JP2009022980A - 鋳型の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】混練砂の流動性に優れ、且つ鋳型の圧縮強度も維持できる鋳型の製造方法を提供する。
【解決手段】人工セラミック砂の再生砂(A)に、水溶性フェノール樹脂(B)、水溶性フェノール樹脂の硬化剤(C)、及び、炭素数1〜5のアルキル基を有するアルキルシリケート又はその低縮合物(D)を添加して得られた混合物を造型して鋳型を製造する。
【選択図】なし

Description

本発明は、鋳型の製造方法に関する。
有機粘結剤を用いて主型や中子のような鋳型を製造する造型法として、自硬性鋳型法、コールドボックス鋳型法、クローニング法(シェル法)は公知である。特に有機自硬性鋳型造型法は機械鋳物分野を中心に生産性、鋳物品質、安全衛生上の観点から無機系に代って既に汎用的な造型法となっている。一方、従来、中、高速で鋳型を製造するにはフェノール樹脂を粒状耐火物に被覆した、いわゆるコーテッドサンドを加熱硬化して鋳型製造するクローニング法が幅広く使用されている。更に、ガス状又はエロゾル状物質で常温硬化させるコールドボックス鋳型法も提案されている。有機自硬性鋳型造型法及びガス硬化性鋳型造型法に用いられる粘結剤組成物として、水溶性フェノール樹脂を粘結剤とし、これを有機エステルで硬化せしめる鋳物砂用粘結剤組成物が知られている。
特許文献1には、シランカップリング剤と水溶性フェノール樹脂を粘結剤とし、有機エステルを硬化剤として、鋳物用砂型を造型する際に、粘結剤の成分としてアルキルシリケートやシリコーンオイルを併用することが開示されている。また、特許文献2には、フェノール・アルデヒド変性樹脂を含む粘結剤組成物を用いて鋳型組成物を得ることが開示されている。
一方、有機自硬性鋳型などの造型に用いられる耐火性粒状材料として、従来、珪砂、ジルコン砂、クロマイト砂、オリビン砂等が広く用いられてきたが、近年、合成ムライトサンドや球状鋳物砂等、いわゆる人工セラミック砂の使用が徐々に広まってきている。
特開平3−291124号 特開平8−168847号
鋳物砂は、一旦鋳造した後、再使用を目的とする回収砂や複数回繰り返して使用した再生砂として再利用されることがあるが、再生砂を混練して鋳型を造型する場合、混練砂の流動性が新砂と比較して著しく悪化し、模型に緊密に充填しにくくなり、充填性が低下する傾向にある。このため、得られる鋳物に、砂カミ、焼着、差し込み等の鋳物欠陥が発生し、鋳物品質の低下を引き起こす欠点があった。人工セラミック砂は、総じて珪砂などの天然砂よりも球形に近くなるため、こうした現象がより顕著となりやすい。
本発明の課題は、人工セラミック砂の再生砂を用いた鋳型の造型において、混練砂の流動性に優れ、且つ鋳型の圧縮強度も維持できる鋳型の製造方法を提供することである。
本発明は、人工セラミック砂の再生砂(A)に、水溶性フェノール樹脂(B)、水溶性フェノール樹脂の硬化剤(C)、及び、炭素数1〜5のアルキル基を有するアルキルシリケート又はその低縮合物(D)を添加して得られた混合物を造型する工程を有する、鋳型の製造方法に関する。
また、本発明は、炭素数1〜5のアルキル基を有するアルキルシリケートもしくはその低縮合物(D)を、鋳物用人工セラミック砂の再生砂(A)と水溶性フェノール樹脂(B)の混合物に添加することにより、当該混合物の流動性を向上する方法に関する。
また、本発明は、人工セラミック砂の再生砂(A)、水溶性フェノール樹脂(B)、水溶性フェノール樹脂の硬化剤(C)、及び、炭素数1〜5のアルキル基を有するアルキルシリケート又はその低縮合物(D)を含有する、鋳型用組成物。
以下、人工セラミック砂の再生砂(A)を成分(A)、水溶性フェノール樹脂(B)を成分(B)、水溶性フェノール樹脂の硬化剤(C)を成分(C)、炭素数1〜5のアルキル基を有するアルキルシリケートもしくはその低縮合物(D)を成分(D)として説明する。
本発明によれば、再生砂を用いた鋳型の造型において、混練砂の流動性に優れ、且つ鋳型の圧縮強度も維持できる鋳型の製造方法が提供される。
<成分(A)>
成分(A)の人工セラミック砂の再生砂としては、合成ムライト砂やSiO2/Al23系の鋳物砂、SiO2/MgO系の鋳物砂、スラグ由来の鋳物砂などの人工セラミック砂由来の再生砂が好ましい。
人工セラミック砂とは、珪砂、ジルコンサンド、クロマイトサンド等の天然より産出する鋳物砂でなく、人工的に金属酸化物の成分を調整し、溶融若しくは焼結した鋳物砂のことを表す。耐破砕性が高く、より廃棄物が低減できる観点から、SiO2とAl23を合計で80重量%以上含有し、かつAl23/SiO2の重量比率が1〜15である鋳物砂が好ましい。また、ムライト、α−アルミナ、γ−アルミナの内少なくともいずれか一つの結晶相を持つものが好ましい。
また、人工セラミック砂の再生砂は、元砂(人工セラミック砂)が球形に近くなるほうが流動性が低下すると考えられる。従って、本発明は、本発明をより効果的に発現する観点から、人工セラミック砂の再生砂は、人工球状セラミック砂由来の再生砂であることが好ましく、球形度が0.88以上、更に0.92以上、より更に0.95以上、特に0.99以上である人工球状セラミック砂由来の再生砂により適する。
鋳物砂の球形度は、光学顕微鏡またはデジタルスコープ(例えば、キーエンス社製、VH−8000型)により得られた該鋳物砂の像(写真)を画像解析することにより、該鋳物砂の粒子投影断面の面積及び該断面の周囲長を求め、次いで、〔粒子投影断面の面積(mm2)と同じ面積の真円の円周長(mm)〕/〔粒子投影断面の周囲長(mm)〕を計算し、任意の50個の鋳物砂粒子につき、それぞれ得られた値を平均して求めることができる。
本発明の鋳型の製造方法に用いられる人工セラミック砂の再生砂は、水溶性フェノール樹脂を用いて造型した鋳型を用いて鋳物を製造した後にばらした砂を、一般的な再生方法(湿式、乾式、熱式等)により1回以上再生処理した砂であるが、磨耗式で再生されたものが収率も高く、経済的に優れ好ましい。また、これらの再生方法を組み合わせて再生しても良い。
人工セラミック砂の再生砂は、一般に再生砂の強熱減量(LOI)が0.1〜10重量%、好ましくは0.2〜5重量%のものである。
<成分(B)>
成分(B)の水溶性フェノール樹脂とは、エステル化合物又は炭酸ガスで硬化可能な樹脂であり、一般にはアルカリ条件下でフェノール化合物とアルデヒド化合物とを重縮合させることによって得られるものである。このうちフェノール化合物としては、フェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、クレゾール、3,5−キシレノール、レゾルシノール、カテコール、ノニルフェノール、P−tert−ブチルフェノール、イソプロペニルフェノール、フェニルフェノール、その他の置換フェノールを含めたフェノール類化合物や、カシューナット殻液のような各種のフェノール化合物の混合物等が用いられる。製造時には、これらを1種又は2種以上混合して使用することができる。またアルデヒド化合物としては、ホルムアルデヒド、フルフラール、グリオキザール等を1種又は2種以上混合して使用することができる。これらの化合物は必要に応じて水溶液として用いることができる。またこれらに、尿素、メラミン、シクロヘキサノン等のアルデヒド化合物と縮合が可能なモノマーや、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、ブチルアルコール等の1価の脂肪族アルコール化合物や、水溶性高分子のポリアクリル酸塩や、セルロース誘導体高分子、ポリビニルアルコール、リグニン誘導体などを混合しても差し支えない。
水溶性フェノール樹脂の合成に用いられるアルカリ触媒としては、LiOH、NaOH、KOHなどのアルカリ金属の水酸化物が挙げられるが、特にNaOH、KOHが好ましい。また、これらのアルカリ触媒を混合して用いてもよい。
水溶性フェノール樹脂の合成において、フェノール化合物に対するアルデヒド化合物のモル数は、1.0〜6.0モル倍が良く、好ましくは1.1〜5.5モル倍である。またフェノール化合物に対するアルカリ触媒のモル数は、0.2〜5.0モル倍が良く、好ましくは0.5〜4.0モル倍である。
本発明の水溶性フェノール樹脂を炭酸ガスによって硬化させる場合は、硬化を促進させることを目的として、オキシアニオン化合物を配合してもよい。オキシアニオン化合物としては、ホウ酸、四ホウ酸ナトリウム10水和物(ホウ砂)、ホウ酸カリウム10水和物、メタホウ酸ナトリウム、五ホウ酸カリウム、五ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、アルミン酸リチウム等のアルミン酸塩、スズ酸ナトリウム、スズ酸カリウム、スズ酸リチウム等のスズ酸塩が挙げられる。これらの中でも特に、四ホウ酸ナトリウム10水和物(ホウ砂)が好ましい。オキシアニオン化合物の配合量は、水溶性フェノール樹脂100重量部に対して0.1〜30重量部が好ましい。更に好ましくは3〜15重量部である。これらの化合物は、1種又は2種以上を混合して用いることができる。
更に、得られる鋳型の強度を向上させる目的で、グリコール類及び/又はエーテルアルコール類を配合してもよい。グリコール類としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等を、エーテルアルコール類としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等を用いることができる。これらの化合物の配合量は、水溶性フェノール樹脂100重量部に対して1〜30重量部が好ましい。更に好ましくは、5〜20重量部である。
また、水溶性フェノール樹脂中の固形分(105℃で3時間乾燥後の固形重量)は25〜90重量%が良く、好ましくは30〜85重量%である。さらに水溶性フェノール樹脂の重量平均分子量は500〜8000が良く、好ましくは800〜5000である。
尚、水溶性フェノール樹脂の重量平均分子量(Mw)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により、下記条件で測定できる。
[水溶性フェノール樹脂の重量平均分子量の測定方法]
(a)サンプル調製
試料に同重量の水を加え、0.1重量%のH2SO4を加えて中和する。生成した沈殿を濾過分離し、水洗し、乾燥する。これをテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、GPC用のサンプルを調製する。
(b)カラム
ガードカラムTSX(東洋曹達工業(株)製)HXL(6.5mmφ×4cm)1本と、TSK3000HXL(7.8mmφ×30cm)1本と、TSK 2500HXL(7.8mmφ×30cm)1本。注入口側よりガードカラム−3000HXL−2500HXLの順に接続。
(c)標準物質
ポリスチレン(東洋曹達工業(株)製)。
(d)溶出液
THF、流速:1ml/min。
(e)カラム温度
室温(25℃)。
(f)検出器
UV(紫外分光光度計)。波長はフェノールの紫外極大ピークにより定量する。
(g)分子量計算の為の分割法
時間分割(2秒)。
本発明においては、水溶性フェノール樹脂にシランカップリング剤や尿素などのその他の添加剤も使用することができる。シランカップリング剤の例としては、γ−(2−アミノ)プロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミオエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。一般に、シランカップリング剤の量は、水溶性フェノール樹脂100重量部(固形分換算)に対して0.001〜10重量部、更に0.02〜1重量部が好ましい。
<成分(C)>
成分(C)の硬化剤としては、有機エステル、無機エステル、及び炭酸ガスから選ばれる一種以上が挙げられる。これらのうち、有機エステルとしては、ラクトン類或いは炭素数1〜10の一価又は多価アルコールと炭素数1〜10の有機カルボン酸より導かれる有機エステルの単独もしくは混合物挙げられるが、自硬性鋳型造型法ではγ−ブチロラクトン、プロピオンラクトン、ε−カプロラクトン、ギ酸エチル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノアセテート、トリアセチン等を用いるのが好ましく、ガス硬化性鋳型造型法ではギ酸メチルを用いるのが好ましい。無機エステルとしては、プロピレンカーボネート等が挙げられる。
<成分(D)>
成分(D)である炭素数1〜5のアルキル基を有するアルキルシリケートとしてはメチルシリケート(テトラメトキシシラン)、エチルシリケート(テトラエトキシシラン)等及びその低級縮合物(縮合度1〜10)が挙げられる。
本発明の効果が発現する理由は定かではないが、成分(D)を添加することにより、成分(A)に対する成分(B)の濡れ性が変化し、その結果、混練砂の流動性が改善されるものと推察される。
成分(D)は、再生砂混練時の臭気、及びコストパフォーマンスの観点から炭素数1〜5のアルキル基を有するアルキルシリケートであり、エチルシリケートが好ましい。
本発明では、成分(D)は、人工セラミック砂の再生砂(A)の100重量部に対して0.005〜10重量部用いるのが好ましい。
<鋳型の製造方法>
本発明では、上記成分(A)〜(D)を用いて得られた混合物を造型して鋳型を得る。その際、従来の自硬化性鋳型製造プロセスをそのまま利用して鋳型を製造することができる。エステル硬化、特に有機エステル硬化法、炭酸ガス法は以下のように行われる。具体的には以下の通りである。
(I)エステル硬化
(a)自硬性
鋳物用砂型を自硬性鋳型造型法によって製造する場合、成分(A)である再生砂100重量部に、成分(C)、好ましくは有機エステルを0.05〜9重量部、好ましくは0.1〜5重量部、成分(B)の水溶性フェノール樹脂溶液をその固形分として0.1〜15重量部、好ましくは0.3〜5重量部、成分(D)の化合物を0.005〜10重量部、好ましくは0.05〜1重量部、周知の方法で混練して鋳型を製造することができる。
(b)ガス硬化
鋳物用砂型をガス硬化鋳型造型法によって製造する場合、成分(A)である再生砂100重量部に、成分(B)の水溶性フェノール樹脂溶液をその固形分として0.1〜15重量部、好ましくは0.3〜5重量部、成分(D)の化合物を0.005〜10重量部、好ましくは0.05〜1重量部、周知の方法で混練し、ガス硬化性鋳型製造プロセスを用いて、成分(C)としてガス状の有機エステルを通気することによって、鋳型を製造することができる。ガス硬化性鋳型造型法に用いる有機エステルとしては、ギ酸メチルが好ましい。ガス状の有機エステルの使用量は、成分(A)の再生砂100重量部に対して、0.05〜9重量部が好ましい。
なお、上記自硬性鋳型造型法、ガス硬化鋳型造型法の何れも、造型方法としては、VRH造型法や吸引造型法である減圧造型法にも応用できるものであり、従ってその他の造型法を使用してもよく、特に上記の造形方法に限定されるものではない。
(II)炭酸ガス硬化
鋳型用粘結剤組成物を用いて鋳物用砂型を炭酸ガス硬化鋳型造型法によって製造する場合、成分(A)である再生砂100重量部に成分(B)の水溶性フェノール樹脂溶液をその固形分として0.1〜15重量部、好ましくは0.3〜5重量部、更に成分(D)の化合物を0.005〜10重量部、好ましくは0.05〜1重量部、周知の方法で混練し、成分(C)である炭酸ガスを通気することによって鋳型を製造することができる。炭酸ガスの使用量は、成分(A)の再生砂100重量部に対して0.01〜50重量部、好ましくは0.1〜10重量部である。
なお、この場合にも造型方法としては、VRH造型法や吸引造型法である減圧造型法にも応用できるものであり、従って上記の造形方法に特に限定されるものではない。
成分(D)は、成分(A)の鋳物用人工セラミック砂の再生砂の混練の際に存在することで成分(A)の流動性を向上させる。すなわち、成分(D)を、成分(A)と成分(B)の混合物に添加することにより、当該混合物の流動性を向上する方法が提供される。また、成分(D)は、鋳物用人工セラミック砂の再生砂(A)の流動性向上剤剤として用いることができる。また、成分(A)、(B)、(C)、及び(D)を含有する混合物は鋳型用組成物として用いられる。
鋳型用の混練砂を得るには、バッチミキサーにより各成分を添加して混合する方式と、連続ミキサーに各成分を供給して混合する方式とがある。自硬性エステル硬化法で連続ミキサーを使用する場合、成分(D)を成分(C)の硬化剤に配合することで、成分(D)のための供給ラインを設けることなく安定に成分(D)を供給できるため、好ましい。
本発明の鋳型の製造方法は、アルミ鋳物のような非鉄合金や鋳鋼や鋳鉄鋳物を製造するための鋳型を造型するために用いることができるが、特に鋳造に関する用途を限定されるものではない。
[人工セラミック砂の再生砂の調製方法]
表1〜3に示した、各人工セラミック砂(元砂)100重量部に対し、水溶性フェノール樹脂の硬化剤として有機エステル(エチレングリコールジアセテート)0.3重量部と水溶性フェノール樹脂(「カオーステップ SL−6010」花王クエーカー(株)製)1.5重量部を添加混練して得られた混練砂を用いて造型した鋳型を用いて、鋳物材質FC-250(S/M=4、ここでS/Mとは鋳型の重量と鋳造物の重量比を表す)を鋳造し、回収した砂をクラッシャーにかけ、日本鋳造製M型ロータリーリクレーマーを用いて再生した。以上の工程を10回繰り返して得られた再生砂(LOIは各表に記載)を以下の実施例及び比較例に用いた。なお、各人工セラミック砂(元砂)の球形度と嵩密度を以下に示す。
・エスパールH:球形度=0.98、嵩比重=2.00
・セラビーズ#650:球形度=0.89、嵩比重=1.69
・ルナモス#80:球形度=0.99、嵩比重=1.66
<実施例1〜6及び比較例1〜3:自硬性鋳型造型法>
以下の評価は全て25℃、60%RHで行った。
[混練砂の流動性の評価]
表1に示した人工セラミック砂の再生砂100重量部に対して、水溶性フェノール樹脂(「カオーステップ SL−6010」花王クエーカー(株)製)1.5重量部と、有機エステル(エチレングリコールジアセテート)0.3重量部、並びに表1に示した種類と量のアルキルシリケートとを混練して得られた砂を、塩化ビニール製の筒(50mmφ×300mmH)の上部から落下させ、筒の上端部まですり切りで充填し、筒を静か且つ速やかに垂直に持ち上げ、混練砂の広がり状態(高さ)と重量を測定した。混練砂の流動性が良い場合、高さは低くなり、重量は大きくなる(以下同様)。また、通常、鋳型は1tほどの重量となる為、本評価における数値の相違、例えば実施例と比較例で生じる数値の差は、実用上、顕著な違いとなる(以下同様)。
[鋳型の抗圧力評価]
人工セラミック砂の再生砂100重量部に対して、水溶性フェノール樹脂(「カオーステップ SL−6010」花王クエーカー(株)製)1.5重量部と、有機エステル(エチレングリコールジアセテート)0.3重量部、並びに表1に示した種類と量のアルキルシリケートとを混練して得られた砂を用いて成型した、テストピース(50mm×50mmφ)の24時間後の抗圧力を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2009022980
表中、アルキルシリケートの添加量は、再生砂100重量部に対する重量部である(以下同様)。
<実施例7〜9及び比較例4〜6:エステルガス硬化鋳型造型法>
以下の評価は全て25℃、60%RHで行った。
[混練砂の流動性の評価]
表2に示した人工セラミック砂の再生砂100重量部に対して、水溶性フェノール樹脂(「カオーステップ SL−6010」花王クエーカー(株)製)1.5重量部、並びに表2に示した種類と量のアルキルシリケートとを混練して得られた砂を、塩化ビニール製の筒(50mmφ×300mmH)の上部から落下させ、筒の上端部まですり切りで充填し、筒を静か且つ速やかに垂直に持ち上げ、混練砂の広がり状態(高さ)と重量を測定した。
[鋳型の抗圧力評価]
人工セラミック砂の再生砂100重量部に対して、水溶性フェノール樹脂(「カオーステップ SL−6010」花王クエーカー(株)製)1.5重量部、並びに表2に示した種類と量のアルキルシリケートとを混練して得られた砂を、ガス硬化用テストピース(50mm×50mmφ)枠に充填し、人工セラミック砂の再生砂100重量部に対して0.8重量部のガス状のギ酸メチルを注入し、得られたテストピースの24時間後の抗圧力を測定した。結果を表2に示す。
Figure 2009022980
<実施例10〜12及び比較例7〜9:炭酸ガス硬化鋳型造型法>
以下の評価は全て25℃、60%RHで行った。
[混練砂の流動性の評価]
表3に示した人工セラミック砂の再生砂100重量部に対して、水溶性フェノール樹脂(「カオーステップ C−810」花王クエーカー(株)製)3重量部、並びに表3に示した種類と量のアルキルシリケートとを混練して得られた砂を、塩化ビニール製の筒(50mmφ×300mmH)の上部から落下させ、筒の上端部まですり切りで充填し、筒を静か且つ速やかに垂直に持ち上げ、混練砂の広がり状態(高さ)と重量を測定した。
[鋳型の抗圧力評価]
人工セラミック砂の再生砂100重量部に対して、水溶性フェノール樹脂(「カオーステップ C−810」花王クエーカー(株)製)3重量部、並びに表3に示した種類と量のアルキルシリケートとを混練して得られた砂を、ガス硬化用テストピース(50mm×50mmφ)枠に充填し、人工セラミック砂の再生砂100重量部に対して1.5重量部の炭酸ガスを注入し、得られたテストピースの24時間後の抗圧力を測定した。結果を表3に示す。
Figure 2009022980

Claims (5)

  1. 人工セラミック砂の再生砂(A)に、水溶性フェノール樹脂(B)、水溶性フェノール樹脂の硬化剤(C)、及び、炭素数1〜5のアルキル基を有するアルキルシリケート又はその低縮合物(D)を添加して得られた混合物を造型する工程を有する、鋳型の製造方法。
  2. 硬化剤(C)が、有機エステル、無機エステル、及び炭酸ガスから選ばれる一種以上である、請求項1記載の鋳型の製造方法。
  3. 炭素数1〜5のアルキル基を有するアルキルシリケート又はその低縮合物(D)を、人工セラミック砂の再生砂(A)の100重量部に対して0.005〜10重量部用いる、請求項1又は2記載の鋳型の製造方法。
  4. 人工セラミック砂の再生砂(A)が、人工球状セラミック砂由来の再生砂である請求項1〜3いずれかに記載の鋳型の製造方法。
  5. 人工セラミック砂の再生砂(A)、水溶性フェノール樹脂(B)、水溶性フェノール樹脂の硬化剤(C)、及び、炭素数1〜5のアルキル基を有するアルキルシリケート又はその低縮合物(D)を含有する、鋳型用組成物。
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