JP4615346B2 - 鋳型用有機粘結剤及びこれを用いて得られる鋳物砂組成物並びに鋳型 - Google Patents

鋳型用有機粘結剤及びこれを用いて得られる鋳物砂組成物並びに鋳型 Download PDF

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Description

本発明は、砂型鋳造において使用されるフェノールウレタン系のガス硬化鋳型又は自硬性鋳型の造型に用いられる鋳型用有機粘結剤、及びこれを用いて得られる鋳物砂組成物並びに鋳型に関するものである。
従来より、砂型鋳造において用いられる代表的な有機系鋳型の一つとして、フェノール樹脂とポリイソシアネート化合物を粘結剤として用い、それらの重付加反応(ウレタン化反応)を利用して造型されるフェノールウレタン系鋳型が、知られている。そして、このフェノールウレタン系鋳型としては、造型時に加熱を必要としない、コールドボックス法により製造される量産型のガス硬化鋳型や、常温自硬性法により製造される非量産型の自硬性鋳型が、広く知られている。
具体的には、コールドボックス法によるガス硬化鋳型は、通常、粒状耐火性鋳物砂を、ミキサーを用いて、有機溶剤を溶媒とするフェノール樹脂溶液とポリイソシアネート化合物溶液とからなる鋳型用有機粘結剤と混練することにより、鋳物砂の表面を有機粘結剤で被覆してなる鋳物砂組成物を製造した後、かかる鋳物砂組成物を、所定の成形型内に吹き込んで鋳型を成形し、これに、アミン系ガス等の触媒ガスを通気せしめて硬化を行なうことにより、製造されている。また、常温自硬性法による自硬性鋳型にあっては、粒状耐火性鋳物砂を、有機溶剤を溶媒とするフェノール樹脂溶液とポリイソシアネート化合物溶液とからなる鋳型用有機粘結剤と混練する際に、硬化触媒も混合し、得られた混合物を、直ちに所期の形状に成形することにより、製造されている。
しかしながら、そのような有機粘結剤を用いて得られる鋳物砂組成物から造型されるフェノールウレタン系鋳型にあっては、その造型時において、硬化した鋳型をその成形型たる金型から抜型する際に、金型表面に、硬化した粘結剤被覆鋳物砂が強固に付着し、更にそのような造型操作の繰返しによって、金型表面に堆積して、中子等の鋳型の造型不良を惹起する、所謂「しみつき」の問題があった。
このため、特公昭48−32253号公報(特許文献1)においては、そのような「しみつき」防止のために、脂肪酸を、鋳物砂組成物に配合して、造型を行なうことにより、硬化した鋳物砂が型表面に粘着しないようにした、鋳型の製造方法が明らかにされているが、本発明者等が検討したところ、そのような脂肪酸を「しみつき防止剤」として用いた場合にあっても、その効果は未だ充分なものではなく、特に、成形型(金型)を繰返し使用した場合において、硬化した鋳物砂の型表面における「しみつき量」が増大する問題を内在しており、また、鋳型強度に関しても、特に製造してから長時間が経過した鋳物砂組成物を用いて、鋳型を造型した場合において、得られる鋳型が充分な強度を有していない等の問題をも内在するものであることが、明らかとなったのである。
特公昭48−32253号公報
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題をするところは、フェノールウレタン系の鋳型を造型するに際して、優れた鋳型強度を確保しつつ、硬化した鋳物砂組成物が型表面に付着する「しみつき」の問題を、有利に解消乃至は低減せしめることにあり、また、鋳物砂との混練から長時間が経過したものを使用して造型して得られる鋳型であっても、その強度を有利に高め得る技術を提供することにもある。
そして、本発明は、そのような課題を解決するために、フェノールウレタン系のガス硬化鋳型又は自硬性鋳型の造型に用いられる有機粘結剤であって、フェノール樹脂とポリイソシアネート化合物と有機溶剤と共に、リシノレイン酸の縮合生成物であって、中和価が10〜100であり、且つ縮合度が1.8以上であるものを、必須の構成成分として用いてなることを特徴とする鋳型用有機粘結剤を、その要旨とするものである。
また、本発明にあっては、鋳物砂に対して、上述の如き鋳型用有機粘結剤を混練せしめてなることを特徴とする鋳物砂組成物をも、その要旨としている。
さらに、本発明にあっては、かかる鋳物砂組成物に対して、触媒ガスを接触させることにより、該鋳物砂組成物を硬化せしめて形成されるガス硬化鋳型や、鋳物砂に対して硬化触媒と共に、前記した鋳型用有機粘結剤を混練せしめることにより、形成される自硬性鋳型をも、その要旨としているのである。
このように、本発明に従う鋳物用有機粘結剤にあっては、その必須の構成成分として、従来からのフェノール樹脂、ポリイソシアネート化合物及びそれらを溶解せしめるための有機溶剤に加えて、アルコール性水酸基を有する不飽和脂肪酸であるリシノレイン酸の所定の縮合生成物を用いていることにより、そのような有機粘結剤と鋳物砂から構成される鋳物砂組成物を用いた鋳型の造型に際して、その硬化物が型表面に付着するのを効果的に抑制乃至は阻止して、繰り返し、鋳型の造型操作を実施しても、硬化した鋳物砂組成物の付着に基づくところの「しみつき量」の増大が、効果的に抑制され、以って、一つの型による鋳型の造型数量が増大せしめられ得ることとなり、鋳型の生産性が有利に向上せしめられ得ることとなった他、造型作業が顕著に改善され、更には、造型コストの低減にも有利に寄与し得ることとなったのである。
しかも、そのような鋳型用有機粘結剤を用いて製造される鋳物砂組成物にあっては、その製造(鋳物砂との混練)から長時間が経過したものを使用して、目的とする鋳型を造型した場合にあっても、得られる鋳型の強度は、充分に高いものとなるのであり、造型直後に加えて、24時間後における鋳型の強度が高いことにより、鋳型の損傷等の問題を効果的に回避して、実際の造型現場において、有利に用いられ得るのである。
発明の態様
ところで、本発明は、前記した課題を解決するために、以下に列挙せる如き各種の態様において、好適に実施され得るものであるが、また、以下に記載の各態様は、任意の組み合わせにて採用可能である。なお、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに何等限定されることなく、明細書全体の記載及び図面に記載の発明思想に基づいて認識され得るものであることが、理解されるべきである。
(1) フェノールウレタン系のガス硬化鋳型又は自硬性鋳型の造型に用いられる有機粘結剤であって、フェノール樹脂とポリイソシアネート化合物と有機溶剤と共に、リシノレイン酸の縮合生成物であって、中和価が10〜100であり、且つ縮合度が1.8以上であるものを、必須の構成成分として用いてなることを特徴とする鋳型用有機粘結剤。
(2) 前記縮合生成物が、70以上のヨウ素価を有している上記態様(1)に記載の鋳型用有機粘結剤。
ここで、かかる中和価は、縮合生成物中のカルボキシル基の数の指標となるものであって、本態様()の如く、中和価の低い、従ってカルボキシル基(酸)の数の少ない方が、しみつき防止効果を有利に高め得るのである。
(3) 前記縮合生成物が、5以上のヒドロキシル価を有している上記態様(1)又は態様(2)に記載の鋳型用有機粘結剤。
(4) 前記縮合生成物が、リシノレイン酸の4〜6分子の縮合されたものにて主として構成されている上記態様(1)乃至態様(3)の何れか1つに記載の鋳型用有機粘結剤。
(5) 前記縮合生成物が、それに残存するカルボキシル基乃至は水酸基をそれらに反応し得る化合物と反応せしめてなる形態において、用いられる上記態様(1)乃至態様(4)の何れか1つに記載の鋳型用有機粘結剤。
(6) 可使時間延長剤が、必須の構成成分として更に用いられる上記態様(1)乃至態様(5)の何れか1つに記載の鋳型用有機粘結剤。
(7) 鋳物砂に対して、上記態様(1)乃至態様(6)の何れか1つに記載の鋳型用有機粘結剤と混練せしめてなることを特徴とする鋳物砂組成物。
(8) 上記態様(7)に記載の鋳物砂組成物に対して、触媒ガスを接触させることにより、該鋳物砂組成物を硬化せしめて、形成されるガス硬化鋳型。
(9) 鋳物砂に対して、硬化触媒と共に、上記態様(1)乃至態様(6)の何れか1つに記載の鋳型用有機粘結剤を混練せしめることにより形成される自硬性鋳型。
そして、このような本発明に従う鋳型用有機粘結剤において、その主たる成分の一つとして使用されるフェノール樹脂としては、特に限定されるものではなく、従来からフェノールウレタン系の鋳型を造型する際に用いられる、公知の各種のフェノール樹脂が、適宜に用いられ得るものである。具体的には、反応触媒の存在下、フェノール類とアルデヒド類とを、フェノール類の1モルに対して、アルデヒド類が、一般に、0.5〜3.0モル程度の割合になるようにして、付加・縮合反応せしめて得られる、有機溶媒に可溶なベンジルエーテル型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂、及びこれらの変性フェノール樹脂、並びにこれらの混合物を例示することが出来、これらのうちの1種又は2種以上が、適宜に選択されて用いられるのである。これらの中でも、特に、オルソクレゾールで変性したオルソクレゾール変性フェノール樹脂、更に好ましくは、ベンジルエーテル型のオルソクレゾール変性フェノール樹脂、及び、これら混合物にあっては、有機溶剤への溶解性やポリイソシアネートとの相溶性に優れているのみならず、得られる鋳型の強度(初期強度)等を効果的に向上せしめ得るところから、本発明においては、好適に用いられることとなる。
なお、上記したフェノール類とアルデヒド類との付加・縮合反応の際に用いられる触媒としては、特に限定されるものではなく、所望とするフェノール樹脂のタイプに応じて、公知の酸性触媒や、塩基性触媒の他、従来からフェノール樹脂の製造に用いられている各種の触媒が、適宜に用いられる。そして、そのような触媒としては、スズ、鉛、亜鉛、コバルト、マンガン、ニッケル等の金属元素を有する金属塩等を例示することが出来、より具体的には、ナフテン酸鉛、ナフテン酸亜鉛、酢酸鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、ホウ酸亜鉛、酸化鉛の他、このような金属塩を形成し得る酸と塩基の組合せ等が挙げられる。また、かかる金属塩を反応触媒として採用する場合に、その使用量としては、特に限定されるものではないものの、一般に、フェノール類の100重量部に対して、0.01〜5重量部程度となる割合で、使用されることとなる。
また、フェノール樹脂を与えるフェノール類としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、p−tert−ブチルフェノール、ノニルフェノール等のアルキルフェノール、レゾルシノール、ビスフェノールF、ビスフェノールA等の多価フェノール、及びこれらの混合物等が挙げられる一方、アルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、ホルマリン、パラホルムアルデヒド、ポリオキシメチレン、グリオキザール、フルフラール、及びこれらの混合物等が挙げられる。
さらに、上述せるように、本発明において有利に採用され得るフェノール樹脂の一つである、オルソクレゾール変性フェノール樹脂としては、例えば、金属塩等の反応触媒の存在下において、オルソクレゾール及びフェノールを、アルデヒド類と反応せしめて得られる、(1)オルソクレゾールとフェノールとの共縮合型オルソクレゾール変性フェノール樹脂、(2)オルソクレゾール樹脂とフェノール樹脂との混合型オルソクレゾール変性フェノール樹脂の他、これら(1)及び(2)の樹脂を変性剤(改質剤)で改質した、(3)改質型オルソクレゾール変性フェノール樹脂、及び、(1)、(2)及び(3)のうちの2種以上を組み合わせた混合物等を例示することが出来る。
より具体的には、上記した(1)の共縮合型オルソクレゾール変性フェノール樹脂は、オルソクレゾール及びフェノールを、同時的又は段階的に、アルデヒド類と反応させて得られる共縮合樹脂であって、使用する反応触媒の種類等、反応条件によって、ノボラック型、レゾール型、ベンジルエーテル型、及びこれらのタイプを組み合わせた共縮合型オルソクレゾール変性フェノール樹脂が得られるが、本発明においては、上述せるように、ベンジルエーテル型の共縮合型オルソクレゾール変性フェノール樹脂が好ましく用いられる。なお、オルソクレゾールとフェノールとの配合比率としては、鋳型の初期強度の向上等の観点から、好ましくは、オルソクレゾール/フェノール(重量比)=10/90〜90/10、より好ましくは、20/80〜80/20が望ましい。
また、上記した(2)の混合型オルソクレゾール変性フェノール樹脂は、オルソクレゾールとアルデヒド類とを反応させて得られる、ノボラック型、レゾール型及びベンジルエーテル型のオルソクレゾール樹脂の群から選ばれる少なくとも1種のオルソクレゾール樹脂と、フェノールとアルデヒド類とを反応させて得られる、ノボラック型、レゾール型及びベンジルエーテル型のフェノール樹脂の群から選ばれる少なくとも1種のフェノール樹脂とを、混合して得られるものである。これらの中でも、本発明においては、ベンジルエーテル型オルソクレゾール樹脂とベンジルエーテル型フェノール樹脂とを混合した、ベンジルエーテル型の混合型オルソクレゾール変性フェノール樹脂が好ましく用いられる。なお、かかる混合型オルソクレゾール変性フェノール樹脂にあっても、鋳型の初期強度の向上等の観点から、オルソクレゾールとフェノールとの配合比率が上述せる範囲となるように、オルソクレゾール樹脂とフェノール樹脂とが、好ましくは、オルソクレゾール樹脂/フェノール樹脂(重量比)=10/90〜90/10、より好ましくは、20/80〜80/20の割合にて混合されることとなる。
加えて、上記した(3)の改質型オルソクレゾール変性フェノール樹脂は、共縮合型オルソクレゾール変性フェノール樹脂、オルソクレゾール樹脂又はフェノール樹脂の製造時乃至は製造後に、それらの樹脂を、更に任意の変性剤(改質剤)、例えば、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、キシレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、尿素系化合物、メラミン系化合物、エポキシ系化合物、フルフリルアルコール、ポリビニルアルコール、尿素、アミド類、アマニ油、カシューナッツ殻液、ロジン、澱粉類、単糖類等と、混合乃至は反応せしめることによって改質された、ノボラック型、レゾール型及びベンジルエーテル型の樹脂の群から選ばれる少なくとも1種の改質型オルソクレゾール変性フェノール樹脂である。これらの中でも、本発明においては、ベンジルエーテル型の改質型オルソクレゾール変性フェノール樹脂が、有利に用いられる。
而して、本発明の鋳型用有機粘結剤において、その主たる成分の一つとして使用されるフェノール樹脂は、低粘度化、後述するポリイソシアネート溶液との相溶性、鋳物砂へのコーティング性、鋳型物性等の観点から、一般に、極性有機溶剤と非極性有機溶剤とを組み合わせてなる有機溶媒に溶解せしめられ、その濃度が、約30〜80重量%程度とされた溶液(以下、「フェノール樹脂溶液」という。)の状態で、用いられることとなる。
一方、本発明に従う鋳型用有機粘結剤において、その主たる成分の他の一つとして使用されるポリイソシアネート化合物は、上述せる如きフェノール樹脂の活性水素と重付加反応することにより、鋳物砂同士をフェノールウレタンで化学的に結合せしめ得るイソシアネート基を、分子内に2以上有する化合物である。そのようなポリイソシアネート化合物の具体例としては、芳香族、脂肪族或いは脂環式のポリイソシアネート、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(以下、「ポリメリックMDI」という。)ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートの他、これらポリイソシアネート化合物をポリオールと反応させて得られるイソシアネート基を2以上有するプレポリマー等、従来より公知の各種ポリイソシアネートを挙げることが出来、これらは、単独で用いても、或いは、2種以上を組み合わせて用いても良い。
また、かかるポリイソシアネート化合物にあっても、上述せる如きフェノール樹脂と同様の理由から、一般に、非極性有機溶剤、又は非極性有機溶剤と極性溶剤との混合溶剤を溶媒として用い、この有機溶媒に、濃度が、約40〜90重量%程度となるように溶解された溶液として用いられることとなる。なお、使用するポリイソシアネート化合物の種類等によって、必ずしも、有機溶媒に溶解せしめる必要はなく、その原液のまま、使用することも可能である。以下では、ポリイソシアネート化合物の原液、及びポリイソシアネート化合物を有機溶媒に溶解せしめてなる溶液を含めて、ポリイソシアネート溶液と呼称する。
なお、ここにおいて、上述したフェノール樹脂やポリイソシアネート化合物を溶解せしめるための有機溶剤としては、ポリイソシアネート化合物には非反応性で、且つ溶解対象である溶質(フェノール樹脂又はポリイソシアネート化合物)に対して良溶媒であれば、特に制限されるものではないものの、一般に、i)フェノール樹脂を溶解するための極性溶剤と、ii)フェノール樹脂の分離が生じない程度の量のポリイソシアネート化合物を溶解するための非極性溶剤とが組み合わされて用いられる。
より具体的には、上記i)の極性溶剤としては、例えば、脂肪族カルボン酸エステル、その中でも、特に、環境安全性の観点から、ジカルボン酸メチルエステル混合物(デュポン社製;商品名:DBE;グルタル酸ジメチルとアジピン酸ジメチルとコハク酸ジメチルとの混合物)等のジカルボン酸アルキルエステル、菜種油メチルエステル等の植物油のメチルエステル、オレイン酸エチル、パルミチン酸エチル、これらの混合物等、脂肪酸モノエステル等のエステル類の他、例えば、イソホロン等のケトン類、イソプロピルエーテル等のエーテル類、フルフリルアルコール等を挙げることが出来る。また、上記ii)の非極性溶剤としては、例えば、パラフィン類、ナフテン類、アルキルベンゼン類等の石油系炭化水素類、具体例としては、イプゾール150(出光興産株式会社製;石油系溶剤)、HAWS(シェル・ケミカルズ・ジャパン株式会社製;石油系溶剤)等を例示することが出来る。
そして、本発明に従う鋳型用有機粘結剤にあっては、上記したフェノール樹脂溶液とポリイソシアネート溶液の他に、更に、アルコール性水酸基を有する不飽和脂肪酸の所定の縮合生成物が、必須の構成成分として用いられるのであって、これにより、そのような鋳型用有機粘結剤を用いて得られた鋳物砂組成物から、目的とする鋳型の造型を行なうことにより、型表面に対する鋳物砂の「しみつき」を効果的に抑制して、型の造型可能回数を効果的に高め得ると共に、型面の清掃や離型剤の塗布等の作業を低減せしめて、造型作業の停止、ひいては生産性の低下を軽減する他、得られる鋳型の強度等の特性の向上をも、効果的に図り得ることとなったのである。
なお、そのような優れた作用・効果の発現に寄与する、アルコール性水酸基を有する不飽和脂肪酸の所定の縮合生成物は、少なくとも一つのアルコール性水酸基とカルボキシル基と不飽和結合とを有する脂肪族化合物の縮合生成物であって、一般に、そのような脂肪族化合物の自己縮合物が用いられることとなるが、また、その自己縮合物に、更にグリセリン等の多価アルコールを反応せしめてなる縮合物も用いられ得る他、前記した所定の脂肪族化合物(アルコール性水酸基を有する不飽和脂肪酸)とグリセリン等の多価アルコールとの共縮合物を用いることも、可能である。
また、かかる本発明に用いられる縮合生成物を与える、上述の如き特定の不飽和脂肪酸は、一般に、4以上の炭素原子を有しているが、好ましくは、10〜20個の炭素原子を有する長鎖不飽和脂肪酸であることが望ましく、更に、そのアルコール性水酸基の個数がカルボキシル基の個数よりも多いものが、好ましく用いられることとなる。具体的には、そのような不飽和脂肪酸としては、リシノレイン酸、10−ヒドロキシ−2−デセン酸等を挙げることが出来るが、その中でも、本発明においては、特に、リシノレイン酸を用いた縮合生成物が用いられるのである。
さらに、かくの如き本発明にて用いられる縮合生成物は、それに残存するカルボキシル基乃至は水酸基を、それらに反応し得る化合物と反応せしめてなる形態において、用いられることが望ましく、前記したグリセリン等の多価アルコールを反応せしめてなるもの(縮合物)も、その一つの形態であるが、また、ポリイソシアネート化合物を、フェノール樹脂とのウレタン化反応に先立って、前記した縮合生成物と反応せしめ、そしてその形態において、フェノール樹脂とのウレタン化反応に供するようにすることも出来、それによって、本発明の特徴をより一層有利に発揮することが出来る。
加えて、本発明に用いられる縮合生成物は、一般に、上記した不飽和脂肪酸の2分子以上を縮合させたものにて、基本的に構成されるものであるが、好ましくは、その4分子以上を縮合させてなるものから、主として構成されていることが望ましく、更に好ましくは、4〜6分子の縮合されたものから、主として構成されていることが望ましい。尤も、そのような不飽和脂肪酸の縮合数は、縮合前の不飽和脂肪酸の中和価を分子に、それを縮合させた後の脂肪酸(縮合生成物)の中和価を分母として、次式:縮合度=(縮合前の不飽和脂肪酸の中和価)/(縮合後の脂肪酸たる縮合生成物の中和価)に従って算出される縮合度にて代替され、本発明にあっては、一般に、そのような縮合度が1.8以上である縮合生成物が用いられるが、中でも、3.5以上の縮合度を有する縮合生成物が、有利に用いられることとなる。また、この縮合度は、前記した好ましい形態に従って多価アルコールを反応せしめることによって縮合生成物中の全てのカルボキシル基を消費して、縮合生成物中に、それが存在しなくなった場合には、ゼロの値を採り得ることが、理解されるべきである。
特に、本発明にあっては、上記したアルコール性水酸基を有する不飽和脂肪酸の縮合生成物としては、その中和価が、一般に100以下、好ましくは60以下、更に好ましくは10〜50であるものが望ましく、また、ヨウ素価は、一般に70以上、好ましくは80以上、更に好ましくは90以上であるものが望ましく、更に、ヒドロキシル価としては、5以上であるものが望ましい。ここで、ヨウ素価は、不飽和結合の数の指標となるもので、この不飽和結合の数は多ければ多い程、しみつき防止効果が高まるところから、ヨウ素価は大きければ大きい程、好ましいということが出来るのであり、また、ヒドロキシル価は、ヒドロキシル基の数の指標となるもので、このヒドロキシル基は、イソシアネートを反応させるためには、一定量以上存在していることが好ましいのである。そして、このように、中和価が小さく、ヨウ素価が大きく、さらに、ヒドロキシル価が大きい縮合生成物を用いることにより、しみつき防止効果がより一層高められ得ることとなるのである。なお、上記した中和価やヨウ素価は、JIS−K−3341(1957)における5.1及び5.2の試験方法に従って求められるものであり、また、ヒドロキシル価は、JIS−K−3342(1961)の5.4項に記載の試験方法に従って求められるものである。
そして、このような本発明に従う縮合生成物は、所期の目的を達成すべく、縮合生成物自体の種類やフェノール樹脂、ポリイソシアネート化合物の種類、使用量等に応じて、その使用量が適宜に決定されることとなるが、一般に、ポリイソシアネート化合物の100重量部に対して、0.07〜33重量部程度、好ましくは1.3〜13重量部程度、より好ましくは4〜10重量部程度が用いられることとなる。なお、縮合生成物の使用量が少なすぎる場合には、本発明の目的を充分に達成することが困難となり、また、その使用量が多すぎると、流動性が低下する傾向があり、経済的にも好ましくない。
本発明にあっては、上述せる如き所定の縮合生成物と、フェノールウレタンを形成するフェノール樹脂溶液及びポリイソシアネート溶液とによって、目的とする鋳型用有機粘結剤が形成されることとなるのであるが、この有機粘結剤には、更に、可使時間延長剤を配合せしめることが望ましく、また、その他必要に応じて、公知の適当な離型剤や強度劣化防止剤、乾燥防止剤等の、従来より鋳型用有機粘結剤に使用されている公知の各種の添加剤を、適宜に選択して、配合することも可能である。但し、それらの各種添加剤は、本発明によって享受され得る効果を阻害しない量的範囲において、使用される必要があることは、言うまでもないところである。
ここで、有利に用いられる可使時間延長剤(硬化遅延剤)としては、従来より、ウレタン化反応を抑制して、鋳物砂組成物の可使時間を延長するための成分として、用いられているものであり、本発明においては、公知の各種の化合物が、適宜に選択されて用いられ、例えば、イソフタル酸クロリド、サリチル酸、安息香酸、リン酸、酸性リン酸エステル、リン系クロライド、ホウ酸等を挙げることが出来る。
また、強度劣化防止剤は、多湿環境下における鋳型強度の劣化を防止すると共に、有機粘結剤の樹脂成分と鋳物砂との接着性の向上を図るために用いられるものであって、好適な例としては、例えば、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ系シランや、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシ系シラン等のシランカップリング剤を挙げることが出来る。なお、かかる強度劣化防止剤の使用量としては、一般に、フェノール樹脂の100重量部に対して、0.01〜5重量部程度、好ましくは0.05〜2.5重量部程度となる割合が、採用される。
かくして、上述せる如き各種成分によって、本発明に従う鋳型用有機粘結剤が構成されることとなり、そして、この有機粘結剤を用いて、フェノールウレタン系のガス硬化鋳型又は自硬性鋳型が造型されることとなるのである。
具体的には、コールドボックス法によるガス硬化鋳型を造型するに際しては、先ず、鋳物砂に対して、本発明に従う鋳型用有機粘結剤を混練せしめることにより、かかる鋳物砂表面を鋳型用有機粘結剤で被覆してなる鋳物砂組成物(混練砂)が、製造されることとなる。即ち、鋳物砂に対して、有機粘結剤として、フェノール樹脂溶液と、ポリイソシアネート溶液と、所定の縮合生成物と、更に必要に応じて、その他、各種添加剤を、十分に混練、混合することによって、鋳物砂表面に鋳型用有機粘結剤をコーティングして、鋳物砂組成物が製造されるのである。なお、この際、縮合生成物や各種添加剤は、鋳物砂組成物に均一に混合され得るように、別個に調製されたフェノール樹脂溶液とポリイソシアネート溶液の何れか一方に、若しくは、両方に添加されて混合されるか、或いは、適当な有機溶剤に溶解乃至は分散せしめて、これを、混練時に、フェノール樹脂溶液やポリイソシアネート溶液と共に、鋳物砂に対して混合せしめるか、或いは、フェノール樹脂製造時の縮合完了後に添加して混合することも可能である。中でも、本発明にあっては、縮合生成物は、ポリイソシアネート溶液に添加されて、一定期間、例えば1〜3日程度放置されることにより、それらの間の反応を進行せしめた状態において、フェノール樹脂溶液と共に、混合せしめるようにすることが望ましい。
また、この鋳物砂組成物を製造する際に、有機粘結剤を構成するフェノール樹脂溶液とポリイソシアネート溶液は、それらを混合した段階から、徐々に重付加反応(ウレタン化反応)が進行するところから、予め、別々に調製されて準備され、通常、鋳物砂との混練時に混合されることとなる。更に、混練・混合操作は、従来と同様な連続式乃至はバッチ式ミキサーを用いて、好適には、−10〜50℃の範囲で行なわれることが望ましい。
次いで、上述せる如くして得られた鋳物砂組成物を、所望とする形状を与える金型の如き成形型内で賦形した後、これに対して、硬化のための触媒ガスを通気することにより、鋳物砂組成物の硬化が促進せしめられて、ガス硬化鋳型が製造されることとなるのである。なお、触媒ガスとしては、トリエチルアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチルイソプロピルアミン等の、従来から公知の第三級アミンガスのほか、環状窒素化合物、ピリジン、N−エチルモルホリンを例示することが出来、それらのうちの少なくとも1種が適宜に選択されて、通常の量的範囲で用いられる。
一方、常温自硬性法により自硬性鋳型を造型するに際しても、上記ガス硬化鋳型の場合と同様に、先ず、鋳物砂表面を有機粘結剤で被覆してなる鋳物砂組成物が製造されることとなるのであるが、この常温自硬性法に用いる鋳物砂組成物には、混練時に、上記有機粘結剤と共に、更に、硬化触媒が混入せしめられることとなる。この硬化触媒としては、公知のアシュランド法において通常使用される塩基、アミン、金属イオン等を挙げることが出来る。
そして、得られた鋳物砂組成物は、添加された硬化触媒によって、硬化が進行するところから、直ちに、所望とする形状を与える成形金型内で賦形されて、自硬性鋳型が製造されることとなるのである。
なお、上記したガス硬化鋳型や自硬性鋳型を与える鋳物砂組成物の調製において、フェノール樹脂溶液やポリイソシアネート溶液の配合量としては、それぞれ、有効成分であるフェノール樹脂及びポリイソシアネート化合物の配合量が、鋳物砂の100重量部に対して、それぞれ、0.01〜5.0重量部程度、好ましくは0.1〜2.0重量部程度となる割合が、好適に採用される。また、フェノール樹脂とポリイソシアネート化合物の配合比率としては、特に限定されるものではないものの、一般に、重量基準で、フェノール樹脂:ポリイソシアネート化合物=80:20〜20:80となるように、フェノール樹脂溶液やポリイソシアネート溶液が組み合わされて、用いられる。
また、本発明において用いられる鋳物砂としては、従来より鋳型用として用いられている耐火性のものであれば、天然砂であっても、人工砂であってもよく、特に限定されるものではない。例えば、ケイ砂、オリビンサンド、ジルコンサンド、クロマイトサンド、アルミナサンド、フェロクロム系スラグ、フェロニッケル系スラグ、転炉スラグ、ムライト系人工粒子(例えば、伊藤忠セラテック株式会社から入手することの出来る商品名「セラビーズ」)、及び、これらの再生砂等が挙げられ、これらのうちの1種、或いは、2種以上が組み合わされて用いられ得るのである。なお、これらの中でも、鋳型回収後の研磨再生処理の観点から、球状で耐破砕性に優れるムライト系人工粒子が、より一層好適に採用されることとなる。
かくして、上述せる如くして製造されたガス硬化鋳型や自硬性鋳型は、その造型に際して、しみつき防止が効果的に図られ得ると共に、その強度が有利に向上せしめられ得た結果、抜型時の離型抵抗によってその表面が損傷する恐れがないものであるため、精度の高い砂中子等の砂型として、アルミニウム合金やマグネシウム合金、鉄等の各種金属からなる鋳物製品の鋳造に、有利に用いられるのである。
以下に、本発明の実施例を幾つか示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等が加えられ得るものであることが、理解されるべきである。なお、本実施例において、しみつき性の測定並びに抜型直後及び24時間後の鋳型強度の測定は、以下のようにして行なった。
−しみつき性の測定−
コールドボックス造型機のサンドマガジン内に、混練して得られた鋳物砂組成物を収容した後、図1に示される試験金型2を用い、その上部に設けられた直径:10mmのブロー口4を通じて、かかる鋳物砂組成物をブロー圧:0.4MPaで充填し、次いで、トリエチルアミンガスを、ゲージ圧:0.05MPaで1秒間ガッシングした後、ゲージ圧:0.1MPaで15秒間エアパージし、その後、試験金型2から、その内部に形成された成形品(鋳型)を取り除くことからなる造型操作を繰り返し、その5回目、10回目、15回目及び20回目の終了毎に、試験金型2の底部に着脱自在に埋設された、予め秤量されたしみつき性評価用金属片6を取り外して秤量し、試験前と試験後の金属片6の質量差を、しみつき量(mg)として求め、その数値が大きいほど、しみつき性が悪い、換言すれば離型性が悪い、と判断した。
−抜型直後及び24時間後の鋳型強度の測定−
コールドボックス造型機のサンドマガジン内に、混練後の待機時間が0分、60分、120分又は180分の鋳物砂組成物を投入した後、この鋳物砂組成物を、曲げ強度試験片造型装置の金型内に充填し、次いで、かかる金型内に、トリエチルアミンを通気することにより、幅:30mm×長さ:85mm×厚み:10mmの2個の曲げ強度試験片を作製した。なお、ブロー条件は、圧力:0.3MPa×時間:3秒とする一方、トリエチルアミンのガッシング時間とエアパージ条件は、それぞれ、圧力:0.3MPa及び時間:10秒とした。そして、このようにして得られた試験片の曲げ強度(N/cm2 )を、かかる造型後直ちに又は常温で24時間放置した後に、小型圧縮曲げ試験機:SC200D(高千穂精機株式会社)を用いて測定し、前者を抜型直後の鋳型強度、後者を抜型24時間後の鋳型強度とした。なお、待機時間が0分である、混練直後(調製直後)の鋳物砂組成物以外は、温度:20℃×相対湿度:60%の環境下、ビニール袋の中で、所定時間(60分、120分又は180分)、放置して、待機時間が60分〜180分の鋳物砂組成物とした。
−フェノール樹脂溶液の調製−
還流器、温度計及び攪拌機を備えた三つ口反応フラスコ内に、フェノールの100重量部、92重量%パラホルムアルデヒドの55.5重量部、及び二価金属塩としてナフテン酸鉛の0.32重量部を仕込み、還流温度で90分間反応を行なった後、加熱濃縮して、水分含有量:1重量%以下のベンジルエーテル型のフェノール樹脂を得た。次いで、このフェノール樹脂を、DBE:ソルベッソ100:HAWS=46:48:6の有機溶剤を用いて希釈すると共に、フェノール樹脂に対して0.5重量%のγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを加えて、フェノール樹脂分が50重量%のフェノール樹脂溶液を調製した。
−しみつき評価用配合剤の準備−
以下の本発明例及び比較例において、しみつき評価用配合剤として用いられる各種の物質を、下記表1に示される如く準備し、その中和価、けん化価、ヨウ素価及びヒドロキシル価を、下記表1に併せ示した。なお、下記表1の商品名の欄における「K−PON 402、404−S、406−S、306、及び180」は、何れも、小倉合成工業株式会社製品である。
Figure 0004615346
<実施例1>
先ず、下記表2及び表3に示される割合において、ポリイソシアネート化合物であるポリメリックMDI(クルードMDI)とイプゾール150(IP150;有機溶剤)と前記表1に示されるしみつき評価用配合剤(物質)とイソフタル酸クロライドとを配合して、均一に混合せしめることにより、各種のポリイソシアネート溶液を調製した後、このポリイソシアネート溶液を、撹拌下、25℃の温度で二日間(48時間)保持して、それらポリイソシアネート化合物と配合されたしみつき評価用配合剤との間の反応が生じ得る場合においては、その反応が惹起されるようにした。
次いで、ダルトン株式会社製品川式卓上ミキサー内に、予め、温度:20℃×相対湿度:60%の雰囲気下で24時間放置されたフラタリー珪砂の1000重量部と、先に調製されたフェノール樹脂溶液の10重量部と、各種のしみつき評価用配合剤を配合してなるポリイソシアネート溶液の10重量部とを投入した後、40秒間、攪拌、混練して、所定の有機粘結剤にて被覆された鋳物砂、換言すれば鋳物砂組成物を、それぞれ調製した。
そして、その得られた各種の鋳物砂組成物を用いて、上記した試験法に従って、しみつき性を評価すると共に、待機時間が0分(混練直後)、60分、12分又は180分のものを用いて、上記した鋳型強度の測定を行ない、それらの結果を、下記表2及び表3に併せ示した。
Figure 0004615346
Figure 0004615346
かかる表2及び表3から明らかな如く、本発明に従って有機粘結剤を構成した本発明例1〜4においては、しみつき量が少なく、また、鋳型強度においても、待機時間が長くなっても、優れた強度を有していることが認められるのである。これに対して、しみつき評価用配合剤を全く配合していない比較例1に示される粘結剤を用いた場合においては、しみつき量が著しく多くなることが認められ、また、比較例2、3及び5に示される、非縮合物であるリシノレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、又はリシノレイン酸メチルを配合した場合にあっては、ある程度のしみつき量低減効果が達成されるものの、その効果は充分でなく、しかも、鋳型強度が低いものであることが認められる。更に、縮合形態である、比較例4の12−ヒドロキシステアリン酸の縮合物を用いた場合にあっても、しみつき防止効果が充分でないか、或いはある程度のしみつき防止効果が認められるものの、鋳型強度に問題を内在していることが認められた。
<実施例2>
下記表4に示される割合において、ポリイソシアネート化合物であるポリメリックMDI(クルードMDI)とイプゾール150(有機溶剤)としみつき評価用配合剤とイソフタル酸クロライドとを加えて、均一に混合して、ポリイソシアネート溶液を調製した。
次いで、かかる調製されたポリイソシアネート溶液を、実施例1の如き、二日間の保持を行なうことなく、その調製後、直ちに、先に調製したフェノール樹脂溶液と共に用いて、実施例1と同様にして、鋳物砂組成物を調製した。そして、その調製された鋳物砂組成物を用いて、実施例1と同様な、しみつき性の評価及び鋳型強度の測定を行ない、その結果を、下記表4に併せ示した。
Figure 0004615346
かかる表4の結果から明らかなように、本発明に従う縮合生成物を用いた本発明例5においては、しみつき性の改善効果並びに鋳型強度において、優れた結果を示しているのに対して、比較例6の、本発明対象外のしみつき評価用配合剤を配合せしめた場合にあっては、しみつき量が多く、また、鋳型強度においても、充分なものと言うことが出来ないものであった。
実施例における「しみつき性」の評価に用いられた試験金型を示す断面説明図である。
符号の説明
2 試験金型
4 ブロー口
6 金属片

Claims (9)

  1. フェノールウレタン系のガス硬化鋳型又は自硬性鋳型の造型に用いられる有機粘結剤であって、フェノール樹脂とポリイソシアネート化合物と有機溶剤と共に、リシノレイン酸の縮合生成物であって、中和価が10〜100であり、且つ縮合度が1.8以上であるものを、必須の構成成分として用いてなることを特徴とする鋳型用有機粘結剤。
  2. 前記縮合生成物が、70以上のヨウ素価を有している請求項1に記載の鋳型用有機粘結剤。
  3. 前記縮合生成物が、5以上のヒドロキシル価を有している請求項1又は請求項2に記載の鋳型用有機粘結剤。
  4. 前記縮合生成物が、リシノレイン酸の4〜6分子の縮合されたものにて主として構成されている請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の鋳型用有機粘結剤。
  5. 前記縮合生成物が、それに残存するカルボキシル基乃至は水酸基をそれらに反応し得る化合物と反応せしめてなる形態において、用いられる請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の鋳型用有機粘結剤。
  6. 可使時間延長剤が、必須の構成成分として更に用いられる請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の鋳型用有機粘結剤。
  7. 鋳物砂に対して、請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の鋳型用有機粘結剤を混練せしめてなることを特徴とする鋳物砂組成物。
  8. 請求項7に記載の鋳物砂組成物に対して、触媒ガスを接触させることにより、該鋳物砂組成物を硬化せしめて、形成されるガス硬化鋳型。
  9. 鋳物砂に対して、硬化触媒と共に、請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の鋳型用有機粘結剤を混練せしめることにより形成される自硬性鋳型。
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