JP2003060248A - 薄膜圧電体基板およびその製造方法 - Google Patents

薄膜圧電体基板およびその製造方法

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JP2003060248A JP2001240787A JP2001240787A JP2003060248A JP 2003060248 A JP2003060248 A JP 2003060248A JP 2001240787 A JP2001240787 A JP 2001240787A JP 2001240787 A JP2001240787 A JP 2001240787A JP 2003060248 A JP2003060248 A JP 2003060248A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 これまでの方法では5マイクロメートル以下
の薄膜圧電体として十分な特性を得るまでにはいたって
おらず、これを利用したセンサやアクチュエータが製品
化された例は過去にはまだない。 【解決手段】 圧電体の膜厚は5マイクロメートル以下
の薄膜である薄膜圧電体基板を提供する。本発明による
と、シリコン基板などに直接スパッタリングなどの方法
では圧電特性の良いPZT薄膜を形成し難い材料基板の
上に、圧電特性の良いPZTを薄膜状態で設置した基板
を提供できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種センサ、各種
アクチュエータなど圧電体の圧電特性を利用するデバイ
スを作成するための薄膜圧電体基板およびその製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、各種センサ、各種アクチュエ
ータとして用いられる圧電体材料としては、水晶、タン
タル酸リチウム、ニオブ酸リチウムなどの単結晶基板に
加え、チタン酸ジルコン酸鉛(以下、「PZT」と略
す)や、チタン酸バリウムなどのセラミック材料が広く
用いられてきた。これら材料をセンサ、アクチュエータ
として利用するためには大きな原材料の塊から切り出し
たり、原材料ペーストや粉を焼結するなどの方法が一般
的である。これに対して、近年では特にPZT材料をシ
リコン基板などの基材にスパッタリングやスピンコート
法などの方法で形成する方法が提案されてきている。こ
れはこのような方法によると5マイクロメートル以下の
薄膜圧電体を得ることができるからである。薄膜圧電体
が5マイクロメートル以下である場合には、膜厚の2倍
である10マイクロメートルのパターンの作成が可能で
ある。これは、微細なパターン端の作成にはフォトリソ
グラフィー法が使われるが、この方法ではエッチングの
際にパターン端の両側よりサイドエッチングが発生する
ので、膜厚の値の2倍より小さい幅のパターンを作成す
ることが困難になるからである。特にPZT材料の場
合、エッチング特性が等方性エッチングとなるのでサイ
ドエッチングが発生しやすい。
【0003】上記のような理由から、エッチングで作成
されるパターンの幅の値に対する膜厚の値の比をアスペ
クト比と呼ぶが、アスペクト比が0.5以上のパターン
を作成することは、特にPZT圧電体にとっては困難で
ある。これに対して、圧電体を薄膜状態にすることによ
り、作成できるパターン幅の限界値が小さくなり、セン
サやアクチュエータの小型化が実現可能となる。これは
同じ0.5のアスペクト比でパターン形成したとする
と、膜厚が小さい方がより多くのパターンを同面積内に
描くことができるからである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これま
での方法では5マイクロメートル以下の薄膜圧電体とし
て十分な特性を得るまでにはいたっておらず、これを利
用したセンサやアクチュエータが製品化された例は過去
にはまだない。
【0005】一方で、高山らによると酸化マグネシウム
単結晶板の上にスパッタリングすることにより圧電特性
の高いPZTが薄膜状態で形成できることが示されてい
る(R.Takayama,Y.Tomita,Preparation of epitaxial P
ZT thin films and their crystallographic,pyroelect
ric,and ferroelectric properties,J.Appl.Phys.,vol6
5, pp1666-1670,1989)。しかし、酸化マグネシウムは
シリコン基板のように機械特性、耐湿性、加工性に優れ
ておらず、センサ、アクチュエータなどに使うには製造
に困難を伴い、また、長期信頼性に欠けるという問題が
あった。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、特に、圧電体の膜厚は5マイクロメートル以下の薄
膜であるもので、圧電体が5マイクロメートルと薄いの
で、フォトリソグラフィーなどの方法で幅が10マイク
ロメートル以下の微細なパターンを形成することがで
き、センサやアクチュエータの小型化を可能にするとい
う作用を有する。
【0007】請求項2に記載の発明は、特に、樹脂層の
膜厚は圧電体層の膜厚より薄いもので、圧電体層は5マ
イクロメートル以下と薄いため割れが発生しやすいが、
樹脂層の膜厚を圧電体層より薄くすることにより、樹脂
層が圧電体層に作用する応力を減らすことができるの
で、割れが少なくなり、また、樹脂層の膜厚を薄くして
おけば、内部に存在する気泡の量が膜厚に対して相対的
に多くなるので樹脂層の応力の緩和を促進し、さらに圧
電体層の割れを発生することが少なくなるという作用を
有する。
【0008】請求項3に記載の発明は、特に、圧電体層
の第一の導電層と反対の面には第二の導電層を設けるも
ので、圧電体層に第二の導電層が設けられていることに
より、第二の導電層は圧電体層に直に接しているので第
一の導電層と第二の導電層の間に電界を掛けたときに、
無駄なく圧電体層に掛けることができ、また、第二の導
電層は樹脂層との密着力を向上させるという役割を果た
す。さらに、第二の導電層の破壊強度が圧電体よりも高
い材料である場合には圧電体層の割れを減らすという作
用を有する。
【0009】請求項4に記載の発明は、特に、基材と樹
脂層の間には第二の導電層と同材料の第三の導電層が設
けられており、この第三の導電層の膜厚は第二の導電層
と同じであるもので、基材と樹脂層の間に第三の導電層
が存在することにより樹脂層の密着性が向上することに
加え、第三の導電層と第二の導電層を同じ材料のものを
同じ膜厚、同じ条件で構成しておくことによって、樹脂
層を熱膨張特性が同じ材料で挟むことになるので、樹脂
層の硬化の際に、加熱、冷却過程を経ても樹脂層に不均
一な応力が発生しないため、つまり、加熱冷却過程にお
いて、両側の導電層が同じように伸び縮みするので、樹
脂層は均等な応力を両面から受けるので、硬化後の形状
に反りなどの不均一な形状が発生しない。よって、圧電
体層へ応力を加えることもないので、割れが少なくなる
という作用を有する。
【0010】請求項5に記載の発明は、特に、基材の圧
電体層が張り合わされる領域は第三の導電層が設けられ
ている領域より小さいもので、第三の導電層の設けられ
ている領域の方が大きいことにより、確実にこの領域に
圧電体層が密着性良く接着され、また、圧電体層の外部
に第三の導電層が露出しているのでこの露出した領域内
にフォトリソ工程で必要なアライメントマーカを形成す
ることができ、すなわち、アライメントマーカは完成し
た素子には必要ないので、圧電体層の領域内にアライメ
ントマーカを形成した場合にはこの領域が無駄になる
が、圧電体層の外部領域に作成することにより圧電体層
を無駄なく最大限有効に使うことができるという作用を
有する。
【0011】請求項6に記載の発明は、特に、圧電体層
の材料はチタン酸ジルコン酸鉛を主成分とするもので、
チタン酸ジルコン酸鉛を圧電体層とすることで、チタン
酸ジルコン酸鉛は酸化マグネシウム単結晶板をこれの形
成用基板として利用できるので圧電特性が優れており、
また、他の基材へのチタン酸ジルコン酸鉛の転写が容易
になるという作用を有する。
【0012】請求項7に記載の発明は、特に、第一の導
電層の材料は白金を主成分とするもので、第一の導電層
を白金とすることでチタン酸ジルコン酸鉛と密着性が良
く、かつ、優れた圧電特性をもつチタン酸ジルコン酸鉛
を得ることができるという作用を有する。
【0013】請求項8に記載の発明は、特に、第二およ
び第三の導電層は金を主成分とすることを特徴とするも
ので、第二および第三の導電層として金を形成すること
で、樹脂層との密着性がよくなるという作用を有する。
【0014】請求項9に記載の発明は、特に、樹脂層は
アクリル剤を主成分とするもので、アクリル剤を主成分
とした樹脂層は他の一般的な樹脂、たとえばシリコン
剤、エポキシ剤などのものに比べて、ドライエッチング
などの方法によって容易に除去できるので、センサやア
クチュエータの製造が容易になるという作用を有する。
【0015】請求項10に記載の発明は、特に、基板は
シリコン基板であるもので、基材をシリコン基板とする
ことでドライエッチングなどの方法で加工が容易にな
り、様々な構造体を容易に得られるという作用を有す
る。
【0016】請求項11に記載の発明は、特に、第一の
導電層と圧電体層とを一体化する方法として、酸化マグ
ネシウム単結晶板の上に第一の導電層として白金、圧電
体層としてチタン酸ジルコン酸鉛の順にスパッタリング
によって形成する工程を含むもので、酸化マグネシウム
単結晶板の上に白金、チタン酸ジルコン酸鉛をスパッタ
リングにより形成することで高品質なチタン酸ジルコン
酸鉛を容易に得ることができ、酸化マグネシウム単結晶
板は後に燐酸溶液にて容易に除去できるので、一体化さ
れた白金と圧電体層を他の基材に樹脂層によって転写で
きるようになるという作用を有する。
【0017】請求項12に記載の発明は、圧電体層を形
成した後に、さらに第二の導電層として金を真空蒸着法
など通常の薄膜形成方法により形成する一方で、上記シ
リコン基板にも同等の方法および条件により第三の導電
層として金を同じ膜厚で形成する工程を含むもので、第
二の導電層と第三の導電層が同じ金であり同じ膜厚とす
ることにより、同じ装置で同時に形成できることとな
り、これらの導電層を形成した後、樹脂層を形成するま
での時間を同じに保つことができるようになる。つま
り、金は形成した後、時間が経過するにつれ表面に吸着
層が形成されるので樹脂層の形成までの時間管理が重要
であるが、金の形成後の時間が同じなため、樹脂層の形
成を同時に行えるので、極めて効率よく、接着不良を起
こさない工程を構築することができるという作用を有す
る。
【0018】請求項13に記載の発明は、特に、第二の
導電層および第三の導電層を形成した後に、シリコン基
板と酸化マグネシウム単結晶板に形成された第二の導電
層と第三の導電層を形成した面にアクリル剤を主成分と
する樹脂層を均等に形成する方法として、スピンコート
法によって樹脂層の膜厚が圧電体層の膜厚より薄くなる
ように、かつ、コーティング後には気泡が一様に形成さ
れるように形成することを特徴とするもので、薄膜圧電
体基板の製造方法であって、スピンコート法によって樹
脂層の膜厚が圧電体層より薄くなるように形成すること
が容易になり、また、スピンコート法では内部に気泡が
残るので、気泡部分では樹脂層が硬化後に他の層を拘束
することがないので割れが生じ難くなるという作用を有
する。
【0019】請求項14に記載の発明は、特に、樹脂層
がコーティングされた後に、シリコン基板と酸化マグネ
シウム単結晶板を張り合わせるとき、シリコン基板側に
形成した第三の導電層の形成領域の内側に、酸化マグネ
シウム単結晶板が張り合わされるもので、第三の導電層
の形成領域の方が大きいので張り合わせ位置調整が必要
なく容易にその領域へ貼り付けることができるという作
用を有する。
【0020】請求項15に記載の発明は、特に、樹脂層
を硬化させた後、酸化マグネシウム基板を燐酸溶液によ
りすべて除去する工程を含むもので、燐酸溶液はシリコ
ン基板と白金を侵さないので酸化マグネシウム単結晶板
のみが除去されるという作用を有する。
【0021】
【発明の実施の形態】(実施の形態1)次に本発明の具
体的な実施方法を図面を用いて詳細に説明する。
【0022】図1は本発明の実施の形態1における薄膜
圧電体基板の斜視図である。
【0023】図において、1はシリコンからなる基材
で、シリコン基板1の一面には金よりなる第三の導電層
2が当接されており、アクリル剤を主成分とする樹脂層
3を介して、第二の導電層4として金と圧電体層5とし
てチタン酸ジルコン酸鉛と第一の導電層6として白金が
一体化された状態で当接されている。このとき、圧電体
層5の膜厚は5マイクロメートル以下であり、さらに樹
脂層3の膜厚は圧電体層5よりも薄く、樹脂層3の内部
には無数の気泡(図示せず)が存在している。このよう
な構成とすることで、樹脂層3の膜厚が圧電体層5の膜
厚より薄いため、圧電体層5に及ぼす応力が少なく、ま
た、内部に気泡が存在する場合に、膜厚が薄いため、気
泡の影響が大きくなるので、より応力緩和が起こるの
で、圧電体層5が樹脂層3からの応力によって割れるこ
とが少なくなるのである。実験では圧電体層5の膜厚が
2.5マイクロメートルの時に樹脂層3の膜厚を3マイ
クロメートルおよび4マイクロメートルの時には割れが
必ず発生したが、2.5マイクロメートルの時には基板
によって割れが発生したりしなかったりとなり、2マイ
クロメートルにしたときに割れはほとんど発生しない。
【0024】さらに、基材1の上に設けられた第三の導
電層2の領域は、圧電体層5の一面に設けられた第二の
導電層4の領域より大きい。このようにすることで、第
一の導電層6および圧電体層5および第二の導電層4は
一体化されて、樹脂層3によって第三の導電層2の領域
よりはみ出すことなく固定されるのである。
【0025】さらに、樹脂層3に接する面は金を主体と
する材料となっていることで、樹脂層の密着性はさらに
強固なものとなっている。
【0026】さらに、樹脂層に接する第二の導電層4と
第三の導電層2はともに同じ条件および同じ膜厚で形成
されているので、両者の間の材料特性はよく似ており、
このことで樹脂層3による固定状態はさらに強固なもの
となっている。
【0027】このように本発明によれば、従来の方法で
あれば、シリコン基板の上には高品質なチタン酸ジルコ
ン酸鉛を形成することができなかったが、シリコン基板
の上に高品質な薄膜状のチタン酸ジルコン酸鉛が形成さ
れた薄膜圧電体基板を提供できるのである。高品質なチ
タン酸ジルコン酸鉛は高い圧電特性を示し、さらに、シ
リコン基板はフォトリソエッチングによって高精度に立
体的な構造体を形成することができる材料である。さら
に、圧電体層5の膜厚が5マイクロメートル以下と薄い
ことで、フォトリソグラフィーおよびエッチングにより
幅が膜厚の2倍の10マイクロメートル以下の高精度な
パターンを形成することが可能である。
【0028】ここでなぜ、5マイクロメートル以下の時
に膜厚の2倍の10マイクロメートル以下のパターン幅
が形成できるかを説明すると、微細なパターンの作成に
はフォトリソグラフィー法が使われるが、この方法では
エッチングの際にパターン端の両側よりサイドエッチン
グが発生するので、アスペクト比が0.5程度のパター
ンを作成できることになるからである。つまり、圧電体
を薄膜状態にすることにより、作成できるパターン幅の
限界値が小さくなり、センサやアクチュエータの小型化
が実現可能となる。これは同じ0.5のアスペクト比で
パターン形成したとすると、膜厚が小さい方がより多く
のパターンを同面積内に描くことができるからである。
【0029】すなわち、この基板を用いれば、これまで
では作成することが不可能であった、シリコン基板と薄
膜チタン酸ジルコン酸鉛を利用したセンサやアクチュエ
ータを作成することができるようになり、これらの小型
化も容易にするのである。
【0030】また、圧電体層5の領域より外側に第三の
導電層2があることで、基板のパターン合わせのための
アライメントマーカを圧電体層5より外に設定すること
ができ、圧電体層5の領域を最大限有効に使うことがで
きるという利点も有している。
【0031】次に本実施の形態による薄膜圧電体基板を
得るための製造方法について図面を用いて説明する。
【0032】図2から図9は本実施の形態の一例を示す
製造工程における断面図である。
【0033】図2および図3において、11は酸化マグ
ネシウムの単結晶板であり、15はシリコン基板であ
り、酸化マグネシウム単結晶板11の一面に、スパッタ
リングによって順番に第一の導電層12として白金、圧
電体層13としてチタン酸ジルコン酸鉛を形成する。チ
タン酸ジルコン酸鉛は酸化マグネシウム単結晶板11の
上に形成することで圧電特性の高い高品質のものが得ら
れる。第一の導電層12としての白金は圧電体層13と
してのチタン酸ジルコン酸鉛と密着性がよく、酸化マグ
ネシウム単結晶板11の上に形成してもチタン酸ジルコ
ン酸鉛の特性に影響を与えないため用いられる。
【0034】次に図4および図5に示すように、酸化マ
グネシウム単結晶板11の一面の圧電体層13の上に第
二の導電層14として金を真空蒸着やスパッタリングな
どの通常の方法で形成する。このとき、同時にシリコン
基板15にも第三の導電層16として金を同じ装置で形
成しておく。なお、金が圧電体層13やシリコン基板1
5に付きにくい場合にはチタン、クロムなどを密着層と
して使用してもよい。また、第三の導電層16は割れを
生じにくいことを考慮すると金であることがなるべく望
ましいが、圧電体層13、シリコン基板15および後に
形成する樹脂層との密着性が十分確保できるのであれ
ば、たとえばチタン、クロム、アルミなどが使用でき
る。このように同じ装置で酸化マグネシウム単結晶板1
1側とシリコン基板15側に同時に同じ材料を形成する
ことで、両者の材料特性は極めてよく似た性質のものと
なり、後に熱ひずみなどを起こしにくい。また、この後
の工程への待ち時間も同じとなるので、第二の導電層1
4と第三の導電層16の表面状態が同じになるので、後
にも述べるが樹脂層を用いて両者を接着させるときに樹
脂層との密着力が両基板間で異なるといったことがなく
なるのである。
【0035】次に、図6に示すように樹脂層17を第二
の導電層12側へスピンコート法により形成する。この
とき、形成される樹脂層17が圧電体層13の膜厚より
小さくなるように樹脂層材料の粘度、およびスピンコー
トの条件を決める。実験では樹脂層17として新日鐡化
学社製のアクリル系樹脂材料であるV259PAの固形
樹脂分を25%とした溶液を用い、スピンコート条件を
2000回転毎分で30秒とすることにより1マイクロ
メートルの膜厚を得ることができた。
【0036】次に図7に示すように、シリコン基板15
と酸化マグネシウム単結晶板11を張り合わせて加圧し
ながら加熱することで硬化が完了する。なお、張り合わ
せるときには第三の導電層16の領域内に収まるように
あらかじめ、酸化マグネシウム単結晶板11の大きさよ
り、シリコン基板15および第三の導電層16の大きさ
の方が大きくなるようにしている。これは、圧電体層1
3より外側の領域に第三の導電層16が表面に出ている
ことにより、この部分にアライメントマーカを設定する
ことができ、圧電体層13の領域を最大限有効に使える
ようになるのである。さらにここで、本実施の形態では
樹脂層の材料にアクリル系樹脂材料で加熱硬化型であ
る、新日鐡化学社製のV259PAを用いたが、これ
は、加熱硬化することによって300℃程度までの耐熱
性を有するようになり、硬化時の応力が比較的小さいの
で、圧電体層の割れを少なくするのに最適である。さら
に、膜厚を1マイクロメートル程度にすると、内部に気
泡が残留し、加熱硬化時に気泡が応力緩衝の役目を果た
すので、圧電体層の割れはさらに少なくなる。また、ア
クリル系の樹脂層17は張り合わせたときに、図8に示
すように通常酸化マグネシウム単結晶板11の外側へ若
干はみ出すことがあるが、はみ出し部18は硬化後であ
ってもドライエッチングなどの方法により除去すること
が可能である。また、この樹脂層材料は硬化後もドライ
エッチングによってパターン作成が可能であり、本発明
の薄膜圧電体基板を用いてセンサ、アクチュエータなど
を作成するのに好都合である。しかしながら、本発明は
他の材料による樹脂層の可能性を否定するものではな
く、たとえばシリコン樹脂などの室温硬化するものであ
ってもよい。シリコン樹脂は一般にアクリル樹脂よりも
硬化収縮が少なく、硬化後の弾力性も高いので、シリコ
ン基板15と酸化マグネシウム単結晶板11の間に、加
熱によって発生する応力を小さくすることができ、圧電
体層13の割れが少なくなるという利点を有するが、樹
脂層のエッチングが難しくなるなど他の工程にも影響を
与えるので、その時々によって最適な樹脂層の材料を選
択することが望ましい。
【0037】最後に図9に示すように、樹脂層によって
一体化されたシリコン基板15と酸化マグネシウム単結
晶板11を燐酸溶液の中に浸けると酸化マグネシウムが
溶解するが、第一の導電層、圧電体層、第二の導電層は
シリコン基板15に樹脂層によって強固に一体化されて
いるので、シリコン基板15からはがれることはない。
このとき、第一の導電層に白金を使用していることによ
り、白金は燐酸溶液に侵されないので、酸化マグネシウ
ムを除去するために少々のオーバーエッチングをしても
下の圧電体層13が侵されることはないのである。この
ようにして薄膜圧電体基板が完成する。
【0038】以上のような方法により得られる薄膜圧電
体基板は、シリコン基板15の上に高品質な圧電体層1
3がこれに電界を加えるための第一の導電層12、第二
の導電層14とともに一体化された状態で形成されてい
ることになり、これらシリコン基板15上の材料はフォ
トリソエッチングによって自由にパターニングでき、シ
リコン基板もまた、フォトリソエッチングによって微細
な構造を形成することができる。つまりこの薄膜圧電体
基板を用いれば、センサやアクチュエータなど、高品質
な圧電体を必要とする電子部品を小型化、高性能化する
ことが可能になるのである。
【0039】(実施の形態2)図10から図14は本発
明の実施の形態2の製造工程を示す断面図である。
【0040】実施の形態2はすでに述べた実施の形態1
とほぼ同じであるが、次の点で異なる。すなわち、酸化
マグネシウム単結晶板21の第二の導電層24側へ第一
の樹脂層25をコーティングするだけでなく、シリコン
基板27の第三の導電層28側へも第二の樹脂層26を
ともに同じ材料で形成しておく。
【0041】この場合は、両側へコーティングした膜厚
の合計が圧電体層23の膜厚より小さくなるようにする
必要がある。こうすることで、図12に示すように張り
合わされた両基板は硬化することで第一の樹脂層25お
よび第二の樹脂層26は図13に示すように融合し、接
着はより強固なものとなる。最後に図14に示すように
酸化マグネシウム単結晶板21を燐酸溶液により全面除
去する。このように形成された薄膜圧電体基板は、第三
の導電層28、圧電体層23の領域外に第二の樹脂層2
6が出ることになるが、樹脂層の材料をアクリル系材料
としておくことで、ドライエッチングによりパターニン
グが可能となり、この領域にパターンやアライメントマ
ーカを形成するために支障はない。
【0042】このようにすることで第一の実施の形態と
同じく、極めて有益な薄膜圧電体基板が作成されるので
ある。
【0043】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、シリコン
基板など加工性・信頼性に優れた材料の上に、従来の方
法では作成が不可能であった5マイクロメートル以下の
薄膜圧電体を形成することができるのである。本発明で
提供される薄膜圧電体基板はセンサ、アクチュエータな
ど圧電体の特性を利用した電子部分に広く用いることが
できる極めて有効な基板なのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における薄膜圧電体基板
の斜視図
【図2】同製造方法を示す断面図
【図3】同製造方法を示す断面図
【図4】同製造方法を示す断面図
【図5】同製造方法を示す断面図
【図6】同製造方法を示す断面図
【図7】同製造方法を示す断面図
【図8】同製造方法を示す断面図
【図9】同製造方法を示す断面図
【図10】本発明の実施の形態2における製造方法を示
す断面図
【図11】同製造方法を示す断面図
【図12】同製造方法を示す断面図
【図13】同製造方法を示す断面図
【図14】同製造方法を示す断面図
【符号の説明】
1 基材 2 第三の導電層 3 樹脂層 4 第二の導電層 5 圧電体層 6 第一の導電層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森仲 克也 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 4K029 AA04 AA06 AA24 BA05 BA13 BA50 BB02 CA05 EA01 GA03

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材の少なくとも一面に、第一の導電層
    と圧電体層が一体となって樹脂層によって貼り付けられ
    ており、上記圧電体の膜厚は5マイクロメートル以下の
    薄膜である薄膜圧電体基板。
  2. 【請求項2】 樹脂層の厚みは圧電体層の膜厚より薄い
    請求項1記載の薄膜圧電体基板。
  3. 【請求項3】 圧電体層の第一の導電層と反対の面に
    は、第二の導電層が設けられている請求項1記載の薄膜
    圧電体基板。
  4. 【請求項4】 基材と樹脂層の間には、第二の導電層と
    同材料の第三の導電層が設けられており、この第三の導
    電層の膜厚は第二の導電層と同じである請求項1記載の
    薄膜圧電体基板。
  5. 【請求項5】 基材の圧電体層が張り合わされる領域は
    第三の導電層が設けられている領域より小さい請求項4
    記載の薄膜圧電体基板。
  6. 【請求項6】 圧電体層は、チタン酸ジルコン酸鉛を主
    成分とする請求項1記載の薄膜圧電体基板。
  7. 【請求項7】 第一の導電層は、白金を主成分とする請
    求項1記載の薄膜圧電体基板。
  8. 【請求項8】 第二および第三の導電層は金を主成分と
    することを特徴とする請求項4記載の薄膜圧電体基板。
  9. 【請求項9】 樹脂層は、アクリル剤を主成分とする請
    求項1記載の薄膜圧電体基板。
  10. 【請求項10】 基板は、シリコン基板である請求項1
    記載の薄膜圧電体基板。
  11. 【請求項11】 基板の少なくとも一面に、第一の導電
    層と圧電体層が一体となって、樹脂層によって貼り付け
    られ、この樹脂層の膜厚は上記圧電体層の膜厚より薄い
    もので、樹脂層には気泡が一様に含まれるもので、第一
    の導電層と圧電体層を一体化する方法として、酸化マグ
    ネシウム単結晶板の上に第一の導電層として白金、圧電
    体層としてチタン酸ジルコン酸鉛の順にスパッタリング
    によって形成する薄膜圧電体基板の製造方法。
  12. 【請求項12】 圧電体層を形成した後に、さらに第二
    の導電層として金を真空蒸着法など通常の薄膜形成方法
    により形成する一方で、上記シリコン基板にも同等の方
    法および条件により第三の導電層として金を同じ膜厚で
    形成することを特徴とする請求項11記載の薄膜圧電体
    基板の製造方法。
  13. 【請求項13】 第二の導電層および第三の導電層を形
    成した後に、シリコン基板と酸化マグネシウム単結晶板
    のそれぞれの第二の導電層と第三の導電層を形成した面
    に、アクリル剤を主成分とする樹脂層を均等に形成する
    方法として、スピンコート法によって樹脂層の膜厚が圧
    電体層の膜厚より薄くなるように、かつ、コーティング
    後には気泡が一様に形成されるように形成する請求項1
    2記載の薄膜圧電体基板の製造方法。
  14. 【請求項14】 樹脂層をコーティングした後に、シリ
    コン基板と酸化マグネシウム単結晶板を張り合せると
    き、シリコン基板側に形成した第三の導電層の形成領域
    の内側に、酸化マグネシウム単結晶が張り合わされるこ
    とを特徴とする請求項13記載の薄膜圧電体基板の製造
    方法。
  15. 【請求項15】 樹脂層を硬化させた後、酸化マグネシ
    ウム基板を燐酸溶液によりすべて除去する工程を含む請
    求項14記載の薄膜圧電体基板の製造方法。
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