発明を実施するための最良の形態は、以下の実施例である。
図1は、本発明の実施例1である伝送変換中継器10を含む火災報知設備100を示すブロック図である。
火災報知設備100は、火災受信機RE1(旧型火災受信機の一例)と、伝送変換中継器10と、1階用端末群SE10(旧型端末機器の一例)と、2階用端末群SE20(新型端末機器の一例)とを有する。
火災報知設備100は、複数の旧型端末機器と、旧型火災受信機RE1とが伝送線L1を介して接続され、旧型端末機器のそれぞれに異なるアドレスを割り付け、旧型火災受信機RE1側から、そのアドレスに基づいて、上記旧型端末機器を個別に順次呼び出し、呼び出された旧型端末機器だけが、当該旧型端末機器に関する個別情報を旧型火災受信機RE1へ送信するサイクリックポーリング方式が用いられている火災報知設備である。
図1において、端末群の例として、1階用端末群SE10と、2階用端末群SE20とを代表して記載してあるが、さらに多くの端末群を設けるようにしてもよい。そして、図1に示す例は、1階〜2階の建物に設けられている火災報知設備を分割してリニューアルする場合に、現在、2階用の端末群のみを、新型設備用の端末群SE20に変更した段階である。1階用については、まだ、旧型設備用の端末群SE10が設けられている。
つまり、図1は、旧型端末機器(1階用端末群SE10等)と旧型火災受信機RE1とが伝送線L1を介して接続され、サイクリックポーリング方式の信号伝送が用いられている旧型火災報知設備において、旧型端末機器を段階的に新型端末機器に変更する分割リニューアル工事の途中段階を示す図であり、2階用端末群において、旧型端末機器に代わって新型端末機器(2階用端末群SE20)が設けられていることを示す図である。新型端末機器SE20は、枝線L2(2次側伝送線L1)を介して、伝送変換中継器10の2次側に接続され、また、伝送変換中継器10の1次側には、伝送線L1を介して、旧型火災受信機RE1が接続されている。ここでは、旧型設備は、第1伝送方式としてのサイクリックポーリング方式が用いられ、新型設備は、第2伝送方式としてのポーリングセレクティング方式が用いられている。このために、新型端末機器SE20は、旧型火災受信機RE1との間で信号伝送を行うことができない。そこで、伝送変換中継器10は、新型設備で用いられるポーリングセレクティング方式によって、新型端末機器SE20との間で信号伝送を行って情報を収集し、また、旧型設備で用いられるサイクリックポーリング方式によって、旧型火災受信機RE1との間で信号伝送を行って情報を送信する。これによって、旧型火災受信機RE1が、新型端末機器SE20の個別情報を収集することができる。
特に、旧型端末機器に代わって設けられる新型端末機器(2階用端末群SE20の端末機器SE21、SE22、SE23)は、取り外された旧型端末機器に付与されていたアドレスが個別に付与され、つまり、この火災報知設備100において、取り外されていない旧型端末機器と新型端末機器とのアドレスは、それぞれ異なるように個別に設定されることとなり、旧型火災受信機REは、サイクリックポーリング方式によって、旧型端末機器および伝送変換中継器10と信号伝送を行うことによって、新型端末機器の個別情報を旧型端末機器と同様に収集することができる。
なお、1階の旧型端末機器を伝送変換中継器10とペアで新型端末機器へ変更する作業が完了した後に、旧型火災受信機RE1を新型火災受信機に変更し、各伝送変換中継器10の1次側の伝送線L1と2次側の枝線L2とを結線することによって、分割リニューアル工事が完了し、旧型設備を新型設備にリニューアルすることができる。つまり、新型火災受信機と新型端末機器とが、ポーリングセレクティング方式によって信号伝送を行うことによって、全体のアドレスを付与し直す必要なしに、新型火災受信機が新型端末機器の個別情報を収集することができる。
つまり、伝送変換中継器10は、火災報知設備において、旧型設備を段階的に新型設備に変更していく分割リニューアル工事を行うことができ、監視状態が途切れずに、旧型設備を新型設備に入れ替えるときに、新型設備用の設置スペースを新たに確保する必要がなく、また、予算的に厳しくなくすることができる。
なお、端末群に、発信機が含まれていてもよい。さらに、防火戸、防火ダンパ等の防排煙機器等の被制御機器が、端末群に含まれていてもよい。
上記火災報知設備100は、複数の旧型端末機器(第1端末機器)と、旧型火災受信機RE1(第1火災受信機)とが伝送線L1を介して接続され、上記旧型火災受信機RE1と上記複数の旧型端末機器との間で、第1伝送方式(例えば、サイクリックポーリング方式)による信号伝送を行い、上記複数の旧型端末機器の個別情報を、上記旧型火災受信機RE1が収集する構成の旧型火災報知設備(第1火災報知設備)を、上記複数の旧型端末機器に代えて複数の新型端末機器(第2端末機器)、上記旧型火災受信機RE1に代えて新型火災受信機(第2火災受信機)、を設けて、上記複数の新型端末機器と、上記新型火災受信機とが上記伝送線L1を介して接続され、上記新型火災受信機と上記複数の新型端末機器との間で、第2伝送方式(例えば、ポイントポーリング方式)による信号伝送を行い、上記複数の新型端末機器の個別情報を、上記新型火災受信機が収集する構成の新型火災報知設備(第2火災報知設備)にリニューアルする際であって、上記複数の旧型端末機器の一部に代えて上記複数の新型端末機器(例えば、2階用端末群SE20)を設けた構成の上記旧型火災報知設備の分割リニューアル時における火災報知設備の例である。
また、上記伝送変換中継器10は、上記分割リニューアル時に、上記旧型火災受信機RE1が前段に接続され、上記複数の新型端末機器SE20が後段に接続されるように上記伝送線L1(枝線L2)に接続されて、上記複数の新型端末機器SE20と上記第2伝送方式による信号伝送を行い、上記旧型火災受信機RE1と上記第1伝送方式による信号伝送を行い、上記複数の新型端末機器SE20の個別情報を、上記旧型火災受信機RE1が収集できる構成とした伝送変換中継器の例である。
図2は、伝送変換中継器10の構成を示すブロック図である。
伝送変換中継器10は、CPU11(制御手段の一例)と、火災受信機RE1からの信号を受信する1次側受信回路12と、後段の端末群へ信号を送信する2次側送信回路13と、後段の端末群からの信号を受信する2次側受信回路14と、火災受信機RE1へ信号を送信する1次側送信回路15とを有する。また、伝送変換中継器10は、伝送用定電圧回路16と、電源監視回路17(電源監視手段の一例)と、制御回路用定電圧回路18と、2次側定電圧回路19と、ROM21と、RAM22とを有する。また、伝送変換中継器10は、自己アドレス設定部23(自己アドレス設定手段の一例)と、短絡検出回路24(異常監視手段の一例)と、断線検出回路25(異常監視手段の一例)と、を有する。さらに、1次側受信回路12と、2次側送信回路13と、2次側受信回路14と、1次側送信回路15と、電源監視回路17、短絡検出回路24と、断線検出回路25、とのそれぞれと、CPU11との間に、それぞれ、フォトカプラ等を用いた絶縁回路12i、13i、14i、15i、17i、24i、25i、とを有する。なお、ROM21およびRAM22は、外付けではなく、CPU11に内蔵されていてもよい。
伝送用定電圧回路16は、電源兼信号線である伝送線L1から電源供給されて、伝送変換中継器10の1次側(伝送線L1側)に設けられる回路、つまり、1次側受信回路12、1次側送信回路15に定電圧を供給する。制御回路用定電圧回路18と2次側定電圧回路19とは、2次側用電源線L3(図1参照)から電源供給される。
そして、制御回路用定電圧回路18は、CPU11に定電圧を供給する。2次側定電圧回路19は、伝送変換中継器10の2次側(枝線L2側)に設けられる回路、つまり、電源監視回路17、2次側送信回路13、2次側受信回路14、短絡検出回路24、断線検出回路25、に定電圧を供給し、また、電源兼信号線である枝線L2側(2階用端末群SE20)に電源供給し、枝線L2の信号伝送を良好に行えるようにしている。
このように、伝送変換中継器10は、その1次側と2次側とが絶縁回路12i、13i、14i、15i、17i、24i、25i、でアイソレーションされ、かつ、伝送線L1とは異なる2次側用電源線L3を介して、火災受信機RE1と接続され、当該伝送変換中継器10と枝線L2側とに電源供給されるので、伝送変換中継器10を設けても、その伝送能力に支障が生じず、問題なく信号伝送することができる。
また、1次側送信回路15および受信回路12は、旧型火災受信機RE1との間で、第1伝送方式(この場合は、サイクリックポーリング方式)による信号伝送を行い、図9に示すように、旧型火災受信機RE1が呼び出す主ポーリングにおいて、主ポーリング信号(「AD・返送命令」からなる命令信号)を受信し、呼び出されたアドレスの新型端末機器SE20に関する個別情報(「AD・個別情報」からなる返送信号)を送信する主ポーリング動作を行う。
2次側送信回路13および受信回路14は、複数の新型端末機器SE20との間で、第2伝送方式(この場合は、ポーリングセレクティング方式)による信号伝送を行い、図10に示すように、端末機器を複数のグループに分け、グループ毎に副ポーリングし、複数のグループのうちの所定のグループへの副ポーリング信号発信(「AD・CM1・CM2・PS」からなる命令信号を発信)に基づいて、そのグループに属する新型端末機器SE20からの個別情報(「D1・SS」からなる返送信号)を時分割で受信する副ポーリング動作を行う。
なお、上記「主ポーリング」は、火災受信機RE1が伝送線L1上の伝送変換中継器10と旧型端末機器とに行うポーリングである。上記「副ポーリング」は、伝送変換中継器10が、2階用端末群SE20等の枝線L2上の端末群に行うポーリングである。
自己アドレス設定部23は、例えば、EEPROMからなり、自己アドレスAD0を設定する記憶領域である。自己アドレスAD0は、初期状態では「0」、つまり未設定であり、現場で必要に応じて、余っていたアドレス、または、2階用端末群SE20と同様の、取り外された旧型端末機器に付与されていたアドレスが付与され、自己アドレスAD0が設定される。
短絡検出回路24は、枝線L2の断線を検出するものであり、例えば、短絡検出用コンパレータ等で構成され、枝線L2の電圧V1が基準電圧よりも低ければ、短絡信号をCPU11に出力する。ここで、基準電圧は、枝線L2上の伝送信号が、ハイ信号、ロウ信号によるパルス信号からなることから、ロウ信号以下の所定の電圧レベルである。
断線検出回路25は、枝線L2の断線を検出するものであり、例えば、断線検出用コンパレータ等で構成され、枝線L2の電圧V1が略ゼロとなれば、断線信号をCPU11に出力する。
CPU11は、自己アドレス設定部23に自己アドレスAD0が設定されているか否かにより、異なる動作処理を行う。つまり、CPU11は、自己アドレス設定部23に自己アドレスAD0が設定されているときには、自己に関する個別情報を、旧型火災受信機RE1に送出する個別情報通知動作を行い、また自己アドレスAD0が設定されていないときには、自己に関する個別情報の個別情報通知動作を行わない。そのため、伝送変換中継器10は、伝送変換中継器10が行う動作処理内容を、現場の状況に合わせて、現場毎に簡便に選択できる。
また、CPU11は、自己アドレス設定部23に自己アドレスAD0が設定されていないときには、異常監視手段24、25による異常監視動作、つまり、短絡検出部24による短絡検出動作、または断線検出手段25による断線検出動作を行わない。そのため、伝送変換中継器10は、この動作を省略した分だけ消費電力を抑えることができ、例えば、端末機器数の増加など、システムの変更内容によっては、伝送変換中継器10に供給できる電源供給量が限られる場合であっても、伝送変換中継器10を設けることができる。
次に、上記実施例の動作について説明する。
図3は、伝送変換中継器10の動作の概要を示すフローチャートであり、また、図4は、実施例1において使用する伝送パターン表T1を示す図である。
まず、S10で、伝送変換中継器10が、主ポーリングと副ポーリングとを同期して行えるようにするために、火災報知設備100に設けられている端末機器の最終アドレスADzを認識する。
S20で、図4に示す伝送パターン表T1を参照し、最終アドレスADzに基づいて、主ポーリングに同期した副ポーリング(端末へのポーリング)のパターンを選択する。
S30で、上記選択した副ポーリングパターンをRAM22に記憶する。具体的には、主ポーリング信号の呼出アドレスADの受信時に、副ポーリング信号を発信するグループG(クラスタ)を、対応して記憶する。たとえば、図4に示す伝送パターン表T1において、最終アドレスADzが200である場合、主ポーリング信号の呼出アドレスAD189の受信時に、副ポーリング信号発信するグループG0(クラスタ0)を対応して記憶し、主ポーリング信号の呼出アドレスAD5の受信時に、副ポーリング信号発信するグループG1(クラスタ1)を対応して記憶し、主ポーリング信号の呼出アドレスAD21の受信時に、副ポーリング信号発信するグループG2(クラスタ2)を対応して記憶し、…、主ポーリング信号の呼出アドレスAD178の受信時に、副ポーリング信号発信するグループG12(クラスタ12)を対応して記憶する。
S40で、異常監視動作、つまり、短絡検出動作、断線検出動作を行い、次に、S50で、RAM22に記憶した副ポーリングパターンに基づいて、主ポーリング・副ポーリング動作を行い、以降、S40、S50を繰り返す。
図4に示すパターン表T1は、伝送変換中継器10と新型端末との間における伝送タイミングを示す。このタイミングは、旧型火災受信機RE1と伝送変換中継器10との間における通信で、どのアドレスADが主ポーリングを受けているときに、伝送変換中継器10がどのグループGを副ポーリングすべきであるかを規定するタイミングである。
伝送パターンに従うことによって、旧型火災受信機RE1からの主ポーリングに対して、最短のタイミングで、新型端末から個別情報を伝送変換中継器10が収集し、旧型火災受信機RE1に送出することができる。
図8は、上記実施例において使用するポーリング同期例を示す図である。
図8に示すポーリング同期例のタイミングチャートの通り、主ポーリング動作と副ポーリング動作とを、CPU11が並行して実行する。
主ポーリングは、端末機器を個々に呼び出し、その個別情報を受信するサイクリックポーリング方式である。一方、副ポーリングは、端末機器を複数のグループGに分け、グループG毎に副ポーリングし、複数のグループGのうちの所定のグループGへの副ポーリング信号の発信に基づいて、そのグループGに属する複数の端末機器からの個別情報を時分割で連続的に受信するポーリングセレクティング方式である。
なお、図8における主ポーリングの1フレーム(例えば、図8にA1で示す1フレーム)は、火災受信機RE1が送受信によって、個々の端末機器の個別情報を受信するフレームであり、図9に示すA2に相当する。また、副ポーリングの1フレーム(例えば、図8にB1で示す1フレーム)は、火災受信機RE1が送受信によって、個々のグループGに属する複数の端末機器の個別情報を受信するフレームであり、図10の1フレーム(図10にポイントポーリング(G0)として表された部分)に相当する。
ここで、主ポーリングと副ポーリングとは、ポーリング方式が異なり、さらに、各端末毎に個別情報を収集する場合における伝送スピードが異なるので、主ポーリングと副ポーリングとを非同期で行うと(主ポーリングと副ポーリングとを互いに関連付けずに動作させると)、伝送変換中継器10を仲介して、新型端末機器SE20から出力された個別情報が、旧型火災受信機RE1に通知されるまでの時間が、一定ではなく、非常に遅れる場合もあり、システムの応答性において問題である。
つまり、最大遅れ時間は、主ポーリングの1サイクル分であり、例えば、「最大遅れ時間=アドレス数×20m秒間(1アドレス当りの信号伝送必要時間)」であり、図8では、「最大遅れ時間=200アドレス×20m秒間=4秒間」である。
したがって、最終アドレスADzを認識し、伝送パターン表T1によって、主ポーリング信号の呼出アドレスADの受信時に、副ポーリング信号を発信するグループG(クラスタ)を対応して記憶し、伝送変換中継器10は、主ポーリングの呼出アドレスADから、グループG毎の副ポーリングの開始タイミングを検出し、該当するグループGの副ポーリングを行う。
このようにして、旧型火災受信機RE1から任意の新型端末機器SE21〜23のアドレスADが呼び出される直前に、このアドレスADの新型端末機器SE21〜23が属するグループGへ副ポーリング発信し、このアドレスADの新型端末機器SE21〜23の個別情報を受信し、直後に行われる、このアドレスADの新型端末機器SE21〜23への主ポーリングでの呼び出しに呼応して、その個別情報を送出する。
たとえば、図8の最終アドレスADzが200である場合は、一例として、主ポーリング信号の呼出アドレスAD5の受信時に、アドレスAD17〜AD32のグループG1(クラスタ1)に対して、副ポーリングを行うことによって、その直後に行われるアドレスAD17(およびそのグループG1のアドレスAD18〜32)の主ポーリングに対して、該当するアドレスADの新型端末機器SE20の個別情報を送出し、この個別情報を旧型火災受信機RE1が受信できる。
このポーリング同期については、図示の通り、上記のグループG1(クラスタ1)のみならず、全てのグループG0〜G12について同様に行われる。
このように、新型端末機器SE20の最新の個別情報を旧型火災受信機RE1に送出できるように、主ポーリングと副ポーリングとを同期して行うので、新型端末機器SE20と旧型火災受信機RE1との間における情報伝達のタイムロスを防止することができる。つまり、旧型設備を部分的に新型設備に変更する場合に、新旧異なる端末機器と火災受信機との間における情報伝達のタイムロスを防止することができる。
次に、火災受信機RE1に接続されている端末機器の最終アドレスADzを認識する動作(S10)について説明する。
図5は、火災受信機RE1に接続されている端末機器の最終アドレスADzを認識する動作(S10)をより具体的に示すフローチャートである。
なお、伝送変換中継器10が、主ポーリングと副ポーリングとを同期して行えるようにするために、端末機器の最終アドレスADzを認識する。
まず、S11で、最終アドレスの変数ADzを0に初期化する。そして、S12で、主ポーリング信号(火災受信機RE1からのポーリング信号)を、伝送変換中継器10が受信したかどうかを判断する。主ポーリング信号を受信していなければ、待機する。主ポーリング信号を受信すれば、S13で、この受信した主ポーリング信号のアドレスADが、最終アドレスADzよりも小さいかどうかを判断する。アドレスADが最終アドレスADzよりも大きければ、S14で、上記受信した主ポーリング信号のアドレスADを最終アドレスADzとしてRAM22に記憶し、S12へ戻り、最終アドレスADzの検出を繰り返す。
そして、S13でアドレスADが最終アドレスADzよりも小さいと判断すれば、全アドレスADに対して主ポーリング動作が行われ、最初のアドレスADに主ポーリング動作が再び行われたことを意味するので、S15で、最終アドレスADzを、RAM22に記憶し、最終アドレスADzの認識を終了する。
次に、上記実施例における異常監視動作(S40)について説明する。
図6は、上記実施例における異常監視動作(S40)をより具体的に示すフローチャートである。
まず、S41で、自己アドレスAD0が設定されているか否かを判断し、自己アドレスAD0が「0」、つまり、自己アドレスAD0が未設定であれば、短絡検出動作、断線検出動作を行うことなく、異常監視動作を終了する。また、S41で、自己アドレスAD0が「0」以外、つまり、自己アドレスAD0が設定されていれば、S42で、枝線L2の短絡検出動作を行い、短絡を検出したか否かを判断する。
S42で、短絡を検出すれば、S43で、短絡情報をRAM22に格納し、S44で、枝線L2の断線検出動作を行い、断線を検出したか否かを判断する。また、S42で、短絡を検出しなければ、S44へ進む。
S44で、断線を検出すれば、S45で、断線情報をRAM22に格納し、異常監視動作を終了する。また、S44で、断線を検出しなければ、異常監視動作を終了する。
次に、上記実施例における主ポーリング・副ポーリング動作(S50)について説明する。
図7は、上記実施例における主ポーリング・副ポーリング動作(S50)をより具体的に示すフローチャートである。
まず、S51で、主ポーリング信号を受信したかどうかを判断し、受信していなければ、主ポーリング・副ポーリング動作を終了する。S51で主ポーリング信号を受信したと判断すれば、S52で、受信した主ポーリング信号で呼び出されたアドレスADの個別情報(状態情報)が、RAM22に記憶されているかどうかを判断する。呼出アドレスADについて記憶されていれば、S53で、主ポーリングに対応して、アドレスADの個別情報を返送する。呼出アドレスADについて記憶されていなければ、主ポーリングに対応して、アドレスADの個別情報を返送する動作を実行しない。
つまり、伝送変換中継器10は、自己アドレスAD0が設定されている場合は、呼出アドレスADが自己アドレスAD0であるときに、自身に関する個別情報(短絡情報、断線情報、正常情報、等)を送出する動作を行う。また、伝送変換中継器10は、伝送変換中継器10の2次側伝送線(枝線)L2に接続されている新型端末機器SE20に、後述するS44〜S46において、副ポーリング動作を実施することによって、その新型端末機器SE20の個別情報を受信し、この受信した個別情報を、RAM22に記憶する。したがって、伝送変換中継器10は、伝送変換中継器10自身の2次側伝送線(枝線)L2に接続されている新型端末機器SE20に関する個別情報も返送する。なお、伝送変換中継器10は、受信した個別情報以外の端末機器の個別情報を持ち合わせてはいない。したがって、伝送変換中継器10自身の2次側伝送線(枝線)L2に接続されている新型端末機器SE20に関する状態情報のみを返送する。
次に、S54で、主ポーリング信号の呼出アドレスADは、副ポーリングの実施タイミングであるかどうかを判断する。つまり、S30においてRAM22に格納した主ポーリングのアドレスADと副ポーリングのグループGとの対応パターンにおける主ポーリングのアドレスADに該当するかどうかを判断する。
対応パターンにおける主ポーリングのアドレスADに該当すれば、副ポーリングの実施タイミングであると判断し、S55で、該当するグループGの副ポーリングを実施し、副ポーリングした端末機器の個別情報を、RAM22に記憶し、主ポーリング・副ポーリング動作を終了する。
また、S54で、上記対応パターンにおける主ポーリングのアドレスADに該当するかどうかを判断し、該当しないと判断した場合、副ポーリングの実施タイミングでないと判断し、主ポーリング・副ポーリング動作を終了する。
なお、上記フローチャートにおいて、主ポーリング動作(S51〜S53)と、副ポーリング動作(S54〜S56)とは、フローチャートの説明上、時間的に分断して示してあるが、図8に示すポーリング同期例のタイミングチャートの通り、主ポーリング動作と副ポーリング動作は、並行して実行されている。
上記実施例において、伝送変換中継器10は、自己アドレス設定部23に自己アドレスAD0が設定されていない場合、異常監視動作を行わないようにしたが(図6のS42〜S45)、この異常監視動作を行ってもよい。その場合であっても、伝送変換中継器10は、自己に関する個別情報送出動作を行わないので、伝送変換中継器10が行う動作処理内容を、現場の状況に合わせて、現場毎に簡便に選択できる。
上記実施例において、伝送変換中継器10は、主ポーリングと副ポーリングとを互いに同期させるが、主ポーリングと副ポーリングとを非同期で行うこともできる。主ポーリングと副ポーリングとを非同期で行うと、伝送変換中継器10を仲介して、新型端末機器SE20から出力された個別情報が、旧型火災受信機RE1に通知されるまでの時間が、一定ではなくなるが、CPU11の処理が容易である。
上記実施例は、複数の旧型端末機器(第1端末機器の一例)と、旧型火災受信機RE1(第1火災受信機の一例)とが伝送線L1を介して接続され、上記旧型火災受信機RE1と上記複数の旧型端末機器との間で、第1伝送方式による信号伝送を行い、上記複数の旧型端末機器の個別情報を、上記旧型火災受信機RE1が収集する構成の旧型火災報知設備(第1火災報知設備の一例)を、上記複数の旧型端末機器に代えて複数の新型端末機器(第2端末機器の一例)、上記旧型火災受信機RE1に代えて新型火災受信機(第2火災受信機の一例)、を設けて、上記複数の新型端末機器と、上記新型火災受信機とが上記伝送線L1を介して接続され、上記新型火災受信機と上記複数の新型端末機器との間で、第2伝送方式による信号伝送を行い、上記複数の新型端末機器の個別情報を、上記新型火災受信機が収集する構成の新型火災報知設備(第2火災報知設備の一例)にリニューアルする際に用いられ、上記複数の旧型端末機器の一部に代えて上記複数の新型端末機器SE20を設けた構成の上記旧型火災報知設備の分割リニューアル時に、上記旧型火災受信機RE1が前段に接続され、上記複数の新型端末機器SE20が後段に接続されるように上記伝送線L1に接続されて、上記複数の新型端末機器と上記第2伝送方式による信号伝送を行い、上記旧型火災受信機RE1と上記第1伝送方式による信号伝送を行い、上記複数の新型端末機器SE20の個別情報を、上記旧型火災受信機RE1が収集できる構成とした伝送変換中継器10、であって、自己アドレス設定手段の一例の自己アドレス設定部23と、自己アドレス設定手段23に自己アドレスが設定されているか否かにより、異なる動作処理を行う制御手段の一例のCPU11と、を備えたので、伝送変換中継器10に、自己アドレス設定手段23と、自己アドレス設定手段23に自己アドレスが設定されているか否かにより、異なる動作処理を行う制御手段11とを備えるだけで、伝送変換中継器10が行う動作処理内容を、現場の状況に合わせて、現場毎に簡便に選択できる。
上記実施例は、上記制御手段11は、上記自己アドレス設定手段23に自己アドレスが設定されているときには、自己に関する個別情報を、上記旧型火災受信機RE1または新型火災受信機に送出する個別情報通知動作を行い、また自己アドレスが設定されていないときには、上記個別情報通知動作を行わないので、伝送変換中継器が行う動作処理内容を、現場の状況に合わせて、現場毎に簡便に選択できる。
上記実施例は、自己に関する異常監視を行う異常監視手段24、25を備え、上記自己に関する個別情報は、異常情報を含む。
上記実施例は、上記異常監視手段24、25として、2次側の上記伝送線L1(枝線L2)の短絡検出を行う短絡検出手段の一例の短絡検出回路24、または断線検出を行う断線検出手段の一例の断線検出回路25を有し、上記異常情報は、短絡情報、または断線情報を含む。
上記実施例は、上記制御手段11は、上記自己アドレス設定手段23に自己アドレスが設定されていないときには、上記異常監視手段24、25による異常監視動作、つまり、上記短絡検出手段24による短絡検出動作、または上記断線検出手段25による断線検出動作、を行わないので、伝送変換中継器10は、この動作を省略した分だけ消費電力を抑えることができ、例えば、端末機器数の増加など、システムの変更内容によっては、伝送変換中継器10に供給できる電源供給量が限られる場合であっても、伝送変換中継器10を設けることができる。
上記実施例において、上記制御手段11は、上記自己アドレス設定手段23に自己アドレスが設定されていないときには、上記異常監視手段、つまり、短絡検出手段24、上記断線検出手段25、に電源供給しないようにしてもよい。これによれば、伝送変換中継器10は、消費電力をさらに抑えることができ、例えば、端末機器数の増加など、システムの変更内容によっては、伝送変換中継器10に供給できる電源供給量が限られる場合であっても、伝送変換中継器10を設けることができる。
上記実施例において、上記伝送変換回路10は、上記旧型火災受信機RE1から電源供給され、また、該電源供給される電源電圧を監視する電源監視手段の一例の電源監視回路17を有し、上記電源監視手段17が電源電圧低下を検出したときに、上記自己アドレス設定手段23は、自己アドレスが設定されている場合は、自己アドレスを未設定状態とするようにしてもよい。これによれば、伝送変換中継器10に供給できる電源供給量が限られる場合に、何らかの原因で電源電圧が低下しても、伝送変換中継器10は、機能停止状態にならずに、旧型システムと新型システムの機器間の信号中継機能という必要最低限の機能動作を行える。
上記実施例において、分割リニューアルとして、まず旧型端末機器を新型端末機器に変更し、その後に旧型火災受信機を新型火災受信機に変更する場合を示したが、これとは逆に、まず旧型火災受信機を新型火災受信機に変更し、その後に旧型端末機器を新型端末機器に変更するようにしてもよい。このとき、伝送変換中継器は、新型火災受信機と旧型端末機器との間において、火災受信機が端末機器の個別情報を収集できるように構成すればよい。
つまり、上記実施例の伝送変換中継器10は、複数の旧型端末機器の一部に代えて複数の新型端末機器SE20を設けた構成の旧型火災報知設備の分割リニューアル時に、上記旧型火災受信機RE1が前段に接続され、上記複数の新型端末機器SE20が後段に接続されるように上記伝送線L1に接続されて、上記複数の新型端末機器SE20と上記第2伝送方式による信号伝送を行い、上記旧型火災受信機RE1と上記第1伝送方式による信号伝送を行い、上記複数の新型端末機器SE20の個別情報を、上記旧型火災受信機RE1が収集できる構成としたものであったが、この伝送変換中継器10に代えて、上記旧型火災受信機RE1に代えて上記新型火災受信機を設けた構成の上記旧型火災報知設備の分割リニューアル時に、上記新型火災受信機が前段に接続され、上記複数の旧型端末機器が後段に接続されるように上記伝送線L1に接続されて、上記複数の旧型端末機器と上記第1伝送方式による信号伝送を行い、上記新型火災受信機と上記第2伝送方式による信号伝送を行い、上記複数の旧型端末機器の個別情報を、上記新型火災受信機が収集できる構成とした伝送変換中継器を用いればよい。このとき、上記伝送変換回路は、新型火災受信機から電源供給される。また、制御手段は、自己アドレス設定手段に自己アドレスが設定されているときには、自己に関する個別情報を、新型火災受信機に送出する個別情報通知動作を行い、また自己アドレスが設定されていないときには、上記個別情報通知動作を行わない.
100…火災報知設備、10…伝送変換中継器、11…CPU(制御手段)、12…1次側受信回路、13…2次側送信回路、14…2次側受信回路、15…1次側送信回路、16…伝送用定電圧回路、17…電源監視回路、18…制御回路用定電圧回路、19…2次側定電圧回路、21…ROM、22…RAM、23…自己アドレス設定部(自己アドレス設定手段)、24…短絡検出回路(異常監視手段)、25…断線検出回路(異常監視手段)、RE1…火災受信機(旧型火災受信機、第1火災受信機)、SE10…1階用端末群(旧型端末機器、第1端末機器)、SE20…2階用端末群(新型端末機器、第2端末機器)、L1…伝送線、L2…枝線(2次側伝送線)、L3…2次側用電源線。