JP2011179077A - 造粒粉末、焼結体および金属製フィルター - Google Patents

造粒粉末、焼結体および金属製フィルター Download PDF

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Abstract

【課題】十分な空隙率と高い機械的特性とを両立する多孔質焼結体を製造可能な造粒粉末、およびかかる造粒粉末を用いて製造された焼結体および金属製フィルターを提供すること。
【解決手段】本発明の造粒粉末は、金属粉末と有機バインダーとを含むものであり、金属粉末中の複数個の金属粒子を有機バインダーで結着してなるものである。かかる造粒粉末は、各粒子の短径をAとし、長径をBとしたとき、A/Bの平均が0.1以上0.4以下となるものであり、かつ、質量基準の累積粒度分布における50%累積時の粒径が30μm以上150μm以下となるものである。このような造粒粉末を用いて焼結体を形成することにより、相対密度が60%以上92%以下である多孔質の焼結体が得られる。
【選択図】なし

Description

本発明は、造粒粉末、焼結体および金属製フィルターに関するものである。
金属粉末を成形する方法としては、金属粉末と有機バインダーとの混合物を、所定の成形型に充填し、圧縮することにより、所定の形状の成形体を得る圧縮成形法が知られている。得られた成形体は、有機バインダーを除去する脱脂処理、金属粉末を焼結する焼成処理を経て、金属焼結体となる。このような技術は粉末冶金技術の一例であり、成形型の形状次第で複雑な形状の金属焼結体を大量に製造可能であることから、近年、多くの産業分野で普及している。
例えば、金属焼結体で構成される金属製フィルターは、多方面で利用されている。具体的には、液体または気体のような流体を、多孔質の金属焼結体を通過させることにより、流体中に含まれる固形物を濾別したり、化学的な相互作用により、物質を吸着させて分離したりする技術に利用される。また、金属製フィルターは、耐食性、耐熱性等に優れていることから、医療機器用フィルター、分析機器用フィルター等に有用である。
特許文献1には、ガスアトマイズ法により製造されたチタン粉末を焼結した空隙率が35〜55%の多孔質板が開示されている。この多孔質板は、平均粒径が10〜150μmのチタンの球状粉粒体を無加圧で焼結容器内に充填し、これを焼結することにより製造されたものである。
ところが、このような多孔質板では、無加圧で成形されるため、チタン粉末の粒子間の結合が不十分になり易く、機械的特性が低いという問題がある。また、無加圧で成形する場合、成形可能な形状には制約がある。
特開2002−66229号公報
本発明の目的は、十分な空隙率と高い機械的特性とを両立する多孔質焼結体を製造可能な造粒粉末、およびかかる造粒粉末を用いて製造された焼結体および金属製フィルターを提供することにある。
上記目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の造粒粉末は、複数個の金属粒子を有機バインダーで結着してなる造粒粉末であって、
当該造粒粉末の粒子は、その短径をAとし、長径をBとしたとき、A/Bの平均が0.1以上0.4以下となるものであり、かつ、質量基準の累積粒度分布における50%累積時の粒径が30μm以上150μm以下であるものであることを特徴とする。
これにより、十分な空隙率と高い機械的特性とを両立する多孔質焼結体を製造可能な造粒粉末が得られる。
本発明の造粒粉末では、前記複数個の金属粒子は、その短径をaとし、長径をbとしたとき、a/bの平均が0.5以上1以下となるものであることが好ましい。
これにより、金属粉末の流動性が特に向上し、金属粉末を造粒する際に、造粒粉末の各粒子の均一性が向上する。
本発明の造粒粉末では、前記複数個の金属粒子の平均粒径は、1μm以上30μm以下であることが好ましい。
これにより、最終的に焼結体を得たとき、その中に形成される結晶組織を十分に小さくすることができる。その結果、焼結体の機械的特性を高めることができる。
本発明の造粒粉末では、当該造粒粉末の平均粒径は、前記複数個の金属粒子の平均粒径の3倍以上100倍以下であることが好ましい。
これにより、造粒粉末には、最適な数の金属粉末の粒子が含まれることになるので、成形時に崩壊する崩壊性が十分に付与されるとともに、ある程度の強度が付与される。その結果、圧縮成形した際に、粒子間に埋め切れない空隙を確実に残存させることができ、多孔質の焼結体を確実に得ることができる。
本発明の造粒粉末では、当該造粒粉末は、それより粒径の大きな造粒粉末をロールクラッシャーにより解砕して形成されたものであることが好ましい。
これにより、造粒粉末を効率よく均一に解砕し、異形化することができる。
本発明の造粒粉末では、前記金属粒子は、ステンレス鋼粒子であり、
当該造粒粉末のJIS Z 2502に規定の金属粉の流動性試験方法に準じて測定された流動度は、30[秒/50g]以上であることが好ましい。
これにより、十分な空隙率と高い機械的特性とを両立する多孔質焼結体が得られる。
本発明の焼結体は、本発明の造粒粉末を用いて製造され、相対密度が60%以上92%以下であることを特徴とする。
これにより、空隙率と機械的特性とのバランスが良好な多孔質焼結体が得られる。
本発明の金属製フィルターは、本発明の焼結体で構成されたことを特徴とする。
これにより、フィルター前後の差圧が大きな環境下であっても、長期にわたって使用可能な金属製フィルターが得られる。
本発明の造粒粉末の製造方法において用いられる転動造粒装置の構成を示す模式図である。
以下、本発明の造粒粉末、焼結体および金属製フィルターを、添付図面に基づく好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
従来、金属粉末から金属製フィルターを製造する場合、金属粉末を容器内に充填し、無加圧の状態で焼結することにより製造されていた。
しかしながら、この方法では、金属粉末の粒子間の結合が不十分になり易く、得られた金属製フィルターの機械的特性が低いという問題があった。
また、容器内に金属粉末を充填し、無加圧の状態で焼結する場合、容器の形状には自ずと制約が生じる。すなわち、用いられる容器は上面が開放した容器である必要があるため、この容器を用いて製造される金属製フィルターは、必然的に水平な上面を有するものとなる。よって、金属製フィルターの形状の自由度が損なわれるという問題があった。
加えて、無加圧の場合、容器の形状によっては金属粉末の充填性が不均一になり易い。このため、金属製フィルターの空隙や機械的特性の分布も不均一になる場合があった。
さらには、容器ごと焼成されるため、容器と金属製フィルターとの癒着が避けられない。その結果、離型時に金属製フィルターの欠損や割れ等が発生することがあった。
かかる問題点に鑑み、本発明者は、圧縮成形法により成形した場合でも、良質な多孔質焼結体を製造可能な造粒粉末について鋭意検討を重ねた。そして、金属粉末を造粒する際に、その造粒粉末の形状を最適化することによって上記問題点を解消し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の造粒粉末は、金属粉末と有機バインダーとを含む組成物からなる粒子状物であり、金属粉末中の複数個の金属粒子を有機バインダーで結着してなるものである。
かかる造粒粉末は、各粒子の短径をAとし、長径をBとしたとき、A/Bの平均が0.1以上0.4以下となるものであり、かつ、質量基準の累積粒度分布における50%累積時の粒径が30μm以上150μm以下であるという特徴を有するものである。
このような造粒粉末は、成形されることにより、連通気孔を含み、造粒粉末の崩壊がある程度進んだ状態で圧縮されてなる多孔質の成形体となり得る。これは、A/Bで表わされる造粒粉末の形状のアスペクト比が前記範囲内にあり、比較的細長い異形状をなしているため、圧縮成形され、造粒粉末がわずかに崩壊したとしても、粒子間には埋め切れない空隙が残存し、必要以上の緻密化が抑制されるからであると考えられる。
併せて、質量基準の累積粒度分布における50%累積時の粒径が前記範囲内にあることにより、上記と同様、圧縮成形後でも粒子間には空隙が残存することとなる。
したがって、本発明の造粒粉末を用いることにより、圧縮成形法等の各種成形法で成形した場合でも、十分な空隙率を確保することができる。その結果、従来の方法では製造できない複雑な形状をなし、十分な空隙率と高い機械的特性とを両立した多孔質焼結体が得られる。
なお、アスペクト比A/Bは、前記範囲内であればよいが、好ましくは0.15以上0.35以下であるのがより好ましい。
一方、質量基準の累積粒度分布における50%累積時の粒径も、前記範囲内であればよいが、好ましくは35μm以上140μm以下とされ、より好ましくは40μm以上130μm以下とされる。
このような多孔質焼結体は、例えば、耐食性、耐熱性等の特性に優れた金属製フィルターとして好適に利用可能である。
加えて、従来のように金属粉末を無加圧で成形した場合、粉末の充填性が不均一になり易いのに対し、加圧圧縮することにより、成形体の充填性が均一になる。その結果、空隙や機械的特性の分布において均一な焼結体が得られる。
なお、A/Bが前記下限値を下回った場合、造粒粉末の各粒子が細長くなり過ぎて、粒子の形状に著しい異方性が生じるため、造粒粉末の流動性が著しく低下するとともに、粒子が配向するなどして充填性が不均一になる。その結果、空隙および機械的特性の分布が不均一になる。一方、A/Bが前記上限値を上回った場合、造粒粉末が球形に近い形状となるため、造粒粉末の流動性が高くなり過ぎて、粒子間に生じる空隙が著しく小さくなる。その結果、得られる多孔質焼結体の空隙率が著しく低くなる。
また、質量基準の累積粒度分布における50%累積時の粒径(以下、省略して「平均粒径」ともいう。)が前記下限値を下回った場合、造粒粉末の各粒子が小さくなり過ぎて、圧縮成形時に粒子間の空隙が埋められてしまう。一方、平均粒径が前記上限値を上回った場合、造粒粉末の各粒子が大きくなり過ぎて、多孔質焼結体の機械的強度が著しく低下する。
さらに、造粒粉末の平均粒径は、金属粉末の平均粒径の3倍以上100倍以下であるのが好ましく、5倍以上80倍以下であるのがより好ましく、10倍以上70倍以下であるのがさらに好ましい。これにより造粒粉末には、最適な数の金属粉末の粒子が含まれることになるので、成形時に崩壊する崩壊性が十分に付与されるとともに、ある程度の強度が付与される。その結果、圧縮成形されたとしても、粒子間には埋め切れない空隙を確実に残存させることができる。
なお、本発明の造粒粉末を用いて形成された成形体は、成形により、造粒粉末がある程度崩壊した状態にあり、かつ適度な結着力を有しているため、離型後も保形性を有している。このため、容器ごと焼成する必要がなく、したがって焼結体と容器との癒着等のおそれがないので、製造歩留まりの著しい向上が可能となる。
また、成形体ごとに容器を用意する必要がないので、多孔質焼結体の製造コスト低減にも寄与することとなる。
なお、造粒粉末のアスペクト比A/Bは、例えば、電子顕微鏡、光学顕微鏡等の各種顕微鏡により造粒粉末を観察し、その観察像から人為的にまたは画像処理を経て見積もる方法等により測定することができる。
このような造粒粉末は、前述したように異形状な粒子を含むものであるため、流動性がやや低いという特徴を有するものとなる。
具体的には、造粒粉末の流動度は、金属粉末がステンレス鋼粉末である場合、30[秒/50g]以上70[秒/50g]以下であるのが好ましく、33[秒/50g]以上60[秒/50g]以下であるのがより好ましい。このような流動度を有する造粒粉末を用いることにより、十分な空隙率と高い機械的特性とを両立する多孔質焼結体を確実に得ることができる。
なお、造粒粉末の流動度とは、漏斗のオリフィスを通過して50gの金属粉末が流れ出る時間で定義され、JIS Z 2502に規定の金属粉の流動性試験方法により測定することができる。
また、本発明の造粒粉末の見掛密度[g/cm]は、金属粉末の真密度[g/cm]の10%以上35%以下であるのが好ましく、15%以上30%以下であるのがより好ましい。このような造粒粉末を用いることにより、十分な空隙率と高い機械的特性とを両立する多孔質焼結体を確実に得ることができる。
なお、造粒粉末の見掛密度とは、造粒粉末の自然充填状態における質量と容積との比であり、JIS Z 2504に規定の金属粉の見掛密度試験方法により測定することができる。一方、金属粉末の真密度とは、金属粉末を構成する金属材料の真密度である。
以上のような造粒粉末は、前述したように、金属粉末と有機バインダーとを含むものである。以下、金属粉末、有機バインダーについて説明する。
(金属粉末)
金属粉末を構成する材料としては、例えば、Fe、Ni、Co、Cr、Mn、Zn、Pt、Au、Ag、Cu、Pd、Al、W、Ti、Ta、V、Mo、Nb、Zr、Pr、Nd、Smのような金属、または、これらの1種または2種以上の金属を含む合金(例えば、ステンレス鋼、Fe−Ni合金)や金属間化合物等が挙げられる。
このうち、金属粉末としては、特にTi単体またはTi系合金で構成されたチタン粉末が好ましく用いられる。チタン粉末の焼結体で構成される金属製フィルターは、耐食性および耐熱性に優れることから、通過させる流体の種類や温度等に制限を設ける必要がなく、とりわけ有用なものとなる。
Ti系合金としては、Ti以外に、例えばAl、V、Nb、Zr、Ta、Mo等の金属元素を含む合金が挙げられる。具体的には、Ti−6Al−4V、Ti−6Al−7Nb等が挙げられる。
また、Ti系合金は、これらの金属元素の他に、ホウ素(B)、炭素(C)、窒素(N)、酸素(O)、ケイ素(Si)等の非金属元素を含んでいてもよい。
このような金属粉末には、水アトマイズ法、ガスアトマイズ法、高速回転水流アトマイズ法のようなアトマイズ法、還元法、カルボニル法、粉砕法等、いかなる方法で製造されたものでも用いることができるが、特にアトマイズ法により製造されたものが好ましく用いられる。アトマイズ法によれば、微細で粒度分布の狭い(粒径の揃った)金属粉末が効率よく得られる。したがって、空隙および機械的特性の分布が均一な多孔質焼結体を確実に製造することができる。
また、アトマイズ法によれば、より球形に近い形状の金属粉末を得ることができる。これにより、造粒粉末の流動性が向上し、複雑な形状に成形した場合でも、空隙および機械的特性の分布が均一な多孔質焼結体が得られる。
具体的には、金属粉末(複数の金属粒子)において、各粒子の短径をa、長径をbとしたとき、a/bの平均が0.5以上1以下程度であるのが好ましく、0.7以上1以下程度であるのがより好ましい。これにより、金属粉末の流動性が特に向上し、金属粉末を造粒する際に、造粒粉末の各粒子の均一性が向上する。
また、金属粉末の平均粒径(質量基準の累積粒度分布における50%累積時の粒径)は、好ましくは1μm以上30μm以下とされ、より好ましくは3μm以上20μm以下とされ、さらに好ましくは3μm以上10μm以下とされる。このような粒径の金属粉末は、最終的に多孔質焼結体を得たとき、その中に形成される結晶組織を十分に小さくすることができる。その結果、多孔質焼結体の機械的特性を高めることができる。
なお、金属粉末の粒径および造粒粉末の粒径は、例えば、動的光散乱法、レーザー回折法、遠心沈降法、FFF(Field Fow Fractionation)法、電気的検知体法等の各種粒径測定方法により測定することができる。
(有機バインダー)
有機バインダーは、金属粉末中の粒子同士を結着するものである。
有機バインダーとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンまたはこれらの共重合体等の各種樹脂や、各種ワックス、パラフィン、高級脂肪酸(例:ステアリン酸)、高級アルコール、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド等の各種有機バインダーが挙げられ、これらのうち1種または2種以上を混合して用いることができる。
このうち、有機バインダーとしては、ポリオレフィンを主成分とするものが好ましい。ポリオレフィンは、還元性ガスによる分解性が比較的高い。このため、ポリオレフィンを有機バインダーの主成分として用いた場合、より短時間で確実に成形体の脱脂を行うことができる。
また、有機バインダーの含有率は、組成物全体の2質量%以上20質量%以下程度であるのが好ましく、5質量%以上10質量%以下程度であるのがより好ましい。有機バインダーの含有率が前記範囲内であることにより、造粒粉末にある程度の崩壊性が付与されるとともに、成形体には保形性が付与される。その結果、容器ごと焼成しなくても、十分な空隙率を有しかつ寸法精度の高い多孔質焼結体が得られる。
(造粒粉末の製造方法)
次に、本発明の造粒粉末を製造する方法について説明する。
以下、造粒粉末の製造方法の説明に先立って、この製造方法に用いられる造粒装置について説明する。
図1は、本発明の造粒粉末の製造方法において用いられる転動造粒装置の構成を示す模式図である。なお、図1(a)は、転動造粒装置の縦断面図であり、図1(b)は、図1(a)のA−A線断面図である。
転動造粒装置1は、造粒を行うための処理容器10と、処理容器10内に配設されたブレード20およびクロススクリュー30と、スプレーノズル40とを備えている。
処理容器10は、図1(a)に示すように、底部11と、底部11から立設された側壁部12とを有し、側壁部12は、上方から下方に向かって内径および外径が漸増する錘状(例えば円錐台筒状)をなしている。処理容器10(側壁部12)がこのような形状をなしていることにより、処理容器10内に、ブレード20により処理容器10の外周側を吹き上げられた粉末が処理容器10の中央側に降下するような気流を形成することができる。その結果、粉末をムラなく処理することができ、粒度分布がシャープな造粒粉末を効率よく製造することができる。
また、処理容器10は、上方に開口を有し、この開口を塞ぐように蓋部13が装着されている。
ブレード20は、基部23と、この基部23に一端が固定され、放射状にほぼ等間隔に設けられた3枚の回転翼21、21、21とを有している。
また、処理容器10の底部11の中心には、貫通孔110が設けられており、この貫通孔110に回転駆動軸22が挿通されている。
回転駆動軸22の上端は、基部23に固定されており、下端は、回転駆動源(図示省略)に接続されている。そして、この回転駆動源により回転駆動軸22が正逆方向に回転駆動されることにより、ブレード20が回転する。
また、回転翼21、21、21は、それぞれ、ブレード20の回転方向前方側が下り斜面となるように、回転駆動軸22に対して傾斜して固定されている。これにより、ブレード20の回転に伴って、粉末を効果的に跳ね上げることができ、前述したような気流を形成することができる。
処理容器10の側壁部12には、貫通孔130が設けられており、この貫通孔130に回転駆動軸31が挿通されている。
回転駆動軸31の一端は、クロススクリュー30に固定されており、他端は、回転駆動源(図示省略)に接続されている。そして、この回転駆動源により回転駆動軸31が正逆方向に回転駆動されることにより、クロススクリュー30が回転する。
スプレーノズル40は、処理容器10に装着された蓋部13を貫通して設けられており、供給口が処理容器10内に位置している。これにより、処理容器10内に溶媒を噴霧し得るよう構成されている。スプレーノズル40から溶媒を噴霧することにより、スプレーノズル40付近には、下降気流が発生する。
ここで、前述したような転動造粒装置1の動作、すなわち転動造粒装置1を用いた造粒粉末の製造方法を説明する。転動造粒装置1を用いた造粒粉末の製造方法は、本発明の造粒粉末の製造方法の一例であり、本発明の造粒粉末の製造方法がこれに限定されないのは、言うまでもない。
次に、上記転動造粒装置1を用いて造粒粉末を製造する方法について説明する。
造粒粉末の製造方法は、有機バインダーの溶液(バインダー溶液)を供給しつつ、金属粉末を転動および/または流動させることにより、金属粉末を造粒するものである。
まず、上述したような転動造粒装置1の処理容器10の内部に金属粉末を投入する。そして、ブレード20で撹拌することにより金属粉末を転動および/または流動させる。
それとともに、スプレーノズル40からバインダー溶液を噴霧する。ミスト状態のバインダー溶液は、金属粉末を湿潤させるとともに、金属粉末の粒子同士を結着させる。その結果、金属粉末の造粒がなされ、造粒粉末80が得られる。この造粒粉末80は、ブレード20の回転に伴って、処理容器10の外周側(側壁部12側)へ徐々に移動(転動)するとともに、回転翼21によって上方に跳ね上げられる。跳ね上げられた造粒粉末80は、処理容器10の中央部側を下降して、再びブレード20によって転動される。このような一連の過程が繰り返されると、整形が行われ、真球に近い造粒粉末80が形成される。そして、粒子間距離の短い、緻密な造粒粉末が得られる。
また、このような造粒の過程で、造粒中の粒子が回転中のクロススクリュー30に接触すると、粒径の大きな粒子(造粒の進行度合いが大きい粒子)が解砕される。これにより、過度の造粒が抑制され、造粒粉末の粒度分布が狭い幅に制御されることとなる。
なお、バインダー溶液は、あらかじめ処理容器10内に入れておく等、いかなる方法で供給されてもよいが、図1(a)に示すように上方から噴霧するのが好ましい。これにより、ブレード20によって跳ね上げられた造粒粉末80に均一に過不足なくバインダー溶液が供給されるため、造粒粉末80の形状やサイズの均一化が図られる。特に、造粒粉末80が空中に浮いているときにバインダー溶液と接触することにより、造粒粉末80の粒子の表面全体がムラなく湿潤するため、前記均一化がより顕著なものとなる。その結果、粒度分布の揃った造粒粉末80が得られる。
バインダー溶液に用いられる溶媒としては、例えば、水、二硫化炭素、四塩化炭素等の無機溶媒や、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等の有機溶媒等が挙げられる。
ここで、ブレード20の単位時間当たりの回転数(以下、単に「回転数」と言う。)は、造粒粉末80の転動が最低限確保できれば、特に限定されないが、例えば、50rpm以上500rpm以下程度であるのが好ましく、100rpm以上300rpm以下程度であるのがより好ましい。ブレード20の回転数が前記範囲内の値であると、造粒粉末80を効率よく転動させて、効率よく造粒を行うことができる。また、適度な圧密状態が得られるので、より見掛密度の高い造粒粉末とすることができる。その結果、より緻密で、粒度分布幅が特に狭い造粒粉末80を得ることができる。
これに対し、ブレード20の回転数が前記下限値未満であると、造粒粉末80の転動や跳ね上げが不十分となり、造粒ムラの原因となる可能性がある。また、圧密が不十分となり、見掛密度の低い造粒粉末80、そして球状にならず不規則形状の流動性の良くない造粒粉末80となる可能性がある。一方、ブレード20の回転数が前記上限値を超えると、ブレード20による造粒粒子の解砕が進み、造粒が進まない粉末が多くなる可能性がある。
また、造粒時のクロススクリュー30の単位時間当たりの回転数は、特に限定されないが、例えば、50rpm以上3500rpm以下程度であるのが好ましく、100rpm以上3000rpm以下程度であるのがより好ましい。これにより、過度の解砕を防止しつつ、粒径の大きな粒子を解砕して、粒径の均一化を図ることができる。
また、バインダー溶液の供給速度は、特に限定されないが、例えば、20g/分以上1000g/分以下であるのが好ましく、30g/分以上800g/分以下であるのがより好ましく、50g/分以上600g/分以下であるのがさらに好ましい。バインダー溶液の供給速度が前記範囲内の値であると、バインダー溶液による金属粉末の結合(造粒)をムラなく進行させつつ、得られる造粒粉末80の粒度分布をよりシャープなものとすることができる。
これに対し、バインダー溶液の供給速度が前記下限値未満であると、造粒ムラの原因となる可能性がある。一方、バインダー溶液の供給速度が前記上限値を超えると、造粒が過度に進む可能性がある。その結果、得られる造粒粉末80は、粒度分布が広いものとなってしまう可能性がある。
さらに、バインダー溶液中の有機バインダーの濃度は、0.5重量%以上20重量%以下であるのが好ましく、1重量%以上15重量%以下であるのがより好ましく、2重量%以上10重量%以下であるのがさらに好ましい。
なお、造粒の処理時間(撹拌時間)は、特に限定されないが、1分以上90分以下であるのが好ましく、2分以上85分以下であるのがより好ましく、3分以上80分以下であるのがさらに好ましい。これにより、未造粒の造粒粉末の残存を抑制し、得られる造粒粉末80の粒度分布を十分にシャープなものとすることができる。
これに対し、造粒の処理時間が前記下限値未満であると、比較的多くの小粒径粉末(未造粒の金属粉末等)が残存する可能性がある。一方、造粒の処理時間が前記上限値を超えると、粒径の比較的大きい粉末(転動または流動していない粉末の固まり)に溶媒が直接付与され、造粒ムラの原因となる可能性がある。
また、必要に応じて、造粒粉末80に対して、有機バインダーを溶解可能な溶媒を噴霧(供給)するようにしてもよい。これにより、造粒粉末80の形状やサイズのさらなる均一化が図られる。
次いで、このようにして形成された造粒粉末80を、各種解砕方法により解砕する。これにより、前述したような異形状の造粒粉末(本発明の造粒粉末)が得られる。
解砕を行う解砕機としては、例えば、ロールクラッシャー、ジョークラッシャー、ボールミル、ディスクミル、ロールミル、ハンマーミル、ピンミル、ビーズミル等が挙げられる。
このうち、ロールクラッシャーが好ましく用いられる。ロールクラッシャーによれば、球形状の造粒粉末80を効率よく均一に異形化することができる。その結果、本発明の造粒粉末が確実に得られる。また、ロールクラッシャーによれば、解砕後の粒子がやや圧縮されるため、最終的な多孔質の焼結体の機械的特性を高めることもできる。
ロールクラッシャーは、1組のロールを用いた単装クラッシャーであっても、2組以上のロールを用いた複装クラッシャーであってもよい。
また、ロール間の離間距離は、解砕後の造粒粉末の平均粒径に応じて適宜設定されるものの、例えば0.01mm以上5mm以下程度とされる。ロール間の離間距離を適宜変更することにより、得られる造粒粉末のアスペクト比や平均粒径を制御することができる。例えば、ロール間を狭めることにより、アスペクト比や平均粒径を小さくすることができる。
また、ロール間に解砕前の造粒粉末を押し出す際の圧力を変えることによっても、造粒粉末のアスペクト比や平均粒径を制御することができ、例えば、圧力を高めることにより、アスペクト比や平均粒径を大きくすることができる。
なお、上記では、造粒方法の1つである転動造粒法、流動層造粒法または転動流動造粒法に共通する技術について説明したが、造粒方法はこれらに限られるものではなく、スプレードライ(噴霧乾燥)法等を用いることもできる。
ここで、本発明の造粒粉末の用途は、特に限定されないが、例えば、当該造粒粉末を含む成形体の製造、特に、当該造粒粉末を含む成形体を焼結することにより得られる多孔質焼結体の製造に好適に用いることができる。
(焼結体の製造方法)
以下、焼結体の製造方法の一例について説明する。
<成形>
まず、上述したような本発明の造粒粉末を用いて、プレス成形機により成形し、所望の形状、寸法の成形体を製造する。これにより、十分な空隙率を有するとともに、保形性の高い成形体が得られる。
なお、製造される成形体の形状寸法は、以後の脱脂および焼結による収縮分を見込んで決定される。また、成形法は、プレス成形に限定されず、圧縮成形、射出成形等であってもよい。
また、成形工程を省略し、単に容器内に造粒粉末を充填した状態で焼成するようにしてもよい。この方法を用いた場合、特に空隙率の高い焼結体が得られる。
<脱脂処理>
前述した成形工程で得られた成形体に対し、脱脂処理(脱バインダー処理)を施し、脱脂体を得る。この脱脂処理としては、特に限定されないが、非酸化性雰囲気、例えば真空または減圧状態下(例えば1×10−1Torr以上1×10−6Torr以下)、あるいは窒素ガス、アルゴンガス、水素ガス、アンモニア分解ガス等のガス中で、熱処理を行うことによりなされる。この場合、熱処理の条件は、有機バインダーの分解開始温度等によって若干異なるが、好ましくは温度100℃以上750℃以下程度で0.5時間以上40時間以下程度、より好ましくは温度150℃以上700℃以下程度で1時間以上24時間以下程度とされる。
また、このような熱処理による脱脂は、種々の目的(例えば、脱脂時間の短縮等の目的)で、複数の工程(段階)に分けて行ってもよい。この場合、例えば、前半を低温で、後半を高温で脱脂するような方法や、低温と高温を繰り返し行う方法等が挙げられる。
なお、有機バインダーは、脱脂処理によって完全に除去されなくてもよく、例えば、脱脂処理の完了時点で、その一部が残存していてもよい。
<焼成>
前述した脱脂処理工程で得られた脱脂体を焼結炉で焼成して焼結させ、目的とする焼結体を得る。この焼成により、造粒粉末を構成していた金属粉末は、拡散、粒成長する。その結果、十分な空隙率を有しかつ機械的特性の高い多孔質焼結体が得られる。
焼成時における焼成温度は、造粒粉末の組成等により若干異なるが、例えば、Fe基合金粉末を用いた場合、800℃以上1400℃未満であるのが好ましく、900℃以上1350℃以下であるのがより好ましい。焼成温度が前記範囲内であれば、空隙が消滅するのを防止しつつ、高い機械的特性を有する多孔質焼結体が得られる。
焼成中の最高温度保持時間は、焼結温度に応じて適宜設定されるものの、0.5時間以上8時間以下程度であるのが好ましく、0.75時間以上5時間以下であるのがより好ましい。
また、焼成雰囲気は、特に限定されないが、減圧(真空)下または非酸化性雰囲気とされるのが好ましい。これにより、金属の酸化による特性劣化を防ぐことができる。好ましい焼成雰囲気としては、1Torr以下(より好ましくは1×10−2Torr以上1×10−6Torr以下)の減圧(真空)下、または1Torr以上760Torr以下の窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気、または1Torr以上760Torr以下の水素ガス雰囲気であるのが好ましい。
なお、焼成雰囲気は、焼成の途中で変化してもよい。例えば、最初に1×10−2Torr以上1×10−6Torr以下の減圧(真空)下とし、途中で前記のような不活性ガスに切り替えることができる。
また、焼成は、2段階またはそれ以上で行ってもよい。例えば、焼成条件の異なる1次焼成と2次焼成とを行い、2次焼成の焼成温度を、1次焼成の焼成温度より高い温度としてもよい。
上記のようにして得られた多孔質焼結体は、いかなる目的で用いられるものであってもよいが、例えば金属製フィルター、軽量建材、自動車、航空機、宇宙船等に用いられる構造材として好適に用いられる。
すなわち、多孔質焼結体は、連通気孔を含むものである。このため、液体または気体のような流体を通過させることにより、流体中に含まれる固形物を濾別したり、化学的な相互作用により、物質を吸着させて分離したりすることができる。
なお、必要に応じて、多孔質焼結体の空隙の表面に各種反応性の物質を付着させるようにしてもよい。これにより、流体と反応性の物質との相互作用を効率的に行わせることができる。
上記のような金属製フィルターは、多くの産業分野において用いられるが、例えば、医療機器用、分析機器用のフィルターとして特に有用である。
得られた多孔質焼結体は、その相対密度が60%以上92%以下程度のものが得られる。このような多孔質焼結体は、空隙率と機械的特性とのバランスが良好なので、例えばフィルター前後の差圧の大きな環境下であっても、長期にわたって使用可能な金属製フィルターとして有用である。
なお、多孔質焼結体の相対密度は、(100−空隙率)で求めることができる。空隙率の測定方法としては、例えば、水銀圧入法、ガス吸着法、バブルポイント法等の各種細孔分布測定方法が挙げられる。
また、得られた多孔質焼結体は、その三点曲げ強さは2MPa以上20MPa以下程度のものが得られる。このような多孔質焼結体は、フィルターとして利用した際に、十分な機械的特性を有するものとなる。
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、本発明の造粒粉末の製造方法に用いる装置は、前述した実施形態のものに限定されない。例えば、前記実施形態では、転動造粒装置を用いて説明したが、流動作用により造粒を行う流動層造粒装置や、転動流動作用により造粒を行う転動流動造粒装置、噴霧乾燥させるスプレードライ装置等を用いるようにしてもよい。
1.造粒粉末の製造
(実施例1)
<1>まず、原料粉末として、水アトマイズ法により製造された平均粒径10μmのステンレス鋼粉末(エプソンアトミックス(株)製、SUS−316、真密度7.98g/cm)25kgを用意した。
なお、用いたステンレス鋼粉末のアスペクト比a/bは、0.78であった。
<2>一方、有機バインダーとして、ポリビニルピロリドン(BASF(株)製)粉末150gを用意し、原料粉末と混合して混合物を得た。また、溶媒としてイオン交換水を用意した。なお、溶媒の添加量は、有機バインダー1gあたり50gとした。
<3>次いで、混合物を、転動造粒装置((株)パウレック製、VG−25)の処理容器内に投入した。そして、処理容器内の混合物に向けて、スプレーノズルからエタノール(溶媒)を噴霧しつつ、混合物を以下の造粒条件で転動・造粒し、造粒粉末を得た。
<造粒条件>
・ブレード回転数 :200rpm
・クロススクリュー回転数:2500rpm
・溶媒の供給重量 :3.75kg(バインダー1g当たり25g)
・溶媒の供給速度 :535g/分
・造粒時間 :7分
<4>次いで、得られた造粒粉末をロールクラッシャーに投入し、造粒粉末を解砕した。これにより、本発明の造粒粉末を得た。
(実施例2〜6、比較例1〜4)
ロールクラッシャーにおけるロール間の離間距離およびロール間に押し出す圧力を調整するようにした以外は、それぞれ表1に示すアスペクト比と平均粒径の造粒粉末を得た。
2.造粒粉末の評価
2.1 アスペクト比
各実施例および各比較例で得られた造粒粉末を、SEMまたは実体顕微鏡により観察し、その観察像からアスペクト比A/Bを見積もった。なお、アスペクト比の見積もりにおいては、造粒粉末の粒子100個について行い、その平均値をアスペクト比の測定値とした。
2.2 平均粒径
各実施例および各比較例で得られた造粒粉末について、レーザー回折方式の粒度分布測定装置(マイクロトラック、日機装株式会社製、HRA9320−X100)により、質量基準の累積粒度分布における50%累積時の粒径を取得した。
2.3 見掛密度
各実施例および各比較例で得られた造粒粉末について、JIS Z 2504に規定の金属粉の見掛密度試験方法により見掛密度を測定した。
2.4 流動度
各実施例および各比較例で得られた造粒粉末について、JIS Z 2502に規定の金属粉の流動性試験方法により流動度を測定した。
3.焼結体の評価
3.1 相対密度
各実施例および各比較例で得られた造粒粉末を、以下に示す成形条件で成形した。
<成形条件>
・成形方法 :プレス成形法
・成形形状 :5mm×5mm×20mmの直方体形状
・成形圧力 :300MPa(3t/cm
次いで、得られた成形体を、以下に示す脱脂条件で脱脂した。
<脱脂条件>
・脱脂温度 :600℃
・脱脂時間 :1時間
・脱脂雰囲気:水素ガス雰囲気
次いで、得られた脱脂体を、以下に示す焼成条件で焼成した。これにより、焼結体を得た。
<焼成条件>
・焼成温度 :1150℃
・焼成時間 :3時間
・焼成雰囲気:減圧Ar雰囲気
・雰囲気圧力:1.3kPa(10Torr)
次いで、得られた焼結体について、アルキメデス法(JIS Z 2501に規定)に準じた方法により密度を測定した。また、測定された焼結密度と、金属粉末の真密度から、焼結体の相対密度を算出した。
3.2 機械的特性
次いで、得られた焼結体について、三点曲げ強さを測定した。
そして、比較例1で得られた造粒粉末の焼結体についての三点曲げ強さを1とし、それ以外の焼結体についての相対値を求めた。
以上、2.1〜2.4および3.1、3.2の評価結果を表1に示す。
Figure 2011179077
表1から明らかなように、各実施例で得られた造粒粉末の焼結体は、比較的低い相対密度と、比較的高い機械的特性とを両立するものであった。すなわち、これらの焼結体は、十分な空隙率と、高い機械的特性とを備えた多孔質焼結体であるといえる。
一方、各比較例で得られた造粒粉末の焼結体は、相対密度が高いか、あるいは著しく低いものとなった。このうち、相対密度が高い焼結体は、空隙率が低すぎるために、フィルターとしては利用できないことが認められた。また、相対密度が著しく低い焼結体は、機械的特性も低いため、やはりフィルターとして利用できないことが認められた。
1……転動造粒装置 10……処理容器 11……底部 110……貫通孔 12……側壁部 13……蓋部 130……貫通孔 20……ブレード 21……回転翼 22……回転駆動軸 23……基部 30……クロススクリュー 31……回転駆動軸 40……スプレーノズル 80……造粒粉末

Claims (8)

  1. 複数個の金属粒子を有機バインダーで結着してなる造粒粉末であって、
    当該造粒粉末の粒子は、その短径をAとし、長径をBとしたとき、A/Bの平均が0.1以上0.4以下となるものであり、かつ、質量基準の累積粒度分布における50%累積時の粒径が30μm以上150μm以下であるものであることを特徴とする造粒粉末。
  2. 前記複数個の金属粒子は、その短径をaとし、長径をbとしたとき、a/bの平均が0.5以上1以下となるものである請求項1に記載の造粒粉末。
  3. 前記複数個の金属粒子の平均粒径は、1μm以上30μm以下である請求項1または2に記載の造粒粉末。
  4. 当該造粒粉末の平均粒径は、前記複数個の金属粒子の平均粒径の3倍以上100倍以下である請求項1ないし3のいずれかに記載の造粒粉末。
  5. 当該造粒粉末は、それより粒径の大きな造粒粉末をロールクラッシャーにより解砕して形成されたものである請求項1ないし4のいずれかに記載の造粒粉末。
  6. 前記金属粒子は、ステンレス鋼粒子であり、
    当該造粒粉末のJIS Z 2502に規定の金属粉の流動性試験方法に準じて測定された流動度は、30[秒/50g]以上である請求項1ないし5のいずれかに記載の造粒粉末。
  7. 請求項1ないし6のいずれかに記載の造粒粉末を用いて製造され、相対密度が60%以上92%以下であることを特徴とする焼結体。
  8. 請求項7に記載の焼結体で構成されたことを特徴とする金属製フィルター。
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