JP4836905B2 - BaLiF3単結晶体の製造方法 - Google Patents

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本発明はBaLiF単結晶体からなる光学部材の製造方法に関する。より詳しくは、液浸式露光装置のラストレンズとして有望な、光を透過させる主軸方向が<100>方向であるBaLiF結晶の光学特性を向上させることのできる製造方法に関する。
半導体集積回路などの電子材料の製造分野で実施されるリソグラフィーエ程では、露光基板に対する転写パターンの微細化の要求が高まっており、この要求を実現すべく露光装置の解像度の向上が検討されている。
一般に露光装置では、露光波長が小さくレンズの開口数が大きいほど、解像線幅を小さくして解像度を向上できることが知られている。このため、波長200nm以下の真空紫外領域の光(たとえば、ArFエキシマレーザー;発振波長193nm、F2エキシマレーザー;発振波長157nmなど)を光源として使用する試みと共に、このような短波長の光に対応可能な光学系の設計や、レンズ材料の開発などが進められている。
また、これらの試みと並行して、露光基板と露光装置のラストレンズとの間に液体を充填することにより、露光基板面における光の波長を実質的に短くして解像度を向上させようとする液浸式露光装置の研究も進められている。
液浸式露光装置は、少なくとも、光源と、照明光学系と、マスク(レチクル)と、投影光学系と、液体の供給回収装置とを備えた装置であり、投影光学系の露光基板側の先端に設けられたレンズ(ラストレンズ)と、レジスト膜を有する露光基板との間に、液体を充填した状態で露光を行なう装置である。
このような液浸式露光装置のラストレンズには、光源の光の波長における屈折率および透過率が高いこと、真性複屈折や応力複屈折が低いかあるいは存在しないこと、光源の光に対する耐久性があること、使用する液体に対する耐久性があることなどの種々の性能が要求される。
このような液浸式露光装置のラストレンズとして使用できる上記のような物性を有する材料としては、BaLiF単結晶体が提案されている(特許文献1参照)
また液浸式露光装置のラストレンズ以外の用途としては、露光装置等の真空紫外光用装置の光学部材としてBaLiF単結晶体を用いることが既に提案されている(例えば、特許文献2、3参照)。
液浸式露光装置のラストレンズとしてBaLiF単結晶体を使用する場合には、BaLiF単結晶体の真性複屈折の特性により露光の解像度が低下することを防ぐために、光学系の設計や、マスク(レチクル)に描かれるパターン形状について工夫がなされる。光学系の設計では、たとえばCaF単結晶などのBaLiF単結晶体とは異なる真性複屈折を有するレンズ材料と組合わせて投影光学系を構成することで、真性複屈折の影響を相殺して露光精度の改善を図ることが検討されているが、このような露光装置の光学設計をする上で、液浸式露光装置のラストレンズとして使用するBaLiF単結晶体としては、光を透過させる主軸方向に対して4回対称性を有する結晶方位<100>の単結晶体が好ましいと言われている。
BaLiF単結晶体は、上述した特許文献にも開示されているように、チョクラルスキー法により製造することが可能である。
通常、チョクラルスキー法によりレンズ等の光学部材用の単結晶を製造する際には、その方法の簡便さや加工効率の点から、光を透過させる主軸方向と同じ方向に結晶を成長させて単結晶体の塊(以下、「インゴット」という)を得た後に、該インゴットを結晶成長方向に対して垂直な面に沿って輪切りにすることで所望の結晶方向を有する板状体(以下、「ディスク」という)を切り出す工程が採用されている(図1参照)。
チョクラルスキー法では、種結晶の結晶方位を選択することによって、単結晶体のインゴットの結晶成長方向を容易に制御することが可能であり、結晶成長方向が<100>方向であるインゴットは、軸方向が<100>方向を向いた種結晶を原料溶融液に接触させた後に、該種結晶を引き上げることで製造することが可能である。
特開2007−005777号公報 特開2002−228802号公報 特開2003−119096号公報
しかしながら、上記のようにチョクラルスキー法で<100>方向に成長させたインゴットを、成長方向に対して垂直に輪切りにしてBaLiF単結晶体のディスクを得た場合には、ディスク面内の屈折率均質性(Homogeneityともいう)が悪くなることがしばしばあることが本発明者らの検討によって明らかになった。
屈折率均質性は、液浸式露光装置のラストレンズとして使用する際に必要な特性であり、ラストレンズの屈折率均質性が低い場合には露光時の解像度が低下して極めて重大な問題になる。
本発明者らが更に検討を進めた結果、上記の方法で製造したBaLiF単結晶体のディスクについてクロスニコルという手法で歪の分布状態を観察した際に、不均質な歪の分布が結晶面に沿ったような線状の跡として観察され、更にこのような歪が不均質になった部分がディスク面内の屈折率が乱れた領域と一致していたことから、歪の不均質な分布が屈折率均質性の低下原因の1つであることが明らかになった。このようなクロスニコルで観察された歪の不均質な分布は、BaLiF単結晶体育成中に結晶中に発生した応力が結晶面でスリップすることによって部分的に緩和されて、他の部分と歪の状態が変わるために引き起こされたものと推定される。
本発明者等は、上記課題の解決手段として、チョクラルスキー法でインゴットを<111>方向に成長させることで、育成中に結晶面においてスリップが発生して歪の分布状態が不均質になることを抑えることが可能であり、この<111>方向に成長させたインゴットから、光を透過させる主軸方向が<100>方向になるように光学部材を切り出すことにより、屈折率均質性の高い光学部材を製造できることを見出し、既に提案している(特願2007−041772)。
しかしながら、この<111>方向に成長させたインゴットから得た、主軸が<100>方向であるBaLiF単結晶体の屈折率均質性も、なお改良の余地がある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行い、その結果、種結晶として軸方向が<123>方向の種結晶を用い、単結晶体(インゴット)を<123>方向に成長させると、該インゴットから切り出した<100>方向のディスクでは、前記<111>方向に成長させた場合よりもさらに屈折率均質性が良好になることを見出し、さらに検討を進めた結果、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、原料溶融液に種結晶を接触させた後に引き上げることによりインゴットを成長させて単結晶体を得るチョクラルスキー法によりBaLiF単結晶体を製造する方法であって、該種結晶体として軸方向が<123>方向の種結晶体を用い、インゴットの成長方向を<123>方向として単結晶体を得ることを特徴とするBaLiF単結晶体の製造方法である。
また他の発明は、上記方法で得たインゴットを加工して{100}面からなる平行2面を有する板状体を得る工程を含む、BaLiF単結晶体からなる光学部材の製造方法である。
上記方法によりインゴットを<123>方向に成長させることにより、育成中の結晶面のスリップの発生を効果的に抑えることができ、<111>方向に成長させた場合よりもさらに屈折率均質性に優れたBaLiF単結晶体を得ることができる。よってこのインゴットから{100}面に平行な面を有する板状体を切り出してBaLiF単結晶体からなる光学部材の製造をした場合には、屈折率均質性の高い光学部材を安定的に、また簡便かつ安価に得ることができる。
さらに<123>方向に成長させたBaLiF単結晶体のインゴットから<100>ディスクを加工する場合には、インゴットを成長方向の垂直面に対して31度傾けた面で切出せばよいため、55度傾けた面で切出す必要がある<111>方向に成長させたBaLiF単結晶体のインゴットよりも、同一サイズのインゴットから同一の厚みの<100>ディスクを得る際に、より直径の大きなディスクを得ることができ、この点からも有利である。
本発明によって製造されるBaLiF単結晶体を加工して得られる光学部材は、液浸式露光装置のラストレンズ等の材料として有用である。
本発明のBaLiF単結晶体の製造方法は、原料溶融液に種結晶を接触させた後に引き上げることによりインゴットを成長させて単結晶体を得るチョクラルスキー法である。
原料として用いるBaF及びLiFとしては可能な限り不純物の少ないものを用いることが好ましく、アルカリ土類金属以外の金属不純物濃度が10ppm以下、さらには5ppm以下、特に1ppm以下であることが望ましい。また水分や酸化物(BaO及びLi0等)も可能な限り除去された原料を用いることが好ましい。
このような原料BaF及びLiFを、モル比で35:65〜48:52程度で混合、溶融した溶融液にBaLiF単結晶体からなる種結晶を接触、徐々に引き上げて単結晶体を得る。特許文献1、2等に記載されているように、融液成長法では、LiFが過剰な原料を用いない限り、光学材料として使用可能な大きさを有するBaLiF単結晶体を、再現性を特って得ることは事実上できない。
引き上げに際しては、上記モル比で混合した原料BaF及びLiFを高密度黒鉛焼結体などのカーボン製坩堝、白金坩堝等に充填し、チョクラルスキー炉(CZ炉)内で溶融温度以上に昇温する。ここで、坩堝として特開2006−199577などに記載された二重坩堝を用いると、メルトを溶融させた際に、ゴミがメルト表面に浮いた場合に容易にゴミを除くことができ、更に結晶育成中のメルト対流を安定化させて、結晶中に泡などの混入を防ぐことができるため好ましい。
原料の溶融温度は図2に示されるようにBaFとLiFのモル比により異なる。坩堝に充填する原料としては、各々粉末状態のものを用いても、あるいは予め所定比で混合し、さらに加熱して焼結体や溶融固化体とした原料を用いても良い。CZ炉内での溶融に先立ち、600〜650℃程度までは炉内を真空排気(好ましくは10−5〜10−2Pa程度)することも、吸着水分等の揮発性不純物を除去できる点で好ましい。さらには真空排気後、又は真空排気せずにHF、CF等のフッ素系ガスを導入し、その雰囲気下で加熱することも、水分や酸化物を効率的に除去できる点で好ましい。
十分に溶融した原料溶融液にBaLiF単結晶からなる種結晶体を接触させた後に引上げる。ここで本発明においては、結晶成長方向を<123>方向にするために、該種結晶体として、引上げ軸方向が<123>方向と一致したものを用いる(<123>方向が鉛直方向となるように種結晶体がセットされる)。
また該引上げ軸方向に対して垂直に切断した場合の切断面は{123}面となる。なお該軸方向からのずれは10°以内であればよく、好ましくは5°以内、より好ましくは3°以内である。通常、このような軸(及び面)方向を有する円柱あるいは角柱状の種結晶体が使用される。種結晶体の先端、即ち原料溶融液と接触する部分の形状は特に限定されず、平面状でも錐状でも如何なる形状でもよい。
このような種結晶を原料溶融液面に接触させ、徐々に引上げることにより種結晶体の軸方向、即ち<123>方向に一致して単結晶体が成長する。
単結晶体の引上げは、常圧、減圧又は加圧下で行うことができる。負結晶などの結晶欠陥の少ないBaLiF単結晶体が得られやすい点で、減圧下で行うことが好ましい。また雰囲気としてはHF、CF等のフッ素系ガスや、Ar、He、Ne、Nなどの不活性ガス、あるいは該不活性ガスで希釈したフッ素系ガス等の雰囲気下で行うことができる。酸素の影響を排除しやすい点で、フッ素系ガス又は不活性ガスで希釈したフッ素系ガスの雰囲気下で行うことが好ましい。引上げ速度は通常、0.1〜20mm/hである。引上げに際しては、引上げ軸を中心として回転させることが好ましく、回転速度は2〜20回/分であることが好ましい。また、上記種結晶体の回転に併せて坩堝も、該種結晶体の回転方向と反対方向に同様の回転速度で回転させてもよい。
所望の長さのBaLiF単結晶体を引上げた後、室温程度まで冷却し、CZ炉内から取り出す。冷却に際しては、冷却速度が速いほど分相を起こしにくいが、一方で極端に速いと熱衝撃により、製造した(引上げた)単結晶体にひびが入るなどの問題が生じる場合がある。従って、冷却速度は1〜500℃/hrとすることが好ましく、3〜50℃/hrとすることがより好ましい。
このようにしてチョクラルスキー法によりBaLiF単結晶体のインゴットが得られる。通常、インゴットは単結晶体として得られるが、育成中の変動などの影響により多結晶化した部分がある場合でも、インゴットから単結晶の部分を切り出すことにより単結晶体を得ることができる。
このようにして得られたBaLiF単結晶体は、引上げ軸方向に対して垂直な面が、{123}面となる。上記方法で製造されたBaLiF単結晶体は、結晶面のスリップが少なく、また結晶中に生じる散乱体も少ない。
特にこのインゴットから{100}面からなる平行2面を有する板状体(ディスク)を得、これをさらに加工して光を透過させる主軸方向が<100>方向である光学部材を製造すれば、<100>方向、<146>方向あるいは<110>方向などの他の方向に成長させたインゴットから得る場合に比べて、光学特性に優れた光学部材を得ることが可能であるという点で有利である。なおここで主軸方向とは、該光学部材を透過する光の基準軸となる方向であり、例えば該光学部材がレンズである場合には、そのレンズ球面の曲率中心が並ぶ軸(光軸ともいう)の方向と一致する(図3参照)。
{100}面からなる平行2面を有するディスクを得る方法は特に限定されないが、通常は、概ね{100}面からなる2面を有するディスクを切り出し、次いで研削・研磨等により{100}面からなる平行2面を有するように加工する(図4参照)。また製造された単結晶体を成長方向に対して水平方向に厚めに切断し(概ね{123}面を有するディスクとなる)、ついで{100}面が出るように斜めに研削加工等して製造してもよい。
このように{100}面と平行な面の板状体に加工することにより、最終的に製造する光学部材の光を透過させる主軸方向を、容易に<100>に揃えることが可能になる。{100}面と平行な面で切出す工程は、最終的な光学部材の結晶方向を合せる操作を実施できるようにする工程であるため、切出す面は実質的に{100}面と平行であればよく、切り出した面の垂線とBaLiF単結晶体の<100>方向ベクトルとのなす角度が10°以内、好ましくは5°以内、より好ましくは3°以内、特に好ましくは1°以内である。
切出した面の垂線とBaLiF単結晶体の<100>方向ベクトルとのなす角度は、X線を用いた結晶方位測定などの公知の評価方法を用いて特定することができる。更に、最終的な光学部材の形状に加工する段階において、十分な光学的な性能を達成するために、光の透過する主軸方向を更に精密に調整してもよい。
インゴットを切出す際の加工方法は、公知の何れの方法を用いてもよく、外周刃や、無端状のいわゆるバンドソー、ワイヤソー等の切断刃を備えた切断装置を用いて切出すことが一般的であり、特に、切断時の被加工物のロスを考慮するとバンドソー、ワイヤソー等の無端状の切断刃を使用することが好ましい。
インゴットが切断加工中に割れやすい場合には、円筒研削機を用いてインゴットの端部から徐々に削り込むことによっても割れの発生を防いで所望の形状に切出すこともできる。
このようにして得られた板状体(ディスク)はそのままレンズブランクとできるし、必要に応じて外周部を加工して円板状としたレンズブランクとしてもよい。さらに当該レンズブランクを公知の方法に従ってレンズ形状に加工すれば、レンズを得ることができる。
当該レンズを露光装置用のレンズとする場合には、十分な解像度が得られるように、上記レンズ加工の前にアニール処理を行って歪除去を行うことが好ましい。
当該アニール処理は、フッ化物単結晶のアニール処理の方法として知られる公知の方法を適用すればよい。具体的には、BaLiFの融点(857℃)よりも5〜50℃程度低い温度まで加熱し、その後、徐々に降温すればよい。降温速度は0.1〜5℃/hr程度、特に0.1〜2℃/hr程度である。またより高い温度領域ではゆっくりと降温し、温度が低下するにつれて徐々に降温速度をはやくしていくことも効果的である。
アニール処理は、インゴット状態で行っても良いが、最終部品形状に近い大きさまで加工した後に行うことがより効果的である。例えば、外周部を加工して円板状とした後にアニール処理を行い、その後さらに表面を研削・研磨してレンズブランクとすることができる。
またレンズ又はレンズブランク以外の光学部材としては、真空紫外光用の窓材の製造等に本発明の製造方法を適用することも好適である。
以下、本発明を実施例を挙げてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
LiF粉末とBaF粉末をそれぞれ溶融、固化させることにより得られた塊状のLiF原料およびBaF原料を、LiF:BaFが0.57:0.43のモル比であり、かつ、原料の合計量が3kgになるように混合して、特開2006−199577号公報等に開示されている内坩堝と外坩堝からなる二重構造坩堝に収容し、チョクラルスキー結晶育成炉(CZ炉)内に収容した。上記の二重坩堝を構成する外坩堝の内径は120mm、内坩堝の内径は84mmであった。次に、炉内を1×10−3Pa以下の真空度に保ち坩堝を600℃まで24時間かけて加熱昇温させ、純度99.999%のCFガスを炉内に導入して炉内の圧力80kPaにした。その後、坩堝を900℃まで2時間かけて加熱昇温させて、上記混合物を融解させた。
次いで、坩堝内の原料融液に、BaLiF単結晶からなり鉛直方向が<123>方向である種結晶を接触させ、この種結晶を15rpmで回転させながら1.0mm/hの速度で引き上げることにより、BaLiF単結晶体からなるインゴットを成長させた。BaLiF単結晶体のインゴットを所定の大きさまで成長させた後、溶融液からインゴットを切り離した。次いで、CZ炉を36時間かけて冷却した後に、インゴットをCZ炉から取り出した。得られたインゴットは全長130mm、直胴部の長さが100mm、直胴部の直径が50mmであった。
上記のインゴットの直胴部の上方を水平に切断、加工して{123}面からなる水平2面を有する板状の部材({123}ディスク)を得、さらに切断面を研磨した。このディスクについてクロスニコルで歪の状態を観察した。その結果、{123}ディスク全体に渡って歪の分布が小さく、歪の分布状態が激しく変化するような線状の跡(スリップ)は殆ど確認されなかった(図5)。
また同じインゴットの直胴部の下方を斜めに切断して、{100}面と平行な2つの面を有する板状の部材を得て、さらに得られた板状の部材の側面を円筒研削してディスク({100}ディスク)にした後に、更に切断面を研磨して、直径30mm、厚み10mmのBaLiF単結晶体のディスクを得た。
得られたBaLiF単結晶体の{100}ディスクについて、クロスニコルで歪の状態を観察したところ、ディスク全体に渡って歪の分布が小さく、歪の分布状態が激しく変化するような線状の跡は殆ど確認されなかった(図6)。
更に、Zygo MarkIII GPI(6インチ干渉計)にて633nmの波長の光源を用いて屈折率均質性を評価した。ゼルニケ36項除去後の屈折率均質性は、最小自乗平均(RMS)で0.20ppmであった。
比較例1
種結晶の鉛直方向が<100>方向であるBaLiF単結晶体を用いた以外は実施例1と同様の方法で、チョクラルスキー法によりBaLiF単結晶体のインゴットを成長させた。得られたインゴットは全長130mm、直胴部の長さが100mm、直胴部の直径が50mmであった。
上記のインゴットの直胴部から、インゴットの成長方向に垂直な{100}面と平行な面(結晶引上げ方向に垂直な面)で切断してディスク状にした後に、側面を円筒研削して、更に切断面を研磨することで、直径45mm、厚み10mmのBaLiFのディスクを得た。更に、実施例1と同様の方法で、得られたBaLiFのディスクについて、クロスニコルで歪の状態を観察したところ、歪が不均質に分布した線状の跡が確認された(図5)。更に、実施例1と同様の方法で屈折率均質性を評価した。ゼルニケ36項除去後の屈折率均質性は、RMSで0.493ppmであった。
比較例2
種結晶の鉛直方向が<110>方向であるBaLiF単結晶体を用いた以外は実施例1と同様の方法で、チョクラルスキー法によりBaLiF単結晶体のインゴットを成長させた。得られたインゴットは全長130mm、直胴部の長さが100mm、直胴部の直径が50mmであった。
実施例1と同様の方法で{110}ディスク及び{100}ディスクを得、これらについてクロスニコルで歪の状態を観察したところ、いずれも比較例1よりは小さいものの、実施例1よりは遥かに大きな歪が観察された。
比較例3
種結晶の鉛直方向が<146>方向であるBaLiF単結晶体を用いた以外は実施例1と同様の方法で、チョクラルスキー法によりBaLiF単結晶体のインゴットを成長させた。得られたインゴットは全長130mm、直胴部の長さが100mm、直胴部の直径が50mmであった。
実施例1と同様の方法で{146}ディスク及び{100}ディスクを得、これらについてクロスニコルで歪の状態を観察した。{146}ディスクでは大きな歪は観察されなかったが、{100}ディスクでは極めて大きな歪が観察された。
参考例1
種結晶の鉛直方向が<111>方向であるBaLiF単結晶体を用いた以外は実施例1と同様の方法で、チョクラルスキー法によりBaLiF単結晶体のインゴットを成長させた。得られたインゴットは全長130mm、直胴部の長さが100mm、直胴部の直径が50mmであった。
実施例1と同様の方法で{110}ディスク及び{100}ディスクを得、これらについてクロスニコルで歪の状態を観察したところ、いずれも実施例1と同等の歪が観察された。
{100}ディスクについてさらに、実施例1と同様の方法で屈折率均質性を評価したところ、ゼルニケ36項除去後の屈折率均質性は、RMSで0.26ppmであった。
板状体(ディスク)を得る従来の方法を示す模式図。 LiFおよびBaFの相平衡図。 レンズにおける主軸(光軸)方向を示す模式図。 本発明におけるインゴットの加工例を示す模式図。 実施例および比較例で得られたインゴットを成長方向に垂直に切断して得た板状体のクロスニコル像。 実施例および比較例で得られたインゴットを{100}面に平行に切断して得た板状体のクロスニコル像。

Claims (4)

  1. 原料溶融液に種結晶を接触させた後に引き上げることによりインゴットを成長させて単結晶体を得るチョクラルスキー法によりBaLiF単結晶体を製造する方法であって、該種結晶体として軸方向が<123>方向の種結晶体を用い、インゴットの成長方向を<123>方向として単結晶体を得ることを特徴とするBaLiF単結晶体の製造方法。
  2. 請求項1記載の方法でBaLiF単結晶体のインゴットを得る工程、及び得られたインゴットを加工して{100}面からなる平行2面を有する板状体を得る工程を含む、BaLiF単結晶体からなる光学部材の製造方法。
  3. 光学部材がレンズブランクである請求項2記載の製造方法。
  4. 請求項3記載の方法でレンズブランクを製造し、ついで該レンズブランクを加工してレンズとする、露光装置用レンズの製造方法。
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