JP2008030120A - 再生鋳物砂の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】不純物の除去率が高く鋳物品質及び鋳型強度が向上できる、より簡易な再生鋳物砂の製造方法を提供する。
【解決手段】回収砂100重量部に対して、0.5〜20重量部の水を添加して研磨処理を行った後、乾式研磨処理を行って再生鋳物砂を製造する。鋳物砂としては人工セラミック砂を用い、水添加研磨処理を垂直軸回転型研磨装置により行う。垂直軸回転型研磨装置は、回収砂を受容する開口を備えた回転ドラムと、該回転ドラムの上部周縁に配置され、かつ、この回転ドラムから遠心力によって飛散する回収砂を受容する環状体と、回転ドラムに受容された回収砂に水を添加する手段を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は鋳型から回収された回収砂からの再生鋳物砂の製造方法に関する。
鋳型に用いた鋳物砂は、鋳型を粉砕(型ばらし)して得た回収砂に再生処理を施して再利用されることがある。回収砂の再生方法には、古くより湿式再生法、加熱式再生法、乾式再生法等各種の方法が提案(例えば非特許文献1)され、実施されている。また、特許文献1には、所定の回収砂に加熱処理を施した後、乾式研磨処理を施す鋳物砂の再生方法が開示されている。
しかしながら、湿式再生法では汚水処理装置を必要とし、そのために設備費がかかり、又再生費もかさむ。また再生処理後は砂を乾燥させる必要もある。更には加熱式再生法では燃焼設備、空冷設備を必要とし、多大なエネルギーコストがかかり、更には排ガスの処理をする必要がある。乾式再生法では、遠心力を利用して砂粒間に摩擦を与え砂粒表面に付着している粘結剤等を除く方法が現在一般的に普及している。しかしながら、この方法では、再生効率を高めようとすると、砂の破砕、細粒化などにより歩留まりが低下し、回収砂1トン当たりの動力原単位も大となる。
また、砂の破砕を防ぎ、再生歩留まりを向上させる、即ち廃棄物の低減のため、耐破砕性の高い人工セラミック砂が開発され実用化されているが、砂粒表面に強固に付着している粘結剤のみを取り除き、再生効率を高めるためには、再生機を多段に重ねる必要があり、動力原単位が更にかかるという課題がある。
こうした背景から、鋳物砂の再生については、多大な設備を用いず、簡易な方法による効率的な再生鋳物砂の製造方法の提案が期待されている。
「鋳型造型法」、第2版、社団法人日本鋳造技術協会、平成8年11月18日、327〜330頁 特開平6−154941号公報
本発明は、不純物の除去率が高く鋳物品質及び鋳型強度が向上できる、より簡易な再生鋳物砂の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、回収砂100重量部に対して、0.5〜20重量部の水を添加して研磨処理(以下、水添研磨処理という)を行った後、乾式研磨処理を行う、再生鋳物砂の製造方法に関する。
本発明の再生鋳物砂の製造方法によれば、従来の機械的に砂表面を処理する方法に比べ、効率よく残留有機分を除去した鋳物砂を、簡易に得ることができる。また、本発明によって再生された鋳物砂は、鋳型強度に優れた鋳型を提供することができる。
本発明では、回収砂100重量部に対して、0.5〜20重量部の水を添加して研磨処理を行った後、乾式研磨処理を行うことによって、再生鋳物砂を製造することができる。本発明において、従来公知の湿式再生法との違いは、湿式再生法では、回収砂の粒子層空隙に水が満たされている状態、即ちスラリー状態にて砂を再生するが、本発明では、水が粒子間空隙に存在はするものの、完全な連続層としては存在せず、いわゆるファニキュラー域からキャピラリー域における状態で、研磨処理を行う点にある。ここで、水の量は、回収砂100重量部に対して0.5重量部以上であれば回収砂の残留有機分を効率よく除去するのが容易となる。また、水の量は、回収砂100重量部に対して20重量部以下であれば汚水処理装置や過度の乾燥を不要にするのが容易となる。この方法は、少量の水分を使用するものであるため、湿式再生法のような多大な乾燥設備や汚水処理装置を必要とせず、スラリー状態で摩擦処理を行う場合に比べ、砂に強い負荷を与えることが出来る。また、機械的に砂表面を処理する方法に比べ、効率よく残留有機分を除去した鋳物砂を、簡易に得ることに大きな特徴がある。本発明により、回収砂の研磨処理時に少量の水を添加することで、強固に接着した残留樹脂分を剥がれ易くなる結果、回収砂の残留有機分を効率よく除去できるものと考えられる。
本発明で使用する回収砂とは、「図解 鋳造用語辞典」(社団法人日本鋳造工学会編、2003年4月28日、日刊工業新聞社発行)に回収砂として記載されている通りである。
具体的には、本発明で使用する回収砂は、珪砂、ジルコン砂、クロマイト砂、合成ムライト砂やSiO2/Al23系の鋳物砂、SiO2/MgO系の鋳物砂、スラグ由来の鋳物砂などの鋳物砂に、粘結剤を使用して造型した後、解枠(型ばらし)して得られた回収砂ないし余剰砂(以下、合わせて回収砂という)である。
本発明は、より残留樹脂除去率の向上と廃棄物低減の観点から、回収砂は、合成ムライト砂やSiO2/Al23系の鋳物砂、SiO2/MgO系の鋳物砂、スラグ由来の鋳物砂などの人工セラミック砂由来の回収砂が好ましい。
人工セラミック砂とは、珪砂、ジルコンサンド、クロマイトサンド等の天然より産出する鋳物砂でなく、人工的に金属酸化物の成分を調整し、溶融若しくは焼結した鋳物砂のことを表す。耐破砕性が高く、より廃棄物が低減できる観点から、SiO2とAl23を合計で80重量%以上含有し、かつAl23/SiO2の重量比率が1〜15である鋳物砂が好ましい。また、ムライト、α−アルミナ、γ−アルミナの内少なくともいずれか一つの結晶相を持つものが好ましい。
また、本発明は、より効果が発現される観点から、球状鋳物砂由来の回収砂に対して著しい効果を示す。球状鋳物砂の球形度としては、球形度が0.88以上、更に0.92以上、より更に0.95以上、特に0.99以上である鋳物砂由来の回収砂がより好ましい。
球形度は、光学顕微鏡またはデジタルスコープ(例えば、キーエンス社製、VH−8000型)により得られた該粒子の像(写真)を画像解析することにより、該粒子の粒子投影断面の面積及び該断面の周囲長を求め、次いで、〔粒子投影断面の面積(mm2)と同じ面積の真円の円周長(mm)〕/〔粒子投影断面の周囲長(mm)〕を計算し、任意の50個の球状鋳物砂粒子につき、それぞれ得られた値を平均して求めることができる。
球形鋳物砂は、鋳型にした際の充填率が高く、鋳型強度が高いという利点があるが、乾式機械再生においては、砂粒子間の摩擦が小さいため再生効率が良好ではなかった。しかし本発明により、球状鋳物砂のメリットを生かしかつ効率的な再生が可能となる。
このような球状鋳物砂は、例えば、耐火原料スラリーをスプレードライによって球状に造粒した後、焼成する方法や、耐火原料を溶融させノズルからエアと共に噴出させ球状化する方法、耐火物粒子をキャリアーガスに分散させ火炎中で溶融させる球状化する方法があり、例えば特開昭61−63333号や特開2003−251434号や特開2005−193267号、特開2004−202577号に示されるような方法により製造されうる。
本発明において上記人工セラミック砂及び/又は上記球状鋳物砂由来の回収砂が回収砂中に50重量%以上含まれているのが好ましい。
本発明で回収砂は、本発明の効果である、回収砂の残留有機分を効率よく除去する観点から、粘結剤としては、有機粘結剤が好ましい。有機粘結剤としては、例えば、アルカリフェノール樹脂、フラン樹脂、熱硬化性フェノール樹脂(シェルモールド)、ウレタン樹脂が挙げられる。これらの中では、更に効率よく残留有機分を除去できる観点から、水によって残留有機分が除去できる粘結剤が好ましく、更に粘結剤としてアルカリフェノール樹脂を使用して、該粘結剤を有機エステル化合物で硬化させて得られた鋳型からの回収砂であることが好ましい。
また、鋳物砂として人工セラミック砂を用い、粘結剤としてアルカリ性の粘結剤を用いて硬化させた鋳型からの回収砂においては、砂が硬く、且つ残留有機分が砂と比べ柔らかく、更に強固に付着しており、再生が難しかったが、本発明は、このような回収砂に対しても十分な効果が発揮される。
アルカリフェノール樹脂としては、例えばフェノール、クレゾール、レゾルシノール、ビスフェノールA、その他置換フェノールを含めたフェノール類を原料として、アルカリ性触媒のもとアルデヒド化合物等と反応させることによって得られるフェノール樹脂が挙げられる。アルカリ触媒としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化ベリリウム等アルカリ土類金属の水酸化物、アミン化合物、及びこれらの混合物が挙げられる。一般には、フェノール類に対するアルカリ触媒のモル数が、好ましくは0.05〜4倍モルであり、より好ましくは0.1〜3倍モルである。
有機エステルとしては、γ−ブチロラクトン、プロピオンラクトン、ε−カプロラクトン、ギ酸エチル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノアセテート、トリアセチン等が挙げられる。
本発明において、研磨処理は、水添研磨処理、乾式研磨処理共に、鋳物砂同士の摩擦や、砂と再生機内部の部材(ローターや内壁、砥石)間の摩擦により行われる。
研磨処理は、従来の鋳物砂の再生法における乾式法に準じて行うことができ、例えば、噴気流型(砂粒を高速空気によって吹き飛ばして衝撃、摩擦を加え付着物を除去する方法)、垂直軸回転型及び水平軸回転型(回転体や羽根等によって砂粒を跳ね飛ばす、または攪拌することにより砂粒相互の衝撃、摩擦が行われ、付着物を剥離除去する方法)、振動型(振動力によって砂粒に攪拌作用を与え、主として摩擦作用によって付着物を除去する方法)の各装置を用いた方法が挙げられる。
本発明の製造方法は、水添研磨処理(水の存在下での研磨処理)を行う工程と、乾式研磨処理(実質的に水の不存在下での研磨処理)を行う工程とを有する。
水添研磨処理を行う工程は、回収砂に予め水分を添加したものを、前記研磨処理装置に投入して行ってもよいし、回収砂を前記研磨処理装置に投入すると同時に、スプレー等によって水を散布して行ってもよい。本発明の水添研磨処理は、水が添加された砂の流動化を容易に行う観点から、垂直軸回転型、水平軸回転型、振動型の各装置を用いた研磨方法で行うのが好ましく、垂直軸回転型の装置を用いた研磨方法がより好ましい。
具体的には、水を添加した回収砂を上部が開口した高速回転ドラムに落下供給し、あるいは、回収砂を上部が開口した高速回転ドラムに落下供給し水を添加し、回転ドラムの回転による粒子相互間の摩擦、衝突、押しつけによって研磨加工を行うとともに遠心力で飛散する水を添加した回収砂をその上部周縁に配置した環状体に滞留させて同様の磨砕加工を行い、さらに前記回転ドラムと環状体とが形成するスペースでこれらの水を添加した回収砂を流動させ、このような流動磨砕加工によって回収砂を再生することができる。これは、後述の図1の装置を用いて行うことが好適である。
高速回転ドラムの回転数としては、より効果的な摩擦処理を与える観点から1分間当り1000回転以上、3000回転以下が好ましく、2000〜2800回転がより好ましい。高速で、ドラムを回転させることにより、短時間で高効率な再生処理が可能で、また設備もコンパクトにすることが出来る。
水添研磨処理を行う工程における、水の量は、回収砂の残留有機分を効率よく除去し、かつ、汚水処理装置や過度の乾燥を不要にする観点から、回収砂100重量部に対して、0.5〜20重量部であり、0.5〜10重量部が好ましく、1〜5重量部がより好ましい。
本発明の乾式研磨処理を行う工程は、実質的に水の不存在下において、後述の研磨処理を施すことによって行われる。実質的に水の不存在下とは、乾式研磨処理を行う砂中の水分量は、乾式研磨処理にて残留樹脂分と効率よく除去する観点から、0.2重量%以下が好ましく、0.1重量%以下がより好ましい。
尚、ここで、砂中の水分量は、JACT試験法S−9の砂の水分量測定法により求めることが出来る。
本発明の乾式研磨処理は、前記の乾式法で挙げられる噴気流型、垂直軸回転型、水平軸回転型、振動型の各装置を用いて行うことができ、水添研磨処理によって、剥離しやすくなった残留樹脂分を効率よく除去する観点から、水平軸回転型の一種である流動槽内部に研磨の為の回転体を具備した乾式研磨処理が好ましい。
具体的には、特開平7−80594記載のように、例えば、下面に多数の開口孔を有しその開口孔よりエアーを噴出するようにした流動層に水添研磨処理された回収砂を導入し、この噴出エアーによりこの回収砂を流動撹拌しながら、水平軸の回転ローターを回転し、砂粒相互の衝撃、摩擦や、ローターとの衝撃、摩擦により研磨処理を行う方法が挙げられる。これは、後述の図2の装置を用いて行うことが好適である。
水添研磨処理された回収砂を乾式研磨処理する工程は、水添研磨処理された回収砂を流動攪拌等を施しながら乾燥と同時に研磨処理を行う方法も可能であるが、回収砂の残留有機分を効率よく除去する観点から、水添研磨処理された回収砂を乾燥する工程の後に、乾燥処理された回収砂を研磨処理する工程を施すことが好ましい。
水添研磨処理された回収砂を乾燥する工程は、例えば、水添研磨処理された回収砂をロータリーキルンや、流動層など公知の乾燥装置で乾燥する方法や乾燥し易い場所に放置することによって自然乾燥させる方法をとることができる。また、乾燥を促進する為に補助的に熱風等を付与することによって乾燥させる方法が挙げられる。
以下、本発明の再生鋳物砂の製造方法について実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明の水添研磨処理を行うのに適した装置の一例であり、垂直軸回転型の研磨処理装置である。図1の装置は、回収砂を受容する開口を備えた回転ドラムと、該回転ドラムの上部周縁に近接して配置され、かつ、この回転ドラム2から遠心力によって飛散する回収砂を受容する環状体と、前記回転ドラムに受容された回収砂に水を添加する手段と、を備え、前記回転ドラムの回転によって、前記回転ドラムと環状体とが形成するスペースで粒子相互間の摩擦、衝突、押しつけによる回収砂の研磨処理を行う、垂直軸回転型研磨装置である。図1において、1は回収砂投入のための開口、2は回収砂を受容する開口を備えた高速回転ドラム、3は環状体、4は水添研磨処理された回収砂、5は再生砂排出口、Aは投入された回収砂に水を添加する手段であり、例えば、ノズル等が挙げられる。図1の装置による処理の概要は次の通りである。鋳造後の鋳型をクラッシャーで処理した回収砂は、上部開口1より投入される。投入された回収砂に、Aより水が一定量添加される。粒子間空隙が完全に満たされない程度の適量の水を加えられた砂は、スラリー状態になることなく、湿態砂の状態で高速回転ドラム2の上部と環状体3の間に滞留し、高速に回転する高速回転ドラム2による遠心力で、水分を加えられた砂は環状体3に押し付けられつつ、砂同士の研磨及び3との研磨が行われる。該装置はその構造として、水分が所定量添加された砂が滞留しかつ間隙より適当な滞留時間を持ちつつ排出されるように、当て板等が設計されている。再生砂排出口5より処理を終えた砂は外部に排出され、引き続き乾燥及び乾式研磨処理に供される。その際、湿態砂の形で排出されるため、従来の湿式再生と異なり、排水は発生せず、また、本工程においては、粉塵の発生も少ない。
水添研磨処理では、一般にある程度の長さの処理時間があった方が、再生処理効果が高くなる。例えば、図1の装置では、回収砂4が回転ドラム2と環状体3のスペースに滞留して研磨処理を受ける時間、すなわち滞留時間と、排出されるまでの時間とのバランスをとることが良好な再生効果を得る観点から好ましい。図1の装置では、滞留時間は、回転ドラムの上部周縁と環状体とが形成する隙間の長さ、環状体の深さ、回収砂の投入速度などにより調整できる。この観点から、垂直軸回転型研磨装置の回転ドラム2の上部周縁と環状体3とが、回収砂4の平均粒子径の5〜50倍、更に10〜25倍の長さの隙間6を形成する(図3)ことが好ましく、具体的に隙間の長さは1〜15mm、更に1.5〜6mm、特に1.5〜4mmが好ましい。一般に、回収砂の平均粒子径は75〜600μm程度である。この回収砂の平均粒子径は、JISの鋳物砂の粒度分布試験方法(Z 2601)に従って測定した回収砂の粒度分布の結果をもとに、JISの粒子径測定の結果の表現(Z 8819−1)に記載の方法により、質量基準積算分率が0.5となる粒子径(メジアン径)として得られる。また、回収砂の投入速度は、1〜10t/hr、更に1.5〜5t/hrが好ましい。これらの条件を採用する場合、回転ドラムの回転数は前記した範囲が好ましい。
また、水添研磨処理での研磨処理効率を高めるために、回収砂や水の投入位置を調整することが好ましい。垂直軸回転型研磨装置では、図4に示すように、水、更には水と回収砂とを、垂直軸回転型研磨装置の回転ドラム2の中央、すなわち回転軸の近傍に投入することが好ましい。尚、回転軸の近傍とは、回転ドラムの大きさにもよるので一概には言えないが、回転軸から(回転ドラムの直径/4)の範囲内が好ましく、回転軸から(回転ドラムの直径/5)の範囲内がより好ましい。
一方、乾式研磨処理は、従来公知の乾式研磨処理が行われるが、前記水添加研磨処理で除去しやすくなった残留有機分を効率よく除去するために、流動槽内部に研磨のための回転体を具備した乾式研磨処理装置が好ましく、その一例を図面に基づき説明する。
図2は、本発明において乾式研磨処理を行うことのできる鋳物砂再生装置の側部概略図であり、21は筐体の本体である。本体1は角型で上下の2段構造に作られ、下部の攪拌槽22と上部の分級槽23の2部分で構成されている。24は攪拌槽22の底部に形成された送風室、25は送風口、26は流動床である。流動床26には、側面に複数の通気口を形成した多数の凸形突起が設けられている。27と28は攪拌槽22の対向側壁に設けられた投入管と送出管、29は透視窓である。投入管27と送出管28は共に攪拌槽22の側壁に斜めに取付けられ、詳しくは示されていないが手動操作により側壁と同一面に設けられた投入口と排出口の開度が調節可能に開閉するようになっている。210は駆動軸、211は左右の軸受け、212はローターである。軸受け211は攪拌槽22の両側壁に取付けられて、駆動軸210を途中の高さで水平方向に保持する。216は規制板、217は排気口、220は水添研磨処理された回収砂である。
図2の装置では、投入管27より水添研磨後、乾燥した砂が投入される。攪拌層22内はブロアからの送風が送風口25から流動床26を通して吹き込まれ、砂を流動化させる。流動化された砂は、攪拌槽22内に配置され回転面に傾斜する粗面が形成されて駆動源によって駆動されているローター212及び遠心力により堆積した本揺動板の近傍の砂により研磨されることで、砂の付着物を剥離する。剥離した付着物は攪拌槽22の上部に規制板216を介して連通し集塵口を設けた分級槽23において、砂と分離される。所定時間、処理された後、送出管28(排出口)より再生された鋳物砂が排出される。
実施例1
球形度0.99、Al2O3/SiO2比(重量比)=1.9、SiO2及びAl2O3の合計量が94重量%(その他は、TiO2:2.9重量%、Fe2O3:1.3重量%、及び微量のCaO、MgO、Na2O、K2Oを含む。)の球状人工セラミック鋳物砂100重量部に対して、アルカリフェノール用硬化剤QX-140(花王クエーカー(株)製)0.24重量部、及びアルカリフェノール樹脂カオーステップS660(花王クエーカー(株)製)1.2重量部を加え攪拌し、サンド/メタル比が4の鋳型を造型した。本鋳型に1400℃にて鋳鉄溶湯(FC200)を注湯し、冷却後、鋳型をクラッシャーで処理しアルカリフェノールバインダーの回収砂(回収砂中の水分量は0.16重量%)を得た。本回収砂の粒度分布を表1に示した。本回収砂の平均粒子径は170μmであった。
Figure 2008030120
なお、表1の粒度分布はJISの鋳物砂の粒度分布試験方法(Z 2601)に従って測定した(以下同様)。表1中、Panは53μm以下の微粉末を意味する(以下同様)。
本回収砂を図1に示す構造の水を添加し研磨処理できる再生機にて、回収砂100重量部に対して水を2重量部添加した後、高速回転ドラム2の回転数2350rpm、砂投入速度2.5t/hrにて、研磨処理を行った。この処理において、廃水は全く発生しなかった。その後100℃にて、1時間乾燥(水添研磨処理後の乾燥した回収砂中の水分量は0.06重量%であった。)し、図2のような流動層を具備した乾式鋳物砂再生装置(日本鋳造製ハイブリッドサンドマスター 形式HSM1115)で、ローター212の回転数2400rpmで6分間、砂投入量60kgのバッチ処理にて乾式研磨処理を行い、再生砂を得た。回収砂及び再生砂の分析値及び強度試験結果を表2に示す。
(1)LOI除去率
JACT試験法S−2に基づき鋳物砂中の強熱減量(LOI)を測定し、以下の式によりLOI除去率を算出した。LOIは鋳物砂中の有機物量(残留樹脂量)を示す。
LOI除去率(%)=(1−再生砂のLOI(重量%)/回収砂のLOI(重量%))×100
(2)鋳型強度
得られた再生鋳物砂又は回収砂100重量部に対して、粘結剤(カオーステップS660、花王クエーカー(株)製)1.2重量部、硬化剤(カオーステップQX-140、花王クエーカー(株)製)0.24重量部を添加して得られた鋳型について、25℃、55%RHの条件下にてJACT試験法HM−1に基づき、混練1日後の圧縮強度を島津製強度試験機AD−5000で測定した。
比較例1
実施例1の回収砂(回収砂中の水分量は0.16重量%)を直接、図2の乾式鋳物砂再生機のみで、ローター212の回転数2400rpm、6分間、砂投入量60kgバッチ処理にて乾式研磨処理を行い、再生砂を得た。実施例1と同様にLOI除去率及び圧縮強度の試験を行った。
比較例2
乾式研磨処理を12分間とする以外は比較例1と同様として再生砂を得た。実施例1と同様にLOI除去率及び圧縮強度の試験を行った。
比較例3
実施例1の回収砂を、一般的な垂直軸回転型の研磨処理装置(日本鋳造製ロータリーリクレーマM型)にて、回転ドラムの回転数2290rpm、砂投入速度5t/hr、A再生(砂層間摩擦再生方式)にて乾式研磨処理を行い、再生砂を得た。実施例1と同様にLOI除去率及び圧縮強度の試験を行った。
比較例4
比較例3の乾式研磨処理を4回繰返し、再生砂を得た。実施例1と同様にLOI除去率及び圧縮強度の試験を行った。
比較例5
実施例1の回収砂100重量部に水を25重量部添加したところ、砂がスラリー状となってしまい、研磨処理できる状態ではなかった。
Figure 2008030120
以上で示した通り、水を添加し、研磨処理を行う工程を加えることで、従来の再生処理では到達できないレベルまでLOIが低減でき、鋳物のガス欠陥の要因となるガス発生量を抑制することができる。更に、鋳物砂は繰り返し使用されるため、本発明の再生鋳物砂の製造方法を繰り返し用いれば、飽和する再生砂のLOIは大幅に下げることが出来る。このことは単にLOI低減による鋳型からのガス発生量低減だけでなく、鋳型強度の向上により樹脂添加量を低減できるため、大幅にガス欠陥を低減することにつながり、当業界で有益である。
また、これまで再生が難しいとされていた人工セラミック鋳物砂や球状鋳物砂の再生が安定的に且つ効率的に実施することが出来るため、該鋳物砂の特徴(高耐火性、高強度、高耐破砕性)を最大限に発揮できる再生鋳物砂の製造方法である。
実施例2
実施例1で得た回収砂を図1に示す構造の水を添加し研磨処理できる研磨処理装置にて、回収砂100重量部に対して水を4重量部になるように、砂投入速度2.7t/hrにて高速回転ドラム2に投入し回転数2542rpmにて研磨処理を行った。回収砂は高速回転ドラム2の中央に投入し、対応する水は高速回転ドラム2の周辺に投入した。この研磨処理装置の高速回転ドラム2の上部周縁と環状体3の隙間6は5mm、環状体3の深さは100mmのもの(図3参照)を使用し、研磨処理時の砂滞留時間は21秒であった。この処理において、廃水は全く発生しなかった。その後100℃にて1時間乾燥(水添研磨処理後の乾燥した回収砂中の水分量は0.06重量%であった。)し、図2のような流動層を具備した乾式鋳物砂再生装置(日本鋳造製ハイブリッドサンドマスター 形式HSM1115)で、ローター212の回転数2400rpmで6分間、砂投入量60kgのバッチ処理にて乾式研磨処理を行い、再生砂を得た。回収砂及び再生砂の分析値及び強度試験を実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。なお、水添研磨処理における回収砂の滞留時間及び水添研磨処理後の回収砂のLOI剥離率を以下の方法で評価した。それらの結果も併せて表3に示した。
(1)砂滞留時間
水添研磨処理における砂滞留時間は、研磨処理装置の運転開始10分後、砂投入、水投入、ローターの回転を同時に停止し、ローター内に残った湿態砂量より以下の式にて算出した。
砂滞留時間(秒)=ローター内の湿態砂重量(kg)/1秒当たりの砂と水投入量(kg/秒)
(2)水添研磨LOI剥離率
水添研磨後、乾燥100℃にて1時間乾燥した回収砂50gに水50gを添加し15分間撹拌し、1分静置後、上澄みをデカンテーションにて除去した。更に水50gを添加し5分間撹拌し、1分静置後、上澄みをデカンテーションにて除去する操作を2回行うことにより砂を洗浄した。得られた砂をシャーレ上に広げ、105℃にて1時間乾燥した。乾燥した砂のLOIをJACT試験法S-2に基づき強熱減量(LOI)測定し水洗後LOIとし、以下の式により水添研磨LOI剥離率を算出した。
水添研磨LOI剥離率(%)=(1−水添研磨後の砂の水洗後LOI(重量%)/回収砂の水洗後LOI(重量%))×100
実施例3
水添研磨処理において水を高速回転ドラム2の中央に投入(図4参照)した以外は実施例2と同様として再生砂を得た。なお、研磨処理時の砂滞留時間は26秒であった。実施例2と同様の評価を行った結果を表3に示した。
実施例4
水添研磨に用いる研磨処理装置の隙間6を2mmとし、環状体3の深さ(図3参照)を150mmとした以外は、実施例3と同様に再生砂を得た。水添研磨時の砂滞留時間は47秒であった。実施例2と同様の評価を行った結果を表3に示した。
実施例5
砂の投入速度を2.0t/hrとし、水添研磨時の砂滞留時間が63秒であった以外は、実施例4と同様に再生砂を得た。実施例2と同様の評価を行った結果を表3に示した。
Figure 2008030120
水の添加位置を高速回転ドラムの中央とした実施例3では環状体内側に環状に水を投入した実施例2と比較し水添研磨後のLOI剥離率が向上していた、これは、より均質に砂と水が混合され良好に水添研磨が行われたためと考える。
また、実施例4では隙間6を狭くしたことにより隙間からの砂の漏れを抑え更に環状体2の深さを深くすることにより砂滞留時間を長くすることができ、再生機の能力を最大限利用できている。
実施例5では処理速度を遅くして砂滞留時間を長くしたものであり、隙間からの砂の漏れが少なく、滞留時間を十分に確保できるため高いLOI剥離率を達成することができた。
以上、滞留時間を調節することにより再生機の能力を最大限利用し水添研磨処理を行うことができる。更に垂直軸回転型研磨装置を用いる場合には、高速回転体と環状体の隙間を狭くし砂の漏れを調節することと、環状体深さを調節することにより目的の滞留時間を得ることができる。
以上で示した通り、水を添加し、研磨処理を行う工程を加えることで、従来の再生処理では到達できないレベルまでLOIを低減できる。水添研磨処理を行う工程において水の添加位置を砂との混合がすばやく達成される位置とすることにより水剥離研磨が良好に行われる。また、研磨処理時の砂滞留時間を調節することによって水添研磨処理を効率的に行うことができ研磨処理機の能力を最大限に利用することができる。
実施例6
球形度0.91、Al2O3/SiO2比(重量比)=1.6、SiO2及びAl2O3の合計量が97.2重量%(その他は、TiO2:0.5重量%、Fe2O3:1.0重量%、及び微量のCaO、MgO、Na2O、K2Oを含む。)の造粒焼成法(耐火原料スラリーをスプレードライによって球状に造粒した後、焼成する方法)で製造された球状人工セラミック鋳物砂100重量部に対して、アルカリフェノール用硬化剤QX-140(花王クエーカー(株)製)0.3重量部、及びアルカリフェノール樹脂カオーステップS660(花王クエーカー(株)製)1.5重量部を加え混合し、サンド/メタル比が4の鋳型を造型した。本鋳型に1400℃にて鋳鉄溶湯(FC200)を注湯し、冷却後、鋳型をクラッシャーで処理した後、比較例4と同様に乾式研磨処理を4回繰り返した。更に、同様に再度造型、注湯、再生処理を繰返し、合計3回目の注湯終了後、冷却し、鋳型をクラッシャーで処理し、該鋳物砂のアルカリフェノール回収砂を得た。本回収砂の粒度分布を表4に示した。本回収砂の平均粒子径は218μmであり、強熱減量(LOI)は1.15重量%であった。
Figure 2008030120
本回収砂を実施例2と同様に水を添加し研磨処理後、乾燥し、乾式研磨処理を行った。回収砂及び再生砂の分析値及び圧縮強度の試験を実施例1と同様に行った。ただし、圧縮強度の試験では、粘結剤添加量を1.5重量部、硬化剤添加量を0.3重量部とした。結果を表5に示す。
比較例5
実施例6の回収砂を、比較例3と同様に乾式研磨処理を行い、再生砂を得た。実施例6と同様にLOI除去率及び圧縮強度の試験を行った。結果を表5に示す。
比較例6
実施例6の回収砂について、比較例5の乾式研磨処理を2回繰返し得た再生砂を比較例6とし、実施例6と同様にLOI除去率及び圧縮強度の試験を行った。結果を表5に示す。
Figure 2008030120
本発明において、水添研磨処理に使用し得る鋳物砂再生装置の一例を示す側部概略図である。 本発明において、乾式研磨処理に使用し得る鋳物砂再生装置の一例を示す側部概略図である。 本発明において、水添研磨処理に使用し得る鋳物砂再生装置の一部を拡大して示す側部概略図である。 本発明において、水添研磨処理に使用し得る鋳物砂再生装置の他の例を示す側部概略図である。
符号の説明
1 開口
2 高速回転ドラム
3 環状体
4 摩擦処理された鋳物砂
5 再生砂排出口
6 隙間
A 投入された回収砂に水を添加する手段

Claims (7)

  1. 回収砂100重量部に対して、0.5〜20重量部の水を添加して研磨処理(以下、水添研磨処理という)を行った後、乾式研磨処理を行う、再生鋳物砂の製造方法。
  2. 回収砂が、鋳物砂として人工セラミック砂を用いた鋳型からの回収砂である請求項1記載の製造方法。
  3. 回収砂が、鋳物砂として球形度が0.88以上である鋳物砂を用いた鋳型からの回収砂である請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 回収砂が、粘結剤として水溶性フェノール樹脂を使用し、該粘結剤を有機エステル化合物で硬化させて得られた鋳型からの回収砂である請求項1〜3いずれかに記載の製造方法。
  5. 水添加研磨処理を垂直軸回転型研磨装置により行い、
    該垂直軸回転型研磨装置は、
    回収砂を受容する開口を備えた回転ドラムと、
    該回転ドラムの上部周縁に近接して配置され、かつ、この回転ドラムから遠心力によって飛散する回収砂を受容する環状体と、
    前記回転ドラムに受容された回収砂に水を添加する手段と、を備え、
    前記回転ドラムの回転によって、前記回転ドラムと環状体とが形成するスペースで粒子相互間の摩擦、衝突、押しつけによる回収砂の研磨処理を行う、
    請求項1〜4の何れか1項記載の製造方法。
  6. 水を、前記垂直軸回転型研磨装置の回転ドラム中央に投入する、請求項5記載の製造方法。
  7. 前記垂直軸回転型研磨装置の回転ドラムの上部周縁と環状体とが、回収砂の平均粒子径の5〜50倍の長さの隙間を形成する、請求項5又は6記載の製造方法。
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