JP5522340B2 - 胎生肝細胞のスフェロイドを含む培養細胞構築物 - Google Patents
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Description
形成されたフィ−ダー細胞層上で胎生肝細胞を培養して胎生肝細胞のスフェロイドを形成するステップ
を含んでなる胎生肝細胞のスフェロイドを含有する培養構築物の作製方法が、提供される。
本発明について、以下により具体的に説明する。
レイとして本発明の培養細胞構築物を使用するときは、注意する必要がある。勿論のこと、培養スフェロイドを基材表面から剥離させて使用する場合には、スフェロイドが形成された後であれば、個々のスフェロイド同士が接着して、剥離する傾向を帯びてもよいが、所期の機能を保持したまま長期にわたる培養することが困難になるかも知れない。
ガラス基板の前処理として、直径15mmの丸型ガラスチップを体積比1:1の過酸化
水素、濃硫酸によるピラニア洗浄した後、さらに10分間の超音波洗浄を3回行った。次に、同表面へのシランカップリング処理を行った後、160℃の乾燥を一晩行った。シランカップリング溶液は、4%の(3−(メタクリロイルオキシ)プロピル)トリメトキシシラン〔(3−(methacryloyloxy)propyl)trimethoxy silane〕を含んだ95%のエタノール溶液であり、これによりガラス表面に重合性のメタクリロイル基が修飾される。ガラス表面上に導入されたメタクリロイル基は、ポリエチレンクリコール(PEG)ゲルとガラスを固定化する役割を有する。シラン処理を施したガラスチップ上に、両末端にアクリロイル基を有するPEG−ジアクリロイル(PEG−DA、平均分子量575g/mol)溶液15μLをガラスチップ上に滴下し、上からポリスチレン板を被せることで溶液を均一にガラス表面上に伸展させた。このときの溶液組成は、純水:メタノール:PEG−DAを1:2:3で混合したものであり、さらに光重合開始剤としてIrgacure2959(1%(w/V))を添加している。このように調製したガラス基板に、フォトマスクを介してUVを照射(強度2.4mW/cm2、時間1.5秒間)することで、ドメイン直径・縁間隔がそれぞれ100μmのパターンがガラス基板上に形成された。
例1のように作製したパターン化PEGゲルチップ上にマウス胎児線維芽細胞を細胞数600cells/mm2で播種し、一日後に接着しなかった浮遊培養をリン酸緩衝液(PBS)によって除去した。このとき細胞接着性のドメイン内部(ガラス露出部位)にフィーダー細胞が接着し、PEGゲル領域には細胞が接着しない。以上の操作により、線維芽細胞のマイクロパターン化アレイを構築することができた。
上記例のようにして得られたドメイン直径・縁間隔がそれぞれ100μmのパターンが形成されたガラス基板上のパターン化表面を構築し、一日経過した後、同表面上にマウス胎児肝細胞を1.1×105cell/mm2の細胞数で播種したのち培養を始める。使用培地はWilliams’E培地を基本とし、血清はウシ胎児血清を10%(V/V)、抗生物質としてPenicillin−Streptomycinを1%(V/V)、このほかにInsulin(0.1μM)、Dexamethasone(0.1μM)、Aprotinin(5000KIU/L)を添加した培地を使用した。7日目でスフェロイド形成しなかった浮遊細胞を除去し、7日目以降にスフェロイドの各種活性評価を行い、この日以降の培地交換・浮遊細胞除去の操作はPBSを用いて慎重な洗浄を行った。図1は9日間培養された後の胎生肝細胞スフェロイドを観察した結果で、約60〜70μmの大きさを有するスフェロイドが形成していることがわかる。また、21日培養したスフェロイドのLIVE/DEAD蛍光染色をした結果、スフェロイドを形成する細胞のほとんどが生存していることも確認できた(図2)。
CYP450活性を指標として、実施例1で構築したスフェロイドの分化誘導法の検討を行った。
成熟肝細胞、肝癌細胞は凝集力が強く、少ない細胞数で短期間にスフェロイド形成することが知られている。血管内皮細胞をフィーダー細胞として用いてスフェロイドアレイを形成させる場合は、成熟肝細胞では細胞数を2.5×103cells/mm2で(ChemBioChem 2004、5、850−855)、肝癌細胞では細胞数を1.8×103cells/mm2でそれぞれ1日間培養することで直径100μmのパターンに十分に充填されたスフェロイド形成が観察できる(Journal of Photopolymer Science and Technology、Vol.19、NO.4、2006)。
embryonic days(E.D.14))マウスからの肝臓を採取し、ピペッティングにより胎生肝細胞に分離し0.28、0.55、1.10×105cells/mm2の細胞数でパターン化フィーダー細胞上に播種し、7日間経過を観察した(図1参照)。肝細胞の培養には10%ウシ胎児血清(FBS)を含むWilliams’E改変培地を用いた。
×105cells/mm2では、直径約70μmのスフェロイドがパターン領域上に非常に高い形成率で出現した(図5のc参照)。スフェロイドが形成される場合、播種された肝細胞はまず内皮細胞上に選択的に接着した後、小さな塊となり、徐々に細胞塊が大きくなっていく現象が観察された。1.10×105cells/mm2のような高濃度の細胞濃度条件下においても、1−2日の培養では十分なスフェロイド形成は観察されず、7日間の培養によって大きなスフェロイドが多数形成することが明らかとなった。
この実施例では、胎生肝細胞スフェロイドの活性に対するフィーダ細胞種の与える影響について検討を行う。
細胞スフェロイドが形成されたが、そのアルブミン産生量は3週間の積算値として約0.4ng/cellであった。
Claims (12)
- 基材表面上の小領域に接着したフィーダー細胞の培養物とその上に形成された胎生肝細胞のスフェロイドを含んでなる培養細胞構築物であって、該小領域が直径20〜300μmの円またはその円に相当する面積を有する他の形状をしており、該スフェロイドが該フィーダー細胞と胎生肝細胞の共培養によって形成されたものであり、かつ、該フィーダー細胞が線維芽細胞である、上記の培養細胞構築物。
- フィーダー細胞が胎児線維芽細胞である、請求項1記載の培養細胞構築物。
- スフェロイドが培養胎生肝細胞を少なくとも50個含む、請求項1記載の培養構築物。
- スフェロイドが少なくとも20μmの横断面の直系を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の培養細胞構築物。
- スフェロイドが60〜70μmの大きさを有する、請求項1〜4のいずれかに記載の培養細胞構築物。
- スフェロイドが培養中にオンコスタチンM(OSM)の刺激によりシトクロム450(CYP)1A2を発現するようになる、請求項1〜5のいずれかに記載の培養細胞構築物。
- 小領域が同一平面上に複数存在し、かつ,各小領域が、連続する細胞非接着性材料の表面により、相互に少なくとも30μmの間隔において分離されている請求項1〜6のいずれかに記載の培養細胞構築物。
- 基材表面上の連続する細胞非接着性材料の表面により少なくとも30μmの間隔において分離されている複数の小領域上でフィーダー細胞を培養して該小領域に接着したフィーダー細胞層を形成するステップであって該フィーダー細胞が線維芽細胞である、ステップ、および
形成されたフィ−ダー細胞層上で胎生肝細胞を培養して胎生肝細胞のスフェロイドを形成するステップ
を含んでなる胎生肝細胞のスフェロイドを含有する培養構築物の作製方法。 - 小領域が直径20〜300μmの円またはその円に相当する面積を有する請求項8記載の作製方法。
- フィ−ダー細胞層上で1.00×104cells/mm2以上の細胞密度において胎生肝細胞を培養する、請求項8または9記載の作製方法。
- 請求項1記載の培養細胞構築物を必須構成員として含んでなる成熟肝細胞またはシトクロム450(CYP)1A2を発現する肝細胞を誘導するための細胞調製用キット。
- 培養構築物の培地およびオンコスタチンMから選ばれるいずれか1種または両者をさらに含み、該フィーダー細胞が線維芽細胞である、請求項11記載のキット。
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