JP4956875B2 - 薄膜圧電体基板とこれを用いた電子部品、および薄膜圧電体基板の製造方法 - Google Patents

薄膜圧電体基板とこれを用いた電子部品、および薄膜圧電体基板の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄膜圧電体基板と、その圧電特性を利用した各種センサ、各種アクチュエータなどの電子部品、および薄膜圧電体基板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、各種センサ、各種アクチュエータとして用いられる圧電体材料としては、水晶、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウムなどの単結晶基板に加え、チタン酸ジルコン酸鉛(以下、「PZT」と略す)や、チタン酸バリウムなどのセラミック材料が広く用いられてきた。これら材料をセンサ、アクチュエータとして利用するためには大きな原材料の塊から切り出したり、原材料ペーストや粉を焼結するなどの方法が一般的である。これに対して、近年では特にPZT材料をシリコン基板などの基材にスパッタリングやスピンコート法などの方法で形成する方法が提案されてきている。これはこのような方法によると5マイクロメートル以下の薄膜圧電体を得ることができるからである。薄膜圧電体が5マイクロメートル以下である場合には、膜厚の2倍である10マイクロメートルのパターンの作成が可能である。これは、微細なパターン端の作成にはフォトリソグラフィー法が使われるが、この方法ではエッチングの際にパターン端の両側よりサイドエッチングが発生するので、膜厚の値の2倍より小さい幅のパターンを作成することが困難になるからである。特にPZT材料の場合、エッチング特性が等方性エッチングとなるのでサイドエッチングが発生しやすい。
【0003】
上記のような理由から、エッチングで作成されるパターンの幅の値に対する膜厚の値の比をアスペクト比と呼ぶが、アスペクト比が0.5以上のパターンを作成することは、特にPZT圧電体にとっては困難である。これに対して、圧電体を薄膜状態にすることにより、作成できるパターン幅の限界値が小さくなり、センサやアクチュエータの小型化が実現可能となる。これは同じ0.5のアスペクト比でパターン形成したとすると、膜厚が小さい方がより多くのパターンを同面積内に描くことができるからである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これまでの方法では5マイクロメートル以下の薄膜圧電体として十分な特性を得るまでにはいたっておらず、これを利用したセンサやアクチュエータが製品化された例は過去にはまだない。
【0005】
一方で、高山らによると酸化マグネシウム単結晶板の上にスパッタリングすることにより圧電特性の高いPZTが薄膜状態で形成できることが示されている(R.Takayama,Y.Tomita,Preparation of epitaxial PZT thin films and their crystallographic,pyroelectric,and ferroelectric properties,J.Appl.Phys.,vol65, pp1666-1670,1989)。しかし、酸化マグネシウムはシリコン基板のように機械特性、耐湿性、加工性に優れておらず、センサ、アクチュエータなどに使うには製造に困難を伴い、また、長期信頼性に欠けるという問題があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、特に、圧電体の膜厚は5マイクロメートル以下の薄膜であるもので、圧電体が5マイクロメートルと薄いので、フォトリソグラフィーなどの方法で幅が10マイクロメートル以下の微細なパターンを形成することができ、センサやアクチュエータの小型化を可能にするという作用を有する。また、樹脂層が一様に気泡を含んでいるため、圧電体層の割れを少なくすることができるという作用を有する。
【0007】
請求項2に記載の発明は、特に、樹脂層の膜厚は圧電体層の膜厚より薄いもので、圧電体層は5マイクロメートル以下と薄いため割れが発生しやすいが、樹脂層の膜厚を圧電体層より薄くすることにより、樹脂層が圧電体層に作用する応力を減らすことができるので、割れが少なくなり、また、樹脂層の膜厚を薄くしておけば、内部に存在する気泡の量が膜厚に対して相対的に多くなるので樹脂層の応力の緩和を促進し、さらに圧電体層の割れを発生することが少なくなるという作用を有する。
【0008】
請求項3に記載の発明は、特に、圧電体層の第一の導電層と反対の面には第二の導電層を設けるもので、圧電体層に第二の導電層が設けられていることにより、第二の導電層は圧電体層に直に接しているので第一の導電層と第二の導電層の間に電界を掛けたときに、無駄なく圧電体層に掛けることができ、また、第二の導電層は樹脂層との密着力を向上させるという役割を果たす。さらに、第二の導電層の破壊強度が圧電体よりも高い材料である場合には圧電体層の割れを減らすという作用を有する。
【0009】
請求項4に記載の発明は、特に、基材と樹脂層の間には第二の導電層と同材料の第三の導電層が設けられており、この第三の導電層の膜厚は第二の導電層と同じであるもので、基材と樹脂層の間に第三の導電層が存在することにより樹脂層の密着性が向上することに加え、第三の導電層と第二の導電層を同じ材料のものを同じ膜厚、同じ条件で構成しておくことによって、樹脂層を熱膨張特性が同じ材料で挟むことになるので、樹脂層の硬化の際に、加熱、冷却過程を経ても樹脂層に不均一な応力が発生しないため、つまり、加熱冷却過程において、両側の導電層が同じように伸び縮みするので、樹脂層は均等な応力を両面から受けるので、硬化後の形状に反りなどの不均一な形状が発生しない。よって、圧電体層へ応力を加えることもないので、割れが少なくなるという作用を有する。
【0010】
請求項5に記載の発明は、特に、基材の圧電体層が貼り合わされる領域は第三の導電層が設けられている領域より小さいもので、第三の導電層の設けられている領域の方が大きいことにより、確実にこの領域に圧電体層が密着性良く接着され、また、圧電体層の外部に第三の導電層が露出しているのでこの露出した領域内にフォトリソ工程で必要なアライメントマーカを形成することができ、すなわち、アライメントマーカは完成した素子には必要ないので、圧電体層の領域内にアライメントマーカを形成した場合にはこの領域が無駄になるが、圧電体層の外部領域に作成することにより圧電体層を無駄なく最大限有効に使うことができるという作用を有する。
【0011】
請求項6に記載の発明は、特に、圧電体層の材料はチタン酸ジルコン酸鉛を主成分とするもので、チタン酸ジルコン酸鉛を圧電体層とすることで、チタン酸ジルコン酸鉛は酸化マグネシウム単結晶板をこれの形成用基板として利用できるので圧電特性が優れており、また、他の基材へのチタン酸ジルコン酸鉛の転写が容易になるという作用を有する。
【0012】
請求項7に記載の発明は、特に、第一の導電層の材料は白金を主成分とするもので、第一の導電層を白金とすることでチタン酸ジルコン酸鉛と密着性が良く、かつ、優れた圧電特性をもつチタン酸ジルコン酸鉛を得ることができるという作用を有する。
【0013】
請求項8に記載の発明は、特に、第二および第三の導電層は金を主成分とすることを特徴とするもので、第二および第三の導電層として金を形成することで、樹脂層との密着性がよくなるという作用を有する。
【0014】
請求項9に記載の発明は、特に、樹脂層はアクリル剤を主成分とするもので、アクリル剤を主成分とした樹脂層は他の一般的な樹脂、たとえばシリコン剤、エポキシ剤などのものに比べて、ドライエッチングなどの方法によって容易に除去できるので、センサやアクチュエータの製造が容易になるという作用を有する。
【0015】
請求項10に記載の発明は、特に、基板はシリコン基板であるもので、基材をシリコン基板とすることでドライエッチングなどの方法で加工が容易になり、様々な構造体を容易に得られるという作用を有する。
【0016】
また本発明は、特に、第一の導電層と圧電体層とを一体化する方法として、酸化マグネシウム単結晶板の上に第一の導電層として白金、圧電体層としてチタン酸ジルコン酸鉛の順にスパッタリングによって形成する工程を含むものとすれば、酸化マグネシウム単結晶板の上に白金、チタン酸ジルコン酸鉛をスパッタリングにより形成することで高品質なチタン酸ジルコン酸鉛を容易に得ることができ、酸化マグネシウム単結晶板は後に燐酸溶液にて容易に除去できるので、一体化された白金と圧電体層を他の基材に樹脂層によって転写できるようになるという作用を有する。
【0017】
また本発明は、圧電体層を形成した後に、さらに第二の導電層として金を真空蒸着法など通常の薄膜形成方法により形成する一方で、上記シリコン基板にも同等の方法および条件により第三の導電層として金を同じ膜厚で形成する工程を含むもので、第二の導電層と第三の導電層が同じ金であり同じ膜厚とすることにより、同じ装置で同時に形成できることとなり、これらの導電層を形成した後、樹脂層を形成するまでの時間を同じに保つことができるようになる。つまり、金は形成した後、時間が経過するにつれ表面に吸着層が形成されるので樹脂層の形成までの時間管理が重要であるが、金の形成後の時間が同じなため、樹脂層の形成を同時に行えるので、極めて効率よく、接着不良を起こさない工程を構築することができるという作用を有する。
【0018】
また本発明は、特に、第二の導電層および第三の導電層を形成した後に、シリコン基板と酸化マグネシウム単結晶板に形成された第二の導電層と第三の導電層を形成した面にアクリル剤を主成分とする樹脂層を均等に形成する方法として、スピンコート法によって樹脂層の膜厚が圧電体層の膜厚より薄くなるように、かつ、コーティング後には気泡が一様に形成されるように形成することを特徴とする、薄膜圧電体基板の製造方法であって、スピンコート法によって樹脂層の膜厚が圧電体層より薄くなるように形成することが容易になり、また、スピンコート法では内部に気泡が残るので、気泡部分では樹脂層が硬化後に他の層を拘束することがないので割れが生じ難くなるという作用を有する。
【0019】
また本発明は、樹脂層がコーティングされた後に、シリコン基板と酸化マグネシウム単結晶板を貼り合わせるとき、シリコン基板側に形成した第三の導電層の形成領域の内側に、酸化マグネシウム単結晶板が貼り合わされるものとすれば、第三の導電層の形成領域の方が大きいので貼り合わせ位置調整が必要なく容易にその領域へ貼り付けることができるという作用を有する。
【0020】
また本発明は、樹脂層を硬化させた後、酸化マグネシウム基板を燐酸溶液によりすべて除去することにより、燐酸溶液はシリコン基板と白金を侵さないので酸化マグネシウム単結晶板のみが除去されるという作用を有する。
【0021】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
次に本発明の具体的な実施方法を図面を用いて詳細に説明する。
【0022】
図1は本発明の実施の形態1における薄膜圧電体基板の斜視図である。
【0023】
図において、1はシリコンからなる基材で、シリコン基板1の一面には金よりなる第三の導電層2が当接されており、アクリル剤を主成分とする樹脂層3を介して、第二の導電層4として金と圧電体層5としてチタン酸ジルコン酸鉛と第一の導電層6として白金が一体化された状態で当接されている。このとき、圧電体層5の膜厚は5マイクロメートル以下であり、さらに樹脂層3の膜厚は圧電体層5よりも薄く、樹脂層3の内部には無数の気泡(図示せず)が存在している。このような構成とすることで、樹脂層3の膜厚が圧電体層5の膜厚より薄いため、圧電体層5に及ぼす応力が少なく、また、内部に気泡が存在する場合に、膜厚が薄いため、気泡の影響が大きくなるので、より応力緩和が起こるので、圧電体層5が樹脂層3からの応力によって割れることが少なくなるのである。実験では圧電体層5の膜厚が2.5マイクロメートルの時に樹脂層3の膜厚を3マイクロメートルおよび4マイクロメートルの時には割れが必ず発生したが、2.5マイクロメートルの時には基板によって割れが発生したりしなかったりとなり、2マイクロメートルにしたときに割れはほとんど発生しない。
【0024】
さらに、基材1の上に設けられた第三の導電層2の領域は、圧電体層5の一面に設けられた第二の導電層4の領域より大きい。このようにすることで、第一の導電層6および圧電体層5および第二の導電層4は一体化されて、樹脂層3によって第三の導電層2の領域よりはみ出すことなく固定されるのである。
【0025】
さらに、樹脂層3に接する面は金を主体とする材料となっていることで、樹脂層の密着性はさらに強固なものとなっている。
【0026】
さらに、樹脂層に接する第二の導電層4と第三の導電層2はともに同じ条件および同じ膜厚で形成されているので、両者の間の材料特性はよく似ており、このことで樹脂層3による固定状態はさらに強固なものとなっている。
【0027】
このように本発明によれば、従来の方法であれば、シリコン基板の上には高品質なチタン酸ジルコン酸鉛を形成することができなかったが、シリコン基板の上に高品質な薄膜状のチタン酸ジルコン酸鉛が形成された薄膜圧電体基板を提供できるのである。高品質なチタン酸ジルコン酸鉛は高い圧電特性を示し、さらに、シリコン基板はフォトリソエッチングによって高精度に立体的な構造体を形成することができる材料である。さらに、圧電体層5の膜厚が5マイクロメートル以下と薄いことで、フォトリソグラフィーおよびエッチングにより幅が膜厚の2倍の10マイクロメートル以下の高精度なパターンを形成することが可能である。
【0028】
ここでなぜ、5マイクロメートル以下の時に膜厚の2倍の10マイクロメートル以下のパターン幅が形成できるかを説明すると、微細なパターンの作成にはフォトリソグラフィー法が使われるが、この方法ではエッチングの際にパターン端の両側よりサイドエッチングが発生するので、アスペクト比が0.5程度のパターンを作成できることになるからである。つまり、圧電体を薄膜状態にすることにより、作成できるパターン幅の限界値が小さくなり、センサやアクチュエータの小型化が実現可能となる。これは同じ0.5のアスペクト比でパターン形成したとすると、膜厚が小さい方がより多くのパターンを同面積内に描くことができるからである。
【0029】
すなわち、この基板を用いれば、これまででは作成することが不可能であった、シリコン基板と薄膜チタン酸ジルコン酸鉛を利用したセンサやアクチュエータを作成することができるようになり、これらの小型化も容易にするのである。
【0030】
また、圧電体層5の領域より外側に第三の導電層2があることで、基板のパターン合わせのためのアライメントマーカを圧電体層5より外に設定することができ、圧電体層5の領域を最大限有効に使うことができるという利点も有している。
【0031】
次に本実施の形態による薄膜圧電体基板を得るための製造方法について図面を用いて説明する。
【0032】
図2から図9は本実施の形態の一例を示す製造工程における断面図である。
【0033】
図2および図3において、11は酸化マグネシウムの単結晶板であり、15はシリコン基板であり、酸化マグネシウム単結晶板11の一面に、スパッタリングによって順番に第一の導電層12として白金、圧電体層13としてチタン酸ジルコン酸鉛を形成する。チタン酸ジルコン酸鉛は酸化マグネシウム単結晶板11の上に形成することで圧電特性の高い高品質のものが得られる。第一の導電層12としての白金は圧電体層13としてのチタン酸ジルコン酸鉛と密着性がよく、酸化マグネシウム単結晶板11の上に形成してもチタン酸ジルコン酸鉛の特性に影響を与えないため用いられる。
【0034】
次に図4および図5に示すように、酸化マグネシウム単結晶板11の一面の圧電体層13の上に第二の導電層14として金を真空蒸着やスパッタリングなどの通常の方法で形成する。このとき、同時にシリコン基板15にも第三の導電層16として金を同じ装置で形成しておく。なお、金が圧電体層13やシリコン基板15に付きにくい場合にはチタン、クロムなどを密着層として使用してもよい。また、第三の導電層16は割れを生じにくいことを考慮すると金であることがなるべく望ましいが、圧電体層13、シリコン基板15および後に形成する樹脂層との密着性が十分確保できるのであれば、たとえばチタン、クロム、アルミなどが使用できる。このように同じ装置で酸化マグネシウム単結晶板11側とシリコン基板15側に同時に同じ材料を形成することで、両者の材料特性は極めてよく似た性質のものとなり、後に熱ひずみなどを起こしにくい。また、この後の工程への待ち時間も同じとなるので、第二の導電層14と第三の導電層16の表面状態が同じになるので、後にも述べるが樹脂層を用いて両者を接着させるときに樹脂層との密着力が両基板間で異なるといったことがなくなるのである。
【0035】
次に、図6に示すように樹脂層17を第二の導電層14側へスピンコート法により形成する。このとき、形成される樹脂層17が圧電体層13の膜厚より小さくなるように樹脂層材料の粘度、およびスピンコートの条件を決める。実験では樹脂層17として新日鐡化学社製のアクリル系樹脂材料であるV259PAの固形樹脂分を25%とした溶液を用い、スピンコート条件を2000回転毎分で30秒とすることにより1マイクロメートルの膜厚を得ることができた。
【0036】
次に図7に示すように、シリコン基板15と酸化マグネシウム単結晶板11を貼り合わせて加圧しながら加熱することで硬化が完了する。なお、貼り合わせるときには第三の導電層16の領域内に収まるようにあらかじめ、酸化マグネシウム単結晶板11の大きさより、シリコン基板15および第三の導電層16の大きさの方が大きくなるようにしている。これは、圧電体層13より外側の領域に第三の導電層16が表面に出ていることにより、この部分にアライメントマーカを設定することができ、圧電体層13の領域を最大限有効に使えるようになるのである。さらにここで、本実施の形態では樹脂層の材料にアクリル系樹脂材料で加熱硬化型である、新日鐡化学社製のV259PAを用いたが、これは、加熱硬化することによって300℃程度までの耐熱性を有するようになり、硬化時の応力が比較的小さいので、圧電体層の割れを少なくするのに最適である。さらに、膜厚を1マイクロメートル程度にすると、内部に気泡が残留し、加熱硬化時に気泡が応力緩衝の役目を果たすので、圧電体層の割れはさらに少なくなる。また、アクリル系の樹脂層17は貼り合わせたときに、図8に示すように通常酸化マグネシウム単結晶板11の外側へ若干はみ出すことがあるが、はみ出し部18は硬化後であってもドライエッチングなどの方法により除去することが可能である。また、この樹脂層材料は硬化後もドライエッチングによってパターン作成が可能であり、本発明の薄膜圧電体基板を用いてセンサ、アクチュエータなどを作成するのに好都合である。しかしながら、本発明は他の材料による樹脂層の可能性を否定するものではなく、たとえばシリコン樹脂などの室温硬化するものであってもよい。シリコン樹脂は一般にアクリル樹脂よりも硬化収縮が少なく、硬化後の弾力性も高いので、シリコン基板15と酸化マグネシウム単結晶板11の間に、加熱によって発生する応力を小さくすることができ、圧電体層13の割れが少なくなるという利点を有するが、樹脂層のエッチングが難しくなるなど他の工程にも影響を与えるので、その時々によって最適な樹脂層の材料を選択することが望ましい。
【0037】
最後に図9に示すように、樹脂層によって一体化されたシリコン基板15と酸化マグネシウム単結晶板11を燐酸溶液の中に浸けると酸化マグネシウムが溶解するが、第一の導電層、圧電体層、第二の導電層はシリコン基板15に樹脂層によって強固に一体化されているので、シリコン基板15からはがれることはない。このとき、第一の導電層に白金を使用していることにより、白金は燐酸溶液に侵されないので、酸化マグネシウムを除去するために少々のオーバーエッチングをしても下の圧電体層13が侵されることはないのである。このようにして薄膜圧電体基板が完成する。
【0038】
以上のような方法により得られる薄膜圧電体基板は、シリコン基板15の上に高品質な圧電体層13がこれに電界を加えるための第一の導電層12、第二の導電層14とともに一体化された状態で形成されていることになり、これらシリコン基板15上の材料はフォトリソエッチングによって自由にパターニングでき、シリコン基板もまた、フォトリソエッチングによって微細な構造を形成することができる。つまりこの薄膜圧電体基板を用いれば、センサやアクチュエータなど、高品質な圧電体を必要とする電子部品を小型化、高性能化することが可能になるのである。
【0039】
(実施の形態2)
図10から図14は本発明の実施の形態2の製造工程を示す断面図である。
【0040】
実施の形態2はすでに述べた実施の形態1とほぼ同じであるが、次の点で異なる。すなわち、酸化マグネシウム単結晶板21の第二の導電層24側へ第一の樹脂層25をコーティングするだけでなく、シリコン基板27の第三の導電層28側へも第二の樹脂層26をともに同じ材料で形成しておく。
【0041】
この場合は、両側へコーティングした膜厚の合計が圧電体層23の膜厚より小さくなるようにする必要がある。こうすることで、図12に示すように貼り合わされた両基板は硬化することで第一の樹脂層25および第二の樹脂層26は図13に示すように融合し、接着はより強固なものとなる。最後に図14に示すように酸化マグネシウム単結晶板21を燐酸溶液により全面除去する。このように形成された薄膜圧電体基板は、第三の導電層28、圧電体層23の領域外に第二の樹脂層26が出ることになるが、樹脂層の材料をアクリル系材料としておくことで、ドライエッチングによりパターニングが可能となり、この領域にパターンやアライメントマーカを形成するために支障はない。
【0042】
このようにすることで第一の実施の形態と同じく、極めて有益な薄膜圧電体基板が作成されるのである。
【0043】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、シリコン基板など加工性・信頼性に優れた材料の上に、従来の方法では作成が不可能であった5マイクロメートル以下の薄膜圧電体を形成することができるのである。さらに、5マイクロメートル以下の薄い圧電体層でも割れにくい薄膜圧電体基板を形成することができる。本発明で提供される薄膜圧電体基板はセンサ、アクチュエータなど圧電体の特性を利用した電子部分に広く用いることができる極めて有効な基板なのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態における薄膜圧電体基板の斜視図
【図2】 同製造方法を示す断面図
【図3】 同製造方法を示す断面図
【図4】 同製造方法を示す断面図
【図5】 同製造方法を示す断面図
【図6】 同製造方法を示す断面図
【図7】 同製造方法を示す断面図
【図8】 同製造方法を示す断面図
【図9】 同製造方法を示す断面図
【図10】 本発明の実施の形態2における製造方法を示す断面図
【図11】 同製造方法を示す断面図
【図12】 同製造方法を示す断面図
【図13】 同製造方法を示す断面図
【図14】 同製造方法を示す断面図
【符号の説明】
1 基材
2 第三の導電層
3 樹脂層
4 第二の導電層
5 圧電体層
6 第一の導電層

Claims (16)

  1. 基材と、前記基材にの少なくとも一面に形成された樹脂層と、前記樹脂層によって基材に貼り付けられた圧電体層と、前記圧電体層に一体に形成された第一の導電層を有し、前記圧電体の膜厚は5マイクロメートル以下の薄膜であり、前記樹脂層が気泡を一様に含んでいる薄膜圧電体基板。
  2. 樹脂層の厚みは圧電体層の膜厚より薄い請求項1記載の薄膜圧電体基板。
  3. 圧電体層の第一の導電層と反対の面には、第二の導電層が設けられている請求項1記載の薄膜圧電体基板。
  4. 基材と樹脂層の間には、第二の導電層と同材料の第三の導電層が設けられており、この第三の導電層の膜厚は第二の導電層と同じである請求項1記載の薄膜圧電体基板。
  5. 基材の圧電体層がり合わされる領域は第三の導電層が設けられている領域より小さい請求項4記載の薄膜圧電体基板。
  6. 圧電体層は、チタン酸ジルコン酸鉛を主成分とする請求項1記載の薄膜圧電体基板。
  7. 第一の導電層は、白金を主成分とする請求項1記載の薄膜圧電体基板。
  8. 第二および第三の導電層は金を主成分とする請求項4記載の薄膜圧電体基板。
  9. 樹脂層は、アクリル剤を主成分とする請求項1記載の薄膜圧電体基板。
  10. 前記基材は、シリコン基板である請求項1記載の薄膜圧電体基板。
  11. 請求項1〜10のいずれか一つに記載の薄膜圧電体基板を用いた電子部品。
  12. 酸化マグネシウム単結晶板の上に第一の導電層をスパッタリングによって形成し、
    次にこの第一の導電層上に5マイクロメートル以下の厚みの圧電体層をスパッタリングによって形成し、
    その後この圧電体層と前記第一の導電層とを一体として、スピンコート法によって前記圧電体層の膜厚よりも薄く、かつ気泡を一様に含むように形成された樹脂層を介して基材上に貼り付ける薄膜圧電体基板の製造方法。
  13. 前記圧電体層を形成した後に、
    さらに第二の導電層を薄膜形成方法により形成するのと同時に、
    前記基材上に、前記第二の導電層と同等の方法および条件により、この第二の導電層と同じ膜厚の第三の導電層を形成することを特徴とする請求項12記載の薄膜圧電体基板の製造方法。
  14. 前記第二の導電層および第三の導電層を形成した後に、基材と酸化マグネシウム単結晶板のそれぞれの第二の導電層と第三の導電層を形成した面に、スピンコート法によって樹脂層の膜厚が圧電体層の膜厚より薄くなるように、かつ、コーティング後には気泡が一様に形成されるように樹脂層を形成する請求項1記載の薄膜圧電体基板の製造方法。
  15. 樹脂層をコーティングした後に、基材と酸化マグネシウム単結晶板を貼り合せるとき、基材側に形成した第三の導電層の形成領域の内側に、酸化マグネシウム単結晶板が貼り合わされることを特徴とする請求項1記載の薄膜圧電体基板の製造方法。
  16. 樹脂層を硬化させた後、酸化マグネシウム単結晶板を燐酸溶液によりすべて除去する工程を含む請求項1〜1のいずれか一つに記載の薄膜圧電体基板の製造方法。
JP2001240787A 2001-08-08 2001-08-08 薄膜圧電体基板とこれを用いた電子部品、および薄膜圧電体基板の製造方法 Expired - Fee Related JP4956875B2 (ja)

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