JP4158252B2 - 蛍石単結晶、その熱処理方法及び蛍石単結晶素材の製造方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は蛍石単結晶、その熱処理方法及び蛍石単結晶素材の製造方法に関し、特に真空紫外光(例えば、KrF、ArFエキシマレーザー、F2レーザー、固体レーザー、Xe2ランプ光、Kr2ランプ光)を光源とした光リソグラフィー装置の光学系(光学部材)に用いて好適な蛍石単結晶、その熱処理方法及び光学部材作製用の蛍石単結晶素材の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年において、VLSIはますます高集積化、高機能化され、論理VLSIの分野ではチップ上により大きなシステムが盛り込まれるシステムオンチップ化が進行している。
これに伴い、その基板となるシリコン等のウェハ上において、微細加工化及び高集積化が要求されている。そして、シリコン等のウェハ上に集積回路の微細パターンを露光・転写する光リソグラフィーにおいては、光リソグラフィー装置と呼ばれる露光装置が使用されている。
【0003】
VLSIの中でDRAMを例にあげると、近年256M以上の容量が現実のものとなり、加工線幅が0.35μm 以下と微細になっているため、光リソグラフィー技術のかなめである光リソグラフィー装置の投影レンズには、高い結像性能(解像度、焦点深度)が要求されている。
解像度と焦点深度は、露光に用いる光の波長とレンズのNA(開口数)によって決まる。
【0004】
露光波長λが同一の場合には、細かいパターンほど回折光の角度が大きくなるので、レンズのNAが大きくなければ回折光を取り込めなくなる。また、露光波長λが短いほど、同一パターンにおける回折光の角度は小さくなるので、レンズのNAは小さくてよいことになる。
解像度と焦点深度は、次式により表される。
【0005】
解像度=k1 ・λ/NA
焦点深度=k2 ・λ/(NA)2
(ここで、k1 、k2 は比例定数)
上式より、解像度を向上させるためには、レンズのNAを大きくする(レンズを大口径化する)か、或いは露光波長λを短くすればよく、またλを短くする方が焦点深度の点で有利であることが判る。
【0006】
まず、光の短波長化について述べると、露光波長λがしだいに短波長となり、KrFエキシマレーザー光(波長248nm )を光源とするステッパーも市場に登場するようになってきた。
250 nm以下の短波長領域においては、光リソグラフィー用として使える光学材料は非常に少なく、蛍石単結晶及び石英ガラスの2種類の材料が用いられている。
【0007】
次に、レンズの大口径化について述べると、単に大口径であればよいというものではなく、光透過率、低歪み(低複屈折)等の光学特性に優れた石英ガラスや蛍石単結晶が要求される。
蛍石単結晶は、ブリッジマン法(ストックバーガー法、ルツボ降下法)により育成(結晶成長)されている。このブリッジマン法による蛍石単結晶の育成方法については、結晶成長ハンドブック(1995年9月1日初版1刷発行P583〜)の中で、ブリッジマン・ストックバーガー法(B−S法)として紹介されている。ここで開示されている内容の概要を示す。
【0008】
ブリッジマン・ストックバーガー法は、結晶成長炉内に設定された温度勾配(蛍石原料の融点前後の温度間の勾配)中において、蛍石原料を収納したルツボを降下させることにより、ルツボ中の原料融液を結晶化させる方法である。
前記ハンドブックには、ルツボ、ヒータ、断熱材、ベルジャ、排気機構、降下機構からなる結晶成長炉の構造が示されており(P584,図5.4.2)、また蛍石単結晶の成長は、ブリッジマン法だけでなく、引き上げ法やゾーンメルト法によっても可能であると記載されている。
【0009】
ここで、光学部材作製用素材である蛍石単結晶を製造する従来方法(一例)を示す。
先ず、以下に示すように前記ブリッジマン法を用いて蛍石単結晶を育成することにより、蛍石単結晶のインゴットを形成する。
紫外域または真空紫外域において使用される蛍石単結晶の場合、原料として天然の蛍石を使用することはなく、化学合成により作製された高純度原料を使用することが一般的である。
【0010】
原料は粉末のまま使用することが可能であるが、この場合、熔融したときの体積減少が激しいため、半熔融品やその粉砕品を用いるのが普通である。
まず、育成装置(結晶成長炉)の中に前記原料を充填(収納)したルツボを置き、育成装置内を10-3〜10-4Paの真空雰囲気に保持する。
次に、育成装置内の温度を蛍石の融点以上まで上昇させてルツボ内の原料を熔融する。この際、育成装置内温度の時間的変動を抑えるために、定電力出力による温度制御または高精度なPID温度制御を行う。
【0011】
結晶育成段階では、育成装置内に設定された温度勾配(蛍石原料の融点前後の温度帯の勾配)中において、0.1 〜5mm/h程度の速度でルツボを引き下げることにより、ルツボの下部から徐々に結晶化させる。
融液最上部まで結晶化したところで結晶育成は終了し、育成した結晶(インゴット)が割れないように、急冷を避けて簡単な徐冷を行う。育成装置内の温度が室温程度まで下がったところで、装置を大気開放してインゴットを取り出す。
【0012】
以上のようにして、蛍石単結晶のインゴットを形成する。
次に、サイズの小さい光学部品や均質性の要求されない窓材などに用いられる蛍石単結晶の場合には、インゴットを切断した後、丸めなどの工程を経て最終製品まで加工される。
これに対して、光リソグラフィー装置の投影レンズなどに用いられ、高均質が要求される蛍石単結晶の場合には、インゴットのまま簡単な熱処理が行われる。
そして、目的の製品別に適当な大きさに切断加工された後、さらに熱処理が行われる。
【0013】
以上のようにして、目的の最終製品(光学部材)に対応した蛍石単結晶素材(最終製品作製用の素材)が製造される。
しかしながら、前記従来法により蛍石単結晶を製造しても光透過性に優れ、しかも複屈折の小さな蛍石単結晶が得られなかった。
そのため、従来法で製造した蛍石単結晶は、真空紫外光(例えば、KrF、ArFエキシマレーザー、F2レーザー、固体レーザー、Xe2ランプ光、Kr2ランプ光)を光源とした光リソグラフィー装置の光学系(光学部材)に使用できないという問題点があった。
【0014】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、真空紫外光(例えば、KrF、ArFエキシマレーザー、F2レーザー、固体レーザー、Xe2ランプ光、Kr2ランプ光)を光源とした光リソグラフィー装置の光学系(光学部材)に使用できる光学部材を作製するための蛍石単結晶素材を製造する方法、その製造方法にかかる熱処理方法、及び前記光学部材として使用できる蛍石単結晶を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
そのため、本発明は第一に「蛍石単結晶の構造支配温度帯を通過させて、それよりも高い第1温度まで蛍石単結晶を昇温させてから所定時間保持した後に、前記第1温度から前記構造支配温度帯よりも低い第2温度まで降温させることにより、蛍石単結晶の熱処理を行う方法であって、前記構造支配温度帯が610℃〜1010℃であり、前記第1温度から前記第2温度まで降温させる際に、前記構造支配温度帯における熱処理時間(滞留時間)を780時間以下にすることを特徴とする蛍石単結晶の熱処理方法(請求項1)」を提供する。
【0016】
また、本発明は第二に「少なくとも、蛍石原料を融解して形成した融液を固化させて蛍石単結晶を成長させることにより、蛍石単結晶のインゴットを作製する工程と、前記インゴットから、或いは前記インゴットに熱処理を施した後にそのインゴットから蛍石単結晶の成形品を切り出す工程と、前記成形品を請求項1記載の方法により熱処理する工程と、を備えた光学部材作製用の蛍石単結晶素材の製造方法(請求項2)」を提供する
。
【0017】
また、本発明は第三に「少なくとも、蛍石原料とスカベンジャーの混合物を加熱して脱酸素化反応させた後に冷却することにより、或いは前記脱酸素化反応と前記蛍石原料の融解及び冷却により、脱酸素化した蛍石の焼結体または多結晶体である前処理品を得る工程と、前記前処理品を融解して形成した融液を固化させて蛍石単結晶を成長させることにより、蛍石単結晶のインゴットを作製する工程と、前記インゴットから、或いは前記インゴットに熱処理を施した後にそのインゴットから蛍石単結晶の成形品を切り出す工程と、前記成形品を請求項1記載の方法により熱処理する工程と、を備えた光学部材作製用の蛍石単結晶素材の製造方法(請求項3)」を提供する
。
【0018】
また、本発明は第四に「少なくとも、蛍石原料を融解して形成した融液を固化させて蛍石単結晶を成長させることにより、蛍石単結晶のインゴットを作製する工程と、前記インゴットから、或いは前記インゴットに熱処理を施した後にそのインゴットから蛍石単結晶の成形品及びテストピースを切り出す工程と、前記成形品及びテストピースを請求項1記載の方法により熱処理する工程と、を備えた光学部材作製用の蛍石単結晶素材及びテストピースの製造方法(請求項4)」を提供する。
【0019】
また、本発明は第五に「少なくとも、蛍石原料とスカベンジャーの混合物を加熱して脱酸素化反応させた後に冷却することにより、或いは前記脱酸素化反応と前記蛍石原料の融解及び冷却により脱酸素化した蛍石の焼結体または多結晶体である前処理品を得る工程と、前記前処理品を融解して形成した融液を固化させて蛍石単結晶を成長させることにより、蛍石単結晶のインゴットを作製する工程と、前記インゴットから、或いは前記インゴットに熱処理を施した後にそのインゴットから蛍石単結晶の成形品及びテストピースを切り出す工程と、前記成形品及びテストピースを請求項1記載の方法により熱処理する工程と、を備えた光学部材作製用の蛍石単結晶素材及びテストピースの製造方法(請求項5)」を提供する。
【0020】
また、本発明は第六に「前記成形品及びテストピースを同時に同条件で熱処理することを特徴とする請求項4または5記載の製造方法(請求項6)」を提供する。
また、本発明は第七に「前記光学部材が光リソグラフィー用の光学部材であることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の製造方法(請求項7)」を提供する。
【0021】
(削除)
【0022】
また、本発明は第八に「波長633nmの光に対する複屈折光路差が5nm/cm以下であり、波長193nmの真空紫外光に対する内部透過率が99.8%/cm以上であり、波長157nmの真空紫外光に対する内部透過率が99.6%/cm以上であることを特徴とする、請求項7記載の製造方法により製造される光リソグラフィー用の蛍石単結晶(請求項8)」を提供する。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、単結晶蛍石(蛍石単結晶)を熱処理する際に、構造支配温度帯を通過させるとともに、降温側の滞留時間を780時間以下に制御することにより、透過率に優れ、複屈折の小さな蛍石単結晶が得られることを見いだした。
そこで、蛍石単結晶の構造支配温度帯を通過させて、それよりも高い第1温度まで蛍石単結晶を昇温させてから所定時間保持した後に、前記第1温度から前記構造支配温度帯よりも低い第2温度まで降温させることにより、蛍石単結晶の熱処理を行う本発明(請求項1)にかかる熱処理方法においては、前記第1温度から前記第2温度まで降温させる際に、前記構造支配温度帯における熱処理時間(滞留時間)を780時間以下にすることとした。
【0024】
ここで、本発明にかかる構造支配温度帯とは、熱処理対象物における複屈折(歪み)の低減、屈折率の均質化等の光学特性向上に対して影響度が特に大きい熱処理の温度域を示し、蛍石単結晶にかかる構造支配温度帯の範囲は、610℃〜1010℃である(請求項1)。
本発明(請求項1)にかかる熱処理方法によれば、透過率に優れ、複屈折の小さな蛍石単結晶が得られる。
【0025】
また、少なくとも、蛍石原料を融解して形成した融液を固化させて蛍石単結晶を成長させることにより、蛍石単結晶のインゴットを作製する工程と、前記インゴットから、或いは前記インゴットに熱処理を施した後にそのインゴットから蛍石単結晶の成形品を切り出す工程と、前記成形品を請求項1にかかる方法により熱処理する工程と、により本発明(請求項2)にかかる光学部材作製用の蛍石単結晶素材の製造方法を構成することとした。
【0026】
本発明(請求項2)にかかる製造方法によれば、透過率に優れ、複屈折の小さな光学部材作製用の蛍石単結晶素材が得られる。
また、少なくとも、蛍石原料とスカベンジャーの混合物を加熱して脱酸素化反応させた後に冷却することにより、或いは前記脱酸素化反応と前記蛍石原料の融解及び冷却により、脱酸素化した蛍石の焼結体または多結晶体である前処理品を得る工程と、前記前処理品を融解して形成した融液を固化させて蛍石単結晶を成長させることにより、蛍石単結晶のインゴットを作製する工程と、前記インゴットから、或いは前記インゴットに熱処理を施した後にそのインゴットから蛍石単結晶の成形品を切り出す工程と、前記成形品を請求項 1記載の方法により熱処理する工程と、により本発明(請求項3)にかかる光学部材作製用の蛍石単結晶素材の製造方法を構成することとした。
【0027】
本発明(請求項3)にかかる製造方法によれば、透過率が特に優れ、複屈折がさらに小さな光学部材作製用の蛍石単結晶素材が得られる。
本発明においては、蛍石単結晶素材と併せてその光学特性を評価するためのテストピースを製造することが好ましい(請求項4,5)。また、本発明にかかる光学特性評価用のテストピースは、蛍石単結晶素材(成形品)の正確な特性評価ができるように、成形品と同時に同条件で熱処理することが好ましい(請求項6)。
【0028】
本発明にかかる製造方法は、特に優れた光学特性が要求される光リソグラフィー用光学部材に使用できる蛍石単結晶素材の製造に好適である(請求項7)。
【0029】
或いは、本発明にかかる製造方法によれば、波長633nmの光に対する複屈折光路差が5nm/cm以下であり、波長193nmの真空紫外光に対する内部透過率が99.8%/cm以上であり、波長157nmの真空紫外光に対する内部透過率が99.6%/cm以上である光リソグラフィー用の蛍石単結晶(素材)が得られる(請求項8)。
【0030】
また、例えば本発明にかかる製造方法により得られた蛍石単結晶を製品形状に加工すれば、光リソグラフィー用の光学部材が得られる。
【0031】
上記光リソグラフィー用の光学部材は、波長633nmの光に対する複屈折光路差が5nm/cm以下であり、波長193nmの真空紫外光に対する内部透過率が99.8%/cm以上であり、波長157nmの真空紫外光に対する内部透過率が99.6%/cm以上である蛍石単結晶により構成される。
【0032】
ここで、光リソグラフィー用光学部材の作製に用いられる蛍石単結晶素材の本発明にかかる製造方法(一例、図1参照)を示す。
この製造方法は、少なくとも、粉末原料を前処理により脱酸素化してから結晶成長させる過程と、結晶成長により得られたかたまり(インゴット)を、或いはさらに熱処理を施したインゴットを切断及び成形して成形品を得る工程と、この成形品に熱処理を施すことにより複屈折を低減した蛍石単結晶素材を得る工程と、により構成される。なお、この蛍石単結晶素材を加工することにより光リソグラフィー用光学部材が得られる。
【0033】
まず、粉末原料を脱酸素化反応させる前処理について述べる。
紫外域または真空紫外域で使用される蛍石単結晶をブリッジマン法により育成する場合には、前述したように原料に天然の蛍石を使用することはなく、人工合成の高純度原料を使用することが一般的である。
さらに、原料のみを融解して結晶化すると白濁して失透する傾向を示すため、スカベンジャーを添加して加熱することにより、白濁を防止する処置を施している。蛍石単結晶の前処理や育成において使用される代表的なスカベンジャーとしては、フッ化鉛(PbF2)が挙げられる。
【0034】
なお、原料中に含有される不純物と化学反応し、これを取り除く作用をする添加物質のことを一般にスカベンジャーという。
蛍石原料にスカベンジャーとしてフッ化鉛を添加することにより、白濁による失透を防止する機構は以下のとおりである。
フッ化鉛は、蛍石原料中に含有される不純物の酸素と反応して酸化鉛(PbO)となり、この反応式を以下に示す。
【0035】
CaO+PbF2→CaF2+PbO
この反応の結果、生成した酸化鉛は高温で揮発するため、蛍石から酸素を取り除くことができる。白濁による失透は、蛍石に含まれる酸素によるため、この酸素を除去することにより、蛍石単結晶の失透を防止することができる。
本発明にかかる前処理(一例)においては先ず、高純度な粉末原料に粉末状のフッ化鉛を1mol%程度添加して良く混合させてから、これを黒鉛製容器などの清浄な容器に充填(収納)する。
【0036】
次に、この容器を真空排気が可能で、通電加熱ヒーターなどの加熱手段を備えた真空加熱装置の所定位置に設置する。
充分な排気下において、スカベンジャーであるフッ化鉛の融点以上で、蛍石の融点未満の温度まで加熱昇温させることにより脱酸素化反応を進める。
ここで便宜上、この脱酸素化反応が進行する温度を脱酸素化反応温度とよび、温度の下限値と上限値の温度範囲を脱酸素化反応温度帯とよぶこととする。本発明にかかる脱酸素化反応温度帯(一例)は850℃〜1350℃である。
【0037】
脱酸素化反応温度帯を通過させた後は、そのまま室温まで降温して焼結体としても良いし、或いは脱酸素化反応温度帯を通過させてから更に温度を上昇させて一旦原料を融解させた後、室温まで降温して多結晶体としても良い。
以上のようにして脱酸素化がなされた焼結体や多結晶体を前処理品という。
次に、この前処理品を用いてさらに結晶成長させることによりインゴットを得る過程(一例)について以下に示す。
【0038】
結晶成長の方法には、融液の固化、溶液からの析出、気体からの析出、固体粒子の成長に大別できることが広く知られているが、本例においては垂直ブリッジマン法により結晶成長させる(前処理品をいったん融解し、融液から固化させる)。
まず、前処理品を黒鉛製容器などの清浄な容器に充填(収納)し、真空排気が可能な垂直ブリッジマン装置(結晶成長炉)の所定位置に設置する。
【0039】
充分な排気下において、通電加熱ヒーターなどの加熱手段により容器内に充填された前処理品を加熱して融解させる。前処理品の融点に到達した後は、すぐに引下げによる結晶化を開始するよりも、1〜10時間程度以上を経過させた後に結晶化を開始する。
引下げは1時間あたり0.2mmから2mm程度の速度で行い、また1時間あたり0.1回転から100回転程度の割合でルツボを回転させることも可能である。融液のすべてが結晶化したら、室温まで徐冷してインゴットとして取り出す。
【0040】
そして、インゴットを切断し、さらにまるめ加工などの成形加工を行って成形品とする。光リソグラフィー用の光学部材に使用する蛍石は単結晶であることが不可欠である。これは、多結晶(単結晶の集合体)では、単結晶どうしの界面に歪が残留して大きな複屈折を示すからである。
従って、光リソグラフィー用の光学部材に使用する蛍石は成形品の段階でも単結晶である必要がある。以下に、この単結晶成型品を熱処理して除歪する熱処理過程(一例)について述べる。
【0041】
熱処理する際の単結晶成形品は、目的とする製品(光学部材)より大きければ、熱処理後の加工により光学部材が作製可能であるが、形状と大きさ共に目的とする光学部材と同程度が望ましい。
例えば、光学レンズが目的製品の場合には薄い円柱状形状であり、その口径と厚さは光学レンズに合わせて決めることが望ましい。
【0042】
この単結晶成形品と同じインゴットからは、単結晶成形品とは別に小型の成形品(透過率測定用)を製作し、この小型成形品を単結晶成形品と同時に同条件で熱処理することが望ましい。小型成形品は、熱処理が完了したら向かい合う2面を研磨して、透過率測定用サンプル(テストピース)とする。
熱処理する際には、単結晶成形品及び小型成形品を構造支配温度帯を通過させるとともに、その降温側滞留時間が780時間以下となるように制御する。構造支配温度帯は蛍石においては、610℃〜1010℃の範囲である。
【0043】
即ち、まず単結晶成形品及び小型成形品の温度を室温から徐々に上昇させ、構造支配温度帯を通過させて1010℃以上にする。その後、徐々に温度を降下させ、構造支配温度帯を通過させて610℃以下とする。
降温時に、構造支配温度帯に滞留している時間を780時間以下にすることにより、透過率の良好な蛍石単結晶が得られる。
【0044】
ここで、構造支配温度帯を通過させる際には、単結晶成型品及び小型成形品に温度むらがないことが望ましい。そこで、単結晶成形品及び小型成形品を熱伝導性の良好な黒鉛製などの容器に収容し、この容器の周囲に加熱手段を設けると良い。
この後、室温まで徐冷して、熱処理を施した単結晶成型品及び小型成形品を取り出す。この熱処理を施した単結晶成型品及び小型成形品をそれぞれ熱処理品、小型熱処理品と呼ぶこととする。
【0045】
ところで、透過率の良好な蛍石単結晶を得るために、熱処理の雰囲気は酸素や水分を避けることが望ましい。また、蛍石単結晶と高温でむやみに反応しない雰囲気が望ましい。
そこで、真空雰囲気、不活性ガス雰囲気、またはフッ素系ガス雰囲気が望ましい。真空雰囲気であれば、充分な排気により真空度を0.001気圧以下にすると良い。また、不活性ガスとしては、ドライ窒素、ドライアルゴン、ドライネオンが望ましく、フッ素系ガスとしては酸性フッ化アンモニウムやフッ素ガスが良い。
【0046】
以上のようにして、光リソグラフィー用光学部材の作製に用いられる蛍石単結晶素材である、熱処理を施した単結晶成形品(熱処理品)が熱処理を施した小型成形品(小型熱処理品)とともに得られる。
この熱処理を施した単結晶成形品を更に加工することにより、目的の製品(光リソグラフィー用光学部材)が得られる。
【0047】
なお、熱処理品を用いて複屈折を測定し、633nm複屈折光路差を検査する。また、小型熱処理品はテストピースに加工して透過率を検査する。
このようにして得られた熱処理品は光透過性に優れ、複屈折が小さいという光リソグラフィーに好適な光学特性を有しているので、ArFレーザ光(193nm)、Xe2ランプ光(172nm)、F2レーザ光(157nm)、Kr2ランプ光(146nm)または固体レーザ光などの真空紫外光を光源とした光リソグラフィー用の光学部材に使用することができる。
【0048】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0049】
【実施例】
<実施例1>
本実施例にかかる製造方法は、蛍石原料を融解して形成した融液を固化させて蛍石単結晶を成長させることにより、蛍石単結晶のインゴットを作製する工程と、さらに熱処理を施した前記インゴットから蛍石単結晶の成形品及びテストピースを切り出す工程と、前記成形品及びテストピースを下記の方法により熱処理する工程と、を備えており、この製造方法により本実施例にかかる光学部材作製用の蛍石単結晶素材及びテストピースを製造した。
【0050】
ここで、蛍石単結晶である成形品及びテストピースの前記熱処理は、蛍石単結晶の構造支配温度帯(610℃〜1010℃)を通過させて、それよりも高い第1温度まで蛍石単結晶を昇温させてから所定時間保持した後に、前記第1温度から前記構造支配温度帯よりも低い第2温度まで降温させることにより行い、前記第1温度から前記第2温度まで降温させる際に、前記構造支配温度帯における熱処理時間(滞留時間)を780時間以下にした。
【0051】
本実施例においては、蛍石単結晶素材と併せてその光学特性を評価するためのテストピースを製造し、かつテストピースを蛍石単結晶素材(成形品)の正確な特性評価ができるように、成形品と同時に同条件で熱処理した。
以下に、製造工程を具体的に示す。
先ず、蛍石原料を黒鉛製容器などの清浄な容器に充填し、真空排気が可能な垂直ブリッジマン装置(結晶成長炉)の所定位置に設置した。充分な排気下において、ヒーターの通電加熱により蛍石原料を昇温させて融解させた。
【0052】
融点に到達した後は、すぐに引下げによる結晶化を開始させず、6時間経過させた後に結晶化を開始した。引下げは1時間あたり1mmの速度で行い、融液のすべてが結晶化したら、室温まで徐冷してインゴットとして取り出した。
インゴットのまま熱処理を行った後にインゴットを切断し、さらにまるめ加工などの成形加工を行って、口径290mm、厚さ60mmの円柱状の単結晶成形品とした。
【0053】
この単結晶成形品と同じインゴットからは、単結晶成形品とは別に口径40mm、厚さ15mmの円柱状の小型成形品を製作した。
次に、単結晶成形品と小型成形品を黒鉛製容器に収容し、酸性フッ化アンモニウム130gも黒鉛製容器に収容した。そして、黒鉛製容器をさらにステンレス製の容器に収容した。
【0054】
このステンレス製容器は密閉可能であり、排気設備を接続することにより真空排気も可能である。また、ガス配管設備を設けることにより、不活性ガスなどの気体の導入も可能である。このステンレス製容器の周囲には通電加熱が可能なヒーターを配置してある。
ステンレス容器内部を充分に排気した後に密閉して、徐々に昇温した。温度条件は、構造支配温度帯を通過させるとともに、その降温側滞留時間を780時間以下にすることが重要である。構造支配温度帯は蛍石においては、610℃〜1010℃の範囲である。従って、まず単結晶成形品及び小型成形品の温度を室温から徐々に上昇させ、構造支配温度帯を通過させて1020℃にした。その後、徐々に温度を降下させ、構造支配温度帯を通過させて600℃とした。構造支配温度帯を780時間で通過させることにより降温側滞留時間を780時間以内とした。
【0055】
この後、室温まで徐冷して、熱処理品(光学部材作製用の素材)と小型熱処理品(テストピース用)を取り出した。
熱処理品の複屈折は以下のように測定した。複屈折測定には、オーク製作所製の複屈折自動測定装置(ADRシリーズ)を用いた。熱処理品一つにつき、1000ポイントの多点測定を行い、波長633nmの光に対する複屈折光路差がすべて5nm/cm以下であることを確認した。
【0056】
小型熱処理品はテストピースに加工して透過率を測定し、波長193nmの光に対する内部透過率が99.8%/cm以上であることを確認した。なお、分光光度計にはVarian社製のCary5を使用した。また、テストピースは平行2面間の距離(厚さ)が10mm、平行度が30秒以下、表面粗さRMSが5Å以下となるように鏡面研磨した。
【0057】
こうして得られた熱処理品は光透過性に優れ、複屈折が小さいという光リソグラフィーに好適な光学特性を有しているため、ArFレーザ光(193nm)を光源とした光リソグラフィー装置の光学部材に使用可能であった。
<比較例1>
実施例1と同様にして本比較例の熱処理品及び小型熱処理品を作製したが、実施例1との比較実験のため、本比較例においては、単結晶成形品及び小型成形品の温度を室温から徐々に上昇させたが、構造支配温度帯を通過させずに920℃までとし、その後徐々に温度を降下させて600℃とした。さらに室温まで徐冷して、熱処理品と小型熱処理品を取り出した。
【0058】
熱処理品の複屈折は以下のように測定した。複屈折測定には、オーク製作所製の複屈折自動測定装置(ADRシリーズ)を用いた。熱処理品一つにつき、1000ポイントの多点測定を行った。、
波長633nmの光に対する複屈折光路差は、すべてが5nm/cm以下であることはなく、1000ポイントのうち148ポイントが5〜15nm/cmの範囲であった。このように、本比較例により製造した熱処理品は、明らかに複屈折が劣っていた。
【0059】
小型熱処理品は、テストピースに加工して透過率を測定し、波長193nmの光に対する内部透過率が99.8%/cm以上であることを確認した。つまり光透過性には優れていた。なお、分光光度計にはVarian社製のCary5を使用した。また、テストピースは平行2面間の距離(厚さ)が10mm、平行度が30秒以下、表面粗さRMSが5Å以下となるように鏡面研磨した。
【0060】
こうして得られた熱処理品は光透過性には優れているが、複屈折が大きいため光リソグラフィー装置の光学部材には使用できなかった。
<比較例2>
実施例1と同様にして本比較例の熱処理品及び小型熱処理品を作製した。
本比較例においては、実施例1と同様に単結晶成形品及び小型成形品の温度を室温から徐々に上昇させ、構造支配温度帯を通過させてから1020℃まで昇温させた。 その後、徐々に温度を降下させることにより、構造支配温度帯を通過させて600℃としたが、実施例1との比較実験のため、降温時において構造支配温度帯を900時間で通過させた。
【0061】
即ち、本比較例では、「降温側滞留時間を780時間以内にする」という条件を意図的に満たさないようにした。
その後、室温まで徐冷して、熱処理品と小型熱処理品を取り出した。
熱処理品の複屈折は以下のように測定した。複屈折測定には、オーク製作所製の複屈折自動測定装置(ADRシリーズ)を用いた。熱処理品一つにつき、1000ポイントの多点測定を行い、波長633nmの光に対する複屈折光路差がすべて5nm/cm以下であることを確認した。
【0062】
小型熱処理品は、テストピースに加工して透過率を測定したところ、波長193nmの光に対する内部透過率が99.1%/cmと良くないことが判明した。
なお、分光光度計にはVarian社製のCary5を使用した。また、テストピースは平行2面間の距離(厚さ)が10mm、平行度が30秒以下、表面粗さRMSが5Å以下となるように鏡面研磨した。
【0063】
このようにして得られた熱処理品は、複屈折は小さいものの、光透過性に劣っているため、光リソグラフィー装置の光学部材には使用できなかった。
<実施例2>
本実施例にかかる製造方法は、蛍石原料とスカベンジャーの混合物を加熱して脱酸素化反応させた後に冷却することにより、或いは前記脱酸素化反応と前記蛍石原料の融解及び冷却により脱酸素化した蛍石の多結晶体である前処理品を得る工程と、前記前処理品を融解して形成した融液を固化させて蛍石単結晶を成長させることにより、蛍石単結晶のインゴットを作製する工程と、さらに熱処理を施した前記インゴットから蛍石単結晶の成形品及びテストピースを切り出す工程と、前記成形品及びテストピースを下記の方法により熱処理する工程と、を備えており、この製造方法により本実施例にかかる光学部材作製用の蛍石単結晶素材及びテストピースを製造した。
【0064】
ここで、蛍石単結晶である成形品及びテストピースの前記熱処理は、蛍石単結晶の構造支配温度帯(610℃〜1010℃)を通過させて、それよりも高い第1温度まで蛍石単結晶を昇温させてから所定時間保持した後に、前記第1温度から前記構造支配温度帯よりも低い第2温度まで降温させることにより行い、前記第1温度から前記第2温度まで降温させる際に、前記構造支配温度帯における熱処理時間(滞留時間)を780時間以下にした。
【0065】
本実施例においては、蛍石単結晶素材と併せてその光学特性を評価するためのテストピースを製造し、かつテストピースを蛍石単結晶素材(成形品)の正確な特性評価ができるように、成形品と同時に同条件で熱処理した。
以下に、製造工程を具体的に示す。
先ず、蛍石の粉末原料に粉末状のフッ化鉛1mol%を添加して良く混合させ、これを黒鉛製の清浄な容器に充填した。
そして、この容器を真空排気が可能であり、通電加熱ヒーターを有する真空加熱装置の所定位置に設置した。充分な排気下において、脱酸素化反応温度帯を通過させた後、さらに温度を上昇させて一旦原料を融解させた後、室温まで降温して多結晶体とした。以上のように、注意深く脱酸素化処理を行うことにより前処理品(蛍石の多結晶体)を作製した。
【0066】
前処理品を黒鉛製容器などの清浄な容器に充填し、真空排気が可能な垂直ブリッジマン装置(結晶成長炉)の所定位置に設置した。充分な排気下において、ヒーターの通電加熱により前処理品を昇温させて融解させた。
融点に到達した後は、すぐに引下げによる結晶化を開始させず、6時間経過させた後に結晶化を開始した。引下げは1時間あたり1mmの速度で行い、融液のすべてが結晶化したら、室温まで徐冷してインゴットとして取り出した。
【0067】
インゴットのまま熱処理を行った後にインゴットを切断し、さらにまるめ加工などの成型加工を行って、口径290mm、厚さ60mmの円柱状の単結晶成形品とした。
この単結晶成形品と同じインゴットからは、単結晶成形品とは別に口径40mm、厚さ15mmの円柱状の小型成形品を製作した。
【0068】
次に、単結晶成形品と小型成形品を黒鉛製容器に収容し、酸性フッ化アンモニウム130gも黒鉛製容器に収容した。そして、黒鉛製容器をさらにステンレス製の容器に収容した。
このステンレス製容器は密閉可能であり、排気設備を接続することにより真空排気も可能である。また、ガス配管設備を設けることにより、不活性ガスなどの気体の導入も可能である。このステンレス製容器の周囲には通電加熱が可能なヒーターを配置してある。
【0069】
ステンレス容器内部を充分に排気した後に密閉して、徐々に昇温した。温度条件は、構造支配温度帯を通過させるとともに、その降温側滞留時間を780時間以下にすることが重要である。構造支配温度帯は蛍石においては、610℃〜1010℃の範囲である。従って、まず単結晶成形品及び小型成形品の温度を室温から徐々に上昇させ、構造支配温度帯を通過させて1020℃にした。その後、徐々に温度を降下させ、構造支配温度帯を通過させて600℃とした。構造支配温度帯を780時間で通過させることにより降温側滞留時間を780時間以内とした。
【0070】
この後、室温まで徐冷して、熱処理品(光学部材作製用の素材)と小型熱処理品(テストピース用)を取り出した。
熱処理品の複屈折は以下のように測定した。複屈折測定には、オーク製作所製の複屈折自動測定装置(ADRシリーズ)を用いた。熱処理品一つにつき、1000ポイントの多点測定を行い、波長633nmの光に対する複屈折光路差がすべて5nm/cm以下であることを確認した。
【0071】
小型熱処理品はテストピースに加工して透過率を測定し、波長193nmの光に対する内部透過率が99.8%/cm以上、波長157nmの光に対する内部透過率が99.6%/cm以上であることを確認した。なお、分光光度計にはVarian社製のCary5(193nm内部透過率の測定)と日本分光社製のVUV200(157nm内部透過率の測定)をそれぞれ使用した。
【0072】
なお、テストピースは平行2面間の距離(厚さ)が10mm、平行度が30秒以下、表面粗さRMSが5Å以下となるように鏡面研磨した。
こうして得られた熱処理品は光透過性に優れ、複屈折が小さいという光リソグラフィーに好適な光学特性を有しているため、ArFレーザ光(193nm)を光源とした光リソグラフィー装置の光学部材だけでなく、F2レーザ光(157nm)用の光学部材にも使用できた。
【0073】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明(請求項1)にかかる熱処理方法によれば、透過率に優れ、複屈折の小さな蛍石単結晶が得られる。
また、本発明(請求項2〜7)にかかる製造方法によれば、透過率に優れ、複屈折の小さな光学部材作製用の蛍石単結晶素材が得られる。
【0074】
また、本発明(請求項8)にかかる蛍石単結晶は、優れた光学特性(透過率、複屈折)が要求される光リソグラフィー用の光学部材に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明にかかる光学部材作製用の蛍石単結晶素材とその評価用テストピースを製造する方法(一例)を示す工程図である。
Claims (8)
- 蛍石単結晶の構造支配温度帯を通過させて、それよりも高い第1温度まで蛍石単結晶を昇温させてから所定時間保持した後に、前記第1温度から前記構造支配温度帯よりも低い第2温度まで降温させることにより、蛍石単結晶の熱処理を行う方法であって、
前記構造支配温度帯が610℃〜1010℃であり、
前記第1温度から前記第2温度まで降温させる際に、前記構造支配温度帯における熱処理時間(滞留時間)を780時間以下にすることを特徴とする蛍石単結晶の熱処理方法。 - 少なくとも、
蛍石原料を融解して形成した融液を固化させて蛍石単結晶を成長させることにより、蛍石単結晶のインゴットを作製する工程と、
前記インゴットから、或いは前記インゴットに熱処理を施した後にそのインゴットから蛍石単結晶の成形品を切り出す工程と、
前記成形品を請求項1記載の方法により熱処理する工程と、
を備えた光学部材作製用の蛍石単結晶素材の製造方法。 - 少なくとも、
蛍石原料とスカベンジャーの混合物を加熱して脱酸素化反応させた後に冷却することにより、或いは前記脱酸素化反応と前記蛍石原料の融解及び冷却により、脱酸素化した蛍石の焼結体または多結晶体である前処理品を得る工程と、
前記前処理品を融解して形成した融液を固化させて蛍石単結晶を成長させることにより、蛍石単結晶のインゴットを作製する工程と、
前記インゴットから、或いは前記インゴットに熱処理を施した後にそのインゴットから蛍石単結晶の成形品を切り出す工程と、
前記成形品を請求項1記載の方法により熱処理する工程と、
を備えた光学部材作製用の蛍石単結晶素材の製造方法。 - 少なくとも、
蛍石原料を融解して形成した融液を固化させて蛍石単結晶を成長させることにより、蛍石単結晶のインゴットを作製する工程と、
前記インゴットから、或いは前記インゴットに熱処理を施した後にそのインゴットから蛍石単結晶の成形品及びテストピースを切り出す工程と、
前記成形品及びテストピースを請求項1記載の方法により熱処理する工程と、
を備えた光学部材作製用の蛍石単結晶素材及びテストピースの製造方法。 - 少なくとも、
蛍石原料とスカベンジャーの混合物を加熱して脱酸素化反応させた後に冷却することにより、或いは前記脱酸素化反応と前記蛍石原料の融解及び冷却により脱酸素化した蛍石の焼結体または多結晶体である前処理品を得る工程と、
前記前処理品を融解して形成した融液を固化させて蛍石単結晶を成長させることにより、蛍石単結晶のインゴットを作製する工程と、
前記インゴットから、或いは前記インゴットに熱処理を施した後にそのインゴットから蛍石単結晶の成形品及びテストピースを切り出す工程と、
前記成形品及びテストピースを請求項1記載の方法により熱処理する工程と、
を備えた光学部材作製用の蛍石単結晶素材及びテストピースの製造方法。 - 前記成形品及びテストピースを同時に同条件で熱処理することを特徴とする請求項4ま たは5記載の製造方法。
- 前記光学部材が光リソグラフィー用の光学部材であることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の製造方法。
- 波長633nmの光に対する複屈折光路差が5nm/cm以下であり、波長193nmの真空紫外光に対する内部透過率が99.8%/cm以上であり、波長157nmの真空紫外光に対する内部透過率が99.6%/cm以上であることを特徴とする、請求項7記載の製造方法により製造される光リソグラフィー用の蛍石単結晶。
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