JP4398299B2 - 鋳型用有機粘結剤及びこれを用いて得られる鋳物砂組成物並びに鋳型 - Google Patents

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Description

本発明は、鋳型用有機粘結剤及びこれを用いて得られる鋳物砂組成物並びに鋳型に係り、特に、砂型鋳造において使用されるフェノールウレタン系のガス硬化鋳型の造型に好適に用いられる鋳型用有機粘結剤と、この鋳型用有機粘結剤を用いて得られる鋳物砂組成物及びガス硬化鋳型に関するものである。
従来より、砂型鋳造において用いられる代表的な有機系鋳型の一つとして、フェノール樹脂とポリイソシアネート化合物を粘結剤として用い、それらの重付加反応を利用して造型されるフェノールウレタン系鋳型が、知られている。そして、このフェノールウレタン系鋳型としては、造型時に加熱を必要としない、アミンコールドボックス法により製造される量産型のガス硬化鋳型や、常温自硬性法により製造される非量産型の自硬性鋳型が、広く知られているのであるが、近年においては、鋳型の寸法精度や生産性等の観点から、アミンコールドボックス法により製造されるガス硬化鋳型が、注目されるようになっている。
より具体的には、上述せる如きアミンコールドボックス法は、通常、粒状耐火性鋳物砂に対して、ミキサーを用いて、有機溶剤を溶媒とするフェノール樹脂溶液とポリイソシアネート化合物溶液とからなる有機粘結剤を混練することにより、かかる鋳物砂の表面を該有機粘結剤で被覆してなる鋳物砂組成物(混練砂)とした後、これを、所定の造形用成形型内に吹き込んで鋳型を成形し、更にこれに、アミン系触媒ガスを通気せしめることにより、フェノール樹脂とポリイソシアネート化合物とのウレタン化反応を促進して、鋳物砂組成物を硬化させ、鋳型を短時間に作製する方法である。
このように、アミンコールドボックス法では、アミン系触媒ガスを接触せしめることにより、鋳物砂組成物の硬化を実現するようになっているのであるが、かかる鋳物砂組成物にあっては、鋳型用有機粘結剤を構成するフェノール樹脂成分とポリイソシアネート成分とが混合せしめられた時点から、ウレタン化反応が徐々に進行して、アミン系触媒ガスに接触せしめる前に硬化が始まってしまう傾向があるところから、かかる組成物の調製後、時間が経過した鋳物砂組成物を用いて作製された鋳型にあっては、調製直後の鋳物砂を用いて作製された鋳型に比して、鋳型強度、特にガス硬化直後の鋳型強度が弱くなったり、また、場合によっては、種々の造型不良が招来される等、鋳物砂組成物の可使時間に起因した造型トラブルが惹起され易いものであったのである。
そして、従来より、鋳物砂組成物の可使時間を延ばすための可使時間延長剤や硬化遅延剤として、種々の化合物が提案されてきている。例えば、米国特許第4436881号明細書(特許文献1)においては、可使時間を延長する化合物として、ジクロロアリールホスフィン、クロロジアリールホスフィン、アリールホスフィン酸ジクロリド等の有機リン化合物が提案されており、また、米国特許第4540724号明細書(特許文献2)においては、オキシ塩化リン、三塩化リン、五塩化リン等のハロゲン化リンが、提案されている。更に、イソフタル酸クロリドや、サリチル酸、安息香酸、リン酸、酸性リン酸エステル、ホウ酸等の酸類も、ウレタン化反応を抑制するところから、可使時間延長剤として、従来から用いられてきている。
しかしながら、上述せる如き従来の可使時間延長剤を用いることによって、新たに、ウレタン化反応を促進するためのアミン系硬化触媒の触媒作用が阻害されたりする等の問題が惹起される恐れがあり、未だ改良の余地が残されていたのである。
なお、本発明に関連する先行技術文献情報としては、次のものがある。
米国特許第4436881号明細書 米国特許第4540724号明細書 特公昭45−32820号公報 特公昭56−16169号公報 特公昭49−37486号公報 国際公開第03/042267号パンフレット
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、アミンコールドボックス法によるフェノールウレタン系鋳型の造型において、ガス硬化直後における鋳型強度を有利に向上せしめると共に、可使時間を充分に確保し得る鋳型用有機粘結剤、及びこの鋳型用有機粘結剤を用いて得られる、可使時間が延長された鋳物砂組成物、並びに、かかる鋳物砂組成物をガス硬化させることにより造型される鋳型を提供することにある。
そして、本発明者らは、そのような課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、フェノールウレタン系の有機粘結剤の必須の構成成分であるフェノール樹脂として、特定のフェノール樹脂、具体的には、フェノール類モノマーの含有割合が小さく、低分子量で且つ分子量分布が狭いフェノール樹脂を採用することによって、ガス硬化直後における鋳型強度が高度に確保され得ると共に、鋳物砂組成物の可使時間も有利に改善され得ることを、見出したのである。
従って、本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものであって、その第一の態様とするところは、フェノールウレタン系のガス硬化鋳型の造型に用いられ、フェノール樹脂とポリイソシアネート化合物と有機溶剤とを組み合わせてなる有機粘結剤であって、該フェノール樹脂として、ゲル濾過クロマトグラフィーによる測定で、フェノール類モノマーの含有量:3%以下、数平均分子量(Mn):200〜700、及び、かかる数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)との分散比(Mw/Mn):1.1〜1.6を満たすものを用いることを特徴とする鋳型用有機粘結剤にある。
また、本発明の第二の態様においては、前記フェノール樹脂として、オルソクレゾール型ノボラック樹脂が採用されることとなる。
さらに、本発明は、第三の態様として、上述せる如き鋳型用有機粘結剤を鋳物砂に対して混練せしめてなることを特徴とする鋳物砂組成物を、その要旨とする。
加えて、本発明は、第四の態様として、上述せる如き鋳物砂組成物に対して、第3級アミンガスを接触せしめることにより、該鋳物砂組成物を硬化させて、造型してなることを特徴とする鋳型をも、その要旨とするものである。
このような本発明に従う鋳型用有機粘結剤にあっては、フェノール樹脂として、フェノール類モノマーの含有量:3%以下、数平均分子量(Mn):200〜700、及び、かかる数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)との分散比(Mw/Mn):1.1〜1.6といった条件を満たす、フェノール類モノマーの含有割合が小さく、低分子量で且つ分子量分布が狭いフェノール樹脂が採用されているところから、アミン系硬化触媒を接触せしめる前における、フェノール樹脂とポリイソシアネート化合物とのウレタン化反応による硬化が効果的に抑制され得る一方、アミン系硬化触媒による硬化が有利に実現され得て、ガス硬化直後における鋳型強度が有利に向上せしめられるのである。
特に、本発明の第二の態様に従って、上述せる如きフェノール樹脂の中でも、オルソクレゾールを少なくとも構成原料とする、オルソクレゾール型ノボラック樹脂を用いると、ガス硬化直後における鋳型強度や鋳物砂組成物の可使時間が、より一層効果的に改善せしめられることとなる。なお、かかるオルソクレゾール型ノボラック樹脂は、ノボラック樹脂の中でも、有機溶剤への溶解性が良好であるといった特徴を有している。
また、本発明における鋳物砂組成物にあっては、上述せる如き鋳型用有機粘結剤を用いて調製されるものであるところから、硬化が抑えられ、可使時間が有利に向上せしめられるようになっている。
さらに、本発明における鋳型にあっては、上述せる如き鋳物砂組成物にて形成されているところから、鋳型強度、特にガス硬化直後の鋳型強度が、従来に比して、高度に確保されているのである。
ところで、このような本発明に従う有機粘結剤は、従来と同様に、フェノール樹脂とポリイソシアネート化合物と有機溶剤とを必須の構成成分として組み合わせてなる有機粘結剤であるが、本発明においては、その必須の構成成分の一つであるフェノール樹脂として、特定の条件を満たすフェノール樹脂が採用されるのであり、そこに、本発明の大きな特徴がある。
より具体的に、本発明においては、フェノール樹脂として、フェノール類モノマーの含有量:3%以下、数平均分子量(Mn):200〜700、及び、数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)との分散比(Mw/Mn):1.1〜1.6、の全ての条件を満たすもの、つまり、従来からフェノールウレタン系鋳型を造型する際に用いられてきている通常のフェノール樹脂に比して、フェノール類モノマーの含有割合が小さく、低分子量で、且つ分子量分布が狭いものが、採用されるのであり、このような条件を満たすフェノール樹脂を用いることによって、ガス硬化直後における鋳型強度を有利に向上せしめることが可能となると共に、鋳物砂組成物の可使時間を効果的に延ばすことの出来る鋳型用有機粘結剤が得られることとなる。
ここにおいて、上記フェノール類モノマーの含有量、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、及び分散比(Mw/Mn)は、何れも、ゲル濾過クロマトグラフィー(GPC)による測定で得られるものである。具体的には、フェノール類モノマーの含有量は、GPCによる測定で、検量線法によりフェノール類モノマーのピーク強度の相対的な大きさから算出されるものであり、また、分散比(Mw/Mn)は、GPC測定で得られる標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)から、重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で除することによって算出される。
なお、上述せる如きフェノール類モノマーの含有量が、3%を超えるようになると、フェノール樹脂とポリイソシアネート化合物との反応時に、フェノール樹脂中のフェノール類モノマーによって、ポリイソシアネート化合物の反応性基がキャッピングされて、ポリウレタンの架橋化や高分子化が阻害され、その結果、鋳型強度が低下するようになる。かかる範囲の中でも、0〜2%とされることが、より一層望ましい。
また、上述せる如き数平均分子量(Mn)の範囲は、フェノール類モノマーの種類に依存するものの、概して、フェノール類モノマーの二つが縮合した2核体から、フェノール類モノマーの4つが縮合した4核体程度までの分子量範囲であり、このような範囲のフェノール樹脂を用いることによって、可使時間を有利に延ばすことが可能となる。一方、数平均分子量(Mn)が、上記した範囲より大きくなると、鋳物砂組成物の調製後、かかる鋳物砂組成物が早く硬化してしまい、可使時間が短くなる他、得られる鋳型の強度も低下するようになるのであり、また、数平均分子量(Mn)が、上記した範囲より小さい場合には、フェノール類モノマーを多く含むこととなって、上述せるように、ポリウレタンの架橋化や高分子化が阻害され、鋳型強度が低下するようになる。そして、数平均分子量(Mnは、上記した範囲の中でも、300〜600の範囲とされることが、より一層望ましい。また、重量平均分子量(Mw)にあっても、数平均分子量(Mn)と同様に、大き過ぎる場合には、可使時間が短くなったり、得られる鋳型の強度が低下し、また、小さ過ぎる場合には、ポリウレタンの架橋化や高分子化が阻害されて、鋳型強度が低下するようになるところから、好ましくは220〜900、更に好ましくは400〜800の範囲とされることが、望ましい。
さらに、上記した数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)との分散比(Mw/Mn)が、上記した範囲を超えると、フェノール樹脂の分子量分布の幅が大きくなって、得られる鋳型の強度が低下したり、可使時間が短くなるといった問題が生じることとなる。また、下限については、特に制限されるものではないものの、フェノール樹脂の分散比(Mw/Mn)は、通常、1.1以上となるところから、本発明においても、1.1が下限とされる。なお、かかる分散比(Mw/Mn)は、前記した範囲の中でも、1.1〜1.3程度とされることが、より一層望ましい。
そして、本発明に従う鋳型用有機粘結剤において使用されるフェノール樹脂としては、上述せる如き各種の条件を満たすフェノール樹脂であれば、そのタイプ等は、特に制限されるものではなく、フェノール類とアルデヒド類とを付加・縮合反応せしめることにより得られる、ノボラック樹脂、レゾール樹脂、ベンジルエーテル型フェノール樹脂等、各種のタイプのフェノール樹脂が、何れも、採用され得るのであるが、通常、有機溶剤への溶解性やポリイソシアネートとの相溶性に優れたものが、好適に用いられることとなる。
なお、かかるフェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とを、反応触媒の存在下で付加・縮合せしめることによって製造されるのであるが、その原料の一つであるフェノール類(フェノール類モノマー)としては、例えば、フェノール、オルソクレゾール、メタクレゾール、パラクレゾール、レゾルシノール、キシレノール、ビスフェノール類、オルソ位に炭素数3以上、好ましくは炭素数3〜10の炭化水素基を有するオルソ置換フェノール類、パラ位に炭素数3以上、好ましくは炭素数3〜18の炭化水素基を有するパラ置換フェノール類、その他置換フェノール等を、例示することが出来る。そして、そのようなフェノール類のうちの1種が単独で用いられたり、或いはそのうちの2種以上が混合されて、用いられることとなる。
ここで、上記フェノール類のうち、ビスフェノール類としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビス(2−メチルフェノール)A、ビス(2−メチルフェノール)F、ビスフェノールS、ビスフェノールE、ビスフェノールZ等を挙げることが出来、また、オルソ置換フェノール類としては、2−プロピルフェノール、2−イソプロピルフェノール、2−sec−ブチルフェノール、2−tert−ブチルフェノール、2−フェニルフェノール、2−シクロヘキシルフェノール、2−ノニルフェノール、2−ナフチルフェノール等を挙げることが出来、更に、パラ置換フェノール類としては、4−プロピルフェノール、4−イソプロピルフェノール、4−sec−ブチルフェノール、4−tert−ブチルフェノール、4−フェニルフェノール、4−シクロヘキシルフェノール、4−ノニルフェノール、4−ナフチルフェノール、4−ドデシルフェノール、4−オクタデシルフェノール等を挙げることが出来る。
一方、フェノール樹脂の他の原料であるアルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、ホルマリン、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、パラアルデヒド、プロピオンアルデヒド等、従来から公知の各種アルデヒド類を例示することが出来る。そして、かかるアルデヒド類のうちの1種が単独で用いられたり、或いはそのうちの2種以上が混合されて、用いられる。また、かかるアルデヒド類は、一般に、フェノール類の1モルに対して、0.5〜3.0モルとなる割合において用いられるのであり、また、かかるアルデヒド類は、必要に応じて、水に溶解されて、水溶液の形態で反応に供されることとなる。
また、上記したフェノール類とアルデヒド類との付加・縮合反応に採用される触媒としては、特に限定されるものではなく、所望とするフェノール樹脂のタイプに応じて、酸性触媒、塩基性触媒等、従来からフェノール樹脂の製造に用いられている公知の各種の触媒が適宜に選択されて用いられる。具体的には、ノボラック型のフェノール樹脂を製造するに際しては、例えば、蓚酸や塩酸、硫酸、マレイン酸、リン酸等の酸が好適に用いられるのであり、また、レゾール型のフェノール樹脂を製造するに際しては、例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等の塩基が好適に採用され得るのであり、更に、ベンジルエーテル型のフェノール樹脂を製造するに際しては、例えば、ナフテン酸鉛、ナフテン酸亜鉛、酢酸鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、ホウ酸亜鉛、酸化鉛等の金属塩が好適に採用され得る(例えば、特許文献3〜5参照)。また、かかる触媒の使用量としては、特に限定されるものではなく、一般に、フェノール類の100質量部に対して、0.01〜200質量部となる割合が採用される。
そして、かかるフェノール類とアルデヒド類とを、反応触媒の存在下、付加・縮合せしめることによって、ノボラック樹脂、レゾール樹脂、ベンジルエーテル型フェノール樹脂、或いは、これらの変性フェノール樹脂等、各種のタイプのフェノール樹脂が製造されるのであり、本発明においては、これらの各種のフェノール樹脂の中でも、上述せる如き条件を満たすものが有利に製造されるという理由から、ノボラック樹脂が好ましく、その中でも、特に、フェノール類としてオルソクレゾールを少なくとも用いた、オルソクレゾール型ノボラック樹脂が、有機溶剤への良好な溶解性等の観点から、好適に用いられることとなる。
尤も、フェノールウレタン系の鋳型を造型する際には、ベンジルエーテル型フェノール樹脂やその変性樹脂が、最も一般的に用いられているのであるが、これらのフェノール樹脂にあっては、通常、低分子量〜高分子量のフェノール樹脂が含まれ、分子量分布の幅が非常に広くなっている。このため、上述せる如き条件を満足するように分画操作を実施したとしても、コストの高騰を免れ得ず、実用的ではなく、不向きである。
ところで、フェノール類モノマーの含有量:3%以下、数平均分子量(Mn):200〜700、及び、分散比(Mw/Mn):1.1〜1.6を満たすフェノール樹脂を得るには、常法に従って製造されたフェノール樹脂(一般に、分子量分布の幅が広いもの)から、上記分子量範囲の成分を、従来から公知の手法で分画して得ることが出来る。しかしながら、かかる分画操作によって、本発明に従う有機粘結剤のコストが極めて高くなるところから、フェノール樹脂の製造の段階で、フェノール類モノマーの含有割合が小さく、低分子量で且つ分子量分布が狭いフェノール樹脂が、ダイレクトに製造されることが、より一層望ましい。このため、フェノール樹脂の製造手法の中でも、国際公開第03/042267号パンフレット(特許文献6)やPCT/JP03/11045に記載されている、ノボラック樹脂の製造方法等が、特に有利に採用され得る。そして、このような手法にて製造されたフェノール樹脂を使用すれば、本発明に従う有機粘結剤組成物、更には、鋳物砂組成物及び鋳型の製造コストを低く抑えることが、可能となる。
而して、上述せる如き条件を満たすフェノール樹脂は、低粘度化、後述するポリイソシアネート溶液との相溶性、鋳物砂へのコーティング性、鋳型物性等の観点から、一般に、極性有機溶剤と非極性有機溶剤とを組み合わせてなる有機溶媒に溶解せしめられ、その濃度が、約30〜80質量%程度とされた溶液(以下、「フェノール樹脂溶液」と呼称する。)の状態で、本発明に従う有機粘結剤組成物の主たる成分の一つとして、用いられることとなる。
一方、本発明に従う鋳型用有機粘結剤において、主たる成分の他の一つとして使用されるポリイソシアネート化合物は、上述せる如きフェノール樹脂の活性水素と重付加反応することにより、鋳物砂同士をフェノールウレタンで化学的に結合せしめ得る、イソシアネート基を、分子内に2以上有する化合物であり、かかるポリイソシアネート化合物の具体例としては、芳香族、脂肪族或いは脂環式のポリイソシアネート、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(以下、ポリメリックMDIと呼称する。)、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートの他、これらポリイソシアネート化合物をポリオールと反応させて得られるイソシアネート基を2以上有するプレポリマー等、従来より公知の各種のポリイソシアネートを挙げることが出来、これらは、単独で用いても、或いは、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、かかるポリイソシアネート化合物にあっても、上述せる如きフェノール樹脂と同様の理由から、一般に、非極性有機溶剤、又は非極性溶媒と極性有機溶剤との混合溶剤を溶媒として用い、この有機溶媒に、濃度が、約40〜90質量%程度となるように溶解された溶液として、用いられることとなる。なお、使用するポリイソシアネート化合物の種類等によっては、必ずしも、有機溶媒に溶解せしめる必要はなく、その原液まま、使用することも可能である。以下では、ポリイソシアネート化合物の原液、及びポリイソシアネート化合物を有機溶媒に溶解せしめてなる溶液を含めて、ポリイソシアネート溶液と呼称する。
また、かかるポリイソシアネート溶液の、フェノール樹脂溶液に対する配合量としては、特に限定されるものではないものの、有効成分であるフェノール樹脂及びポリイソシアネート化合物の配合比率(重量基準)が、一般に、フェノール樹脂:ポリイソシアネート化合物=80:20〜20:80となるように、適宜に設定されることとなる。
また、本発明において、上記したフェノール樹脂やポリイソシアネート化合物を溶解せしめるための有機溶剤としては、ポリイソシアネート化合物には非反応性で、且つ溶解対象である溶質(フェノール樹脂又はポリイソシアネート化合物)に対して良溶媒であれば、特に制限されるものではないものの、一般に、(A)フェノール樹脂を溶解するための極性溶剤と、(B)フェノール樹脂の分離が生じない程度の量のポリイソシアネート化合物を溶解するための非極性溶剤とが組み合わされて用いられる。
より具体的には、上記(A)の極性溶媒としては、例えば、脂肪族カルボン酸エステル、その中でも、特に、環境安全性の観点から、ジカルボン酸メチルエステル混合物(デュポン社製;商品名:DBE;グルタル酸ジメチルとアジピン酸ジメチルとコハク酸ジメチルとの混合物)等のジカルボン酸アルキルエステル、菜種油メチルエステル等の植物油のメチルエステル、オレイン酸エチル、パルミチン酸エチル、これらの混合物等の脂肪酸モノエステル等のエステル類の他、例えば、イソホロン等のケトン類、イソプロピルエーテル等のエーテル類、フルフリルアルコール等を挙げることが出来、一方、上記(B)の非極性溶剤としては、例えば、パラフィン類、ナフテン類、アルキルベンゼン類等の石油系炭化水素類、具体例としては、イプゾール150(出光石油社製;石油系溶剤)、イプゾール100(出光石油社製;石油系溶剤)、ハイゾール(昭和シェル石油社製;石油系溶剤)等を例示することが出来る。
そして、フェノールウレタンを形成するフェノール樹脂溶液及びポリイソシアネート溶液とによって、本発明に従う鋳型用有機粘結剤が形成されることとなるのであるが、この有機粘結剤には、更に必要に応じて、可使時間延長剤や、離型剤、強度劣化防止剤、乾燥防止剤等、従来より鋳型用有機粘結剤に使用されている公知の各種添加剤を、適宜に選択して、配合することも可能である。但し、これらの各種添加剤は、本発明によって享受され得る効果を阻害しない量的範囲において、使用され得ることは、勿論、言うまでもないところである。
なお、上述せる如き各種添加剤のうち、可使時間延長剤(硬化遅延剤)は、従来より、ウレタン化反応を抑制し、鋳物砂組成物の可使時間を延長するための成分として、用いられているものであり、本発明のフェノール樹脂による可使時間延長効果を、更に補助するために用いられ得る。好ましい具体例としては、イソフタル酸クロリド、サリチル酸、安息香酸、リン酸、酸性リン酸エステル、リン系クロライド、ホウ酸等を挙げることが出来る。
また、離型剤は、本発明に従う有機粘結剤を用いて得られる鋳型を成形型から抜型する際の抵抗を小さくすると共に、成形型内に吹き込み充填された鋳物砂組成物の一部が鋳型の抜型時に型に付着することによって発生するシミツキを防止し、スムーズ且つ精度の高い鋳型を得るために用いられる添加剤であり、好適な例としては、例えば、長鎖脂肪酸、長鎖脂肪酸エステル、トール油脂肪酸、アルキッド樹脂、液状ポリブタジエン等が挙げられる。これらは、一般に、フェノール樹脂の100質量部に対して、0.01〜100質量部程度、好ましくは0.1〜10質量部程度となる割合において用いることが出来る。
さらに、強度劣化防止剤は、多湿環境下における鋳型強度の劣化を抑制すると共に、有機粘結剤の樹脂成分と鋳物砂との接着性の向上を図るために用いられるものであって、好適な例としては、例えば、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ系シランや、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシ系シラン等のシランカップリング剤を挙げることが出来る。かかる強度劣化防止剤の使用量としては、一般に、フェノール樹脂の100質量部に対して、0.01〜5質量部程度、好ましくは0.05〜2.5質量部程度となる割合が、採用される。
かくして、上述せる如き各種成分によって、本発明に従う鋳型用有機粘結剤が構成され、この鋳型用有機粘結剤を用いて、フェノールウレタン系のガス硬化鋳型が造型されることとなるのである。
具体的に、アミンコールドボックス法によるガス硬化鋳型を造型するに際しては、先ず、鋳物砂に対して、鋳型用有機粘結剤を混練せしめることにより、かかる鋳物砂表面を鋳型用有機粘結剤で被覆してなる鋳物砂組成物(混練砂)が、製造されることとなる。即ち、鋳物砂に対して、有機粘結剤として、フェノール樹脂溶液と、ポリイソシアネート溶液と、更に必要に応じて、その他、各種添加剤を、充分に混練,混合することによって、鋳物砂表面に鋳型用有機粘結剤をコーティングして、鋳物砂組成物が製造されるのである。なお、この際、各種添加剤は、鋳物砂組成物に均一に混合され得るように、別個に調製されたフェノール樹脂溶液とポリイソシアネート溶液の何れか一方に、若しくは、両方に添加されて混合されるか、或いは、適当な有機溶剤に溶解乃至は分散せしめて、これを、混練時に、フェノール樹脂溶液やポリイソシアネート溶液と共に、鋳物砂に対して混合せしめるか、或いは、フェノール樹脂製造時の縮合完了後に添加されて混合されることも可能である。
また、この鋳物砂組成物を製造する際に、鋳型用有機粘結剤を構成するフェノール樹脂溶液とポリイソシアネート溶液は、これらを混合した段階から、徐々にウレタン化(硬化)が始まるところから、予め、別々に調製されて準備され、通常、鋳物砂との混練時に混合されることとなる。更に、混練・混合操作は、従来と同様な連続式乃至はバッチ式ミキサーを用いて、好適には、−10〜50℃の範囲の温度で行なわれることが望ましい。
そして、上述せる如くして得られた鋳物砂組成物を、所望とする形状を与える成形型内で賦形した後、これに対して、硬化触媒である第3級アミンガスを通気することにより、鋳物砂組成物の硬化反応が促進せしめられて、ガス硬化鋳型が製造されることとなるのである。なお、硬化触媒として用いられる第3級アミンとしては、例えば、トリエチルアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチルイソプロピルアミン等、従来から公知のものを例示することが出来、それらのうちの少なくとも1種が選択されて、通常の量的範囲で用いられる。
ところで、上記したガス硬化鋳型を与える鋳物砂組成物の調製において、鋳物砂に対するフェノール樹脂溶液やポリイソシアネート溶液の配合量としては、それぞれ、有効成分であるフェノール樹脂及びポリイソシアネート化合物の配合量が、鋳物砂の100質量部に対して、それぞれ、0.01〜5.0質量部、好ましくは0.1〜2.0質量部となる割合が、好適に採用され得ることとなる。
また、本発明において用いられる鋳物砂としては、従来より鋳型用に用いられている耐火性のものであれば、天然砂であっても人工砂であってもよく、特に限定されるものではない。例えば、ケイ砂、オリビンサンド、ジルコンサンド、クロマイトサンド、アルミナサンド、フェロクロム系スラグ、フェロニッケル系スラグ、転炉スラグ、ムライト系人工粒子(例えば、伊藤忠セラテック株式会社から入手することの出来る商品名「ナイガイセラビーズ」)、フェロニッケル系スラグを造粒してなる人工骨材(例えば、山川産業株式会社から入手することの出来る商品名「サンパール」)等が挙げられ、これらのうちの1種、或いは、2種以上が組み合わされて用いられ得るのである。なお、これらの鋳物砂は、新砂であっても、或いは、鋳物砂として、鋳型の造型に1回或いは複数回、使用された回収砂又は再生砂であっても、更には、そのような再生砂や回収砂に新砂を加えて混合した、混合砂であっても、何等差支えない。ここにおいて、「回収砂」とは、鋳型を鋳ばらし後、集められた鋳型塊を、クラッシャー等の従来から公知の破砕機を用いて、砂粒状になるまで、破砕したものを意味し、また、「再生砂」とは、そのような回収砂に対して、従来から公知の再生処理操作を施したものを意図している。
而して、上述せる如くして得られたガス硬化鋳型にあっては、フェノール樹脂として、特定の条件を満たすものが用いられているところから、調製後に時間が経過した鋳物砂組成物を用いても、ガス硬化直後における鋳型強度が高度に確保され、これにて、抜型等の操作も良好に実施され得るものとなっているのである。そして、かかるガス硬化鋳型は、砂中子等の砂型として、アルミニウム合金やマグネシウム合金、鉄等の各種金属からなる鋳物製品の鋳造に、有利に用いられ得るのである。
以下に、本発明の幾つかの実施例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。
先ず、フェノール樹脂として、下記表1に示されるA〜Lの12種類のフェノール樹脂を、後述せる如くして調製した。そして、得られたフェノール樹脂の一部を用いて、東ソー(株)製ゲル濾過クロマトグラフSC−8020シリーズビルドアップシステム(カラム:G1000HXL+G2000XL、検出器:UV254nm、キャリヤ:テトラヒドロフラン 1ml/min、カラム温度:38℃)の測定で、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を求めた。また、かかる重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)から、分散比(Mw/Mn)を算出した。更に、GPC測定で得られたチャートにおける分子量分布のピーク高さから、検量線法によりフェノール類モノマーの含有量(%)を求めた。そして、得られた重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分散比(Mw/Mn)及びフェノール類モノマーの含有量を、下記表1に併せて示した。
Figure 0004398299
−フェノール樹脂A〜Gの調製−
温度計、攪拌装置、及びコンデンサを備えた反応容器内に、上記表1に示される配合組成となるように、オルソクレゾール、92%パラホルムアルデヒド、89%リン酸水溶液(触媒)、メタノール(補助溶剤)を仕込んだ後、攪拌混合により形成される白濁状態(2相混合物)の下で、還流温度(98〜102℃)まで徐々に昇温し、更にかかる還流温度で、10時間、縮合反応を行なってから、反応を停止した。
次いで、攪拌混合しながらメチルイソブチルケトンを添加して、縮合物を溶解した後、攪拌混合を停止して内容物を分液フラスコ内に移して静置し、メチルイソブチルケトン溶液層(上層)とリン酸水溶液層(下層)に分離させた。次いで、リン酸類溶液層を除去し、メチルイソブチルケトン溶液を数回水洗して、リン酸を除いた後、再び、内容物を反応容器内に戻し、減圧蒸留で、メチルイソブチルケトンを完全に除去することによりオルソクレゾール型ノボラック樹脂(フェノール樹脂A〜G)を得た。
−フェノール樹脂Hの調製−
還流器、温度計及び攪拌機を備えた三つ口反応フラスコ内に、上記表1に示される配合組成となるように、フェノール、92%パラホルムアルデヒド、及びナフテン酸鉛(触媒)を仕込み、還流温度で90分間反応を行なった後、加熱濃縮して、水分含有量が1重量%以下のベンジルエーテル型のフェノール樹脂(フェノール樹脂H)を得た。
−フェノール樹脂Iの調製−
還流器、温度計及び攪拌機を備えた三つ口反応フラスコ内に、上記表1に示される配合組成となるように、フェノール、オルソクレゾール、92%パラホルムアルデヒド、及びナフテン酸鉛(触媒)を仕込み、還流温度で90分間反応を行なった後、加熱濃縮して、水分含有量が1重量%以下のベンジルエーテル型のフェノール樹脂(フェノール樹脂I)を得た。
−フェノール樹脂Jの調製−
還流器、温度計及び攪拌機を備えた三つ口反応フラスコ内に、オルソクレゾール1543g、92%パラホルムアルデヒド887g、及び水2026gを仕込み、そこに、48%NaOH水溶液1200gを2.5時間かけて滴下した後、50℃で1時間反応させた。その後、水1176gを加え、30℃に冷却した後、30%硫酸でpH=7となるように中和した。静置後、下層を取り除き、上層(油層)を、蓚酸水で水洗した。
その後、油層にオルソクレゾール4651g、蓚酸18.5gを加え、95℃で2時間反応させた後、水洗し、減圧濃縮を行なって、オルソクレゾール型ノボラック樹脂(フェノール樹脂J)を得た。
−フェノール樹脂Kの調製−
還流器、温度計及び攪拌機を備えた三つ口反応フラスコ内に、オルソクレゾール4000g、92%パラホルムアルデヒド936g、水896g、蓚酸20gを仕込み、100℃にて、6時間反応させた。その後、減圧濃縮を行なって、オルソクレゾール型ノボラック樹脂(フェノール樹脂K)を得た。
−フェノール樹脂Lの調製−
還流器、温度計及び攪拌機を備えた三つ口反応フラスコ内に、オルソクレゾール4000g、92%パラホルムアルデヒド604g、水578g、蓚酸20gを仕込み、100℃にて、6時間反応させた。水洗後、減圧濃縮を行なって、オルソクレゾール型ノボラック樹脂(フェノール樹脂L)を得た。
そして、上述せる如くして得られた各種フェノール樹脂A〜Lを、下記表2又は表3に示される有機溶剤(DBEとイプゾール100との混合溶剤又はイプゾール100の単独溶剤)を用いて希釈すると共に、フェノール樹脂に対して0.5重量%のγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを加えて、フェノール樹脂分が50重量%である、実施例1〜8及び比較例1〜7に係るフェノール樹脂溶液を調製する一方、ポリイソシアネート溶液を、以下のように調製,準備した。なお、上記フェノール樹脂溶液の調製の際、比較例3及び4においては、フェノール樹脂と有機溶剤が相溶せず、相分離したため、そのまま使用すると、硬化不足等が惹起されることから、以下の鋳型造型を実施しなかった。
−ポリイソシアネート溶液の調製−
ポリイソシアネート化合物であるポリメリックMDIを、イプゾール150:ハイゾール=60:40の有機溶剤を用いて希釈すると共に、フタル酸クロライドをポリメリックMDIの0.93重量%となるように加えて、ポリイソシアネート化合物分が75重量%のポリイソシアネート溶液を調製した。
そして、鋳物砂(珪砂)の100質量部に対して、上記で準備されたフェノール樹脂溶液とポリイソシアネート溶液とを、それぞれ、1質量部及び1質量部の割合で、添加し、40秒間混練することにより、実施例1〜8及び比較例1〜7に係る鋳物砂組成物を調製し、かかる鋳物砂組成物を用いて、以下に示す試験法により、抜型直後の鋳型強度を測定し、得られた結果を、下記表2及び表3に併せて示した。
−抜型直後の鋳型強度の測定−
コールドボックス造型機のサンドマガジン内に、混練後(調製後)の待機時間が0〜300分である鋳物砂組成物(混練砂)を投入後、この鋳物砂組成物を、曲げ強度試験片造型装置の金型内に充填し、次いで、かかる金型内に、トリエチルアミンを通気することにより、幅:30mm×長さ:85mm×厚み:10mmの2個の曲げ強度試験片を作製した。なお、ブロー条件は、圧力:0.3MPa×時間:3秒とする一方、トリエチルアミンのガッシング時間+エアーパージ条件は、圧力:0.3MPa×時間:10秒とした。そして、得られた試験片の曲げ強度(N/cm2 )を、直ちに、小型圧縮曲げ試験機SC200D(高千穂精機社製)を用いて測定し、抜型直後の鋳型強度とした。なお、待機時間が0分である、混練直後(調製直後)の鋳物砂組成物以外は、温度:40℃×相対湿度:60%の環境下、ポリエチレン製のバケツの中で、所定時間(60,120,240,300分)、放置して、待機時間が60〜300分の鋳物砂組成物とした。また、混練直後の強度に対し、待機後の強度値が高いほど、可使時間に優れていると、評価される。
Figure 0004398299
Figure 0004398299
かかる表2及び表3の結果からも明らかなように、実施例1〜8にあっては、抜型直後の鋳型強度が、比較例1〜7に比して効果的に高められていることが分かる。また、待機時間が300分であっても、抜型直後の鋳型強度が189N/cm2 以上となっており、可使時間を大幅に延長することが出来る。

Claims (4)

  1. フェノールウレタン系のガス硬化鋳型の造型に用いられ、フェノール樹脂とポリイソシアネート化合物と有機溶剤とを組み合わせてなる有機粘結剤であって、該フェノール樹脂として、ゲル濾過クロマトグラフィーによる測定で、フェノール類モノマーの含有量:3%以下、数平均分子量(Mn):200〜700、及び、かかる数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)との分散比(Mw/Mn):1.1〜1.6を満たすものを用いることを特徴とする鋳型用有機粘結剤。
  2. 前記フェノール樹脂が、オルソクレゾール型ノボラック樹脂である請求項1に記載の鋳型用有機粘結剤。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の鋳型用有機粘結剤を、鋳物砂に対して混練せしめてなることを特徴とする鋳物砂組成物。
  4. 請求項3に記載の鋳物砂組成物に対して、第3級アミンガスを接触せしめることにより、該鋳物砂組成物を硬化させて、造型してなることを特徴とする鋳型。
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