JP6934415B2 - 鋳型造型用粒子 - Google Patents

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本発明は、鋳型造型用粒子に関する。
鋳造後、鋳型に用いた耐火性粒子は、通常、鋳型を破壊(型ばらし)して単粒子にした回収砂に種々の方法で再生処理を施した再生砂として再利用される(再生処理の方法につき、例えば非特許文献1)。経済的観点及び廃棄物低減の観点から、鋳物工場では、再生砂を用いて鋳型を製造することは一般的になっている。
「鋳型造型法」、第4版、社団法人日本鋳造技術協会、平成8年11月18日、327〜330頁
耐火性粒子として新砂を用いると粘結剤自体の強度と鋳型強度が相関するが、再生砂を用いた場合は粘結剤の強度が一定レベル以上に高くなると鋳型強度は上がらなくなる。
本発明は、再生処理を施した後に鋳物砂として用いた場合でも充分な鋳型強度を得ることができる鋳型造型用粒子を提供する。
本発明は、耐火性粒子の表面にフルフリルアルコールの脱水縮合物とシリケートとを有する、鋳型造型用粒子である。
本発明によれば、再生処理を施した後に鋳物砂として用いた場合でも充分な鋳型強度を得ることができる鋳型造型用粒子を提供することができる。
フルフリルアルコールの脱水縮合物とシリケートが混在した一例を示すモデル図
<鋳型造型用粒子>
本実施形態の鋳型造型用粒子は、耐火性粒子の表面にフルフリルアルコールの脱水縮合物とシリケートとが混在する。本実施形態の鋳型造型用粒子によれば、再生処理を施した後に鋳物砂として用いた場合でも充分な鋳型強度を得ることができる。本実施形態の鋳型造型用粒子がこのような効果を奏する理由は定かではないが、以下の様に考えられる。
再生処理後の耐火性粒子の表面には当該再生処理で取り除けなかった残留粘結剤があるが、再生砂では残留粘結剤と元来の耐火性粒子の界面の接着が弱く、強度の高い粘結剤を用いても、粘結剤部分ではなく残留粘結剤と元来の耐火性粒子の界面で破断が生じるため、鋳型強度が向上しないと考えられる。これらの課題に対し、従来、耐火性粒子と粘結剤の結合力の向上を目的としてシランカップリング剤が添加されるが、当該シランカップリング剤は分子構造の中に有機基があり、この部分が鋳物製造時にかかる熱によって分解するため、元来の耐火性粒子の表面と粘結剤の結合が弱くなってしまう。その結果、残留粘結剤と元来の耐火性粒子の界面で破断が生じると考えられる。本実施形態の鋳型造型用粒子は、元来の耐火性粒子の表面に、フルフリルアルコールの脱水縮合物とシリケートとが混在した状態で存在しているため、粘結剤成分である、フルフリルアルコールの脱水縮合物部分が鋳型造型用粘結剤と強く結合すると共に、シリケート部分は元来の耐火性粒子との結合性を維持している上に、縮合物部分とシリケート部分とが互いに接触面を多く有することになる。その結果、残留粘結剤と元来の耐火性粒子が明確に分かれている様な場合に発生する界面での破断を抑制できる。そのため、本実施形態の鋳型造型用粒子は、再生処理を施した後に鋳物砂として用いた場合でも充分な鋳型強度を得ることができると考えられる。
〔耐火性粒子〕
前記耐火性粒子は、新砂や再生砂を含むものである。また、天然砂であってもよく、人工砂であってもよい。当該天然砂としては、石英質を主成分とする珪砂、クロマイト砂、ジルコン砂、オリビン砂、アルミナ砂等が例示できる。当該人工砂としては、合成ムライト砂、Alを主成分とするAl系の鋳物砂、SiO/Al系の鋳物砂、SiO/MgO系の鋳物砂、SiO/Al/ZrO系の鋳物砂、スラグ由来の鋳物砂等が例示できる。当該人工砂とは、天然より産出する鋳物砂ではなく、人工的に金属酸化物の成分を調製し、溶融または焼結した鋳物砂のことを表す。これらは単独で用いても良く、2種以上を併用してもよい。処理前の耐火性粒子として再生砂を用いることもできるが、新砂の割合を高くするほど、鋳型強度向上の効果の観点からは好ましい。
〔フルフリルアルコールの脱水縮合物〕
前記鋳型造型用粒子は、鋳型造型用粘結剤との接着性の観点、及び耐熱性の観点からフルフリルアルコールの脱水縮合物を有する。フルフリルアルコールの脱水縮合物は、シリケートと混在した状態で前記耐火性粒子の表面に付着している。フルフリルアルコールの脱水縮合物とシリケートが混在した状態は、例えば、共連続構造、ミクロ層分離構造、相互貫入などのように混ざり合った状態を意味する。図1は、フルフリルアルコールの脱水縮合物とシリケートが混在した状態の一例を示すモデル図である。図1において、1は耐火性粒子を示し、11は耐火性粒子1の表面を示す。2は耐火性粒子1の表面11にある、フルフリルアルコールの脱水縮合物21とシリケート22が混在した部分である。3は鋳型造型用粘結剤組成物を硬化剤で硬化させた硬化物を示す。
フルフリルアルコールの脱水縮合物の量は、鋳型造型用粘結剤との接着性の観点、及び耐熱性の観点から、耐火性粒子100質量部に対して、0.04質量部以上が好ましく、0.1質量部以上がより好ましい。フルフリルアルコールの脱水縮合物の量は、熱分解ガス発生量の観点から、耐火性粒子100質量部に対して、2.0質量部以下が好ましく、1.0質量部以下がより好ましい。フルフリルアルコールの脱水縮合物の量は、これらの観点から、耐火性粒子100質量部に対して、0.04〜2.0質量部が好ましく、0.1〜1.0質量部がより好ましい。
〔シリケート〕
前記鋳型造型用粒子は、耐火性粒子との接着性の観点、及び耐熱性の観点からシリケートを有する。シリケートは、フルフリルアルコールの脱水縮合物と混在した状態で前記耐火性粒子の表面に存在している。
シリケートはアルキルシリケートの加水分解・重縮合物であり、当該アルキルシリケートの例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシランや、これらの部分加水分解物であるメチルシリケート、エチルシリケート、プロピルシリケート等が挙げられる。また、アルキルシリケートはフルフリルシリケートの加水分解物に由来するものでもよい。これらは単独で用いても良く、2種以上を併用してもよい。
シリケートの量は、耐火性粒子との接着性の観点から、耐火性粒子100質量部に対してSiO分で0.016質量部以上が好ましく、0.024質量部以上がより好ましい。シリケートの量は、鋳型造型用粘結剤との接着性の観点から、耐火性粒子100質量部に対して、SiO分で0.8質量部以下が好ましく、0.4質量部以下がより好ましい。シリケートの量は、これらの観点から、耐火性粒子100質量部に対して、SiO分で0.016〜0.8質量部が好ましく、0.024〜0.4質量部がより好ましい。
フルフリルアルコールの脱水縮合物とシリケートの存在比(フルフリルアルコールの脱水縮合物の質量/シリケートの質量(SiO分))は、鋳型造型用組成物との接着性の観点、耐火性粒子との接着性の観点、及び耐熱性の観点から、0.20以上が好ましく、1.5以上がより好ましい。フルフリルアルコールの脱水縮合物とシリケートの混在比は、鋳型造型用組成物との接着性の観点、耐火性粒子との接着性の観点、及び耐熱性の観点から、22.5以下が好ましく、20以下がより好ましい。フルフリルアルコールの脱水縮合物とシリケートの混在比は、これらの観点から、0.20〜22.5が好ましく、1.5〜20がより好ましい。
フルフリルアルコールの脱水縮合物とシリケートとを混ぜることによって得られた層を有する耐火性粒子は、この層が耐火性粒子の表層部に存在する。存在状態は特に拘らないが、付着して乾燥などにより流動性を有さない固着した層を形成されたものが好ましい。
前記耐火性粒子の表面に、フルフリルアルコールの脱水縮合物及びシリケートに加え、本実施形態の効果を損なわない範囲でフルフリルアルコールの脱水縮合物及びシリケート以外の成分が混在していてもよい。フルフリルアルコールの脱水縮合物及びシリケート以外の成分としてはシランカップリング剤が挙げられる。
前記鋳型造型用粒子の平均粒子径は、鋳型の造型に用いることができる平均粒子径であれば特に問題なく使用できるが、例えば0.5〜500μmである。
《耐火性粒子の表面処理剤組成物》
更に、本発明はフルフリルアルコール及びアルキルシリケートを含有する、耐火性粒子の表面に存在させうる、表面処理剤組成物にある。用いられるフルフリルアルコールやアルキルシリケートは上述したものと同じものを用いることができる。表面処理剤としては、フルフリルアルコールとアルキルシリケートの質量比が(フルフリルアルコールの質量)/(アルキルシリケートの質量)の範囲が0.05〜19が好ましく、0.25〜4がより好ましい。更に、表面処理剤組成物としては、表面処理剤に水などの溶剤を加えたものを用いることができる。その場合には流動性と効果の発現効率の観点から固形分濃度(質量%)として40〜95が好ましく、60〜90がより好ましい。
<鋳型造型用粒子の製造方法>
〔第1の実施形態〕
前記鋳型造型用粒子の製造方法の第1の実施形態は、フルフリルアルコール、アルキルシリケート、及び酸を前記耐火性粒子に存在させる付着工程を有する。
[付着工程]
前記酸はフルフリルアルコールを脱水縮合反応させるとともに、アルキルシリケートを加水分解・重縮合反応させるものであれば特に限定されない。このような酸の例としては、キシレンスルホン酸(特に、m−キシレンスルホン酸)及びトルエンスルホン酸(特に、p−トルエンスルホン酸)等のスルホン酸系化合物、リン酸系化合物、硫酸等が挙げられる。このような酸の市販品としては、カオーライトナーC−17、同C−21(いずれも花王クエーカー株式会社製)等が挙げられる。
フルフリルアルコール又はその一部脱水縮合化された縮合物、アルキルシリケート、及び酸を前記耐火性粒子に付着させる手法としては、特に限定されないが、例えば、フルフリルアルコール、アルキルシリケート、酸、及び前記耐火性粒子を混合する方法が挙げられる。フルフリルアルコール、アルキルシリケート、酸、及び前記耐火性粒子を混合する方法としては、公知一般の手法を用いることができ、例えば、バッチミキサーによりフルフリルアルコール、アルキルシリケート、酸、及び前記耐火性粒子を混合する方法や砂再生機の再生処理中に混合する方法などが挙げられる。なお、前記耐火性粒子に付着させるアルキルシリケートは、モノマーであってもよく、オリゴマーであってもよい。
フルフリルアルコール又はその一部脱水縮合化された縮合物、アルキルシリケート、酸、及び前記耐火性粒子を混合する方法においてこれらを混合する順序は特に限定されず、例えば、フルフリルアルコールとアルキルシリケートを混合して耐火性粒子の処理剤とし、耐火性粒子と酸を混合した後に前記耐火性粒子の処理剤を混合してもよい。
〔第2の実施形態〕
前記鋳型造型用粒子の製造方法の第2の実施形態は、フルフリルシリケート、及び酸を前記耐火性粒子に存在させる付着工程を有する。
[付着工程]
前記鋳型造型用粒子の製造方法の第2の実施形態に用いることができる酸は、前記第1の実施形態で用いることができる酸と同様である。
フルフリルシリケート、及び酸を前記耐火性粒子に付着させる手法としては特に限定されず、第1の実施形態に係るフルフリルアルコール、アルキルシリケート、及び酸を前記耐火性粒子に付着させる手法と同様の手法を用いることができる。
フルフリルシリケートは酸によってフルフリルアルコールとシリケートに加水分解し、それぞれが脱水縮合反応又は重合反応することによって、耐火性粒子の表面にフルフリルアルコールの脱水縮合物とシリケートとの層を有する鋳型造型用粒子が得られる。
<鋳型用組成物>
本実施形態の鋳型用組成物は、前記鋳型造型用粒子、鋳型造型用粘結剤組成物、及び前記鋳型造型用粘結剤組成物を硬化させる硬化剤組成物を含有する。
〔鋳型造型用粘結剤組成物〕
前記鋳型造型用粘結剤組成物は、公知一般のものを特に限定無く用いることができるが、前記鋳型造型用粒子との接着性の観点から、酸硬化性樹脂が好ましい。当該酸硬化性樹脂としては、フルフリルアルコール、フルフリルアルコールとアルデヒド類の縮合物、フェノール類とアルデヒド類の縮合物、メラミンとアルデヒド類の縮合物、及び尿素とアルデヒド類の縮合物よりなる群から選ばれる1種からなるものや、これらの群から選ばれる2種以上の混合物からなるものが使用できる。また、前記群から選ばれる2種以上の共縮合物からなるものや、前記群から選ばれる1種以上と前記共縮合物との混合物からなるものも使用できる。このうち、前記鋳型造型用粒子との接着性の観点から、フルフリルアルコールとフェノール類とアルデヒド類の縮合物、フルフリルアルコールとメラミンとアルデヒド類の縮合物、及びフルフリルアルコールと尿素とアルデヒド類の縮合物よりなる群から選ばれる1種からなるフラン樹脂、あるいはこれらの群から選ばれる2種以上の混合物からなるフラン樹脂が好ましい。また、鋳型強度向上の観点、及び保存安定性の観点から、フルフリルアルコールと尿素とアルデヒド類の縮合物であることが好ましい。なかでも、粘結剤組成物の粘度を適度な範囲に調整する観点から、酸硬化性樹脂はフルフリルアルコールを含有することが好ましい。
前記アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、グリオキザール、フルフラール、テレフタルアルデヒド等が挙げられ、これらのうち1種以上を適宜使用できる。鋳型強度向上の観点からは、ホルムアルデヒドを用いるのが好ましく、造型時のホルムアルデヒド発生量低減の観点からは、フルフラールやテレフタルアルデヒドを用いるのが好ましい。
前記フェノール類としては、フェノール、クレゾール、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールC、ビスフェノールE、ビスフェノールFなどが挙げられ、これらのうち1種以上を使用できる。
[水]
前記粘結剤組成物中には、さらに水が含まれてもよい。例えば、フルフリルアルコールとアルデヒド類の縮合物などの各種縮合物を合成する場合、水溶液状の原料を使用したり縮合水が生成したりするため、縮合物は、通常、水との混合物の形態で得られるが、このような縮合物を粘結剤組成物に使用するにあたり、合成過程に由来するこれらの水をあえて除去する必要はない。また、前記粘結剤組成物を取扱いやすい粘度に調整する目的などで、水をさらに添加してもよい。ただし、水が過剰になると、酸硬化性樹脂の硬化反応が阻害されるおそれがある。従って、前記粘結剤組成物中の水の含有量は、前記粘結剤組成物を扱いやすくする観点から、0.5〜30質量%の範囲とすることが好ましく、3〜25質量%の範囲がより好ましい。
[その他の添加剤]
また、前記粘結剤組成物中には、さらにシランカップリング剤等の添加剤が含まれていてもよい。例えばシランカップリング剤が含まれていると、鋳型強度を向上させることができるため好ましい。シランカップリング剤としては、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノシランや、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン、ウレイドシラン、メルカプトシラン、スルフィドシラン、メタクリロキシシラン、アクリロキシシランなどが用いられる。好ましくは、アミノシラン、エポキシシラン、ウレイドシランである。シランカップリング剤の前記粘結剤組成物中の含有量は、鋳型強度を向上させる観点から、0.01〜1.5質量%であることが好ましく、0.05〜1.0質量%であることがより好ましい。
〔硬化剤組成物〕
前記硬化剤組成物は、前記鋳型造型用粘結剤組成物を硬化させるものであれば公知一般のものを特に限定無く用いることができる。例えば、前記鋳型造型用粘結剤組成物が酸硬化性樹脂を含む場合、当該酸硬化性樹脂を硬化させる硬化剤組成物としては、キシレンスルホン酸(特に、m−キシレンスルホン酸)やトルエンスルホン酸(特に、p−トルエンスルホン酸)、メタンスルホン酸等のスルホン酸系化合物、リン酸、酸性リン酸エステル等のリン酸系化合物、硫酸等を含む酸性水溶液など、従来公知のものを1種以上使用できる。更に、前記硬化剤組成物中にアルコール類、エーテルアルコール類及びエステル類よりなる群から選ばれる1種以上の溶剤や、カルボン酸類を含有させることができる。一般には25℃でのpHが2以下、より好ましくは1以下の硬化剤組成物が使用される。硬化剤組成物中の酸の濃度は、例えば3〜100質量%であり、好ましくは10〜90質量%より好ましくは、15〜80質量%である。これらの濃度や添加量は、用いる砂の温度、使用する環境の気温、湿度により適切な量に調整することが好ましい。
前記鋳型用組成物(混練砂)の調製方法としては、例えば、前記粘結剤組成物と、前記硬化剤組成物とを前記鋳型造型用粒子に加え、これらをバッチミキサーや連続ミキサーなどで混練する方法を例示できる。
前記鋳型用組成物における前記鋳型造型用粒子と前記粘結剤組成物と前記硬化剤組成物との比率は、前記粘結剤組成物や硬化剤組成物の種類等によって適宜設定できる。例えば、前記粘結剤組成物が前記酸硬化性樹脂の場合、前記鋳型用組成物における前記鋳型造型用粒子と前記粘結剤組成物と前記硬化剤組成物との比率は、前記鋳型造型用粒子100質量部に対して、前記粘結剤組成物が好ましくは0.3〜1.5質量部であり、より好ましくは0.5〜1.0質量部である。前記鋳型造型用粒子100質量部に対して、前記硬化剤組成物が好ましくは0.07〜1質量部であり、より好ましくは0.1〜0.5質量部の範囲である。このような比率であると、十分な強度の鋳型が得られやすい。
<鋳型の製造方法>
前記鋳型用組成物を硬化させることによって鋳型を製造することができる。本実施形態の鋳型の製造方法において、従来の鋳型の製造プロセスをそのまま利用して鋳型を製造することができる。好ましい鋳型の製造方法として、前記鋳型造型用粒子と前記鋳型造型用粘結剤組成物と、当該鋳型造型用粘結剤組成物を硬化させる硬化剤組成物とを混合して前記鋳型用組成物を得る混合工程、及び前記鋳型用組成物を型枠に詰め、当該鋳型用組成物を硬化させる硬化工程を有する鋳型の製造方法が挙げられる。
<実施例1及び比較例2>
〔実施例1〕
[鋳型造型用粒子の調製]
珪砂(フリーマントル新砂)100質量部に対して、表1に示す硬化剤組成物を所定量添加し、バッチミキサーで約30秒間混練し、次いで、耐火性粒子の処理剤を所定量添加して、約8分間混練し、鋳型造型用粒子を得た。
[再生砂の調製]
上記で得られた鋳型造型用粒子100質量部に対して、硬化剤組成物(花王株式会社製カオーライトナーC−17)0.28質量部を添加し、バッチミキサーで約30秒間混練し、次いでフラン樹脂(花王クエーカー株式会社製カオーライトナーEF−5402)0.7質量部を添加して約30秒間混練し、混練砂得た。得られた混練砂をステップコーン木型に充填し、所定時間経過後に抜型し、鋳型を得た。当該鋳型に鋳込み約1400℃の温度で鋳鉄用材料鉄(FC−250)を注湯し、鋳造した後、鋳型をばらしてハイブリッドサンドマスターで60秒間機械研磨を行って再生砂を得た。以上により得られた鋳型造型用粒子の表面には、フルフリルアルコールの脱水縮合物由来の有機層とシリケート由来のSiとが存在する層が形成される。更に好ましくはその層が流動性を持たない固着層となっていることである。
[テストピースの作成]
25℃/55%RHの条件下で、鋳型造型用粒子100質量部に対して硬化剤組成物(花王クエーカー株式会社製カオーライトナーC−17)0.28質量部を添加した後、キッチンミキサーで約40秒間混練し、次いでフラン樹脂(花王クエーカー株式会社カオーライトナーEF−5402)0.7質量部を添加し、約20秒間混練し、混練砂を反転後、更に約40秒間混練した(合計約2分間)。混練終了後、混練砂を、高さ50mm、直径50mmの円筒形塩化ビニール製のテストピース枠9個に充填し、強度測定用の鋳型のテストピースを造型した。
[強度測定]
圧縮強度(MPa)の測定は、30分後、1時間後、2時間後の経時変化を、24時間後については2時間後に抜型したテストピース鋳型について、更に22時間そのまま放置したものを、オートグラフAG−5000D(島津製作所社製、ヘッドスピード5mm/分)を用いて測定した。
〔比較例1〕
実施例1の鋳型造型用粒子を珪砂(フリーマントル新砂)に変更した以外は実施例1と同様にしてテストピースを作製し、強度を測定した。
実施例1及び比較例1に係る評価結果を表1に示す。
Figure 0006934415

<実施例2〜8及び比較例2〜4>
〔鋳型用組成物の調製及び再生砂の調製〕
25℃/55%RHの条件下で、珪砂(フリーマントル新砂)100質量部に表2に示す硬化剤組成物を所定量添加し、キッチンミキサーで約40秒間混練した。得られた混練物に表2に示す耐火性粒子の処理剤を所定量添加し、約20秒間混練し、混練物を反転後、更に約8分40秒間混練し、鋳型造型用粒子を得た。24時間後、鋳型造型用粒子に25℃/55%RHの条件下で、鋳型造型用粒子100質量部に対して硬化剤組成物(花王クエーカー株式会社製カオーライトナーUS−3、C−21混合液)0.28質量部を添加した後、キッチンミキサーで約40秒間混練し、次いでフラン樹脂(花王クエーカー株式会社カオーライトナーEF−5402)0.7質量部を添加し、約20秒間混練し、混練砂を反転後、更に約8分40秒間混練し、鋳型造型用組成物を得た。24時間後、ステンレスバッドにアルミホイルを敷き、その上に鋳型用組成物を敷き詰めて、更にアルミホイルで密閉した。その後、混練砂の入ったステンレスバッドを熱風乾燥機で400℃/1.0時間熱処理し、熱処理砂を得た。この熱処理砂を再生砂とした。
〔テストピースの作成〕
実施例1の鋳型造型用粒子を表2に記載の熱処理後の鋳型造型用粒子に変更した以外は実施例1と同様にして当該再生砂でテストピースを作製して強度を測定した。
実施例2〜8及び比較例2〜4に係る評価結果を表2に示す。
Figure 0006934415
〔表2〕の結果から、本発明の鋳型造型用粒子を用いて造型した鋳型は強度向上が認め
られる。
1 耐火性粒子
2 鋳型造型用粘結剤組成物の硬化物
3 フルフリルアルコールとシリケートが混在した部分
11 耐火性粒子の表面
21 フルフリルアルコールの脱水縮合物
22 シリケート

Claims (7)

  1. 耐火性粒子の表面にフルフリルアルコールの脱水縮合物とシリケートとを有する鋳型造型用粒子の製造方法であって、
    フルフリルアルコール、アルキルシリケート、及び酸を前記耐火性粒子に付着させる付着工程を有する、鋳型造型用粒子の製造方法。
  2. 前記耐火性粒子が、再生砂である、請求項1に記載の鋳型造型用粒子の製造方法。
  3. 耐火性粒子の表面にフルフリルアルコールの脱水縮合物とシリケートとを有する鋳型造型用粒子の製造方法であって、
    フルフリルシリケート、及び酸を前記耐火性粒子に付着させる付着工程を有する、鋳型造型用粒子の製造方法。
  4. 前記耐火性粒子が、再生砂である、請求項3に記載の鋳型造型用粒子の製造方法。
  5. 耐火性粒子の表面にフルフリルアルコールの脱水縮合物とシリケートとを有する鋳型造型用粒子、鋳型造型用粘結剤組成物、及び当該鋳型造型用粘結剤を硬化させる硬化剤組成物を含有する鋳型用組成物。
  6. 耐火性粒子の表面にフルフリルアルコールの脱水縮合物とシリケートとを有する鋳型造型用粒子、鋳型造型用粘結剤組成物、及び当該鋳型造型用粘結剤組成物を硬化させる硬化剤組成物を混合して鋳型用組成物を得る混合工程、及び前記鋳型用組成物を型枠に詰め、当該鋳型用組成物を硬化させる硬化工程を有する鋳型の製造方法。
  7. フルフリルアルコール及びアルキルシリケートを含有する耐火性粒子の表面処理剤組成物。

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