JP7341609B2 - フェノール臭抑制用鋳型造型用組成物 - Google Patents
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Description
前記フェノール樹脂100質量部に対して、酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウムから選ばれる少なくとも1つのマグネシウム化合物を8質量部以上120質量部以下添加する、添加工程を有する。
本実施形態のフェノール臭抑制用鋳型造型用組成物(以下、鋳型造型用組成物ともいう)は、耐火性粒子と、フェノール樹脂と、酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウムから選ばれる少なくとも1つのマグネシウム化合物と、を含有する。本実施形態のフェノール臭抑制用鋳型造型用組成物によれば、フェノール樹脂を含有する鋳型を用いた鋳造時のフェノール臭を簡便に抑制することができる。
前記耐火性粒子としては、珪砂、クロマイト砂、ジルコン砂、オリビン砂、アルミナ砂、ムライト砂、合成ムライト砂等の従来公知のものを使用でき、また、使用済みの耐火性粒子を回収して再生処理した再生砂も使用できるが、経済性の観点、及び当該鋳型の製造方法の効果発現の観点から再生砂が好ましい。なお、耐火性粒子は、単独で使用又は2種以上を併用することができる。
フェノール樹脂としては、レゾール樹脂、ノボラック樹脂などそれぞれの硬化システムに応じた従来公知のフェノール樹脂が用いられる。レゾール樹脂は、アルカリ条件下でフェノール化合物とアルデヒド化合物とを重縮合させることによって得られ、ノボラック樹脂は、酸条件下でフェノール化合物とアルデヒド化合物とを重縮合させることによって得られる。前記フェノール化合物としては、フェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、クレゾール、3,5-キシレノール、レゾルシン、カテコール、ノニルフェノール、p-tert-ブチルフェノール、イソプロペニルフェノール、フェニルフェノール、その他の置換フェノールを含めたフェノール類や、カシューナット殻液のような各種のフェノール化合物の混合物等を1種又は2種以上混合して使用することができる。前記アルデヒド化合物としては、ホルムアルデヒド、フルフラール、グリオキザール等を1種又は2種以上混合して使用することができる。これらの化合物は必要に応じて水溶液として用いることができる。また、これらに、尿素、メラミン、シクロヘキサノン等のアルデヒド化合物と縮合が可能なモノマーや、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、ブチルアルコール等の1価の脂肪族アルコールや、水溶性高分子のポリアクリル酸塩や、セルロース誘導体高分子、ポリビニルアルコール、リグニン誘導体などを混合しても差し支えない。
前記マグネシウム化合物は、酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウムから選ばれる少なくとも1つである。
前記鋳型造型用組成物は酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウム以外のマグネシウム元素を含む成分を含有していてもよい。酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウム以外のマグネシウム元素を含む成分としては、鋳造時の臭気を簡便に抑制する観点から、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、乳酸マグネシウム、及びリン酸水素マグネシウムからなる群より選ばれる1種以上が例示できる。
前記鋳型造型用組成物は、本実施形態の効果を阻害しない程度に水、シランカップリング剤、尿素、界面活性剤、アルコール類等の添加剤が含まれていてもよい。
本実施形態の鋳物の製造方法は、前記耐火性粒子、前記フェノール樹脂を含有する鋳型造型用粘結剤組成物(以下、粘結剤組成物ともいう)、及び鋳型造型用硬化剤組成物(以下、硬化剤組成物ともいう)を混合して鋳型用組成物を得る混合工程、前記鋳型用組成物を所望の形状に成形する成形工程、当該鋳型用組成物を硬化させて鋳型を得る鋳型製造工程、及び鋳型に溶湯を注ぐ鋳造工程を有する鋳物を製造する方法であって、前記フェノール樹脂100質量部に対して、酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウムから選ばれる少なくとも1つのマグネシウム化合物を8質量部以上120質量部以下添加する添加工程を有する。本実施形態の鋳物の製造方法によれば、フェノール樹脂を含有する鋳型を用いた鋳造時のフェノール臭を簡便に抑制することができる鋳物の製造方法を提供することができる。
[鋳型造型用粘結剤組成物]
前記粘結剤組成物は前記フェノール樹脂を含有する。前記粘結剤組成物は前記フェノール樹脂以外の、鋳型造型用に用いられる樹脂を含有してもよい。また、前記粘結剤組成物は、本実施形態の効果を阻害しない程度に水、シランカップリング剤、尿素、界面活性剤、アルコール類等の添加剤を含有していてもよい。
前記硬化剤組成物は、前記粘結剤組成物を硬化させる硬化剤を含有する。前記硬化剤は前記粘結剤組成物を硬化させるものであれば特に限定なく用いることができる。
前記成形工程の一例としては、前記鋳型用組成物を所望の型枠に詰める充填工程、前記鋳型用組成物を積層させる工程、前記鋳型用組成物を押し固めた後、硬化前に押し固めた前記鋳型用組成物から一部を掻き取って成形工程を挙げることができる。
前記鋳型製造工程で前記鋳型用組成物を硬化させる方法としては、公知一般の手法を用いることが出来る。
前記鋳造工程において、鋳型に溶湯を注いで鋳造する方法としては公知一般の手法を用いることが出来る。例えば、キューポラ、低周波炉や高周波炉の様な電気炉、またアーク炉などで溶解させた金属を鋳型に流し込む方法が挙げられる。
前記添加工程は、前記マグネシウム化合物を添加する工程である。当該添加工程において前記マグネシウム化合物を添加する方法は特に限定されない。当該添加工程において前記マグネシウム化合物を添加する方法としては、前記粘結剤組成物に含有させて添加する方法、前記硬化剤組成物に含有させて添加する方法、前記耐火性粒子を前記マグネシウム化合物で被覆してコーテッドサンドとし、当該コーテッドサンドを添加する方法、及び前記マグネシウム化合物を別添する方法等が例示できる。これらの方法は単独で、又は組み合わせて用いてもよい。
本実施形態のフェノール臭抑制方法は、前記マグネシウム化合物を用いて、前記フェノール樹脂を含有する鋳型を用いて鋳物を製造する際に発生するフェノール臭を抑制する。本実施形態のフェノール臭抑制方法によれば、フェノール樹脂を含有する鋳型を用いた鋳造時のフェノール臭を簡便に抑制することができる。
本実施形態のフェノール樹脂含有鋳型用消臭剤(以下、鋳型用消臭剤ともいう)は、前記マグネシウム化合物を含有する。本実施形態のフェノール樹脂含有鋳型用消臭剤によれば、フェノール樹脂を含有する鋳型を用いた鋳造時のフェノール臭を簡便に抑制することができる。
<評価方法>
〔平均粒子径〕
平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製LA-920)を用いて測定された体積累積50%の平均粒子径である。分析条件は下記の通りである。
・測定方法:フロー法
・分散媒:メタノール
・分散方法:攪拌、内蔵超音波3分
・試料濃度:2mg/100cc
比表面積は、株式会社島津製作所製フローソーブIII2310を用いてガス吸着法によって下記条件で測定した。
・使用ガス:窒素
・サンプル量:1g
・測定温度:25℃
φ45×36の磁性坩堝に下記方法により調製した鋳型造型用組成物を50.0g入れ磁性蓋で蓋をし、鋳型造型用組成物が入った坩堝を500℃に加熱した光洋サーモシステム株式会社製の小型電気炉KBF794N1の中に入れ、表示温度が500℃到達後10分間加熱した。電気炉から坩堝を取出し、2分以内に坩堝と蓋の隙間から出ている臭気を嗅ぐことにより蓋開放前の臭気の評価をした(官能評価1段階)。その後、坩堝取出し2分後に蓋を開放し、坩堝取出し後5分後までに坩堝内の鋳型造型用組成物から漂う臭いを嗅いで評価を行った(官能評価2段階)。その後、取出し5分後に坩堝を反転させて鋳型造型用組成物を取り出し後に鋳型造型用組成物から漂う臭いの評価を行った(官能評価3段階)。官能評価1~3それぞれの段階についてパネラー5名によって臭気の強さを感覚で相対比較して下記基準で5段階で評価し、当該評価の平均値を出して臭気評価1の評価結果とした。評価基準を以下に示す。
・官能評価基準1:極端に強く感じる
・官能評価基準2:非常に強く感じる
・官能評価基準3:強く感じる
・官能評価基準4:やや強く感じる
・官能評価基準5:かすかに感じる
φ45×36の磁性坩堝に下記方法により調製した鋳型造型用組成物を50.0g入れ磁性蓋で蓋をし、該坩堝を500℃に加熱した小型電気炉KBF794N1(光洋サーモシステム株式会社製)の中に入れ、表示温度が500℃到達後10分間加熱した。その後、電気炉から坩堝を取出し、蓋を開けた直上で検知管No.60(株式会社ガステック製)にてフェノール成分を測定し、臭気評価2とした。フェノール成分の発生濃度から、測定基準通り吸引回数は2回とした。
〔水溶性フェノール樹脂〕
カオーステップSH-8000(花王クエーカー株式会社製)を用いた。
SP610(旭有機材株式会社製)を用いた。
〔実施例1~10、16~20〕
耐火性粒子「フリーマントル」(山川産業株式会社製)100質量部に対し、硬化剤(トリアセチン)0.2質量部を添加・混合した後、水溶性フェノール樹脂を耐火性粒子100質量部に対して1質量部、及び表1のマグネシウム化合物を水溶性フェノール樹脂100質量部に対して表1に記載の量を添加・混合して鋳型造型用組成物を調製した。得られた鋳型造型用組成物に対して、臭気評価1を行った。結果を表1に示す。
表1に記載の量のマグネシウム化合物を35%水溶液スラリーにして添加した以外は実施例1と同様にして鋳型造型用組成物を調製し、臭気評価1を行った。結果を表1に示す。
表1に記載の量のマグネシウム化合物を35%水溶液スラリーにして、予め水溶性フェノール樹脂に分散させて粘結剤組成物を調整し、この粘結剤組成物を添加した以外は実施例1と同様にして鋳型造型用組成物を調製し、臭気評価1を行った。結果を表1に示す。
水酸化マグネシウムを添加しない以外は実施例1と同様にして鋳型造型用組成物を調製し、臭気評価1を行った。結果を表1に示す。
水酸化マグネシウムを表1に示す化合物に変更した以外は実施例1と同様にして鋳型造型用組成物を調製し、臭気評価1を行った。結果を表1に示す。
水酸化マグネシウムを表1に示す化合物に変更した以外は実施例3と同様にして鋳型造型用組成物を調製し、臭気評価1を行った。結果を表1に示す。
150℃に加熱した耐火性粒子「三河珪砂R6号」(三河珪石株式会社製)100質量部に対し、ノボラック樹脂を2質量部添加して混練した。次に耐火性粒子の温度が120℃にてノボラック樹脂100重量部に対し、18%ヘキサテトラミン水溶液を83.3%添加して混練した。更に耐火性粒子100重量部に対し、ステアリン酸カルシウムを0.1質量部添加し混練してシェル砂を得た。シェル砂と表2に記載の量の水酸化マグネシウムを混合し、鋳型造型用組成物(コーテッドサンド)を調製した。得られた鋳型造型用組成物に対して、臭気評価2を行った。結果を表2に示す。
表2に記載の量の水酸化マグネシウムを35%水溶液スラリーにして混合した以外は実施例21と同様にして鋳型造型用組成物を調製し、臭気評価2を行った。結果を表2に示す。
水酸化マグネシウムを添加しないこと以外は実施例21と同様にして鋳型造型用組成物を調製し、臭気評価2を行った。結果を表2に示す。
Claims (4)
- 耐火性粒子、フェノール樹脂を含有する鋳型造型用粘結剤組成物、及び鋳型造型用硬化剤組成物を混合して鋳型用組成物を得る混合工程、前記鋳型用組成物を所望の形状に成形する成形工程、当該鋳型用組成物を硬化させて鋳型を得る鋳型製造工程、及び鋳型に溶湯を注ぐ鋳造工程を有する鋳物を製造する方法であって、
前記フェノール樹脂100質量部に対して、水酸化マグネシウムを8質量部以上120質量部以下添加する、添加工程を有する、鋳物の製造方法。 - 前記添加工程が、前記混合工程においてなされる、請求項1に記載の鋳物の製造方法。
- 水酸化マグネシウムを用いて、フェノール樹脂を含有する鋳型を使用して鋳物を製造する際に発生するフェノール臭を抑制する、フェノール臭抑制方法。
- 水酸化マグネシウムの添加量が、前記フェノール樹脂100質量部に対して1質量部以上、300質量部以下である、請求項3に記載のフェノール臭抑制方法。
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