取り付ける。円筒部材10の内周面をステータ3の内周面と同径とし、円筒板1aの内周面、円筒部材10の外周面、側板1bの内側面、ステータ3の端部により、環状の閉空間である第1冷却液室11を画成する。この第1冷却液室11の壁面となる円筒板1aに、外部に貫通するオイル供給口14を形成して冷却流体の入口部とする。
【0016】
同様に、ステータ3の軸方向端部と側板1cとの間に円筒部材12を取り付ける。円筒部材12の内周面をステータ3の内周面と同径とし、また、円筒板1aの内周面、円筒部材12の外周面、側板1cの内側面、ステータ3の端部により、環状の閉空間である第2冷却液室13を画成する。この第2冷却液室13の壁面となる円筒板1aに、外部に貫通するオイル排出口16を形成して冷却流体の出口部とする。
【0017】
外部からオイル供給口14を介して第1冷却液室11に冷却オイルを供給する。冷却オイルは第1冷却液室11から後述するようにステータ3の内部に設けた冷媒通路15に供給され、冷媒通路15内を軸方向に流れる際にステータコイル3bを冷却する。冷媒通路15から第2冷却液室13に排出された冷却用オイルは、オイル排出口16を介して外部へ排出される。
【0018】
冷媒流路15を図3におけるスロット7の一部で構成する。スロット7の半径方向内周側の開口部に樹脂モールド層20を設け、この樹脂モールド層20により閉塞された軸方向に延びる空間を冷媒通路15とする。スロット7は、軸方向両端部と半径方向内周側とが開口した溝状の空間であり、半径方向内周側の開口部のみを樹脂モールド層20で閉塞し、軸方向両端部は開口したままとする。この両端の開口部はそれぞれ第1冷却液室11や第2冷却液室13に面しているので、第1冷却液室11から供給された冷却オイルは冷媒流路15を介して第2冷却液室13に排出される。
【0019】
ここで、本実施形態のスロット7の形状を説明する。ここでは、ティース6の先端部に周方向に突出した第1突起部24aを形成し、さらに第1突起部24aより外周側に周方向に突出した第2突起部24bを形成する。これにより、スロット7の開口部にはロータ2側(内周側)から、ティース6の第1突起部24a、第1突起部24aと第2突起部24bとの間に形成される溝部24c、第2突起部24bが形成され、さらにその外周側にステータコイル3bを収容する。このように構成したスロット7の開口部を樹脂モールド層20で閉塞することにより、スロット7のステータコイル3b以外の空間を冷媒通路15として、冷却オイルの流通路とする。
【0020】
このようなステータ3を形成する方法、ここでは特に冷媒流路15を形成する方法を、図4、図5を用いて説明する。
【0021】
略T字形状の電磁鋼板を多数積層することにより、バックコア5の一部と一つのティース6を有する分割コアを形成する。この分割コアの両端にティース6と同形状の樹脂製エンドプレート8、9を配置してから、ティース6にステータコイル3bを巻き回して分割ステータを得る。このように形成した分割ステータを複数個、ここでは12個組み合わせて円筒状のステータ3とし、円筒板1aの内部へ組み上げたステータ3を圧入する。円筒板1a内部へステータ3を圧入した状態を図4に示す。
【0022】
次に図5に示すように、スロット7の内部空間とほぼ等しい断面形状を有する弾性体、ここではゴム製の中子21をスロット7の内部に配置する。ここでは、中子21の断面形状を、半径方向にステータコイル3b間から第2突起部24bを介して溝部24cの中間あたりまでスロット7に嵌合する形状とする。スロット7の内部へ中子21を容易に配置するために、中子21の断面形状はスロット7の内部空間の断面形状よりわずかに小さく形成する。また、ステータ3の内周面、つまりティース6の先端面に密接する円柱形状の金型22をステータ3の内周側に配置する。
【0023】
次に、ティース6の先端部側面と、中子21と金型22で画成した空間23に樹脂を充填する。ここでは、空間23は、半径方向に溝部24cの中間あたりから第1突起部24aまでの軸方向に延びた空間となる。
【0024】
樹脂を充填した際に、中子21とステータコイル3bとの隙間に樹脂が漏れ出す可能性があるが、中子21のロータ側、ここでは内周側の面に充填圧力が作用すると中子21の溝部24cに嵌合する部分がティース6の第2突起部24bに押し付けられ、ある程度樹脂漏れを抑えることができる。ここでは、中子21の内周側の面に凹部21bを設けることで、充填圧力によるシールがより有効に働くようにすることができる。なお、冷却に必要な冷却通路15の断面積は、中子21によって確実に確保されており、多少の漏れが発生しても冷却不足等の問題は生じないように構成する。
【0025】
以上のようにして樹脂を充填したら、樹脂が硬化するのを待って中子21と金型22とを取り外せば図3に示す樹脂モールド層20が形成された状態となる。
【0026】
なお、金型22には抜き勾配をつけることができないので、分割して取り出せる構造としておくことが望ましい。また、中子21にも抜き勾配をつけることができないが、この中子21はゴム製であるため、抜き勾配が無くても容易に引き抜くことが可能である。また、ゴム製であるので引き抜きの際にステータコア3aやステータコイル3bを傷つけるのを避けることができる。
【0027】
ただし、中子21の形状に尖端部があると、中子21を引き抜く際にその尖端部がかけ落ちる可能性があるので、突起状の部分や角部に大きめの角度により形成し、突起状の部分や角部に大きな力がかかるのを防ぐことが望ましい。ここでは図5のr1〜r3のように、断面を曲線により構成することで、さらに局所的に力が集中するのを避けることができる。また、図5のr4、r5に示すように、中子21がステータコア3aやコイルの角部に接する部分にも角度を持たせる。ここでは曲線とすることで引き抜きの際に局所的に力が集中するのを防ぐことができるため、中子21が損傷するのを防止する。
【0028】
以下に、本実施形態による効果を説明する。
【0029】
回転電機を製造する工程として、以下のような工程を含む。第一工程として、スロット7内部空間とほぼ等しい断面形状をした弾性体の中子21をスロット7内部に配置し、ステータ3内周とほぼ等しい直径を有する円柱状の金型22をステータ3内周側に配置する。第二工程として、ステータコア3aと中子21と金型22とで区画形成される空間23に樹脂を充填する。第三工程として、充填した樹脂が硬化した後に中子21を引き抜く。このような工程により、弾性体よりなる中子21を引き抜く際にステータコア3を損傷するのを避けることができる。また、中子21自体が弾性体で形成されているので、引き抜きの際に中子21を損傷するのを抑制することができる。これにより、樹脂モールド層20を形成する際の作業性を向上することができるので、回転電機を効率的に製造することができる。
【0030】
このとき、ステータ3の内部に配置する円柱形状の金型22を分割可能に構成することで、金型22によりステータコア3aが損傷するのを避けることができる。
【0031】
ここでは、中子21を弾性体としてのゴムにより形成する。これにより、ステータコア3aの損傷を回避できる中子21の形状が複雑な場合にも容易に形成できるとともに、中子21にかかるコストを抑えることができる。
【0032】
また、中子21のステータコイル3bまたはステータコア3aに接触する部分を曲線により形成することで、引き抜く際に中子21に局所的に力がかかるのを防ぐことができるので、中子21の損傷をさらに抑制することができる。
【0033】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲に記載の技術思想の範囲内で様々な変更が成し得ることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に用いる回転電機の縦断面図である。
【図2】本実施形態に用いる回転電機の横断面図である。
【図3】本実施形態に用いるステータの構成図である。
【図4】本実施形態のステータの構成方法に関する説明図である。
【図5】本実施形態のステータの構成方法に関する説明図である。
【符号の説明】
2 ロータ
3 ステータ
3a ステータコア
3b ステータコイル
7 スロット
15 冷媒流路
20 樹脂モールド層
21 中子
22 金型
Claims (3)
- ステータコアのスロットにコイルを収容し、ロータ方向に開口する前記スロットの開口部を閉塞して前記スロット内部に冷媒通路を形成する回転電機の製造方法において、
前記スロット内部空間とほぼ等しい断面形状をした弾性体の中子を前記スロット内部に配置し、前記ステータ内周とほぼ等しい直径を有する略円柱または略円筒形状の金型を前記ステータ内周側に配置する第一工程と、
前記ステータコアと前記中子と前記金型とで区画形成される空間に樹脂を充填する第二工程と、
充填した樹脂が硬化した後に前記中子を引き抜く第三工程と、を含むことを特徴とする回転電機の製造方法。 - 前記弾性体をゴムとした請求項1に記載の回転電機の製造方法。
- 前記中子の前記コイルまたは前記ステータコアに接触する部分を曲線により形成する請求項1に記載の回転電機の製造方法。
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JP2002201085A JP2004048878A (ja) | 2002-07-10 | 2002-07-10 | 回転電機の製造方法 |
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