JP4959526B2 - BaLiF3単結晶体 - Google Patents

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Description

本発明は、BaLiF単結晶体に関する。より詳しくは、液浸式露光装置のラストレンズとして有望な、200nm以下の真空紫外光(VUV)の透過性、及びレーザー光照射による損傷等が少なく、レーザー耐性に優れたBaLiF単結晶体、及び該BaLiF単結晶体の製造方法に関する。
半導体集積回路などの電子材料の製造分野で実施されるリソグラフィー工程では、露光基板に対する転写パターンの微細化の要求が高まっており、この要求を実現すべく露光装置の解像度の向上が検討されている。
一般に露光装置では、露光波長が小さくレンズの開口数が大きいほど、解像線幅を小さくして解像度を向上できることが知られている。このため、波長200nm以下の真空紫外領域の光(たとえば、ArFエキシマレーザー;発振波長193nm、Fエキシマレーザー;発振波長157nmなど)を光源として使用する試みと共に、このような短波長の光に対応可能な光学系の設計や、レンズ材料の開発などが進められている。
また、これらの試みと並行して、露光基板と露光装置のラストレンズとの間に液体を充填することにより、露光基板面における光の波長を実質的に短くして解像度を向上させようとする液浸式露光装置の研究も進められている。
液浸式露光装置は、少なくとも、光源と、照明光学系と、マスク(レチクル)と、投影光学系と、液体の供給回収装置とを備えた装置であり、投影光学系の露光基板側の先端に設けられたレンズ(ラストレンズ)と、レジスト膜を有する露光基板との間に、液体を充填した状態で露光を行なう装置である。このような液浸式露光装置のラストレンズには、光源の光の波長における屈折率および透過率が高いこと、真性複屈折や応力複屈折が低いかあるいは存在しないこと、光源の光に対する耐久性があること、使用する液体に対する耐久性があることなどの種々の性能が要求される。
本発明者等は、液浸式露光装置のラストレンズとして使用できる上記のような物性を有する材料について検討を行い、その結果、BaLiF単結晶体が優れた物性を有することを見出し、すでに提案している(特許文献1参照)。
また液浸式露光装置のラストレンズ以外の用途としても、露光装置等の真空紫外光用装置の光学部材としてBaLiF単結晶体を用いることが既に提案されている(例えば、特許文献2、3参照)。
これら特許文献1,2等に開示されているように、BaLiF単結晶体は、チョクラルスキー法やブリッジマン法等の融液成長法では、BaFとLiFとがモル比で1:1の溶融原料から直接製造することはできず、LiFが過剰な溶融液を調整し、これから製造することが必要である。
この理由は、図1に示すBaFとLiFとの相平衡図から理解できる。即ち、図1に示されているように、BaFとLiFがモル比1:1の組成の溶融液を冷却しても、該モル比においては、BaLiF結晶の存在可能な上限温度である857℃以上よりも50〜60℃程度高い温度でBaFの方が析出することになる。そのため、理論モル比である1:1よりもLiFの割合が高い原料溶融液を調整し、これにBaLiF結晶からなる種結晶を接触させて、BaLiF単結晶体を成長させることが必要となっている。換言すれば、BaFとLiFとがモル比で1:1の溶融原料からBaLiF単結晶体を直接製造する方法は未だ見出されておらず、必然的に、LiFが過剰な溶融原料を用いることになる。
しかしながら、本発明者らが上記方法の追試を行ったところ、上述した方法では化学両論比の原料溶融液から結晶を成長させることができないためか、結晶の内部に欠陥が入りやすく、BaLiF単結晶体が白濁して十分な透過率が得られないことがあることが確認された。特に直径40mmを越える大型のBaLiF単結晶体では、白濁の問題が顕著になり、白濁を生じている部分と生じていない部分とで透過率の差を生じるため、その結果として、単結晶の内部で透過率のばらつきの少ない単結晶体を得ることが困難であった。そこで本発明者らは、鋭意検討を重ね、原料中に微量のMgFを添加することにより、このような白濁を抑制することができ、透明性の高いBaLiF単結晶体を成長させることが可能であることを見出し、既に提案している(特願2007−041771)。
特開2007−005777号公報 特開2002−228802号公報 特開2003−119096号公報 特許請求の範囲、第0008段落、実施例3
上述したように、液浸露光装置のラストレンズとしてのBaLiF単結晶体には、優れた透過率が求められており、本発明者らは原料溶融液に微量のMgFを添加することにより透過率が大幅に改善されたBaLiF単結晶体を得ることを実現させてきた。
しかしながら、原料溶融液にMgFを添加することにより、通常は、得られたBaLiF単結晶体中にも微量ではあるがMgが含有されることになってしまう。そしてこのようなMgを含むBaLiF単結晶体では、高エネルギー線照射を行った場合、該Mgによる誘導吸収の増加をもたらす。従って、上記製造方法によって得られるBaLiF単結晶体は、初期の透過率は優れるものの、高強度のレーザー光を照射してレーザー耐性の加速試験を行うと、レーザー光の照射強度を増加させるのに伴って透過率が大きく低下したり、加速試験後に弱い光を照射して測定した透過率の値が加速試験前の透過率と比較して低くなるなどの傾向があることが明らかとなった。
このようなレーザー耐性の低下が起きると、BaLiF単結晶体を液浸露光装置のラストレンズとして使用した場合に、半導体の回路パターンを上手く形成できないなどの問題が生じやすくなる傾向にある。
従って本発明は、上記問題点を解決し、初期の光透過性に加えて、レーザー耐性にも優れた、液浸露光装置のラストレンズ等の真空紫外用光学部材として使用可能なBaLiF単結晶体、及び該BaLiF単結晶体を効率よく製造することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、原料溶融液に微量のMgFを添加して製造される、その結晶中にMgを含むBaLiF単結晶体であっても、さらに微量のKを含有させることにより、優れた初期の光透過性を維持しながら、レーザー耐性が向上することを見出した。さらに、検討を行った結果、MgFとKFを特定の範囲で添加した溶融原料から単結晶体を製造することで、MgとKの含有量が所定の範囲にある、上記特性を備えたBaLiF単結晶体を安定的に得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、Mg及びKを含有するBaLiF単結晶体であって、これらの含有比率がモル基準でMg/(Li+Mg)が0.001〜0.02の範囲にあり、K/(Ba+K)が0.001〜0.02の範囲にあることを特徴とするBaLiF単結晶体、及び該BaLiF単結晶体の製造方法である。
本発明のMg及びKを所定量含有するBaLiF単結晶体は、原料溶融液に微量のMgFを添加することによって安定的に得られるBaLiF単結晶体の持つ優れた真空紫外光の初期透過性に加え、更にレーザー耐性にも優れる単結晶体である。より詳しくは、本発明のBaLiF単結晶体中に含まれるMg量およびK量は少量であるため、得られた単結晶体は、BaLiF単結晶体が本来有する高屈折率等の物性を損なうことがほとんどなく、さらに優れた真空紫外光の透過性に加えて、高強度のレーザー光を照射した場合に透過率が低下し難く、レーザー光照射後も短時間で十分に回復するため、真空紫外光透過用光学部材として有用である。真空紫外光透過用光学部材の具体的な用途としては、リソグラフィー装置の窓材、光源系レンズ、投影系レンズや液侵式露光装置のラストレンズを例示することができるが、BaLiF単結晶体は波長193nmにおける屈折率が1.64と高い値を示す材料であることから、特に液侵式露光装置のラストレンズとして有用である。また、上記本発明におけるBaLiF単結晶体は、MgFとKFを微量添加した溶融原料から単結晶体を製造することで、安定的に製造することが可能である。
(Mg及びKを含有するBaLiF単結晶体)
本発明のBaLiF単結晶体は、上記Mgを含むBaLiF単結晶体にKを含有し、これらの含有比率がモル基準でMg/(Li+Mg)が0.001〜0.02(以下、含有比率はいずれもモル基準のものを示す。)の範囲に、K/(Ba+K)が0.001〜0.02の範囲にあることが特徴である。
BaF及びLiFからなる溶融液から製造したBaLiF単結晶体の透過率に関しては、単結晶体の白濁が透過率低下の原因の1つであったと考えられ、Mgを溶融液中に添加することで、白濁が著しく減少することが本発明者等により確認されている。白濁は単結晶体中の微小な散乱体により引き起こされる。このような散乱体は原料溶融液中の過剰なLiが凝集したものか微小な泡のいずれかと推測されるが、散乱体の正体、および、Mg添加によりこれらの散乱体が減少する機構については未だに明らかになっていない。このような目的で原料溶融液にMgが配合されるため、本発明のBaLiF単結晶体には、原料溶融液由来のMgが含有されている。
上記のとおり、本発明のBaLiF単結晶体には、原料溶融液に配合されるMgF由来のMgが含有されている。原料溶融液にMgを配合しない場合には結晶が白濁してしまう場合が多く、また原料溶融液にMgを配合しても、原料溶融液中の該Mgの含有量がMg/(Li+Mg)で0.001未満であるとその効果がほとんど得られない。一方、Mgの含有量が多すぎても、白濁の低減効果が頭打ちになるだけではなく、極端な場合には、得られた結晶体全体が全く異なる結晶となってしまうなどの問題が生じる。
白濁や散乱体を抑えて、VUV透過率の高いBaLiF単結晶体を安定的に得るためには、原料溶融液中のMgの含有量Mg/(Li+Mg)を0.001〜0.03の範囲とする必要がある。このような量のMgを含有した原料溶融液から得られるBaLiF単結晶体中のMgの含有比率は、Mg/(Li+Mg)で通常0.001〜0.02となる。
本発明のBaLiF単結晶体における最大の特徴は、上記理由によりMgを含むことになるBaLiF単結晶中に、さらにKを含有させる点にある。上記範囲でMgを含むBaLiF単結晶体では、Kを含有させないと、結晶のレーザー耐性が悪くなる場合が多く、またKを含有しても、該単結晶中のKの含有比率が、K/(Ba+K)で0.001未満であるとその効果がほとんど得られない。
一方、Kの含有比率が多すぎても、レーザー耐性の改善効果が頭打ちになる。さらには、Kの含有比率の多い単結晶体では、製品価値の高い大型の単結晶体の製造が困難でもある(この点については、製造方法の項で詳述する)。
このような理由から、本発明のBaLiF単結晶に含有されるKの含有比率は、K/(Ba+K)で0.001〜0.02の範囲とする。
本発明のBaLiF単結晶体において、レーザー耐性が向上する理由について詳細には明らかではないが、微量のMgとKが、BaLiF単結晶体中のカチオンのサイトを置換して取り込まれると推測される。この際に、2価のMgは、相対的にイオン半径の近い1価のLiのサイトに、1価のKは2価のBaのサイトに入ると推測される。従来技術では、BaLiF単結晶体の透過率を改良するためにMgを添加したために、MgがLiのサイトを置換したことで電子が欠乏した状態の不純物準位を形成し、その不純物準位によってレーザー光が吸収されて結晶にダメージを与えやすい状態になったが、Mgと同時にKを添加した場合には、BaのサイトにKが置換することで余った電子が、Mg添加による電子の欠乏を埋め合わせることにより不純物準位の形成が抑えられ、レーザー耐性が改善したものと推測される。
本発明のBaLiF単結晶体としては上記のMg、KならびにBa、Li及びF以外の成分は可能な限り含まれていないことが好ましい。例えば酸素や上記以外の金属成分はVUV領域に様々な吸収をもたらす場合が多い。またレーザー耐性も低下させる傾向がある。さらには、金属種によっては高エネルギー線の照射により自らがレーザー発光等をしてしまうこともあり、真空紫外光透過用の光学部材として不適になる場合がある。
これらの問題を生じないようにするために、アルカリ土類金属以外の金属不純物濃度(例えば、La、Ce等のランタノイド類や鉄などの遷移金属等。むろん構成元素であるLiとKは除く)が10質量ppm以下、さらには5質量ppm以下、特に1質量ppm以下であることが望ましい。
(Mg及びKを含有するBaLiF単結晶体の製造方法)
本発明のBaLiF単結晶体を製造する方法は特に限定されるものではないが、通常は、溶融原料に種結晶を接触させ、該種結晶に接触した部分から徐々に結晶化させ、種結晶の結晶方位と合致した単結晶体を成長させる、いわゆる融液成長法によって該単結晶体を得ることが可能である。
当該融液成長法としては、チョクラルスキー法やブリッジマン法が例示され、本発明のBaLiF単結晶体の製造方法としてはいずれの方法を適用してもよい。製造する単結晶体の組成とは異なる原料の組成で行う場合の製造の容易さの点から、チョクラルスキー法(CZ法)で本発明のBaLiF単結晶体を製造することが好ましい。
本発明のBaLiF単結晶体を融液成長法で製造するためには、BaF、LiF、MgF及びKFの含有比率が、(Ba+K)/(Ba+Li+Mg+K)が0.35〜0.48、Mg/(Li+Mg)が0.001〜0.03、K/(Ba+K)が0.001〜0.03の範囲となるように配合された原料の溶融液にBaLiF単結晶体からなる種結晶を接触、徐々に結晶化させて結晶体を得る。前述したように融液成長法では、Baに対してLiが過剰な原料を用いない限り、光学材料として使用可能な大きさを有するBaLiF単結晶体を、再現性を持って得ることは事実上できない。そのため、原料溶融液における各成分の含有比率を、(Ba+K)/(Ba+Li+Mg+K)が0.35〜0.48となるようにする。
原料溶融液にMgを配合しない場合には結晶が白濁してしまう場合が多く、またMgを配合しても、該Mgの含有比率がMg/(Li+Mg)で0.001未満であるとその効果がほとんど得られない。
一方、Mgの含有比率が多すぎても、白濁の低減効果が頭打ちになるだけではなく、極端な場合には、得られた結晶体全体が全く異なる結晶となってしまうなどの問題が生じる。
上述の通り、白濁や散乱体を抑えて、VUV透過率のばらつきの少ないBaLiF単結晶体を得られる当該Mgの含有比率は、Mg/(Li+Mg)で0.001〜0.03の範囲であり、より好ましくは0.002〜0.02であり、特に好ましくは0.003〜0.015である。
また、製造される単結晶体中にKを含有させるために原料溶融液にKを配合するが、Kを配合しても、該Kの含有比率がK/(Ba+K)で0.001未満であると、単結晶体中に取り込まれる量も極めて少なくなり、その効果がほとんど得られない。
一方、Kの含有比率が多すぎても、レーザー耐性の改善効果が頭打ちになるだけではなく、得られた結晶を暗室でハロゲン光などを照射した際に、ある特定の角度から観察した際に確認される角度依存性のある散乱体が生成したり、極端な場合には、得られた結晶体全体が全く異なる結晶となってしまうなどの問題が生じる。
角度依存性の散乱体の生成を抑えて、レーザー耐性の優れたBaLiF単結晶体を得られる当該Kの含有比率は、K/(Ba+K)で0.001〜0.03の範囲であり、より好ましくは0.002〜0.02であり、特に好ましくは0.003〜0.015である。なおKはMgには劣るもののBaLiF単結晶体中の透過率のばらつきを抑制する効果もある。したがって、Kを適切に含有した原料溶融液からBaLiF単結晶体を成長させることにより、レーザー耐性が優れた単結晶体が得られるだけでなく、透過率を高いレベルで安定化させることが一層容易となる。
上記の組成比を有する原料溶融液の調製は、通常、BaF、LiF、MgF及びKFを所定の割合で混合、加熱溶融することにより行われる。これらBaF、LiF、MgF及びKFとしては可能な限り不純物の少ないものを用いることが好ましく、アルカリ土類金属以外の金属不純物濃度(例えば、La、Ce等のランタノイド類や鉄などの遷移金属等。構成元素であるLiとKを除く)が10質量ppm以下、さらには5質量ppm以下、特に1質量ppm以下であることが望ましい。また水分や酸化物(BaO、LiO及びKO等)も可能な限り除去された原料を用いることが好ましい。また、これらのBaF、LiF、MgF及びKFは、加熱溶融してBaLiF単結晶を製造する過程で蒸発・昇華することがあるが、蒸発・昇華による原料溶融液中の含有比率の変動量は僅かであるため、原料溶融液中のBa、Li、Mg、及びKFの含有比率は、配合した比率とほぼ同じと考えて差し支えない。
結晶育成に際しては、上記モル比で混合した原料BaF、LiF、MgF及びKFを高密度黒鉛焼結体などのカーボン製坩堝や、白金坩堝等に充填し、炉内で溶融温度以上に昇温する。該溶融温度は図1に示されるようにBaFとLiFのモル比により異なる。またMgFやKFの配合によっても若干変動するが、その配合量は少量であるため、図1に示されるBaF及びLiFの混合物の溶融温度とみなしても実質的な差し支えはない。十分に溶融させるため、通常は当該昇温時の最高温度を溶融温度+(10〜200)℃程度とする。
坩堝に充填する原料としては、各々粉末状または塊状のものを用いても、あるいは予め所定比で混合し、さらに加熱して焼結体や溶融固化体とした原料を用いても良い。炉内での溶融に先立ち、600〜650℃程度までは炉内を真空排気(好ましくは10-5〜10-2Pa程度)することも、吸着水分等の揮発性不純物を除去できる点で好ましい。さらには真空排気後、又は真空排気せずにHF、CF等のフッ素系ガスを導入し、その雰囲気下で加熱することも、水分や酸化物を効率的に除去できる点で好ましい。
上記の如き原料溶融液から結晶を育成する方法は、チョクラルスキー法(CZ法)又はブリッジマン法等の公知の融液成長法の製造方法に準じて行えばよい。以下ではより具体的に、CZ法によってBaLiF結晶体を育成する方法について述べる。
CZ法によってBaLiF単結晶体を育成する場合、十分に溶融した原料溶融液に、BaLiF単結晶体からなる種結晶体を接触させて徐々に引上げる。種結晶体は、引上げる結晶体の方位に合せて任意に選ぶことができる。例えば、<100>や<111>のものを用いることができる。
用いる坩堝としては、特開2006−199577号公報等に開示されている内坩堝と外坩堝からなる二重構造坩堝を用いることも好ましい。
引上げは、常圧、減圧又は加圧下で行うことが可能であるが、負結晶などの結晶欠陥の少ないBaLiF単結晶体が得られやすい点で、減圧下で行うことが好ましい。減圧を行う場合の圧力は炉内圧力が0.5〜70kPa、好ましくは1〜50kPa、より好ましくは1〜30kPaである。また雰囲気としてはHF、CF等のフッ素系ガスや、Ar、He、Ne、Nなどの不活性ガス、あるいは該不活性ガスで希釈したフッ素系ガス等の雰囲気下で行うことができる。酸素の影響を排除しやすい点で、フッ素系ガス又は不活性ガスで希釈したフッ素系ガスの雰囲気下で行うことが好ましい。引上げ速度は通常、0.1〜20mm/hである。
所望の長さのBaLiF結晶体を引上げた後、室温程度まで冷却し、CZ炉内から取り出す。冷却に際しては、冷却速度が速いほど分相を起こしにくいが、一方で、極端に速いと熱衝撃により製造した(引上げた)結晶体にひびが入るなどの問題が生じる場合がある。従って、冷却速度は1〜500℃/hrとすることが好ましく、3〜50℃/hrとすることがより好ましい。
このようにして製造したBaLiF単結晶体には、前記した範囲でMgとKが含まれる。当該BaLiF単結晶体中のMg量は、原料溶融液におけるMgのLiに対する比率よりも少なくなる傾向がある。また、結晶成長前半と後半では、後半の方が含まれるMg量が多い傾向がある。これは、BaLiF単結晶体に対しての異原子であるMgが取り込まれ難く、結晶成長に伴って原料溶融液中のMg濃度が徐々に増加していくためであると推測される。このようなMgの偏析現象は特に原料溶融液中のMgの含有比率が多い場合に顕著である。一方、原料溶融液中のMgの含有比率が少なくなるにつれて、得られたBaLiF単結晶体中のMgのLi+Mgに対する比率は原料溶融液の組成に近づく傾向がある。
また、BaLiF単結晶体中のK量についても、原料溶融液におけるKのBaに対する比率よりも少なくなる傾向がある。また、結晶成長前半と後半では、後半の方が含まれるK量が多い傾向がある。これは、BaLiF単結晶体に対しての異原子であるKが取り込まれ難く、結晶成長に伴って原料溶融液中のK濃度が徐々に増加していくためであると推測される。このようなKの偏析現象は特に原料溶融液中のKの含有比率が多い場合に顕著である。一方、原料溶融液中のKの含有比率が少なくなるにつれて、得られたBaLiF単結晶体中のKのBa+Kに対する比率は原料溶融液の組成に近づく傾向がある。
上記のように、同じBaLiF単結晶体でも、初期に結晶化した部分に比して、Mg及びKの割合は徐々に増加していくが、長尺のBaLiF単結晶体であっても、製造に際して前記範囲内でMgFやKFの使用量を少なくしたり、製造する単結晶体に比して多量の原料溶融液を用いたりすることにより、初期に結晶化した部分でも、製造の最終段階に近い部分で結晶化した部分でも前述したMg及びK含有量の範囲のものとすることができる。また、前記組成を有する原料溶融液を用いれば、少なくとも初期に結晶化した部分は、本発明で規定する範囲でMg及びKを含有するので、同じCZ法で製造したインゴットでも上方(ブリッジマン法であれば下方)から切り出すことにより本発明のBaLiF単結晶体を入手できる。
(BaLiF単結晶体のアニール処理)
前記したように、本発明の製造方法で得られるBaLiF単結晶体は、真空紫外光の透過性、及びレーザー耐性に優れるため、リソグラフィー装置の窓材、光源系レンズ、投影系レンズや液侵式露光装置のラストレンズ等の真空紫外光透過用光学部材として有用である。これらの真空紫外光透過用光学部材としてBaLiF単結晶体を使用する場合には、チョクラルスキー法やブリッジマン法等の融液成長法で製造したままの状態では、応力歪が大きく解像度などの十分な特性が得られない場合があるため、上記方法で製造した後、アニール処理を行って歪除去を行うことが好ましい。
当該アニール処理は、フッ化物単結晶のアニール処理の方法として知られる公知の方法を適用すればよい。具体的には、BaLiFの融点(857℃)よりも5〜50℃程度低い温度まで加熱し、その後、徐々に降温すればよい。降温速度は0.1〜5℃/hr程度、特に0.1〜2℃/hr程度である。またより高い温度領域ではゆっくりと降温し、温度が低下するにつれて徐々に降温速度をはやくしていくことも効果的である。
アニール処理は、インゴットの状態で行っても良いが、最終部品形状に近い大きさまで加工した後に行うことがより効果的である。
アニール処理により必要なレベルまで歪を除去したBaLiF単結晶体は、その後さらに最終部品形状まで加工して使用すればよい。
なお本発明のBaLiF単結晶体を、リソグラフィー装置の窓材、光源系レンズ、投影系レンズや液侵式露光装置のラストレンズ等の真空紫外光透過用光学部材として用いることを考慮すると、上述した製造方法で、直径が40mm以上、厚さが5mm以上のBaLiF単結晶体ディスクを切り出せる大きさの単結晶体を得ることが好ましく、直径が100mm以上、厚さが10mm以上のBaLiF単結晶体ディスクを切り出せる大きさの単結晶体を得ることがより好ましい。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はかかる実施例によって限定されるものではない。
用いたBaF、MgF 及びLiF原料としては、不純物としての金属濃度でTi,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Cd,Pb,Zn,Y,La,Ce,Eu及びYbがいずれも1質量ppm未満のものを用いた。またKFは純度99.9%以上のものを用いた。
また、以下の実施例、比較例に示したレーザー耐性評価は以下の方法に従った。
(1)レーザー耐性評価方法−1
BaLiF単結晶の試験片(厚み10mm、表裏面を光学研磨した試験片)について、VUV評価装置を用いて波長193nmにおけるVUV透過率を測定した。その後、以下に記載した「(2)レーザー耐性評価方法−2」の条件で試験片の中心部にレーザー光を照射した後に、再びVUV評価装置にて波長193nmにおけるVUV透過率を測定した。レーザー照射前後のVUV透過率の変化(ΔT)をレーザー耐性の指標として用いた。
(2)レーザー耐性評価方法−2
レーザー光源、アッテネータ、アパーチャー、ビームスプリッタ、ミラーや検出器などを組み合わせて、レーザー耐性評価装置を作製した。ここでレーザー光源としてはコヒレント社製のノバラインA2030型(波長193nm、パルスエネルギー15mJ、周波数500Hz)、検出器としてgentec社のQE12−SP−H型エネルギーメータを使用した。本評価装置では、サンプルへのレーザー光の照射面積が6.25平方ミリメーター(一辺が2.5mmの正方形)になるように調整されており、更にレーザー照射強度を3〜30mJ/cmの範囲で調整可能である。また、本評価装置はサンプル前後の位置におけるレーザー強度を常時モニタすることが可能ように光学系を構成した。
本評価装置にBaLiF単結晶の試験片(厚み10mm、表裏面を光学研磨した試験片)をセットした後に、試験片の中心部にレーザー光を照射した。ここでレーザー照射は、5、10、15、20、25、30mJ/cmの各強度で1×10パルス(合計6×10パルス)の条件で行った。各照射強度でのレーザー照射中にモニタした透過率の平均値を照射強度に対してプロットして、その傾きを求め、レーザー耐性の指標として用いた。傾きが大きいほど、レーザー光の照射強度を増加させるのに伴って透過率が大きく低下することを示し、レーザー耐性が低いことを示している。
実施例1
塊状のBaF原料2500g、塊状のLiF原料490g、KF粉末4.16g、およびMgF粉末5.92gを混合して特開2006−199577号公報等に開示されている内坩堝と外坩堝からなる二重構造坩堝に収容し、CZ結晶育成炉内に収容した。ここでのBaF原料、LiF原料、KF原料の混合比率は、(Ba+K)/(Ba+Li+Mg+K)が0.43、Mg/(Mg+Li)が0.005、K/(Ba+K)が0.005である。上記の二重坩堝を構成する外坩堝の内径は120mm、内坩堝の内径は84mmであった。
次に、炉内を1×10−3Pa以下の真空度に保ち坩堝を600℃まで24時間かけて加熱昇温させ、その後、純度99.999%のCF4ガスを炉内に導入し大気圧にした。その後、坩堝を900℃まで2時間かけて加熱昇温させて、上記混合物を融解させた後、溶融液の温度がBaLiF単結晶の結晶化温度になるまで冷却した。
次いで、坩堝内の原料融液に、引上げ方向が<100>であるBaLiF単結晶体からなる種結晶を接触させ、この種結晶を15rpmで回転させながら1.0mm/hの速度で引き上げることにより、BaLiF単結晶体のインゴットを成長させた。BaLiF単結晶のインゴットを所定の大きさまで成長させた後、溶融液からインゴットを切り離した。次いで、CZ結晶育成炉を36時間かけて冷却した後に、インゴットをCZ結晶育成炉から取り出した。得られたインゴットは全長135mm、直胴部の長さが100mm、直胴部の直径が50mmであった。
上記のインゴットについて、暗室にてハロゲンライトの光を照射して肉眼で観察したところ、インゴット内部の透明性が高く、散乱点は確認されなかった。
インゴットの直胴中央部から育成方向に垂直な{100}面で切断してディスク1枚を取得し、ディスクの表裏面を光学研磨して厚み10mmの試験片を作製した。
次にディスク状の試験片の中心から半径方向に0mm、7.5mm、15mmの距離の3点の位置について真空紫外光(VUV)透過率を測定し、その結果を図2に示す。波長193nmにおけるVUV透過率は平均値で84.4%(最小値は84.1%、最大値は84.9%)であった。波長193nmにおけるBaLiF単結晶の理論透過率は88.9%(屈折率は1.64)であることから、ここで評価したBaLiF単結晶ディスクの表面反射を除いた内部透過率は平均値で94.9%(最小値は94.6%、最大値は95.5%)であった。
なお、BaLiF単結晶体のディスクを粉砕して、誘導結合プラズマ発光分析によりMg含有比率およびK含有比率を評価した。Mg含有比率はMg/(Li+Mg)で0.0029、K含有比率はK/(Ba+Ka)で0.0037であった。
次に、インゴットのディスクを取得した近傍の位置から更に縦横15mmの角材を取得して、表裏面を光学研磨して厚み10mmの試験片を作製し、上述した方法でレーザー耐性を評価した。レーザー耐性評価方法−1とレーザー耐性評価方法−2の評価結果を表1に示す。レーザー耐性評価方法−2におけるレーザー照射中の透過率の状態を図3に示す。
レーザー照射後の試験片の外観を観察したところ、照射前と変化することなく透明なままであった。
Figure 0004959526
比較例1
塊状のBaF2原料2505g、塊状のLiF原料489g、および、MgF粉末原料5.9gを混合して、二重構造坩堝に収容し、CZ結晶育成炉内に収容した以外は、実施例1と同様の方法でBaLiF単結晶体のインゴットを得た。ここでのBaF2原料、LiF原料、MgF原料の混合比率は、(Ba+K)/(Ba+Li+Mg+K)が0.43、Mg/(Mg+Li)が0.005である。
上記のインゴットについて、暗室にてハロゲンライトの光を照射して肉眼で観察したところ、インゴット内部の透明性が高く、散乱点は確認されなかった。
次に実施例1と同様に、インゴットを切断してディスクを取得した後に、このディスクについてVUV透過率を測定した。結果を図4に示す。波長193nmにおけるVUV透過率は平均値で82.7%(最小値は81.8%、最大値は83.3%)であり、表面反射を除いた内部透過率は平均値で93.0%(最小値は92.0%、最大値は93.7%)であった。
なお、BaLiF単結晶体のディスクを粉砕して、誘導結合プラズマ発光分析によりMg含有比率およびK含有比率を評価した。Mg含有比率は、Mg/(Li+Mg)で0.0020、K含有比率は、K/(Ba+Ka)で0.0000であった。
次に実施例1と同様に、インゴットのディスクを取得した近傍の位置から角柱状の試験片を作製し、レーザー耐性評価した。レーザー耐性評価方法−1とレーザー耐性評価方法−2の評価結果を上記表1に示す。レーザー耐性評価方法−2におけるレーザー照射中の透過率の状態を上記図3に示す。
表1に示したとおり、実施例1ではレーザー照射前後の透過率は殆ど変化しなかったのに対して、本比較例のレーザー照射後の透過率は照射前と比較して約3%ほど低下したことが確認された。レーザー照射後の試験片は、若干薄茶色に変色していた。更に、本比較例では、レーザー照射中のレーザー照射強度に対する透過率の傾きが実施例1と比較して大きくなる傾向が見られた。
比較例2
塊状のBaF2原料2508gと塊状のLiF原料492gを混合して、二重構造坩堝に収容し、CZ結晶育成炉内に収容した以外は、実施例1と同様の方法でBaLiF単結晶体のインゴットを得た。ここでのBaF2原料、LiF原料の混合比率は、モル基準で、Ba/(Ba+Li)が0.43である。
上記のインゴットについて、暗室にてハロゲンライトの光を照射して肉眼で観察したところ、インゴットの内部で散乱して白く濁った状態になるのが確認された。
次に実施例1と同様に、インゴットを切断してディスクを取得した後に、このディスクについてVUV透過率を測定した。結果を図5に示す。波長193nmにおけるVUV透過率は平均値で66.9%(最小値は50.6%、最大値は78.5%)であり、表面反射を除いた内部透過率は平均値で75.3%(最小値は56.9%、最大値は88.3%)であった。
なお、BaLiF単結晶体のディスクを粉砕して、誘導結合プラズマ発光分析によりMg含有比率およびK含有比率を評価した。Mg含有比率は、Mg/(Li+Mg)で0.0000、K含有比率は、K/(Ba+Ka)で0.0000であった。
次に実施例1と同様に、インゴットのディスクを取得した近傍の位置から角柱状の試験片を作製し、レーザー耐性評価した。レーザー耐性評価方法−1とレーザー耐性評価方法−2の評価結果を上記表1に示す。レーザー耐性評価方法−2におけるレーザー照射中の透過率の状態を上記図3に示す。
表1に示したとおり、K含有比率がゼロである本試験片は、レーザー照射前後の透過率は殆ど変化せず、更に、レーザー照射中のレーザー照射強度に対する透過率の傾きが小さいため、Kを含んだその他の試験片よりもレーザー耐性が優れると判断できたものの、図4に示したとおり、VUV透過率が全体的に低く、ディスク面内のVUV透過率のバラツキも大きくなった。
参考例1
塊状のBaF原料8356g、塊状のLiF原料1636g、およびMgF粉末原料8gを混合して特開2006−199577号公報等に開示されている内坩堝と外坩堝からなる二重構造坩堝に収容し、CZ結晶育成炉内に収容した。ここでのBaF2原料、LiF原料、MgF2原料の混合比率は、モル基準で、Ba/(Ba+Li+Mg)が0.43、Mg/(Li+Mg)が0.002である。上記の二重坩堝を構成する外坩堝の内径は225mm、内坩堝の内径は180mmであった。
次に、炉内を1×10−3Pa以下の真空度に保ち坩堝を600℃まで24時間かけて加熱昇温させ、その後、純度99.999%のCF4ガスを炉内に導入し大気圧にした。その後、坩堝を900℃まで2時間かけて加熱昇温させて、上記混合物を融解させた。
次いで、油回転ポンプにて炉内ガスを徐々に排気して、炉内圧力を10kPaに調整した後、溶融液の温度がBaLiF単結晶の結晶化温度になるまで冷却した。
次いで、坩堝内の原料融液に、引上げ方向が<100>であるBaLiF3単結晶体からなる種結晶を接触させ、この種結晶を10rpmで回転させながら1.0mm/hの速度で引き上げることにより、BaLiF単結晶体のインゴットを成長させた。BaLiF単結晶体のインゴットを所定の大きさまで成長させた後、溶融液からインゴットを切り離した。次いで、CZ結晶育成炉を100時間かけて冷却した後に、インゴットをCZ結晶育成炉から取り出した。得られたインゴットは全長140mm、直胴部の長さが100mm、直胴部の直径が75mmであった。
上記のインゴットについて、暗室にてハロゲンライトの光を照射して肉眼で観察したところ、インゴット内部の透明性が高く、散乱点は確認されなかった。
次にインゴットの直胴中央部を、育成方向に垂直な{100}面で切断してディスクを取得し、それぞれのディスクについて表裏面を光学研磨して厚み10mmの試験片を作製した。
次にディスク状の試験片の中央から半径方向に0mm、10mm、20mm、30mmの距離の4点の位置について真空紫外光(VUV)透過率を測定した。波長193nmにおけるVUV透過率は平均値で84.5%(最小値は83.9%、最大値は84.9%)であり、表面反射を除いた内部透過率は平均値で95.0%(最小値は94.3%、最大値は95.5%)であった。ディスク中央部のVUV評価結果を図6に示す。
なお、BaLiF単結晶体のディスクを粉砕して、誘導結合プラズマ発光分析によりMg含有比率およびK含有比率を評価した。Mg含有比率は、Mg/(Li+Mg)で0.0016、K含有比率は、K/(Ba+Ka)で0.0000であった。
参考例2
塊状のBaF原料8322g、塊状のLiF原料1600g、およびMgF粉末78gを混合して二重構造坩堝に収容し、CZ結晶育成炉内に収容した以外は参考例1と同様の方法でBaLiF単結晶体のインゴットを得た。ここでのBaF原料、LiF原料、MgF原料の混合比率は、モル基準で、Ba/(Ba+Li+Mg)が0.43、Mg/(Li+Mg)が0.02である。得られたインゴットは全長140mm、直胴部の長さが100mm、直胴部の直径が75mmであった。
上記のインゴットについて、暗室にてハロゲンライトの光を照射して肉眼で観察したところ、インゴット内部の透明性が高く、散乱点は確認されなかった。
次に参考例1と同様に、インゴットを切断、加工してディスク状の試験片を取得した後に、この試験片について真空紫外光(VUV)透過率を測定した。波長193nmにおけるVUV透過率は平均値で85.8%(最小値は85.4%、最大値は86.1%)であり、表面反射を除いた内部透過率は平均値で96.5%(最小値は96.1%、最大値は97.7%)であった。ディスク中央部のVUV評価結果を上記図6に示す。
なお、BaLiF単結晶体のディスクを粉砕して、誘導結合プラズマ発光分析によりMg含有比率およびK含有比率を評価した。Mg含有比率は、Mg/(Li+Mg)で0.0058、K含有比率は、K/(Ba+Ka)で0.0000であった。
LiFおよびBaF2の相平衡図である。 Mg含有比率は0.0029、K含有比率は0.0037であるBaLiF単結晶体(実施例1)のVUV透過率の測定結果である。 レーザー耐性評価中の照射強度と、BaLiF単結晶体の透過率の関係を示した図である。 Mg含有比率は0.0020、K含有比率は0.0000であるBaLiF単結晶体(比較例1)のVUV透過率の測定結果である。 Mg含有比率、K含有比率は共に0であるBaLiF単結晶体(比較例2)のVUV透過率の測定結果である。 Mg含有比率0.0016(参考例1)、0.0058(参考例2)、および、0.0000(比較例2)BaLiF単結晶体のディスク中央部のVUV透過率の測定結果である。

Claims (5)

  1. Mg及びKを含有するBaLiF単結晶体であって、これらの含有比率がモル基準でMg/(Li+Mg)が0.001〜0.02の範囲にあり、K/(Ba+K)が0.001〜0.02の範囲にあることを特徴とするBaLiF単結晶体。
  2. 真空紫外光透過用光学部材である請求項1記載のBaLiF単結晶体。
  3. 融液成長法によるBaLiF単結晶体の製造方法において、原料溶融液として、BaF、LiF、MgF 及びKFとからなり、これらの含有比率がモル基準で、(Ba+K)/(Ba+Li+Mg+K)が0.35〜0.48、Mg/(Li+Mg)が0.001〜0.03、K/(Ba+K)が0.001〜0.03の範囲にある原料溶融液を用いることを特徴とする前記製造方法。
  4. 請求項3記載の方法でBaLiF単結晶体を製造する工程を含む、BaLiF単結晶体からなる真空紫外光透過用光学部材の製造方法。
  5. 請求項4記載の方法でBaLiF単結晶体を製造する工程、及び製造されたBaLiF単結晶体をアニール処理する工程を含む、BaLiF単結晶体からなる真空紫外光透過用光学部材の製造方法。
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