JP5422193B2 - 硬化剤組成物及び鋳型の製造方法 - Google Patents

硬化剤組成物及び鋳型の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、鋳型の製造に用いられる水溶性フェノール樹脂用の硬化剤組成物、及びこれを用いた鋳型の製造方法に関する。
粘結剤を用いて主型や中子のような鋳型を製造する造型法として、自硬性鋳型造型法が知られている。特に、有機自硬性鋳型造型法は、機械鋳物分野を中心に生産性、鋳物品質、安全衛生上の観点から無機系に代って既に汎用的な造型法となっている。上記有機自硬性鋳型造型法としては、水溶性フェノール樹脂を粘結剤とし、これをエステル化合物で硬化せしめる鋳型造型法が知られている。
特許文献1には、シランカップリング剤と水溶性フェノール樹脂を粘結剤とし、有機エステルを硬化剤として鋳型を造型する際に、鋳型強度の向上のため、粘結剤の成分としてアルキルシリケートやシリコンオイルを併用することが開示されている。また、特許文献2には、フェノール・アルデヒド変性樹脂を含む粘結剤にアルキルシリケートやシリコンオイルを加えた後、これに有機エステルを注入することによって樹脂を硬化させて鋳型を製造する方法が開示されている。
また、鋳型の製造に用いられる水溶性フェノール樹脂用の硬化剤組成物として、特許文献3には、エステル類と水とを配合した硬化剤組成物が開示されている。特許文献3の硬化剤組成物によれば、引火点が高くなるため取り扱いが容易となる。
一方、有機自硬性鋳型造型法などの造型法に用いられる鋳物砂として、従来、珪砂、ジルコン砂、クロマイト砂、オリビン砂等の天然砂が広く用いられてきたが、近年、合成ムライト砂や球状鋳物砂等、いわゆる人工セラミック砂(人工砂)の使用が徐々に広まってきている。
特開平3−291124号公報 特開平8−168847号公報 特開2002−3697号公報
鋳物砂は、一旦鋳造した後で再使用を目的として回収した再生砂として再利用されることがあるが、再生砂を混練して鋳型を造型する場合、混練砂の流動性が新砂と比較して著しく悪化し、模型に緊密に充填しにくくなり、充填性が低下する傾向にある。このため、得られる鋳型の強度が低下する欠点があった。特に、人工砂は、総じて珪砂などの天然砂よりも球形に近くなるため、繰り返して使用するうちに表面に残渣が付着して流動性が悪化しやすくなることから、こうした現象がより顕著となりやすい。
また、水溶性フェノール樹脂用の硬化剤組成物は、配合成分によっては水分の影響により沈殿物が生じる場合があり、鋳型の製造工程において該沈殿物により配管が閉塞する可能性があることが本発明者の検討により判明した。従来の硬化剤組成物は、水分による劣化について充分に検討されていなかった。
本発明は、混練砂の流動性を向上させることができる上、品質を安定して維持できる硬化剤組成物、及びこれを用いた鋳型の製造方法を提供する。
本発明の硬化剤組成物は、鋳型の製造に用いられる水溶性フェノール樹脂用の硬化剤組成物であって、分子内にエステル結合を1〜5個有するエステル化合物と、炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキルシリケート又はその低縮合物とを含有し、該硬化剤組成物中の水分含有量が2重量%以下の硬化剤組成物である。
本発明の鋳型の製造方法は、鋳物砂に硬化剤組成物及び水溶性フェノール樹脂を添加して得られた混合物を造型する鋳型の製造方法であって、前記硬化剤組成物として前記本発明の硬化剤組成物を使用する鋳型の製造方法である。
本発明の硬化剤組成物によれば、炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキルシリケート又はその低縮合物(以下、単に「アルキルシリケート」ともいう)を含有するため、混練砂の流動性を向上させることができる。また、硬化剤組成物中の水分含有量が2重量%以下であるため、アルキルシリケートの加水分解が抑制され、その結果、アルキルシリケートの縮合反応も抑制される。これにより、硬化剤組成物中における沈殿物の発生を抑制できるため、品質を安定して維持できる硬化剤組成物を提供できる。また、本発明の鋳型の製造方法によれば、高強度の鋳型を安定して提供できる。
本発明の硬化剤組成物は、鋳型の製造に用いられる水溶性フェノール樹脂用の硬化剤組成物を対象とする。以下、本発明の硬化剤組成物の含有成分について説明する。
<エステル化合物>
本発明で使用されるエステル化合物は、分子内にエステル結合を1〜5個有するエステル化合物である限り特に限定されないが、有機エステル及び無機エステルから選ばれる1種以上のエステル化合物が好ましい。有機エステルとしては、ラクトン類、或いは炭素数1〜10の一価もしくは多価アルコールと炭素数1〜10の有機カルボン酸とから導かれる有機エステルの単独又は混合物等が挙げられる。具体的には、γ−ブチロラクトン、プロピオンラクトン、ε−カプロラクトン、ギ酸エチル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノアセテート、トリアセチン、アセト酢酸エチル、コハク酸ジメチル、グルタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル等が挙げられる。また、無機エステルとしては、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等が挙げられる。
中でも、硬化剤組成物を長期間保存する場合においてアルキルシリケートの加水分解や縮合反応を抑制でき、品質をより長期間安定して維持できる硬化剤組成物を提供できる観点から、トリアセチン、エチレングリコールジアセテート、γ―ブチロラクトン、炭酸プロピレン、コハク酸ジメチル、グルタル酸ジメチル及びアジピン酸ジメチルが好ましく、γ―ブチロラクトン及び炭酸プロピレンがより好ましい。
<アルキルシリケート> 本発明で使用されるアルキルシリケートは、炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキルシリケート又はその低縮合物(縮合度1〜10)であり、メチルシリケート(テトラメトキシシラン)、エチルシリケート(テトラエトキシシラン)、プロピルシリケート(テトラプロポキシシシラン)、ブチルシリケート(テトラブトキシシラン)やその低縮合物等が挙げられる。本発明では、混練砂を混練する際の臭気を抑制する観点、及びコストパフォーマンスの観点から炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキルシリケート又はその低縮合物が使用され、より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルシリケート又はその低縮合物、更に好ましくは炭素数2〜4のアルキル基を有するアルキルシリケート又はその低縮合物、より更に好ましくは炭素数2〜3のアルキル基を有するアルキルシリケート又はその低縮合物が使用される。なかでも、エチルシリケート及びプロピルシリケートが好ましく、エチルシリケートがより好ましい。
アルキルシリケートを添加することによって混練砂の流動性が向上する理由は定かではないが、アルキルシリケートを添加することにより、鋳物砂に対する水溶性フェノール樹脂の濡れ性が変化し、その結果、混練砂の流動性が改善されるものと推察される。即ち、本発明によれば、混練砂の流動性が向上するため、鋳型を製造する際の混練砂の充填性が向上し、得られる鋳型の強度が高くなると考えられる。
本発明の硬化剤組成物において、アルキルシリケートの含有量は、混練砂の流動性を向上させる観点から、エステル化合物100重量部に対して2重量部以上が好ましく、3重量部以上がより好ましい。また、アルキルシリケートの縮合反応を抑制して品質を長期間安定して維持する観点から、エステル化合物100重量部に対し20重量部以下が好ましく、15重量部以下がより好ましい。以上の観点から、アルキルシリケートの含有量は、エステル化合物100重量部に対し2〜20重量部が好ましく、3〜15重量部がより好ましい。
一般に、水溶性フェノール樹脂用の硬化剤組成物は、空気中の水分により吸湿するため、放置雰囲気により水分含有量が変化する。本発明の硬化剤組成物中の水分含有量とは、製品開封直後の分析値をさす。本発明では、アルキルシリケートの加水分解及び縮合反応を抑制することによって、硬化剤組成物中における沈殿物の発生を抑制するために、硬化剤組成物中の水分含有量を2重量%以下とする。沈殿物の発生をより効果的に抑制するには、硬化剤組成物中の水分含有量が1重量%以下であることが好ましい。なお、硬化剤組成物を構成する原料には、通常0.1〜0.5重量%程度の水分が含有されている。また、通常の水溶性フェノール樹脂用硬化剤においては、上記特許文献3のように、敢えて水分を添加する例もある。本発明の硬化剤組成物においては、水分含有量が低く抑えられても、アルキルシリケートが存在することにより硬化剤組成物の引火点はむしろ上昇するので、取り扱い性や安全性の観点からも好ましい。本発明のような硬化剤組成物は、原料成分の純度向上による水分含有量の調整や、製品配合槽及び製品容器の乾燥、製品容器の密閉等の吸湿防止策により得ることが出来る。
<その他の成分>
本発明の硬化剤組成物には、可使時間を長くするためや、フェノール樹脂の分子量調整のためにレゾルシノール、アルコール等の重合抑制剤を添加してもよい。重合抑制剤の添加量は、エステル化合物100重量部に対し1〜20重量部が好ましい。その他にも、本発明の効果を阻害しない程度に香料や界面活性剤等の添加剤を添加してもよい。これら添加剤の添加量は、エステル化合物100重量部に対し0.001〜20重量部が好ましい。
本発明の硬化剤組成物は、水溶性フェノール樹脂を含む粘結剤により鋳型を製造する方法に好適である。即ち、本発明の鋳型の製造方法は、鋳物砂に前記本発明の硬化剤組成物及び水溶性フェノール樹脂を添加して得られた混合物を造型する鋳型の製造方法である。
本発明の鋳型の製造方法で使用可能な鋳物砂は、新砂又は再生砂が使用できるが、再生砂は混練砂としての流動性が新砂に比べて著しく劣ることから、本発明の効果を有効に利用するには、鋳物砂として再生砂を使用するのが好ましい。
また、上記鋳物砂は、天然砂又は人工砂が使用できるが、人工砂は天然砂よりも球形に近くなる傾向にあるため、繰り返して使用するうちに表面に残渣が付着して流動性が悪化しやすくなることから、本発明の効果を有効に利用するには、鋳物砂として人工砂を使用するのが好ましく、人工砂由来の再生砂を使用するのがより好ましい。
人工砂としては、合成ムライト砂、SiO2/Al23系の鋳物砂、SiO2/MgO系の鋳物砂、スラグ由来の鋳物砂等が例示できる。また、天然砂としては、石英質を主成分とする珪砂、クロマイト砂、ジルコン砂、オリビン砂、アルミナ砂等が例示できる。
なお、本発明において人工砂とは、天然より産出する鋳物砂ではなく、人工的に金属酸化物の成分を調整し、溶融又は焼結した鋳物砂のことを表す。本発明で使用できる好適な人工砂としては、耐破砕性が高く、より廃棄物が低減できる観点から、SiO2とAl23を合計で80重量%以上含有し、かつAl23/SiO2の重量比率が1〜15である人工砂が挙げられる。また、ムライト、α−アルミナ、γ−アルミナの少なくとも一つの結晶相を持つものが好ましい。
また、人工砂由来の再生砂は、元砂(人工砂)が球形に近くなる程、流動性が低下すると考えられる。よって、本発明の効果を有効に利用するには、人工砂由来の再生砂は、元砂の球形度が0.88以上であることが好ましく、0.92以上であることがより好ましく、0.95以上であることが更に好ましく、0.99以上であることが更により好ましい。
鋳物砂の球形度は、光学顕微鏡又はデジタルスコープ(例えば、キーエンス社製、VH−8000型)により得られた該鋳物砂の像(写真)について、任意に50個の鋳物砂粒子を選択し、各鋳物砂粒子について以下の方法で測定した球形度を平均して求める。各鋳物砂粒子の球形度の測定方法は、光学顕微鏡又はデジタルスコープ(例えば、キーエンス社製、VH−8000型)により画像解析することにより、該鋳物砂粒子の投影断面の面積及び該断面の周囲長を求め、次いで、前記粒子投影断面の面積(mm2)と同じ面積の真円の円周長(mm)を前記粒子投影断面の周囲長(mm)で除して求める。
本発明に使用できる再生砂は、水溶性フェノール樹脂を用いて造型した鋳型を用いて鋳物を製造した後にばらした砂を、一般的な再生方法(湿式、乾式、熱式等)により1回以上再生処理した砂であるが、乾式(特に磨耗式)で再生されたものが収率も高く、経済的に優れ好ましい。また、これらの再生方法を組み合わせて再生しても良い。
本発明に使用できる人工砂由来の再生砂は、鋳型の強度向上の観点からその強熱減量(LOI)が0.1〜10重量%であることが好ましく、より好ましくは0.2〜5重量%、更に好ましくは0.2〜1重量%、より更に好ましくは0.2〜0.5重量%である。なお、上記LOIは、空気中、500℃で2時間加熱したときの重量減少率をさす。鋳物砂が人工砂や再生砂の場合や、更に人工砂由来の再生砂の場合、該鋳物砂は球形に近づき表面積が小さくなり、その結果、相対的に樹脂が余剰となること等によって、混練鋳物砂はべとべとした状態となり流動性が悪化する。また、繰り返して鋳物砂を使用すると、表面に微粉状のものが付着するので混練鋳物砂にねばりがでてきて、やはり流動性が悪化する。本発明の、水分含有量を2重量%以下に制御した安定な硬化剤組成物は、このような問題の生じる鋳物砂においても流動性向上を可能にし、高強度の鋳型の製造を可能にする。
本発明の鋳型の製造方法で使用可能な水溶性フェノール樹脂は、エステル化合物で硬化可能な樹脂であり、一般にはアルカリ条件下でフェノール化合物とアルデヒド化合物とを重縮合させることによって得られるものである。このうちフェノール化合物としては、フェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、クレゾール、3,5−キシレノール、レゾルシノール、カテコール、ノニルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、イソプロペニルフェノール、フェニルフェノール、その他の置換フェノールを含めたフェノール類や、カシューナット殻液のような各種のフェノール化合物の混合物等が用いられる。製造時には、これらを1種又は2種以上混合して使用することができる。また、アルデヒド化合物としては、ホルムアルデヒド、フルフラール、グリオキザール等を1種又は2種以上混合して使用することができる。これらの化合物は必要に応じて水溶液として用いることができる。また、これらに、尿素、メラミン、シクロヘキサノン等のアルデヒド化合物と縮合が可能なモノマーや、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、ブチルアルコール等の1価の脂肪族アルコール化合物や、水溶性高分子のポリアクリル酸塩や、セルロース誘導体高分子、ポリビニルアルコール、リグニン誘導体などを混合しても差し支えない。
また、水溶性フェノール樹脂として、上述した特許文献2に記載されたフェノール・アルデヒド変性樹脂を使用することもできる。
水溶性フェノール樹脂の合成に用いられるアルカリ触媒としては、LiOH、NaOH、KOHなどのアルカリ金属の水酸化物が挙げられるが、特にNaOH、KOHが好ましい。また、これらのアルカリ触媒を混合して用いてもよい。
水溶性フェノール樹脂の合成において、フェノール化合物に対するアルデヒド化合物のモル比は、1.0〜6.0モル倍が好ましく、より好ましくは1.1〜5.5モル倍である。またフェノール化合物に対するアルカリ触媒のモル比は、0.2〜5.0モル倍が好ましく、より好ましくは0.5〜4.0モル倍である。
本発明において、水溶性フェノール樹脂中の固形分重量(105℃で3時間乾燥後の固形重量)は、鋳型強度の観点から、25〜90重量%が好ましく、より好ましくは30〜85重量%である。また、水溶性フェノール樹脂の重量平均分子量(Mw)は、鋳型強度の観点から、500〜8000が好ましく、より好ましくは800〜5000である。
なお、水溶性フェノール樹脂の重量平均分子量(Mw)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により、下記条件で測定できる。
<水溶性フェノール樹脂の重量平均分子量の測定方法>
(a)サンプル調製:試料に同重量のイオン交換水を加え、0.1重量%のH2SO4を加えて中和する。生成した沈殿を濾過分離し、水洗し、乾燥する。これをテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、GPC用のサンプルを調製する。
(b)カラム:ガードカラムTSX(東洋曹達工業社製)HXL(6.5mmφ×4cm)1本と、TSK3000HXL(7.8mmφ×30cm)1本と、TSK2500HXL(7.8mmφ×30cm)1本を使用する。注入口側よりガードカラム−3000HXL−2500HXLの順に接続する。
(c)標準物質:ポリスチレン(東洋曹達工業社製)
(d)溶出液:THF(流速:1ml/min)
(e)カラム温度:25℃
(f)検出器:紫外分光光度計(フェノールの紫外吸収の最大ピークの波長において定量)
(g)分子量計算の為の分割法:時間分割(2秒)
本発明では、上述した鋳物砂に、上述した本発明の硬化剤組成物と、水溶性フェノール樹脂とを添加した混合物(混練砂)から鋳型を製造する。その際、従来の自硬性鋳型造型法のプロセスをそのまま利用して鋳型を製造することができる。混練砂中の硬化剤組成物の含有量は、鋳型強度の観点から、鋳物砂100重量部に対して0.01〜5重量部が好ましく、0.1〜3重量部がより好ましい。また、混練砂中の水溶性フェノール樹脂の含有量は、鋳型強度、作業性、臭気、及びコストの観点から、その固形分の含有量として鋳物砂100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましく、0.5〜5重量部がより好ましい。なお、上記混練砂を得る方法としては、バッチミキサーにより各成分を添加して混合する方法や、連続ミキサーに各成分を供給して混合する方法が挙げられる。
また、本発明においては、得られる鋳型の強度を向上させる目的で、混練砂にグリコール類及び/又はエーテルアルコール類を配合してもよい。グリコール類としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等が例示できる。エーテルアルコール類としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等が例示できる。これらの化合物の配合量は、水溶性フェノール樹脂100重量部(固形分換算)に対して、1〜30重量部が好ましく、より好ましくは5〜20重量部である。
更に、本発明においては、混練砂にシランカップリング剤や尿素などのその他の添加剤を配合してもよい。シランカップリング剤の例としては、γ−(2−アミノ)プロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。シランカップリング剤の配合量は、水溶性フェノール樹脂100重量部(固形分換算)に対して0.001〜10重量部が好ましく、より好ましくは0.02〜1重量部である。
本発明の鋳型の製造方法は、アルミニウム鋳物のような非鉄合金系鋳物や、鋳鋼系鋳物或いは鋳鉄系鋳物等を製造するための鋳型の造型に好適であるが、特に鋳造に関する用途を限定されるものではない。
以下、本発明を具体的に示す実施例等について説明する。実施例等に用いた再生砂の調製、及び実施例等の評価は、以下の方法で行った。なお、混練砂の流動性評価、及び鋳型の圧縮強度評価は、全て25℃、60%RHで行った。また、表1〜表4において、アルキルシリケートおよびレゾルシノールの添加量は、エステル化合物100重量部に対する重量部数である。また、表1〜表4の水分含有量は、硬化剤組成物(全量)中の含有量(重量%濃度)である。
<人工セラミック砂の再生砂の調製方法>
表1〜表4に示した人工セラミック砂(元砂)100重量部に対し、水溶性フェノール樹脂の硬化剤としてトリアセチン0.3重量部と、水溶性フェノール樹脂(「カオーステップ SL−6010」、花王クエーカー(株)製)1.5重量部とを添加し、これらを混練して得られた混練砂を用いて鋳型を造型した。得られた鋳型を用いて、鋳物材質FC-250(S/M=4、ここでS/Mとは鋳型の重量(S)と鋳造物の重量(M)の比を表す)を鋳造し、回収した砂をクラッシャーにかけ、日本鋳造製M型ロータリーリクレーマーを用いて再生した。以上の工程を10回繰り返して得られた再生砂(LOIは各表に記載)を以下の実施例及び比較例に用いた。各人工セラミック砂(元砂)の球形度と嵩比重は以下のとおりである。
エスパールH:球形度=0.98、JIS K6721に基づく嵩比重=2.00
セラビーズ#650:球形度=0.89、JIS K6721に基づく嵩比重=1.69
ルナモス#80:球形度=0.99、JIS K6721に基づく嵩比重=1.66
<硬化剤組成物中の水分含有量>
京都電子工業社製カールフィッシャー水分測定器(MKS−510N)を用いて、カールフィッシャー法により、表1に示した各硬化剤組成物中の水分含有量を測定した。滴定試薬にはハイドラナールコンポジット5(リーデル・デハーン社製)を用いた。また、脱水溶剤にはMS(三菱化成社製)を用いた。
<混練砂の流動性評価>
表1〜表4に示した再生砂100重量部に対して、水溶性フェノール樹脂(「カオーステップ SL−6010」、花王クエーカー(株)製)1.5重量部と、表1〜表4に示した硬化剤組成物0.3重量部とを混練して得られた混練砂1を、図1Aに示すように、円柱状の容器2(50mmφ×300mmH)の上部から落下させ、容器2の上端部まですり切りで充填した。次いで、図1Bに示すように、容器2を逆さにして静か且つ速やかに垂直に持ち上げ、流出した混練砂1の高さH(図1C参照)と、その重量を測定した。混練砂1の流動性が高い場合、高さHは低くなり、重量は大きくなる。なお、通常、鋳型は1tほどの重量となる為、本評価における数値の相違は、実用上、顕著な違いとなる。
<鋳型の圧縮強度評価>
表1〜表4に示した再生砂100重量部に対して、水溶性フェノール樹脂(「カオーステップ SL−6010」、花王クエーカー(株)製)1.5重量部と、表1〜表4に示した硬化剤組成物0.3重量部とを混練して得られた砂を用いてテストピース(50mm×50mmφ)を成型した。そして、成型から24時間経過した後のテストピースについて、圧縮速度5mm/secで圧縮強度を測定した。なお、圧縮強度は、負荷した荷重をテストピースの断面積で除した値とした。
<25℃/80%RHで放置後の品質評価>
表2〜4に示した硬化剤組成物(各30ml)をビーカーに移し、25℃/80%RHの雰囲気下に静止した状態で放置した。そして、所定日数が経過する毎に不溶物の有無を目視にて確認し、以下の基準で品質評価を行った。併せて、放置直後の各硬化剤組成物中の水分含有量についても上記と同様の方法で測定した。なお、放置期間中は1日毎にビーカーに振動を加えた。
<品質評価基準>
A:液状で不溶物なし
B:液状で不溶物あり
C:固化した状態(液状ではない)
Figure 0005422193
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表1に示すように、炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキルシリケートを含有する実施例1〜4によれば、比較例1〜3に比べ、混練砂の流動性を向上させることができた。また、実施例1〜4によれば、比較例1〜3に比べ、得られる鋳型の圧縮強度を向上させることができた。また、表2〜4に示すように、硬化剤組成物中の水分含有量が2重量%以下の場合は液状を維持していたが、硬化剤組成物中の水分含有量が2重量%を超えると、時間経過により不溶物が増大して固化した状態となり、品質が劣化した。
A〜Cは、混練砂の流動性の評価方法を説明するための概略図である。
符号の説明
1 混練砂
2 容器

Claims (5)

  1. 鋳型の製造に用いられる水溶性フェノール樹脂用の硬化剤組成物であって、
    分子内にエステル結合を1〜5個有するエステル化合物と、炭素数1〜8のアルキル基を有するアルキルシリケート又はその低縮合物とを含有し、
    前記アルキルシリケート又はその低縮合物の含有量が、エステル化合物100重量部に対して2〜20重量部であり、
    該硬化剤組成物中の水分含有量が2重量%以下である、硬化剤組成物。
  2. 前記エステル化合物が、トリアセチン、エチレングリコールジアセテート、γ―ブチロラクトン、炭酸プロピレン、コハク酸ジメチル、グルタル酸ジメチル及びアジピン酸ジメチルから選ばれる1種以上である請求項1記載の硬化剤組成物。
  3. 鋳物砂に硬化剤組成物及び水溶性フェノール樹脂を添加して得られた混合物を造型する鋳型の製造方法であって、
    前記硬化剤組成物が、請求項1又は2記載の硬化剤組成物である、鋳型の製造方法。
  4. 前記鋳物砂が、再生砂である請求項3記載の鋳型の製造方法。
  5. 前記鋳物砂が、人工砂である請求項3又は4記載の鋳型の製造方法。
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