JPH06170486A - 鋳物砂の再生装置及びその再生方法 - Google Patents

鋳物砂の再生装置及びその再生方法

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JPH06170486A
JPH06170486A JP32104192A JP32104192A JPH06170486A JP H06170486 A JPH06170486 A JP H06170486A JP 32104192 A JP32104192 A JP 32104192A JP 32104192 A JP32104192 A JP 32104192A JP H06170486 A JPH06170486 A JP H06170486A
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reclaiming
casting sand
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Yasutaka Sato
安孝 佐藤
Akira Endo
朗 遠藤
Naoki Mine
直毅 峰
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Hitachi Metals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 使用済鋳物砂の再生に優れた乾式の鋳物砂再
生装置を提供する。 【構成】 本発明の鋳物砂再生装置は、乾式の遠心摩擦
型鋳物砂再生装置を粗再生用とし、続いて乾式の砥石研
磨型鋳物砂再生装置を仕上再生用として組み合わせて使
用する鋳物砂再生装置である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鉄鋼、鋳鉄工場等の一
般鋳型用の硅砂、シェルモールド用砂、コールドボック
ス法・CO2 法ガス型用砂ならびに生砂等の使用済鋳物
砂の砂粒表面の焼付炭化物および粘土層等の不純物を取
除く鋳物砂再生装置に関する。特に、乾式の鋳物砂再生
装置である遠心摩擦型鋳物砂再生装置と砥石研磨型鋳物
砂再生装置とを組み合わせて配置した鋳物砂の再生装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】使用済鋳物砂は、フェノール系の有機粘
結剤、水ガラスやベントナイト等の無機粘結剤、粘土等
を含有する。これらの使用済鋳物砂を再生する方法とし
て、従来から種々のものが提案されている。
【0003】すなわち、一般に普及している使用済鋳物
砂の再生方法は、(1)焙焼式、(2)乾式、(3)組
み合わせ式、(4)湿式による再生の4つに大別され
る。前記(1)の焙焼式は、排砂中の不要物を焙焼と衝
撃により除去する方法であり、通常、有機粘結剤を含ん
だ砂の再生に、多段炉、ロータリーキルン、流動炉等の
連続焙焼炉(特公昭58−48268号公報、特公昭6
0−39451号公報等)が使用され、再生コストは一
般的に高価である。
【0004】一方、水ガラスを粘結剤として用いた鋳物
砂の再生方法は、現在の流動焙焼炉では、流動焙焼中に
シリケート分の溶融により砂粒が塊状となって装置内に
付着し、流動焙焼が不可能となるため、シリケートの混
入率が数パーセント以下の場合を除いて、この方法では
再生できないとされている。このため、水ガラスを用い
た中子、鋳物砂の再生は、一般に機械的に粉砕する方法
が採用されているのが現状である。
【0005】前記(2)の乾式である鋳物砂の機械的再
生方法としては、下記(a)〜(c)が知られている。
すなわち、(a)砂粒子を遠心力によって加速し、砂粒
子間衝突とターゲットへの衝突により砂粒表面付着物を
剥離する遠心力衝突法がある。この方法ではターゲット
としての衝突板の摩耗が大きく、砂粒は破砕が生じ、細
粒化するため回収歩留が低くまた粘性のある砂粒表面付
着物は除去困難である。砂粒の加速手段として噴気流
(エアージェット)を用いる方法もあるが、この方法も
前記遠心力衝突法と同様の問題がある。
【0006】また、(b)回転羽根やドラムで砂を移動
させ砂粒子間摩擦および羽根との摺動摩擦により砂粒表
面付着物を摩減する砂粒子間摩擦法がある。この方法だ
と、砂粒形状が改善されるが、発生する静電気のため砂
粒表面に付着した微粉が除去できないという問題があ
る。また、エネルギー費が高価で、繰返し使用する場合
はロスタイムが大きく、回転羽根の摩耗が大きいため高
硬度、高価な材質の選定が必要である。
【0007】更に、(c)砂粒を研磨することにより再
生する方法としては、ショットブラスト法がある。この
方法は簡単な再生方法であるが、砂粒表面の剥離状態が
不均一であるため再生砂の適用対象が制限されるという
問題がある。また、回転砥石に砂粒を落下させて研磨す
る砥石研磨法(特開平2−218446号公報)があ
る。この再生方法は、エネルギー費は低いが、砂が破砕
チッピングにより細粒化され回収歩留が低いという問題
がある。また、砥石の摩耗が問題になる場合もある。以
上の(a)〜(c)の機械的再生方法では、砥石研磨法
を除いて、砂粒表面付着物の除去が不十分となり、新砂
なみの配合用砂として用いる配合率に限度があり、一般
に40%程度である。
【0008】更に、前記(3)の組み合わせ式として
は、焙焼と砂粒間摩擦・研磨により再生する方法がある
が、この方法による再生砂は砂粒表面の焼結炭化物層等
の不純物の除去は困難であり、現状では、大部分がシェ
ルモールド中子に適用されており、粘結剤としてフェノ
ールレジンを使用するコールドボックス法による中子へ
の適用は強度、可使時間等の管理が困難であるためその
適用が見送られているのが現状である。前記(4)の湿
式では湿式スクラビング(すりあわせ)法があるが、こ
の方法は、有機系粘結剤を含むものには適さず、水ガラ
ス等の無機系粘結剤を含む鋳物砂の再生には適用できる
が、処理水の排水処理に施設を要する等の問題がある。
【0009】一般に鋳物廃砂は有機系、無機系の粘結剤
を含む鋳物砂の混合したものが多く、このため上述の各
種再生方法は含有されている粘結剤の種類によっては不
完全なものとされている。また、近年の埋立処分場の不
足や遠距離化、処分費の高騰が顕在化してきており、使
用済鋳物砂の回収比率の向上による鋳物砂資源の有効活
用が望まれている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】一般に言われる再生砂
の品位としての指標は、水分、残留有機物の量を示す灼
熱減量(L.O.I.)及び粘土分であり、それぞれ
0.1%、1.0%、1.0%以下とすることが必須で
あると言われている。粘結剤としてフェノールレジンを
使用したコールドボックス法用中子砂では、砂が中性の
場合に高強度が得られ、酸消費量が増加すると中子強度
の低下をまねくと言われている。この酸消費量の増加
は、再生処理された鋳物砂の砂粒表面の焼結炭化物層等
の不純物の除去が不十分である場合に生じ、コールドボ
ックス法における砂の圧縮強度も低下する。乾式遠心摩
擦型鋳物砂再生装置では、供給される使用済鋳物砂の水
分は、0.5重量%以下とする。砂粒の研掃度は、粒形
改善は乾式砥石研磨型鋳物砂再生装置程ではないが、操
業開始時点ではまずまず満足できるレベルであるが、再
生を繰り返す中で研掃できなかった部分が金属溶湯に接
触する都度焼付炭化物層等の不純物が成長し、ますます
研掃が困難となり、遂には焼付炭化物層が砂粒全面をお
おうようになる。
【0011】これが遠心摩擦型鋳物砂再生装置のもっと
も大きい再生処理の限界であり、当該再生処理を導入し
て、操業開始3〜5年後には、砂粒全表面に強固につい
た焼付炭化物層等の不純物をさらに強い力ではぎとる対
策をせざるを得ないという問題が、又研掃時に発生する
静電気のために微粉分離が十分に出来ず、微粉が鋳造ラ
イン、中子に戻る傾向にあるという問題もある。そこ
で、本発明の目的は、従来の鋳物砂の再生装置及びその
再生方法が有している長所に着目し、相違する機能を有
する2種の既存再生装置を鋳物砂再生処理ラインに組み
入れ、組合わせで使用することにより使用済鋳物砂の再
生、特に、コールドボックス法用中子砂の再生装置及び
その再生方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、既存の乾式再
生法の一つである遠心摩擦型鋳物砂再生装置を鋳物砂再
生処理ラインの装置の一つとして配置して鋳物砂の粗再
生に供し、続いて同様に乾式再生法の一つである砥石研
磨型鋳物砂再生装置を配置して、粗再生処理された鋳物
砂を仕上再生処理に供する鋳物砂の再生装置であること
を特徴とする。ここで前記遠心摩擦型鋳物砂再生装置は
連続処理機能を有しており、一方、前記砥石研磨型鋳物
砂再生装置はバッチ処理機能を有している。この為、前
記遠心摩擦型鋳物砂再生装置のあとにリザーブホッパー
(例えば容積1.5m3 )を配置する。更に、前記砥石
研磨型鋳物砂再生装置による研磨効率を維持し、再生砂
の品位を安定にするために砂投入量を一定に行うための
計量ホッパー(例えば容積1m3 )を前記砥石研磨型鋳
物砂再生装置の直前に配置する。
【0013】使用済鋳物砂の水分値が再生砂の品位に影
響を与えることから使用済鋳物砂の水分値を0.5%以
下に管理する。使用済鋳物砂の大きい塊状があったりま
た鉄屑等の不純物を含有している場合等には、通常の鋳
物砂再生に用いられる振動クラッシャー、磁選機又はマ
グネット付コンベヤ、スクリーンを随時設置してよいこ
とは言うまでもない。
【0014】
【実施例及び作用】以下本発明につき図面を参照して説
明する。図1は本発明の鋳物砂再生処理工程を示す装置
配置図である。図1において、水分値0.5%以下に管
理された使用済鋳物砂は使用済鋳物砂ホッパーに投入さ
れ、中間ホッパーを経由して前記遠心摩擦型鋳物砂再生
装置1に連続的に供給される。粗再生処理済鋳物砂は一
時リザーブホッパーに貯えられ、その後計量ホッパーを
経由して所要量の砂(例えば1,000kg)が計量さ
れてバッチ処理機能を有する前記砥石研磨型鋳物砂再生
装置11に供給されて仕上処理がなされる。仕上処理済
鋳物砂は磁選機により鉄分が除去され、再生砂ホッパー
に投入された後、使用に供される。
【0015】図2は本発明において鋳物砂の粗再生処理
に供する既存の乾式再生方法の一つである前記遠心摩擦
型鋳物砂再生装置の縦断面斜視図である。本発明におけ
る一例として該装置を一列5段とする。水分値0.5%
以下に管理された使用済鋳物砂は上部の使用済鋳物砂投
入口2から投入され、ディストリビュータ4により高速
回転しているロータリードラム3に給砂される。砂粒は
遠心力を受けてロータリードラム3の周囲およびシェル
フ5の壁に沿って砂の堆積層6をつくる。次々と落下し
てくる砂は遠心力を受けて砂粒間摩擦を繰り返し、砂粒
表面に付着した不純物が除去される。前記ロータリード
ラム3は、モータ9に連結したプーリー10を介して高
速回転される。
【0016】該装置では、摩擦の大小、平均摩擦時間を
回転数や砂滞留層の体積変化によりある程度自由に設定
でき、その負荷状態の管理、更には部品の摩耗状態につ
いてもモーター電流値により判断できるので管理が容易
である。粗再生処理される鋳物砂の状態から見ると、砂
の破砕は少なく、砂粒表面の焼付炭化物層の除去は不完
全ではあるがかなり剥離除去され砂粒改善効果は期待で
きる。しかし、砂粒間摩擦によって発生した静電気のた
めに砂粒表面に微粉が付着して除去は不十分である。粗
再生処理された砂は、下方の取出口7より取出される。
なお、発生した微粉は該装置の下方に設置してあるファ
ン(図示していない)により図2の矢印の如く空気流に
運ばれて移動し、上方の排出口より系外に排出される。
【0017】次に、図3乃至図6は、本発明における鋳
物砂の仕上再生処理に供した前記砥石研磨型鋳物再生装
置を示す。図3は縦断面図、図4は図3に示す装置の側
部縦断面図、図5は回転ドラム14の斜視図、図6は鋳
物砂が高速回転中の回転砥石18に衝突して研磨される
状態を示す図である。前記砥石研磨型鋳物再生装置は、
図3に示す如く直立支柱12が半円筒形のケーシング1
3を支持し、該ケーシング13の半円筒底部13aに大
径の中空回転ドラム14が回転可能に水平に内装されて
いる。回転ドラム14は、図5に示す如く対向配置した
2枚のリング状円板15,15を放射状に所要中心角で
配設した複数枚の画成板16で接続した水車状の部材と
して構成され、該回転ドラム14の中心に開設した所要
径の中空孔17に回転砥石18が回転自在に内挿されて
いる。
【0018】該回転ドラム14の外側には、前記各画成
板16の端部に接続する所要幅の連結板19が設けら
れ、各連結板19は隣接する連結板19との間に使用済
鋳物砂を回転ドラム14内に導入するスリット21が形
成されている。また前記連結板19からは回転ドラム1
4の回転方向(矢印A方向)に対し、これを迎える方向
に屈曲した掻揚げ翼20が外方に延出形成されている。
なお掻揚げ翼20は、その先端とケーシング底部13a
との間隔を可変調節し得るよう進退自在に設定してあ
る。該間隔を10〜15cmに設定したときが最も研磨
効率が良好である。更に、回転ドラム14の内部には各
連結板19と画成板16並びに隣接する画成板16によ
って所要の空間Sが画成され、この空間Sは前記スリッ
ト21および中空孔17において開放している。なお、
回転ドラム14は、その中空孔17と軸線を共通させた
ボス22,22が前記ケーシング13の両側に延出し、
該ボス22は回転砥石18の共通軸23に回転可能に外
挿されている。また外部駆動源により駆動されるローラ
24が前記支柱12に配設され、該ローラ24を前記ボ
ス22,22に接触させることにより、回転ドラム14
は回転砥石18から独立して回転駆動される。なおその
回転方向は、回転ドラム(矢印A方向)と回転砥石18
(矢印B方向)とで正逆に設定できる。
【0019】次に、前記回転ドラム14の中空孔17に
は、円筒状砥石18が回転自在に支持されている。該円
筒状砥石18は、所要厚みのリング状砥石を共通軸23
に複数枚連装して構成され、該共通軸23は前記支柱1
2に設けた軸受26,26に回転自在に水平支持されて
いる。この場合、複数のリング状砥石は、締結ネジを兼
用するウェイトを備えたバランス調節板27により、そ
の両端において共通軸23に締付け固定されるようにな
っている。円筒状砥石18の共通軸23は、支柱12の
近傍に設けた減速機付モータ28の出力軸にベルト29
を介して接続され、モータ28の駆動により砥石18は
高速度で回転される。なお、砥石18の材質は、砂粒表
面の焼付炭化物層よりも硬い、例えばカーボランダム、
アルミナ、セラミックス、ボラゾン、タングステンカー
バイド等とし、砥粒密度が高くて表面に無数の凹凸のあ
るのを使用する。
【0020】前記遠心摩擦型鋳物砂再生装置で粗再生処
理した使用済鋳物砂を該砥石研磨型鋳物砂再生装置によ
り引き続いて仕上再生処理する工程について説明する。
該砥石研磨鋳物砂再生装置はバッチ処理機能を有するの
で、計量により一定量の粗再生処理砂(例えばロードセ
ル計量により1,000kg)をホッパ31に供給して
投入口30からケーシング底部13a内に投入する。次
に、モータ28を始動して、回転砥石18を矢印B方向
へ高速回転(例えば周速32〜40m/秒)させると共
に回転ドラム14を矢印A方向に低速回転(例えば10
〜14回転/分)させる。これによりケーシング底部1
3aに堆積した鋳物砂は回転ドラム14の掻揚げ翼20
により掻揚げられ、スリット21を介して回転ドラム1
4の各空間Sに投入される。そして、図6に示すよう
に、粗再生処理砂Cは高速回転中の回転砥石18に落下
衝突し、その砥石面の無数の凹凸と接触してまだ残存し
ていた砂粒表面の焼付炭化物層等の不純物が研磨除去さ
れる。そして再びケーシング底部13aに落下堆積す
る。なお、ケーシング底部13aに堆積する再生処理砂
は回転ドラム14の掻揚げ翼20により繰り返し掻揚げ
られ回転砥石18との接触研磨が反復される。この時、
前記遠心摩擦型鋳物砂再生装置により粗再生処理された
際に砂粒表面に帯電付着していた微粉は、該掻揚げ翼2
0がアースの役目を果たすので完全に除去される。
【0021】この研磨に要する時間及び砥石18の回転
速度は、砂粒表面の焼付炭化物層の付着程度、バッチ処
理量等により適宜選択される。このようにして所要時
間、仕上再生処理された鋳物砂は、空気シリンダ32を
駆動源とするシャッタ33により取出口34を開いて取
出すが、新砂同等のSiO2 パーセントに回復した仕上
再生処理砂が得られる。そして、砂粒には丸味が付与さ
れ、比表面積が小さくなるので、少量の粘結剤使用にも
適応でき、新砂との配合比率を従来にも増して増加する
ことができる。なお、発生した微粉は、ケーシング13
の上部の塵埃分離室35の頂部に設けられた塵回収導管
36より系外に排出される。このようにして仕上再生処
理された生砂の鉄分の除去には随時磁選機を適用する。
該砥石研磨鋳物砂再生装置では、供給される鋳物砂の水
分が1.5重量%以下で適用できる。乾式遠心摩擦型鋳
物砂再生装置よりも研掃度、粒形改善レベルは上である
だけでなく、リサイクルの中で砂粒表面に万一焼付炭化
物層等の不純物が成長しても、確実に砥石で削ることが
出来、安定した再生砂を提供できる。
【0022】本発明を以下の具体的実施例により詳細に
説明する。 (実施例1)使用済鋳物砂を前記遠心摩擦型鋳物砂再生
装置で1時間当り3トンの砂を連続的に処理した粗再生
処理砂と前記砥石研磨型鋳物砂再生装置で10分、15
分、20分、25分の4種類の時間でバッチ処理した場
合の仕上再生処理砂の各種性質を表1に示す。
【0023】
【表1】
【0024】表1に示す砂の各種性質の数値から、前記
砥石研磨型鋳物砂再生装置で25分間の仕上再生処理を
行なえばSiO2 分の増加および不純物の指標となる酸
消費量の減少、さらに灼熱減量の減少等が見られ、コー
ルドボックス法用鋳物砂として十分に使用できる程再生
されることがわかった。なお、粒度指数(JIS)に関
しても、表2の数値から顕著な細粒化は起っていないこ
とがわかった。
【0025】
【表2】
【0026】図7乃至図9に砂粒の実体顕微鏡写真(倍
率:35倍をもとに砂粒形態をスケッチしたものであ
る。)を示す。図7は再生処理前の砂粒、図8は粗再生
処理済の砂粒、図9は仕上再生処理済の砂粒を示す。図
7に示す如く再生処理前の砂粒では、砂粒表面に焼付炭
化物および粘土層が存在するため凸部の砂粒表面を呈し
ているが、粗再生処理済の砂粒(図8)では、砂粒表面
が摩擦されて凹凸の程度がいくらか緩やかになってい
る。さらに仕上再生処理済の砂粒(図9)では砂粒の凸
部が研磨除去されて丸味形状の砂粒に再生されている。
図7乃至図9のスケッチのもととした倍率35倍の実体
顕微鏡写真をもとに、焼付炭化物層が付着している砂粒
と付着していない砂粒の数の比をもって焼付炭化物層
(%)を表示すると表1に示す如く25分の仕上再生処
理済砂では17.9%であった。このことから、仕上再
生処理砂では砂粒表面の焼付炭化物層はかなりよく研磨
除去されたと考えられる。
【0027】(実施例2)粗再生砂および仕上再生砂の
新砂との配合比をそれぞれ45%、70%とした鋳物砂
100に対して重量比で粘結剤としてフェノールレジン
を1%添加して造型し、造型後1時間後、24時間後に
おけるそれぞれ抗折力(kg/cm2 )を実測した結果
を表3に示す。造型後1時間後の抗折力を比較すると、
配合比45%、70%のいずれにおいても仕上再生砂を
配合したものが約2倍の抗折力を有することがわかっ
た。経時変化においても、造型1時間後の抗折力の高い
ものは強度劣化をおこしにくいことがわかった。また、
仕上再生砂の配合比を70%まで増加しても強度低下に
ならないことがわかった。このことは、仕上再生砂の各
砂粒は砥石研磨により比表面積が減少し、しかも全体と
して丸味が付与されているために、砂粒相互の結合が強
力になっているからと考えられる。
【0028】
【表3】
【0029】(実施例3)各再生工程での再生砂の砂品
位を確認する目的で、再生処理前の砂、粗再生砂(3t
on当り60分処理)、仕上再生砂(1ton当り25
分処理)の各々の化学組成(表4)、砂性質(表5)、
粒度分布(表6)を測定した。この結果、仕上再生砂で
は、水分0.05重量%、灼熱減量0.52重量%、F
2 3 1.32重量%および酸消費量8.1ml/5
0gとなり、SiO2は90.6重量%に回復して高品
位の新砂なみに再生されたことがわかった。粗再生砂と
仕上再生砂の粒度分布を示す表6より仕上再生砂の細粒
化は生じないことが確認できた。
【0030】
【表4】
【0031】
【表5】
【0032】
【表6】
【0033】(実施例4)仕上再生砂の新砂との配合比
を50%、60%および80%とした際の鋳造品への影
響を確認した。対象の鋳造品としては、SiO2 分が高
くなることでベーニング発生傾向が強いキャリア(自動
車部品で単重11.2kg)および従来からコールドボ
ックス法中子の球面形状部での鋳肌荒れ傾向の強いデフ
ケース(自動車部品で単重2.7kg)とした。鋳肌荒
れテストでは各々80ケ、ベーニングテストでは各々2
0ケを造型し、球状黒鉛鋳鉄の溶湯を1530℃で鋳込
んだ。テスト結果、キャリアでのベーニング発生は皆無
であった。また、デフケースの中子面での鋳肌荒れは従
来とほとんど変わらなかった。鋳肌は、砂の粒形のみで
なく、砂の流動性、中子形式等にも影響されることか
ら、砂粒の粒形改善のみでは鋳肌の向上は得られなかっ
たものと推察される。
【0034】
【発明の効果】以上説明した如く、遠心摩擦型鋳物砂再
生装置を鋳物砂の粗再生用として、続いて、砥石研磨型
鋳物砂再生装置を仕上再生用として配置した本発明の鋳
物砂再生装置の効果を列記すると下記の如くである。 1)砂粒表面に付着している焼付炭化物および粘土層を
研磨剥離でき、新砂に近い状態の鋳物砂を再生すること
ができる。 2)砂粒の凸部がなくなり丸味形状の粒形改善ができ
る。 3)粗再生処理時に砂粒表面に静電気のため付着して完
全に除去されなかった微粉を仕上再生処理によってほと
んど完全に除去できる。 4)水分、灼熱減量、Fe2 3 、および酸消費量を減
少させることができ、砂品位を上昇することができる。 5)SiO2 90%以上に回復することができ高品位の
新砂なみの再生砂を得ることができる。 6)粗再生処理の後の砥石研磨による仕上再生処理にお
いても砂の細粒化は生じない。 7)高品位の再生砂を得ることができるため、新砂との
配合比率を60%以上まで増加することが可能となり、
鋳物砂資源を有効活用できる。 8)遠心摩擦型鋳物砂再生装置は、水分0.5重量%以
下に管理された使用済鋳物砂の粗再生用としての役割が
あり、砥石研磨型鋳物砂再生装置の仕上再生処理時間を
短縮することができる。遠心摩擦型鋳物砂再生装置の摩
擦効率の良さと砥石研磨型鋳物砂再生装置の研磨レベル
の良さが相乗的に効き、遠心摩擦型鋳物砂再生装置の欠
点を防止できる。特に、遠心摩擦型鋳物砂再生装置を導
入後、その能力低下問題を解決するのに砥石研磨型鋳物
砂再生装置を追設するのがもっとも経済的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の鋳物砂再生処理工程を示す概要設備配
置図である。
【図2】本発明の鋳物砂粗再生処理に供する遠心摩擦型
鋳物砂再生装置の斜視図である。
【図3】本発明の鋳物砂仕上再生処理に供する砥石研磨
型鋳物砂再生装置の縦断面図である。
【図4】図3の側部縦断面図である。
【図5】図4の回転ドラムの斜視図である。
【図6】鋳物砂が回転砥石に衝突して研磨される状態を
示す図である。
【図7】再生処理前の鋳物砂の砂粒状態を示すスケッチ
図である。
【図8】粗再生処理後の鋳物砂の砂粒状態を示すスケッ
チ図である。
【図9】仕上再生処理後の鋳物砂の砂粒状態を示すスケ
ッチ図である。
【符号の説明】
1 遠心摩擦型鋳物砂再生装置 11 砥石研磨型鋳物砂再生装置 A 回転ドラムの回転方向 B 回転砥石の回転方向 C 粗再生済の砂粒 S 回転ドラムにおける隣接する画成板によって画成さ
れた空間 3 ロータリードラム 4 ディストリビュータ 5 シェルフ 6 砂の堆積層 14 回転ドラム 16 画成板 18 回転砥石 19 連結板 20 掻揚げ翼 21 スリット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B22C 5/14 8315−4E

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粗再生処理用の乾式遠心摩擦型鋳物砂再
    生装置、砂一時貯蔵用リザーブホッパー、計量砂用計量
    ホッパー、および仕上再生処理用の乾式砥石研磨型鋳物
    砂再生装置とよりなることを特徴とする鋳物砂再生装
    置。
  2. 【請求項2】 前記遠心摩擦型鋳物砂再生装置の前工程
    および/または前記砥石研磨型鋳物砂再生装置の後工程
    に磁選機を配置したことを特徴とする請求項1に記載の
    鋳物砂再生装置。
  3. 【請求項3】 前記鋳物砂の含有水分値が0.5%以下
    であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の
    鋳物砂再生装置。
  4. 【請求項4】 あらかじめ含有水分値を0.5%以下に
    管理した使用済鋳物砂を中間ホッパーを経由して、連続
    処理機能を有する前記遠心摩擦型鋳物砂再生装置により
    1列以上の複数段1パスによる粗再生処理を行い、リザ
    ーブホッパーに一時貯蔵し、次いで計量ホッパーより一
    定量の鋳物砂をバッチ処理機能を有する前記砥石研磨型
    鋳物砂再生装置で仕上再生処理を行うことを特徴とする
    鋳物砂再生方法。
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