JP2004149842A - チタン焼結体の製造方法 - Google Patents

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隆 大西
Akira Hachiman
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【課題】流体通過時の圧力損失が小さく、耐食性に優れ、特に円筒型チタンフィルター用等に好適な薄肉のチタン焼結体の製造方法を提供する。
【解決手段】鉄製充填型内に球状チタン粉末を充填し、不活性雰囲気中で600〜1080℃で焼結した後、前記鉄製充填型を溶解して除去する。球状チタン粉末の粒度の積算分布曲線における累積頻度10%の粒径D10、同じく累積頻度50%の粒径D50および同じく累積頻度90%の粒径D90が、下記▲1▼式を満たすものであれば、また、鉄型の内幅Wに対して粒径D50が十分小さい場合は、生産歩留まりが高く、望ましい。充填型を溶解除去して得た焼結体を、再度、より高い焼結温度で焼結すれば、焼結体の機械的強度をより高めることができる。
X=(D90−D10)/D50≦2.0 ・・・▲1▼
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体通過時の圧力損失が小さく、耐食性に優れ、特に円筒型チタンフィルター用等に好適な薄肉のチタン焼結体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
液体または気体(流体)を多孔質の物体であるフィルターを通過させることによってその中に含まれている固体を分離する操作は、多くの産業分野において欠かせない技術である。その際用いられるフィルターの材質は、分離の目的、取り扱う流体および固体の性状、使用温度その他の環境条件等に応じて様々であり、セラミックス系、金属系(ステンレス鋼系、チタン系他)などの多孔質の焼結フィルターも、強度や、耐食性、耐高温性等に優れる、などの利点を有していることから、広く用いられはじめている。
【0003】
金属系の焼結フィルターの中で、チタンまたはチタン合金の焼結フィルターは、耐食性に優れることから、例えば医療機器用フィルター、食品製造機器用フィルター、分析機器用としては極微量の元素分析を行うガスクロマトグラフィー装置のキャリアガス導入部など、特に高い耐食性が必要とされる箇所をはじめとして、多方面での使用が期待されている。
【0004】
また、フィルターの形状については、平板状のものの他に、使用目的に応じて、例えば円筒状、その他の形状のものが必要とされており、特に、最近では、長さが100mmまたはそれ以上の長尺、かつ薄型の円筒型焼結チタンフィルターの開発が望まれている。
【0005】
このチタン系の焼結フィルターについては、特許文献1に、チタンまたはチタン合金のガスアトマイズ法による球状粉末をアルミナ製の浅い平底の型に充填し、不活性ガス雰囲気または真空中で焼結して板状のチタン焼結フィルターを製造する方法が記載されている。この方法によれば、耐食性に優れ、圧力損失が小さい高性能の焼結チタンフィルターが得られる。しかし、同じ方法で円筒型のチタン焼結体を製造しようとすると、型の形状が複雑であるため、充填型のコストが高く、耐久性も短く、製造コストが著しく高くなるという問題がある。
【0006】
一方、特許文献2には、円筒型のフィルターを安価に製造する方法が示されている。この方法は、ステンレス鋼等の金属繊維を円筒形等の各種形状の金型(例えば、鉄製の型)に充填して焼結した後、金型を硝酸溶液等で溶解、除去して前記金属繊維の焼結体を製造する方法である。
【0007】
しかし、この方法によって焼結フィルターとして望まれている側面部分の厚さが4mm以下の円筒型の焼結チタンフィルターを製造しようとすると、その高さが数十ミリ程度までであれば辛うじて均一な薄肉円筒焼結体を得ることができるが、これより高い、特に100mm以上の高さのものでは焼結体内の気孔(細孔)の大きさを均一にすることができず、均質な焼結体を得ることはできない。これは、円筒型焼結チタンフィルターの側面部分を形成するために金型の外周部に設ける狭い隙間部分(後述する図1の符号1の部分)に綿状の金属繊維を均一な密度で詰め込むことが困難であることによるものである。さらに、細孔径の小さいチタンフィルターを製造するためには極めて細いチタン繊維を必要とするが、極細のチタン繊維は製造が難しいため高価であることもこの金属繊維を焼結する法における問題点である。
【0008】
また、特許文献3には、形状の自由度が大きく、空孔(濾孔)分布の均一性に優れた金属フィルター部材の製造方法として、射出成型による方法が記載されている。この方法は、2種以上のアスペクト比の金属繊維を含む金属微細粉と結合材(各種の樹脂材料)とを混合した原料を射出成型して予備成型品とし、これを焼結して前記結合材を消失させる焼結体の製造方法で、ステンレス鋼のアトマイズド粉末が使用されている。ステンレス鋼のアトマイズド粉末は、一般に水アトマイズ法で製造され、形状が不定形であるため、焼結体が比較的壊れやすい円筒状であっても、結合材を焼結により除去した後その形状を保つことができる。しかし、ガスアトマイズした球状のチタン粉末を用いてこの方法を実施すると、結合材を焼結により除去したときに円筒形の形を保つことができず、壊れてしまうので、焼結することができない。これは、球状のチタン粉末の流動性が高いことが原因と考えられる。
【0009】
【特許文献1】
特開2002−66229号公報
【特許文献2】
特開平5−156385号公報
【特許文献3】
特開平5−70808号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の技術によっては製造が困難な、流体通過時の圧力損失が小さく、耐食性に優れ、特に円筒型チタンフィルター用等に好適な薄肉チタン焼結体の製造方法を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明者らは、特許文献2に記載の金属繊維を焼結する方法において、原料として金属繊維の代わりに水素化脱水素法により製造されるチタン粉末(HDH粉末)の使用を試みた。しかし、焼結体に目視で認識できるほどの充填不良、細孔の大きさや分布の不均一、細孔の大きさをはるかに上回る「穴」などが多発し、使用に耐えるものは得られなかった。また、水素化脱水素法によるチタン粉末は不定形の粉末であるため、圧力損失も大きかった。
【0012】
そこで、焼結体の原料として球状チタン粉末を使用したところ、水素化脱水素法によるチタン粉末を使用した際の前記の問題はほとんど生じないことが判明した。これは、チタン粉末が球状であるため、流動性が大きく、円筒型フィルターを製造するための金型(充填型)の薄く深い隙間に良好に流れ込むためと考えられる。
【0013】
さらに、球状チタン粉末の粒度分布または粒径を最適化することにより、生産歩留まりが著しく向上し、圧力損失が小さく、耐食性に優れた薄肉の円筒型焼結チタンフィルターを安価に製造することができることを見いだし、本発明をなすに至った。
【0014】
本発明の要旨は、下記(1)または(2)のチタン焼結体の製造方法にある。
【0015】
(1)球状チタン粉末を鉄製充填型内に充填し、不活性雰囲気中で600〜1080℃で焼結した後、前記鉄製充填型を溶解して除去するチタン焼結体の製造方法。
【0016】
前記のチタン粉末は、チタン焼結体の使用目的に応じて純チタン、チタン合金の何れであってもよい。
【0017】
この方法は、内幅が4mm以下の鉄製充填型を用いて焼結する場合にも適用可能である。なお、ここでいう充填型の「内幅」とは、充填型に形成されている、チタン粉末を充填する部分の幅をいう。例えば、円筒型のチタン焼結体を製造するための充填型であれば、このような充填型の構成を例示す図1において、円筒の側面部分を形成するためにチタン粉末を充填する隙間部分1の幅(内幅)Wをいう。
【0018】
この方法において、球状チタン粉末の粒度の積算分布曲線における累積頻度10%の粒径D10、累積頻度50%の粒径D50および累積頻度90%の粒径D90が、下記▲1▼式を満たすものであれば、生産歩留まりが高く、望ましい。
【0019】
X=(D90−D10)/D50≦2.0 ・・・▲1▼
また、この方法において、鉄製充填型の内幅Tおよび球状チタン粉末の粒度の積算分布曲線における累積頻度50%の粒径D50が、下記▲2▼式を満たすものであれば、やはり生産歩留まりが高く、望ましい。
【0020】
Y=T/D50≧12 ・・・▲2▼
(2)前記(1)に記載のチタン焼結体を、再度、不活性雰囲気中で焼結する方法であって、球状チタン粉末を鉄製充填型内に充填して焼結する際の焼結温度tおよび前記の再度焼結する際の焼結温度tが下記▲3▼式を満たすチタン焼結体の製造方法。
【0021】
<t ・・・▲3▼
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明のチタン焼結体の製造方法(上記の(1)または(2)の記載の方法を詳細に説明する。
【0023】
上記の(1)に記載の方法は、鉄製充填型内に球状チタン粉末を充填し、不活性雰囲気中で600〜1080℃で焼結した後、前記鉄製充填型を溶解して除去するチタン焼結体の製造方法である。
【0024】
前記の充填型には、鉄製のもの(以下、「鉄型」ともいう)を使用する。型内にチタン粉末を充填して焼結するので、融点がチタン粉末の焼結温度よりも高く、焼結した後、酸溶液などで溶解して除去することができるように、耐食性がチタンより劣るものであれば、鉄以外の金属でもよいが、前記の融点および耐食性に関する条件を満たし、さらに、安価で使い捨ても可能であり、しかも加工が容易であるという条件を考慮すれば、鉄製の充填型(鉄型)を使用するのが合理的である。鉄型に用いる際の鉄の厚さは、生産性向上の観点からは、溶解除去しやすいように可能な限り薄い方が望ましいが、必要とされる形状を保持できるような厚さを選定する必要がある。通常は、0.2〜2.0mmとするのが望ましい。なお、ここでいう鉄製の「鉄」とは、一般に市販の「鉄板」などに使用される炭素鋼あるいは普通鋼をいうが、前記の諸条件を満たすものであればこれに限らず、合金鋼等であってもよい。
【0025】
まず、この鉄製充填型内に球状チタン粉末を充填する。本発明で原料として使用する球状チタン粉末の製法としては、ガスアトマイズ法やプラズマ回転電極法などが適用できる。球状チタン粉末の粒径は、本発明方法により得られるチタン焼結体で構成される焼結チタンフィルターに必要とされる特性(空隙率、細孔径等)に応じて適宜選定すればよい。
【0026】
鉄製充填型内への球状チタン粉末の充填は、加圧せずに行う自然充填でよく、振動を付与しながら均一に充填してもよい。
【0027】
続いて、不活性雰囲気中で600〜1080℃で焼結する。
【0028】
前記の「不活性雰囲気」とは、アルゴン等の不活性ガス雰囲気、または真空を意味する。焼結時の雰囲気を不活性雰囲気とするのは、チタンの酸化を防止するためである。
【0029】
焼結温度は、600〜1080℃とすることが必要である。焼結温度が600℃未満では、チタン粒子の焼結が不十分なため焼結体の強度が不足し、1080℃を超えると、局部的に鉄とチタンの共晶点である1085℃を超える危険性があり、鉄型とチタン粉末との間で反応して所望の焼結体を得ることが難しくなる。望ましい焼結温度は、650〜1050℃である。焼結性向上のためには、650℃以上とするのが望ましく、温度分布の不均一性等を考慮すれば、1050℃以下に制御する方が、前記共晶点への温度上昇を確実に回避することができる。
【0030】
その後、前記鉄製充填型を溶解して除去する。溶解には、チタン焼結体を腐食せずに、鉄型のみを溶解する溶液を用いればよい。このような溶液の一例としては、10体積%の硝酸溶液があげられる。鉄製充填型の溶解除去(通常は、前記の硝酸溶液を用いるので、以下、「酸洗除去」ともいう)は、充填型を完全に溶解するまで行ってもよいが、完全に溶解せずにチタン焼結体から離脱する程度に止めてもよい。
【0031】
この(1)に記載のチタン焼結体の製造方法によれば、平板の焼結体のみならず、曲面または屈折面がある薄肉のチタン焼結体を安価に製造することができる。例えば、後述する実施例に示すように、内幅が4mm以下(実施例では、内幅が3mmの鉄型、および1mmの鉄型を使用)の鉄製充填型を用いて焼結し、厚さが4mm以下のチタン焼結体を製造する場合にも適用可能である。また、この方法は、特許文献2に記載の金属繊維を焼結する方法では均質化が困難であった高さ100mm以上の長尺薄型の円筒型チタン焼結体の製造に特に有効である。
【0032】
この方法において、球状チタン粉末の粒度の積算分布曲線における累積頻度10%の粒径をD10、同じく累積頻度50%の粒径をD50および同じく累積頻度90%の粒径をD90としたとき、D10、D50およびD90が下記▲1▼式を満たすものであれば、生産歩留まりが極めて高くなるので望ましい。この式は、後述する実施例の結果に基づき得られたもので、Xのさらに望ましい範囲は、X≦1.8である。
【0033】
X=(D90−D10)/D50≦2.0 ・・・▲1▼
また、この方法において、鉄製充填型の内幅Tおよび球状チタン粉末の粒度の積算分布曲線における累積頻度50%の粒径D50が、下記▲2▼式を満たすものであれば、やはり生産歩留まりが高く、望ましい。
【0034】
Y=T/D50≧12 ・・・▲2▼
上記の(2)に記載のチタン焼結体の製造方法は、前記(1)に記載のチタン焼結体を、再度、不活性雰囲気中で焼結する方法であって、球状チタン粉末を鉄製充填型内に充填して焼結する際の焼結温度tおよび前記の再度焼結する際の焼結温度tが下記▲3▼式を満たすチタン焼結体の製造方法である。
【0035】
<t ・・・▲3▼
球状チタン粉末の前記D50が100μm以下程度の小径粒子の場合は、この方法を適用する必要はないが、例えば、D50が100μmを超える粒度の球状チタン粉末を焼結するときは、1080℃以下での焼結では希望する機械的強度が得られないこともある。このような事態を回避するために、球状チタン粉末を鉄製充填型内に充填して1080℃以下の温度tで焼結(これを、「1回目の焼結」という)した後、充填型を酸洗除去し、その後にtより高温のtで再度焼結(これを、「2回目の焼結」という)するのである。
【0036】
この方法では、1回目の焼結によって軽度の焼結が行われ、充填型が無くても自立して焼結体の形状を保つことができ、2回目のより高温での焼結によって希望する機械的強度の焼結体を得ることができる。これにより、大粒径の球状チタン粉末を焼結する際に機械的強度が不足するという問題が解決できる。
【0037】
例えば、t=950℃、t=1200℃としたり、t=1000℃、t=1250℃とすればよく、これらの温度は、球状チタン粉末の粒度と求める焼結体の機械的強度や空隙率によって適宜選択すればよい。一般的には、t=1000〜1400℃とするのが望ましく、さらに望ましくは、t=1050〜1350℃である。tが低すぎると、十分な機械的強度が得られず、2回目の焼結をする意味が薄くなり、tが高すぎると、チタン粉末の焼結が進みすぎて空隙率が低下し、フィルターとして通常要求される空隙率を確保しにくくなるからである。
【0038】
は、先に述べたように、温度分布の不均一性等を考慮して1050℃以下で制御する方が望ましく、▲3▼式の条件を考慮すると、結局、t≦1050℃<t とするのが望ましい。
【0039】
上記(1)または(2)に記載の本発明のチタン焼結体は、素材がチタンまたはチタン合金なので、優れた耐食性を有している。また、球状のチタン粉末を充填型内に加圧することなく充填し、チタンの融点よりはるかに低い温度域で焼結するので、球状の粒子はその形状を保ったまま粒子同士の接触部でのみ結合が生じて固まり、焼結体の空隙率は焼結前のそれと変わらない。したがって、圧力損失は最小限に保持される。
【0040】
本発明のチタン焼結体は、焼結後、充填型を酸洗除去することによって得られ(ただし、(2)に記載の焼結体にあっては、再度焼結する)、その後の形状修正がほとんど不要なので、簡単な工程で容易に、かつ安価に製造することが可能である。
【0041】
【実施例】
側面部分の厚さ(前記図1の内幅W)が3mmの円筒型焼結体を作製するため、市販の厚さ1mmの鉄板を用いて、粉末充填部の外径(図1に示したr)が60mm、内径(同r)が54mm、高さ(同h)が250mmの鉄型を複数作製した。なお、鉄型は有底でも無底でもよいが、無底の場合は、粉末充填時から焼結完了まで鉄型の底面に鉄製やセラミック製の底板を配置すればよく、底板をアルミナ板等のセラミック板にすれば複数回使用可能である。本実施例においては、アルミナ板とした。
【0042】
粒度の積算分布曲線における累積頻度50%の粒径D50が79±1μmで、積算分布曲線がそれぞれ異なる5種類の球状チタン粉末を、ガスアトマイズ法により製造したチタン粉末を粒度調整することにより用意し、これら粉末を前記のそれぞれの鉄型に自然充填して、アルゴンガス雰囲気中で1000℃、1時間の条件で焼結した。その後、得られた焼結体を鉄型とともに10%硝酸溶液中で酸洗して鉄型を除去した。
【0043】
表1に、使用したチタン粉末の粒度の積算分布曲線における累積頻度90%の粒径D90、同じく累積頻度50%の粒径D50および同じく累積頻度10%の粒径D10と、前記▲1▼式から求めたXの値、ならびに歩留まりを示す。「歩留まり」は、目視検査で焼結体表面に穴や不均一部分が無かったものを合格としたときの合格品の比率である。なお、比較のために、水素化脱水素法により製造したチタン粉末(HDH粉末)についても同じ条件で焼結し、同様の調査を行った。
【0044】
【表1】
Figure 2004149842
【0045】
表1から明らかなように、実施例1〜7で得られた円筒型焼結体の歩留まりは、良好であった。また、ガスアトマイズ法により製造した球状のチタン粉末を使用しているので、気孔が均一に分散しており、自然充填して焼結したものであるため十分な空隙率と均一な細孔径を有し、フィルターとして十分な強度を有するものであった。また、実施例1〜5の焼結体は、前記の▲1▼式から求めたXの値が1.8以下で、Xが2を超える実施例6および7に比べて歩留まりが極めて高かった。これは、Xの値が大きく、粒度分布が広がりすぎると、粒径が大きく異なる粒子が混在するために、充填型の狭い隙間に均一に流れ込むだけの十分な流動性が確保されにくくなるためであると考えられる。
【0046】
これに対して、HDH粉末を用い、D50とXを前記の実施例2の場合と同程度に粒度調整した比較例1で得られた焼結体は、目視検査で穴や不均一な部分が発見され、全て不合格であった。さらに、比較例1で得られた焼結体は、不定型な破砕粉末を用いているので、自然充填では十分な強度の焼結体を得ることができず、焼結体は軽いショックで破壊するほど脆かった。
【0047】
次に、側面部分の厚さが1mmの極薄の円筒型焼結体を作製するため、市販の厚さ1mmの鉄板を用いて、粉末充填部の外径(図1に示したr)が60mm、内径(同r)が58mm、高さ(同h)が250mmの鉄型を複数作製した。
【0048】
粒度の積算分布曲線における前記▲1▼式から求めたXの値が1.04±0.01で、累積頻度50%の粒径D50が大きく異なる3種類の球状チタン粉末を、ガスアトマイズ法により製造した球状のチタン粉末を粒度調整することにより用意し、これら粉末を前記のそれぞれの鉄型に自然充填して、アルゴンガス雰囲気中で1000℃、1時間の条件で焼結した。その後、得られた焼結体を鉄型とともに10%硝酸溶液中で酸洗して鉄型を除去した。
【0049】
表2に、使用したチタン粉末の粒度の積算分布曲線における前記Xの値、累積頻度50%の粒径D50および前記▲2▼式から求めたYの値、ならびに歩留まりを示す。
【0050】
【表2】
Figure 2004149842
【0051】
表2に示したように、実施例8〜10で得られた円筒型焼結体は歩留まりが高く、また、球状のチタン粉末を使用しているので、気孔が均一に分散しており、したがって、圧力損失も小さく、フィルターとして問題のないものであった。また、実施例9および10の焼結体は、前記の▲2▼式から求めたYの値が12以上で、歩留まりが極めて高かった。これは、焼結体の側面部分の厚さに対して粒径(D50)が十分小さい場合は特に問題ないが、実施例8の場合のように、十分小さくはない場合は、球状粉末の流動性がいかに高いといっても、狭い隙間に流れ込むときの流れ込み不良に伴う不均一箇所が発生する可能性が高くなることによるものと考えられる。
【0052】
また、適正な焼結温度を調べるために、前記の実施例3で得られた焼結体において、焼結温度のみを550〜1100℃の範囲内で種々変更して焼結試験を行った。その結果、焼結温度が600〜1080℃の範囲内であれば特に問題はなかったが、1100℃では鉄型とチタン粉末が反応してしまい、得られた焼結体は鉄型の形状を保つことができなかった。一方、焼結温度が550℃では、チタン粒子同士の結合が不十分なため、脆く、フィルターとして使用するには強度不足であった。
【0053】
【発明の効果】
本発明のチタン焼結体の製造方法によれば、流体通過時の圧力損失が小さく、耐食性に優れ、特に円筒型チタンフィルター用等に好適な薄肉のチタン焼結体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】円筒型のチタン焼結体を製造するための鉄製充填型の一例の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
1:隙間部分
W:内幅

Claims (5)

  1. 球状チタン粉末を鉄製充填型内に充填し、不活性雰囲気中で600〜1080℃で焼結した後、前記鉄製充填型を溶解して除去することを特徴とするチタン焼結体の製造方法。
  2. 鉄製充填型の内幅が4mm以下であることを特徴とする請求項1に記載のチタン焼結体の製造方法。
  3. 球状チタン粉末の粒度の積算分布曲線における累積頻度10%の粒径D10、累積頻度50%の粒径D50および累積頻度90%の粒径D90が、下記▲1▼式を満たすことを特徴とする請求項2に記載のチタン焼結体の製造方法。
    X=(D90−D10)/D50≦2.0 ・・・▲1▼
  4. 鉄製充填型の内幅Tおよび球状チタン粉末の粒度の積算分布曲線における累積頻度50%の粒径D50が、下記▲2▼式を満たすことを特徴とする請求項2に記載のチタン焼結体の製造方法。
    Y=T/D50≧12 ・・・▲2▼
  5. 請求項1に記載のチタン焼結体を、再度、不活性雰囲気中で焼結するチタン焼結体の製造方法であって、球状チタン粉末を鉄製充填型内に充填して焼結する際の焼結温度tおよび前記の再度焼結する際の焼結温度tが下記▲3▼式を満たすことを特徴とするチタン焼結体の製造方法。
    <t ・・・▲3▼
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