JP4955442B2 - 加飾シート、加飾成形体及び加飾キーシート並びに加飾シートの製造方法 - Google Patents

加飾シート、加飾成形体及び加飾キーシート並びに加飾シートの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、携帯情報端末機器、OA機器、AV機器、家電製品などの各種電子機器の外装、自動車の内装、内装用建材、文具、日用品など人が触れる部分に被覆してその物品に柔らかな手触り感(以下、「ソフトタッチ感」)を与えることができる加飾シート、加飾成形体、加飾キーシートと加飾シートの製造方法に関する。
携帯情報端末機器、家電製品などの各種電子機器の外装や自動車の内装には、それら物品に高級感を付与してデザイン価値を高めたり差別化するために、柔らかな材料を用いて使用者にソフトタッチ感を与えることができるような加飾を施しているものがある。
例えば特開平5−221271号公報(特許文献1)や特開2000−158463号公報(特許文献2)には、自動車の内装品にソフトタッチ感を付与する表皮材が開示されている。この表皮材はソリッド層からなる外層と発泡層からなる内層の積層構造でなり、パウダースラッシュ成形法によって形成されている。
また、特開平5−84775号公報(特許文献3)、特開平5−98041号公報(特許文献4)、特開平6−254885号公報(特許文献5)には、ソフトタッチシートと成形樹脂とを一体化してソフトタッチ感を有する成形品を得る技術が開示されている。このソフトタッチシートは、発泡性ビーズ、中空状ビーズ、弾性粒子などを樹脂に混合し、この組成物を塗工あるいは延伸してシートに形成し、さらに発泡樹脂層を積層している。そしてこのソフトタッチシートを射出成形金型にインサートし、樹脂を射出成形することで、ソフトタッチシートと成形樹脂体とを一体化して成形品を得ている。このようにインサート成形にて一体化する製造技術は、成形した樹脂体表面にソフトタッチシートを後付するよりも、作業効率がよく、簡単に製造することができる利点がある。
特開平5−221271号公報 特開2000−158463号公報 特開平5−84775号公報 特開平5−98041号公報 特開平6−254885号公報
ところで、特許文献1,2に記載される表皮材や、特許文献3,4,5に記載されるソフトタッチシートを製品に用いる場合、シート状の表皮材やソフトタッチシートを裁断して、製品本体の表面に貼着している。すると、裁断された表皮材やソフトタッチシートの縁部の側面には発泡層や発泡樹脂層が表出する。これら発泡層や発泡樹脂層は、耐久性や耐薬品性に劣ることから、発泡層や発泡樹脂層をむき出しのまま用いると縁部が破損し、さらに破損箇所が縁部から徐々に広がるおそれがある。例えば携帯電話機に使用した場合は、使用者の指や衣服などで縁部が擦れて発泡層や発泡樹脂層が削れたり、汗やハンドクリームなどが縁部に付着して発泡層や発泡樹脂層が侵されたりして、表皮材やソフトタッチシートの縁部が破損し、この破損部分が徐々に広がる。
以上のような従来技術を背景になされたのが本発明である。すなわち本発明は、加飾シートを変形させたり裁断した後に生じやすい加飾シート内部の発泡層の表出が無く、変形や裁断した加飾シートの縁部における耐久性を高め、破損し難い加飾シートとその製造方法、およびその加飾シートを用いた加飾成形体や加飾キーシートを提供することにある。
上記目的を達成すべく本発明は以下のように構成される。すなわち本発明は、表皮層と該表皮層の外観面とは反対の裏面に積層した発泡層とからなるソフトフィール層を備える加飾シートについて、発泡層における縁部の側面に、該側面を被覆する保護部を設けることを特徴とする加飾シートを提供する。
本発明では、表皮層と発泡層とからなるソフトフィール層を備える加飾シートについて、その発泡層における縁部の側面を被覆する保護部を設けている。例えば加飾シートを裁断すると、外縁部には表皮層と発泡層が積層する裁断面が現れるが、本発明ではこの裁断面が現れる発泡層の側面を被覆する保護部が設けてある。このため加飾シートの裁断面には発泡層が表出しておらず、使用に際して発泡層を破損し難くすることができる。よって発泡層などが表出する従来の表皮材に比べ、耐久性を高めることができる。
本発明の前記加飾シートについて、保護部は、発泡層における縁部の側面に表皮層が延在して形成されたものとすることができる。つまり、加飾シートの縁部における発泡層の側面を表皮層で被覆することができる。このようにすれば、保護部として他の部材を用いることなく発泡層を被覆でき、部品点数や製造コストを削減することができる。また保護部が表皮層の一部であるため、他の部材にて縁部の側面のみに形成した保護部と比較して発泡層との固着面積を大きくでき、発泡層から剥がれ難くすることができる。なお、発泡層における縁部の側面はソフトフィール層の底面に対して90°未満であることが好ましい。そして、80°より小さいとより好ましい。発泡層の表面を覆う表皮層が軟化伸張して発泡層の側面まで覆う保護部を形成し易いからである。
本発明の前記加飾シートについて、保護部は、ソフトフィール層に対する交差方向への加熱押圧により表皮層が延伸して形成されたものとすることができる。発泡層における縁部の側面を延伸した表皮層でなる保護部で覆うことができる。なお、ソフトフィール層に対する交差方向とはソフトフィール層に対する面直方向だけでなく、ソフトフィール層の面方向に交差する方向をいうものとする。
また本発明の前記加飾シートについて、保護部を発泡層における縁部の側面に形成される塗層とすることができる。このように裁断面に現れる発泡層の側面を保護部で被覆すれば、加飾シートの裁断面には発泡層が表出しておらず、使用に際して発泡層を破損し難くすることができる。よって発泡層などが表出する従来の表皮材に比べ、耐久性を高めることができる。さらに、発泡層の裏面側に塗層を設け、この塗層が延在して形成する保護部とすれば、他の部材にて縁部の側面のみに形成した保護部と比較して固着面積を大きくでき、保護部を剥がれ難くすることができる。
本発明の前記加飾シートについて、ソフトフィール層の肉厚を貫通する透孔を備えるものであり、該透孔の側面に前記保護部を設けることができる。ソフトフィール層の肉厚を貫通形成した透孔内の側面にも発泡層を被覆する保護部が設けてあるため、ソフトフィール層の透孔内にも発泡層が表出しておらず、使用に際して発泡層を破損し難くすることができる。よって発泡層などが表出する従来の表皮材に比べ、耐久性を高めることができる。
本発明の前記加飾シートについて、ソフトフィール層の外観面に有底の溝部を備えるものであり、該溝部における発泡層の側面に前記保護部を設けることができる。つまり発泡層に形成した溝部の側面にも発泡層を被覆する保護部が設けてある。このため発泡層の溝部の側面にも発泡層が表出しておらず、使用に際して発泡層を破損し難くすることができる。よって発泡層などが表出する従来の表皮材に比べ、耐久性を高めることができる。
本発明の前記加飾シートについて、ソフトフィール層の裏面に、該ソフトフィール層に対して熱や圧力を伝え難くする遮蔽層を備えることができる。つまり、ソフトフィール層の裏面側からかかる熱や圧力を遮蔽層が緩衝してソフトフィール層に伝わり難くしているため、ソフトフィール層に対する熱や圧力の影響を小さくすることができる。例えば本発明の加飾シートをソフトフィール層が金型面に接するようにしてインサート成形した場合、金型内に射出された溶融樹脂がソフトフィール層の裏面側に積層した遮蔽層側に衝突して、この溶融樹脂の熱や圧力を遮蔽層側が受ける。この受けた熱や圧力を遮蔽層が緩衝してソフトフィール層に伝え難くするため、ソフトフィール層の裏面側を構成している発泡層が受ける熱や圧力の影響を小さくすることができる。発泡層は加熱状態で変形し易いことから、熱を受けながら圧縮されると潰れ易く、本発明のように発泡層が受ける熱や圧力の影響が小さければ、発泡層を潰れ難くすることができ、ソフトタッチ感の損失を抑制することができる。
本発明の遮蔽層を備える前記加飾シートについて、遮蔽層をゴム状弾性体で形成することができる。このため遮蔽層が歪み現象を有し、受けた圧力の緩衝効果を高めることができる。よって発泡層が受ける圧力の影響を小さくでき、発泡層を潰れ難くすることができる。したがってソフトタッチ感の損失を抑制することができる。
本発明のゴム状弾性体でなる遮蔽層を備える前記加飾シートについて、ゴム状弾性体をウレタンとすることができる。ウレタン系ゴム状弾性体は、強度が高く、衝撃吸収性も大きいため、受けた圧力の緩衝効果をさらに高めることができる。よって発泡層が受ける圧力の影響を小さくでき、発泡層を潰れ難くすることができる。したがってソフトタッチ感の損失を抑制することができる。
また、本発明は、こうした加飾シートを備える加飾成形体を提供する。前記何れかの発明による加飾シートを、成形体でなる芯材の表面に備える加飾成形体とすることができる。
本発明の加飾成形体では、芯材の表面に前記加飾シートを備えるため、ソフトタッチ感を有する加飾成形体を実現することができる。
また、本発明は、前記加飾シートを備えることで加飾が施されたキーシート、即ち、加飾キーシートとすることができる。その第1は、樹脂フィルムでなるベースシートと、該ベースシートに配置するキートップと、該キートップに並べて該ベースシートに配置する前記加飾シートでなるフレームシートと、を備える加飾キーシートである。
第1の加飾キーシートでは加飾シートをフレームシートとして用いるため、ソフトタッチ感を有するフレームシートを備えた加飾キーシートを実現することができる。こうした利点に加えて、樹脂フィルムでなるベースシートと、ベースシートに配置するキートップと、印刷層として形成され、キートップ、フレームシート、ベースシートに対し軟化又は溶融状態で接した硬化体でなる印刷接着層を備え、薄型の加飾キーシートを実現することができる。そして、キートップとベースシートの固着位置、塗布厚を精度良く制御した印刷接着層を有する加飾キーシートとすることができる。すなわち、従来、例えばキートップの底面に接着剤を滴下して接着していた場合と比較して、接着層の位置、面積にばらつきがなく、キートップがしっかりと固着して脱落し難い薄型のキーシートとすることができる。特に、キートップ間にフレーム状の加飾シートを有するため、キートップとベースシートとの間に爪先が入り難くキートップが外れにくい薄型の加飾キーシートを実現することができる。
第2の加飾キーシートでは、第1の加飾キーシートと同様に、加飾シートをフレームシートとして用いる。第2の加飾キーシートは、樹脂フィルムでなるベースシートと、該ベースシート上に設けるフレームシートと、を備え該フレームシートが前記何れかの発明による加飾シートでなり、その表面にキー表示を有し、加飾された加飾キーシートである。
第2の加飾キーシートでは、フレームシートが加飾シートでなり、フレームシートの表面にはキートップや、文字や数字、記号を表示する表示孔を形成してキー表示を設け、加飾された加飾シートを有するため、ソフトタッチ感を有するキートップを備えた加飾キーシートを実現することができる。
加飾キーシートの第3は、ゴム状弾性体でなるベースシートと、該ベースシートに配置され、樹脂でなるキートップ本体の操作面に前記何れかの発明による加飾シートを有するキートップと、を備える加飾キーシートである。
第3の加飾キーシートではキートップ本体の操作面に加飾シートを有するため、ソフトタッチ感を有するキートップを備えた加飾キーシートを実現することができる。こうした利点に加えて、キートップごとに様々なデザインの加飾を施すことができ、斬新なデザインの加飾キーシートを実現することができる。
その他、加飾キーシートとしては、前記何れかの発明による加飾シートを備える加飾キーシートであって、前記加飾シートを操作板として形成し、該操作板に設けた押圧操作部の操作面とは反対の裏面に、該裏面より押圧方向に突出する押し子を形成する加飾キーシートとすることができる。
この加飾キーシートでは加飾シートを操作板として用いるため、ソフトタッチ感を有する操作面を備えた加飾キーシートを実現することができる。こうした利点に加えて、例えば加飾キーシートの裏面側に皿ばね接点を有する回路基板を備えた場合、裏面より突出する押し子が的確に皿ばね接点を押圧でき、確実な押圧操作が可能な加飾キーシートを実現することができる。
また、前記何れかの発明による加飾シートを備える加飾キーシートであって、前記加飾シートでなる操作板に押圧操作片を形成する仕切孔を設け、該操作板の操作面とは反対の裏面に、該仕切孔を閉塞し樹脂フィルムでなるベースシートを備える加飾キーシートとすることができる。
この加飾キーシートでは加飾シートを操作板として用いるため、ソフトタッチ感を有する押圧操作片を備えた加飾キーシートを実現することができる。こうした利点に加えて、操作板とベースシートとで構成することで薄型の加飾キーシートを実現することができる。また、仕切孔を環状とし、該環状の仕切孔によって仕切られる押圧操作片を備えるものとすれば、斬新なデザインの加飾キーシートを実現できる。さらにこの場合仕切孔の溝内に位置する押圧操作片の押圧荷重は、操作板(加飾シート)を屈曲させる押圧荷重より小さいため、例えば三方向を仕切孔で囲まれている他の押圧操作片に比べて押圧荷重を小さくすることができる。
本発明はまた、表皮層と該表皮層の外観面とは反対の裏面に積層した発泡層とからなるソフトフィール層を備える加飾シートの製造方法について、ソフトフィール層の表皮層側からの加熱押圧手段により、発泡層に縁部を形成するとともに、軟化伸張させた表皮層で該縁部の側面を覆う保護部を形成することを特徴とする加飾シートの製造方法を提供する。
表皮層と該表皮層の外観面とは反対の裏面に積層した発泡層とからなるソフトフィール層を備える加飾シートの製造方法について、ソフトフィール層の表皮層側からの加熱押圧手段により、発泡層に縁部を形成するとともに、軟化伸張させた表皮層で該縁部の側面を覆う保護部を形成することで、発泡層が外部に表出しない加飾シートを製造することができる。よって発泡層が表出する従来の表皮材に比べ、耐久性を高めることができる。
本発明の前記加飾シートの製造方法について、加熱押圧手段をカット刃とすることができる。このためソフトフィール層の表皮層側からの加熱したカット刃をソフトフィール層に対する交差方向へ押圧し、発泡層に縁部を形成するとともに、発泡層のカット面に沿って表皮層を軟化伸長させて、発泡層における縁部の側面を覆う保護部を表皮層で形成することができる。よって保護部として他の部材を用いることなく発泡層を被覆でき、部品点数や製造コストを削減することができる。また保護部を表皮層の一部とすることができるため、他の部材にて縁部の側面のみに形成した保護部と比較して発泡層との固着面積を大きくでき、発泡層から剥がれ難くすることができる。
本発明の加飾シート及び加飾成形体並びに加飾キーシートによれば、裁断面に発泡層が表出しておらず、実際の使用時において発泡層を破損し難くすることができる。このため発泡層などが表出する従来の表皮材に比べ耐久性を高めることができ、破損し難い加飾シート及び加飾成形体並びに加飾キーシートを実現することができる。また、本発明の加飾シートの製造方法によれば、肉厚を貫通する透孔を有するものであっても発泡層が表出しない加飾シートを得ることができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各実施形態で共通する部材、材質、構成、製造方法、作用効果については重複説明を省略する。
加飾シートの実施形態〔図1〜図5〕: 加飾シートの実施形態として、図1〜図5で示すような断面構造の加飾シートA〜加飾シートEについて説明する。
加飾シートA: 加飾シートAは図1で示すように、表皮層1と発泡層2と積層してソフトフィール層3を構成してる。
ソフトフィール層3はソフトタッチ感を付与する機能を有する。このうち表皮層1はソフトフィール層3の表面を構成するソリッドの層で、フィルム状に形成されている。この表皮層1の外観面1aとは反対の裏面1bには発泡層2が積層されており、表皮層1はこの発泡層2を保護している。
発泡層2はソフトフィール層3の裏面側を構成する気泡を含んでいる層で、多孔質な樹脂層にて形成されている。そして発泡層2の縁部は表皮層1側から離れるに従い徐々に広がるように傾斜しており、この傾斜した縁部の側面に沿って表皮層1が延在することで、発泡層2の側面2aは表皮層1でなる保護部5で被覆されている。なお、加飾シートAの縁部の構成については、図1で示すように、ソフトフィール層3を貫通する透孔13を設け、この孔縁部を例に示している。
ここで加飾シートAの各構成部材の材質について説明する。表皮層1の材質は、耐摩耗性、耐水性、耐薬品性に優れる樹脂あるいはエラストマーを使用することができる。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、スチレン−無水マレイン酸共重合体等のポリスチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。そしてこれらの樹脂に発泡性ビーズ、中空状ビーズ、弾性ビーズ、無機材料などを含有させた樹脂組成物を用いることができる。こうしたビーズや無機材料を加えることで表皮層1に凹凸を付与し多様な触感をもたらすことができる。発泡性ビーズとは、加熱したとき中空のビーズとなるものであり、その材質としては例えば、ポリウレタン、アクリル−ウレタン共重合体、ポリスチレン、スチレン−イソプレン共重合体などが挙げられる。中空状ビーズとは、中空の球体であり、その材質としては、例えば、塩化ビニリデンとアクリロニトリルなどの共重合体、架橋アクリルなどが挙げられる。弾性ビーズとは、その形状が変化するまで加圧した後に開放した際、弾性回復する性質を有する樹脂粒子であり、例えば、ポリウレタン樹脂、アクリル−ウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−イソプレン共重合体などが挙げられる。無機材料としては、例えば、二酸化ケイ素(SiO;シリカや無水ケイ酸とも称される。)や含水ケイ酸(SiO・xHO)、含水ケイ酸アルミニウム(Al9SiO・xHO)などが挙げられる。また、上記樹脂組成物には、さらに必要に応じて、顔料、染料などの着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などの種々の添加剤が添加される場合もある。また、離型シートや金型を用いて表皮層1の外観面1aに凹凸模様を転写形成することもできる。このような表皮層1の厚さは5μm〜200μmがよく、5μm未満では破損し易く発泡層2を保護できなくなり、200μmを超えると剛性が高まって使用者の触感が硬くなりソフトタッチ感を発現し難くなる。
発泡層2の材質は発泡成形ができる樹脂あるいはエラストマーであり、表皮層1の材質と同様に、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、スチレン−無水マレイン酸共重合体等のポリスチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。この発泡層2の厚さは100μm〜1000μmが好ましく、200μm〜500μmがより好ましい。100μm未満では触感が硬くソフトタッチ感を発現し難くなり、1000μmを超えると発泡層の弾性により形状を保持し難くなり、3次元形状に成形することが困難となる。
加飾シートAの製造方法について説明する。表皮層1、発泡層2は各々の材料をシート状に形成した後、ラミネート作業で積層固着して大判のソフトフィール層3を得る。積層する際に層間の固着が不十分の場合は、プライマー層や接着剤層を介在して積層固着することができる。また、これ以外の製造方法として、両層を一体化してからシート状に加工しても良いし、シート状になった後に発泡させるなどして形成するものであっても良い。また、スラッシュ成形法などの公知の方法を用いても良い。次いでこの大判のソフトフィール層3を裁断し、加飾シートAを得る。裁断工程では、裁断時に表皮層1が軟化又は溶融状態となるように裁断に用いるカット刃を加熱しておき(加熱押圧手段)、表皮層1側からソフトフィール層3に対する交差方向となる斜め外方に押圧し裁断することによって、発泡層2を押圧圧縮しながらカット刃に沿って表皮層1を軟化伸張させ、発泡層2の縁部を表皮層1を延伸させながら発泡層2の側面2aを被覆する保護部5を形成する。こうしてソフトフィール層3の肉厚を貫通した透孔13を形成する。この透孔13は、その側面が表皮層1が延在した保護部5で覆われており、発泡層2の縁部の側面が、透孔13の側面にむき出しになることが妨げられている。このように製造した加飾シートAはソフトフィール層3のみからなり余分な層が介在することなく薄層とすることができるため好ましい。
加飾シートAの作用効果を説明する。すなわち、加飾シートAによれば、ソフトタッチ感を有する加飾シートAの縁部の側面に発泡層2が表出しておらず表皮層1が延在しているため、実際の使用において発泡層2を破損し難くすることができる。よって発泡層2などが表出する従来の表皮材に比べ、耐久性を高めることができる。
保護部5を表皮層1で形成するため、保護部5として新たに別の他の部材を用いることなく発泡層2を被覆でき、部品点数や製造コストを削減することができる。また保護部5が表皮層1の一部であるため、他の部材にて縁部の側面のみに形成した保護部と比較して発泡層2との固着面積を大きくでき、発泡層2から剥がれ難くすることができる。
加飾シートB: 加飾シートBは図2(A)〜図2(D)で示すように、表皮層1と発泡層2とを有するソフトフィール層3と、基材シート4と、を備え、ソフトフィール層3の裏面3aに基材シート4を積層している。言い換えれば、加飾シートAの裏面に基材シート4を積層している。
基材シート4はフィルム状でありながら加飾シートBに定形性を付与する機能を有するものである。
加飾シートBの実施形態を図2で説明する。図2(A)で示すように、ソフトフィール層3に形成した透孔13を基材シート4が閉塞することもできる。図2(B)で示すように、ソフトフィール層3及び基材シート4を貫通する透孔13を設けることもできる。図2(C)で示すように、表皮層1の表面に数字や文字、記号などを表す有底の溝部1dを形成することもできる。図2(D)で示すように、表皮層1でなる保護部5が基材シート4の表面4aまで覆うことなく、発泡層2の表面2aまでしか覆っていない構成とすることもできる。
ここで基材シート4の材質について説明する。基材シート4は硬質樹脂がよく、ASTM−D883に基づいて定義され、JIS K7203による曲げ弾性率が定常状態で7000kg/cm以上のものを用いることができる。具体的には、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂、アクリロニトリル−スチレン−アクリレート樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂などの熱可塑性樹脂、あるいはこれらの複合樹脂が挙げられる。なお、熱可塑性樹脂に粉末形状や繊維形状の金属、ガラスなどの充填剤を添加し、寸法精度や耐熱性を高めることもできる。基材シート4の厚さは100μm〜500μmが好ましい。100μm未満では強度が小さく、後加工にて芯材の樹脂と一体成形する際に破損するおそれがあり、さらに剛性も小さく、例えばインサート成形の前工程として立体形状に予備成形してもその形状を保持することが難しい。500μmを超えると剛性が大きく、例えば立体形状に予備成形することが難しくなり、インサート成形が困難になる。
加飾シートBの製造方法について説明する。加飾シートAと同様に、表皮層1、発泡層2は各々の材料をシート状に形成した後、これらの各層と基材シート4をラミネート作業で積層固着して大判の加飾シートを得る。このとき積層する際に層間の固着が不十分の場合は、プライマー層や接着剤層を介在して積層固着することができる。また、ソフトフィール層3を予め製造しておくこともでき、ソフトフィール層3に基材シート4をラミネートすることもできるので、ラミネート工程は全ての層を一度に積層する必要はない。次いでこの大判の加飾シートを裁断し、加飾シートBを得る。裁断工程では、加飾シートAと同様に、裁断時に表皮層1が軟化又は溶融状態となるように裁断に用いるカット刃を加熱しておき、表皮層1側から斜めに外方に裁断することによって、表皮層1が発泡層2の側面2a、基材シート4の側面4aを被覆する保護部5を形成する。このように製造した加飾シートBはソフトフィール層3と基材シート4のみからなり余分な層が介在することなく薄層とすることができるため好ましい。
加飾シートBの作用効果を説明する。すなわち、加飾シートBによれば、加飾シートAの作用効果と同様に、ソフトタッチ感を有する加飾シートBの縁部の側面に発泡層2が表出しておらず表皮層1が延在しているため、実際の使用において発泡層2を破損し難くすることができる。よって発泡層2などが表出する従来の表皮材に比べ、耐久性を高めることができる。保護部5を表皮層1で形成するため、保護部5として新たに別の他の部材を用いることなく発泡層2を被覆でき、部品点数や製造コストを削減することができる。また保護部5が表皮層1の一部であるため、他の部材にて縁部の側面のみに形成した保護部と比較して発泡層2との固着面積を大きくでき、発泡層2から剥がれ難くすることができる。
加飾シートBは、図2(C)で示すような溝部1dの形成は、表皮層1に対し数字や文字の形状に、加熱した治具又は刻印を押圧する。このとき発泡層2が圧縮され、溝部1dを生じるが、溝部1dにおける発泡層2の側面を含めて、溝部1dの内面は表皮層1が保護部5として存在している。この加飾シートBには溝部1dが形成されているが、表皮層1でなる保護部5で発泡層2を覆っているため、溝部1dからの発泡層2の破損を防ぐことができる。
さらに加飾シートBは、図2(D)で示すように、保護部5が発泡層2の表面2aまでしか覆っていない加飾シートBも、基材シート4まで表皮層1が覆う加飾シートと同様にして得ることができる。
加飾シートC: 加飾シートCが加飾シートBと異なるのは、図3で示すように、保護部5が表皮層1から形成されるものではなく、基材シート4の裏面4bと発泡層2における縁部の側面を覆う塗層6で形成される点である。残余の構成は加飾シートBと同じである。
ソフトフィール層3は加飾シートBと同様に、ソフトタッチ感を付与する機能を有し、基材シート4はフィルム状でありながら加飾シートCに定形性を付与する機能を有するものである。ソフトフィール層3及び基材シート4の縁部の側面1c,2a,4aは加飾シートBのように傾斜しておらず、基材シート4の裏面4bに積層する塗層6で形成される保護部7によって被覆されている。なお、加飾シートCの縁部の構成についても、図3で示すように、ソフトフィール層3及び基材シート4を貫通する透孔13を設け、この孔縁部を例に示している。
ここで塗層6の材質について説明する。塗層6は塗料、インク、液状樹脂などの硬化層であり、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸エチル樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。
加飾シートCの製造方法について説明する。加飾シートBと同様に、表皮層1、発泡層2は各々の材料をシート状に形成した後、これらの各層と基材シート4をラミネート作業で積層固着して大判の加飾シートを得る。このとき、層間の固着が不十分の場合は、プライマー層や接着剤層を介在して積層固着することができる。また、ソフトフィール層3を予め製造しておくこともでき、ソフトフィール層3に基材シート4をラミネートすることもできるので、ラミネート工程は全ての層を一度に積層する必要はない。次いでこの大判の加飾シートを裁断し、表皮層1の外観面1aにマスキング層を設ける。その後、塗層6形成用の塗料やインクなどを基材シート4側から塗布し、基材シート4の裏面4b、表皮層1の側面1c、発泡層2の側面2a、及び基材シート4の側面4aに塗層6を固着し、保護部7を設ける。最後にマスキング層を表皮層1の外観面1aから剥離し、加飾シートCを得る。
加飾シートCの作用効果を説明する。加飾シートCでは、ソフトタッチ感を有する加飾シートCの縁部の側面に発泡層2が表出しておらず、実際の使用において発泡層2を破損し難くすることができる。よって発泡層2などが表出する従来の表皮材に比べ、耐久性を高めることができる。
加飾シートCも加飾シートBと同様に、表皮層1の表面に数字や文字、記号などを表す有底の溝部を形成することもできるし、発泡層2の表面2aまで覆い、基材シート4の裏面4bまでは覆わない保護部7を有するものとすることもできる。
加飾シートD: 加飾シートDが加飾シートBと異なるのは、図4(A)〜図4(D)で示すように、遮蔽層(弾性層)8を備える構成である。残余の構成は加飾シートBと同じである。
遮蔽層は基材シート4に伝わる熱や圧力をソフトフィール層3に伝え難くする機能を有する層である。ここではソフトフィール層3の裏面3aと基材シート4との間に挟まれるゴム状弾性体でなるソリッドの層である弾性層8として形成されている。加飾シートDも発泡層2の縁部は加飾シートBと同様に、表皮層1側から基材シート4側に向かって広がるように傾斜しており、発泡層2の側面2aと弾性層8の側面8aと基材シート4の側面4aとは表皮層1が延在してなる保護部5で被覆されている。なお、加飾シートDの縁部の構成についても、図4(B)で示すように、ソフトフィール層3、弾性層8及び基材シート4を貫通する透孔13を設け、この孔縁部を例に示している。
ここで弾性層8の材質について説明する。弾性層8は、熱硬化ゴム又は熱可塑性エラストマーなどのゴム状弾性体を用いることができ、特に熱伝導性が低いもの、熱吸収性が高いもの、圧縮圧力を緩衝するもの、圧縮圧力を吸収するものが好適である。例えば熱硬化性ゴムでは、天然ゴム、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ウレタンゴムなどが挙げられ、熱可塑性エラストマーでは、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。また、ゴム状弾性体以外では、半硬質樹脂のポリエチレンや、透明性と耐衝撃性を兼ね備えたスチレン・ブタジエンブロック共重合体が、熱伝導性が低く、熱吸収性が高く、圧縮圧力を緩衝し吸収する点で好適に用いることができる。こうした材料の中でも引っ張り特性や引き裂き強度が高く、圧縮圧力の緩衝性や衝撃吸収性が高く、そしてラミネート加工性に優れたウレタンゴムあるいはウレタン系熱可塑性エラストマーが好適である。さらに、発泡層2や基材シート4との密着性や接着性、発泡層2や基材シート74の積層工程を考慮するとウレタン系熱可塑性エラストマーがさらに好ましい。弾性層8の厚さは50μm以上とすることが好ましく、150μm〜500μmとすることがさらに好ましい。遮蔽層の厚さが50μm未満では熱や圧力の緩衝効果が小さく、ソフトフィール層の発泡層が受ける熱や圧力を小さく抑えることができない。このため発泡層が潰れ易くなり、ソフトタッチ感を損なうおそれがある。また、50μm以上〜150μm未満ではソフトフィール層への熱や圧力伝達を抑制することができ発泡層が潰れにくくなる。さらに150μm以上では得られた加飾シートの表面を変形させる時の荷重が小さく操作者に対して良好な軟らかな手触り感を与えることができる。なお、500μmを超えるとソフトフィール層への熱や圧力伝達を十分に抑制することができるが、加飾シートの全体的な厚みが厚くなってしまい、薄型化の観点からは500μm以下であることが望まれる。
加飾シートDの製造方法について説明する。加飾シートBと同様に、表皮層1、発泡層2、弾性層8は各々の材料をシート状に形成した後、これらの各層と基材シート4をラミネート作業で積層固着して大判の加飾シートを得る。このとき、層間の固着が不十分の場合は、プライマー層や接着剤層を介在して積層固着することができる。また、ソフトフィール層3を予め製造しておくこともでき、ソフトフィール層3に弾性層8と基材シート4をラミネートすることもできるので、ラミネート工程は全ての層を一度に積層する必要はない。次いでこの大判の加飾シートを裁断し、加飾シートDを得る。裁断工程では、加飾シートAと同様に、裁断時に表皮層1が軟化又は溶融状態となるように裁断に用いるカット刃を加熱しておき、表皮層1側から斜めに外方に裁断することによって、表皮層1が発泡層2の側面2a、弾性層8の側面8a、基材シート4の側面4aを被覆する保護部5を形成する。
加飾シートDの作用効果を説明する。加飾シートDによれば、加飾シートBの作用効果と同様に、ソフトタッチ感を有する加飾シートCの縁部の側面に発泡層2が表出しておらず、実使用において発泡層2を破損し難くすることができる。よって発泡層2などが表出する従来の表皮材に比べ、耐久性を高めることができ、保護部5を表皮層1で形成するため、保護部5として他の部材を用いることなく発泡層2を被覆でき、部品点数や製造コストを削減することができる。また保護部5が表皮層1の一部であるため、他の部材にて縁部の側面のみに形成した保護部と比較して発泡層2との固着面積を大きくでき、発泡層2から剥がれ難くすることができる。
基材シート4側から伝わる熱や圧力をソフトフィール層3に伝え難くする弾性層8を備えるため、加飾シートDの外観面側に積層しているソフトフィール層3に対し裏面側からかかる熱や圧力の影響を小さくすることができる。例えば加飾シートDをソフトフィール層3が金型面に接するようにしてインサート成形した場合、金型内に射出された溶融樹脂が基材シート4に衝突して、この溶融樹脂の熱や圧力を基材シート4が受ける。この基材シート4が受けた熱や圧力を弾性層8が緩衝してソフトフィール層3に伝え難くするため、ソフトフィール層3の裏面側を構成している発泡層2が受ける熱や圧力の影響を小さくすることができる。発泡層2が受ける熱や圧力の影響が小さければ、発泡層2を潰れ難くすることができ、ソフトタッチ感の損失を抑制することができる。
加飾シートDは、図4(C)で示すように、その表面に数字や文字、記号などを表す有底の溝部1dを形成していても良い。溝部1dの形成は、表皮層1に対し数字や文字の形状に、加熱した治具又は刻印を押圧する。このとき発泡層2が圧縮され、溝部1dを生じるが、溝部1dにおける発泡層2の側面を含めて、溝部1dの内面は表皮層1が保護部5として存在している。この加飾シートDには溝部1dが形成されているが、表皮層1でなる保護部5で発泡層2を覆っているため、溝部1dからの発泡層2の破損を防ぐことができる。
さらに加飾シートDは、図4(D)で示すように、表皮層1でなる保護部5が基材シート4の側面4aまで覆うことなく、発泡層2の表面2aまでしか覆っていない構成とすることもできる。この加飾シートDも、基材シート4まで表皮層1が覆う加飾シートと同様にして得ることができる。
加飾シートE: 加飾シートEが加飾シートDと異なるのは、図5で示すように、保護部7が表皮層1から形成されるものではなく、基材シート4の裏面4bと発泡層2における縁部の側面を覆う塗層6で形成される点である。残余の構成は加飾シートDと同じである。
ソフトフィール層3は加飾シートDと同様に、ソフトタッチ感を付与する機能を有し、基材シート4はフィルム状でありながら加飾シートEに定形性を付与する機能を有するものである。ソフトフィール層3の縁部の側面1c,2a、弾性層8の側面8a、及び基材シート4の側面4aは加飾シートCと同様に、傾斜しておらず、基材シート4の裏面4bに積層する塗層6で形成される保護部7によって被覆されている。なお、加飾シートEの縁部の構成についても、図5で示すように、ソフトフィール層3、弾性層8及び基材シート4を貫通する透孔13を設け、この孔縁部を例に示している。
加飾シートEの製造方法について説明する。加飾シートDと同様に、表皮層1、発泡層2、弾性層8は各々の材料をシート状に形成した後、これらの各層と基材シート4をラミネート作業で積層固着して大判の加飾シートを得る。このとき、層間の固着が不十分の場合は、プライマー層や接着剤層を介在して積層固着することができる。また、ソフトフィール層3を予め製造しておくこともでき、ソフトフィール層3に基材シート4をラミネートすることもできるので、ラミネート工程は全ての層を一度に積層する必要はない。次いでこの大判の加飾シートを裁断し、表皮層1の外観面1aにマスキング層を設ける。その後、塗層6形成用の塗料やインクなどを基材シート4側から塗布し、基材シート4の裏面4b、表皮層1の側面1c、発泡層2の側面2a、及び基材シート4の側面4aに塗層6を固着し、保護部7を設ける。最後にマスキング層を表皮層1の外観面1aから剥離し、加飾シートEを得る。
加飾シートEの作用効果を説明する。加飾シートEでは、ソフトタッチ感を有する加飾シートEの縁部の側面に発泡層2が表出しておらず、実使用において発泡層2を破損し難くすることができる。よって発泡層2などが表出する従来の表皮材に比べ、耐久性を高めることができる。
加飾シートEも加飾シートDと同様に、表皮層1の表面に数字や文字、記号などを表す有底の溝部を形成することもできるし、発泡層2の表面2aまで覆い、基材シート4の表面4aまでは覆わない保護部7を有するものとすることもできる。
加飾成形体の実施形態〔図6〜図9〕: 加飾成形体の実施形態として図6や図8で示す加飾成形体9,10について説明する。
第1実施形態〔図6,図7〕: 第1実施形態の加飾成形体9を図6,図7で示す。加飾成形体9は携帯電話機などに装着され外部接続端子を覆うカバー部材9であり、図6はカバー部材9の斜視図、図7はカバー部材9の断面図を示す。第1実施形態のカバー部材9は、加飾シートBと、「芯材」としてのカバー本体10と、を備えている。
加飾シートBは、前述のように表皮層1と発泡層2とを有するソフトフィール層3と、基材シート4と、を備え、ソフトフィール層3の裏面3aに基材シート4を積層している。そして傾斜している発泡層2の側面2aと基材シート4の側面4aは表皮層1でなる保護部5で被覆されている。そして後述するカバー本体10の表面に基材シート4の裏面4bが固着されている。
カバー本体10は熱可塑性エラストマーでなり、薄い肉厚の矩形平板に形成されている。図外の外部接続端子と対向する裏面には、凹部10aが設けられており、その凹部10aの略中央には外部接続端子と係合する係合突起10bが形成されている。さらに図外の筐体にカバー部材9を取付ける取付突起10cが、係合突起10bと同方向に突出しており、その取付突起10cの先端には筐体からカバー部材9が外れ難いように抜止め部10dが設けられている。
芯材であるカバー本体10には、基材シート4と固着できる熱可塑性エラストマーからなる材料を用いることができる。例えば、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマーなどの種々の熱可塑性エラストマーが挙げられる。
カバー部材9の製造方法について説明する。先ず、加飾シートBをカバー本体10の表面と同形状になるように、金型又は治具を用いて予備成形を行う。次にこの加飾シートBの表皮層1がカバー本体10の成形金型のキャビティ面と接するようにインサートし、成形金型を閉じる。その後、キャビティ内にカバー本体10を形成する熱可塑性エラストマーを射出してカバー本体10を成形する。このとき加飾シートBの基材シート4に溶融樹脂が衝突し固着する。最後に成形金型を開けて、加飾シートBとカバー本体10とを一体成形したカバー部材9を加飾成形体9として得ることができる。
カバー部材9の作用効果を説明する。カバー部材9によれば、カバー本体10の表面に加飾シートBを備えるため、ソフトタッチ感を持続することができ、高耐久なカバー部材9を実現することができる。
第2実施形態〔図8,図9〕: 第2実施形態の加飾成形体11を図8,図9で示す。加飾成形体11は携帯電話機など筐体11であり、図8は筐体11の斜視図、図9は筐体11の断面図を示す。第2実施形態の筐体11は、加飾シートDと、「芯材」としての樹脂成形体12と、を備えている。
加飾シートDは、前述のように表皮層1と発泡層2とを有するソフトフィール層3と、弾性層8と、基材シート4と、を備え、ソフトフィール層3の裏面3aに弾性層8を、この弾性層8の裏面8bに基材シート4を積層している。このような加飾シートDにはソフトフィール層3、弾性層8、及び基材シート4の肉厚を貫通する平面視で矩形状の透孔13が形成されている。このような加飾シートDの外縁の側面及び透孔13の側面では、傾斜している発泡層2の側面2a、弾性層8の側面8a、及び基材シート4の側面4aが、表皮層1でなる保護部5で被覆されている。そして後述する樹脂成形体12の表面に固着されている。
樹脂成形体12は熱可塑性樹脂でなり、浅底矩形状の容器に形成されている。この樹脂成形体12の縁には図外の樹脂成形体と係合する環状突起12aが設けられており、底には加飾シートDの透孔13とともに貫通孔を形成する透孔12bが設けられている。
芯材である樹脂成形体12には、基材シート7と固着できる熱可塑性樹脂からなる材料を用いることができる。例えば、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、アクリロニトリル−スチレン−アクリレート樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂などの種々の熱可塑性樹脂が挙げられる。
筐体11の製造方法について説明する。先ず、加飾シートDに抜き加工によって透孔13を設けた後、この加飾シートDを樹脂成形体12の表面と同形状になるように、金型又は治具を用いて予備成形を行う。次にこの加飾シートDの表皮層1が樹脂成形体12の成形金型のキャビティ面と接するようにインサートし、成形金型を閉じる。その後、キャビティ内に樹脂成形体12を形成する熱可塑性樹脂を射出して樹脂成形体12を成形する。この時加飾シートDの基材シート4には溶融樹脂が衝突し固着する。最後に成形金型を開けて、加飾シートDと樹脂成形体12とを一体成形した筐体11を加飾成形体11として得ることができる。
筐体11の作用効果を説明する。筐体11によれば、第1実施形態のカバー部材9と同様に、樹脂成形体12の表面に加飾シートDを備えるため、ソフトタッチ感を持続する筐体11を実現することができる。
加飾キーシートの実施形態〔図10,図14,図16,図20,図22〕: 加飾キーシートの実施形態として、図10,図14,図16,図20,図22で示す加飾キーシート14,20,23,28,31について説明する。
第1実施形態〔図10、図11〕: 第1実施形態の加飾キーシート14を図10,図11で示す。図10は加飾キーシート14の平面図、図11は図7のSC−SC線断面図を示す。第1実施形態の加飾キーシート14は、フレームシート15と、キートップ16と、ベースシート17と、印刷接着層18と、を備えている。
フレームシート15を図12,図13で示す。このフレームシート15は前述の加飾シートBでなり、平面視で矩形状に形成されている。つまりフレームシート15は表皮層1と発泡層2とを有するソフトフィール層3と、基材シート4と、を備え、ソフトフィール層3の裏面3aに基材シート4を積層している。このようなフレームシート15には、ソフトフィール層3及び基材シート4の肉厚を貫通する平面視で矩形状の透孔15aが複数形成されている。そしてフレームシート15の外縁の側面及び透孔15aの側面では、傾斜している発泡層2の側面2aと基材シート4の側面4aが、表皮層1でなる保護部5で被覆されている。フレームシート15の厚さは、薄型化の要請から0.2mm〜0.5mm程度が好ましい。
キートップ16は熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などの硬質樹脂でなり、平面視で矩形状に形成されている。そしてフレームシート15における透孔15aの孔内に配置されている。キートップ16の厚さは、フレームシート15の高さとの調和の観点から0.2mm〜0.6mm程度が好ましい。
ベースシート17は樹脂フィルムでなり、フレームシート15の外形と同様な矩形状に形成されている。このベースシート17は加飾キーシート14の形状を保持し、表面にはフレームシート15とキートップ16とを載置する基部となる。そしてキートップ16が押圧される場合にはわずかに歪んで、ベースシート17の裏面側にある図外の基板に設けられた接点を押圧するものである。なお、ベースシート17の裏面には、図外の接点を押圧する部分に押し子のような膨らみを設けた構造とすることもできる。ベースシート17の厚さは、薄型化の要請から、150μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましい。
印刷接着層18は、フレームシート15やキートップ16と、ベースシート17と、を接着する接着剤層であり、印刷により形成されるものである。この印刷接着層18は加熱により、軟化又は溶融する原料を用いている。図11で示すように、キートップ16とベースシート17との間に存在する印刷接着層18では、キートップ16の底面16a全面に設けられ、キートップ16の側面16bに沿って面一に形成されている。他方、フレームシート15とベースシート17との間に設けられた印刷接着層18は、フレームシート15のキートップ16と隣接する縁までは設けられていない。そのため、フレームシート15のキートップ16と隣接する縁には、印刷接着層18がなく、フレームシート15とベースシート17とが固着しない間隙部19が生じている。そして、この間隙部19においてベースシート17がフレームシート15に拘束されない非拘束領域となっている。
キートップ16の材質は熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などの硬質樹脂でなる。例えば熱硬化性樹脂では、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などを使用でき、熱可塑性樹脂では、ポリカーボネート樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、さらにこれらのアロイ樹脂などを使用できる。
ベースシート17の材質は樹脂フィルムでなり、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム、ポリブチレンテレフタレート樹脂フィルム、ポリウレタン樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、ポリプロピレン樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、フッ素樹脂フィルム、アイオノマー樹脂フィルム、ポリカーボネート樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル樹脂フィルムなどを使用できる。
印刷接着層18の材質は加熱により、軟化又は溶融するものを使用できる。例えば、アクリル系、塩ビ系、ポリエステル系、ウレタン系などの樹脂、ワックス、ゴムなどが挙げられる。印刷形成する際のインキとしての形態は、塗工時には印刷できるだけの流動性を有し、その後、固形状態を保つ性質を有するものであり、溶剤に溶解または分散させた溶剤希釈型インキや、常温で固化状態の固形物を熱溶融させて液状としたタイプのインキを用いることができるが、キートップ16などの所定の底面に精度良く繊細に印刷するという印刷適正の観点や、直ぐに溶剤が蒸発し印刷直後に固形状態になり印刷された形状が保持されるという観点から溶剤希釈型インキを用いることが好ましい。中でも、加熱、押圧による接着工程での印刷接着層18のだれ、変形を抑制する観点からは、加熱により溶融するタイプよりは軟化するタイプの材質を用いることが好ましい。
加飾キーシート14の製造方法について説明する。先ず、加飾シートBを抜き加工して透孔15aを設けたフレームシート15を得る。さらに型成形によってキートップ16、ベースシート17をそれぞれ形成する。次に、キートップ16に文字、記号などを形成しておき、印刷接着層18をスクリーン印刷、パッド印刷、凸版印刷、グラビア印刷などによりフレームシート15、キートップ16に形成する。その後、ベースシート17に対し、フレームシート15、キートップ16を位置合わせして、熱圧着機などでベースシート17側から所定の領域を加熱、押圧し、ベースシート17とフレームシート15、キートップ16とを接着する。以上により加飾キーシート14を得ることができる。なお、加熱、押圧する条件については、印刷接着層18として用いる材料、印刷接着層18の層厚、ベースシート17の膜厚などにより変化するが、押圧部の表面温度が120℃〜220℃、より好ましくは140℃〜170℃であり、押圧時間が1秒〜20秒、より好ましくは5秒〜10秒、圧力が30kg〜500kg/20〜25cm、より好ましくは50kg〜300kg/20〜25cmである。
加飾キーシート14の作用効果を説明する。加飾キーシート14によれば、加飾シートBをフレームシート15として用いるため、ソフトタッチ感を持続するフレームシート15を備えることができ、高耐久な加飾キーシート14を実現することができる。さらに樹脂フィルムでなるベースシート17と、ベースシート17に配置するキートップ16と、印刷接着層18を備えるため、薄型の加飾キーシート14を実現することができる。そして印刷接着層18によりキートップ16とベースシート17の固着位置、塗布厚を精度良く制御することができ、キートップ16がしっかりと固着して脱落し難い薄型の加飾キーシート14とすることができる。特に、キートップ16間にフレームシート15を有するため、キートップ16とベースシート17との間に爪先が入り難くキートップ16が外れにくい薄型の加飾キーシート14を実現することができる。
第2実施形態〔図14,図15〕: 第2実施形態の加飾キーシート20を図14,図15で示す。図14は加飾キーシート20の平面図、図15は図11のSE−SE線断面図を示す。第2実施形態の加飾キーシート20が第1実施形態の加飾キーシート14と異なるのは、キートップ21と、フレームシート22と、の構成である。
すなわち、この加飾キーシート20は、そのフレーム部分だけでなくキートップ部分も前述の加飾シートAから形成されている。キートップ21は、平面視で環状の仕切孔21aによって矩形状に形成されており、表皮層1と発泡層2とを有するソフトフィール層3を備えている。このようなキートップ21には、ソフトフィール層3の肉厚を貫通し、数字、記号などを表す表示孔21bが形成されている。そしてキートップ21の仕切孔21aの側面及び表示孔21aの側面では、傾斜している発泡層2の側面2aが、表皮層1でなる保護部5で被覆されている。キートップ21の厚さは、フレームシート22の高さとの調和の観点から0.2mm〜0.6mm程度が好ましい。
フレームシート22は、キートップ21と同様に、表皮層1と発泡層2とを有するソフトフィール層3を備えている。フレームシート22の厚さは、薄型化の要請から0.2mm〜0.5mm程度が好ましい。
印刷接着層18は、ベースシート17の全表面に設けられている。
加飾キーシート20の製造方法について説明する。先ず、ベースシート17に対し印刷接着層18を印刷にて設け、この印刷接着層18に加飾シートAを積層する。次に、熱圧着機などでベースシート17側から加熱、押圧し、加飾シートAとベースシート17とを接着する。その後、加飾シートAとベースシート17を加飾キーシート20の外寸法に合わせて裁断した後、加飾シートA側から印刷接着層18に至るまでカット刃を通し、仕切孔21a及び表示孔21bを形成する。以上により加飾キーシート20を得ることができる。
加飾キーシート20の作用効果を説明する。加飾キーシート20によれば、加飾シートAをキートップ21及びフレームシート22に用いるため、ソフトタッチ感を持続するキートップ21及びフレームシート22とすることができ、斬新なデザインで高耐久な加飾キーシート20を実現することができる。また、1枚の加飾シートにカット刃を当てて設けた仕切孔21aによってキートップ21とフレームシート22とを形成するため、加飾キーシート20を簡単に製造することができる。
第3実施形態〔図16,図17〕: 第3実施形態の加飾キーシート23を図16,図17で示す。図16は加飾キーシート23の部分拡大斜視図、図17は図16のSF−SF線断面図を示す。第3実施形態の加飾キーシート23は、表示層24とキートップ本体25とを有するキートップ26と、ベースシート27と、を備えている。
表示層24を図18,図19で示す。この表示層24は前述の加飾シートCでなり、平面視で矩形状に形成されている。つまり表示層24は表皮層1と発泡層2とを有するソフトフィール層3と、基材シート4と、塗層6と、を備え、ソフトフィール層3の裏面3aに基材シート4を積層し、基材シート4の裏面4bに塗層6を積層してある。この表示層24にはソフトフィール層3及び基材シート4の肉厚を貫通する数字形状(図面では「1」)の表示孔24aが形成されている。そして表示層24の外縁の側面及び表示孔24aの側面には、塗層6で形成される保護部7によって表皮層1の側面1c、発泡層2の側面2a、基材シート4の側面4aが被覆されている。この表示層24の塗層6側が後述するキートップ本体25の操作面25aに対し図外の接着剤で固着され、キートップ26を構成している。
キートップ本体25は熱可塑性樹脂でなり、平面視では表示層24と同じ矩形状に形成されている。そして操作面25aとは反対の裏面25b側端部には外方へ突出する環状の鍔部25cが設けられている。このキートップ本体25の裏面25b側が後述するベースシート27に対し図外の接着剤で固着されている。
ベースシート27はゴム状弾性体で形成されている。ベースシート27の操作面側には、キートップ26を固着する台座部27aが膨出形成されている。操作面とは反対の裏面側には、台座部27aごとに図外の基板上に設けた接点を押圧する押し子部27bが押圧方向に突出形成されている。
キートップ本体25の材質は熱可塑性樹脂などの硬質樹脂でなる。例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、さらにこれらのアロイ樹脂などを使用できる。
ベースシート27の材質は反撥弾性の高いゴム状弾性体でなる。例えば、シリコーンゴム、アクリルゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマーなどを使用できる。
加飾キーシート23の製造方法について説明する。先ず、加飾シートを抜き加工して表示孔24aを設けた加飾シートCでなる表示層24を得る。次にこの表示層24の塗層6側を型成形したキートップ本体25の操作面25aに固着して、キートップ26を得る。最後に型成形したベースシート27の台座部27aに、キートップ本体25の裏面25bを図外の接着剤で固着し、加飾キーシート23を得ることができる。
加飾キーシート23の作用効果を説明する。加飾キーシート23によれば、キートップ本体25の操作面25aに加飾シートCでなる表示層24を有するため、ソフトタッチ感を持続するキートップ26を備えることができ、高耐久な加飾キーシート23を実現することができる。さらにキートップ26ごとに様々なデザインの加飾を施すことができ、斬新なデザインの加飾キーシート23を実現することができる。
第4実施形態〔図20,図21〕: 第4実施形態の加飾キーシート28を図20,図21で示す。図20は加飾シートCでなる操作板29の平面図、図21は図20のSH−SH線断面図を示す。第4実施形態の加飾キーシート28は、操作板29と、押し子30と、を備えている。
操作板29は前述の加飾シートCでなり、平面視で矩形状に形成されている。つまり操作板29は表皮層1と発泡層2とを有するソフトフィール層3と、基材シート4と、塗層6と、を備え、ソフトフィール層3の裏面3aに基材シート4を積層し、基材シート4の裏面4bに塗層6を積層してある。そして操作板29の外縁の側面には、塗層6で形成される保護部7によって表皮層1の側面1c、発泡層2の側面2a、基材シート4の側面4aが被覆されている。この操作板29の操作面29aには、数字、記号などを表す底面を有する溝部29bが形成され、この溝部29bの内面は表皮層1で形成される保護部7によって発泡層2を被覆している。このような操作板29は溝部29bの周囲が押圧操作部となる。
押し子30は樹脂でなり、半球状に形成されている。そして操作板29の操作面29aとは反対の裏面29cに、その裏面29cより押圧方向にドーム状に突出して設けられている。
押し子30の材質は反応硬化型樹脂や熱可塑性樹脂などの硬質樹脂が使用できる。例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などの液状の光反応硬化型樹脂が好ましい。これらを用いれば、操作板29の裏面29cに滴下あるいは転写することで簡単に押し子30を成形することができる。
加飾キーシート28の製造方法について説明する。先ず、加飾シートを抜き加工して加飾シートCでなる操作板29を得る。次にこの操作板29の操作面29aに対し加熱した治具又は刻印を押圧して、数字、記号などを表す有底の溝部29bを形成する。このとき発泡層2が圧縮され、溝部29bの内面は表皮層1が保護部7として発泡層2を被覆している。最後に操作板29の裏面29cに液状樹脂で押し子30を成形し、加飾キーシート28を得ることができる。
加飾キーシート28の作用効果を説明する。加飾キーシート28によれば、加飾シートCを操作板29として用いているため、ソフトタッチ感を持続する操作面29aを備えることができ、高耐久な加飾キーシート28を実現することができる。さらに操作板29の裏面29cより突出する押し子30が的確に図外の接点を押圧でき、確実な押圧操作が可能な加飾キーシート28を実現することができる。
第5実施形態〔図22,図23〕: 第5実施形態の加飾キーシート31を図22,図23で示す。図22は加飾キーシート31のの平面図、図23は図22のSI−SI線断面図を示す。第5実施形態の加飾キーシート31は、指などからの操作を受ける操作板32と、この操作板32の底面側に位置するベースシート33と、を備えている。
操作板32は前述の加飾シートCでなり、平面視で略矩形状に形成されている。つまり操作板32は表皮層1と発泡層2とを有するソフトフィール層3と、基材シート4と、塗層6と、を備え、ソフトフィール層3の裏面3aに基材シート4を積層し、基材シート4の裏面4bに塗層6を積層してある。このような操作板32には、ソフトフィール層3及び基材シート4の肉厚を貫通する仕切孔32aが設けられ、この仕切孔32aにより舌片状に仕切られた押圧操作片32bを形成している。さらにこの押圧操作片32bの操作面32cには、数字、記号などを表す有底の溝部32dが形成され、この溝部32dの内面は表皮層1で形成される保護部6によって発泡層2を被覆している。仕切孔32aの形状は、図22において、数字、記号「*」を表す押圧操作片32bは、三方向を仕切る角波状に形成され、上部中央の押圧操作片32bは環状に形成されている。そして操作板32の外縁の側面には、塗層6で形成される保護部7によって表皮層1の側面1c、発泡層2の側面2a、基材シート4の側面4aが被覆されている。この操作板32の裏面32eが後述するベースシート33の表面に対し図外の接着剤で固着されている。
ベースシート33は樹脂フィルムでなり、操作板32の外形と同形状に形成されている。そして操作板32の仕切孔32aを閉塞している。
ベースシート33の材質は可撓性を有する樹脂フィルムがよく、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム、ポリエチレンナフタレート樹脂フィルム、ポリブチレンテレフタレート樹脂フィルム、ポリカーボネート樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、ウレタン樹脂フィルムなどを使用できる。
加飾キーシート31の製造方法について説明する。先ず、加飾シートを抜き加工して仕切孔32aを設け、加飾シートCでなる操作板32を得る。次にこの操作板32の操作面32cに対し加熱した治具又は刻印を押圧して、数字、記号などを表す有底の溝部32dを形成する。このとき発泡層2が圧縮され、溝部32dの内面は表皮層1が保護部6として発泡層2を被覆している。最後に操作板32の裏面32eにベースシート33を固着し、加飾キーシート31を得ることができる。
加飾キーシート31の作用効果を説明する。加飾キーシート31によれば、加飾シートCを操作板32として用いているため、ソフトタッチ感を持続する操作面32cを備えることができ、高耐久な加飾キーシート31を実現することができる。さらに操作板32とベースシート33とで構成することで薄型の加飾キーシート31を実現することができる。また、ベースシート33が一体に固着しているため、環状の仕切孔32aによって仕切られる押圧操作片32bを備えることができ、斬新なデザインの加飾キーシート31を実現できる。さらにこの場合仕切孔32aの溝内に位置する押圧操作片32bの押圧荷重は、操作板32を屈曲させる押圧荷重より小さいため、三方向を仕切孔32aで囲まれている他の押圧操作片32bに比べて押圧荷重を小さくすることができる。
第5実施形態の変形例〔図24〕: 加飾キーシート31の変形例として、図24で示すように、ベースシート33の裏面33aに対し、押圧操作片32bごとに裏面33aより押圧方向にドーム状に突出する押し子30を設けた加飾キーシート34とすることができる。このようにすれば、押し子30が図外の接点を的確に押圧でき、確実な押圧操作が可能な加飾キーシート34を実現することができる。
上記何れの実施形態においても基材シート4を有するものであるが加飾シートとしても定形性を有さなくても良い用途で用いる場合などは基材シート4を有しないものとすることができる。また、上記実施形態における加飾成形体9,11や加飾キーシート14,20,23,28,31,34に用いた加飾シートに代えて、上述の加飾シートA〜加飾シートEの何れか別の加飾シートを用いることももちろん可能である。
次に実施例および比較例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、加飾シートについては前述の加飾シートBを代表例とし説明する。
1.加飾シートの製造
実施例1: 表皮層(1)として厚さ40μmのウレタンフィルムと、発泡層(2)として厚さ400μmのウレタン発泡体とをラミネート加工して、ソフトフィール層(3)を得た。さらにこのソフトフィール層(3)の発泡層(2)側に、基材シート(4)として厚さ250μmのポリカーボネート(PC)/ポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルムをラミネート加工して、加飾シートを製造した。次にこの加飾シートをカット刃により裁断し、透孔を有する図12に示す形状の試料1の加飾シートを製造した。裁断工程は、カット刃を加熱しておき、表皮層(1)側から裁断面が斜めになるように裁断する。ここでは加飾シートに対して斜めにカット刃を入れてゆっくりと裁断した。この方法によって表皮層(1)は、発泡層(2)の側面(2a)を被覆する保護部(5)を形成する。試料1の加飾シートにおける断面の走査型電子顕微鏡写真を図25に示す。加飾シートの縁部では、表皮層(1)でなる保護部(5)が発泡層(2)の側面(2a)を被覆していることを確認した。
比較例1: 実施例1と同様の加飾シートを製造した後、カット刃を加熱せずに裁断面が厚み方向に対して垂直になるように裁断し、試料2の加飾シートを製造した。試料2の加飾シートにおける断面の走査型電子顕微鏡写真を図26に示す。加飾シートの縁部では、発泡層(2)の側面(2a)が表出しているのを確認した。
2.加飾シートの評価
加飾シートにおける耐摩耗性、耐アルコール性について、以下のように測定し、評価した。その測定結果を表1に示す。
「耐摩耗性」; 砂消しゴム(株式会社サクラクレパス製 RADIC 500B)を用いて、荷重500g、移動ストローク25mm、速度が往復60/分の条件で、加飾シートの表面を透孔の開口端を通過するようにして擦った。そして発泡層(2)が露出するまでの往復回数を測定した。表1にはその測定値を示す。
「耐アルコール性」; 消毒用アルコール(81.4%エタノール)を含浸した脱脂綿を用いて、荷重1,000g、移動ストローク25mm、速度が往復60/分の条件で、耐摩耗性試験と同様にして加飾シートを擦った。そして加飾シートが破損するまでの往復回数を測定した。表1にはその測定値を示す。
表1で示すように耐摩耗性評価において、試料1では砂消しゴムを1000回以上往復しても発泡層(2)が露出することなく、耐摩耗性に優れることが分かる。これに対し試料2では砂消しゴムを600回往復したときに発泡層(2)が露出した。また、耐アルコール性評価において、試料1では50回まで加飾シートが破損しなかったのに対し、試料2では5回で加飾シートが破損した。以上より試料1が高耐久性の加飾シートであることが分かった。
本発明の加飾シートAを示す断面図。 本発明の加飾シートBを示す断面図であり、分図(A)は第1の加飾シートBの断面図、分図(B)は第2の加飾シートBの断面図、分図(C)は第3の加飾シートBの断面図、分図(D)は第4の加飾シートBの断面図。 本発明の加飾シートCを示す断面図。 本発明の加飾シートDを示す断面図であり、分図(A)は第1の加飾シートDの断面図、分図(B)は第2の加飾シートDの断面図、分図(C)は第3の加飾シートDの断面図、分図(D)は第4の加飾シートDの断面図。 本発明の加飾シートEを示す断面図。 第1実施形態の加飾成形体を示す斜視図。 図6のSA−SA線断面図。 第2実施形態の加飾成形体を示す斜視図。 図8のSB−SB線断面図。 第1実施形態の加飾キーシートを示す平面図。 図10のSC−SC線断面図。 図10の加飾キーシートに用いる加飾シートを示す平面図。 図12のSD−SD線断面図。 第2実施形態の加飾キーシートを示す平面図。 図14のSE−SE線断面図。 第3実施形態の加飾キーシートを示す部分拡大斜視図。 図16のSF−SF線断面図。 図16の加飾キーシートに用いる加飾シートを示す斜視図。 図18のSG−SG線断面図。 第4実施形態の加飾キーシートを示す平面図。 図20のSH−SH線断面図。 第5実施形態の加飾キーシートを示す平面図。 図22のSI−SI線断面図。 第5実施形態における加飾キーシートの変形例を示す図19相当の断面図。 実施例における加飾シートの断面を示す走査型電子顕微鏡写真。 従来例における加飾シートの断面を示す走査型電子顕微鏡写真。
符号の説明
1 表皮層
1a 外観面
1b 裏面
1c 側面
1d 溝部
2 発泡層
2a 側面
3 ソフトフィール層
3a 裏面
4 基材シート
4a 側面
4b 裏面
5 保護部
6 塗層
7 保護部
8 弾性層
8a 側面
8b 裏面
9 カバー部材(第1実施形態の加飾成形体)
10 カバー本体(芯材)
10a 凹部
10b 係合突起
10c 取付突起
10d 抜止め部
11 筐体(第2実施形態の加飾成形体)
12 樹脂成形体(芯材)
12a 環状突起
12b 透孔
13 透孔
14 加飾キーシート(第1実施形態)
15 フレームシート(加飾シート)
15a 透孔
15b 裏面
16 キートップ
16a 底面
16b 側面
17 ベースシート
17a 表面
18 印刷接着層
19 間隙部
20 加飾キーシート(第2実施形態)
21 キートップ(加飾シート)
21a 仕切孔
21b 表示孔
22 フレームシート(加飾シート)
23 加飾キーシート(第3実施形態)
24 表示層(加飾シート)
24a 表示孔
25 キートップ本体
25a 操作面
25b 裏面
25c 鍔部
26 キートップ
27 ベースシート
27a 台座部
27b 押し子部
28 加飾キーシート(第4実施形態)
29 操作板(加飾シート)
29a 操作面
29b 溝部
29c 裏面
30 押し子
31 加飾キーシート(第5実施形態)
32 操作板(加飾シート)
32a 仕切孔
32b 押圧操作片
32c 操作面
32d 溝部
32e 裏面
33 ベースシート
33a 裏面
34 加飾キーシート(第5実施形態の変形例)

Claims (8)

  1. 表皮層と該表皮層の外観面とは反対の裏面に積層した発泡層とからなるソフトフィール層を備える加飾シートにおいて、
    発泡層における縁部の側面に、該側面を被覆する保護部を設け、この保護部が発泡層における縁部の側面に形成される塗層であることを特徴とする加飾シート。
  2. ソフトフィール層の肉厚を貫通する透孔を備えるものであり、該透孔の側面に前記保護部を有する請求項1記載の加飾シート。
  3. 発泡層の裏面側に塗層を設け、前記保護部はこの塗層が延在して形成するものである請求項1または請求項2記載の加飾シート。
  4. ソフトフィール層の裏面に、該ソフトフィール層に対して熱や圧力を伝え難くする遮蔽層を備える請求項1〜請求項3何れか1項記載の加飾シート。
  5. 請求項1〜請求項4何れか1項記載の加飾シートを、成形体でなる芯材の表面に備える加飾成形体。
  6. 樹脂フィルムでなるベースシートと、
    該ベースシートに配置するキートップと、
    該キートップに並べて該ベースシートに配置するフレームシートと、を備え表面が加飾された加飾キーシートにおいて、
    フレームシートが請求項1〜請求項4何れか1項記載の加飾シートでなることを特徴とする加飾キーシート。
  7. 樹脂フィルムでなるベースシートと、
    該ベースシート上に設けるフレームシートと、を備え該フレームシートの表面にキー表示を有し、加飾された加飾キーシートであって、
    フレームシートが請求項1〜請求項4何れか1項記載の加飾シートでなる加飾キーシート。
  8. ゴム状弾性体でなるベースシートと、該ベースシートに配置され操作面が加飾されたキートップと、を備える加飾キーシートにおいて、
    キートップが請求項1〜請求項4何れか1項記載の加飾シートを有することを特徴とする加飾キーシート。
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