JP2000287680A - 未成熟肝細胞を成熟肝細胞へ分化させる方法 - Google Patents

未成熟肝細胞を成熟肝細胞へ分化させる方法

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JP2000287680A JP11103364A JP10336499A JP2000287680A JP 2000287680 A JP2000287680 A JP 2000287680A JP 11103364 A JP11103364 A JP 11103364A JP 10336499 A JP10336499 A JP 10336499A JP 2000287680 A JP2000287680 A JP 2000287680A
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Atsushi Miyajima
篤 宮島
Taisei Kinoshita
大成 木下
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Todai TLO Ltd
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SENTAN KAGAKU GIJUTSU INCUBATI
Center for Advanced Science and Technology Incubation Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 未成熟肝細胞を成熟肝細胞へ分化させる方法
を提供する。また、該方法を利用した未成熟肝細胞の成
熟肝細胞への分化を調節する化合物のスクリーニング方
法を提供する。 【解決手段】 E14胚由来マウス胎児未成熟肝細胞の培
養系を確立した。本培養系により増殖した未成熟肝細胞
にオンコスタチンMおよびデキサメタゾンを添加する
と、成熟肝細胞への分化が誘導されることを見いだし
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、サイトカインを利
用して未成熟肝細胞を成熟肝細胞へ分化させる方法、お
よび該方法を利用した未成熟肝細胞の成熟肝細胞への分
化を調節する化合物のスクリーニング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】胎児肝臓は、胚発生時における造血の主
要な場となっており、出生期にさまざまな代謝機能が加
わっていく。肝臓の発生は、生物学的な解析により、い
くつかの明確な段階に分けられることが明らかにされて
いる。
【0003】肝臓の発生は、細胞間相互作用やマトリッ
クス‐細胞間相互作用の影響だけでなく、ホルモン様因
子による影響も受ける。マウスの場合、肝臓の発生は胎
生9日(E9)に始まり、心臓性中胚葉との相互作用によ
って、中腸性内胚葉が肝臓に分化する。その後、この肝
臓原基は、近接する心臓間葉からの誘導シグナルを受け
取って横中隔に浸入し、肝細胞索と肝芽になる(Douari
n,N.M. (1975) Med.Biol., 53, 427-455; Houssaint,E.
(1980) Cell Differ., 9,269-279)。これらの分化過
程に従い、胎児肝細胞は自律増殖、細胞腫脹、機能成熟
を伴う一連の成熟段階を進んでいく。
【0004】肝成熟の度合いは、肝臓特異的に発現する
遺伝子や成熟段階特異的に発現する遺伝子を用いて解析
されている(Derman,E.,et al. (1981) Cell, 23, 731-
739;Panduro,A.,et al. (1987) Genes Dev., 1, 1172-1
182)。アルファフェトプロテイン(AFP)は初期段階に
ある胎児肝のマーカーであり、肝臓の分化が進むに従っ
て、その発現量は減少する(Shiojiri,N.,et al. (199
1) Cancer Res., 51,2611-2620)。一方、肝細胞で生合
成され、最も含有量の多い蛋白質であるアルブミンの発
現は、初期胎児肝細胞(E12)で始まり、成体肝細胞で
最大レベルに達する(Tilghman,S.M.,et al. (1982) Pr
oc. Natl Acad. Sci. U S A, 79, 5254-5257)。妊娠後
期や周産期の段階になると、肝細胞はグルコース−6−
ホスファターゼ(G6Pase)やチロシンアミノトランスフ
ェラーゼ(TAT)など数多くの代謝酵素を生産し始め、
肝臓の生理的役割の変化に対応する(Greengard,O. (19
70) In Litwack,G. (ed.), Biochemical Actions of Ho
rmones. Academic PressInc.,New York, USA, pp. 53-8
7; Haber,B.A.,et al. (1995) J. Clin. Invest., 95,
832-841)。そして最終的に出生から数日後に、セリン
デヒドラターゼ(SDH)とトリプトファンオキシゲナー
ゼ(TO)が肝細胞中に誘導される(Nagao,M.,et al. (1
986) Biochim. Biophys. Acta, 867, 179-186; Noda,
C.,et al. (1990) Blochem. Biophys. Res. Commun., 1
68, 335-342; Noda,C,et al.. (1994)Blochim. Biophy
s. Acta, 1217, 163-173)。悪性肝細胞癌ではこれらの
代謝酵素の発現が見られないことがあり、このような腫
瘍細胞ではAFPの発現が逆に復活している(Abelev,G.I.
(1971) Adv. Cancer Res., 14, 295-358)。このよう
に、AFPや代謝酵素は、肝臓の発生をモニターする際の
有用なマーカーであると同時に、細胞の悪性度の指標と
しても利用できる。
【0005】肝細胞の増殖や分化は、ホルモンやサイト
カインなどの細胞外シグナルによる影響を受ける。例え
ば、グルココルチコイドは、in vivoおよびin vitroど
ちらでも、成体肝細胞の増殖と機能を調節する。胎児の
肝臓において、合成グルココルチコイドであるデキサメ
タゾン(デキサメタゾン)は、生理的濃度でAFP産生とD
NA合成を抑制し、アルブミン産生を上昇させる(Belang
er,L.,et al. (1981)Biochemistry, 20, 6665-6672; Na
wa,K.,et al. (1986) J. Biol Chem., 261,16883-1688
8; de Juan,C.,et al. (1992) Exp. Cell Res., 202, 4
95-500)。トランスフォーミング増殖因子−β(TGF-
β)は、強力な肝細胞増殖阻害剤であり(Nakamura,T.,
et al. (1985) Biochem. Biophys. Res.Commun., 133,
1042-1050; de Juan,C.,et al. (1992) Exp. Cell Re
s., 202, 495-500)、出生前の肝細胞のアルブミン産生
を増大させることが知られており、これはTGF-βが肝分
化の制御に関わることを意味している(Sanchez,A.,et
al. (1995) J. Cell Physiol., 165, 398-405)。興味
深いことに、TATの mRNA発現制御は、肝臓の発生段階に
依存している。TATの mRNAは、初期段階の胎児肝臓には
事実上見られないが、後期胚由来の初代肝細胞ではデキ
サメタゾンにより誘導される。しかし、より早い段階
(妊娠中期;E12-14)の肝細胞では、デキサメタゾンに
対する応答としてアルブミンを産生するにもかかわら
ず、デキサメタゾンによるTATレベルの制御は見られな
い(Shelly,L.L.,et al. (1989) J. Cell Biol., 109,
3403-3410)。これらの結果は、妊娠中期と妊娠後期/
周産期との間に、鍵となる成熟段階があることを示唆し
ている。
【0006】このような知見はあるものの、肝臓の発生
過程に付随する分子の挙動については、まだ研究が始ま
ったばかりであり、特に分子レベルや生化学レベルでは
ほとんど解明されていないのが現状である。肝細胞の増
殖・分化にかかわる因子を同定するためには、未成熟肝
細胞から肝細胞への分化を誘導する系の確立が重要なス
テップとなる。
【0007】また、このような系の確立により、肝細胞
を多量に生産することが可能となれば、人工肝臓の開発
への道が開かれる。人工肝臓は、肝不全、肝臓癌、肝硬
変等肝機能の低下を伴う患者の治療にとって重要であ
り、殊に、生体肝細胞を用いた正常肝細胞(癌細胞では
ない)からなる人工肝臓を作製することが可能となれ
ば、その恩恵を受ける患者は多く、社会的にも産業的に
もきわめて価値の高いものとなる。
【0008】このように、肝臓の発生のメカニズムの解
明という研究上の目的のみならず、肝関連疾患の治療な
ど産業上の目的を達成するためにも、肝機能を最終的に
保持する肝細胞を多量に生産する系の確立が望まれてい
る。
【0009】ところで、オンコスタチンM(OSM)は、IL
-6、IL-11、白血病抑制因子(LIF)、毛様体神経栄養因
子、カルジオトロフィン−1を含むインターロイキン−
6(IL-6)関連サイトカインファミリーに属する(Baza
n,J.F. (1991) Neuron,7, 197-208; Rose,T.M.,et al.
(1991) Proc. Natl Acad. Sci. U S A, 88, 8641-8645;
Pennica,D.,et al. (1995) J. Biol Chem., 270, 1091
5-10922)。これらのサイトカインは、その受容体がい
ずれもgp130をシグナルトランスデューサーとしている
ため、類似の機能を示すことが多い(Taga,T.,et al.
(1997) Annu. Rev. Immunol., 15, 797-819)。特に、
ヒトオンコスタチンM(hOSM)(Malik,N.,et al. (198
9) Mol. Cell. Biol., 9, 2847-2853)は、M1単球の分
化誘導作用(Rose,T.M.,et al. (1991) Proc. Natl Aca
d. Sci. U S A, 88, 8641-8645; Bruce,A.G.,et al. (1
992) J. Immunol., 149, 1271-1275)や、肝細胞の急性
期蛋白質誘導作用(Richards,C.D.,et al. (1992) J. I
mmunol., 148, 1731-1736; Baumann,H.,et al. (1993)
J.Biol. Chem., 268, 8414-8417)などのように、LIFと
共通の生物学的機能を数多くもっている。しかし、ヒト
オンコスタチンMは、内皮細胞の増殖促進作用(Wijelat
h,E.S.,et al. (1997) J. Cell Sci., 110, 871-879)
や平滑筋の増殖促進作用(Grove,R.I.,et al. (1993) P
roc. Natl Acad.Sci. U S A, 90, 823-827)などのよう
に、特有の機能ももっている。現在までに、2種類のヒ
トオンコスタチンM受容体が同定されている。I型オン
コスタチンM受容体はLIF受容体と同一で、gp130とLIF結
合サブユニットから構成され(Gearing,D.P.,et al. (1
991) EMBO J., 10, 2839-2848; Gearing,D.P.,et al.
(1992) Science, 255, 1434-1437; Liu,J.,et al. (199
2) J. Biol. Chem., 267,16763-16766)、 II 型受容体
はgp130とオンコスタチンM特異的サブユニットから構成
される(Mosley,B.,et al. (1996) J. Biol. Chem., 27
1, 32635-32643)。つまり、LIFとオンコスタチンMとの
共通の機能は I 型受容体を介するものであり、オンコ
スタチンM特有の活性は II 型受容体によって伝達され
ているのである(Thoma,B.,et al. (1994) J. Biol. Ch
em.,269, 6215-6222; Mosley,B.,et al. (1996) Biol.
Chem., 271, 32635-32643)。
【0010】一方、マウスのオンコスタチンMは特有の
受容体(II型受容体)しか使用せず、LIF受容体とは反
応しない(Ichihara,M.,et al. (1997) Blood, 90, 165
-173;Lindberg,R.A.,et al. (1998) Mol. Cell. Biol.,
18, 3357-3367)。マウスのオンコスタチンMは、造血
細胞中でIL-3により誘導される遺伝子としてクローニン
グされ(Yoshimura,A.,et al. (1996) EMBO J., 15, 10
55-1063)、骨髄やさまざまな種類の造血細胞で発現し
ていることが示されている(Ichihara,M.,et al. (199
7) Blood, 90, 165-173)。マウスオンコスタチンMが同
定されたことによって、マウスの実験系を用いてオンコ
スタチンM特有の作用を解析することが可能となった。
例えば、本発明者らは最近、オンコスタチンMが、E11マ
ウス胚の大動脈−性腺−中腎(AGM)領域に備わる推定
上の祖先細胞(血管芽細胞)から完全な造血細胞への分
化を促進することを明らかにしている(Mukouyama,Y.,e
tal. (1998) Immunity, 8, 105-114; 特願平9-29044
0)。しかしながら、オンコスタチンMと肝細胞の成熟に
関しては、何ら報告はなされていない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、未成熟肝細
胞を成熟肝細胞(機能的な肝細胞)へ分化させる方法を
提供する。より詳しくは、未成熟肝細胞をオンコスタチ
ンMおよびデキサメタゾンと共培養することに、該細胞
を成熟肝細胞へ分化させる方法を提供する。また、本発
明は、該方法を利用した未成熟肝細胞の成熟肝細胞への
分化を調節する化合物のスクリーニング方法を提供す
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、成熟細胞
への分化誘導系を開発するために、まず、マウス胎児肝
細胞の新規な初代培養系の確立をし、この系を用いてin
vitroで肝発生を促進する分子の探索を行った。種々の
サイトカインの初代肝細胞への影響の検討を行ったとこ
ろ、オンコスタチンMだけが、成熟肝細胞に類似した複
数のクラスターの形成を誘導した。また、このようなオ
ンコスタチンMの作用に、生理的濃度のデキサメタゾン
の存在が必須であることを見出した。
【0013】そこで、次ぎに、肝臓の重要で特徴的な機
能であるアルブミン産生が、オンコスタチンMにより制
御されるか否かの検討を行った。その結果、胎児肝細胞
に対し、何らのサイトカインを添加せずに培養するとア
ルブミン産生は1〜2週間以内に徐々に減少していくの
に対し、オンコスタチンMとデキサメタゾンが共存する
と、アルブミン産生が維持され、その作用が相乗的かつ
用量依存的であることが判明した。
【0014】次に、本発明者らは、in vitroにおけるオ
ンコスタチンMとデキサメタゾンによる肝分化マーカー
遺伝子の誘導に関する検討を行なった。その結果、これ
ら因子の双方を添加して胎児肝細胞の培養を行った場合
に、肝成熟の程度をモニターするための有用なマーカー
となるG6PアーゼおよびTATの mRNA発現が誘導されるこ
とを見出した。IL-6関連サイトカイン(IL-6、LIF、IL-
11)は、これらの遺伝子の発現を誘導しなかったが、IL
-6を可溶性IL-6受容体とともに添加すると、両遺伝子の
mRNAが相当量誘導された。この事実から、オンコスタ
チンMは、IL-6と共通の伝達受容体サブユニットであるg
p130を介して分化シグナルを伝達していることが示唆さ
れた。
【0015】分化した肝臓のもうひとつの重要な機能で
ある血糖値の制御は、糖新生の速度とグリコーゲンの分
解速度によってコントロールされている。糖新生は、後
期胎児発生の時期に始まり、周産期の肝細胞や分化の進
んだ肝細胞は、グリコーゲンを大量に貯蔵している。オ
ンコスタチンMとデキサメタゾンが肝細胞の機能的成熟
を誘導し、グリコーゲンを産生貯蔵させるかどうかを調
べるため、過ヨウ素酸シッフ(PAS)染色法を用い、in
vitroにおける細胞内のグリコーゲン蓄積量を分析し
た。その結果、2日間インキュベートした胎児肝細胞か
らは、これら因子の双方またはいずれかを添加したか否
かにかかわらず、グリコーゲンの蓄積は検出できなかっ
た。それに対し、6日間インキュベートした場合、オン
コスタチンMとデキサメタゾンの両方を添加すると、大
多数の細胞でグリコーゲンの蓄積が強く誘導された。こ
の結果から、これら因子が形態変化や分化マーカーを誘
導するだけでなく、肝細胞の機能的成熟を誘導すること
が示された。また、gp130-/-マウスの肝臓におけるグリ
コーゲン蓄積量を分析した結果、通常の肝細胞は、E17
段階でも新生児段階でもグリコーゲンを大量に蓄積して
いるのに対して、gp130 -/-マウスの肝臓の場合、細胞内
グリコーゲンの蓄積量は劇的に減少していた。
【0016】本発明者らは、発生過程にある肝臓組織中
に、オンコスタチンM mRNAおよびオンコスタチンM受容
体 mRNAが発現しているかを調べた。その結果、E12から
新生児段階にある肝臓から、オンコスタチンM mRNAがは
っきりと検出された。一方、オンコスタチンM受容体 mR
NAの発現は、E14から検出できるようになり、成体肝臓
に達しても発現し続けることが明らかになった。続い
て、E14胚肝細胞からCD45陽性造血細胞と接着細胞とを
分離し、これらの細胞にオンコスタチンM mRNAやオンコ
スタチンM受容体 mRNAが発現しているかを調べたとこ
ろ、興味深いことに、オンコスタチンM mRNAはCD45陽性
造血細胞に特異的に発現しており、オンコスタチンM受
容体 mRNAは、大部分が肝細胞であるCD45陰性の接着細
胞で発現していた。この結果から、オンコスタチンM
が、近接する肝細胞に作用する造血細胞由来パラクライ
ン因子であると考えられた。さらに、in vitroにおける
オンコスタチンM受容体の発現量はオンコスタチンM刺激
により増加するため、胎児肝細胞にポジティブフィード
バック機構が存在することが示唆された。
【0017】以上のことから、本発明者らにより開発さ
れた、オンコスタチンMとデキサメタゾンを利用したマ
ウス胎児肝細胞の分化誘導系が、未成熟肝細胞から成熟
肝細胞への分化誘導のモデルとして利用できることが示
された。従って、この分化誘導系は、肝細胞の発生にか
かわる因子の解明や、肝細胞の成熟を調節する化合物の
スクリーニングに利用することが可能である。さらに、
肝細胞の成熟を調節する化合物は、肝関連疾患の治療薬
や予防薬への応用が期待される。
【0018】これまで機能的な肝細胞を調製する方法は
存在していなかったが、この分化誘導系を利用すれば機
能的な肝細胞の大量調製が可能である。このため、本発
明の分化誘導系は人工心臓の作成のための基盤技術とし
て重要である。また、調製された肝細胞は、ある化合物
が該肝細胞により解毒されるか否かなどを調べることに
より、人体に毒性を有するか否かの検定に用いることも
考えられる。
【0019】本発明は、オンコスタチンMおよびデキサ
メタゾンを利用した未成熟肝細胞を成熟肝細胞(機能的
な肝細胞)へ分化させる方法、および該方法を利用した
未成熟肝細胞の成熟肝細胞への分化を調節する化合物の
スクリーニング方法に関し、より具体的には、(1)
オンコスタチンMおよびデキサメタゾンの存在下で未成
熟肝細胞を培養することを特徴とする、未成熟肝細胞を
成熟肝細胞へ分化させる方法、(2) 未成熟肝細胞が
哺乳動物の胎児由来である、(1)記載の方法、(3)
(1)または(2)に記載の方法により調製される成
熟肝細胞、(4) 外来遺伝子が挿入されている、
(3)に記載の成熟肝細胞、(5) 未成熟肝細胞から
成熟肝細胞への分化を抑制または促進する化合物をスク
リーニングする方法であって、(a)被検試料、オンコ
スタチンM、およびデキサメタゾンの存在下で未成熟肝
細胞を培養する工程、(b)該未成熟肝細胞の成熟肝細
胞への分化を検出する工程、および(c)被検試料非存
在下で該分化を検出した場合(対照)と比較して、該分
化を抑制または促進する化合物を選択する工程、を含む
方法、(6) 未成熟肝細胞の成熟肝細胞への分化を、
細胞のクラスターの形成、細胞内におけるグリコーゲン
の蓄積、細胞内におけるアルブミンの産生、TAT遺伝子
の発現、およびG6Pアーゼ遺伝子の発現からなる群より
選択される指標により検出する、(5)に記載の方法、
(7) 未成熟肝細胞が哺乳動物の胎児由来である、
(5)または(6)に記載の方法、(8) (5)から
(7)のいずれかに記載の方法により単離しうる、未成
熟肝細胞から成熟肝細胞への分化を抑制または促進する
化合物、に関する。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明は、未成熟肝細胞を成熟肝
細胞(機能的な肝細胞)へ分化させる方法に関する。本
発明の方法は、オンコスタチンMおよびデキサメタゾン
の存在下で未成熟肝細胞を培養することを特徴とする。
【0021】本発明における未成熟肝細胞の培養におい
ては、通常、約2×10から約4×10 /cmの細胞を播
く。
【0022】胎生肝細胞は強い増殖能を有しているた
め、培地においては、一般的な培養条件(EMBO J.(199
9) in press Kamiya A.et al)よりも高濃度の栄養分を
添加すると好ましい。例えば、成熟肝細胞の培養におい
ては、一般に、WE培地が用いられるが、本発明の培養に
おいては、アミノ酸などの含有率の高いDMEMを用い、さ
らに非必須アミノ酸(特に、プロリン)を添加すると好
適である。
【0023】培地には、通常、約10ng/mlから約100ng/m
lのオンコスタチンMを添加する。培養が長期間(数日以
上)に亘る場合には、培地交換により一定濃度(約10ng
/ml以上)のオンコスタチンMを維持することが培養上好
ましい。培地には、オンコスタチンMとともに、約5×10
−8から約5×10−7M、好ましくは約1×10−7Mのデキ
サメタゾンを添加する。さらに、約1-10μg/mlのインシ
ュリンを添加することが好ましい。培養は、通常の組織
培養条件、例えば、5% CO−20%O、37℃で行うこと
ができる。
【0024】本発明の方法に用いられる未成熟肝細胞と
しては、増殖が可能であり、オンコスタチンMおよびデ
キサメタゾンの作用により、成熟肝細胞へ分化しうる細
胞であれば制限はない。好適な細胞としては、例えば、
増殖力の高い哺乳動物の胎児由来の肝細胞が挙げられ
る。哺乳動物としては、ヒト、マウス、ウシなどが挙げ
られるが、これに制限されない。ヒトへの応用を考えた
場合には、ヒト細胞が好ましい。未成熟肝細胞の調製
は、例えば、実施例1に記載の方法に従って行うことが
できる。
【0025】本発明の成熟細胞への分化誘導系は、未成
熟肝細胞から成熟肝細胞への分化を調節する化合物のス
クリーニングに利用することができる。即ち、上記成熟
肝細胞の分化誘導系において被検試料を添加し、未成熟
肝細胞の成熟肝細胞への分化に与える影響を検出するこ
とによって、該分化を阻害または促進するような化合物
をスクリーニングすることができる。より具体的には、
(a)被検試料、オンコスタチンM、およびデキサメタ
ゾンの存在下で未成熟肝細胞を培養する工程、(b)該
未成熟肝細胞の成熟肝細胞への分化を検出する工程、お
よび(c)被検試料非存在下で該分化を検出した場合
(対照)と比較して、該分化を抑制または促進する化合
物を選択する工程、を含む方法により、このようなスク
リーニングを実施することができる。
【0026】スクリーニングに用いる被検試料としては
特に制限はなく、例えば、合成低分子化合物のライブラ
リー、精製タンパク質、遺伝子ライブラリーの発現産
物、合成ペプチドのライブラリー、細胞抽出液、細胞培
養上清などが挙げられる。
【0027】被検試料を添加した際の未成熟肝細胞の成
熟肝細胞への分化は、種々の指標を利用して検出するこ
とができる。このような指標としては、例えば、細胞の
クラスターの形成、細胞内におけるグリコーゲンの蓄
積、細胞内におけるアルブミンの産生、TAT遺伝子の発
現、およびG6Pアーゼ遺伝子の発現などが挙げられる
が、これらに制限されない。
【0028】この検出の結果、被検試料の添加により、
被検試料非存在下で該分化を検出した場合(対照)と比
較して該分化が抑制されていれば、用いた被検試料は、
成熟細胞への分化を抑制する化合物である(または、該
化合物を含む)と判定され、一方、対照と比較して該分
化が促進されていれば、用いた被検試料は、成熟細胞へ
の分化を促進する化合物である(または、該化合物を含
む)と判定される。
【0029】現在、成熟肝細胞の培養は、短期間のみ可
能である。また、一般に肝癌細胞は増殖能が強く継代培
養が可能であるが、肝機能を失っている。即ち、機能的
な肝細胞を調製する方法は、これまで存在していなかっ
た。本発明の分化誘導系は、増殖能を持つ胎児肝細胞を
用いることで肝細胞の増幅を行うことができ、オンコス
タチンM処理により簡便に機能的肝細胞への分化を誘導
することができる。本発明の分化誘導系は、機能的肝細
胞を調製するための初めての方法である。
【0030】この分化誘導系を用いて単離される化合物
は、機能的肝細胞を大量調製する際の、肝細胞の増殖や
分化を制御するために有用であり、また、肝関連疾患の
予防薬や治療薬の開発の上でも有用である。
【0031】また、本発明の分化誘導系を用いて得られ
た機能的肝細胞は、マイクロキャリアーなどの支持体に
付着させ、ハイブリッド型人工肝臓を作成する上で有用
である。人工肝臓の場合には、必ずしもヒト由来の肝細
胞を使用する必要はないが、ヒト胎児肝からの肝細胞培
養により得られた細胞は、患者に移植することで肝疾患
治療に応用することが可能である。また、この技術は、
遺伝子治療への応用も可能である。
【0032】
【実施例】以下実施例により本発明を具体的に説明する
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。
【0033】[実施例1] オンコスタチンM刺激によ
る初代培養胎児肝細胞の形態変化 C57BL/6Cr Slcマウス(日本SLC、日本)を実験に使用し
た。ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、牛胎児血
清、肝潅流培地、肝消化培地、MEM非必須アミノ酸溶
液、インシュリンートランスフェリンーセレンX(IT
S)は、Gibco-BRLから購入した。ネズミEGFはChemicon
International(アメリカ)から購入した。ヒトIL-6、
ヒトIL-11、マウスLIF、ヒトTGF-βは、味の素社および
キリンビール社(日本)のものを用いた。マウスオンコ
スタチンMはR&D Systems社のものを用いた。抗マウスア
ルブミン抗体は、Nordic Immunological Laboratories
社(オランダ)のものを用いた。
【0034】まずE14胚由来マウス胎児肝細胞の新規な
初代培養系を確立した。C57BL/6Cr Slcマウス(E14)の
胚肝臓組織を細かく刻み、酵素を含む分散緩衝液(肝消
化培地)に分散させた後、低張緩衝液で溶血させた。分
散細胞を、DMEMに10%牛胎児血清、2mM L−グルタミ
ン、1x非必須アミノ酸溶液、1xITS、50μg/mlゲンタマ
イシン、10-7 デキサメタゾンを加えた培地に懸濁し、
0.1%のゼラチンでコートした組織培養皿にプレーティ
ングした。数時間後、培地で何回も洗浄して、混入して
いる造血細胞や細胞破片を除去した。培地は、2日ごと
に交換した。残存する接着細胞は、単層のシートとなっ
た。これらの細胞の大部分は、上皮細胞の形態をとり、
誘導するとアルブミンを発現する能力をもっているた
め、肝細胞であると考えられた。培養した肝細胞は自律
的に増殖し、G6PやTATなどのような分化マーカーを発現
しておらず、この段階ではin vivoにおける胎児肝細胞
の特徴をもっていた。培養した胎児肝細胞は、4%パラ
ホルムアルデヒドで固定し、抗アルブミン抗体とともに
インキュベートした。その後、試料を西洋ワサビ由来ペ
ルオキシダーゼ(HRP)を結合させた抗ウサギIgG(Amer
sham)とインキュベートした。ペルオキシダーゼ活性
は、0.025%ジアミノベンチジン、0.08% NiCl、0.5%
過酸化水素を含むPBS溶液中で検出し、0.01% Tween20
を含むPBS溶液で洗浄することにより反応を停止させ
た。
【0035】この系を用いて、in vitroで肝発生を促進
する分子の探索を行った。その結果、オンコスタチンM
を添加すると、成熟肝細胞に類似した複数のクラスター
が形成された。これらのクラスターは、細胞間接着が強
固で、密度が高く、顆粒を含む細胞質、明確な丸い核を
もっており、成熟肝細胞のように細胞間オルガネラが充
分分化していることを示している。そしてこのようなオ
ンコスタチンMの作用には、生理的濃度のグルココルチ
コイド(10-7のデキサメタゾン)の存在が必須であるこ
とを見い出した。培養細胞中に形成されるクラスター数
はオンコスタチンM濃度とデキサメタゾン濃度に依存
し、このことはオンコスタチンMとグルココルチコイド
が胎児肝細胞の形態変化を相乗的に誘導することを示し
ている。このようなクラスター形成はEGF、TGF-β、IL-
6、IL-11、LIFで刺激した培養細胞では見られず、オン
コスタチンMに特有な効果であると考えられた。
【0036】[実施例2] オンコスタチンMとデキサ
メタゾンによるアルブミン産生制御 E14日胚の肝臓は、成体肝細胞と比べるとかなり低いレ
ベルであるが、検出できる程度の量のアルブミンを発現
している。アルブミン産生は肝臓の重要で特徴的な機能
であるため、オンコスタチンMが培養肝細胞のアルブミ
ン産生を制御するかどうかを調べた。
【0037】サイトカイン存在下あるいは非存在下で6
日間インキュベートした後、等量の総細胞蛋白質につい
てウェスタンブロット分析を行い、アルブミン産生を調
べた。ウェスタンブロットによるアルブミン産生の解析
は以下のようにして行った。すなわち、サイトカインで
刺激した細胞あるいは無刺激の細胞の界面活性剤溶解物
を、細胞をNP-40溶解緩衝液(150mM 塩化ナトリウム、
1.0% NP-40、50mM Tris-HCl(pH8.0)、1mM フェニル
メチルスルフォニルクロライド、1μg/ml ロイペプチ
ン、1mM バナジン酸ナトリウム、1mM EDTA)で溶解させ
て、調製した。各試料の可溶性画分を還元条件下でSDS-
PAGEで分離した後、Immobilon膜(Millipore)に転写し
た。ブロットされた蛋白アルブミンは、3% BSAを含むT
BSに希釈した1μg/ml抗マウスアルブミン抗体と反応さ
せた後、HRPを結合させた抗ウサギIgGと反応させた。免
疫的に反応するバンドをECL(Amersham)システムで発
光させ、それをBio-Maxフィルム(Kodak)上に露光させ
た。
【0038】その結果、既に報告されているように(Sa
nchez,A.,et al. (1995) J. Cell Physiol., 165, 398-
405)、胎児肝細胞を因子を何も加えずに培養すると、
アルブミン産生は1〜2週間以内に徐々に減少た(図
1)。一方、オンコスタチンMとデキサメタゾンが共存
すると、アルブミン産生は維持され、その作用は相乗的
かつ用量依存的であった(図2)。TGF-βは、E21ラッ
ト胚由来の培養肝細胞のアルブミン量を維持させること
が報告されている(Sanchez,A.,et al. (1995) J. Cell
Physiol., 165, 398-405)。しかしE14マウス胚由来肝
細胞を用いた本発明者らの系では、そのような効果はみ
られなかった。これは、E14胚由来肝細胞はより未成熟
であるため、TGF-β刺激に対する感受性がないためと考
えられた。
【0039】[実施例3] in vitroにおけるオンコス
タチンMとデキサメタゾンによる肝分化マーカー遺伝子
の誘導 肝発生の過程の中で、肝臓特異的遺伝子の発現は、それ
ぞれの段階ごとに必要とされる肝臓の機能に従って、厳
密に制御されている(Panduro,A.,et al. (1987) Genes
Der., 1, 1172-1182)。肝臓は、出生直後に代謝機能
を有している必要があるため、周産期前後に遺伝子発現
の劇的な変化が起こる。例えば、ラットでは、G6Paseは
E20〜21(出生直前)に産生され始め、その発現量は出
生から1時間後に最大に達する。同様に、TAT mRNAは出
生後に初めて出現するようになり、成熟にしたがって増
加していく。このようなG6PaseやTATのmRNA発現様式
は、マウス肝発生においても観察された(図3、4)。
したがって、これらの遺伝子は、マウスにおいても、肝
成熟の程度をモニターするための有用なマーカーとな
る。
【0040】オンコスタチンMとデキサメタゾンによっ
て、G6Pase(および/または)TATのmRNA発現が誘導でき
るかどうかを調べるため、胎児肝培養細胞をオンコスタ
チンMやTGF-βで刺激した。デキサメタゾンが存在しな
いと、オンコスタチンMを加えても、どちらのmRNAも検
出されなかった。デキサメタゾンだけで刺激すると、G6
Pase mRNAだけが4日目から6日目にかけてわずかに誘導
され、その後急速に消失した。一方、オンコスタチンM
とデキサメタゾンとを加えて培養した肝細胞では、刺激
後4日目からG6Pase mRNAが発現し始めた。その後その
発現量は増加し続け、8〜10日後に最大値に達した(図
5)。TAT mRNA発現の誘導は、もっと顕著であった。オ
ンコスタチンMは、4日目からTAT mRNA発現を誘導し、8
日目に最大値が得られた。オンコスタチンMが存在しな
いとTAT mRNAはほとんど検出できないため、in vitroに
おけるTAT誘導はオンコスタチンMに強く依存しているこ
とがわかる。一方、急性期蛋白質(ハプトグロビン)の
mRNAは、オンコスタチンMによって、G6PaseやTATのmRNA
よりも早く誘導された(図6)。これらの結果は、分化
マーカーの誘導と急性期蛋白質の誘導(Richards,C.D.,
et al. (1992) J. Immunol., 148, 1731-1736; Richard
s,C.D.,et al. (1997) J. Immunol., 159,2431-2437)
は、少なくとも部分的には異なる分子機構で進行するこ
とを示唆している。他のIL-6関連サイトカイン(IL-6、
LIF、IL-11)は、これらの酵素誘導を刺激しなかった。
しかし、IL-6を可溶性IL-6受容体(Yasukawa,K.,et al.
(1992) Immunol. Lett., 31, 123-130; Yawata,H.,et
al. (1993) EMBO J., 12, 1705-1712)とともに添加す
ると、両酵素のmRNAが相当量誘導された(図7)。この
ことは、IL-6刺激に対する応答が見られないのはIL-6R
αが発現していないためであり、オンコスタチンMは、
共通の伝達受容体サブユニットであるgp130を介して分
化シグナルを伝達していることを示唆している。
【0041】なお、ノーザンブロットによるmRNA発現分
析は以下のように行った。すなわち、細胞あるいは組織
mRNA試料を、AGPC法(Chomczynski,P.,et al. (1987) A
nal.Blochem., 162, 156-159)により精製した。各10μ
gの全RNAを、2%ホルムアルデヒドを含む1.5%アガロ
ースゲルで分離し、プラスに荷電したナイロン膜(Boeh
ringer Mannheim)に転写した。膜にUVを照射した後、
高SDS緩衝液(7%SDS、50%ホルムアミド、5xSSC、2%
ブロッキング剤(Boehringer Mannheim)、50mMリン酸
ナトリウム緩衝液(pH7.0)、0.1% N-ラウロイルザル
コシン)中で、rTaqDNAポリメラーゼ反応により作製し
たジゴキシゲニン(DIG)標識cDNAプローブとハイブリ
ダイズさせた。その後、膜をアルカリホスファターゼ標
識した抗DIG抗体(Boehringer Mannheim)処理し、説明
書に従ってCDP-star(New England Biolab.)で検出し
た。
【0042】[実施例4] 分化マーカーの誘導には、
オンコスタチンMが常時存在していることが必要である
ことを示す実験 肝成熟のどの時期にオンコスタチンMが必要であるのか
を調べるため、胎児肝細胞のin vitro成熟系からオンコ
スタチンMを除去したり、オンコスタチンMの添加時期を
遅くしたりしてみた。オンコスタチンM/デキサメタゾン
によって一度刺激を受けた肝細胞から、さまざまな時期
に、オンコスタチンMを除去した。刺激後7日目に、分
化マーカーの発現量を分析した。その結果、5日目まで
にオンコスタチンMを除去すると、分化マーカーの誘導
が減少した。それに対し、5日目にオンコスタチンMを
除去すると、継続的にオンコスタチンM刺激したときに
比べると誘導量はやや少ないが、分化マーカーの発現が
誘導された。逆に、オンコスタチンMの添加時期を遅く
すると、分化マーカーの発現が減少した。オンコスタチ
ンMの添加時期を遅くするほど、mRNA発現量が低くなっ
た。すなわち、in vitroにおける肝成熟の誘導には、継
続的なオンコスタチンM刺激が必要であると考えられ
た。
【0043】[実施例5] オンコスタチンMとデキサ
メタゾンによるin vitro糖新生刺激 血糖値の制御は、分化した肝臓のもうひとつの重要な機
能であり、糖新生の速度とグリコーゲンの分解速度によ
ってコントロールされている(Nemeth,A.M.,etal. (195
4) J. Biol. Chem., 208, 765-776; Foster,D.O.,et a
l. (1966) Biochemistry, 5, 555-562)。糖新生は、後
期胎児発生の時期に始まり、周産期の肝細胞や分化の進
んだ肝細胞は、グリコーゲンを大量に貯蔵している(Ye
ung,D.,et al. (1967) Biochem. J., 103, 744-74、Phi
lippidis,H.,et al. (1969) Blochem. J., 113, 651-65
7)。オンコスタチンM/デキサメタゾンが肝細胞の機能
的成熟を誘導し、グリコーゲンを産生貯蔵させるかどう
かを調べるため、過ヨウ素酸シッフ(PAS)染色法を用
い、in vitroにおける細胞内のグリコーゲン蓄積量を分
析した。オンコスタチンMの存在下で2日間あるいは6
日間培養した胎児肝細胞を、PAS試薬で染色した。
【0044】PAS染色は次のようにおこなった。すなわ
ち、さまざまな条件で培養した胎児肝細胞やパラフィン
に埋め込まれた肝組織切片を20%ホルムアルデヒドで固
定し、標準法に従って(Nettleton,G.S.,et al. (1977)
Stain Technol., 52, 63-77)PAS染色溶液(Muto Pure
Chem. 日本)で細胞内のグリコーゲンを染色した。
【0045】その結果、2日間インキュベートした細胞
からは、オンコスタチンMおよび/またはデキサメタゾン
を添加したか否かにかかわらず、グリコーゲンの蓄積は
検出できなかった。それに対し、6日間インキュベート
した場合、デキサメタゾンだけを添加した肝細胞の一部
にグリゴーゲンの蓄積がわずかにみられ、オンコスタチ
ンMとデキサメタゾンとを両方添加すると、大多数の細
胞でグリコーゲンの蓄積が強く誘導された。一方、6日
間インキュベートした場合でも、オンコスタチンMだけ
しか添加しなかったとき、あるいは両因子とも添加しな
かったときは、グリコーゲンの大量蓄積は見られなかっ
た。これらの結果は、オンコスタチンM/デキサメタゾン
が形態変化や分化マーカーを誘導するだけでなく、肝細
胞の機能的成熟を誘導することを示している。
【0046】[実施例6] gp130ノックアウトマウス
肝臓の発生欠陥 in vivoにおけるオンコスタチンMとオンコスタチンM受
容体(OSMR)の役割さらに調べるため、gp130-/-マウス
(Yoshida,K.,et al. (1996) Proc. Natl Acad. Sci. U
S A, 93, 407-411)を用いて分析を行った。元来gp130
欠損のC57BL/6マウスはE14前後で死んでしまうが、遺伝
的にICRの系統に属するgp130-/-マウスは少し長く生き
延びることが多く、出生直後に死亡する(Kawasaki,K.,
et al. (1997) Endocrinology, 138, 4959-4965)。こ
れゆえ、このマウスを、後期胎児肝発生の解析に用いる
ことができる。gp130-/-マウスの肝臓機能を調べるた
め、肝臓へのグリコーゲン蓄積量をPAS染色法を用いて
分析した。通常の肝細胞は、E17段階でも新生児段階で
も、グリコーゲンを大量に蓄積している。それに対し
て、gp130-/-マウスの肝臓の場合、肝小葉の末梢にPAS
染色性細胞が多少みられたが、細胞内グリコーゲンの蓄
積量は劇的に減少していた。gp130-/-マウスの肝臓にグ
リゴーゲンの蓄積があまり起こらないという現象は、胎
児の肝細胞をデキサメタゾンだけを添加してin vitroで
培養するとPAS染色性の細胞数が少ないという現象と共
通している。このことは、グルココルチコイドはグリコ
ーゲン蓄積を制限するように誘導してはいるが、完全な
代謝機能発現のためにはオンコスタチンM−gp130シグナ
ル経路が必要であることを示唆している。gp130-/-マウ
スに見られる欠陥は、C/EBPα−ノックアウトマウスの
欠陥を思い起こさせる(Wang,N.D.,et al. (1995) Scie
nce, 269, 1108-1112)。C/EBPα-/-マウスの肝細胞で
は、分化マーカーに対する効果は比較的低いにもかかわ
らず、PAS染色は陰性である。同様に、gp130-/-マウス
由来の肝臓では、TAT発現が多少減少している(図
8)。したがって、これらの遺伝子の発現は、グルココ
ルチコイドや未知因子により部分的に誘導可能である
が、充分な機能をもつ肝臓の発生のためには、gp130シ
グナル伝達経路およびC/EBPαシグナル伝達経路の両方
が必要であると考えられた。
【0047】[実施例7] 発生中の肝臓におけるオン
コスタチンM mRNAおよびオンコスタチンM受容体 mRNAの
発現 分化マーカーの誘導、形態的成熟、機能的成熟がオンコ
スタチンM/デキサメタゾンにより特異的に引き起こされ
る事実は、これらの分子が、in vivoにおける肝発生に
関与していることを示唆している。グルココルチコイド
は血液循環によって供給されると考えられるが、サイト
カイン様のオンコスタチンMは作用部位において局部的
に産生されることが多い。したがって、もしオンコスタ
チンM/オンコスタチンM受容体系が実際にin vitro成熟
過程に関与しているならば、オンコスタチンMとオンコ
スタチンM受容体は発生中の肝臓に共存していると考え
られる。そこで、発生過程にある肝臓組織中に、オンコ
スタチンM mRNAおよびオンコスタチンM受容体 mRNAが発
現しているかを調べた。
【0048】RT-PCRによる mRNA検出に用いたオンコス
タチンM、TAT、G6Pアーゼに対するPCRプライマーは、既
報(Yoshimura et al.EMBO J.15;1055-1063(1996)、Gra
nge T.et al.J.Mol.Biol.184;347-350(1985)、Shelly L
L.et al.J.Biol.Chem.268;21482-21485(1993))の配列
情報に基づいて合成した。マウスオンコスタチンM受容
体に対するプライマーは、本発明者らが最近決定したcD
NAクローンの配列(Tanaka et al.Blood 93;804-815(19
99))に基づいて合成した。CD45陽性細胞は、抗マウスC
D45抗体(Pharmingen)、ダイナビーズM-450、抗ラットI
gG(Dynal A. S.ノルウェー)を用いて、E14杯肝細胞の
懸濁液から分離した。ファーストストランドcDNAは、Fi
rst-Strand cDNA Synthesis Kitを用い、CD45陽性細胞
や接着性肝細胞から合成した。合成したcDNAは、ネズミ
のオンコスタチンMやオンコスタチンM受容体のPCR増幅
のための鋳型として用いた。プライマーのアニーリング
は50℃で60秒間、増幅は35サイクル行った。増幅した産
物を1.5%アガロースゲルで分離し、臭化エチジウムを
用いて染色した。
【0049】その結果、E12から新生児段階にある肝臓
から、オンコスタチンM mRNAがはっきりと検出された。
一方、オンコスタチンM受容体 mRNAの発現は、E14から
検出できるようになり、成体肝臓に達しても発現し続け
ることが明らかになった(図9)。続いて、E14胚肝細
胞からCD45陽性造血細胞と接着細胞とを分離し、これら
の細胞にオンコスタチンM mRNAやオンコスタチンM受容
体 mRNAが発現しているかを調べた。興味深いことに、
オンコスタチンM mRNAはCD45陽性造血細胞に特異的に発
現しており、オンコスタチンM受容体 mRNAは、大部分が
肝細胞であるCD45陰性の接着細胞で発現していた(図1
0)。これゆえ、オンコスタチンMは、近接する肝細胞
に作用する造血細胞由来パラクライン因子であると考え
られる。さらに、in vitroにおけるオンコスタチンM受
容体の発現量はオンコスタチンM刺激により増加するた
め、胎児肝細胞にポジティブフィードバック機構が存在
することが示唆された(図11)。
【0050】[実施例8] オンコスタチンM刺激した胎
児肝細胞の解毒系機能 オンコスタチンM刺激した胎児肝細胞が成熟肝細胞の特
性を有するか否かのさらなる解析のために、オンコスタ
チンM刺激した胎児肝細胞の解毒系機能の検討を行っ
た。解毒系機能の一つとして、培地中のNHの除去能の
検討を行った。その結果、オンコスタチンMに依存し
て、細胞内へのNHの取り込みが増加することが判明し
た。これに相関して、尿素回路系の酵素であるCPSの発
現がオンコスタチンMにより誘導された。アルブミン分
泌能、脂質合成能についても同様の解析を行ったとこ
ろ、いずれの機能もオンコスタチンM依存的に亢進され
た。
【0051】
【発明の効果】本発明により、未成熟肝細胞を成熟肝細
胞へ分化させる方法が提供された。本発明の方法によれ
ば、オンコスタチンMおよびデキサメタゾンの添加によ
り簡便かつ大量に機能的な肝細胞を調製することができ
る。本発明の分化誘導系は、肝関連疾患の医薬品候補化
合物のすクリーニングにおいて有用である。また、本発
明の分化誘導系により得られた成熟肝細胞は、人工肝臓
への応用が期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】初代培養胎児肝細胞にオンコスタチンM、TGF-
β、デキサメタゾンをさまざまに組み合わせて添加した
ときの、アルブミン発現量の経時変化を示す図である。
【図2】オンコスタチンMまたはデキサメタゾンによる
用量依存的なアルブミン生産量の変化を示す図である。
【図3】in vivoにおける、発生段階ごとの肝特異的分
化マーカーの発現パターンの変化を示す図である。
【図4】in vitroにおける、オンコスタチンMとデキサ
メタゾンによる肝分化マーカーmRNAの誘導を示す図であ
る。
【図5】オンコスタチンM刺激後の、G6Pアーゼ mRNAとT
AT mRNAの経時変化を示す図である。
【図6】オンコスタチンM刺激後の、ハプトグロビン mR
NA誘導の経時変化を示す図である。
【図7】他のIL-6関連サイトカインを用いて刺激した場
合には、G6Pアーゼ mRNAやTATmRNA発現は誘導されない
ことを示す図である。
【図8】gp130ノックアウトマウス由来肝臓の成熟欠陥
を示した図である。
【図9】RT-PCR分析を用いてin vivoにおけるオンコス
タチンMとオンコスタチンM受容体の発現を示した図であ
る。
【図10】E14胚肝臓のうち、CD45陽性造血細胞および
造血細胞を除去した肝細胞からメッセンジャーRNAサン
プルを調製し、RT-PCR分析を行ってそれぞれのオンコス
タチンM mRNAとオンコスタチンM受容体 mRNA量を示した
図である。
【図11】in vitroにおけるオンコスタチンMによるオ
ンコスタチンM受容体 mRNAの誘導を示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 CA01 CA11 DA02 FA01 FA10 HA12 4B063 QA01 QQ08 QQ42 QQ52 QR77 QS32 4B065 AA91X AA93X BB19 BB34 CA44 CA46

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オンコスタチンMおよびデキサメタゾン
    の存在下で未成熟肝細胞を培養することを特徴とする、
    未成熟肝細胞を成熟肝細胞へ分化させる方法。
  2. 【請求項2】 未成熟肝細胞が哺乳動物の胎児由来であ
    る、請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の方法により調
    製される成熟肝細胞。
  4. 【請求項4】 外来遺伝子が挿入されている、請求項3
    に記載の成熟肝細胞。
  5. 【請求項5】 未成熟肝細胞から成熟肝細胞への分化を
    抑制または促進する化合物をスクリーニングする方法で
    あって、(a)被検試料、オンコスタチンM、およびデ
    キサメタゾンの存在下で未成熟肝細胞を培養する工程、
    (b)該未成熟肝細胞の成熟肝細胞への分化を検出する
    工程、および(c)被検試料非存在下で該分化を検出し
    た場合(対照)と比較して、該分化を抑制または促進す
    る化合物を選択する工程、を含む方法。
  6. 【請求項6】 未成熟肝細胞の成熟肝細胞への分化を、
    細胞のクラスターの形成、細胞内におけるグリコーゲン
    の蓄積、細胞内におけるアルブミンの産生、TAT遺伝子
    の発現、G6Pアーゼ遺伝子の発現、アンモニアの解毒か
    らなる群より選択される指標により検出する、請求項5
    に記載の方法。
  7. 【請求項7】 未成熟肝細胞が哺乳動物の胎児由来であ
    る、請求項5または6記載の方法。
  8. 【請求項8】 請求項5から7のいずれかに記載の方法
    により単離しうる、未成熟肝細胞から成熟肝細胞への分
    化を抑制または促進する化合物。
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