JP4293770B2 - アミンガス硬化型鋳型用粘結剤組成物、これから得られる鋳物砂組成物及び軽合金鋳造用砂中子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アミンコールドボックス法により製作されるガス硬化型鋳型、とくに軽合金鋳造に適した砂中子の製造に好適な鋳物砂組成物及びこれに用いられる粘結剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、シェルモールド法の競合技術として重視されるようになってきたアミンコールドボックス法は、2液反応硬化型粘結剤の構成成分であるフェノール樹脂の有機溶剤溶液(フェノール樹脂成分)とポリイソシアネート化合物若しくはその有機溶剤溶液(ポリイソシアネート成分)とを鋳物砂に添加混練した混練砂、すなわち鋳物砂組成物を成形型内に充填した後、第三級アミン(硬化触媒)を作用させることにより、フェノール樹脂とポリイソシアネート化合物との反応を促進して鋳物砂組成物を短時間で鋳造用の砂型(主型や砂中子)に賦形できる量産可能なガス硬化鋳型の製作法である。
【0003】
ところで、自動車産業分野では、軽量化及び燃費改善の観点から、エンジン鋳物は鉄製からアルミニウム合金等の軽合金製への転換を余儀なくされている。しかしながら、鋳造金型内に砂中子をセットした後に注湯温度の低いアルミニウムやマグネシウム合金等の軽合金溶融金属を注湯する砂型鋳造法により軽合金鋳物の製造を行った場合、得られた鋳放し鋳物には、一般に鋳物内に残存する使用済みの砂中子の排出を図るための高温熱処理やチッピング処理等の砂出し作業が施されている。このように軽合金鋳造に用いられる砂中子には、従来より鋳放し鋳物からの使用済み砂中子の排出性(以下、これを「崩壊性」という。)が重視されてきたが今だ十分であるとはいえず、加えてエンジンの高性能化に伴う鋳物の薄肉化や構造の複雑化のため、さらなる砂中子の崩壊性が要求されている。
特開2000−84643号公報には、ケイ酸エステル及び/又はその加水分解生成物を構成要件に具備しない鋳型用粘結剤組成物が記載され、そしてこの構成により、圧縮強度などの鋳型に必要な特性を維持しつつ、低粘度で計量性に優れ、有機溶媒、特に非極性溶媒分を低減し、これによる作業環境の改善及び金型へのしみ着き性を改善できる鋳型用粘結剤を提供すると記載されている。しかしながら、この文献には、本発明のようにケイ酸エステル及び/又はその加水分解生成物を構成要件に具備することにより、大幅に改善された砂中子の崩壊性を提供できるため、軽合金鋳物製造でのエネルギーコストの低減及び作業環境の改善に寄与することができるという効果を奏することは何ら記載も示唆もされていない。
【特許文献1】
特開2000−84643号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明の目的は、アミンコールドボックス法によるガス硬化型鋳型、とくに軽合金鋳造に適した崩壊性に優れた砂中子の製造に用いられる粘結剤組成物を提供することにある。本発明の他の目的は、このような特質を備えた軽合金鋳造用の砂中子を提供できるアミンガス硬化型鋳型用鋳物砂組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述したような技術進化のなか、シェルモールド法で製作される砂中子より崩壊性に優れ、加えてエネルギーコスト及び作業環境の改善にも有利な砂中子を提供できるアミンコールドボックス法に注目して鋭意検討を行なった結果、オルソクレゾール変性フェノール樹脂とケイ酸エステル及び/又はその加水分解生成物との組合せが砂中子の崩壊性改善に極めて有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明(請求項1)は、オルソクレゾール変性フェノール樹脂、ポリイソシアネート化合物、有機溶剤、ケイ酸エステル及び/又はその加水分解生成物を必須成分とすることを特徴とするアミンガス硬化型鋳型用粘結剤組成物である。また、他の本発明(請求項2)は、請求項1に記載の粘結剤組成物と鋳物砂とを含むことを特徴とするアミンガス硬化型鋳型用鋳物砂組成物である。とくに、鋳物砂としてアルミナ質サンド、ムライト質サンド及びこれらの混合物の群から選ばれる1種を好ましい態様(請求項3)としている。さらに、他の本発明(請求項4)は、請求項2又は3に記載の鋳物砂組成物と第三級アミンとの接触により該鋳物砂組成物を硬化させてなることを特徴とする軽合金鋳造用砂中子である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明にかかるアミンガス硬化型鋳型用粘結剤組成物(以下単に「粘結剤組成物」という。)は、少なくとも、鋳物砂の2液反応硬化型粘結剤として機能する(A)フェノール樹脂成分及び(B)ポリイソシアネート成分と、使用済みの砂中子の崩壊剤として機能する(C)ケイ酸エステル、その加水分解生成物及びこれらの混合物の群から選ばれる1種から構成されるが、該(A)及び(B)成分は一般に鋳物砂へのコーティング性の観点から有機溶剤により適宜濃度に調整された溶液として使用される。
【0008】
前記(A)成分は、(B)成分中のポリイソシアネート化合物と反応することにより、鋳物砂間での強度発現を惹起するオルソクレゾール変性フェノール樹脂を約40〜80質量%の割合で含む有機溶剤溶液であるが、該成分には必要に応じて鋳型強度の向上又は吸湿劣化抑制のため、シランカップリング剤、例えばγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなど、また可使時間延長剤、例えばイソフタル酸クロリド等のカルボン酸クロリドのほかホスホン酸クロリドなどを0.01〜5質量%の割合で配合してもよい。
【0009】
ここでいう有機溶剤としては、ポリイソシアネート化合物には非反応性でフェノール樹脂には良溶媒であれば特に制限なく使用できるが、ポリイソシアネート成分との相溶性を考慮して、一般的には樹脂を溶解するための極性溶剤、例えば脂肪族カルボン酸エステル、特に環境安全性の観点から、ジカルボン酸メチルエステル混合物(デュポン社製商品名:DBE グルタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル及びコハク酸ジメチルの混合物)などのジカルボン酸アルキルエステル、菜種油メチルエステル等の植物油のメチルエステル、オレイン酸エチル、パルミチン酸エチル、これらの混合物等の脂肪酸モノエステルなどのエステル類のほか、例えばイソホロン等のケトン類、イソプロピルエーテル等のエーテル類、フルフリルアルコールなどと、樹脂の分離が生じない程度の量のポリイソシアネート化合物を溶解するための非極性溶剤、例えばパラフィン類、ナフテン類、アルキルベンゼン類等の石油系炭化水素類、具体的には例えばイプゾール150(商品名、石油系溶剤、出光石油社製)、ハイゾール(商品名、石油系溶剤、昭和シェル石油社製)などが併用される。
【0010】
またオルソクレゾール変性フェノール樹脂としては、例えば酸、塩基、二価金属塩等の反応触媒の存在下にオルソクレゾール及び/又はフェノールとアルデヒド類(例えばホルマリン、パラホルムアルデヒド、ポリオキシメチレン、グリオキザール、フルフラール及びこれらの混合物等)とを反応させると得られる(1)オルソクレゾールとフェノールとの共縮合型オルソクレゾール変性フェノール樹脂若しくは(2)オルソクレゾール樹脂とフェノール樹脂との混合型オルソクレゾール変性フェノール樹脂のほか、これらの樹脂を変性剤で改質した(3)改質型オルソクレゾール変性フェノール樹脂又は(1),(2)及び(3)の任意の混合物などが例示される。
【0011】
(1)共縮合型オルソクレゾール変性フェノール樹脂は、オルソクレゾール(oCr)とフェノール(P)とを、砂中子の崩壊性の観点から、好ましくはoCr/P(質量比)=30/70〜90/10、好ましくは50/50〜90/10の範囲でアルデヒド類と同時的又は段階的に反応させて得られるノボラック型、レゾール型及びベンジルエーテル型の共縮合樹脂の群から選ばれる少なくとも1種の共縮合型オルソクレゾール変性フェノール樹脂である。一般的にはベンジルエーテル型の共縮合型オルソクレゾール変性フェノール樹脂である。
【0012】
また(2)混合型オルソクレゾール変性フェノール樹脂は、オルソクレゾールとアルデヒド類とを反応させると得られるノボラック型、レゾール型及びベンジルエーテル型のオルソクレゾール樹脂の群から選ばれる少なくとも1種のオルソクレゾール樹脂(X)とフェノールとアルデヒド類とを反応させると得られるノボラック型、レゾール型及びベンジルエーテル型のフェノール樹脂の群から選ばれる少なくとも1種のフェノール樹脂(Y)とを、砂中子の崩壊性の観点から、X/Y(質量比)=3/7〜9/1、好ましくは5/5〜9/1の割合で混合して得られる混合型オルソクレゾール変性フェノール樹脂である。一般的にはベンジルエーテル型の混合型オルソクレゾール変性フェノール樹脂である。
【0013】
また(3)改質型オルソクレゾール変性フェノール樹脂は、共縮合樹脂、オルソクレゾール樹脂又はフェノール樹脂の製造時ないし製造後にさらに任意の改質剤、例えばアルキッド樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、キシレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、尿素系化合物、メラミン系化合物、エポキシ系化合物、ポリビニルアルコール、アミド類、アマニ油などと混合ないしは反応させて得られる改質されたノボラック型、レゾール型及びベンジルエーテル型の樹脂の群から選ばれる少なくとも1種の改質型オルソクレゾール変性フェノール樹脂である。一般的にはベンジルエーテル型の改質型オルソクレゾール変性フェノール樹脂である。
【0014】
(B)成分として用いられるポリイソシアネート成分は、オルソクレゾール変性フェノール樹脂との反応性を有する分子内にイソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネート化合物を約65〜90質量%の割合で含む有機溶剤溶液、場合によっては原液状態のポリイソシアネート化合物である。かかるポリイソシアネート化合物の例としては、例えばジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(以下「クルードMDI」という。)等の芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート、これらのポリイソシアネートとポリオールとを反応させて得られるイソシアネート基を有するプレポリマー及びこれらポリイソシアネートの混合物などが例示される。
【0015】
(C)成分として用いるケイ酸エステル、その加水分解生成物及びこれらの混合物(以下「ケイ酸エステル等」という。)は、理由は定かでないが砂中子の崩壊性の改善に有効に機能するものであって、このようなケイ酸エステル等の例としては、ケイ酸エステル、例えばメチルシリケート、エチルシリケート、プロピルシリケート、ブチルシリケートなど、ケイ酸エステルの加水分解生成物、例えばコルコート社製商品のメチルシリケート51、エチルシリケート40及びこれらの混合物などが例示される。(C)成分は、一般に高度の加水分解性を有するため、好ましくは(B)ポリイソシアネート成分又は鋳物砂組成物を調製する際に添加混合して用いられる。
【0016】
本発明にかかるアミンガス硬化型鋳型用鋳物砂組成物は、(A)フェノール樹脂成分、(B)ポリイソシアネート成分及び(C)ケイ酸エステル等を鋳物砂に添加混練して得られる混練砂であって、前述したように該混練砂は先ず成形金型内で砂中子形状に賦形した後、これに硬化触媒の第三級アミン(例えばトリエチルアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチルイソプロピルアミン等)を通気することにより、前記混練砂と第三級アミンとの接触による該混練砂の硬化が進行して砂中子が形成される。得られる砂中子は鋳造後の崩壊性に優れるため、特に軽合金鋳造用鋳型として有用である。この鋳物砂組成物は、一般的には回分式ないし連続式ミキサー内で、鋳物砂と(A)成分とを混練した後、(B)成分及び(C)成分を加えて再混練する方法又は鋳物砂内に(A),(B)及び(C)成分を同時に添加して混練する方法などにより調製される。
【0017】
かかる鋳物砂組成物の調製において、(A)フェノール樹脂成分及び(B)ポリイソシアネート成分は、鋳物砂100質量部に対し、それぞれ0.01〜5.0質量部、好ましくは0.1〜2.0質量部の割合で配合される。また、両成分の配合割合は特に限定はされないが、一般的には質量基準で(A)成分/(B)成分=70/30〜30/70である。また、(C)成分の配合量は、砂中子の崩壊性改善効果の観点から、一般的には(A)フェノール樹脂成分100質量部に対し、0.1質量部以上を必要とするが、コストを考慮すると好ましくは1〜20質量部である。また、鋳物砂としては、例えばケイ砂、オリビンサンド、ジルコンサンド、クロマイトサンド、アルミナサンド、フェロクロム系スラグ、フェロニッケル系スラグ、転炉スラグ、ムライト系人工粒子(例えば伊藤忠セラテック社市販の商品名ナイガイセラビーズ)、これらの再生砂などが挙げられる。中でも、鋳型回収後の研磨再生処理の観点から、球状で耐破砕性に優れるムライト系人工粒子が好ましい。これらは1種で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0018】
【実施例】
次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。なお、「部」及び「%」はすべて「質量部」及び「質量%」を意味する。また得られた鋳物砂組成物については、次の試験法により鋳型強度(抜型強度と24時間後の放置強度)の測定と砂中子の崩壊性の評価を行なった。
【0019】
1.鋳型強度(抜型強度と24時間後の放置強度)の測定
コールドボックス造型機のサンドマガジン内に鋳物砂組成物を投入後、これを曲げ強度試験片作製用金型内にゲージ圧0.3MPa で充填した。次に該金型内にガスジェネレーター(ゲージ圧0.2MPa ×1秒間)よりトリエチルアミンを通気し、エアーパージ(ゲージ圧0.2MPa ×10秒間)し、抜型して曲げ試験片(幅30mm×長さ85mm×厚み10mm)を作製した。得られた試験片は、直ちに又は常温で24時間放置後にデジタル鋳物砂強度試験機(高千穂精機社製)により曲げ強度(N/cm2 )を測定し、前者を抜型強度、後者を24時間後の放置強度とした。
【0020】
2.砂中子の崩壊性の評価
図1において、あらかじめ常温自硬性砂で作製した上部に溶湯注入口1、下部に砂中子の幅木固定部2(この部分は鋳造後のアルミ鋳物からの使用済み砂中子の排出口7となる)、中間に空間部を有する主型3(幅80mm×長さ125mm×厚さ75mm)内に鋳物砂組成物で作製した円形無空砂中子4(試験片:直径47mm×高さ49mm)を幅木固定部2で接着固定した後、相方の主型3′を接着固定して鋳造試験用砂型5を作製した。
【0021】
次に、鋳造試験用砂型5の溶湯注入口1からアルミニウム合金(温度710±5℃)を注湯し、室温まで放置冷却し、その後主型3,3′をバラシして図2に示すような使用済み砂中子6の排出口7(直径16mm)を有する円形でアルミニウム合金製の鋳物8を得た。得られた鋳物8は、先ずチッピング前の振出(0秒)で排出された砂中子の量を測定し、次いでエアーハンマー(圧力0.1MPa )で3秒毎にチッピングを繰返し、その都度排出口7から排出される砂中子の量を測定した。この操作は使用済み砂中子6がほぼ総て排出されるまで繰返した。砂中子の崩壊性は、0秒、3秒毎の排出量を総排出量で除した百分率(%)で表示し、排出率100%に達する時間が短いほど崩壊性はよいと判断した。
【0022】
製造例1 <フェノール樹脂成分(1)の調製>
還流器、温度計、攪拌機を備えた三つ口反応フラスコ内にオルソクレゾール50部、フェノール50部、92%パラホルムアルデヒド49部及び二価金属塩としてナフテン酸鉛0.32部を仕込み、還流温度で3時間反応を行った後、加熱濃縮してベンジルエーテル型の共縮合型オルソクレゾール変性フェノール樹脂を得た。次に、このオルソクレゾール変性フェノール樹脂50部に有効量のγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランと有機エステル系溶剤(商品名:DBEグルタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル及びコハク酸ジメチルの混合物、デュポン社製)を25部と石油系溶剤(商品名、ソルベッソ100、エクソンモービル社製)を25部添加して濃度50%の共縮合型オルソクレゾール変性フェノール樹脂の有機溶剤溶液、すなわちフェノール樹脂成分(1)を調製した。
【0023】
製造例2,3 <フェノール樹脂成分(2),(3)の調製>
製造例1において、オルソクレゾール(oCr)とフェノール(P)との配合割合(oCr/P、質量比)が30/70、92%パラホルムアルデヒド50部及び還流時間が5時間(製造例2)、又はoCr/P=70/30、92%パラホルムアルデヒド47部及び反応時間が5時間(製造例3)に変更した以外は、製造例1と同様にして濃度50%の共縮合型オルソクレゾール変性フェノール樹脂の有機溶剤溶液、すなわちフェノール樹脂成分(2)及び(3)を調製した。
【0024】
製造例4〜5 <フェノール樹脂成分(4)及び(5)の調製>
還流器、温度計、攪拌機を備えた三つ口反応フラスコ内にオルソクレゾール100部、92%パラホルムアルデヒド39部及び二価金属塩としてナフテン酸鉛0.32部を仕込み、還流温度で6時間反応を行った後加熱濃縮してベンジルエーテル型オルソクレゾール樹脂を得た。また、フェノール100部、92%パラホルムアルデヒド52部及び二価金属塩としてナフテン酸鉛0.32部を仕込み、還流温度で1時間反応を行った後加熱濃縮してベンジルエーテル型フェノール樹脂を得た。次に、それぞれの樹脂50部に製造例1と同様に有効量のγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランと前記した有機溶剤(DBE及びソルベッソ100)を50部添加して濃度50%のオルソクレゾール樹脂有機溶剤溶液と濃度50%のフェノール樹脂有機溶剤溶液を調製した。さらに前者50部と後者50部とを混合して濃度50%の混合型オルソクレゾール変性フェノール樹脂の有機溶剤溶液、すなわちフェノール樹脂成分(4)を調製した。また、フェノール樹脂の有機溶剤溶液はそのままフェノール樹脂成分(5)とした。
【0025】
製造例6 <ポリイソシアネート成分の調製>
攪拌機を備えた混合槽内でポリイソシアネート化合物であるポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(商品名:コスモネートM200、三井化学社製)80部とソルベッソ100 20部とを混合して濃度80%のポリイソシアネート成分を調製した。
【0026】
実施例1
実験用品川ミキサー内でナイガイセラビーズ#550(商品名:伊藤忠セラテック社製)1000部と製造例1で調製したフェノール樹脂成分(1)1.0部とを30秒間混練した後、製造例6で調製したポリイソシアネート成分1.0部とケイ酸エステルの加水分解生成物(商品名:メチルシリケート51、メチルシリケートの加水分解生成物、コルコート社製)0.05部とを添加してさらに30秒間混練して混練砂、いわゆる鋳物砂組成物(1)を調製した。得られた鋳物砂組成物(1)は、下記の試験法により鋳型強度の測定及び砂中子の崩壊性の評価を行なった。その結果を表1に示す。
【0027】
実施例2,3
実施例1の鋳物砂組成物の調製において、フェノール樹脂成分(1)に代えてフェノール樹脂成分(2)又は(3)を用いた以外は実施例1と同様にして鋳物砂組成物(2)又は(3)を調製した。得られた鋳物砂組成物は、下記の試験法により鋳型強度の測定及び砂中子の崩壊性の評価を行なった。その結果を表1に示す。
【0028】
実施例4〜6
実施例1の鋳物砂組成物の調製において、(C)成分として用いたメチルシリケート51の配合量0.05部(5%)を0.02部(2%)、0.1部(10%)又は0.2部(20%)に変更した以外は、実施例1と同様にして鋳物砂組成物(4),(5)又は(6)を調製した。得られた鋳物砂組成物は、下記の試験法により鋳型強度の測定及び砂中子の崩壊性の評価を行なった。その結果を表1に示す。
【0029】
実施例7
実施例1の鋳物砂組成物の調製において、(C)成分として用いたメチルシリケート51をケイ酸エチル(商品名:エチルシリケート28、コルコート社製)に変更した以外は実施例1と同様にして鋳物砂組成物(7)を調製した。得られた鋳物砂組成物は、下記の試験法により鋳型強度の測定及び砂中子の崩壊性の評価を行なった。その結果を表1に示す。
【0030】
実施例8
実施例1の鋳物砂組成物の調製において、フェノール樹脂成分(1)に代えてフェノール樹脂成分(4)を用いた以外は実施例1と同様にして鋳物砂組成物(8)を調製した。得られた鋳物砂組成物は、下記の試験法により鋳型強度の測定及び砂中子の崩壊性の評価を行なった。その結果を表1に示す。
【0031】
比較例1
実施例1の鋳物砂組成物の調製において、メチルシリケート51を用いなかった以外は実施例1と同様にして比較用鋳物砂組成物(9)を調製した。得られた鋳物砂組成物は、下記の試験法により鋳型強度の測定及び砂中子の崩壊性の評価を行なった。その結果を表1に示す。
【0032】
従来例1
実施例1の鋳物砂組成物の調製において、フェノール樹脂成分(1)に代えてフェノール樹脂成分(5)を用い、かつメチルシリケート51を用いなかった以外は実施例1と同様にして従来の鋳物砂組成物(10)を調製した。得られた鋳物砂組成物は、下記の試験法により鋳型強度の測定及び砂中子の崩壊性の評価を行なった。その結果を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明によれば、オルソクレゾール変性フェノール樹脂とケイ酸エステル及び/又はその加水分解生成物との併用により、従来のフェノール樹脂ベースより、大幅に改善された砂中子の崩壊性を提供できるため、軽合金鋳物製造でのエネルギーコストの低減及び作業環境の改善に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は砂中子の崩壊性評価のための鋳造試験用砂型の縦断面図である。
【図2】図2は使用済み砂中子を内包した鋳物の縦断面図である。
【符号の説明】
1…溶湯注入口
2…幅木固定部
3,3′…主型
4…砂中子
4′…砂中子の幅木
5…鋳造試験用砂型
6…使用済み砂中子
7…排出口
8…鋳物
Claims (11)
- オルソクレゾール変性フェノール樹脂、ポリイソシアネート化合物、有機溶剤、ケイ酸エステル及び/又はその加水分解生成物を必須成分とすることを特徴とする軽合金鋳造用のアミンガス硬化型鋳型用粘結剤組成物。
- 前記オルソクレゾール変性フェノール樹脂が、オルソクレゾール(oCr)とフェノール(P)とをoCr/P(質量比)=30/70〜90/10の範囲で反応させて得られるものであることを特徴とする請求項1に記載の軽合金鋳造用のアミンガス硬化型鋳型用粘結剤組成物。
- 請求項1又は2に記載の粘結剤組成物と鋳物砂とを含むことを特徴とする軽合金鋳造用のアミンガス硬化型鋳型用鋳物砂組成物。
- 前記オルソクレゾール変性フェノール樹脂を含む有機溶剤溶液、前記ポリイソシアネート化合物を含む有機溶剤溶液、及び前記ケイ酸エステル及び/又はその加水分解生成物を鋳物砂に添加して混練し、かつ前記ケイ酸エステル及び/又はその加水分解生成物の配合割合が前記オルソクレゾール変性フェノール樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部であることを特徴とする請求項3に記載の軽合金鋳造用のアミンガス硬化型鋳型用鋳物砂組成物。
- 鋳物砂が、アルミナ質サンド、ムライト質サンド及びこれらの混合物の群から選ばれる1種であることを特徴とする請求項3又は4に記載の軽合金鋳造用のアミンガス硬化型鋳型用鋳物砂組成物。
- 請求項3〜5のいずれか1項に記載の鋳物砂組成物と第三級アミンとの接触により該鋳物砂組成物を硬化させてなることを特徴とする軽合金鋳造用砂中子。
- オルソクレゾール変性フェノール樹脂、ポリイソシアネート化合物、有機溶剤、ケイ酸エステル及び/又はその加水分解生成物を必須成分とする粘結剤組成物を鋳物砂に添加して混練することを特徴とする軽合金鋳造用のアミンガス硬化型鋳型用鋳物砂組成物の製造方法。
- 前記オルソクレゾール変性フェノール樹脂を含む有機溶剤溶液、前記ポリイソシアネート化合物を含む有機溶剤溶液、及び前記ケイ酸エステル及び/又はその加水分解生成物を鋳物砂に添加して混練し、かつ前記ケイ酸エステル及び/又はその加水分解生成物の配合割合が前記オルソクレゾール変性フェノール樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部であることを特徴とする請求項7に記載の軽合金鋳造用のアミンガス硬化型鋳型用鋳物砂組成物の製造方法。
- 前記オルソクレゾール変性フェノール樹脂が、オルソクレゾール(oCr)とフェノール(P)とをoCr/P(質量比)=30/70〜90/10の範囲で反応させて得られるものであることを特徴とする請求項7又は8に記載の軽合金鋳造用のアミンガス硬化型鋳型用鋳物砂組成物の製造方法。
- 鋳物砂が、アルミナ質サンド、ムライト質サンド及びこれらの混合物の群から選ばれる1種であることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の軽合金鋳造用のアミンガス硬化型鋳型用鋳物砂組成物の製造方法。
- 請求項7〜10のいずれか1項に記載の方法で製造された鋳物砂組成物と第三級アミンとの接触により該鋳物砂組成物を硬化させることを特徴とする軽合金鋳造用砂中子の製造方法。
Priority Applications (1)
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JP2002268686A JP4293770B2 (ja) | 2002-09-13 | 2002-09-13 | アミンガス硬化型鋳型用粘結剤組成物、これから得られる鋳物砂組成物及び軽合金鋳造用砂中子 |
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