JP4956753B2 - 細胞の分化/増殖を制御するための基材 - Google Patents

細胞の分化/増殖を制御するための基材 Download PDF

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Description

本発明は、細胞の形態を自由に制御することができる構造体に関するものであり、より詳細には、本発明は、幹細胞の分化または増殖を自由に操作することができる構造体に関するものである。
生物では、未分化細胞から幹細胞を経て、血液細胞、免疫細胞、神経細胞、皮膚組織などの機能的な分化細胞が形成される。種々の系列において、その分化(すなわち、成熟)の誘導または制御に関する研究は、細胞移植(例えば、骨髄移植)または組織再生もしくは組織修復という応用面で注目されている。特に、自己複製能(自己増幅能)および多分化能(個体を形成する全ての細胞種へ分化する能力)を有する胚性幹細胞(embryonic stem cell:ES細胞)は、これらの能力を利用した再生医療(例えば、所望の細胞および/または組織を必要に応じて作製して生体内へ移植する医療)における応用が期待されている。
幹細胞については、主に造血幹細胞の研究がなされてきたが、胚性幹細胞の確立に続いて、現在までに各細胞系列(例えば、肝臓、筋肉、皮膚、神経など)の幹細胞も同定されている。これらの幹細胞を遺伝子レベルで改変してその機能を必要に応じて修飾する技術を開発することが、難治性疾患(例えば、ガンおよび変性疾患など)の治療法の開発につながると考えられる。実際に、造血幹細胞はすでに骨髄移植に応用されており、マウス胚性幹細胞は遺伝子ターゲティングにおいて使用されている。さらに、最近単離されたヒト胚性幹細胞は移植を介する臓器形成への応用が期待されており、正常組織幹細胞はガン治療もしくは再生医学、または組織幹細胞を標的とする遺伝子治療への応用も期待されている。
これまで全能性を有する胚性幹細胞が特に注目されて、研究が進められている。すなわち、胚性幹細胞のみが唯一の全能性幹細胞であると従来考えられており、体性幹細胞(すなわち、造血幹細胞、神経幹細胞などの組織幹細胞)は臓器限定的な再生能のみを有すると考えられていた。
しかし、近年いくつかの組織幹細胞が環境に応じた幅広い分化能を有することが示され、現在では、哺乳動物において、ほとんどの組織に固有の幹細胞が存在し、その増殖および分化によって機能性の成熟細胞が供給され、その結果として、各組織の恒常性が維持されるということが知られている。また、Bjornsonらは培養神経幹細胞からインビボで成熟血球細胞を産生させたことを報告している(非特許文献1を参照のこと)。
しかし、幹細胞を用いる研究の大きな課題は、いずれの幹細胞もその数が非常に少ないことである。非特許文献1に示された結果は再現されていないものの、この知見が事実であれば、培養および継代が可能な神経幹細胞を使用すれば造血幹細胞をインビトロで増幅させることが可能になる。
このように幹細胞を遺伝子治療、臓器移植、骨髄移植、ガン治療、または再生医学へ応用しようとする試みが数多くなされているが、幹細胞を分化させずに自己増幅させる技術はほとんど開発されていない。従って、幹細胞を自由に操作する技術を開発することは非常に望まれている。
細胞は、増殖因子またはサイトカインなどの液性因子だけでなく、種々の高分子からなる細胞外基質との接着によってその増殖および/または分化が制御されていることが知られている。この細胞と細胞外基質との相互作用において、細胞は、細胞外基質分子の化学的な性質だけでなく、基質を構成する高分子が織り成す微細な形状によってその増殖および/または分化が制御されることもまた知られている。
組織を構築および/または再生する際もまた、その組織の細胞および液性因子だけでなく細胞の足場(scaffold)を検討することが重要であり、組織工学の分野においては足場の開発が活発に行われている。このように、細胞外基質は細胞の特性を制御する足場として細胞工学および組織工学の分野において注目されており、特に特定の3次元構造を有する人工基質の開発に向けて、多くの研究がなされている。例えば、半導体技術において利用されているマイクロパターンなどが3次元構造の製造に利用されている。また、足場の材料として生体適合性および生分解性の高分子が用いられており、材料表面のマイクロパターンが細胞の分化、増殖、形態に大きく影響を及ぼしていることが報告されている。
このように、足場が、人工物であってもその三次元構造に基づいて細胞の接着、増殖および/または分化を誘導し得ること、ならびに細胞を組込んだ足場を生体に移植することによって組織を再構築し得ることが見出されている。神経細胞を標的とした場合、微細加工技術によって作製された種々のマイクロパターン基板を用いることによって、神経細胞の接着形態、神経突起の伸長を制御し、人工的な神経回路を構築することが検討されており、神経再生への応用が期待される。
しかし、マイクロパターン技術は、非常に高度な技術が必要であり、大量生産が出来ず、高コストであるといった多くの問題を抱えている。
本発明者は、生分解性高分子と両親媒性ポリマーとを適当な割合で組み合わせることによって、経済的な調製が可能であり、自立性が有り、構造的にも安定な構造体を作製し、該構造体を用いた細胞培養用基材を完成させている(例えば、特許文献1および2を参照のこと)。
特開2002−347107公報(平成14年12月4日公開) 特開2002−335949公報(平成14年11月26日公開) Bjornson,C.R.ら、Science 283:534−537(1999)。
上述したように、幹細胞を遺伝子治療、臓器移植、骨髄移植、ガン治療、または再生医学へ応用しようとする試みが数多くなされている。しかし、幹細胞を用いる研究の大きな課題は、幹細胞の数が非常に少なく、幹細胞特異的マーカーも発見されていないことである。そのため、幹細胞を純化することは困難であり、また増殖因子を添加せずに、幹細胞を分化させずに自己増殖させる技術も開発されていない。また、分化誘導因子を添加せずに細胞の分化を制御する技術も開発されていない。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、細胞の形態を自由に制御することができる構造体を提供するとともに、幹細胞の分化と増殖とを自由に操作することができる構造体を提供することにある。
本発明に係る培養基材は、幹細胞を分化させることなく増殖させることを特徴としている。
本発明に係る培養基材は、0.01〜100μmの範囲の膜厚を有している薄膜を備えていることが好ましい。
本発明に係る培養基材は、上記薄膜を複数積層して備えていることが好ましい。
本発明に係る培養基材は樹脂からなることが好ましい。
本発明に係る培養基材において、上記樹脂は生分解性ポリマーを含むことが好ましい。
本発明に係る培養基材において、上記樹脂は両親媒性ポリマーをさらに含むことが好ましい。
本発明に係る培養基材において、上記樹脂は生分解性ポリマーおよび両親媒性ポリマーからなることが好ましい。
本発明に係る培養基材において、上記生分解性ポリマーは、ポリ乳酸、ポリ(ε−カプロラクトン)、およびポリ(グリコール酸−乳酸)共重合体からなる群より選択されることが好ましい。
本発明に係る培養基材において、上記両親媒性ポリマーは、疎水性側鎖としてドデシル基を有し親水性側鎖としてラクトース基またはカルボキシル基を有している、アクリルアミドポリマーを主鎖骨格とする両親媒性樹脂;ポリエチレングリコール系共重合体;および、アニオン性高分子と長鎖アルキルアンモニウム塩とのポリイオンコンプレックスポリイオンコンプレックスからなる群より選択されることが好ましい。
本発明に係る培養基材は複数の孔を有していることが好ましい。
本発明に係る培養基材において、平均孔径が0.1〜20μmであることが好ましい。
本発明に係る培養基材において、孔径の変動係数が30%以下であることが好ましい。
本発明に係る培養基材において、孔と孔との間の幅が0.01〜7μmであることが好ましい。
本発明に係る培養基材において、上記複数の孔はハニカム様に配列されていることが好ましい。
本発明に係る培養基材において、各孔は貫通していることが好ましい。
本発明に係る培養基材において、各孔は連通していることが好ましい。
本発明に係る培養基材において、上記幹細胞は、神経幹細胞、造血幹細胞、間葉系幹細胞、体性幹細胞および胚性幹細胞からなる群より選択されることが好ましい。
本発明に係る培養基材は、幹細胞を分化させることを特徴としている。
本発明に係る培養基材は、0.01〜100μmの範囲の膜厚を有している薄膜を備えていることが好ましい。
本発明に係る培養基材は、上記薄膜を複数積層して備えていることが好ましい。
本発明に係る培養基材は樹脂からなることが好ましい。
本発明に係る培養基材において、上記樹脂は生分解性ポリマーを含むことが好ましい。
本発明に係る培養基材において、上記樹脂は両親媒性ポリマーをさらに含むことが好ましい。
本発明に係る培養基材において、上記樹脂は生分解性ポリマーおよび両親媒性ポリマーからなることが好ましい。
本発明に係る培養基材において、上記生分解性ポリマーは、ポリ乳酸、ポリ(ε−カプロラクトン)、およびポリ(グリコール酸−乳酸)共重合体からなる群より選択されることが好ましい。
本発明に係る培養基材において、上記両親媒性ポリマーは、疎水性側鎖としてドデシル基を有し親水性側鎖としてラクトース基またはカルボキシル基を有している、アクリルアミドポリマーを主鎖骨格とする両親媒性樹脂;ポリエチレングリコール系共重合体;および、アニオン性高分子と長鎖アルキルアンモニウム塩とのポリイオンコンプレックスからなる群より選択されることが好ましい。
本発明に係る培養基材は複数の孔を有していることが好ましい。
本発明に係る培養基材において、平均孔径が0.1〜20μmであることが好ましい。
本発明に係る培養基材において、孔径の変動係数が30%以下であることが好ましい。
本発明に係る培養基材において、孔と孔との間の幅が0.01〜7μmであることが好ましい。
本発明に係る培養基材において、上記複数の孔はハニカム様に配列されていることが好ましい。
本発明に係る培養基材において、各孔は貫通していることが好ましい。
本発明に係る培養基材において、各孔は連通していることが好ましい。
本発明に係る培養基材において、上記幹細胞は、神経幹細胞、造血幹細胞、間葉系幹細胞、体性幹細胞および胚性幹細胞からなる群より選択されることが好ましい。
本発明のさらに他の目的、特徴、および優れた点は、以下に示す記載によって十分わかるであろう。また、本発明の利益は、添付図面を参照した次の説明で明白になるであろう。
本発明の一実施形態に係る多孔フィルムの形状、ならびに該フィルムにおいて測定した孔径、幹径および空孔率を示す図である。 マウス胎仔大脳皮質組織から調製した細胞をPCL平膜上に播種し、4時間後にNestinに対する免疫化学染色を行った結果を示す図である(左図)。右図は、同時に行ったPhalloidinの蛍光像を示す。 マウス胎仔大脳皮質組織から調製した細胞をPCL平膜上に播種し、4時間後にBudUに対する免疫化学染色を行った結果を示す図である(左図)。右図は、同時に行ったPhalloidinの蛍光像を示す。 マウス胎仔大脳皮質組織から調製した細胞を孔径3μmの多孔フィルム上に播種し、4時間後にNestinに対する免疫化学染色を行った結果を示す図である(左図)。右図は、同時に行ったPhalloidinの蛍光像を示す。 マウス胎仔大脳皮質組織から調製した細胞を孔径3μmの多孔フィルム上に播種し、4時間後にBudUに対する免疫化学染色を行った結果を示す図である(左図)。右図は、同時に行ったPhalloidinの蛍光像を示す。 マウス胎仔大脳皮質組織から調製した細胞をPCL平膜上に播種し、培養5日後の細胞の形態を走査型電子顕微鏡で観察した結果を示す図である。 マウス胎仔大脳皮質組織から調製した細胞を孔径2〜3μmのPCL多孔フィルム上に播種し、培養5日後の細胞の形態を走査型電子顕微鏡で観察した結果を示す図である。 マウス胎仔大脳皮質組織から調製した細胞をPCL平膜上に播種し、培養5日後のβ−tubulin IIIによる免疫化学染色を共焦点レーザー顕微鏡にて観察した結果を示す図である。 マウス胎仔大脳皮質組織から調製した細胞をPCL平膜上に播種し、培養5日後の細胞の形態を走査型電子顕微鏡にて観察した結果を示す図である。 bにて示した細胞の形態の模式図である。 マウス胎仔大脳皮質組織から調製した細胞を孔径3μmのPCL多孔フィルム上に播種し、培養5日後のβ−tubulin IIIによる免疫化学染色を共焦点レーザー顕微鏡にて観察した結果を示す図である。 マウス胎仔大脳皮質組織から調製した細胞を孔径3μmのPCL多孔フィルム上に播種し、培養5日後の細胞の形態を走査型電子顕微鏡にて観察した結果を示す図である。 bにて示した細胞の形態の模式図である。 マウス胎仔大脳皮質組織から調製した細胞を孔径5μmのPCL多孔フィルム上に播種し、培養5日後のβ−tubulin IIIによる免疫化学染色を共焦点レーザー顕微鏡にて観察した結果を示す図である。 マウス胎仔大脳皮質組織から調製した細胞を孔径5μmのPCL多孔フィルム上に播種し、培養5日後の細胞の形態を走査型電子顕微鏡にて観察した結果を示す図である。 bにて示した細胞の形態の模式図である。 マウス胎仔大脳皮質組織から調製した細胞を孔径8μmのPCL多孔フィルム上に播種し、培養5日後のβ−tubulin IIIによる免疫化学染色を共焦点レーザー顕微鏡にて観察した結果を示す図である。 マウス胎仔大脳皮質組織から調製した細胞を孔径8μmのPCL多孔フィルム上に播種し、培養5日後の細胞の形態を走査型電子顕微鏡にて観察した結果を示す図である。 bにて示した細胞の形態の模式図である。 マウス胎仔大脳皮質組織から調製した細胞を孔径10μmのPCL多孔フィルム上に播種し、培養5日後のβ−tubulin IIIに対する免疫化学染色を共焦点レーザー顕微鏡にて観察した結果を示す図である。 マウス胎仔大脳皮質組織から調製した細胞を孔径10μmのPCL多孔フィルム上に播種し、培養5日後の細胞の形態を走査型電子顕微鏡にて観察した結果を示す図である。 bにて示した細胞の形態の模式図である。 マウス胎仔大脳皮質組織から調製した細胞をPCL平膜上に播種し、培養3日後のNestinに対する免疫化学染色を共焦点レーザー顕微鏡にて観察した結果を示す図である。 マウス胎仔大脳皮質組織から調製した細胞をPCL平膜上に播種し、培養7日後のNestinに対する免疫化学染色を共焦点レーザー顕微鏡にて観察した結果を示す図である。 マウス胎仔大脳皮質組織から調製した細胞をPCL平膜上に播種し、培養3日後のBrdUに対する免疫化学染色を共焦点レーザー顕微鏡にて観察した結果を示す図である。 マウス胎仔大脳皮質組織から調製した細胞をPCL平膜上に播種し、培養7日後のBrdUに対する免疫化学染色を共焦点レーザー顕微鏡にて観察した結果を示す図である。 マウス胎仔大脳皮質組織から調製した細胞を孔径3μmのPCL多孔フィルム上に播種し、培養3日後のBrdUに対する免疫化学染色を共焦点レーザー顕微鏡にて観察した結果を示す図である。 マウス胎仔大脳皮質組織から調製した細胞を孔径3μmのPCL多孔フィルム上に播種し、培養7日後のBrdUに対する免疫化学染色を共焦点レーザー顕微鏡にて観察した結果を示す図である。 マウス胎仔大脳皮質組織から調製した細胞を孔径3μmのPCL多孔フィルム上に播種し、培養5日後のNestinに対する免疫化学染色を共焦点レーザー顕微鏡にて観察した結果を示す図である(左図)。右図は、同時に行ったPhalloidinの蛍光像を示す。 マウス胎仔大脳皮質組織から調製した細胞を孔径3μmのPCL多孔フィルム上に播種し、培養7日後のNestinに対する免疫化学染色を共焦点レーザー顕微鏡にて観察した結果を示す図である(左図)。右図は、同時に行ったPhalloidinの蛍光像を示す。 マウス胎仔大脳皮質組織から調製した細胞を孔径3μmのPCL多孔フィルム上に播種し、培養10日後のNestinに対する免疫化学染色を共焦点レーザー顕微鏡にて観察した結果を示す図である(左図)。右図は、同時に行ったPhalloidinの蛍光像を示す。 マウス胎仔大脳皮質組織から調製した細胞を孔径3μmのPCL多孔フィルム上に播種し、培養5日後のNestinに対する免疫化学染色のみを共焦点レーザー顕微鏡にて観察した結果を示す図である。 マウス胎仔大脳皮質組織から調製した細胞を孔径3μmのPCL多孔フィルム上に播種し、培養7日後のNestinに対する免疫化学染色のみを共焦点レーザー顕微鏡にて観察した結果を示す図である。 マウス胎仔大脳皮質組織から調製した細胞を孔径3μmのPCL多孔フィルム上に播種し、培養10日後のNestinに対する免疫化学染色のみを共焦点レーザー顕微鏡にて観察した結果を示す図である。 マウス胎仔大脳皮質組織から調製した細胞を孔径5μmのPCL多孔フィルム上に播種し、培養5日後のNestinに対する免疫化学染色を共焦点レーザー顕微鏡にて観察した結果を示す図である(左図)。右図は、同時に行ったPhalloidinの蛍光像を示す。 マウス胎仔大脳皮質組織から調製した細胞を孔径8μmのPCL多孔フィルム上に播種し、培養5日後のNestinに対する免疫化学染色を共焦点レーザー顕微鏡にて観察した結果を示す図である(左図)。右図は、同時に行ったPhalloidinの蛍光像を示す。 マウス胎仔大脳皮質組織から調製した細胞を孔径10μmのPCL多孔フィルム上に播種し、培養5日後のNestinに対する免疫化学染色を共焦点レーザー顕微鏡にて観察した結果を示す図である(左図)。右図は、同時に行ったPhalloidinの蛍光像を示す。
上述したように、本発明者らは、生分解性高分子と高分子の自己組織化によって新規合成した両親媒性高分子との希薄混合溶液をシャーレ上にキャストして高湿度の空気を吹き付けることにより規則的な多孔構造を有する多孔性フィルムを作製することができること、および該多孔性フィルムが細胞培養用基材として利用可能であることを、これまでに見出している。そこで、本発明者らは、上記フィルムが備えている未知の特性に基づく新規用途を見出すこと、およびより好ましい培養基材を完成させることを目的として鋭意検討を行い、その結果、本発明を完成させた。
なお、本明細書中で使用される場合、用語「細胞」は主に動物細胞が意図されるが、植物細胞であってもよい。好ましい細胞は、哺乳動物細胞であり、より好ましくは、ヒト細胞である。
(1)幹細胞増殖用培養基材
本発明は、幹細胞を分化させることなく増殖させるための培養基材を提供する。一実施形態において、本発明に係る培養基材は、好ましくは0.01〜100μmの範囲の膜厚を有している薄膜を備えている。本実施形態に係る培養基材において、上記薄膜は1層であっても複数積層されていてもよく、基板(例えば、プラスチック、ガラスなど)上に該薄膜が積層されていてもよい。
本実施形態に係る培養基材において、上記薄膜は樹脂からなることが好ましい。本実施形態に係る培養基材において、上記樹脂としては、特に限定されないが、培養用途であることを考慮すると毒性の少ないものが好ましい。また、本実施形態に係る培養基材を、特許文献2に記載されるような方法に従って作製する場合は、有機溶媒に溶解する高分子化合物(ポリマー)であることが好ましい。本実施形態に係る培養基材がポリマーからなる薄膜を備えている場合、高分子薄膜を形成するために、インクジェット方式またはスクリーン方式のような印刷法を用いて高分子を所望の形状およびサイズにペーストもよいし、フォトリソグラフィー法などを用いてさらに表面を整形してもよい。
なお、このような手法を用いてポリマーからなる薄膜を形成する場合は、支持体(基板)が必要であるが、基板としては、寸度的に安定なものであれば特に限定されず、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)等が挙げられる。これらは、樹脂フィルムまたは金属板などの単一成分のシートであっても、2以上の材料の積層体であってもよい。
このようなポリマーとしては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体などの共役ジエン系高分子;ポリε−カプロラクトン;ポリウレタン;酢酸セルロース、セルロイド、硝酸セルロース、アセチルセルロース、セロファンなどのセルロース系高分子;ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド12、ポリアミド46などのポリアミド系高分子;ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、パーフルオロエチレン−プロピレン共重合体などのフッ素系高分子;ポリスチレン、スチレン−エチレン−プロピレン共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、塩素化ポリエチレン−アクリロニトリル−スチレン共重合体、メタクリル酸エステル−スチレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル−スチレン共重合体などのスチレン系高分子;ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、オレフィン−ビニルアルコール共重合体、ポリメチルペンテンなどのオレフィン系高分子;フェノール樹脂、アミノ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂などのホルムアルデヒド系高分子;ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系高分子;エポキシ樹脂;ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリ−2−ヒドロキシエチルアクリレート、メタクリル酸エステル−酢酸ビニル共重合体などの(メタ)アクリル系高分子;ノルボルネン系樹脂;シリコン樹脂;ポリ乳酸、ポリヒドロキシ酪酸、ポリグリコール酸などのヒドロキシカルボン酸の重合体などが挙げられ、これらは単独で使用されても組み合わせて使用されてもよい。
なお、本発明に係る培養基材を構成するポリマーは、非生分解性樹脂であっても生分解性樹脂であってもよいが、生体外で幹細胞のインビトロ増幅を目的とした培養を行う場合は、生分解性である必要はない。また、培養基材の効果を生体内で長期間持続させることが好ましい場合は、非生分解性樹脂を用いればよく、生体で長期間持続させることが好ましくない場合は、生分解性樹脂を用いればよい。好ましい生分解性樹脂としては、ポリ乳酸、ポリ(ε−カプロラクトン)、およびポリ(グリコール酸−乳酸)共重合体が挙げられ、好ましい非生分解性樹脂としては、ポリブタジエン、ポリウレタン、およびポリ(メタ)アクリレートが挙げられる。
本実施形態に係る培養基材において、上記樹脂が両親媒性のポリマーを含んで構成されることが好ましい。本実施形態において、好ましい両親媒性ポリマーとしては、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールブロック共重合体;アクリルアミドポリマーを主鎖骨格とし疎水性側鎖としてドデシル基と親水性側鎖としてラクトース基またはカルボキシル基を併せ持つ両親媒性樹脂;ヘパリンやデキストラン硫酸、核酸(DNAやRNA)などのアニオン性高分子と長鎖アルキルアンモニウム塩とのイオンコンプレックス;ゼラチン、コラーゲン、アルブミンなどの水溶性タンパク質を親水性基とした両親媒性樹脂;ポリ乳酸−ポリエチレングリコールブロック共重合体、ポリε−カプロラクトン−ポリエチレングリコールブロック共重合体、ポリリンゴ酸−ポリリンゴ酸アルキルエステルブロック共重合体などの両親媒性樹脂などが挙げられるが、これらに限定されない。
他の実施形態において、本発明に係る培養基材は、複数の孔を有していることが好ましい。本実施形態に係る培養基材において、上記孔は、貫通孔または非貫通孔のいずれであってもよく、少なくとも表面部に多孔構造を有していればよい。また本実施形態に係る培養基材においては、上記複数の孔の各々が基材内部において連通している「連続性多孔構造」であることがより好ましい。
本実施形態に係る培養基材において、上記孔の平均孔径は、0.1〜20μmであることが好ましい。また、本実施形態に係る培養基材において、上記孔の開口形状は特に限定されず、円形状、楕円形状、正方形状、長方形状、六角形状などのいかなる形状であってもよい。
本明細書中において使用される場合、用語「孔径」は、孔の開口形状に対する最大内接円の直径が意図され、例えば、孔の開口形状が実質的に円形状である場合はその円の直径が意図され、実質的に楕円形状である場合はその楕円の短径が意図され、実質的に正方形状である場合はその正方形の辺の長さが意図され、実質的に長方形状である場合はその長方形の短辺の長さが意図される。
さらに、本実施形態に係る培養基材において、上記孔の孔径の変動係数〔=標準偏差÷平均値×100(%)〕は30%以下であることが好ましい。
なおさらに、本実施形態に係る培養基材において、幹幅が0.01〜7μmであることが好ましい。本明細書中において使用される場合、「幹幅」は、孔と孔との間の幅が意図される。
本実施形態に係る培養基材において、上記複数の孔は規則的に配列されていることが好ましく、より好ましくは、該複数の孔はハニカム様に配列されている。本明細書中において使用される場合、用語「ハニカム様(ハニカム様構造)」は、孔径がほぼ一定の複数の孔が規則正しく蜂巣状に配列してなる多孔構造が意図される。
ハニカム様構造体の製造方法としては、特許文献2に記載の方法以外に、ナノインプリントを含む金型技術(サブミクロン〜100ミクロン程度の均一な空孔を持つハニカム構造体を得る技術)、コロイド微粒子分散液を乾燥させ、集積したコロイド結晶を鋳型としてハニカム状の多孔質膜を得る方法などが知られている。しかし、前者の方法では、鋳型を剥離する際に空孔の形状が崩れるため、原理的に鋳型の構造を正確に反映させることが困難であり、後者の方法では、集積に時間がかかること、材料を流し込んだ後に鋳型を除去しなければならないことなどの問題を有する。よって、多孔構造が規則正しく配列するハニカム様構造体の簡便な作製方法は、特許文献2に記載される方法が最も好ましいが、本発明に係る培養基材を作製するための方法は、これに限定されない。
本発明に係る培養基材を用いる対象は、幹細胞であれば特に限定されず、神経幹細胞、造血幹細胞、間葉系幹細胞、体性幹細胞または胚性幹細胞のいずれであってもよい。
再生医療に応用される組織幹細胞としては、すでに実用化されている造血幹細胞(造血器悪性腫瘍、造血不全、免疫不全、代謝性疾患、固形腫瘍など)、実用化間近と考えられている間葉系幹細胞(骨折後の骨再生、筋疾患、虚血部欠陥新生など)および神経幹細胞(末梢神経損傷(外傷)、虚血、神経系悪性腫瘍、神経変性疾患など)、ならびに基礎研究の段階である肝幹細胞(肝不全)、筋幹細胞(筋疾患)、膵幹細胞(糖尿病)、皮膚幹細胞(熱傷、皮膚切除後)、網膜幹細胞(網膜変性疾患)、および毛包幹細胞(脱毛症)が挙げられる(括弧内に主な対象疾患を示す)。
従来、神経変性疾患に対する遺伝子治療は、非分裂細胞であるニューロンに遺伝子を導入し得るアデノウイルスベクターまたはレンチウイルスベクターを用いた研究によってその可能性が示唆されている。神経幹細胞に遺伝子導入して細胞移植すれば、ウイルスベクター特有の危険性を完全に排除することができ、ゲノムに遺伝子導入された細胞のクローンを安全に取得することができ、その結果、所望の遺伝子を発現する細胞を所望の部位に所望の数だけ移植することができる。
神経幹細胞を用いる治療対象であることが想定されている疾患としては、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、脳梗塞などが挙げられ、これらの疾患に対する治療標的部位は、それぞれ中脳黒質ドーパミンニューロン、運動ニューロン、オリゴデンドロサイト、ニューロンおよび/またはグリアである。このように特定の疾患を処置する場合は、特定の細胞を標的とすればよいので、ウイルスベクターを用いるよりも神経幹細胞を用いる方が好ましい。
なお、本発明の一実施形態である多孔性フィルムを備えた基材を用いて細胞を組織化すれば、人工臓器に利用することができる。人工臓器として用いる場合は体内に埋め込むことが必要であるので、本発明に係る基材は長期的には生体内へ吸収されることが好ましい。多孔構造を有する従来の基材を用いた場合では、細胞培養に要する時間内では構造が安定であるが必要な時間が経過した後に分解するという生体内での用途に好ましいものは存在しない。換言すれば、本発明に係る培養基材を細胞工学および細胞培養技術と組み合わせて人工臓器等の医療用途へ応用するためには生分解性材料を用いることが必要とされる。
また、本発明に係る培養基材を用いれば、細胞を無血清にて培養することができるので、自家移植に利用するための所望の細胞を安全に供給することができる。本発明に係る培養基材を用いれば、増殖因子を用いることなく細胞を培養することができるので、所望の細胞を低コストにて供給することができる。
つまり、本発明の目的は、幹細胞を分化させることなく増殖させるための培養基材を提供することにあるのであって、本明細書中に具体的に記載した薄膜の製造方法、薄膜の厚さ、樹脂成分、孔の数および深さ、孔の形状等の条件に存するのではない。したがって、上記方法以外を用いて製造された培養基材もまた本発明の範囲に属することに留意しなければならない。
(2)幹細胞分化用培養基材
本発明は、幹細胞を分化させるための培養基材を提供する。一実施形態において、本発明に係る培養基材は、好ましくは0.01〜100μmの範囲の膜厚を有している薄膜を備えている。本実施形態に係る培養基材において、上記薄膜は1層であっても複数積層されていてもよく、基板(例えば、プラスチック、ガラスなど)上に該薄膜が積層されていてもよい。
本実施形態に係る培養基材において、上記薄膜は樹脂からなることが好ましい。本実施形態に係る培養基材において、上記樹脂としては、特に限定されないが、培養用途であることを考慮すると毒性の少ないものが好ましい。また、本実施形態に係る培養基材を、特許文献2に記載されるような方法に従って作製する場合は、有機溶媒に溶解する高分子化合物(ポリマー)であることが好ましい。本実施形態に係る培養基材がポリマーからなる薄膜を備えている場合、高分子薄膜を形成するために、インクジェット方式またはスクリーン方式のような印刷法を用いて高分子を所望の形状およびサイズにペーストもよいし、フォトリソグラフィー法などを用いてさらに表面を整形してもよい。
なお、このような手法を用いてポリマーからなる薄膜を形成する場合は、支持体(基板)が必要であるが、基板としては、寸度的に安定なものであれば特に限定されず、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)等が挙げられる。これらは、樹脂フィルムまたは金属板などの単一成分のシートであっても、2以上の材料の積層体であってもよい。
このようなポリマーとしては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体などの共役ジエン系高分子;ポリε−カプロラクトン;ポリウレタン;酢酸セルロース、セルロイド、硝酸セルロース、アセチルセルロース、セロファンなどのセルロース系高分子;ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド12、ポリアミド46などのポリアミド系高分子;ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、パーフルオロエチレン−プロピレン共重合体などのフッ素系高分子;ポリスチレン、スチレン−エチレン−プロピレン共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、塩素化ポリエチレン−アクリロニトリル−スチレン共重合体、メタクリル酸エステル−スチレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル−スチレン共重合体などのスチレン系高分子;ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、オレフィン−ビニルアルコール共重合体、ポリメチルペンテンなどのオレフィン系高分子;フェノール樹脂、アミノ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂などのホルムアルデヒド系高分子;ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系高分子;エポキシ樹脂;ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリ−2−ヒドロキシエチルアクリレート、メタクリル酸エステル−酢酸ビニル共重合体などの(メタ)アクリル系高分子;ノルボルネン系樹脂;シリコン樹脂;ポリ乳酸、ポリヒドロキシ酪酸、ポリグリコール酸などのヒドロキシカルボン酸の重合体などが挙げられ、これらは単独で使用されても組み合わせて使用されてもよい。
なお、本発明に係る培養基材を構成するポリマーは、非生分解性樹脂であっても生分解性樹脂であってもよいが、生体外で幹細胞のインビトロ増幅を目的とした培養を行う場合は、生分解性である必要はない。また、培養基材の効果を生体内で長期間持続させることが好ましい場合は、非生分解性樹脂を用いればよく、生体で長期間持続させることが好ましくない場合は、生分解性樹脂を用いればよい。好ましい生分解性樹脂としては、ポリ乳酸、ポリ(ε−カプロラクトン)、およびポリ(グリコール酸−乳酸)共重合体が挙げられ、好ましい非生分解性樹脂としては、ポリブタジエン、ポリウレタン、およびポリ(メタ)アクリレートが挙げられる。
本実施形態に係る培養基材において、上記樹脂が両親媒性のポリマーを含んで構成されることが好ましい。本実施形態において、好ましい両親媒性ポリマーとしては、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールブロック共重合体;アクリルアミドポリマーを主鎖骨格とし疎水性側鎖としてドデシル基と親水性側鎖としてラクトース基またはカルボキシル基を併せ持つ両親媒性樹脂;ヘパリンやデキストラン硫酸、核酸(DNAやRNA)などのアニオン性高分子と長鎖アルキルアンモニウム塩とのイオンコンプレックス;ゼラチン、コラーゲン、アルブミンなどの水溶性タンパク質を親水性基とした両親媒性樹脂;ポリ乳酸−ポリエチレングリコールブロック共重合体、ポリε−カプロラクトン−ポリエチレングリコールブロック共重合体、ポリリンゴ酸−ポリリンゴ酸アルキルエステルブロック共重合体などの両親媒性樹脂などが挙げられるが、これらに限定されない。
別の実施形態において、本発明に係る培養基材は、複数の孔を有していることが好ましい。本実施形態に係る培養基材において、上記孔は、貫通孔または非貫通孔のいずれであってもよく、少なくとも表面部に多孔構造を有していればよい。また本実施形態に係る培養基材においては、上記複数の孔の各々が基材内部において連通している「連続性多孔構造」であることがより好ましい。
本実施形態に係る培養基材において、上記孔の平均孔径は、0.1〜20μmであることが好ましい。また、本実施形態に係る培養基材において、上記孔の開口形状は特に限定されず、円形状、楕円形状、正方形状、長方形状、六角形状などのいかなる形状であってもよい。
本明細書中において使用される場合、用語「孔径」は、孔の開口形状に対する最大内接円の直径が意図され、例えば、孔の開口形状が実質的に円形状である場合はその円の直径が意図され、実質的に楕円形状である場合はその楕円の短径が意図され、実質的に正方形状である場合はその正方形の辺の長さが意図され、実質的に長方形状である場合はその長方形の短辺の長さが意図される。
さらに、本実施形態に係る培養基材において、上記孔の孔径の変動係数〔=標準偏差÷平均値×100(%)〕は30%以下であることが好ましい。
なおさらに、本実施形態に係る培養基材において、幹幅が0.01〜7μmであることが好ましい。本明細書中において使用される場合、「幹幅」は、孔と孔との間の幅が意図される。
本実施形態に係る培養基材において、上記複数の孔は規則的に配列されていることが好ましく、より好ましくは、該複数の孔はハニカム様に配列されている。本明細書中において使用される場合、用語「ハニカム様(ハニカム様構造)」は、孔径がほぼ一定の複数の孔が規則正しく蜂巣状に配列してなる多孔構造が意図される。
ハニカム様構造体の製造方法としては、特許文献2に記載の方法以外に、ナノインプリントを含む金型技術(サブミクロン〜100ミクロン程度の均一な空孔を持つハニカム構造体を得る技術)、コロイド微粒子分散液を乾燥させ、集積したコロイド結晶を鋳型としてハニカム状の多孔質膜を得る方法などが知られている。しかし、前者の方法では、鋳型を剥離する際に空孔の形状が崩れるため、原理的に鋳型の構造を正確に反映させることが困難であり、後者の方法では、集積に時間がかかること、材料を流し込んだ後に鋳型を除去しなければならないことなどの問題を有する。よって、多孔構造が規則正しく配列するハニカム様構造体の簡便な作製方法は、特許文献2に記載される方法が最も好ましいが、本発明に係る培養基材を作製するための方法は、これに限定されない。
本発明に係る培養基材を用いる対象は、幹細胞であれば特に限定されず、神経幹細胞、造血幹細胞、間葉系幹細胞、体性幹細胞または胚性幹細胞のいずれであってもよい。
また、本発明に係る培養基材を用いれば、細胞を無血清にて培養することができるので、自家移植に利用するための所望の細胞を安全に供給することができる。本発明に係る培養基材を用いれば、分化誘導因子を用いることなく細胞を培養することができるので、所望の細胞を低コストにて供給することができる。
つまり、本発明の目的は、幹細胞を分化させるための培養基材を提供することにあるのであって、本明細書中に具体的に記載した薄膜の製造方法、薄膜の厚さ、樹脂成分、孔の数および深さ、孔の形状等の条件に存するのではない。したがって、上記方法以外を用いて製造された培養基材もまた本発明の範囲に属することに留意しなければならない。
尚、発明を実施するための最良の形態の項においてなした具体的な実施態様および以下の実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、当業者は、本発明の精神および添付の請求の範囲内で変更して実施することができる。
また、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。
〔実施例〕
〔1:細胞培養基板の作製〕
〔1.1:自己組織化多孔フィルムおよび平膜の作製〕
ポリ(ε−カプロラクトン)(Poly(ε−caprolactone);(株)和光純薬工業、MW70,000〜100,000:以下PCLと称する)と両親媒性アクリルアミドポリマー(Cap)とを重量比10:1の割合で混合した後にクロロホルムに溶解し、濃度を10mg/mLに調製した。多孔フィルムを、ガラスシャーレ(直径9cm)にて作製した高分子混合溶液をキャストして高湿度雰囲気下にて作製した。多孔フィルムの孔径は、キャストする高分子溶液の量を変えることにより制御することができた。各フィルムの孔径、幹径および空孔率を、走査型電子顕微鏡(SEM)(HITACHI,S−3500)を用いて測定した。画像1枚あたり5個の孔を選択してその直径の平均を孔径として求め、合計5枚の画像について孔径を測定した。多孔フィルムの幹幅の最も細い部分を幹径として測定し、画像解析用ソフトウエアScion Image(Scion Corporation)を用いて空孔率を測定した(図1)。またPCL平膜を、上記混合溶液を18mm角のカバーガラス上に滴下し、1000rpm、30秒の条件でスピンコーター(MIKASA)を用いて作製した。
〔2:細胞培養基板処理〕
作製した自己組織化多孔フィルムを切り取り、18mm角のカバーガラス(MATSUNAMI)に密着させた。PCL多孔フィルムおよびPCL平膜を、1−プロパノール(Wako)中で5分間浸漬して洗浄し、細胞培養容器35mm/non−treated polystylene culture dish(IWAKI)中にてエタノールおよびUV照射によって滅菌した後、Poly(L−Lysin)溶液(50mg/l Poly(L−Lysine)(Sigma)、0.1M ホウ酸(Wako)(pH8.3))に1時間浸漬した後、滅菌水で3回洗浄し、さらにFBS(Fetal Bovine Serum)を含む培地(Opti−MEM、10% FBS)中にて37℃で1時間インキュベートしてコンディショニングを行った後に細胞培養に供した。
〔3:神経細胞調製〕
神経細胞を、胎生14日目のICRマウスの大脳皮質組織から、以下のように調製した。まず、妊娠14日目のマウスから胎仔を取り出した後に脳を摘出した。さらに、大脳半球から大脳皮質を分離して培地中(Opti−MEM、Gibco)に回収し、パスツールピペットによって細胞を分散させた。次いで、血球計算板を用いて細胞数を計数し、トリパンブルー(Gibco)染色によるViability測定を行った。
〔4:神経細胞培養〕
マウス胎仔大脳皮質組織から調製した細胞懸濁液を、細胞密度2.0×10細胞/cmになるように培養基板上に播種した。37℃、5%COの条件下にて、1日目は血清培地(Opti−MEM、10%FBS、2−Mercaptoethanol(Gibco))、2日目以降は無血清培地(Opti−MEM、B27 Supplement(Gibco)、2−Mercaptoethanol)を用いて培養した。5日間培養した後、走査型電子顕微鏡および共焦点レーザー顕微鏡観察(OLYMPUS、FLUOVIEW FV300)を用いて細胞形態および突起伸展の様子を観察した。
〔5:走査型電子顕微鏡観察〕
5日間培養した神経細胞をPBSで洗浄し、2.5%グルタールアルデヒド/PBSを用いて4℃で一晩固定した。次いで、PBS、90%PBS、70%PBS、50%PBS、30%PBS、およびMilliQ水で洗浄し、エタノール(20%、50%、70%、99%)で順次脱水した後3時間減圧乾燥した。乾燥させた試料にイオンスパッタリング装置(HITACHI,E−1030)を用いて白金パラジウムを蒸着させSEMを用いて観察した。
〔6:共焦点レーザー顕微鏡観察〕
〔6.1:β−TubulinIII免疫化学染色〕
5日間培養した神経細胞をPBSで洗浄し、4%パラホルムアルデヒド/PBSを添加して、室温で1時間放置して細胞を固定した。PBSで3回(各10分間ずつ)洗浄した後、Blocking solution(PBS中5%ヤギ血清、2.5% BSA、0.2% Triton−X 100)を添加して、室温で1時間細胞をインキュベートした。Blocking solutionを除去して、細胞を、一次抗体(抗β−TubulinIII(PBSにて1:800))とともに室温で1時間インキュベートした。PBSで3回(各10分間ずつ)洗浄した後、細胞を、2次抗体(FITC複合体化マウスIgG(PBSにて1:400)とともに室温で1時間インキュベートした。PBSで3回(各10分間ずつ)、蒸留水で1回洗浄した後、サンプルをスライドガラスに載せMounting media(KPL)によってマウントした。
〔6.2:Nestin免疫化学染色〕
5日間培養した神経細胞をPBSで洗浄し、4%パラホルムアルデヒド/PBSを加えて室温で1時間放置して細胞を固定した。PBSで3回(各10分間ずつ)洗浄した後、Blocking solution(PBS中5%ヤギ血清、2.5% BSA、0.2% Triton−X 100)を添加して、室温で1時間細胞をインキュベートした。Blocking solutionを除去して、細胞を、一次抗体(抗Nestin抗体(PBSにて1:1000))とともに室温で1時間インキュベートした。PBSで3回(各10分間ずつ)洗浄した後、細胞を、ビオチン化抗マウスIgG(PBSにて1:1000)とともに室温で1時間インキュベートした。PBSで洗浄した後、細胞を、Alexa488標識avidin(PBSにて1:2000)とともに30分間インキュベートした。PBSで3回(各10分間ずつ)、蒸留水で1回洗浄した後、サンプルをスライドガラスに載せMounting media(KPL)によってマウントした。
〔6.3:BrdU取り込みラベリング〕
培養培地を20μM BrdUを含む培地と交換して2時間培養することによって、増殖している細胞の核内にBrdUを取り込ませた。次いで、10%ホルマリンを用いて室温にて2時間細胞を固定した。PBSで3回(各10分間ずつ)洗浄し、2M HCl溶液中にて37℃で60分間インキュベートした後、0.1M HBO緩衝液で2回(5分間ずつ)、PBSで2回洗浄した。次いで、Blocking solution(PBS中5%ヤギ血清、2.5% BSA、0.2% Triton−X 100)を添加して、室温で1時間細胞をインキュベートした。Blocking solutionを除去した後、細胞を、一次抗体(抗BrdUマウスIgG(PBSにて1:1000)とともに室温で1時間インキュベートした。PBSで3回(各10分間ずつ)洗浄した後、細胞を、ビオチン化抗マウスIgG(PBSにて1:1000)とともに室温で1時間インキュベートした。さらにPBSで洗浄した後、Alexa488標識avidin(PBSにて1:2000)で細胞を30分間インキュベートした。PBSで3回(各10分間)、蒸留水で1回洗浄した後、サンプルをスライドガラスに載せMounting media(KPL)によってマウントした。
〔7:結果〕
胎生14日目のマウス胎仔大脳皮質組織から調製した細胞中には、多くの神経幹細胞が存在している。神経幹細胞と平膜または多孔フィルムとの接着による細胞の形態変化に対する影響および細胞の増殖または分化に対する影響を、SEMおよび免疫化学染色による形態観察によって検討した。
まず、マウス胎仔大脳皮質組織から調製した細胞をPCL平膜上または多孔フィルム上に播種し、37℃で4時間インキュベートした後放置した。その後、Nestinに対する免疫化学染色およびBudUのラベリングを行った。その結果、Nestin染色およびBrdUラベリングは陽性を示し、調製した細胞中には神経幹細胞が多く含まれていることが分かった(図2および3)。
次に、PCL平膜または孔径3μmのPCL多孔フィルム上において、大脳皮質組織から調製した細胞を播種し、培養5日後、同様の実験を行い検討した。また、細胞の形態を走査型電子顕微鏡、共焦点レーザー顕微鏡で観察した(図4)。
平膜上では、神経細胞の形態は紡錘形であり、多数の神経突起が伸展しネットワーク構造を形成していた(図4a)。一方、孔径3μmのPCL多孔フィルム上では、神経細胞は、直径約30〜50μmの球状の凝集体(スフェロイド様凝集塊)を形成した。また神経突起は凝集塊の底部において互いに集合して太い突起となり、凝集体から5〜7本の突起を放射状に伸展させ、ネットワーク様構造を形成していた(図4b)。
さらに、PCL平膜または孔径3μm、5μm、8μm、10μmのPCL多孔フィルム上に大脳皮質組織から調製した細胞を播種し、培養3〜7日後、細胞の形態を走査型電子顕微鏡にて、β−tubulin IIIおよびNestinによる免疫化学染色を共焦点レーザー顕微鏡にて観察した。
平膜上では、神経細胞のマーカーであるβ−tubulin IIIによる免疫化学染色は陽性を示した(図5)。また、Nestin染色およびBrdUラベリングは陰性を示した(図10および11)。このことより、神経幹細胞は平膜上においては、未分化な神経細胞から成熟した神経細胞になるということが示された。一方、孔径3μmのPCL多孔フィルム上では、神経突起において、神経細胞のマーカーであるβ−tubulin IIIによる免疫化学染色は陽性であり(図6)、Nestin染色およびBrdUラベリングもまた陽性を示した(図12〜14)。しかし、孔径5μm、8μm、10μmのPCL多孔フィルム上では、ほとんどの細胞がβ−tubulin III陽性であったが(図7〜9)、Nestin陰性であった(図15)。また、神経細胞の形態については、細胞同士が凝集するかまたは単独で、ラメラ体を伸展させて接着する細胞、またはラメラ体を伸展させずに単独でパターンの幹に接着する細胞が観察され、多孔フィルムにおける孔径および幹幅が大きくなるに伴い、細胞形態は、平膜上の形態に類似する傾向が見られた(図7〜9)。また、SEM像とβ−tubulin III蛍光像から、神経突起が多孔フィルムの幹を介して伸展し、ネットワーク構造を形成していることがわかった(図7〜9)。
これらの結果より、神経幹細胞は、孔径3μmの多孔フィルム上においては、比較的未分化状態を維持すると同時に、自己増殖し、スフェロイド様凝集塊を形成すること、および、底部に接している幼若な神経細胞は、序々に成熟した細胞となり神経突起を放射状に伸展させることがわかった。一方、PCL平膜、または孔径5μmまたはそれ以上(8μm、10μm)の多孔フィルム上においては、神経幹細胞は、分化して、基板の形状に従った接着形態を示すことがわかった。
本発明に係る培養基材を用いれば、細胞の形態を自由に制御することができる。また、本発明に係る培養基材を用いれば、細胞を無血清にて培養することができるので、自家移植に利用するための所望の細胞を安全に供給することができる。本発明に係る培養基材を用いれば、増殖因子、分化誘導因子を用いることなく細胞を培養することができるので、所望の細胞を低コストにて供給することができる。本発明に係る培養基材を用いれば、特に、自己増幅させることが困難であった幹細胞を分化させることなく増殖させることができる。よって、本発明は、遺伝子治療、臓器移植、骨髄移植、ガン治療、または再生医学といった多岐にわたる医療分野において非常に有用である。

Claims (7)

  1. 増殖因子を用いることなく神経幹細胞を未分化状態を維持すると同時に自己増殖させるための培養基材であって、
    平均孔径が0.1〜3μmの複数の孔を有する薄膜を複数積層して備えており、該薄膜が、生分解性ポリマーおよび両親媒性ポリマーからなる樹脂からなり、該生分解性ポリマーと両親媒性ポリマーとの混合溶液をキャストして高湿度雰囲気下にて作製されたことを特徴とする培養基材。
  2. 前記薄膜の膜厚が孔径より大きく100μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の培養基材。
  3. 前記生分解性ポリマーが、ポリ乳酸、ポリ(ε−カプロラクトン)、およびポリ(グリコール酸−乳酸)共重合体からなる群より選択されることを特徴とする請求項に記載の培養基材。
  4. 前記両親媒性ポリマーが、疎水性側鎖としてドデシル基を有し親水性側鎖としてラクトース基またはカルボキシル基を有している、アクリルアミドポリマーを主鎖骨格とする両親媒性樹脂;ポリエチレングリコール系共重合体;および、アニオン性高分子と長鎖アルキルアンモニウム塩とのポリイオンコンプレックスからなる群より選択されることを特徴とする請求項に記載の培養基材。
  5. 前記複数の孔がハニカム様に配列されていることを特徴とする請求項1に記載の培養基材。
  6. 各孔が貫通していることを特徴とする請求項1に記載の培養基材。
  7. 各孔が連通していることを特徴とする請求項1に記載の培養基材。
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