JP3281150B2 - 鋳造用鋳型の製造方法 - Google Patents

鋳造用鋳型の製造方法

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JP3281150B2 JP29140993A JP29140993A JP3281150B2 JP 3281150 B2 JP3281150 B2 JP 3281150B2 JP 29140993 A JP29140993 A JP 29140993A JP 29140993 A JP29140993 A JP 29140993A JP 3281150 B2 JP3281150 B2 JP 3281150B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【発明の目的】
【産業上の利用分野】本発明は鋳造用鋳型の製造方法に
関し、更に詳しくは高アルカリ性レゾール型フェノール
樹脂と有機エステル類で鋳型造型し、抜型後、鋳型表面
に水ガラスを塗布し、鋳型表面強度が強く、注湯時の高
温特性に優れた鋳造用鋳型の製造方法に関する。
【従来の技術】従来の有機常温鋳型の造型法には、大別
して自硬性鋳型造型法とガス硬化性鋳型造型法の2通り
の製造方法がある。自硬性鋳型造型の製造方法は、鋳型
砂に硬化剤もしくは触媒を被覆した後、結合剤を被覆造
型し硬化させて鋳型を得るものである。この場合、鋳型
には有機物質が結合剤として用いられるため、溶湯金属
の種類或いは鋳物の大きさにより鋳型の高温特性が左右
され、特に鋳湯温度の高い材質及び大きな鋳物等におい
ては鋳型の高温特性が低下するので、鋳型を熱的に安定
化させる必要がある。そのために、鋳型の表面に塗型剤
を厚く塗って保護したり、また砂に対する結合剤添加量
を多くしないと鋳型としての充分な強度が得られない。
しかしながら、結合剤添加量を多くすると、製造作業時
の環境への悪影響或いは鋳物のガス欠陥等の悪影響が発
生し、更には鋳込み後の鋳型の崩壊性、砂回収率が悪く
なる。
【発明が解決しようとする課題】前記の従来の自硬性鋳
型造型法の技術においては、充分な鋳型強度を得るた
め、又注湯時の高温特性の低下、特に「照らされ(pull
down)」を防止するために、鋳型砂に対して比較的高
い添加量の結合剤を配合したり、鋳型表面に丹念な塗
型、塗布処理をするため、鋳型にガス欠陥が発生した
り、鋳込み後の鋳型の強度、崩壊性が低下し、砂の回収
率が悪くなり、更には作業環境衛生も悪化するという難
点を有している。特に、大型鋳物では注湯時の温度によ
り鋳型が爆裂し、部分的に崩壊を生じ、著しい鋳肌不
良、及びこれらの補修等により生産効率が低下する。本
発明は、前記実情に鑑み開発されたもので、従来の有機
常温鋳型造型法では鋳型の表面強度及び注湯時の高温特
性の低下、特に「照らされ(pull down)」が発生する
ことから、これを補うために樹脂添加量を増加させる
か、塗型剤を丹念に塗布しなければならなかったが、高
アルカリ性レゾール型フェノール樹脂と有機エステル類
よりなる結合剤添加量を低下させ、鋳型抜型後、鋳型表
面に水ガラスを塗布し、高い鋳型強度と共に注湯時の優
れた鋳型特性(高温特性)を有し、特に「照らされ(pu
ll down)」のない鋳造用鋳型の製造方法を提供すこと
を目的とする。
【発明の構成】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を
達成するために鋭意検討を重ねた結果、鋳造用鋳型砂に
高アルカリ性レゾール型フェノール樹脂と有機エステル
類を混練被覆し、型込めし、初期硬化を進行させ模型か
ら抜型後、水ガラスを塗布し、鋳型に含まれている有機
エステル類と水ガラスを硬化反応させ、鋳型表面に強固
な無機質のシリカゲルを形成させることにより、鋳型強
度及び高温時に優れた鋳型特性を示すとともに、特に
「照らされ(pull down)」のない鋳造用鋳型が得られ
ることを見いだし、本発明に至った。以下本発明を更に
詳しく説明する。本発明において、有機常温自硬性鋳型
造型法に用いる結合剤としては、フェノール類とホルム
アルデヒド類とをアルカリ性触媒の存在下で反応させて
得られるアルカリ性レゾール型フェノール樹脂を挙げる
ことができる。フェノール類としては、フェノール、ク
レゾール類、キシレノール類、ビスフェノールA、レゾ
ールシノール等を挙げることができる。アルデヒド類と
しては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、ト
リオキサン等を挙げることができる。アルカリ性触媒と
しては、苛性ソーダ、苛性カリ、水酸化カルシウム、水
酸化リチウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の水
酸化物、或いは酸化カリウム、酸化カルシウム等のアル
カリ金属、アルカリ土類金属の酸化物があるが、いずれ
を使用しても良く、これらの混合物であっても良い。前
述の高アルカリ性レゾール型フェノール樹脂は固形分が
30〜70重量%のものが良い。本発明に用いる自硬性
鋳型用硬化剤としては、有機エステル類を用いる。有機
エステル類としては、低分子量のラクトン類、例えばγ
−ブチロラクトン、プロピレンラクトン、ε−カプロラ
クトン、及びC〜Cのアルキル一価、又は多価のアルコ
ール類とC〜Cのカルボン酸とのエステルを用い、とり
わけ酢酸エステル類を用いるのが望ましい。自硬性鋳型
用硬化剤の使用量としては、高アルカリ性レゾール型フ
ェノール樹脂100重量部に対し、自硬性鋳型用硬化剤
15〜30重量部の範囲が適当である。自硬性鋳型の硬
化途上の鋳型、即ち抜型後1時間乃至10日間後に調整
された鋳型に塗布する水ガラスは鋳型表面に数mmから
20mm程度まで浸透するように塗布する。本発明に用
いる水ガラスは一般的に水ガラスと称されている珪酸ソ
ーダ或いは珪酸カリウムであり、珪酸ソーダと珪酸カリ
ウムの混合物を用いても良い。特にモル比2.1〜3.
2、ボーメ度40〜55の珪酸ソーダが適しており、好
ましくはモル比2.2〜2.8、ボーメ度42〜47の
ものが望ましい。更に、本発明に用いる水ガラスは水で
希釈したものでも良い。また、本発明に使用する結合剤
と鋳型砂の結合力を改良するために、カップリング剤を
高アルカリ性レゾール型フェノール樹脂に配合しても良
い。カップリング剤としてはチタネート、ボロン等を用
いても良いが、より好ましくはシランカップリング剤で
ある。シランカップリング剤の代表的な例は、3−グリ
シドキシプロピルトリメトキシシラン等である。カップ
リング剤の使用量はフェノール樹脂に対して0.05〜
3.0重量%、より好ましくは0.1〜1.0重量%で
ある。本発明に用いる鋳物砂としては珪砂、クロマイト
サンド、ジルコンサンド、オリビンサンド、ムライト系
サンド、及びその回収砂、再生処理砂等を挙げることが
できる。以下に実施例と比較例を示す。
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明す
る。但し、本発明はこの実施例に限定されるものではな
く、その要旨の範囲内で種々の変形が可能である。 [実施例1] (1)有機常温自硬性鋳型造型法用結合剤 市販の高アルカリ性レゾール型フェノール樹脂(TPA
−36(商品名)群栄ボーデン株式会社製)を使用し
た。 (2)鋳型試験片による鋳型特性試験 温泉津珪砂100重量部に対し、硬化剤エチレングリコ
ールジアセテートを0.4重量部加え、攪拌器付き混練
機で1分間混練した後、前記結合剤TPA−36を2.
0重量部加え1分間混練した。この混練砂を50φ×5
0mmの試験片に造型し、30分後に抜型して、1時間
経過後、2号水ガラスを塗布し、放置24時間後の試験
片の圧縮強さ、表面安定性、及び表面硬度を測定した。
また、上記混練砂を1,100mm(長さ)×1,350mm(幅)×
200mm(厚み)の試験片に造型し、24時間後に抜型し
て、2時間経過後、水で50%に希釈した2号水ガラス
を塗布し、1,350mm(幅)の半分に市販塗型剤を塗布し
た。この試験片を吊り下げた状態で、約1,560℃の溶湯
の上に50mmから400mmの間隔に傾斜させ、放置中の輻射
熱による試験片表面状況を観察し、輻射熱を受けて砂が
剥離するまでの時間を測定し、これを「照らされ(pull
down)」試験とした。 [実施例2] (1)有機常温自硬性鋳型造型法用結合剤 市販の高アルカリ性レゾール型フェノール樹脂(TPA
−36(商品名)群栄ボーデン株式会社製)を使用し
た。 (2)鋳型試験片による鋳型特性試験 温泉津珪砂100重量部に対し、硬化剤エチレングリコ
ールジアセテートを0.36重量部加え、攪拌器付き混
練機で1分間混練した後、前記結合剤TPA−36を
1.8重量部加え1分間混練した。この混練砂を50φ
×50mmの試験片に造型し、30分後に抜型して、3
時間経過後、2号水ガラスを塗布し、放置24時間後の
試験片の圧縮強さ、表面安定性、及び表面硬度を測定し
た。「照らされ(pull down)」試験については前記実
施例1と同様に行った。 [実施例3] (1)有機常温自硬性鋳型造型法用結合剤 市販の高アルカリ性レゾール型フェノール樹脂(TPA
−36(商品名)群栄ボーデン株式会社製)を使用し
た。 (2)鋳型試験片による鋳型特性試験 温泉津珪砂100重量部に対し、硬化剤エチレングリコ
ールジアセテートを0.4重量部加え、攪拌器付き混練
機で1分間混練した後、前記結合剤TPA−36を1.
8重量部加え1分間混練した。この混練砂を50φ×5
0mmの試験片に造型し、30分後に抜型して、24時
間経過後、2号水ガラスを塗布し、放置24時間後の試
験片の圧縮強さ、表面安定性、及び表面硬度を測定し
た。「照らされ(pull down)」試験については前記実
施例1と同様に行った。 [実施例4] (1)有機常温自硬性鋳型造型法用結合剤 市販の高アルカリ性レゾール型フェノール樹脂(TPA
−36(商品名)群栄ボーデン株式会社製)を使用し
た。 (2)鋳型試験片による鋳型特性試験 クロマイトサンド100重量部に対し、硬化剤エチレン
グリコールジアセテートを0.2重量部加え、攪拌器付
き混練機で1分間混練した後、前記結合剤TPA−36
を1.0重量部加え1分間混練した。この混練砂を50
φ×50mmの試験片に造型し、30分後に抜型して、
24時間経過後、2号水ガラスを塗布し、放置24時間
後の試験片の圧縮強さ、表面安定性、及び表面硬度を測
定した。「照らされ(pull down)」試験については前
記実施例1と同様に行った。 [比較例1] (1)有機常温自硬性鋳型造型法用結合剤 市販の高アルカリ性レゾール型フェノール樹脂(TPA
−36(商品名)群栄ボーデン株式会社製)を使用し
た。 (2)鋳型試験片による鋳型特性試験 温泉津珪砂100重量部に対し、硬化剤エチレングリコ
ールジアセテートを0.4重量部加え、攪拌器付き混練
機で1分間混練した後、前記結合剤TPA−36を2.
0重量部加え1分間混練した。この混練砂を50φ×5
0mmの試験片に造型し、30分後に抜型して、放置2
4時間後の試験片の圧縮強さと表面安定性、及び表面硬
度を測定した。また、該混練砂を1,100mm(長さ)×1,3
50mm(幅)×200mm(厚み)の試験片に造型し、24時
間後に抜型して、1,350mm(幅)の半分に市販塗型剤を
塗布した。この試験片を吊り下げた状態で、約1,560
℃の溶湯の上に50mmから400mmの間隔に傾斜させ、放置
中の輻射熱による試験片表面状況を観察し、輻射熱を受
けて砂が剥離するまでの時間を測定し、これを「照らさ
れ(pull down)」試験とした。 [比較例2] (1)有機常温自硬性鋳型造型法用結合剤 市販の高アルカリ性レゾール型フェノール樹脂(TPA
−36(商品名)群栄ボーデン株式会社製)を使用し
た。 (2)鋳型試験片による鋳型特性試験 温泉津珪砂100重量部に対し、硬化剤エチレングリコ
ールジアセテートを0.5重量部加え、攪拌器付き混練
機で1分間混練した後、前記結合剤TPA−36を2.
5重量部加え1分間混練した。この混練砂を50φ×5
0mmの試験片に造型し、30分後に抜型して、放置2
4時間後の試験片の圧縮強さと表面安定性、及び表面硬
度を測定した。「照らされ(pull down)」試験につい
ては前記比較例1と同様に行った。 [比較例3] (1)有機常温自硬性鋳型造型法用結合剤 市販の高アルカリ性レゾール型フェノール樹脂(TPA
−36(商品名)群栄ボーデン株式会社製)を使用し
た。 (2)鋳型試験片による鋳型特性試験 クロマイトサンド100重量部に対し、硬化剤エチレン
グリコールジアセテートを0.2重量部加え、攪拌器付
き混練機で1分間混練した後、前記結合剤TPA−36
を1.0重量部加え1分間混練した。この混練砂を50
φ×50mmの試験片に造型し、30分後に抜型して、
放置24時間後の試験片の圧縮強さと表面安定性、及び
表面硬度を測定した。「照らされ(pull down)」試験
については前記比較例1と同様に行った。尚、圧縮強さ
については「JACT試験方法HM−1 有機自硬性鋳
物砂の強度試験法」に基づいて測定した。表面安定性に
ついては、試験片を6メッシュ標準フルイの上に横に入
れ、これをロータップ振盪器にセットし、1分間振盪
し、試験片の重量、振盪後の試験片の重量から下記式に
より測定した。 表面安定性(%)=(W2/W1)×100(%) 但し、W1・・・試験片重量 W2・・・振盪後の試験片の重量 表面硬度については、引掻き硬度計(ジョージ・フィッ
シャー製PKH型)を用いミーリングカッター貫通深さ
を測定した。上記結果を表1に示した。
【表1】
【発明の効果】本発明より得られる鋳型は、従来技術の
有機常温鋳型造型法の内における自硬性鋳型造型法によ
り製造された鋳型、特に大型鋳物の場合には注湯時の温
度により鋳型爆裂を起こし、部分的に崩壊を生じ、著し
く鋳肌不良となり補修等を行なわねばならず生産効率を
低下させるものであったのに対して、鋳型の表面に含ま
れている硬化剤を活用し、鋳型表面の強度を向上させ、
更には注湯時の高温域にさらされた場合、瞬時に水ガラ
ス層が無機質耐熱特性を発揮し、鋳肌の優れた品質の安
定した鋳型の生産性を著しく向上させることが出来る。
フロントページの続き (72)発明者 市川 一男 群馬県高崎市大八木町622番地 群栄ボ ーデン株式会社内 (72)発明者 円福 清隆 福岡県北九州市戸畑区大字中原先の浜46 −59 日本鋳鍛鋼株式会社内 (72)発明者 池之迫 正昭 福岡県北九州市戸畑区大字中原先の浜46 −59 日本鋳鍛鋼株式会社内 (56)参考文献 特開 平1−262041(JP,A) 特開 昭62−292235(JP,A) 特開 昭53−121033(JP,A) 特開 昭63−199043(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22C 1/00 - 3/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋳造用鋳型砂に高アルカリ性レゾール型フ
    ェノール樹脂と液状の有機エステル類を混練被覆し、こ
    れを模型に型込めした後、初期硬化を進行させ、次いで
    模型から抜型した鋳型の表面に水ガラスを塗布し、鋳型
    中の有機エステル類と反応させることを特徴とする鋳造
    用鋳型の製造方法。
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