JP2020167966A - 細胞培養基材の製造方法、細胞培養基材、細胞付細胞培養基材、細胞培養容器、及び細胞付細胞培養容器 - Google Patents

細胞培養基材の製造方法、細胞培養基材、細胞付細胞培養基材、細胞培養容器、及び細胞付細胞培養容器 Download PDF

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Abstract

【課題】本開示は、細胞独自の生体機能を十分に発現可能な細胞を培養することができる細胞培養基材、及び、このような細胞培養基材を容易かつ大量に製造可能な細胞培養基材の製造方法を提供することを主目的とする。【解決手段】本開示は、細胞を培養するための細胞培養基材の製造方法であって、多孔フィルムの少なくとも片面に、感光性フィルムをラミネートするラミネート工程と、上記感光性フィルムをパターン状に露光し、現像することにより、前記多孔フィルム上に複数の3次元構造体を形成するパターニング工程と、を有する細胞培養基材の製造方法を提供することにより、上記目的を達成する。【選択図】図1

Description

本開示は、細胞を培養するために用いられる細胞培養基材の製造方法、細胞培養基材、及びこれを用いた細胞付細胞培養基材、細胞培養容器、並びに細胞付細胞培養容器に関する。
再生医療分野において、患者から採取した細胞又は人工多能性幹細胞(iPS細胞)等の各種細胞を生体外で培養する細胞培養は、必要不可欠な技術である。
細胞培養に用いるための基材として、表面に形成されたマイクロ構造体により、種々の機能を発現し得る物品が知られている。例えば、特許文献1には、3次元構造物へ血管内皮細胞を含んでいる組織を播種、培養し、その後、ニューロン細胞および星状細胞を培養して、3次元培養物を形成することが記載されている。
しかしながら、従来の細胞培養基材では、培養された細胞が、生体と同等又はそれに近い機能を発現することができない、という問題があった。
特開2001−258555号公報
本開示は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、細胞の種類によって異なる生体機能を、生体と同等又はそれに近いレベルで発現可能な細胞を培養することができる細胞培養基材、及び、このような細胞培養基材を容易かつ大量に製造可能な細胞培養基材の製造方法を提供することを主目的とする。
上記課題を解決するために本発明者らは鋭意検討した結果、多孔フィルムに感光性フィルムをラミネートし、フォトリソグラフィにより3次元構造体を形成する方法であれば、生体に近い機能を発現する細胞を培養できる細胞培養基材を容易かつ大量に製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記目的を達成するために、本開示は、細胞を培養するための細胞培養基材の製造方法であって、多孔フィルムの少なくとも片面に、感光性フィルムをラミネートするラミネート工程と、上記感光性フィルムをパターン状に露光し、現像することにより、上記多孔フィルム上に複数の3次元構造体を形成するパターニング工程と、を有することを特徴とする、細胞培養基材の製造方法を提供する。
また、本開示では、細胞培養基材であって、多孔フィルムの少なくとも片面に、アクリル系樹脂又はエポキシ系樹脂で形成された、複数の3次元構造体が形成されていることを特徴とする、細胞培養基材を提供する。
また、細胞培養基材であって、多孔フィルムの少なくとも片面に、光重合開始剤由来の残渣を含む、複数の3次元構造体が形成されていることを特徴とする、細胞培養基材を提供する。
また、本開示では、上述の細胞培養基材上に、細胞が付着したものである、細胞付細胞培養基材を提供する。
また、本開示では、上述の細胞培養基材と、上記細胞培養基材を支持し、かつ培養液を保持する基体とを有する、細胞培養容器を提供する。
また、本開示では、上述の細胞培養容器における上記細胞培養基材上に、細胞が付着したものであることを特徴とする、細胞付細胞培養容器を提供する。
本開示の細胞培養基材の製造方法によれば、細胞の種類によって異なる生体機能を、生体と同等又はそれに近いレベルで発現可能な細胞を培養することができる細胞培養基材を、容易に、大量に、かつ抵抗コストで製造可能であるといった効果を奏する。また、このような細胞培養基材を用いれば、従来よりも、機能性が生体内の状態に近く、膜厚が厚い細胞シートや細胞塊(スフェロイド)を得ることができる。
本開示の細胞培養基材の製造方法の一例を示す工程図である。 本開示の細胞培養基材の一例を示す概略断面図である。 本開示の細胞培養容器の一例を示す概略断面図を示す。 本開示の細胞培養基材における3次元構造体のSEM写真である。 実施例1で製造した細胞培養基材における3次元構造体のSEM写真である。 本開示の、多層構造体を有する細胞培養基材における多層構造体のSEM写真である。
本開示は、細胞培養基材の製造方法、細胞培養基材、細胞付細胞培養基材、細胞培養容器、及び細胞付細胞培養容器に関するものである。
以下、それぞれについて詳細に説明する。なお、本開示は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の態様の記載内容に限定して解釈されるものではない。また、図面は説明をより明確にするため、実施の態様に比べ、各部材の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
本明細書において、ある部材の上に他の部材を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」あるいは「下に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある部材に接するように、直上あるいは直下に他の部材を配置する場合と、ある部材の上方あるいは下方に、さらに別の部材を介して他の部材を配置する場合との両方を含むものとする。また、本明細書において、ある部材の上に他の部材を配置する態様を表現するにあたり、単に「面に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある部材に接するように、直上あるいは直下に他の部材を配置する場合と、ある部材の上方あるいは下方に、さらに別の部材を介して他の部材を配置する場合との両方を含むものとする。
A.細胞培養基材の製造方法
まず、本開示の細胞培養基材の製造方法について説明する。本開示の細胞培養基材の製造方法は、細胞を培養するための細胞培養基材の製造方法であって、多孔フィルムの少なくとも片面に、感光性フィルムをラミネートするラミネート工程と、上記感光性フィルムをパターン状に露光し、現像することにより、上記多孔フィルム上に複数の3次元構造体を形成するパターニング工程と、を有することを特徴とするものである。
このような本開示の細胞培養基材の製造方法について図を参照して説明する。図1は、
本開示の細胞培養基材の製造方法の一例を示す工程図である。図1に例示する本開示の細胞培養基材10の製造方法は、多孔フィルム1を準備し、多孔フィルム1の少なくとも片面に、感光性フィルム2をラミネートするラミネート工程(図1(a)〜(b))と、上記感光性フィルム2に対しフォトマスク3を介してパターン状に露光し、現像することにより、上記多孔フィルム上に複数の3次元構造体4を形成するパターニング工程と((図1(c)〜(d))を有する。図1は、多孔フィルム1の両面に、ネガ型の感光性を有する感光性フィルム2をラミネートする場合の工程図であり、図1(d)は、裏面側のパターニングが行われる前の状態を示すものである。なお、図1(e)は、感光性フィルムを多層積層して、後述する多層構造体5を形成した状態を示すものである。
本開示の細胞培養基材の製造方法によれば、複数の3次元構造体が多孔フィルム上に形成された細胞培養基材を製造することができるため、生体機能を十分に再現可能な細胞を培養でき、十分な厚さを有する細胞シートや細胞塊(スフェロイド)を形成可能な細胞培養基材を得ることができる。また本開示の細胞培養基材の製造方法によれば、このような細胞培養基材を、容易に、大量に、かつ抵抗コストで製造可能であるといった効果を奏する。
本開示の細胞培養基材の製造方法はラミネート工程とパターニング工程とを少なくとも有するものである。
以下、本開示の細胞培養基材の製造方法の各工程について詳細に説明する。
1.ラミネート工程
本開示におけるラミネート工程は、多孔フィルムの少なくとも片面に、感光性フィルムをラミネートする工程である。
(1)多孔フィルム
本開示において多孔フィルムは、細胞が透過せずに、培養液が透過可能な貫通孔を複数有するフィルムをいう。上記孔は、分岐構造及び/又は連結構造を有していてもよい。多孔フィルムの複数の孔において、開孔部の形状は、特に限定されない。開孔部の形状は、円形(例えば真円形若しくは楕円形)、並びに三角形、四角形(例えば長方形若しくは正方形)、五角形若しくは六角形等の多角形からなる群より選択される形状であることが好ましい。なお、多孔フィルムにおける複数の孔の開孔部の形状は、限定するものではないが、例えば、走査型電子顕微鏡等の手段によって開孔部の形状を観察することにより、決定することができる。
多孔フィルムの材質は特に限定されないが、従来、細胞培養の用途に用いられるものであれば特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリイミド(PI)、ナイロン(Ny)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエステル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルサルフォン、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン及びアクリル等を挙げることができる。
特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂又はポリスチレン(PS)樹脂からなるものであることが好ましい。ポリスチレン樹脂及びポリエチレンテレフタレート樹脂は、安価で且つ細胞毒性が低い材料である。このため、本開示の細胞培養基材を低コストで製造し、且つ本開示の細胞培養基材の細胞毒性を実質的に減少させることができる。
また、多孔フィルムはフレキシブルに曲げることが可能なフレキシブルフィルムであることが好ましい。
多孔フィルムの厚みは、特に限定されないが、具体的には、5μm以上200μm以下、好ましくは8μm以上12μm以下である。
上記値以上であれば、多孔フィルムの準備が容易であり、上記値以下であれば、多孔フィルム上で細胞を培養する際に、細胞が付着している面とは反対側の面からも培養液等を供給することが可能となるために好ましい。
また、多孔フィルムにおける孔の孔径は、0.4μm以上8μm以下、特には、0.4μm以上1μm以下であることが好ましい。培養液の循環が可能である、強度面でも問題が無いからである。
なお、本明細書において、「孔径」は、孔の外縁部によって形成される図形を内部に含む最小の円の直径を意味する。多孔フィルムにおいて、上記孔径の定義は、特に断らない限り複数個の孔の孔径の平均値を意味する。
また、多孔フィルムは、上述したような孔径を有する孔の密度が、5×10個/cm以上5×10個/cm以下、特には1×10個/cm以上1×10個/cm以下となるように形成されたものであることが好ましい。このような範囲であれば、培養液等を十分に供給可能であるために好ましい。
(2)感光性フィルム
感光性フィルムとしては、露光および現像を行うことにより所望の形状(例えば柱状)の3次元構造体を得ることができるものであれば良く、フォトリソグラフィ法等に一般的に用いられるものを使用することができる。
例えば、樹脂製フィルム上に感光性樹脂を含有する感光性樹脂層が形成されたもの等を挙げることができる。感光性樹脂層は、生体適合性材料からなるものであることが好ましく、ポジ型でもネガ型でも良いが、通常、ネガ型である。感光性樹脂層がネガ型の場合、露光部分が現像液に対して不溶解性となり、現像後に露光部分が残る。感光性樹脂層がポジ型の場合、露光部分が現像液に対して溶解し、現像後に未露光部分が残る。
感光性樹脂層の樹脂組成物に含まれる感光性樹脂としては、特に限定されないが、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、スチレン系樹脂等を挙げることができる。本開示においては、特にアクリル系樹脂またはエポキシ系樹脂が汎用性の観点等から好ましいものである。
感光性樹脂層がネガ型の感光性を有する場合、上記感光性樹脂層としては、例えば感光性樹脂と、光重合開始剤と、必要に応じて他の成分を含有する層とすることができる。
樹脂組成物に添加される光重合開始剤として、例えば光アニオン重合開始剤、光カチオン重合開始剤、光ラジカル重合開始剤などのタイプが用いられ得る。
上記光重合開始剤としては、具体的には、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミン)ベンゾフェノン、α−アミノ・アセトフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、ベンジルメトキシエチルアセタール、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンズスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンジルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、n−フェニルチオアクリドン、4,4−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、カンファーキノン、アデカ社製N1717、四臭化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾイン、エオシン、メチレンブルー等の光還元性色素とアスコルビン酸やトリエタノールアミンのような還元剤との組み合わせ等を例示できる。
本開示では、これらの光重合開始剤を1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、感光性樹脂層がポジ型の感光性を有する場合、樹脂組成物に添加される感光剤として、例えば、1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル系化合物などを挙げることができる。
上記感光性フィルムの厚みは、特に限定されないが、具体的には、5μm以上50μm以下、好ましくは 20μm以上30μm以下である。
上記値以上であれば、パターニング工程において形成される3次元構造体の高さが十分となり、従来よりも厚い細胞シートや細胞塊(スフェロイド)を得ることができる。上記値以下であれば、パターニング工程において高い解像度のパターンを得ることができる。
また、上記感光性フィルムは、上記多孔フィルムとのラミネート時に、感光性フィルムの材料が多孔フィルムの孔内に侵入しにくい材料で構成されていることが好ましい。多孔フィルムの孔内に感光性フィルムの材料がつまってしまうと、細胞の培養時に培養液が十分に循環せずに、培養に不具合が生じる可能性があるからである。
(3)ラミネート方法
上記多孔フィルムの少なくとも片面に、上記感光性フィルムをラミネートする方法としては、例えば、一般にホットロールと呼ばれる加熱可能なロール又はヒートシューと呼ばれる加熱用ジャケットとラミネートロールと呼ばれるロールにより、感光性フィルムを加熱し軟化しながら、多孔フィルムにラミネートする方法等を挙げることができる。この際、上記多孔フィルムを必要に応じて加熱してもよい。また、感光性フィルムは、多孔フィルムの片面にラミネートしてもよいし、両面にラミネートしてもよい。
また、ラミネート工程において、上記感光性フィルムが上記多孔フィルムの孔内に入り込まないように上記感光性フィルムをラミネートすることが好ましい。細胞培養の際に、確実に培養液等が孔内に入り、細胞が付着している面とは反対側の面からも培養液等を供給することが可能となるために好ましい。
また、多孔フィルムと感光性フィルムとの間に接着剤層を設け、密着させることによりラミネートする方法もある。
このような接着剤層としては、細胞培養を阻害しないものであれば特に制限されないが、透明性接着剤層であることが好ましく、例えば、シリコーン系、アクリル系の接着剤等が好ましい。
接着剤層の厚みは特に限定されないが、乾燥後の厚みが1μm〜1mm程度である。
2.パターニング工程
本開示におけるパターニング工程は、上記感光性フィルムをパターン状に露光し、現像することにより、上記多孔フィルム上に複数の3次元構造体を形成する工程である。
(1)露光
本工程に用いられる露光方法としては、一般的なフォトリソグラフィ法に用いられるも
のと同様とすることができ、具体的には、公知の露光装置を用いて、所望のパターンがあらかじめ付与されたフォトマスクを介して露光光を感光性フィルムに照射する方法や、マスクレス露光機を用いて光を照射する方法等を挙げることができる。フォトマスクについては、一般的なフォトリソグラフィ法で用いられるものと同様とすることができる。
露光光としては、上述した感光性樹脂組成物の光重合開始剤等による光反応を進行させることができる波長を含んでいればよい。露光光としては、例えば、電離放射線を用いることができ、中でも紫外線を好適に用いることができる。「電離放射線」とは、電磁波または荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものをいい、例えば、紫外線や電子線の他、X線、γ線等の電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線が挙げられる。
露光光源としては、、一般的な露光装置に用いられる露光光源と同様とすることができ、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ等を挙げることができ、メタルハライドランプを用いることがより好ましい。
露光工程における露光量については、感光性フィルムの組成、厚さ、目的とする3次元構造体の平面視形状等に応じて適宜調整することができる。本工程における露光量としては、例えば、100mJ/cm〜1000mJ/cmの範囲内、中でも200mJ/cm〜400mJ/cmの範囲内であることが好ましい。上記露光量が少ないと、感光性樹脂組成物の硬化反応等を十分に促進させることが困難となる可能性があるからである。また、露光量が多いと、製造コストに無駄を生じる可能性があるからである。
また、本開示においてパターニング工程において形成するパターンは特に限定されないが、複数の柱状凸部がドット状に配列したドットパターン、または複数の柵状体が配列したラインアンドスペースパターンが好ましいが、通常、ドットパターンである。
また、本開示におけるパターニング工程を、フォトマスクを介した露光、現像により行い、上記フォトマスクと上記感光性フィルムとの距離、露光量のいずれか又は両方を調整することにより、所定の側壁形状を有する上記3次元構造体を得ることが可能となる。
このようにフォトマスクと感光性フィルムとの距離、露光量を調整することで、3次元構造体を、多孔フィルム表面に対して垂直方向に側壁が形成されているもの、即ち、天面(多孔フィルムと反対側の面)の面積が底面(多孔フィルム側の面)の断面積と同じであるものとすることもできるし、天面の面積が底面の面積よりも狭いテーパー形状、天面の面積が底面の面積よりも広い逆テーパー形状とすることもできる。
このようなテーパー形状の3次元構造体を形成することで、十分な厚みの細胞シートや細胞塊(スフェロイド)を得ることが可能な細胞培養基材となる。
(2)現像
露光された上記感光性フィルムを現像液を用いて現像することにより、上記多孔フィルム上に複数の3次元構造体を形成する。
現像液としては、細胞の培養に悪影響を及ぼさず、所定のパターン状に塗膜を現像することができれば特に限定されず、例えば、水、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、炭酸ナトリウム(NaCO)水溶液等が挙げられる。
(3)その他工程
本開示においては、現像後に洗浄、乾燥することが好ましい。洗浄液としては、エタノール等が挙げられる。
また、本開示においては、上記ラミネート工程と、上記パターニング工程とを繰り返し行い、2回目以降の上記パターニング工程において、上記多孔フィルム上に既に形成されている3次元構造体と、フォトマスクとの位置合わせを行い、その後上記フォトマスクを介した露光、現像を行うことで、図1(e)に示すように、3次元構造体上に別の3次元構造体を形成し、多層構造体5を形成することができる。
このように上記ラミネート工程と、上記パターニング工程とを繰り返し行えば、3次元構造体が積み重なった多層構造体を得ることができる。図6に、多層構造体を有する細胞培養基材のSEM写真を示す。このような多層構造体とすることによって、高さが十分となるため、得られる細胞シートや細胞塊(スフェロイド)の厚さが十分なものとなる。
B.細胞培養基材
1.第一実施形態
本開示の細胞培養基材の第一の実施形態は、多孔フィルムの少なくとも片面に、アクリル系樹脂又はエポキシ系樹脂で形成された3次元構造体が形成されていることを特徴とするものである。このような細胞培養基材を用いれば、従来よりも、機能性が生体内の状態に近く、膜厚が厚い細胞シートや細胞塊(スフェロイド)を得ることができる。
(1)多孔フィルム
多孔フィルムとしては、上述した「A.細胞培養基材の製造方法 1.ラミネート工程 (1)多孔フィルム」の項で説明した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
また、本開示の細胞培養基材における多孔フィルムの大きさは、作製しようとする細胞シートや細胞塊(スフェロイド)の大きさによって適宜選択することができ、特に限定されないが、例えば、直径0.1mm以上とすることができる。
また、細胞培養基材における多孔フィルムにおける孔は局所的に形成されたものであってもよいし、全面に形成されたものであってもよいが、全面に形成されたものであることが好ましい。
(2)3次元構造体
本開示における3次元構造体は、多孔フィルムの片面または両面に、アクリル系樹脂又はエポキシ系樹脂で形成されたものである。
このような3次元構造体としては、上記「A.細胞培養基材の製造方法」において説明した、感光性フィルムが多孔フィルムの主面にパターン状に単層で形成されたもの、もしくは多層積層されたものを挙げることができる。
(a)アクリル系樹脂又はエポキシ系樹脂
アクリル系樹脂又はエポキシ系樹脂としては、レジスト樹脂として一般的に用いられているもの使用することができる。例えば、カルボキシル基、スルホン基、エポキシ基等の酸性基を有するアクリル樹脂、およびフェノール含有エポキシ系樹脂が挙げられる。
(b)形状
3次元構造体の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、柱状、ライン状等が挙げられるが、特に、平面視円形又は平面視四角形の柱状であることが好ましい。
(c)高さ
本開示における3次元構造体の高さは特に限定されないが、10μm以上、好ましくは20μm以上、とすることができる。なお、上限は特に限定されないが、通常、100μm以下である。
上記値以上であれば、確実に、培養細胞が生体に近い機能を発現することができる。なお、上記3次元構造体の高さは、図2中(H)で示すように、多孔フィルムの表面1Aから3次元構造体の天面4Aまでの距離である。
感光性フィルムが通常平坦であるため、各3次元構造体の高さは、均一であることが好ましい。ここで、均一であるとは、フィルム総厚の±10%以内で形成されていることをいい、特に好ましくはフィルム総厚の±5%以内で形成されたものである。
(d)幅
本開示における上記3次元構造体の平面視における幅は、培養する細胞の種類に応じて決定することができる。3次元構造体の平面視における幅とは、3次元構造体が柱状である場合には、3次元構造体の天面の寸法(直径)であって、天面が略楕円形であればその長径の長さを意味し、天面が略正方形であればその一辺の長さを意味し、天面が略長方形であれば長辺の長さを意味し、天面がその他の形状(例えば六角形等の多角形、不定形等)であれば当該天面の形状の外接円の直径を意味するものとする。3次元構造体がライン状である場合には、線幅を示す。
細胞が線維芽細胞の場合には、3次元構造体の平面視における幅は、例えば、1.0μm〜10μmの範囲内である。
細胞が間葉系細胞の場合には、3次元構造体の平面視における幅は、例えば、0.5μm〜5μm、中でも1μm〜3μmの範囲内が好ましい。
上記範囲より平面視における幅が大きい場合は、平面上で培養した場合に近い状態となることから、生体に近い細胞機能を発揮することが難しくなる可能性がある。一方、上記範囲より幅が小さい場合は、細胞の培養効率が低下する可能性がある。また、上記範囲内であれば幅は狭いほど、細胞接着性が良好である。
また、複数の3次元構造体の平面視における幅は、通常、均一である。均一であるとは、所望の幅に対して、±10%以内で形成されていることをいい、特に好ましくは±5%以内で形成されたものである。
(e)3次元構造体間の距離
本開示における3次元構造体間の距離は、特に限定されないが、培養する細胞の種類に応じて決定することができる。
なお、本開示における隣接する3次元構造体4間の距離は、図2中(S)で示す通り、一の3次元構造体4の中心と、それに隣接する3次元構造体4の中心とを結ぶ直線長さLから3次元構造体の幅Dを差し引いた長さ、を意味するものとする。
細胞が線維芽細胞の場合には、3次元構造体間の距離は、例えば、0.5μm〜30μm、中でも3μm〜8μmの範囲内が好ましく、特に4μm〜6μmの範囲内が好ましい。
細胞が間葉系細胞の場合には、3次元構造体間の距離は、例えば、0.5μm〜350μm、中でも1μm〜5μmの範囲内が好ましい。
このような3次元構造体間の距離であれば、確実に、培養細胞が生体に近い細胞機能を発揮することができる。
さらに、このような距離であれば、細胞は凹部の方向に配向しやすくなり、成熟したものとなるために好ましい。尚、3次元構造体間の距離が短いほど、配向性は向上する。
また、3次元構造体間の距離は、均一であることが好ましいが、不均一であってもよい。ここで、均一であるとは、距離の幅に対して、±10%以内で形成されていることをいい、特に好ましくは±5%以内で形成されたものである。
(f)側壁
本開示における3次元構造体は、図4に例示されるように、側壁の底部から頂部にかけて、複数の溝が形成されていることが好ましい。このように溝が形成されていることにより、例えば、上記溝に起因する凹凸があることで、生体内における状態に近くなり、より生体に近い機能を持った細胞膜が得られる可能性があるからである。
図4は本開示の細胞培養基材における3次元構造体のSEM画像である。これらの溝は、幅が具体的には、1.0μm以上4.0μm以下、深さが0.2μm以上2.0μm以下である。また、複数の3次元構造体において、溝の幅の平均は2.0μm以上3.0μm以下であることが好ましく、溝の深さの平均は0.5μm以上1.0μm以下であることが好ましい。
側壁の底部から頂部にかけて形成された溝は、周方向において周期的あるいは非周期的に設けられている。尚、本明細書において溝の深さとは、溝を挟む凸部高さを基準とした場合の深さ、幅とは、溝を挟む凸部の中心間距離をいう。
なお、本開示において、上記3次元構造体の高さ(H)、幅(D)及び隣接する3次元構造体間の距離(S)は、例えば、原子間力顕微鏡、走査型電子顕微鏡等を用いて測定された値とする。
(g)多層構造
本開示の細胞培養基材は、3次元構造体が多層に積み重なった多層構造体を有するものとすることができる。このような多層構造体を有するものであれば、高さが十分となるため、得られる細胞シートや細胞塊(スフェロイド)の厚さが十分なものとなる。具体的には、少なくとも2層から4層の間であることが好ましい。
本開示においては、上記多層構造体において、多層構造体を構成する各層の多孔フィルム側の面積が、多孔フィルムとは反対側の面積より大きく形成されており、各層間に段差を有していることが好ましい。細胞培養の際に、培養された細胞の足場としての機能を有するものとなり、より厚い細胞を得ることができるようになるからである。
(h)用途
本開示の細胞培養基材により培養できる細胞は、角層、表皮、基底膜、真皮等を構成する皮膚細胞を除く、培養に適している細胞であれば特に限定されるものではない。
例えば、動物細胞、昆虫細胞、酵母等を挙げることができ、好ましくはヒト細胞又は非ヒト動物細胞である。「ヒト細胞」としては、ヒト由来の細胞または組織であれば特に限定されないが、例えば、ヒト外胚葉系細胞、ヒト中胚葉系細胞、ヒト内胚葉系細胞、ヒト受精卵からこれらの細胞へ分化する過程に含まれる細胞、ヒト胚性幹細胞及びヒト体性幹細胞が挙げられる。具体的な例として、例えば、ヒト由来の、筋芽細胞;(骨髄、脂肪組織、末梢血、毛根、筋組織、子宮内膜、胎盤、臍帯血由来の)間葉系幹細胞;心筋細胞;線維芽細胞;心臓幹細胞;胚性幹細胞(ES細胞)、人工多能性幹細胞(iPS細胞)、Muse細胞(Multilineage−differentiating Stress Enduring Cell)、胚性腫瘍細胞(EC細胞:Embryonal Carcinoma cell)及び胚性生殖幹細胞(EG細胞:Embryonic Germ Cell)などの多能性幹細胞;多能性幹細胞由来の細胞;鼻粘膜上皮細胞;網膜色素上皮細胞;滑膜細胞;軟骨細胞;肝細胞;腎細胞;副腎細胞;膵島細胞などの膵細胞;口腔粘膜上皮細胞及び内皮細胞などの上皮細胞;歯根膜細胞;歯肉細胞;骨膜細胞;巨核球などの造血系細胞;血小板などの血球細胞等が挙げられ、間葉系細胞、線維芽細胞、人工多能性幹細胞(iPS細胞)であることが好ましい。
2.第二実施形態
本開示の細胞培養基材の第二の実施形態は、多孔フィルムの少なくとも片面に、光重合開始剤由来の残渣を含む3次元構造体が形成されている形態である。以下、本形態の細胞培養基材の各構成について説明する。
本形態における多孔フィルムは、上述した「A.細胞培養基材の製造方法 1.ラミネート工程 (1)多孔フィルム」の項で説明した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
本形態における3次元構造体は、光重合開始剤由来の残渣を含むものである。光重合開始剤としては、「A.細胞培養基材の製造方法 1ラミネート工程 (2)感光性フィルム」の項で説明した内容と同様とすることができる。光重合開始剤由来の残渣の有無は、例えば、赤外吸収スペクトル(IRスペクトル)、X線光電子分光法(XPS)等により測定することができる。
C.細胞付細胞培養基材
本開示の細胞付細胞培養基材は、上述の細胞培養基材上に、細胞が付着したものであることを特徴とする。本開示の細胞付細胞培養基材は、上述した細胞培養基材における3次元構造体の間隙に、細胞が付着したものであってもよく、細胞培養基材上に細胞を含むスフェロイドやシートが配置されたものであってもよい。すなわち、これからスフェロイドやシートと成り得る細胞が配置されたものであり、これを培養してシートやスフェロイドを得るための細胞付細胞培養基材であってもよく、培養することにより細胞シートや細胞塊(スフェロイド)となった細胞が配置されたものであってもよい。
本開示の細胞培養基材を使用して培養した細胞は、多孔フィルム上の3次元構造体を利用して培養したものであるため、目的とする生体機能を十分に発現できるものとなる。さらに、本開示の細胞付細胞培養基材であれば、例えば30μm〜300μmの、十分な厚さを有する細胞シートや細胞塊(スフェロイド)を有する細胞付細胞培養基材となる。このような厚い細胞シートや細胞塊(スフェロイド)であれば、再生医療の分野において有用な細胞モデルとして使用することが可能である。また、本開示の細胞付細胞培養基材は、細胞培養基材を細胞シートや細胞塊(スフェロイド)から剥離せずに、そのまま移動させ、試験等に供することが可能である。
(1)細胞培養基材
本開示の細胞付細胞培養基材に用いられる細胞培養基材は、上述した「B.細胞培養基材」の項で説明した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
(2)細胞
本開示の細胞付細胞培養基材における細胞は、上述した「B.細胞培養基材 1.第1実施形態 (h)用途」の項で説明した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
D.細胞培養容器
図3に本開示の細胞培養容器の一例を示す概略断面図を示す。本開示の細胞培養容器100は、上述の細胞培養基材10と、細胞培養基材10を細胞培養容器内に支持するための基体20とを有する。図3では、セルカルチャーインサート30が細胞培養基材10を備えている。以下、本開示の細胞培養容器の各構成について説明する。
(1)細胞培養基材
本開示の細胞培養容器に用いられる細胞培養基材は、上述した「B.細胞培養基材」の項で説明した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
(2)基体
本開示の細胞培養容器は、上述の細胞培養基材を少なくとも1つ上記細胞培養容器内に支持し、上記細胞培養基材を上記細胞培養容器内に配置するための基体を有する。基体は、さらに培養液を保持するものである。上記細胞培養容器により細胞を培養する場合は、培養液に細胞を接触させて培養することから、上述した細胞培養基材は、上記基体により、上記培養液に細胞が接触できる位置に配置され、支持されてている。
このような基体としては、特に限定されないが、シャーレや培養液を流すことができる流路状のもの、フラスコ形状のもの等を挙げることができる。
E.細胞付細胞培養容器
本開示の細胞付細胞培養容器は、上述の細胞培養容器における上記細胞培養基材上に、細胞が付着したものである。本開示の胞付細胞培養容器は、上述した細胞培養基材における3次元構造体の間隙に、細胞が付着したものであってもよく、細胞培養基材上に細胞を含むスフェロイドやシートが配置されたものであってもよい。すなわち、これからスフェロイドやシートと成り得る細胞が配置されたものであり、これを培養してシートやスフェロイドを得るための細胞付細胞培養基材であってもよく、培養することにより細胞シートや細胞塊(スフェロイド)となった細胞が配置されたものであってもよい。
(1)細胞培養容器
用いる細胞培養容器は、上述した「D.細胞培養容器」の項で説明した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
(2)細胞
本開示の細胞付細胞培養容器における細胞としては、上述した「B.細胞培養基材 1.第1実施形態 (h)用途」の項で説明した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
また、本開示の細胞培養基材や細胞培養容器を用いて細胞を培養する培養法は、特に限定されるものではなく、従来と同様の培養液、培養条件を用いることができる。
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示の技術的範囲に包含される。
以下、本開示について実施例および比較例を用いて具体的に説明する。
(実施例1)
多孔フィルムとして、孔径が1μmの貫通孔が密度1.6×10で配列した、厚みが10μmのPETフィルムを準備した。このPETフィルムを80℃に加温したホットプレート上に静置した。厚みが30μmの、ネガ型の感光性樹脂層を有する感光性フィルムを、PETフィルムの片側にローラーで気泡を巻き込まないように注意し貼り合わせを行った。感光性フィルムとして、東京応化工業株式会社製TMMF S2030(製品名)を用いた。貼り合わせたフィルムの温度が室温まで下がったことを確認後、直径20μmのホールパターンを有するマスクを介して紫外線を300mJ照射した。次にPGMEA溶液に5分間浸漬することで感光性フィルムの現像を行い、直径20μmで高さが30μmの柱状の3次元構造体を多孔フィルム上に形成し、細胞培養基材を製造した。図5(a)(b)に、実施例1で製造した細胞培養基材における3次元構造体のSEM写真を示す。
(実施例2)
紫外線による露光量を300mJから1200mJに増加させた以外は、実施例1に記載と同じ方法で細胞培養基材を製造した。
露光量が300mJの場合(実施例1)では、直径20μmの天面に対して多孔フィルムの厚さ方向にほぼ垂直な側壁が形成されていた。これに対して、露光量が1200mJの場合、多孔フィルムの厚さ方向に対して約10°の角度で側壁を形成することができた(実施例2)。
1 … 多孔フィルム
2 … 感光性フィルム
3 … フォトマスク
4 … 3次元構造体
5 … 多層構造体
10 … 細胞培養基材
100… 細胞培養容器

Claims (12)

  1. 細胞を培養するための細胞培養基材の製造方法であって、
    多孔フィルムの少なくとも片面に、感光性フィルムをラミネートするラミネート工程と、
    前記感光性フィルムをパターン状に露光し、現像することにより、前記多孔フィルム上に複数の3次元構造体を形成するパターニング工程と、を有する、細胞培養基材の製造方法。
  2. 前記多孔フィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂又はポリスチレン(PS)樹脂からなるものであり、厚みが10μm以上200μm以下であり、孔径が100μm以下の孔の密度が、5×10/cm以上5×10/cm以下で形成されたものである、請求項1に記載の細胞培養基材の製造方法。
  3. 前記感光性フィルムが、アクリル系樹脂又はエポキシ系樹脂を含む感光性樹脂層を有する、請求項1または請求項2に記載の細胞培養基材の製造方法。
  4. 前記ラミネート工程と、前記パターニング工程とを繰り返し行い、
    2回目以降の前記パターニング工程において、前記多孔フィルム上に既に形成されている3次元構造体と、フォトマスクとの位置合わせを行い、その後前記フォトマスクを介した露光、現像を行い、前記3次元構造体上に別の3次元構造体を形成することを特徴とする、請求項1から請求項3までのいずれかに記載の細胞培養基材の製造方法。
  5. 細胞培養基材であって、
    多孔フィルムの少なくとも片面に、アクリル系樹脂又はエポキシ系樹脂で形成された、複数の3次元構造体が形成されていることを特徴とする、細胞培養基材。
  6. 細胞培養基材であって、
    多孔フィルムの少なくとも片面に、光重合開始剤由来の残渣を含む、複数の3次元構造体が形成されている、細胞培養基材。
  7. 前記3次元構造体は、高さが10μm以上である、請求項5または請求項6に記載の細胞培養基材。
  8. 前記3次元構造体は、幅が1.0μm以上4.0μm以下、深さが0.2μm以上2.0μm以下の溝が、前記3次元構造体の側壁の、底部から頂部にかけて形成されている、請求項5から請求項7までのいずれかの請求項に記載の細胞培養基材。
  9. 前記3次元構造体が多層に積み重なった多層構造体を有する、請求項5から請求項8までのいずれかの請求項に記載の細胞培養基材。
  10. 請求項5から請求項9までのいずれかの請求項に記載の細胞培養基材上に、細胞が付着したものである、細胞付細胞培養基材。
  11. 請求項5から請求項9までのいずれかの請求項に記載の細胞培養基材と、前記細胞培養基材を支持し、かつ培養液を保持する基体とを有する、細胞培養容器。
  12. 請求項11に記載の細胞培養容器における前記細胞培養基材上に、細胞が付着したものであることを特徴とする、細胞付細胞培養容器。
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