JP2020026561A - 多孔質チタン焼結板の製造方法 - Google Patents

多孔質チタン焼結板の製造方法 Download PDF

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恭彦 後藤
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Abstract

【解決課題】チタン系粉を、乾式且つ実質的に無加圧で成形し、焼結させることにより板状の多孔質チタン焼結体を得る多孔質チタン焼結板の製造方法であって、製造効率が高い多孔質チタン焼結板の製造方法を提供すること。【解決手段】蓋体と、一端部が開口している成形空間が、多孔質チタン焼結板の厚み方向に複数並んで形成されているチタン系粉充填容器と、を有し、該成形空間内の空気を吸引するための真空引き経路が形成されている多孔質チタン焼結板の成形型を用意し、該チタン系粉充填容器に、乾式でチタン系粉を充填する操作(A1)と、該蓋体で、該チタン系粉充填容器の該成形空間の開口を塞ぐ操作(A2)と、該チタン系粉が充填されている該多孔質チタン焼結板の成形型を、焼結用の炉に設置する操作(A3)と、真空引き操作(A4)と、焼結工程(A5)と、を有すること、を特徴とする多孔質チタン焼結板の製造方法。【選択図】図6

Description

本発明は、一度に複数の板状の多孔質チタン焼結体を製造することができる多孔質チタン焼結板の製造方法に関する。
チタンを焼結させて得られる多孔質チタン焼結体は、高温融体等のフィルターとして古くから用いられているが、近年、ニッケル水素電池やリチウム電池用電極板の基材、生体材料、触媒基材、燃料電池の部材等の用途においても脚光を浴びており、開発が進められている。
このような多孔質チタン焼結体の製造方法としては、例えば、特許文献1には、チタン繊維を焼結させることにより、高い空隙率を有する多孔質チタン焼結体を製造する方法が開示されている。
また、例えば、特許文献2には、チタン又はチタン合金のガスアトマイズ法による球状粉粒体を焼結させることにより、空隙率が35〜55%の焼結体を製造する方法が開示されている。
また、特許文献3には、目開き150μm篩網通過品(平均粒径90μm)の原料チタン系粉を溶融シリカ板上に積層し、900〜1000℃、真空雰囲気下で焼結させることにより、空隙率65%の多孔質チタン焼結体を製造する方法が開示されている。
特開2012−172179号公報 特開2002−66229号公報 特開2007−262570号公報
板状の多孔質チタン焼結体を製造するためには、例えば、図8に示すような板状の多孔質チタン焼結体の成形空間31が内側に形成されている成形型30を用意し、成形空間31にチタン系粉を乾式且つ無加圧で充填し、チタン系粉の上面を擦切りして、チタン系粉を成形し、次いで、焼結用の炉に、チタン系粉が充填されている成形型を設置し、炉内を真空にした後、炉内を加熱してチタン系粉を焼結させることにより、板状の多孔質チタン焼結体を製造する方法が挙げられる。
しかし、図8に示す成形型30を用いる方法では、一度に多量の多孔質焼結体を製造し難いこと、チタン系粉の充填作業に時間を要すること等により、製造効率が悪いという問題があった。
従って、本発明の目的は、チタン系粉を乾式で成形し、焼結させることにより板状の多孔質チタン焼結体を得る多孔質チタン焼結板の製造方法であって、製造効率が高い多孔質チタン焼結板の製造方法を提供することにある。
上記課題は、以下に示す本発明により解決される。
すなわち、本発明(1)は、金属チタンに対して不活性な材料からなり、一端部が開口している成形空間が、多孔質チタン焼結板の厚み方向に複数並んで形成されているチタン系粉充填容器と、金属チタンに対して不活性な材料からなる蓋体と、を有し、該成形空間内の空気を吸引するための真空引き経路が形成されている多孔質チタン焼結板の成形型を用意し、該チタン系粉充填容器に、乾式でチタン系粉を充填する操作(A1)と、
該蓋体で、該チタン系粉充填容器の該成形空間の開口を塞ぐ操作(A2)と、
該チタン系粉が充填されている該多孔質チタン焼結板の成形型を、焼結用の炉に設置する操作(A3)と、
該炉内の圧力が1.0×10-2Pa以下となるまで、該炉内を減圧することにより、該成形型の真空引き経路を経て該成形空間内の空気を吸引する操作(A4)と、
該炉内を加熱して、該チタン系粉を焼結させることにより、多孔質チタン焼結板を得る焼結工程(A5)と、
を有すること、
を特徴とする多孔質チタン焼結板の製造方法を提供するものである。
また、本発明(2)は、前記操作(A2)を行った後、前記操作(A3)を行う前に、前記多孔質チタン焼結板の成形型を回転させるか、又は前記多孔質チタン焼結板の成形型に振動を与えることを特徴とする(1)の多孔質チタン焼結板の製造方法を提供するものである。
また、本発明(3)は、金属チタンに対して不活性な材料からなり、一端部が開口している成形空間が、多孔質チタン焼結板の厚み方向に複数並んで形成されているチタン系粉充填容器と、金属チタンに対して不活性な材料からなる蓋体と、を有し、該成形空間内の空気を吸引するための真空引き経路が形成されている多孔質チタン焼結板の成形型を用意し、該チタン系粉充填容器に、乾式でチタン系粉を充填する操作(B1)と、
該蓋体で、該チタン系粉充填容器の該成形空間の開口を塞ぐ操作(B2)と、
該チタン系粉が充填されている該多孔質チタン焼結板の成形型を、焼結用の炉に設置する操作(B3)と、
該成形型の真空引き経路から、該成形空間内の圧力が1.0×10-2Pa以下となるまで、該成形空間内を減圧する操作(B4)と、
該炉内を加熱して、該チタン系粉を焼結させることにより、多孔質チタン焼結板を得る焼結工程(B5)と、
を有すること、
を特徴とする多孔質チタン焼結板の製造方法を提供するものである。
また、本発明(4)は、前記操作(B2)を行った後、前記操作(B3)を行う前に、前記多孔質チタン焼結板の成形型を回転させるか、又は前記多孔質チタン焼結板の成形型に振動を与えることを特徴とする(3)の多孔質チタン焼結板の製造方法を提供するものである。
また、本発明(5)は、前記金属チタンに対して不活性な材料が、ジルコニア、石英、アルミナ、ボロンナイトライド、カルシア、グラファイト、カーボン、コージェント、酸化インジウム、シリカ、マグネシア、ジルコニア、スピネル、炭化ケイ素、窒化アルミニウム及びムライトからなる群から選ばれる1種又は2種以上の組み合わせであることを特徴とする(1)〜(4)いずれかの多孔質チタン焼結板の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、チタン系粉を、乾式で成形し、焼結させることにより板状の多孔質チタン焼結体を得る多孔質チタン焼結板の製造方法であって、製造効率が高い多孔質チタン焼結板の製造方法を提供することができる。
本発明に係る多孔質チタン焼結板の成形型のチタン充填容器の形態例の模式的な斜視図である。 図1のチタン充填容器の平面図である。 図1のチタン充填容器の正面図である。 多孔質チタン焼結板の成形型の蓋体の形態例の模式的な斜視図である。 図1及び図4に示す成形型にチタン系粉を充填する操作及び蓋体でチタン系粉充填容器の開口を塞ぐ操作を示す模式的な斜視図である。 図1及び図4に示す成形型にチタン系粉を充填する操作及び蓋体でチタン系粉充填容器の開口を塞ぐ操作を示す模式的な斜視図である。 本発明の第一の形態の多孔質チタン焼結板の製造方法を行い得られる多孔質チタン焼結板の形態例の模式的な斜視図である。 板状の多孔質チタン焼結体を製造する例である。
本発明の第一の形態の多孔質チタン焼結板の製造方法は、金属チタンに対して不活性な材料からなり、一端部が開口している成形空間が、多孔質チタン焼結板の厚み方向に複数並んで形成されているチタン系粉充填容器と、金属チタンに対して不活性な材料からなる蓋体と、を有し、該成形空間内の空気を吸引するための真空引き経路が形成されている多孔質チタン焼結板の成形型を用意し、該チタン系粉充填容器に、乾式でチタン系粉を充填する操作(A1)と、
該蓋体で、該チタン系粉充填容器の該成形空間の開口を塞ぐ操作(A2)と、
該チタン系粉が充填されている該多孔質チタン焼結板の成形型を、焼結用の炉に設置する操作(A3)と、
該炉内の圧力が1.0×10-2Pa以下となるまで、該炉内を減圧することにより、該成形型の真空引き経路を経て該成形空間内の空気を吸引する操作(A4)と、
該炉内を加熱して、該チタン系粉を焼結させることにより、多孔質チタン焼結板を得る焼結工程(A5)と、
を有すること、
を特徴とする多孔質チタン焼結板の製造方法である。
本発明の第一の形態の多孔質チタン焼結板の製造方法について、図1〜図7を参照して説明する。図1は、本発明に係る多孔質チタン焼結板の成形型のチタン系粉充填容器の形態例の模式的な斜視図である。図2は、図1のチタン系粉充填容器の平面図である。図3は、図1のチタン系粉充填容器の正面図である。図4は、多孔質チタン焼結板の成形型の蓋体の形態例の模式的な斜視図である。図5及び図6は、図1及び図4に示す成形型にチタン系粉を充填する操作及び蓋体でチタン系粉充填容器の開口を塞ぐ操作を示す模式的な斜視図である。図7は、本発明の第一の形態の多孔質チタン焼結板の製造方法を行い得られる多孔質チタン焼結板の形態例の模式的な斜視図である。なお、図1では、成形空間を点線で示した。図5では、成形空間を点線で示し、また、成形空間に充填されているチタン系粉の充填領域を点描で示した。
図1〜図3中、チタン系粉充填容器10は、多孔質チタン焼結板の成形型のうち、チタン系粉が充填される部材であり、例えば、ジルコニアにより形成されている。チタン系粉充填容器10には、チタン系粉が充填される空間であり、焼結の際の多孔質チタン焼結板の型となる成形空間1a、1b、1c、1dが形成されている。成形空間1a、1b、1c、1dは、その端部である上側に開口2a、2b、2c、2dを有する。つまり、成形空間1a、1b、1c、1dは、上側に開口している。また、チタン系粉充填容器10には、チタン系粉充填容器10と蓋体11をボルト5で締結して固定するためのボルト螺合用雌ネジ3が埋め込まれている。そして、チタン系粉充填容器10では、成形空間1a、1b、1c、1dが、焼結後の多孔質チタン焼結板の厚み方向6(図2中、符号6)に、並んで形成されている。言い換えると、チタン系粉充填容器10では、成形空間1a、1b、1c、1dが、焼結後の多孔質チタン焼結板の板面が隣の多孔質チタン焼結板の板面と平行になり、且つ、各多孔質チタン焼結板の板面が鉛直方向に延びる向きに、並んで形成されている。
図4中、蓋体11は、多孔質チタン焼結板の成形型のうち、チタン系粉充填容器10の成形空間1a、1b、1c、1dの開口2a、2b、2c、2dを塞ぐための部材であり、例えば、ジルコニアにより形成されている。蓋体11には、ボルト5が貫通するための貫通孔4が形成されている。
そして、チタン系粉充填容器10及び蓋体11が、チタン系粉の成形を行い、中でチタン系粉を焼結させて多孔質チタン焼結板を得るための成形型である。
図5及び図6に示すように、先ず、チタン系粉充填容器10の成形空間1a、1b、1c、1dのそれぞれに、チタン系粉7を、乾式で充填する。次いで、蓋体11でチタン系粉充填容器10の上を覆い、開口2a、2b、2c、2dを塞ぎ、ボルト5を蓋体11の貫通孔4を通し、ボルト螺合用雌ネジ3に締結させて、チタン系粉充填容器10の上側に蓋体11の下面を押し付け、成形空間1a、1b、1c、1dの開口2a、2b、2c、2dを塞ぐ。次いで、チタン系粉7が充填されている多孔質チタン焼結板の成形型12を、焼結用の炉内に設置する。次いで、炉内の圧力が所定の圧力となるまで、炉内の空気を吸引する。このとき、多孔質チタン焼結体の成形型12に形成されている真空引き経路(図示しない。)を経て、成形空間1a、1b、1c、1d内が減圧され、成形空間1a、1b、1c、1d内の圧力が所定の圧力となる。好ましくは炉内の圧力を1.0×10-2Pa以下の圧力まで減圧した後、炉内を加熱して、チタン系粉を焼結させて、図7に示す多孔質チタン焼結板13を得る。なお、図7中、符号6で示す方向が、多孔質チタン焼結体の厚み方向であり、また、符号8a、8bが、多孔質チタン焼結体の板面である。
本発明の第一の形態の多孔質チタン焼結板の製造方法は、操作(A1)と、操作(A2)と、操作(A3)と、操作(A4)と、焼成工程(A5)と、有する。以下、操作(A4)を、真空引き操作とも記載する。
操作(A1)は、多孔質チタン焼結板の成形型を用意し、チタン系粉充填容器に、乾式でチタン系粉を充填する操作である。
操作(A1)に係る多孔質チタン焼結板の成形型は、金属チタンに対して不活性な材料からなるチタン系粉充填容器と、金属チタンに対して不活性な材料からなる蓋体と、を有する。多孔質チタン焼結板の成形型は、チタン系粉の成形を行い、中でチタン系粉を焼結させて多孔質チタン焼結板を得るための成形型である。
操作(A1)に係るチタン系粉充填容器及び蓋体の材質は、金属チタンに対して不活性な材料であれば、特に制限されず、例えば、ジルコニア、石英、アルミナ、ボロンナイトライド、カルシア、グラファイト、カーボン、コージェント、酸化インジウム、シリカ、マグネシア、ジルコニア、スピネル、炭化ケイ素、窒化アルミニウム及びムライトからなる群から選ばれる1種又は2種以上の組み合わせが挙げられる。
なお、操作(A1)に係るチタン系粉充填容器及び蓋体の形成材料に関し、材料が上記材質から選ばれる1種の材質であるとは、チタン系粉充填容器又は蓋体が、上記材質のうちの1種のみの材料で形成されていることを指す。また、材料が上記材質から選ばれる2種以上の組み合わせであるとは、チタン系粉充填容器又は蓋体が、上記材質のうちの2種以上の材料で形成されていることを指し、例えば、内側のカーボン材と外側のセラミック材とを張り合わせた複合材料で形成されている場合、チタン系粉充填容器がカーボン材で形成されており且つ蓋体がセラミック材で形成されている場合等が挙げられる。また、以下に述べる操作(B1)に係るチタン系粉充填容器及び蓋体の形成材料についても同様である。
操作(A1)に係るチタン系粉充填容器は、チタン系粉が充填される部材であり、多孔質チタン焼結板の成形枠となる。チタン系粉充填容器には、チタン系粉が充填される空間であり、焼結の際の多孔質チタン焼結板の型となる成形空間が複数形成されている。チタン系粉充填容器において、成形空間は、一端部に開口を有する。つまり、成形空間は、例えば、上側に開口している。成形空間の開口が、チタン系粉の供給口である。
操作(A1)に係るチタン系粉充填容器では、複数の成形空間が形成されている。より具体的には、操作(A1)に係るチタン系粉充填容器では、成形空間が、焼結後の多孔質チタン焼結板の厚み方向に、並んで形成されている。言い換えると、焼結後の多孔質チタン焼結板の板面が隣の多孔質チタン焼結板の板面と平行になり、且つ、各多孔質チタン焼結板の板面が厚み方向に対し垂直に延びる向きに、並んで形成されている。また、成形空間の形状は、製造する多孔質チタン焼結板の形状により、適宜選択される。チタン系粉充填容器に形成されている成形空間の数は、焼結用の炉の大きさ、多孔質チタン焼結板の厚み、使用する成形型の材質等により、適宜選択される。
操作(A1)に係る蓋体は、チタン系粉充填容器の成形空間の開口を塞ぐための部材である。蓋体の形状は、チタン系粉充填容器の形状により、適宜選択される。
操作(A1)に係る成形型には、成形空間内の空気を吸引するための真空引き経路が形成されている。真空引き経路は、真空引きの際に、成形空間内の空気が、成形型の外に吸引されるときの経路となるものであれば、特に制限されない。例えば、成形空間に対応する位置に形成されている蓋体の貫通孔、成形空間に対応する位置に蓋体を貫通して挿通されている挿通管等が挙げられる。
操作(A1)に係る成形型には、チタン系粉充填容器と蓋体を固定するための固定手段が付設されている。固定手段としては、特に制限されず、例えば、ボルト、蓋体に形成されるボルトの挿通用の貫通孔、及びチタン系粉充填容器に埋め込まれているボルト締結用の雌ネジが挙げられる。他には、固定手段としては、嵌め込み式(組立式)の形状が挙げられる。
そして、操作(A1)では、チタン系粉充填容器へのチタン系粉の充填を乾式で行う。また、操作(A1)では、例えば、チタン系粉充填容器へのチタン系粉の充填を乾式且つ実質的に無加圧で行うことができる。チタン系粉充填容器へのチタン系粉の充填を乾式且つ実質的に無加圧で行うことにより、チタン粒子同士が自然な状態でブリッジし、高い空隙率を持つ焼結体が得られる。また、操作(A1)では、例えば、チタン系粉充填容器へのチタン系粉の充填を乾式で行い且つ加圧しながら充填すること又は充填後に加圧することができる。
なお、操作(A1)において、実質的に無加圧とは、チタン系粉をチタン系粉充填容器に充填するときに、チタン系粉の自重によってチタン系粉にかかる力や、チタン系粉をチタン系粉充填容器に充填した後、チタン系粉充填容器の端部より外にあふれて存在するチタン系粉を擦切るときに、チタン系粉充填容器内のチタン系粉の端面にかかる力を除き、チタン系粉充填容器内のチタン系粉の端面に対して意図的に加える力の圧力が、2.7×10-3MPa以下であることを指す。また、チタン系粉充填容器内のチタン系粉の端面にかかる圧力とは、チタン系粉充填容器のチタン系粉の充填部分の端面の全体にかかる力を、充填部分の端面の面積で除した値である。また、本発明において、乾式とは、意図的に水や有機溶剤を使用しないことを指す。また、例えば、図5に示すように、チタン系粉を成形空間に充填する際に、チタン系粉充填容器の端部までは充填しない場合は、すなわち、各成形空間の一部にチタン系粉を充填し、各成形空間にチタン系粉が充填されていない空間を残しておく場合は、チタン系粉の自重による力のみがチタン系粉にかかるので、この場合は、実質的に無加圧である。
操作(A1)に係るチタン系粉とは、チタン系粉、窒化チタンやチタンシリサイドでコーティングされたチタン系粉、チタン合金粉、あるいはこれらを組み合わせた複合材料である。操作(A1)においてチタン系粉としては、金属チタンと不可避不純物からなるチタン系粉、金属チタンと合金金属と不可避不純物からなるチタン合金粉等が挙げられる。
チタン系粉としては、特に制限されない。チタン系粉の製造過程は特に制限されず、水素化チタン系粉、水素化脱水素チタン系粉、アトマイズ粉、PREP粉、クロール法やハンター法で製造されるチタン系粉等が挙げられる。これらのうち、チタン系粉としては、水素化チタン系粉、水素化脱水素チタン系粉、アトマイズ粉が好ましく、水素化脱水素チタン系粉、アトマイズ粉が特に好ましい。水素化チタン系粉は、原料であるチタンを高温、水素雰囲気で水素吸引させ脆化させ粉砕することにより得られるチタン系粉であり、例えば、特開平10−195504号公報、特開2013−91588号公報、特開2002−47501号公報等に開示されているものが挙げられる。また、水素化脱水素チタン系粉は、水素化チタン系粉を高温・減圧雰囲気で加熱することですることにより得られるチタン系粉であり、例えば、特開平5−163508号公報、特開平7−34104号公報、特開5−125409号公報等に開示されているものが挙げられる。アトマイズ粉は、アトマイズ法により得られるチタン系粉であり、チタン原料を棒状原料に成形し、不活性ガス雰囲気等で非接触により溶解し、ガスを吹き付け粉末化することにより得られるチタン系粉であり、例えば、特開2007−308755号公報、特開2017−193763号公報等に開示されているものが挙げられる。
チタン合金粉としては、例えば、チタンとFe、Sn、Cr、Al、V、Mn、Zr、Mo等の金属(合金金属)との合金の粉が挙げられる。チタン合金は、チタンとFe、Sn、Cr、Al、V、Mn、Zr、Mo等の金属(合金金属)との合金であり、具体的には、Ti−6−4(Ti−6Al−4V)、Ti−5Al−2.5Sn、Ti−8−1−1(Ti−8Al−1Mo−1V)、Ti−6−2−4−2(Ti−6Al−2Sn−4Zr−2Mo−0.1Si)、Ti−6−6−2(Ti−6Al−6V−2Sn−0.7Fe−0.7Cu)、Ti−6−2−4−6(Ti−6Al−2Sn−4Zr−6Mo)、SP700(Ti−4.5Al−3V−2Fe−2Mo)、Ti−17(Ti−5Al−2Sn−2Zr−4Mo−4Cr)、β−CEZ(Ti−5Al−2Sn−4Zr−4Mo−2Cr−1Fe)、TIMETAL555、Ti−5553(Ti−5Al−5Mo−5V−3Cr−0.5Fe)、TIMETAL21S(Ti−15Mo−2.7Nb−3Al−0.2Si)、TIMETAL LCB(Ti−4.5Fe−6.8Mo−1.5Al)、10−2−3(Ti−10V−2Fe−3Al)、Beta C(Ti−3Al−8V−6Cr−4Mo−4Cr)、Ti−8823(Ti−8Mo−8V−2Fe−3Al)、15−3(Ti−15V−3Cr−3Al−3Sn)、BetaIII(Ti−11.5Mo−6Zr−4.5Sn)、Ti−13V−11Cr−3Al等が挙げられる。なお、上記において、各合金金属の前に付されている数字は、含有量(質量%)を指す。例えば、「Ti−6Al−4V」とは、合金金属としては、6質量%のAlと4質量%のVとを含有するチタン合金を指す。
操作(A1)に係るチタン系粉の粒径は、特に制限されないが、10〜250μmが好ましく、10〜150μmが特に好ましい。
操作(A1)において、チタン系粉充填容器へのチタン系粉の充填量は、特に制限されない。チタン系粉充填容器へのチタン系粉の充填量としては、操作(A2)を行った後に、チタン系粉が充填されているチタン系粉充填容器を回転させることにより、チタン系粉の撹拌を行う場合には、チタン系粉充填容器に充填されているチタン系粉の端面から蓋体までの間に、チタン系粉の十分な撹拌が起こる程度の空間が残る充填量が好ましい。
操作(A2)は、蓋体で、チタン系粉充填容器の成形空間の開口を塞ぐ操作である。操作(A2)では、蓋体でチタン系粉充填容器の一端部を覆い、固定手段により、チタン系粉充填容器の一端部に、成形空間の開口側の蓋体の面を押し付けて、成形空間の開口を塞ぐ。
操作(A2)を行った後、操作(A3)を行う前に、必要に応じて、チタン系粉が充填されている多孔質チタン焼結板の成形型を回転させるか、又は多孔質チタン焼結板の成形型に振動を与えることが好ましい。成形型内にチタン系粉を乾式且つ実質的に無加圧で充填するときに、粒径が小さいチタン系粉ほど下に、粒径が大きいチタン系粉ほど上に、充填され易いので、チタン系粉が充填されている多孔質チタン焼結板の成形型を回転させるか、又は多孔質チタン焼結板の成形型に振動を与えることで、成形空間内のチタン系粉を撹拌することにより、成形空間内でのチタン系粉の粒径の片寄りを少なくすることができる。
操作(A3)は、チタン系粉が充填されている多孔質チタン焼結板の成形型を、焼結用の炉に設置する操作である。操作(A3)に係る焼結用の炉としては、炉内を減圧し、減圧状態を保ったまま炉内を加熱することができるものであれば、特に制限されない。
操作(A4)は、炉内の圧力が1.0×10-2Pa以下、好ましくは6.0×10-3Pa以下、さらに好ましくは3.0×10-3Pa以下となるまで、炉内を減圧する操作である。そして、炉内を減圧することにより、多孔質チタン焼結体の成形型に形成されている真空引き経路を経て、成形空間内の気体が吸引され、成形空間内の圧力が、炉内の圧力と同程度になる。炉内の圧力を上記範囲とすることにより、チタン系粉が晒される雰囲気中の酸素、窒素、炭素等濃度を極めて低くすることができる。これにより、例えば酸素量過多に基づく多孔質チタン焼結板の脆化を抑制できる。
焼結工程(A5)は、炉内を加熱することにより、チタン系粉を焼結させる工程である。炉内の加熱温度、すなわち、チタン系粉の焼結温度は、適宜選択される。通常、チタン系粉の焼結温度は、800〜1000℃の温度範囲で選択される。また、チタン系粉の焼結時間は、適宜選択される。そして、焼結工程(A5)を行うことにより、多孔質チタン焼結板を得る。
本発明の第二の形態の多孔質チタン焼結板の製造方法は、金属チタンに対して不活性な材料からなり、一端部が開口している成形空間が、多孔質チタン焼結板の厚み方向に複数並んで形成されているチタン系粉充填容器と、金属チタンに対して不活性な材料からなる蓋体と、を有し、該成形空間内の空気を吸引するための真空引き経路が形成されている多孔質チタン焼結板の成形型を用意し、該チタン系粉充填容器に、乾式でチタン系粉を充填する操作(B1)と、
該蓋体で、該チタン系粉充填容器の該成形空間の開口を塞ぐ操作(B2)と、
該チタン系粉が充填されている該多孔質チタン焼結板の成形型を、焼結用の炉に設置する操作(B3)と、
該成形型の真空引き経路から、該成形空間内の圧力が1.0×10-2Pa以下となるまで、該成形空間内を減圧する操作(B4)と、
該炉内を加熱して、該チタン系粉を焼結させることにより、多孔質チタン焼結板を得る焼結工程(B5)と、
を有すること、
を特徴とする多孔質チタン焼結板の製造方法である。
本発明の第二の形態の多孔質チタン焼結板の製造方法は、操作(B1)と、操作(B2)と、操作(B3)と、操作(B4)と、焼成工程(B5)と、有する。以下、操作(B4)を、真空引き操作とも記載する。
操作(B1)は、多孔質チタン焼結板の成形型を用意し、チタン系粉充填容器に、乾式でチタン系粉を充填する操作である。
操作(B1)に係る多孔質チタン焼結板の成形型は、金属チタンに対して不活性な材料からなるチタン系粉充填容器と、金属チタンに対して不活性な材料からなる蓋体と、を有する。多孔質チタン焼結板の成形型は、チタン系粉の成形を行い、中でチタン系粉を焼結させて多孔質チタン焼結板を得るための成形型である。
操作(B1)に係るチタン系粉充填容器及び蓋体の材質は、金属チタンに対して不活性な材料であれば特に制限されず、例えば、ジルコニア、石英、アルミナ、ボロンナイトライド、カルシア、グラファイト、カーボン、コージェント、酸化インジウム、シリカ、マグネシア、ジルコニア、スピネル、炭化ケイ素、窒化アルミニウム及びムライトからなる群から選ばれる1種又は2種以上の組み合わせが挙げられる。
操作(B1)に係るチタン系粉充填容器は、チタン系粉が充填される部材であり、多孔質チタン焼結板の成形枠となる。チタン系粉充填容器には、チタン系粉が充填される空間であり、焼結の際の多孔質チタン焼結板の型となる成形空間が複数形成されているチタン系粉充填容器において、成形空間は、一端部に開口を有する。つまり、成形空間は、例えば、上側に開口している。成形空間の開口が、チタン系粉の供給口である。
操作(B1)に係るチタン系粉充填容器では、複数の成形空間が形成されている。より具体的には、操作(B1)に係るチタン系粉充填容器では、成形空間が、焼結後の多孔質チタン焼結板の厚み方向に、並んで形成されている。言い換えると、焼結後の多孔質チタン焼結板の板面が隣の多孔質チタン焼結板の板面と平行になり、且つ、各多孔質チタン焼結板の板面が厚み方向に対し垂直に延びる向きに、並んで形成されている。また、成形空間の形状は、製造する多孔質チタン焼結板の形状により、適宜選択される。チタン系粉充填容器に形成させる成形空間の数は、焼結用の炉の大きさ、多孔質チタン焼結板の厚み、成形体の材質等により、適宜選択される。
操作(B1)に係る蓋体は、チタン系粉充填容器の成形空間の開口を塞ぐための部材である。蓋体の形状は、チタン充系粉填容器の形状により、適宜選択される。
操作(B1)に係る成形型には、成形空間内を減圧するための真空引き経路が形成されている。真空引き経路は、真空引きの際に、成形空間内の気体が、成形型の外に吸引されるときの経路となるものであれば、特に制限されない。例えば、成形空間に対応する位置に形成されている蓋体の貫通孔、成形空間に対応する位置に蓋体を貫通して挿通されている挿通管等が挙げられる。また、成形型の真空引き経路には、成形型の真空引き経路と炉外に設置されている真空引き装置とを繋ぐ真空経路連結管の一端が取付可能である。
操作(B1)に係る成形型には、チタン系粉充填容器と蓋体を固定するための固定手段が付設されている。固定手段としては、特に制限されず、例えば、ボルト、蓋体に形成されるボルトの挿通用の貫通孔、及びチタン充填容器に埋め込まれているボルト締結用の雌ネジが挙げられる。他には、固定手段としては、充填容器と蓋体をはめ込み式にすることが挙げられる。
そして、操作(B1)では、チタン系粉充填容器へのチタン系粉の充填を乾式で行う。また、操作(B1)では、例えば、チタン系粉充填容器へのチタン系粉の充填を乾式且つ実質的に無加圧で行うことができる。チタン系粉充填容器へのチタン系粉の充填を乾式且つ実質的に無加圧で行うことにより、チタン粒子同士が自然な状態でブリッジし、高い空隙率を持つ焼結体が得られる。また、操作(B1)では、例えば、チタン系粉充填容器へのチタン系粉の充填を乾式で行い且つ加圧しながら充填すること又は充填後に加圧することができる。
なお、操作(B1)において、実質的に無加圧とは、チタン系粉をチタン系粉充填容器に充填するときに、チタン系粉の自重によってチタン系粉にかかる力や、チタン系粉をチタン系粉充填容器に充填した後、チタン系粉充填容器の端部より外にあふれて存在するチタン系粉を擦切るときに、チタン系粉充填容器内のチタン系粉の端面にかかる力を除き、チタン系粉充填容器内のチタン系粉の端面に対して意図的に加える力の圧力が、2.7×10-3MPa以下であることを指す。また、チタン系粉充填容器内のチタン系粉の端面にかかる圧力とは、チタン系粉充填容器のチタン系粉の充填部分の端面の全体にかかる力を、充填部分の端面の面積で除した値である。また、本発明において、乾式とは、意図的に水や有機溶剤を使用しないことを指す。また、例えば、図5に示すように、チタン系粉を成形空間に充填する際に、チタン系粉充填容器の端部までは充填しない場合は、すなわち、各成形空間の一部にチタン系粉を充填し、各成形空間にチタン系粉が充填されていない空間を残しておく場合は、チタン系粉の自重による力のみがチタン系粉にかかるので、この場合は、実質的に無加圧である。
操作(B1)に係るチタン系粉としては、特に制限されない。操作(B1)に係るチタン系粉は、上記操作(A1)に係るチタン系粉と同様である。
操作(B1)に係るチタン系粉の粒径は、特に制限されないが、10〜250μmが好ましく、10〜150μmが特に好ましい。
操作(B1)において、チタン系粉充填容器へのチタン系粉の充填量は、特に制限されない。チタン系粉充填容器へのチタン系粉の充填量としては、操作(B2)を行った後に、チタン系粉が充填されているチタン系粉充填容器を回転させることにより、チタン系粉の撹拌を行う場合には、チタン系粉充填容器に充填されているチタン系粉の端面から蓋体までの間に、チタン系粉の十分な撹拌が起こる程度の空間が残る充填量が好ましい。
操作(B2)は、蓋体で、チタン系粉充填容器の成形空間の開口を塞ぐ操作である。操作(B2)では、蓋体でチタン系粉充填容器の一端部を覆い、固定手段により、チタン系粉充填容器の一端部に、成形空間の開口側の蓋体の面を押し付けて、成形空間の開口を塞ぎ、成形空間の開口を密閉する。
操作(B2)を行った後、操作(B3)を行う前に、必要に応じて、チタン系粉末が充填されている多孔質チタン焼結板の成形型を回転させるか、又は多孔質チタン焼結板の成形型に振動を与えることが好ましい。成形型内にチタン系粉を乾式且つ実質的に無加圧で充填するときに、粒径が小さいチタン系粉ほど下に、粒径が大きいチタン系粉ほど上に、充填され易いので、チタン系粉末が充填されている多孔質チタン焼結板の成形型を回転させるか、又は多孔質チタン焼結板の成形型に振動を与えることで、成形空間内のチタン系粉を撹拌することにより、成形空間内でのチタン系粉の粒径の片寄りを少なくすることができる。
操作(B3)は、成形空間にチタン系粉が充填されている多孔質チタン焼結板の成形型を、焼結用の炉に設置する操作である。操作(B3)に係る焼結用の炉としては、炉内を加熱することができるものであれば、特に制限されない。
操作(B4)は、成形型の真空引き経路に、炉外の真空引き装置に繋がっている真空経路連結管を繋ぎ、次いで、成形型の真空引き経路から、成形空間内の圧力が1.0×10-2Pa以下、好ましくは6.0×10-3Pa以下、さらに好ましくは3.0×10-3Pa以下となるまで、成形空間内を減圧する操作である。この操作により成形空間内のチタン系粉が晒される雰囲気中の酸素、窒素、炭素等濃度を極めて低くすることができる。これにより、例えば酸素量過多に基づく多孔質チタン焼結板の脆化を抑制できる。なお、炉内圧力は大気圧としてもよいし減圧としてもよい。炉内を減圧する場合、例えば、炉内の圧力が1.0×10-2Pa以下、好ましくは6.0×10-3Pa以下、さらに好ましくは3.0×10-3Pa以下となるまで、炉内の減圧することが好ましい。
焼結工程(B5)は、炉内を加熱することにより、チタン系粉を焼結させる工程である。炉内の加熱温度、すなわち、チタン系粉の焼結温度は、適宜選択される。通常、チタン系粉の焼結温度は、800〜1000℃の温度範囲で選択される。また、チタン系粉の焼結時間は、適宜選択される。そして、焼結工程(B5)を行うことにより、多孔質チタン焼結板を得る。
本発明の第一の形態の多孔質チタン焼結板の製造方法又は本発明の第二の形態の多孔質チタン焼結板の製造方法を行い得られる多孔質チタン焼結板は、粒状のチタンの焼結体であり、内部に多数の気孔を有し、外形が板状である。本発明の第一の形態の多孔質チタン焼結板の製造方法又は本発明の第二の形態の多孔質チタン焼結板の製造方法を行い得られる多孔質チタン焼結板の形状、板面の大きさ、厚み、等は、必要に応じて、適宜選択される。
本発明の第一の形態の多孔質チタン焼結板の製造方法又は本発明の第二の形態の多孔質チタン焼結板の製造方法を行い得られる多孔質チタン焼結板の空隙率は、特に制限されないが、好ましくは40〜70%、特に好ましくは40〜65%、より好ましくは50〜65%である。なお、本発明において、空隙率は多孔質チタン系焼結体の単位体積あたりの空隙の割合を百分率で示したものである。本発明では、多孔質チタン系焼結体の体積V(cm3)と、多孔質チタン系焼結体の質量M(g)と、焼結体を構成する金属部の真密度D(g/cm3)(例えば、純チタンの場合は真密度4.51g/cm3)から以下の式で空隙率を算出する。なお、上記体積Vは、多孔質チタン系焼結体の見かけ体積を指す。
空隙率(%)=100−(((M/V)/D)×100)
本発明の第一の形態の多孔質チタン焼結板の製造方法又は本発明の第二の形態の多孔質チタン焼結板の製造方法を行い得られる多孔質チタン焼結板の平均気孔径は、特に制限されないが、好ましくは5〜100μm、特に好ましくは5〜90μm、より好ましくは5〜80μmである。
なお、本発明では、水銀圧入法(Washburnモデル)により平均気孔径を求める。
平均気孔径(μm)=2×Vp/Sp
ここで、Vp:細孔容積(cc/g)、Sp:細孔比表面積(m2/g)である。
−測定条件:JIS R 1655(2003)−
圧力計測法:ストレンゲージ法
温度:室温
前処理:室温で6Pa程度まで減圧後、水銀圧入開始
本発明の第一の形態の多孔質チタン焼結板の製造方法又は本発明の第二の形態の多孔質チタン焼結板の製造方法を行い得られる多孔質チタン焼結板の比表面積は、特に制限されないが、好ましくは0.020〜0.100m2/g、好ましくは0.020〜0.090m2/gである。なお、本発明において、比表面積は、JIS:Z8831:2013「ガス吸着による粉体(固体)の比表面積測定方法」により求められる。使用するガスはクリプトンンガスが特に好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
(実施例1)
多孔質チタン焼結板の成形型として、以下に示す6つの成形空間を有する成形型を用意した。次いで、成形型の6つの成形空間のそれぞれに、以下に示すチタン系粉1を乾式で充填した。なお、チタン系粉を成形空間に充填する際に、チタン系粉充填容器の端部までは充填しなかった。すなわち、充填したチタン粉の端面と成形空間の開口部との間には空隙があった。
次いで、チタン系粉充填容器の成形空間の開口を、以下に示す蓋体で塞ぎ、次いで、チタン系粉が充填された成形型を、焼結用の炉に設置した。
次いで、炉内の圧力が1.0×10-3Pa以下となるまで、真空引きした。多孔質チタン焼結体の成形型に形成されている真空引き経路を経て、各成形空間内の空気が吸引された。
次いで、炉内の圧力が1.0×10-3Pa以下に維持されるように、真空引きを行ったまま、炉内を900℃まで昇温し、900℃で1時間、焼結を行い、冷却後、多孔質チタン焼結板を得た。
次いで、得られた多孔質チタン焼結板の空隙率を測定した。その結果を表1に示す。なお、成形空間No.1〜No.6で得られる多孔質チタン焼結板を、それぞれ多孔質チタン焼結板No.1〜No.6とする。
<チタン系粉1>
水素化脱水素粉、粒度:10〜45μm、D50:36μm
<成形型>
・チタン系粉充填容器:石英製、100mm×100mm×1mmの成形空間6つが、厚み方向に並んで形成されている。成形空間のNo.を片側から順に、1〜6とする。つまり、成形空間No.1とNo.6とが、並び順で両外側の成形空間である。
・蓋体:石英製、各成形空間それぞれに対応する位置に、真空引き経路となる貫通孔が形成されている。
<空隙率の測定>
多孔質チタン焼結板の単位体積あたりの空隙の割合を百分率で示した。多孔質チタン焼結板から測定サンプルを切り出し、その体積V(cm3)と、質量M(g)とを測定し、それらの測定結果と、使用したチタン材料の真密度D(g/cm3)(例えば、純チタンの場合は真密度4.51g/cm3)から、以下の式で算出した。
空隙率(%)=100−(((M/V)/D)×100)
Figure 2020026561
(実施例2)
チタン系粉1に代えて、以下に示すチタン系粉2とすること以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表2に示す。
<チタン系粉2>
水素化脱水素粉、粒度:10〜150μm、D50:76μm
Figure 2020026561
(実施例3)
成形空間No.1〜No.2にチタン系粉1を充填し、成形空間No.3〜No.6にチタン系粉2を充填すること以外は、実施例1と同様に行った。その結果を表3に示す。
Figure 2020026561
1a、1b、1c、1d 成形空間
2a、2b、2c、2d 開口
3 ボルト螺合用雌ネジ
4 貫通孔
5 ボルト
6 焼結後の多孔質チタン焼結板の厚み方向
7 チタン系粉
8a、8b 多孔質チタン焼結板の板面
10 チタン系粉充填容器
11 蓋体
12 成形型
13 多孔質チタン焼結板
30 成形型
31 成形空間

Claims (5)

  1. 金属チタンに対して不活性な材料からなり、一端部が開口している成形空間が、多孔質チタン焼結板の厚み方向に複数並んで形成されているチタン系粉充填容器と、金属チタンに対して不活性な材料からなる蓋体と、を有し、該成形空間内の空気を吸引するための真空引き経路が形成されている多孔質チタン焼結板の成形型を用意し、該チタン系粉充填容器に、乾式でチタン系粉を充填する操作(A1)と、
    該蓋体で、該チタン系粉充填容器の該成形空間の開口を塞ぐ操作(A2)と、
    該チタン系粉が充填されている該多孔質チタン焼結板の成形型を、焼結用の炉に設置する操作(A3)と、
    該炉内の圧力が1.0×10-2Pa以下となるまで、該炉内を減圧することにより、該成形型の真空引き経路を経て該成形空間内の空気を吸引する操作(A4)と、
    該炉内を加熱して、該チタン系粉を焼結させることにより、多孔質チタン焼結板を得る焼結工程(A5)と、
    を有すること、
    を特徴とする多孔質チタン焼結板の製造方法。
  2. 前記操作(A2)を行った後、前記操作(A3)を行う前に、前記多孔質チタン焼結板の成形型を回転させるか、又は前記多孔質チタン焼結板の成形型に振動を与えることを特徴とする請求項1項記載の多孔質チタン焼結板の製造方法。
  3. 金属チタンに対して不活性な材料からなり、一端部が開口している成形空間が、多孔質チタン焼結板の厚み方向に複数並んで形成されているチタン系粉充填容器と、金属チタンに対して不活性な材料からなる蓋体と、を有し、該成形空間内の空気を吸引するための真空引き経路が形成されている多孔質チタン焼結板の成形型を用意し、該チタン系粉充填容器に、乾式でチタン系粉を充填する操作(B1)と、
    該蓋体で、該チタン系粉充填容器の該成形空間の開口を塞ぐ操作(B2)と、
    該チタン系粉が充填されている該多孔質チタン焼結板の成形型を、焼結用の炉に設置する操作(B3)と、
    該成形型の真空引き経路から、該成形空間内の圧力が1.0×10-2Pa以下となるまで、該成形空間内を減圧する操作(B4)と、
    該炉内を加熱して、該チタン系粉を焼結させることにより、多孔質チタン焼結板を得る焼結工程(B5)と、
    を有すること、
    を特徴とする多孔質チタン焼結板の製造方法。
  4. 前記操作(B2)を行った後、前記操作(B3)を行う前に、前記多孔質チタン焼結板の成形型を回転させるか、又は前記多孔質チタン焼結板の成形型に振動を与えることを特徴とする請求項3記載の多孔質チタン焼結板の製造方法。
  5. 前記金属チタンに対して不活性な材料が、ジルコニア、石英、アルミナ、ボロンナイトライド、カルシア、グラファイト、カーボン、コージェント、酸化インジウム、シリカ、マグネシア、ジルコニア、スピネル、炭化ケイ素、窒化アルミニウム及びムライトからなる群から選ばれる1種又は2種以上の組み合わせであることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の多孔質チタン焼結板の製造方法。
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