JP2019063842A - 鋳型用骨材組成物 - Google Patents
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本実施形態の鋳型用骨材組成物は、水溶性フェノール樹脂バインダー硬化系の鋳型用骨材組成物であって、強熱減量から水洗浄により除去される強熱減量を減じた値が0.1質量%以上である再生砂と、界面活性剤とを有し、前記界面活性剤が、炭素数が10〜20の炭化水素基を有するノニオン界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる1種以上である。本明細書において「強熱減量」とは105℃で1時間熱処理して乾燥させた再生砂を500℃2時間強熱処理した後の重量減少率を意味し、「水洗後強熱減量」とは、水洗後に105℃で1時間熱処理して乾燥させた再生砂を500℃2時間強熱処理した後の重量減少率を意味し、「水洗浄により除去される強熱減量」とは、前記強熱減量から、前記水洗後強熱減量を減じた値を意味する。本実施形態の鋳型用骨材組成物によれば、経済的に優れ、前記再生砂を用いた場合でも低温環境下で製造される鋳型の強度低下を抑制することができる。ここで「水溶性フェノール樹脂硬化系」とは、フェノール樹脂のその全部又は一部の水酸基がアルコキシドになり水溶性を呈する樹脂をエステル化合物により硬化させる鋳型造型システムの事を示す。本実施形態の鋳型用骨材組成物がこのような効果を奏する理由は定かではないが、以下のように考えられる。
前記界面活性剤は、炭素数が10〜20の炭化水素基を有するノニオン界面活性剤、及び炭素数が10〜20の炭化水素基を有する両性界面活性剤から選ばれる1種以上である。
前記ノニオン界面活性剤としては、エーテル系界面活性剤、アミン系界面活性剤、エステル系界面活性剤等が例示できるが、前記再生砂を用いた場合に低温環境下で製造される鋳型の強度低下を抑制する観点からエーテル系界面活性剤又はアミン系界面活性剤が好ましい。
前記両性界面活性剤は、ラウリルベタイン、ステアリルベタイン等のベタイン系界面活性剤;ラウリルジメチルアミンオキサイド等のアルキルアミンオキシドが例示でき、前記再生砂を用いた場合に低温環境下で製造される鋳型の強度低下を抑制する観点からベタイン系界面活性剤が好ましく、ベタイン系界面活性剤の中でもラウリルベタインがより好ましい。
前記鋳型用骨材組成物は、本実施形態の効果を阻害しない程度にシランカップリング剤等の添加剤が含まれていてもよい。
本実施形態の鋳型造型用粘結剤組成物(以下、単に粘結剤組成物とも称する)は、水溶性フェノール樹脂を含有する。
前記水溶性フェノール樹脂は、エステル化合物で硬化可能な樹脂であり、一般にはアルカリ条件下でフェノール化合物とアルデヒド化合物とを重縮合させることによって得られるものである。このうちフェノール化合物としては、フェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、クレゾール、3,5−キシレノール、レゾルシン、カテコール、ノニルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、イソプロペニルフェノール、フェニルフェノール、その他の置換フェノールを含めたフェノール類や、カシューナット殻液のような各種のフェノール化合物の混合物等を1種又は2種以上混合して使用することができる。また、アルデヒド化合物としては、ホルムアルデヒド、フルフラール、グリオキザール等を1種又は2種以上混合して使用することができる。これらの化合物は必要に応じて水溶液として用いることができる。また、これらに、尿素、メラミン、シクロヘキサノン等のアルデヒド化合物と縮合が可能なモノマーや、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、ブチルアルコール等の1価の脂肪族アルコール化合物や、水溶性高分子のポリアクリル酸塩や、セルロース誘導体高分子、ポリビニルアルコール、リグニン誘導体などを混合しても差し支えない。
本実施形態の鋳型造型用硬化剤組成物は、前記水溶性フェノール樹脂を硬化させる硬化剤及び前記界面活性剤を含有する。
前記硬化剤は前記鋳型造型用粘結剤組成物を硬化させるものであれば特に限定なく用いることができるが、鋳型強度を向上させる観点からエステル化合物が好ましい。当該エステル化合物は、水溶性フェノール樹脂の硬化剤として使用できる従来公知のエステル化合物である。当該エステル化合物としては、ラクトン類或いは炭素数1〜10の一価又は多価アルコールと炭素数1〜10の有機カルボン酸より導かれる有機エステル化合物の単独もしくは混合物が挙げられるが、自硬性鋳型造型法ではγ−ブチロラクトン、プロピオンラクトン、ε−カプロラクトン、ギ酸エチル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノアセテート、トリアセチン等を用いるのが好ましい。
本発明の鋳型の製造方法は、強熱減量から水洗浄により除去される強熱減量を減じた値が0.1質量%以上である再生砂を含有する耐火性粒子、水溶性フェノール樹脂を含有する鋳型造型用粘結剤組成物(以下、単に粘結剤組成物ともいう)、及び前記界面活性剤を混合して鋳型用組成物を得る混合工程、及び前記鋳型用組成物を型枠に詰め、当該鋳型用組成物を硬化させる硬化工程を有するところにもある。当該鋳型の製造方法によれば、低温環境下で製造される鋳型の強度低下を抑制することができる。
前記混合工程において、鋳型造型用粘結剤組成物を前記再生砂と混合させる方法としては、公知一般の手法を用いることができる。
<硬化工程>
前記硬化工程において、当該鋳型用組成物を硬化させる方法としては、公知一般の手法を用いることが出来る。特に、本実施形態の効果発現の観点から、硬化剤を粘結剤組成物に混合し、当該硬化剤によって鋳型造型用粘結剤組成物を硬化させる自硬性鋳型造型法や、ガスを通気させることによって鋳型造型用粘結剤組成物を硬化させるガス硬化鋳型造型法が好ましい。
〔再生砂Aの調製〕
溶融法で製造された人工アルミナ砂(商品名:エスパール#60L、山川産業社製、未使用)100質量部に対して、水溶性フェノール樹脂(商品名カオーステップSH−8000、花王クエーカー社製)1.0質量部、及びエステル化合物系硬化剤としてトリアセチン0.25質量部を加えて混練して得られた混練砂を用いて鋳型を造型した。本鋳型に1400℃にて鋳鉄溶湯(FC250)を注湯し、冷却後、鋳型をクラッシャーで処理し、回収砂を得た。この回収砂を新東工業株式会社製USR砂再生機(5000kg/hr処理、1パス)で再生処理を行った。さらにこの再生処理後の砂を用いて、前記した鋳型造型・鋳込・砂再生処理をもう1回行い、再生砂Aを得た。再生砂Aの強熱減量、及び水洗浄により除去される強熱減量を表1に示す。
[実施例1]
再生砂A100質量部にジヒドロキシエチルラウリルアミン(商品名:アミート102、花王社製)を0.02質量部となるように水溶液として添加し混合した後、乾燥させ、鋳型用骨材組成物を得た。得られた鋳型用骨材組成物の温度を5℃に調整し、気温5℃の環境下で当該鋳型用骨材組成物にγ−ブチロラクトン0.25質量部、水溶性フェノール樹脂(商品名:カオーステップSH−8000、花王社製)1.0質量部を添加混合し鋳型用組成物を得た。得られた直後の鋳型用組成物を直径50mm、高さ50mmの円柱形状のテストピース枠に充填し、3時間経過した時に抜型し実施例1に係る評価用サンプルを得た。なお、用いた粘結剤組成物の使用温度(5℃)における粘度は134mPa・sであった。
ジヒドロキシエチルラウリルアミンをポリオキシエチレンラウリルアミン(商品名:アミート105、花王社製)に変更した以外は実施例1と同様にして実施例2に係る評価サンプルを得た。
ジヒドロキシエチルラウリルアミンをポリオキシエチレンラウリルエーテル(商品名:エマルゲン103、花王社製)に変更した以外は実施例1と同様にして実施例3に係る評価サンプルを得た。
ジヒドロキシエチルラウリルアミンを添加しなかった以外は実施例1と同様にして比較例1に係る評価サンプルを得た。
ジヒドロキシエチルラウリルアミンをドデシルベンゼンスルホン酸(商品名:ネオペレックスGS、花王社製)に変更した以外は実施例1と同様にして比較例2に係る評価サンプルを得た。
〔再生砂Bの調製〕
人工アルミナ砂(商品名:エスパール#60L、山川産業社製、未使用)100質量部に対して、水溶性フェノール樹脂(商品名カオーステップSH−8000、花王クエーカー社製)1.2質量部、及びエステル化合物系硬化剤としてトリアセチン0.3質量部を加えて混練して得られた混練砂を用いて鋳型を造型した。本鋳型に1400℃にて鋳鉄溶湯(FC250)を注湯し、冷却後、鋳型をクラッシャーで処理し、回収砂を得た。この回収砂を日本鋳造社製ロータリーリクレーマー(5000kg/hr処理、2430rpm、2パス)で再生処理(A再生法:砂層間摩擦再生方式)を行った。さらに、この再生処理後の砂を用いて、前記した鋳型造型・鋳込・砂再生処理をもう一回行い再生砂Bを得た。再生砂Bの強熱減量、及び水洗浄により除去される強熱減量を表1に示す。
再生砂Aを再生砂Bに変更し、添加剤を水溶液とせず単独で砂に添加し、乾燥せずそのまま用いた以外は実施例1と同様にして実施例4に係る評価サンプルを得た。
ジヒドロキシエチルラウリルアミンをジヒドロキシエチルステアリルアミン(商品名:アミート302、花王社製)に変更した以外は実施例4と同様にして実施例5に係る評価サンプルを得た。
再生砂Aを再生砂Bに変更した以外は比較例1と同様にして比較例3に係る評価サンプルを得た。
〔再生砂Cの調製〕
ムライト系人工砂(商品名:ルナモスMS#50、花王クエーカー社製、未使用)100質量部に対して、水溶性フェノール樹脂(商品名カオーステップSH−8000、花王クエーカー社製)1.2質量部、及びエステル化合物系硬化剤としてトリアセチン0.3質量部を加えて混練して得られた混練砂を用いて鋳型を造型した。本鋳型に1400℃にて鋳鉄溶湯(FC250)を注湯し、冷却後、鋳型をクラッシャーで処理し、回収砂を得た。この回収砂を日本鋳造社製ロータリーリクレーマー(5000kg/hr処理、2430rpm、2パス)で再生処理(A再生法:砂層間摩擦再生方式)を行った。さらに、この再生処理後の砂を用いて前記した鋳型造型・鋳込・砂再生処理をもう一回行い、再生砂Cを得た。再生砂Cの強熱減量、及び水洗浄により除去される強熱減量を表1に示す。
再生砂Bを再生砂Cに変更した以外は実施例4と同様にして実施例6に係る評価サンプルを得た。
再生砂Bを再生砂Cに変更した以外は実施例5と同様にして実施例7に係る評価サンプルを得た。
再生砂Aを再生砂Cに変更した以外は比較例1と同様にして比較例4に係る評価サンプルを得た。
〔実施例8〕
温度及び評価サンプル製造時の気温を25℃に変更した以外は実施例4と同様にして実施例8に係る評価サンプルを得た。
温度及び評価サンプル製造時の気温を25℃に変更した以外は実施例5と同様にして実施例9に係る評価サンプルを得た。なお、用いた粘結剤組成物の25℃における粘度は45mPa・sであった。
温度及び評価サンプル製造時の気温を25℃に変更した以外は比較例3と同様にして比較例5に係る評価サンプルを得た。
ジヒドロキシエチルラウリルアミンをラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン(商品名:アンヒトール24B、花王社製)に変更した以外は実施例1と同様にして実施例10に係る評価サンプルを得た。
水溶性フェノール樹脂(商品名カオーステップSH−8000、花王クエーカー社製)98質量部に対して、ジヒドロキシラウリルアミンを2質量部添加して、粘結剤組成物とした以外は、比較例1と同様に試験を行い、評価サンプルを得た。
水溶性フェノール樹脂(商品名カオーステップSH−8000、花王クエーカー社製)98質量部に対して、ジヒドロキシラウリルアミンを2質量部添加して、粘結剤組成物とした以外は、比較例5と同様に試験を行い、評価サンプルを得た。
〔強熱減量〕
砂50gをシャーレ―上に広げ、105℃で1時間乾燥させた再生砂を、10gルツボに取り、500℃2時間強熱処理した後の重量減少率を強熱減量とした。
再生砂50gに水50gを加え15分撹拌後、上澄み液をデカンテーションで除去する。その後、残った砂に50g水を加え5分間撹拌、上澄み液をデカンテーションで除去後、更に残った砂に水50gを加え5分間撹拌後、上澄み液をデカンテーションで除去後、最後に残った砂をシャーレにかきだし、105℃1時間乾燥することにより、水洗後再生砂を得た。当該水洗後再生砂の強熱減量(水洗後強熱減量)を測定し、水洗前の強熱減量から水洗後強熱減量を減じた値を水洗浄により除去される強熱減量とした。
JIS Z 2601に記載された方法で、評価サンプルの圧縮強度(MPa)を測定した。即ち、成型から24時間経過した後の評価サンプルについて、圧縮速度5mm/secで圧縮強度を測定した。なお、圧縮強度は、負荷した荷重をテストピースの断面積で除した値とした。試験は、日立恒温恒湿室(ER−75NHP−R)内で実施し、鋳型用組成物を型込めする際の雰囲気温度、及び圧縮強度評価の際の雰囲気温度は、表1記載の温度に揃えた。評価結果を表1に示す。
同じ再生砂、及び同じ造型温度で、界面活性剤を添加しなかった比較例をブランクとし、当該比較例の鋳型強度から鋳型強度がどれだけ向上したのかを意味する。
Claims (11)
- 強熱減量から水洗浄により除去される強熱減量を減じた値が0.1質量%以上である再生砂と、界面活性剤とを有し、
前記界面活性剤が、炭素数が10〜20の炭化水素基を有するノニオン界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる1種以上である、鋳型用骨材組成物。 - 前記再生砂の強熱減量が0.3質量%以上である、請求項1記載の鋳型用骨材組成物。
- 前記ノニオン界面活性剤が、アミン系界面活性剤又はエーテル系界面活性剤である、請求項1又は2に記載の水溶性フェノール樹脂バインダー硬化系の鋳型用骨材組成物。
- 前記ノニオン界面活性剤が常温で液体である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の鋳型用骨材組成物。
- 前記両性界面活性剤が、ベタイン系界面活性剤である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の鋳型用骨材組成物。
- 前記再生砂がアルミナ系人工砂及びムライト系人工砂から選ばれる1種以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の鋳型用骨材組成物。
- 前記ノニオン界面活性剤がポリオキシエチレンアルキルアミンである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の鋳型用骨材組成物。
- 前記ノニオン界面活性剤のHLBが9以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の鋳型用骨材組成物。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の鋳型用骨材組成物、及び水溶性フェノール樹脂を含有する鋳型造型用粘結剤組成物を混合して鋳型用組成物を得る混合工程、及び前記鋳型用組成物を型枠に詰め、当該鋳型用組成物を硬化させる硬化工程を有する鋳型の製造方法。
- 強熱減量から水洗浄により除去される強熱減量を減じた値が0.1質量%以上である再生砂を用いた鋳型の製造に用いられる鋳型造型用粘結剤組成物であって、
水溶性フェノール樹脂と界面活性剤とを含有し、
前記界面活性剤が、炭素数が10〜18の炭化水素基を有するノニオン界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる1種以上である、鋳型造型用粘結剤組成物。 - 請求項10に記載の鋳型造型用粘結剤組成物を、強熱減量から水洗浄により除去される強熱減量を減じた値が0.1重量%以上である再生砂に混合して鋳型用組成物を得る混合工程、及び前記鋳型用組成物を型枠に詰め、当該鋳型用組成物を硬化させる硬化工程を有する鋳型の製造方法。
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