JP4960640B2 - 造粒粉末の製造方法 - Google Patents
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Description
このような造粒粉末は、一般に、金属粒子で構成された原料粉末に、バインダを溶媒に溶解したバインダ溶液を加えつつ、原料粉末を転動流動させることにより、製造される。
本発明の造粒粉末の製造方法は、金属材料で構成され、真密度が7〜9g/cm 3 であり、平均粒径が3〜15μmである複数個の原料粒子を、ポリビニルアルコールおよびポリビニルピロリドンのうちの少なくとも一方で構成されたバインダで結合してなる複数個の第1の造粒粒子を用意し、
複数個の前記第1の造粒粒子を流動層容器内に収納した状態で、該流動層容器の下部側から上部側に向けて60〜100℃の気体を噴射するとともに、前記流動層容器の上部側から下部側に向けて前記バインダを溶解可能な溶媒として水を前記複数個の第1の造粒粒子に噴霧しつつ、前記第1の造粒粒子から溶出したバインダ溶液の存在下で、前記複数個の第1の造粒粒子を転動および/または流動させることにより、粒径を均一化した複数個の第2の造粒粒子を得ることを特徴とする。
これにより、バインダの使用量を抑えつつ、得られる造粒粒子の粒径の均一化を図ることができる。このようにして得られる造粒粒子(第2の造粒粒子)は、見掛密度が高く、かつ、流動性に優れたものとなり、取り扱い性に優れる。
特に、流動層容器の下部側から気体を導入(噴射)するとともに、流動層容器の上部側から溶媒を噴霧するので、粒径の小さな粒子が選択的に造粒され、粒径の大きな粒子は造粒の進行が防止され、結果として、粒度分布がシャープな(粒度分布の幅が狭い)第2の造粒粉末を得ることができる。
複数個の前記第1の造粒粒子を流動層容器内に収納した状態で、該流動層容器の下部側から上部側に向けて気体を噴射するとともに、前記流動層容器の上部側から下部側に向けて前記バインダを溶解可能な溶媒として水を前記複数個の第1の造粒粒子に噴霧しつつ、前記第1の造粒粒子から溶出したバインダ溶液の存在下で、前記複数個の第1の造粒粒子を転動および/または流動させることにより、粒径を均一化した複数個の第2の造粒粒子を得る第2の工程とを有することを特徴とする。
これによっても、バインダの使用量を抑えつつ、得られる造粒粒子の粒径の均一化を図ることができる。このようにして得られる造粒粒子(第2の造粒粒子)も、見掛密度が高く、かつ、流動性に優れたものとなり、取り扱い性に優れる。
特に、流動層容器の下部側から気体を導入(噴射)するとともに、流動層容器の上部側から溶媒を噴霧するので、粒径の小さな粒子が選択的に造粒され、粒径の大きな粒子は造粒の進行が防止され、結果として、粒度分布がシャープな(粒度分布の幅が狭い)第2の造粒粉末を得ることができる。
このようにして得られた第1の造粒粒子の粒径は一般にバラツキが大きいため、本発明を適用することにより、その効果が特に顕著となる。
これにより、第2の工程における第1の造粒粒子の不本意な変形を防止し、得られる第2の造粒粒子の形状の均一化を図ることができる。
これにより、得られる第2の造粒粒子の粒径の均一化をより確実に図ることができる。
これにより、得られる第2の造粒粒子の粒径の均一化をより確実に図ることができる。
本発明の造粒粉末の製造方法では、前記第2の造粒粒子を得るに際し、前記第1の造粒粒子に対する前記溶媒の供給速度は、時間の経過に従い、漸次変化させることが好ましい。
これにより、得られる第2の造粒粒子の形状の均一化をより確実に図ることができる。
これにより、得られる第2の造粒粒子は、優れた特性を有する。
本発明の造粒粉末の製造方法では、前記複数個の第2の造粒粒子全体における前記バインダの含有量は、全体の0.2〜1.8重量%であることが好ましい。
これにより、得られる第2の造粒粒子は、優れた特性を有する。
まず、本発明の造粒粉末の製造方法において用いられる造粒装置について説明する。
図1は、本発明の造粒粉末の製造方法において用いられる造粒装置の構成を示す模式図である。
ロータ20には、その下部に、流動層容器10の底部の中心を貫通して下方に延びる回転駆動軸21が設けられている。この回転駆動軸21は、回転駆動源(図示省略)によって正逆方向に回転駆動される。これにより、ロータ20が駆動される。
ここで、前述したような転動流動装置1の動作、すなわち転動流動装置1を用いた造粒粉末の製造方法を説明する。転動流動装置1を用いた造粒粉末の製造方法は、本発明の造粒粉末の製造方法の一例であり、本発明の造粒粉末の製造方法がこれに限定されないのは、言うまでもない。
以下、第1の工程、第2の工程を順次詳細に説明する。
まず、上述したような転動流動造粒装置1の流動層容器10の内部に原料粉末を収納し、流動層容器10の下部側(通気部30)から気体を導入する(噴射させる)とともに、ロータ(攪拌手段)20により攪拌することにより原料粉末を転動流動させる。このような状態で、ミスト状態のバインダ溶液をスプレーノズル40から噴霧することにより供給して、原料粉末にバインダを付着させて、第1の造粒粉末を得る。
また、流動層容器10の上部からバインダ溶液を噴霧することで、ロータ20の回転作用により、流動層容器10内の気体は旋回流を形成し、原料粉末の上昇が適度に抑制される。その結果、原料粉末とバインダ溶液とが結合(衝突)する機会が増え、得られる第1の造粒粉末は、その粒度分布が特にシャープなものとなる。
原料粉末は、特に限定されず、各種有機材料を主材料として構成された粉末や、各種無機材料を主材料として構成された粉末を用いることができるが、例えば、鋼、鉄ニッケル合金、鉄コバルト合金、鉄シリコン合金、ステンレス鋼等の金属材料で構成された金属粉末等を好適に用いることができる。これらの金属粉末は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。このように金属粉末で構成された原料粉末は、例えば、後述するように成形体の製造原料として用いることができる。
一方、原料粒子の平均粒径が前記上限値を超えると、原料粉末がスプレーゾーンに到達せず、造粒されないか、または流動していない粉末の固まりにバインダ溶液が直接付与され、造粒ムラの原因となる可能性がある。その結果、得られる第1の造粒粉末や第2の造粒粉末は、粒度分布が広いものとなってしまう可能性がある。
一方、原料粉末の真密度が前記上限値を超えると、原料粉末がスプレーゾーンに到達せず、造粒されないか、または流動していない粉末の固まりにバインダ溶液が直接付与され、造粒ムラの原因となる可能性がある。その結果、得られる第1の造粒粉末や第2の造粒粉末は、粒度分布が広いものとなってしまう可能性がある。
バインダ溶液は、通常、原料粉末同士を結合する機能を有するバインダと、当該バインダを溶解または分散する機能を有する溶媒とを含むものである。
バインダとしては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウム、エチレンビスステアロアミド、エチレンビニル共重合体、パラフィン、ワックス、アルギン酸ソーダ、寒天、アラビアゴム、レジン、しょ糖等を用いることができる。その中でも、結合力の強さ、加熱による高い脱バインダ特性、また低価格の観点から、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンが好ましい。このようなバインダは、1種類を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
バインダ溶液中のバインダの濃度は、0.5〜20.0重量%であるのが好ましく、1.0〜15.0重量%であるのがより好ましく、2.0〜10.0重量%であるのがさらに好ましい。バインダ濃度が前記範囲内の値であると、バインダ溶液中において、バインダを均一に溶解、分散させることができるとともに、各原料粉末に対して、より均一にバインダを付着させることができる。
第1の造粒粉末は、複数の原料粒子をバインダで結合してなる第1の造粒粒子を主として構成されたものである。なお、第1の造粒粉末は、前述したような第1の造粒粒子以外の粒子、例えば各種添加剤や未造粒の粒子などを含んでいてもよい。
得られる第1の造粒粉末における第1の造粒粒子の平均粒径は、特に限定されないが、例えば、40〜180μmであるのが好ましく、45〜160μmであるのがより好ましく、50〜140μmであるのがさらに好ましい。これにより、得られる第2の造粒粒子の粒径の均一化をより確実に図ることができる。平均粒径が前記下限値未満であると、後述する第2の工程にて得られる第2の造流粒子の平均粒径も小さくなり、最終的に得られる造粒粉末(第2の造粒粉末)を用いて成形体を製造した場合、粉末の流動性が安定せず、焼結体(成形体)の寸法ばらつきが大きくなる可能性がある。一方、平均粒径が前記上限値を超えると、後述する第2の工程にて得られる第2の造粒粒子の平均粒径も大きくなり、最終的に得られる造粒粉末(第2の造粒粉末)を用いて成形体を製造した場合、特に小さい成形体の製造において、充填ムラが起こりやすくなり、焼結体(成形体)の寸法ばらつきが大きくなる可能性がある。
以上のような第1の工程により第1の造粒粉末を製造することができる。
本工程では、スプレーノズル40からのバインダ溶液の噴霧を停止した状態で、図2(b)に示すように、スプレーノズル50から溶媒を噴霧しながら、さらに、前述した第1の工程で得られた第1の造粒粉末(第1の造粒粒子80a)に対し前述したような転動流動動作を行う。これにより、前述した第1の工程で得られた第1の造粒粉末に溶媒を付与しつつ、この第1の造粒粉末を転動流動させることができる。このような転動流動動作を受けた第1の造粒粉末における第1の造粒粒子は、その粒径が均一化されて、第2の造粒粒子となる。すなわち、第2の造粒粒子を主として構成された第2の造粒粉末が得られる。
これにより、バインダ溶液を追加しなくても、第1の造粒粒子80aの粒径を均一化することができる。その結果、バインダの使用量を抑えつつ、得られる造粒粒子(第2の造粒粒子)の粒径の均一化を図ることができる。このようにして得られる造粒粒子(第2の造粒粒子)は、見掛密度が高く、かつ、流動性に優れたものとなり、取り扱い性に優れる。
すると、第1の造粒粒子中のバインダの一部がバインダ溶液となり、そのバインダ溶液の存在下で、第1の造粒粒子が転動流動されるため、第1の造粒粉末に対し造粒が再び進行する。その際、例えば、前述した第1の工程にて造粒が十分に進行せずに粒径の比較的小さい第1の造粒粒子や原料粒子同士が凝集して成長する。一方、前述した第1の工程にて過度に成長してしまった比較的粒径の大きい第1の造粒粒子は、前記湿潤により、一部(特に外表面付近)のバインダが溶け出し、これに伴って、一部の原料粒子も離脱し、粒径が縮小する。また、粒径が比較的大きくてもバインダ量の比較的多い(原料粒子の少ない)第1の造粒粒子は、積極的に湿潤し、バインダ溶液を溶出させ、比較的粒径の小さい第1の造粒粒子や原料粉末と凝集して成長する。
凝集により成長した粒子は、重量も増加し、失速して落下するとともに、スプレーノズル50からの気体の流れ(下降気流)により帰還せしめられる。そして、下降気流によってロータ20付近に送られ、ロータ20の回転による転動圧密作用や混合作用を受けつつ外周側に移動して、流動層容器10の外周側の上昇気流に戻される。このようにして、流動層容器10内の第1の造粒粒子80aに、流動層容器10の外周側を上昇し、流動層容器10の中央部付近を下降する方向に循環する流動層が形成される。
第2の工程におけるロータ周速度は、粉末の転動流動が最低限確保できるものであれば、特に限定されないが、例えば、0.50〜1.60m/秒であるのが好ましく、0.55〜1.50m/秒であるのがより好ましく、0.60〜1.40m/秒であるのがさらに好ましい。ロータの周速度が前記範囲内の値であると、粒度の比較的小さい粉末を効率よくスプレーゾーンに到達させて、効率よく造粒を行うことができる。また、適度な圧密状態が得られるので、見掛密度の高い第2の造粒粉末とすることができる。その結果、より緻密な造粒で、粒度分布幅が特に狭い第2の造粒粉末を得ることができる。
また、第2の造粒粉末を得るに際し、第1の造粒粉末に対する溶媒の供給速度は、時間の経過に従い、漸次変化させるのが好ましい。これにより、得られる第2の造粒粒子の形状の均一化をより確実に図ることができる。この場合、前記供給速度は、連続的に変化させてもよいし、断続的に変化させてもよい。
第2の造粒粒子の平均粒径は、特に限定されないが、後述するような成形体の製造に用いるものである場合、40〜180μmであるのが好ましく、45〜160μmであるのがより好ましく、50〜140μmであるのがさらに好ましい。これにより、得られる第2の造粒粒子の粒径の均一化をより確実に図ることができる。平均粒径が前記下限値未満であると、成形体を製造する場合において、粉末の流動性が安定せず、焼結体(成形体)の寸法ばらつきが大きくなる可能性がある。一方、平均粒径が前記上限値を超えると、特に小さい成形体の製造において、充填ムラが起こりやすくなり、焼結体(成形体)の寸法ばらつきが大きくなる可能性がある。
なお、本発明の造粒粉末(第2の造粒粉末)は、その用途等に応じて、その他の成分として、可塑剤、分散剤、界面活性剤、潤滑剤等の添加物等を含むものであってもよい。このような場合、例えば、原料粉末、バインダ溶液等に上記のような成分を含ませておくことにより、好適に造粒粉末を製造することができる。
成形体(焼結体)の製造方法は、特に限定されず、例えば、圧粉成形法が好ましい。なお、成形体(焼結体)の製造は、例えば、造粒粉末と有機バインダとを混合、混練し、この混練物を用いて射出成形することにより成形体(仮成形体)を得、当該成形体に脱脂処理(脱バインダ処理)、焼結処理を施すことにより焼結体(目的とする成形体)を得る金属射出成形(MIM:Metal Injection Molding)法等により行うものであってもよい。
以下、圧粉成形法による成形体(焼結体)の製造について説明する。
まず、上述したような本発明の造粒粉末を用いて、プレス成形機により成形し、所望の形状、寸法の成形体を製造する。
なお、製造される成形体の形状寸法は、以後の脱脂および焼結による収縮分を見込んで決定される。
前述した成形工程で得られた成形体に対し、脱脂処理(脱バインダ処理)を施し、脱脂体を得る。
この脱脂処理としては、特に限定されないが、非酸化性雰囲気、例えば真空または減圧状態下(例えば1×10−1〜1×10−6Torr)、あるいは窒素ガス、アルゴンガス、水素ガス、アンモニア分解ガス等のガス中で、熱処理を行うことによりなされる。
また、このような熱処理による脱脂は、種々の目的(例えば、脱脂時間の短縮等の目的)で、複数の工程(段階)に分けて行ってもよい。この場合、例えば、前半を低温で、後半を高温で脱脂するような方法や、低温と高温を繰り返し行う方法等が挙げられる。
なお、バインダは、脱脂処理によって完全に除去されなくてもよく、例えば、脱脂処理の完了時点で、その一部が残存していてもよい。
前述した脱脂処理工程で得られた脱脂体を焼結炉で焼成して焼結し、目的とする焼結体を得る。
この焼結により、造粒粉末を構成していた金属粉末は、拡散、粒成長し、結晶粒となり、全体として緻密な、すなわち高密度、低空孔率の成形体が得られる。
また、焼結雰囲気は、特に限定されないが減圧(真空)下または非酸化性雰囲気とされるのが好ましい。これにより、金属の酸化による特性劣化を防ぐことができる。
好ましい焼結雰囲気としては、1Torr以下(より好ましくは1×10−2〜1×10−6Torr)の減圧(真空)下、または1〜760Torrの窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気、または1〜760Torrの水素ガス雰囲気であるのが好ましい。
また、焼結は、2段階またはそれ以上で行ってもよい。例えば、焼結条件の異なる1次焼結と2次焼結を行うことができる。この場合、2次焼結の焼結温度を、1次焼結の焼結温度より高い温度とすることができる。
上記のようにして得られた成形体は、いかなる目的で用いられるものであってもよい。
また、成形体の空孔率は、特に限定されないが、7vol%以下であるのが好ましく、5vol%以下であるのがより好ましい。空孔率が7vol%を超えると、機械的強度が低下する場合がある。
例えば、前述した実施形態では、第1の造粒粉末の粒径を均一化する処理として、第2の工程を有するものとして説明したが、第2の工程と同様の処理を第2の工程の後に1回以上行ってもよい。すなわち、第1の造粒粉末の粒径を均一化する処理として、第2の工程のほかに、第3、第4・・・の工程を有していてもよい。これにより、得られる造流粉末の粒径のバラツキをより抑えることができる。この場合、第2の工程と第3の工程との間や、第3の工程と第4の工程との間など、粒径の均一化のための工程同士の間には、任意の処理を行うことができる。
また、前述した実施形態では、第1の工程にてバインダ溶液のみを噴霧し、第2の工程にて溶媒のみを噴霧したが、第1の工程にてバインダ溶液とは別途溶媒を若干量噴霧してもよく、また、第2の工程にて溶媒とは別途または混合してバインダ溶液を若干量噴霧することも可能である。その際、第1の工程における溶媒の噴射量は、バインダ溶液による造粒作用を妨げない範囲内とし、また、第2の工程におけるバインダ溶液の噴霧量は、得られる第2の造粒粒子中のバインダ量が目的とするバインダ量を超えないような範囲内とする。
また、前述した実施形態では第1の造粒粉末を転動流動させることにより第2の造粒粉末を得たが、第2の工程において第1の造粒粉末を転動および/または流動させることにより第2の造粒粉末を得ることができる。
例えば、流動層容器(容器)は、前述した実施形態で説明したような形状のものに限定されず、上部側が円筒状、下部側が円錐筒状のものであってもよい。
また、前述した実施形態では、バインダ溶液の供給位置と溶媒の供給位置とが同一であったが、これに限定されず、バインダ溶液や溶媒の供給位置が互いに異なっていてもよい。また、バインダ溶液や溶媒の供給位置は、それぞれ、流動層容器(容器)の上部に限らず、例えば、バインダ溶液や溶媒は、流動層容器の下部から気流とともに供給してもよいし、流動層容器の側面から供給してもよい。
(実施例1)
原料粉末としては、表1に示すような、粒度分布および平均粒径を有する、ステンレス鋼(SUS316L)粉末(エプソンアトミックス(株)製、真密度:7.95g/cm3)を用意した。
次に、図1に示すような造粒装置の流動層容器内に原料粉末を入れた。流動層容器の下部から90℃の空気を0.41m/秒で導入(噴出)させるとともに、ロータを周速度0.59m/秒で回転させることで、原料粉末を転動流動させた。
第1の工程の後、造粒流動装置の動作条件を変更した第2の工程を行うことにより、第1の造粒粉末の粒径を均一化して、第2の造粒粉末を得、これを最終的な造粒粉末とした。第2の工程は、流動層容器の下部から90℃の空気を0.69m/秒で導入(噴出)するとともに、ロータを周速度1.01m/秒で回転させることで、原料粉末を転動流動させつつ、流動層容器の上部に設けられたスプレーノズルから溶媒を10g/分の供給速度で噴霧することにより行った。また、第2の工程の処理時間は、31分間であった。
第2の工程において溶媒の供給を液滴添加により行った以外は、実施例1と同様にして造粒粉末を製造した。
(実施例3)
第1の工程と第2の工程との間に第1の造粒粉末を乾燥する乾燥工程を有する以外は、実施例1と同様にして造粒粉末を製造した。
ここで、乾燥工程は、バインダ溶液の噴霧のためのスプレーノズルと溶媒の噴霧のためのスプレーノズルとの双方を停止した状態で、流動層容器の下部から90℃の空気を0.41m/秒で導入(噴出)させるとともに、ロータを周速度0.59m/秒で回転させることで、第1の造粒粉末を転動流動させることにより行った。
第2の工程において溶媒の供給速度を徐々に低下させた以外は、実施例1と同様にして造粒粉末を製造した。
ここで、溶媒の供給速度を、第2の工程開始から10分間では12g/分とし、その後10分間では10g/分とし、その後10分間では8g/分とした。
(実施例5)
分級処理により、表2に示すような粒度分布および平均粒径に調整された粉末を原料粉末として用いた以外は、実施例1と同様にして造粒粉末を製造した。
まず、バインダとしてポリビニルピロリドンPVP(BASF(株)製)、溶媒としてイオン交換水を用意した。ポリビニルピロリドン2.0重量部をイオン交換水98.0重量部に混合、加熱溶解した後、室温まで冷却することにより、バインダ溶液を得た。図3に示す造粒装置の転動層容器内に原料粉末を入れた。ロータを周速度0.59m/秒、クロススクリューを周速度1.0m/秒で回転させ、原料粉末を転動させた。
その状態で、転動層容器上部に設けられたスプレーノズルからバインダ溶液を50g/分の供給速度で噴霧することにより第1の工程を行った。また、第1の工程の処理時間は、15分間であった。これにより第1の造粒粉末が得られた。
第2の工程を省略し、第1の造粒粉末を最終的な造粒粉末とした以外は、実施例1と同様にして造粒粉末を製造した。
以上の結果を表3にまとめて示す。
Claims (9)
- 金属材料で構成され、真密度が7〜9g/cm3であり、平均粒径が3〜15μmである複数個の原料粒子を、ポリビニルアルコールおよびポリビニルピロリドンのうちの少なくとも一方で構成されたバインダで結合してなる複数個の第1の造粒粒子を用意し、
複数個の前記第1の造粒粒子を流動層容器内に収納した状態で、該流動層容器の下部側から上部側に向けて60〜100℃の気体を噴射するとともに、前記流動層容器の上部側から下部側に向けて前記バインダを溶解可能な溶媒として水を前記複数個の第1の造粒粒子に噴霧しつつ、前記第1の造粒粒子から溶出したバインダ溶液の存在下で、前記複数個の第1の造粒粒子を転動および/または流動させることにより、粒径を均一化した複数個の第2の造粒粒子を得ることを特徴とする造粒粉末の製造方法。 - 金属材料で構成され、真密度が7〜9g/cm3であり、平均粒径が3〜15μmである複数個の原料粒子を、ポリビニルアルコールおよびポリビニルピロリドンのうちの少なくとも一方で構成されたバインダで結合してなる複数個の第1の造粒粒子を得る第1の工程と、
複数個の前記第1の造粒粒子を流動層容器内に収納した状態で、該流動層容器の下部側から上部側に向けて気体を噴射するとともに、前記流動層容器の上部側から下部側に向けて前記バインダを溶解可能な溶媒として水を前記複数個の第1の造粒粒子に噴霧しつつ、前記第1の造粒粒子から溶出したバインダ溶液の存在下で、前記複数個の第1の造粒粒子を転動および/または流動させることにより、粒径を均一化した複数個の第2の造粒粒子を得る第2の工程とを有することを特徴とする造粒粉末の製造方法。 - 前記第1の工程では、前記原料粒子を含む原料粉末に、前記バインダを溶媒に溶解したバインダ溶液を付与しつつ、前記原料粉末を転動および/または流動させることにより、前記複数個の第1の造粒粒子を得る請求項2に記載の造粒粉末の製造方法。
- 前記第1の工程の後、かつ、前記第2の工程の前に、各前記第1の造粒粒子から前記溶媒を除去する工程を有する請求項3に記載の造粒粉末の製造方法。
- 前記第1の造粒粒子の平均粒径は、40〜180μmである請求項1ないし4のいずれかに記載の造粒粉末の製造方法。
- 前記第2の造粒粒子の平均粒径が、40〜180μmである請求項1ないし5のいずれかに記載の造粒粉末の製造方法。
- 前記第2の造粒粒子を得るに際し、前記第1の造粒粒子に対する前記溶媒の供給速度は、時間の経過に従い、漸次変化させる請求項1ないし6のいずれかに記載の造粒粉末の製造方法。
- 前記複数個の第2の造粒粒子の見掛け密度は、1.8〜6.0g/cm3である請求項1ないし7のいずれかに記載の造粒粉末の製造方法。
- 前記複数個の第2の造粒粒子全体における前記バインダの含有量は、全体の0.2〜1.8重量%である請求項1ないし8のいずれかに記載の造粒粉末の製造方法。
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