JP2529497B2 - 射出成形品の製造方法 - Google Patents

射出成形品の製造方法

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JP2529497B2 JP24908291A JP24908291A JP2529497B2 JP 2529497 B2 JP2529497 B2 JP 2529497B2 JP 24908291 A JP24908291 A JP 24908291A JP 24908291 A JP24908291 A JP 24908291A JP 2529497 B2 JP2529497 B2 JP 2529497B2
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  • Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)
  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車・バイク等の車
両ボディ;自動車の内装;OA機器・家電製品などのハ
ウジング;文具、サニタリーなどの物品にソフトタッチ
感(スエード感)の被膜を形成する、展延性に優れる被
覆用シートを用いた射出成形品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチック成形体または金属成形体な
どの表面にソフトタッチ感(スエード感)を付与するた
めに、一般にソフトタッチ(スエード調)塗料が用いら
れてきた。しかしながら、塗料を用いてスエード調の被
膜を形成する場合には、塗料の粘度や濃度を調整する必
要があり、その作業が煩雑となる。有機溶剤を用いた塗
料ではブースが必要であり、また、作業環境の汚染及び
安全衛生上の問題が生じる。
【0003】これらの問題を解決するために、塗料に代
わるシート状のスエード調被覆材料が提案されている。
例えば、特開平2−41243号公報には、ビーズ顔料
を電離放射線硬化樹脂のビヒクルに添加して得られる艶
消し塗料を、成形性のよい基材フィルムの上に塗布し硬
化させてなるスエード調シートが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このようなス
エード調シートでは、その塗膜は電子線によって架橋さ
れた樹脂からなるので、シート全体の展延性に劣ってい
た。従って、例えば、被着体の表面にシートを貼付する
場合には、凹凸や曲面を有する被着体表面にシートを貼
付けようとすると、シートを充分に延伸することができ
ないのでシートが破れることがあり、特に深絞り成形に
おいて簡易にソフトタッチ感(スエード感)を付与する
ことは困難であった。
【0005】本発明は上記欠点を解決するものであり、
その目的とするところは凹凸や曲面を有する物品表面に
対しても比較的簡単に貼付けて、ソフトタッチ感(スエ
ード調)を有する被膜を形成することができる被覆用シ
ートを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の射出成形品の製
造方法は、ガラス転移点が−50℃〜20℃の樹脂と、
発泡性ビーズおよび/または中空状のビーズと、を主成
分として含有する樹脂組成物からなる被覆用シートを加
熱する工程、射出成形用金型の凹部内面に真空成形およ
び/または圧空成形により該被覆用シート貼付する工
程、および、型を締めた後、該金型の凹部内に成形用樹
脂を射出成形する工程、を包含し、そのことにより上記
目的が達成される。
【0007】上記樹脂組成物に含有される樹脂は、ガラ
ス転移点が−50℃〜20℃のものであり、これには、
例えば、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂およ
びシリコーン樹脂などがあげられる。これら樹脂のガラ
ス転移点が上記範囲を外れる場合には、ソフトタッチ感
を有する被膜が得られない。
【0008】樹脂としてウレタン樹脂を使用する場合に
は、シート表面にソフト感と耐擦傷性を付与するため
に、ガラス転移点(Tg)が−50〜20℃の範囲であ
る、以下のようなものが好ましい。
【0009】ウレタン樹脂には直鎖タイプと架橋タイプ
があるが、いずれも使用することができる。シートの展
延性が特に要求されない場合は、ガラス転移点の低いウ
レタン樹脂を使用し、かつ発泡性ビーズおよび/または
中空状のビーズを樹脂組成物に多量に添加することも可
能である。直鎖タイプのウレタン樹脂を使用する場合
は、樹脂組成物をそのままキャスティング法により成膜
して被覆用シートを作成する方法、キャスティング成膜
時に重合させて被覆用シートを作成する方法とがある。
架橋タイプのウレタン樹脂を使用する場合は、上記後者
の方法でシート化するのが好ましい。
【0010】上記ウレタン樹脂は、通常ジイソシアネー
トとジオールと鎖延長剤とを反応させて得られる。
【0011】ジイソシアネートとしては、例えば、トリ
レンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネ
ート、ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシ
アネート、p-フェニレンジイソシアネート、キシリレン
ジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)シク
ロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネー
ト、リジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシ
アネート、イソホロンジイソシアネート、テトラメチル
キシリレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレ
ンジイソシアネート等が挙げられる。
【0012】ジオールとしては、ポリエステルジオール
(縮合系ポリエステルジオール、ラクトン系ポリエステ
ルジオール、ポリカーボネートジオール等)、ポリエー
テルジオール等が挙げられ、鎖延長剤としては、エチレ
ングリコール、1,4-ブタンジオール、ハイドロキノンジ
エチロールエーテル等があげられる。
【0013】被覆用シートをキャスティングにより製造
する場合には、上記ウレタン樹脂の材料を予め溶液中で
重合させて得ることができる(この反応を促進させるた
めジブチルチンジラウレート等の触媒が添加される場合
もある)。
【0014】この場合、ウレタン樹脂は、その重量平均
分子量が20,000〜1,000,000の範囲のものが好ましい。
重量平均分子量が20,000を下回るとシート展延時に被覆
用シートに亀裂が入りやすい。重量平均分子量が1,000,
000を上回ると溶剤への溶解がしにくくなり、例えば溶
剤キャスティングによって被覆用シートを作成する場合
には溶剤粘度が高くなるので樹脂を低濃度でしかキャス
ティングできず、そのため厚膜の被覆用シートを作成す
るのに多大な費用がかかることになる。
【0015】また、キャスティング時にウレタン樹脂の
材料を重合させる場合は、前述の低分子材料やそれらの
重合した高分子材料を用い、さらに、2官能のイソシア
ネートを加え成膜時の熱で重合し被覆用シートを作成す
ることができる。
【0016】架橋タイプのウレタン樹脂を使用して被覆
用シートを作成する場合には、前述のキャスティング時
に重合させる場合と同様に低分子材料やそれらの重合し
た高分子材料を用い、さらに、少なくとも3官能以上の
イソシアネートを加え成膜時の熱で重合し被覆用シート
を作成すればよい。これら少なくとも3官能以上のイソ
シアネートは、被覆用シートの展延(曲面追従型)が可
能な範囲で加えるものである。
【0017】このようなイソシアネートとしては、例え
ば、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレー
ト体やトリメチロールプロパン付加体等があげられる。
このように一部架橋されたウレタン樹脂を用いることに
より、被覆用シートの耐溶剤性を向上することもでき
る。さらに、イソシアネートに加えてメラミン架橋剤も
用いてもよい。
【0018】上記のアクリル樹脂としては、直鎖タイ
プ、架橋タイプがある。直鎖タイプは、例えば、エチル
(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレー
ト、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メ
タ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルモノ
マーや、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等の
スチレン誘導体モノマーを過酸化物等の存在下溶液中で
重合し得ることができるものである。
【0019】これらアクリル樹脂の重量平均分子量は2
0,000〜1,000,000の範囲のものが好ましい。重量平均分
子量が20,000を下回るとシート展延時にシートに亀裂が
入りやすい。重量平均分子量が1,000,000を上回ると溶
剤への溶解がしにくくなり、例えば、溶剤キャスティン
グによってシートを作成する場合には溶剤粘度が高くな
るので、樹脂を低濃度でしかキャスティングできず、そ
のため厚膜のシートを作成するのに多大な費用がかかる
ことになる。
【0020】また、架橋タイプのアクリル樹脂では、予
め2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ア
ミノエチル(メタ)アクリレートなど、水酸基やアミノ
基の反応基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含む
アクリル樹脂を用い、さらに例えば、ヘキサメチレンジ
イソシアネートのイソシアヌレート体やトリメチロール
プロパン付加体等の2官能以上のイソシアネートや多官
能のアミノ基を有する材料とホルムアルデヒドとを反応
させて得られるメラミン樹脂を添加し、ソフトタッチシ
ート作成時(溶剤キャスティング時等)に熱で反応させ
ソフトタッチシートを作成する。
【0021】この場合、シートの展延(曲面追従型)が
可能な範囲で上記2官能以上のイソシアネートや、メラ
ミンを添加する。この際のアクリル樹脂の分子量は、架
橋後のシート展延より選ばれるが、重量平均分子量が1,
000〜1,000,000の範囲のものが好ましい。このように、
一部架橋されたアクリル樹脂を用いることにより、ソフ
トタッチシートの耐溶剤性を向上することも可能であ
る。
【0022】また、これらアクリル樹脂は、シリコーン
樹脂などの変性体や共重合体等を用いてもかまわない。
【0023】上記のフッ素樹脂は、アクリル樹脂同様、
直鎖タイプ、架橋タイプがあるが、用いる材料はどちら
も同じようなもので、例えば、エチレンやプロピレンと
ジフロロヒドロキシエチレン、アミノジフロロエチレ
ン、ジフロロジヒドロキシエチレン、アミノトリフロロ
エチレン、ヒドロキシトリフロロエチレン、カルボキシ
トリフロロエチレン、クロロトリフロロエチレン等のフ
ッ化エチレンとの交互共重合体等で溶剤に可能な重合体
である。
【0024】直鎖タイプでは、これらフッ素樹脂の重合
体は20,000〜1,000,000の範囲のものが好ましい。重合
体が20,000を下回るとシート展延時にシートに亀裂が入
りやすい。重合体が1,000,000を上回ると溶剤への溶解
がしにくくなり、例えば、溶剤キャスティングによって
シートを作成する場合には溶剤粘度が高くなるので、樹
脂を低濃度でしなキャスティングできず、そのため厚膜
のシートを作成するのに多大な費用がかかることにな
る。
【0025】また、架橋タイプのフッ素樹脂では、上記
フッ素樹脂の水酸基やアミノ基等の反応性基と反応す
る、上記2官能以上のイソシアネートやメラミン樹脂を
添加しソフトタッチシート作成時(溶剤キャスティング
時等)に熱で反応させソフトタッチシートを作成する。
【0026】この場合、シートの展延(曲面追従型)が
可能な範囲で上記2官能以上のイソシアネートや、メラ
ミンを添加する。この際のフッ素樹脂の分子量は、架橋
後のシート展延より選ばれるが、重量平均分子量が1,00
0〜1,000,000の範囲のものが好ましい。このように、一
部架橋されたフッ素樹脂を用いることにより、ソフトタ
ッチシートの耐溶剤性を向上することも可能である。ま
た、これらフッ素樹脂は、各種変性体や共重合体として
用いててもかまわない。
【0027】上記シリコーン樹脂は、直鎖タイプ、架橋
タイプがある。
【0028】直鎖タイプのシリコーン樹脂は、そのまま
キャスティング成膜し、ソフトタッチシートを作成する
方法、キャスティング成膜時に重合しソフトタッチシー
トを作成する方法とがある。
【0029】架橋タイプは上記後者の方法でシート化す
る。
【0030】これらの樹脂は、例えば、低Tgのジメチ
ルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、メチルフ
ェニルポリシロキサンと、高Tgのポリジメチルシロキ
サンオキシ1.4−フェニレンのブレンドやそれらの材
料の両末端に水酸基等の反応性基を有するもの等であ
る。
【0031】そのままキャスティング成膜する場合は、
これらの材料を予め重合させる。このシリコーン樹脂反
応、重合体は20,000〜3,000,000の範囲ものが好まし
い。重合体が20,000を下回るとシート展延時にシートに
亀裂が入りやすい。重合体が3,000,000を上回ると溶剤
への溶解がしにくくなり、例えば、溶剤キャスティング
によてシートを作成する場合には溶剤粘度が高くなるの
で、樹脂を低濃度でしなキャスティングできず、そのた
め厚膜のシートを作成するのに多大な費用がかかること
になる。また、キャスティング時に重合させる場合は、
低分子のシリコーン材料や前述の高分子材料を用い、さ
らに酸等の触媒を加えたり、または2官能のイソシアネ
ートやメラミン樹脂を添加し成膜時の熱で重合しソフト
タッチシートを作成する。
【0032】架橋タイプについては、前述のキャスティ
ング時に重合させる場合と同様に低分子のシリコーン材
料や前述の高分子材料を用い、さらに少なくとも3官能
以上のイソシアネート、メラミン樹脂を添加し成膜時の
熱で重合しソフトタッチシートを作成するものである。
これらのイソシアネートやメラミン樹脂は、シートの展
延(曲面追従性)が可能な範囲で加える。このように、
一部架橋されたシリコーン樹脂を用いることにより、ソ
フトタッチシートの体溶剤性を向上することも可能であ
る。また、シリコーン樹脂は、各種変性体や共重合体を
用いてもかまわない。
【0033】本発明に用いられる発泡性ビーズとは、加
熱したとき中空のビーズとなり、加熱後には、その形状
が変形するまで加圧した後、開放すると、弾性回復する
性質を有するものであり、熱膨張性マイクロカプセルと
称される場合もある。
【0034】例えば、低沸点炭化水素を塩化ビニリデン
とアクリロニトリルなどの共重合物の殻壁でマイクロカ
プセル化した熱膨張性の微小球などがあり、更に、他の
材質としてはポリウレタン、アクリル−ウレタン共重合
体、スチレン樹脂、スチレン−イソプレン共重合体等か
らなるものがあげられる。
【0035】これら発泡性ビーズは、得られるシートの
膜厚により異なるが、例えば、膜厚200μm のシート
を得る場合は、発泡後のその粒径分布の極大が、1〜1
00μmの範囲のものを樹脂100重量部(以下、部と
いう)に対して0.1〜10部添加するのが好ましい。
粒径が1μmを下回ると、得られたシートに十分なソフ
トタッチ感が得られず、粒径が100μm を上回ると、
得られたシートを延伸時に、その表面に亀裂が生じ易く
なる。添加量が0.1部より少ないと十分なソフトタッ
チ感が得られず、添加量が上記範囲より多いとシートを
延伸した時にその表面に亀裂が生じ易くなる。また、こ
の発泡性ビーズは1種に限らず、2種以上を併用しても
よい。
【0036】本発明に用いられる中空状のビーズとは、
中空の球体で、その形状が変形するまで加圧した後、開
放する時、弾性回復する性質を有するものである。
【0037】例えば、塩化ビニリデンとアクリロニトリ
ルなどの共重合体、架橋アクリル等からなるものがあ
る。
【0038】これら中空状のビーズは、得られるシート
の膜厚により異なるが、例えば、膜厚200μm のシー
トを得る場合は、その粒径分布の極大が、1〜100μ
mの範囲のものを樹脂100部に対して0.1〜10部
添加するのが好ましい。粒径が1μmを下回ると、得ら
れたシートに十分なソフトタッチ感が得られず、粒径が
100μm を上回ると、得られたシートを延伸時に、そ
の表面に亀裂が生じ易くなる。添加量が0.1部より少
ないと十分なソフトタッチ感が得られず、添加量が上記
範囲より多いとシートを延伸した時にその表面に亀裂が
生じ易くなる。また、この中空状のビーズは1種に限ら
ず、2種以上を併用してもよい。
【0039】これらには、さらに、弾性ビーズや、多孔
性の無機材料が添加される場合もある。
【0040】上記弾性ビーズとは、その形状が変化する
まで加圧した後、開放する時、弾性回復する性質を有す
る樹脂粒子であり、例えばポリウレタン樹脂、アクリル
−ウレタン樹脂、スチレン樹脂、スチレン−イソプレン
共重合体等があげられる。
【0041】これら弾性ビーズは、例えば膜厚200μ
m のシートを得る場合には、その粒径分布の極大が、1
〜100μmの範囲のものが好ましい。弾性ビーズの粒
径が1μmを下回ると、得られたシートに十分なソフト
タッチ感(スエード感)を付与することが難しく、添加
量が上記範囲より多いとシートを延伸した時にその表面
に亀裂が生じ易くなる。また、この弾性ビーズは1種に
限らず、2種以上を併用してもよい。
【0042】上記多孔性の無機材料としては、例えば、
含水ケイ酸(SiO2・xH2O)や含水ケイ酸アルミニ
ウム(Al239SiO2・xH2O)や天然のけいそう
土等があげられる。一般的にホワイトカーボンと称せら
れているものが好ましく用いられる。
【0043】これら無機材料は、その平均粒子径が30
μm以下のものが好ましく、さらに好ましくは1〜20
μm である。粒系が30μmより大きくなると得られた
被膜の表面の凹凸が大きくなり、優れたソフト感が得ら
れなくなり、またシート延伸時にその表面に亀裂が生じ
易くなる。
【0044】また、一般に多孔性材料にはその多孔性の
程度を表すものの一つとして吸油量がある。これは用い
るバインダー(ウレタン樹脂など)の性質により異なる
が、例えば、用いるバインダーと上記無機材料との相溶
性が良好である場合にはバインダーが無機材料に多く保
持されるので、上記多孔性無機材料の吸油量は50ml
/100g以上が好ましく、さらに好ましくは100〜
400ml/100gである。吸油量が50ml/10
0gを下回るとシート表面を粗面(凹凸面)にするため
には無機材料を多く添加する必要があり、その結果、形
成された被膜が硬いものとなって、優れたソフト感が得
られなくなる。
【0045】無機材料の添加量は、得られる被覆用シー
トの膜厚や用いる無機材料とバインダーとの相溶性等に
よっても異なるが、例えば膜厚100μmの被覆用シー
トを得る場合は、上記の多孔性無機材料を用いた場合、
ウレタン樹脂100部に対して10〜40部添加するの
が好ましい。添加量が10部を下回ると十分に被膜表面
を粗面にすることができず優れたソフト感(滑り感・・・
摩擦係数の低下)が得られない。添加量が40部より多
いと、シートの延伸時にその表面に亀裂が生じ易くな
る。尚、多孔性無機材料の一般的添加量はウレタン樹脂
100部に対して5〜60部である。これら無機材料は
1種に限らず、2種以上を併用してもよい。また、これ
ら無機材料と弾性ビーズを併用してもよい。
【0046】上記樹脂組成物には、さらに必要に応じて
顔料、染料等の着色剤、酸化防止剤などの材料が添加さ
れる。
【0047】上記着色剤は塗料で用いられる顔料、染料
が使用しうる。顔料では、酸化チタン、酸化鉄、カーボ
ンブラック、シアニン系顔料、キナクリドン系顔料など
がある。
【0048】染料ではアゾ系染料、アントラキノン系染
料、インジゴイド系染料、スチルベンゼン系染料などが
ある。また、アルミフレーク、ニッケル粉、金粉、銀粉
などの金属粉などを着色剤として用いてもよい。これら
材料はできるだけ微粒子のものが好ましい。
【0049】これらの添加量は、高隠ぺい性を有する着
色剤を用いる場合には、樹脂の固形分100部に対し
て、2〜400部の範囲が好ましい。しかし、これら着
色剤を加えると発泡性ビーズや無機材料によって付与さ
れるソフトタッチ感が異なることがあるので、着色剤を
加えた系では適正な発泡性ビーズ、多孔性の無機材料の
量が変わることがある。
【0050】本発明の被覆用シートに種々の機能を付与
するために各種機能性付与材が添加され得る。上記各種
機能性付与剤とは、導電性材料、結露防止剤、フォトク
ロミック化合物、防錆剤などがある。また、耐候性を改
善するため、紫外線吸収剤、酸化防止剤、ヒンダードア
ミン等が添加される場合もある。
【0051】〔被覆用シートの形態〕上記各材料を混
合、分散して樹脂組成物が得られる。該樹脂組成物から
基層(ソフトタッチ層)が作成され、被覆用シートが単
層である場合にはこの基層がそのまま被覆用シートとな
る。
【0052】本発明のシートは、基層だけの単層からな
っていてもよく、複数層からなっていてもよい。シート
が複数層からなっている場合には、例えば、以下の形態
がある。
【0053】基層と、該基層の裏面に積層された裏面
層とを有するシート。 この裏面層は被覆用シートと射出樹脂との密着性を得る
ためや、射出樹脂の剪断応力に耐えるために、また被覆
用シートの取扱性をさらに向上するために設けられる。
【0054】シートと射出樹脂との密着性を得るため
に、上記裏面層の樹脂と射出樹脂とは同種の樹脂あるい
は相溶性に優れるものが好ましい。樹脂組成物と裏面層
との密着性が悪い場合には両層の間にプライマー層が設
けられる。また、シートは必要に応じ引き伸ばして被着
体に貼付けられるので、裏面層は常温または、少なくと
も加熱下で展延性を有する材料で構成されることが好ま
しい。
【0055】上記裏面層に用いられる樹脂としては、例
えば、ポリスチレン、アクリル系ポリマー、ポリカーボ
ネート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン
共重合体)などがあげられる。また、これらの積層した
層にグラビア、シルクスクリーン、オフセット等で行っ
た印刷などによる模様が付与される場合もある。
【0056】基層または上記のシートと、該シート
の片面(のシートの場合は積層した層の上、すなわち
基層の裏面側)に積層された接着剤層(あるいはプライ
マー層)とを有するシート。
【0057】上記接着剤層に用いられる接着剤として
は、ホットメルト型接着剤が好適に用いられる。シート
と被着体の材質により1種々の接着剤で良好な接着を満
足できない場合などは、複数の異なる種類の接着剤層を
順次積層させてもよい。
【0058】上記ホットメルト系接着剤には、例えばエ
チレン−酢酸ビニル系共重合体(EVA)系、スチレン
−イソプレン−スチレンブロク共重合体(SIS)系な
どがある。
【0059】上記〜のシートと、該シートの表面
に積層された保護層とを有するシート。
【0060】保護層は、シートの保存時及び使用時にお
ける形状保持性と貼付後の表面保護性を付与するために
積層される。
【0061】シートは必要に応じ引き伸ばして被着体に
貼付けられるので保護層は常温または、少なくとも加熱
下で展延性を有するフィルム(例えば、熱可塑性樹脂フ
ィルムやゴムフィルム)で構成される方が好ましい。
【0062】上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリ
軟質塩化ビニル、ポリウレタン、アクリル系樹脂、ポリ
エステル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレ
ン、ポリプロピレンなどがあげられる。ゴムフィルムと
しては、例えば、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、
ニトリル−ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエ
ンゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、シリコーン
ゴム、アクリルゴムなどがあげられる。これら熱可塑性
樹脂とゴムとの混合物を用いることもできる。また、両
フィルムを積層してもよい。
【0063】これらの保護層は、被着体を使用するまで
の間の保護層として用いてもよい。保護層の表面にエン
ボスや模様を付けておくと、保護層を剥離した後でシー
トの表面形状(外観)を変えることもできる。
【0064】(〜のシートの場合クリアー層と他の
層との間に着色層は設けられる。) 透明な基層(表面層)と、着色剤が含有された層から
なるシート。
【0065】この場合着色層には発泡性ビーズ、中空状
ビーズは含有されなくてもよい。
【0066】上記〜のシートの基層の表面あるい
は裏面(に、発泡樹脂層上)等に意匠性を上げるため、
グラビア、シルクスクリーン、オフセットなどで行った
印刷等の模様付けをしたシート。
【0067】上記で得られる被覆用シートの厚みは、凹
凸のある被着体表面へ貼付ける場合では、20〜1,000μm
程度が好ましく、平面へ貼付ける場合では5〜500μm程
度でも構わない。また、上記シートに積層される他の層
の厚さは通常10〜500μmであり、特に、接着剤層の厚さ
は10〜100μmが好ましい。発泡層の厚さは100μm以上が
好ましい。
【0068】〔被覆用シートの調製〕被覆用シートは任
意の方法で調製されてよい。シートが単層の場合には以
下に示すキャスティング法が好ましい。
【0069】樹脂組成物を有機溶剤に十分溶解または分
散させる。得られる溶液をナイフコーター、バーコータ
ーやリバースコーターなどの装置を用いて工程紙(通常
は、シリコーンで表面が処理されたポリエチレンテレフ
タレートフィルムや紙)上にコーティングし、次いで溶
剤除去のために乾燥して基層を形成する。基層から工程
紙を剥離することによりシートが得られる。
【0070】シートが複数層で形成されている場合に
は、キャスティング法あるいはラミネート法によって得
ることができる。キャスティング法によれば、いずれか
一方の層の樹脂組成物を含む溶液を工程紙上にコーティ
ングし、溶剤除去のための乾燥を行って層を形成した
後、この層の上に他の層の樹脂組成物を含む溶液をコー
ティングし、溶剤除去のための乾燥を行って他の層を形
成する。あるいは、上記のようなシートの形態の場合
には上記のようなABS、ポリカーボネート等の層の上
に本発明のソフトタッチ樹脂組成物をコーティングし、
溶剤除去のための乾燥を行って層が形成される。
【0071】ラミネート法によれば、それぞれの層の樹
脂組成物を含む溶液を別々に好適紙上に塗布し、乾燥し
て溶剤を揮散させることによりそれぞれの層を形成し、
次に両層を積層して(加熱)ロールプレスで圧着する。
この際、両層の間に接着を良好にするため接着剤層を積
層しておくこともある。製造の際に使用した工程紙は、
保護シートとして用い得る。
【0072】〔被覆用シートの使用方法〕射出成形は、
金型の内側にシートを常温でまたは加熱して、真空およ
び/または圧空成形で成形密着させ、金型を閉じてから
樹脂を注入する方法等、通常行われているシートインサ
ート射出成形で行われる。射出する樹脂については、射
出成形で行われる材料ならどの材料でも可能である。
【0073】例えば、ポリスチレン、アクリル系ポリマ
ー、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ABS(アクリロニトリル−ブタ
ジエン−スチレン共重合体)、変性ポリフェニレンオキ
シド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミ
ド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンサルフ
ァイド、液晶ポリマー、ガラス繊維強化ポリエステル、
ガラス繊維強化エポキシ、ガラス繊維強化アクリル樹脂
等がある。
【0074】
【作用】本発明に使用する被覆用シートは、ガラス転移
点が−50℃〜20℃である樹脂と、発泡性ビーズおよ
び/または中空状のビーズと、を主成分として含有する
樹脂組成物からなるので、このシートを加熱して射出成
形用金型の凹部内面に真空および/または圧空成形によ
り貼付し、そして型を締めた後、金型の凹部内に成形用
樹脂を射出成形することにより、ソフトタッチ(スエー
ド)の触感を有する射出成形品を製造することができ、
従来のソフトタッチ塗料を用いた場合のように、塗装塗
装スペースを必要とせず、また、溶剤による作業環境へ
の影響がない。
【0075】従って、インパネ等の自動車内装、OA器
機、家電等のハウジングや文具等の加飾が簡易に、また
安価にできるものである。
【0076】
【実施例】以下実施例に基づいて本発明を詳細に説明す
る。
【0077】(A)被覆用シートの作成実施例1 ウレタン樹脂(日本ポリウレタン工業(株)製、ニッポ
ラン5120、Tg=−33℃、固形分30%)100
部 中空状のビーズ(エクスパンセル社製、エクスパンセル
DE551、平均粒径40〜60μm)1部 カーボンブラック 4部 以上を攪拌しながら混合した。
【0078】この混合物をABSシート(三宝樹脂工業
(株)製、A106、膜厚500μm、以下ABSシート
という)上に塗工し、80℃で30分間乾燥させることに
より、被覆用シートを得た。得られた被覆用シートの厚
み(ABS以外のシートの厚み)は100μmであっ
た。
【0079】実施例2 ウレタン樹脂(日本ポリウレタン工業(株)製、ニッポ
ラン5232、Tg=8℃、固形分30%)100部 中空状のビーズ(エクスパンセル社製、エクスパンセル
DE551、平均粒径40〜60μm)2部 多孔性無機材料(富士デウ゛ィソン化学(株)製、サイ
ロイド244、平均粒径1.8μm 、吸油量310ミリ
リットル/100g)10部 以上を攪拌しながら混合した。
【0080】この混合物をABSシート(三宝樹脂工業
(株)製、A205、膜厚500μm、以下ABSシート
という)上に塗工し、100℃で3分間乾燥させること
により、被覆用シートを得た。得られた被覆用シートの
厚み(ABS以外のシートの厚み)は100μmであっ
た。
【0081】実施例3 ウレタン樹脂(日本ポリウレタン工業(株)製、ニッポ
ラン5037、固形分45%)100部 イソシアネート(日本ポリウレタン工業(株)製、コロ
ネートHL,固形分75%)10部 硬化触媒(ジブチルチンジラウレート)0.5部 中空状のビーズ(エクスパンセル社製、エクスパンセル
DE551、平均粒径40〜60μm)1部 弾性ビーズ(日本触媒化学工業(株)製、EBS100、アク
リル−ウレタンの弾性ビーズ、平均粒径10μm)80部 酸化チタン 30部 以上を攪拌しながら混合した。
【0082】この混合物をABSシート(三宝樹脂工業
(株)製、A106、膜厚500μm、以下ABSシート
という)上に塗工し、80℃で15分間乾燥させることに
より、被覆用シートを得た。得られた被覆用シートの厚
み(ABS以外のシートの厚み)は100μmであっ
た。
【0083】実施例4 ウレタン樹脂(日本ポリウレタン工業(株)製、ニッポ
ラン5120、Tg=−33℃、固形分30%)100
部 発泡性ビーズ(松本油脂製薬(株)製、松本マイクロス
フェアーF50D、発泡前の粒径10〜20μm )0.
5部 多孔性無機材料(富士デヴィソン化学(株)製、サイロ
イド244、平均粒径1.8μm 、吸油量310ミリリ
ットル/100g)10部 以上を攪拌しながら混合した。
【0084】この混合物をABSシート(三宝樹脂工業
(株)製、A205、膜厚500μm、以下ABSシート
という)上に塗工し、100℃で30分間乾燥させるこ
とにより、被覆用シートを得た。得られた被覆用シート
の厚み(ABS以外のシートの厚み)は100μmであ
った。
【0085】実施例5 ウレタン樹脂(日本ポリウレタン工業(株)製、ニッポ
ラン5230、Tg=−33℃、固形分30%)100
部 発泡性のビーズ(松本油脂製薬(株)製、松本マイクロ
スフェアーM600、粒径20〜50μm )4部 以上を攪拌しながら混合した。
【0086】この混合物をABSシート(三宝樹脂工業
(株)製、A106、膜厚500μm、以下ABSシート
という)上に塗工し、80℃で15分間乾燥させることに
より、被覆用シートを得た。得られた被覆用シートの厚
み(ABS以外のシートの厚み)は100μmであっ
た。
【0087】実施例6 ウレタン樹脂(日本ポリウレタン工業(株)製、ニッポ
ラン5232、Tg=8℃、固形分30%)100部 発泡性のビーズ(松本油脂製薬(株)製、松本マイクロ
スフェアーM600、粒径20〜50μm )1部 多孔性無機材料(富士デヴィソン化学(株)製、サイロ
イド72、平均粒径2.5μm、吸油量220ml/1
00g)10部 以上を攪拌しながら混合した。
【0088】この混合物をABSシート(三宝樹脂工業
(株)製、A205に木目の印刷ををしたシート、膜厚
500μm、以下ABSシートという)上に塗工し、80℃
で30分間乾燥させることにより、被覆用シートを得
た。得られた被覆用シートの厚み(ABS以外のシート
の厚み)は100μmであった。
【0089】実施例7 ウレタン樹脂(日本ポリウレタン工業(株)製、ニッポ
ラン5037、固形分45%)100部 イソシアネート(日本ポリウレタン工業(株)製、コロ
ネートHL、固形分75%)10部 硬化触媒(ジブチルチンジラウレート)0.5部 発泡性のビーズ(松本油脂製薬(株)製、松本マイクロ
スフェアーM600、粒径20〜50μm )4部 多孔性無機材料(富士デヴィソン化学(株)製、サイロ
イド72、平均粒径2.5μm、吸油量220ml/1
00g)20部 酸化チタン 30部 以上を攪拌しながら混合した。
【0090】この混合物をABSシート(三宝樹脂工業
(株)製、A106、膜厚500μm、以下ABSシート
という)上に塗工し、10℃で15分間乾燥させること
により、被覆用シートを得た。得られた被覆用シートの
厚み(ABS以外のシートの厚み)は100μmであっ
た。
【0091】実施例8 ウレタン樹脂(日本ポリウレタン工業(株)製、ニッポ
ラン5120、Tg=−33℃、固形分30%)100
部 発泡性ビーズ(松本油脂製薬(株)製、松本マイクロス
フェアーF50D、発泡前の粒径10〜20μm )4部 弾性ビーズ(日本触媒化学工業(株)製、EBS10
0、アクリル−ウレタンの弾性ビーズ、平均粒径10μ
m )40部 以上を攪拌しながら混合した。
【0092】この混合物をABSシート(三宝樹脂工業
(株)製、A205、膜厚500μm、以下ABSシート
という)上に塗工し、10℃で15分間乾燥させること
により、被覆用シートを得た。得られた被覆用シートの
厚み(ABS以外のシートの厚み)は100μmであっ
た。
【0093】実施例9 アクリル樹脂(ブチルアクリレート、2−ヒドロキシエ
チルアクリレートとヘキサデシルアクリレートとの共重
合体、Mw=100,000、Tg=−20℃、OH価=5、固形
分30%)100部 イソシアネート(武田薬品工業(株)製、タケネートD
170N、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシア
ヌレート、NCO%=20.8%)1.8部(アクリル
樹脂のOH基とイソシアネートのNCO基とが1:1の
量) 発泡性のビーズ(松本油脂製薬(株)製、松本マイクロ
スフェアーM600、粒径20〜50μm )1部 多孔性無機材料(富士デヴィソン化学(株)製、サイロ
イド72、平均粒径2.5μm、吸油量220ml/1
00g)20部 以上を攪拌しながら混合した。
【0094】この混合物をABSシート(三宝樹脂工業
(株)製、A205、膜厚500μm、以下ABSシート
という)上に塗工し、100℃で15分間乾燥させるこ
とにより、被覆用シートを得た。得られた被覆用シート
の厚み(ABS以外のシートの厚み)は100μmであ
った。
【0095】実施例10 フッ素樹脂(エチレンとフロロエチレンの交互共重合
体、Mw=40,000、Tg=−20℃、固形分30%)1
00部 発泡性ビーズ(松本油脂製薬(株)製、松本マイクロス
フェアーF50D、発泡前の粒径10〜20μm )0.
5部 弾性ビーズ(日本触媒化学工業(株)製、EBS10
0、アクリル−ウレタンの弾性ビーズ、平均粒径10μ
m )40部 以上を攪拌しながら混合した。
【0096】この混合物を木目印刷をしたABSシート
(三宝樹脂工業(株)製、A205、膜厚500μm、以
下ABSシートという)上に塗工し、100℃で15分
間乾燥させることにより、被覆用シートを得た。得られ
た被覆用シートの厚み(ABS以外のシートの厚み)は
100μmであった。
【0097】実施例11 シリコーン樹脂(メチルフェニルポリシロキサン(Mw
=100,000)とポリジメチルシロキサンオキシ1.4−フ
ェニレン(Mw=200,000)、両末端に水酸基を有するジ
メチルポリシロキサン(Mw=3,000)のブレンド、Tg
=−40℃、OH価=2、固形分30%)100部 中空状のビーズ(エクスパンセル社製、エクスパンセル
DE551、平均粒径40〜60μm )1部 弾性ビーズ(日本触媒化学工業(株)製、EBS10
0、アクリル−ウレタンの弾性ビーズ、平均粒径10μ
m )80部 以上を攪拌しながら混合した。
【0098】この混合物を木目印刷をしたABSシート
(三宝樹脂工業(株)製、A205、膜厚500μm、以
下ABSシートという)上に塗工し、10℃で15分間
乾燥させることにより、被覆用シートを得た。得られた
被覆用シートの厚み(ABS以外のシートの厚み)は1
00μmであった。
【0099】(B)射出成形 射出成形は図1〜図4に示す射出成形機を用いて以下の
通り行った。この射出成形機は、成形用の凹部10aと
真空に引くための孔10bを有する移動金型10と、凸
部12aを有する固定金型12と、両金型10、12間
に配設されており両金型10、12間から外側へ移動可
能な、真空および圧空のための孔を有する熱盤14と、
樹脂射出機15とを具備している。
【0100】まず、図2〜図3に示すように、上記移動
金型10と熱盤14との間にシート13を配設してシー
ト13を加熱し、該シート13を真空および/または圧
空成形し金型10の凹部10a内面に密着させた。次
に、図3に示すように熱盤14を両金型10、12間か
ら外側へ取り出し、その後、移動金型10を固定金型1
2側へ移動させて金型を閉合する。次いで、樹脂射出機
15からABS樹脂(電気化学工業(株)製、ABS−M
E)を両金型10、12にて形成されるキャビティ内に
射出した。
【0101】射出成形条件としては、樹脂射出機のノズ
ル先端の温度を230℃で行った。成形後、成形品を金型
より取り出して射出成形品を得た。成形後、得られた成
形品表面の被覆用シートの碁盤目試験による密着性(テ
ープ剥離後残った碁盤目の数)と、ソフト感(目視にて
観察)および外観を評価した。その結果を表1〜3に示
す。
【0102】〔比較例〕 (A)被覆用シートの作成比較例1 ABS樹脂シート(三宝樹脂工業(株)製、A205、
膜厚500μm)にソフトタッチ塗料(カシュー(株)
製、セノソフトII)を塗膜厚が50μmになるように塗
布し80℃で30分間加熱硬化した。
【0103】比較例2 ウレタン樹脂(ポリオキシプロピレングリコールとヘキ
サメチレンジイソシアネートの重合体、Tg=−60
℃、固形分30%)100部 多孔性無機材料(富士デヴィソン化学(株)製、サイロ
イド244、平均粒径1.8μm、吸油量310ml/
100g)20部 カーボンブラック 4部 以上を攪拌しながら混合した。
【0104】この混合物をABSシート(三宝樹脂工業
(株)製、A106、膜厚500μm、以下ABSシート
という)上に塗工し、80℃で5分間乾燥させることに
より、被覆用シートを得た。得られた被覆用シートの厚
み(ABS以外のシートの厚み)は100μmであっ
た。
【0105】比較例3 ウレタン樹脂(エチレンアジペートとTDIと1,4−
ブタンジオールの重合体、Tg=30℃、固形分30
%)100部 多孔性無機材料(富士デヴィソン化学(株)製、サイロ
イド244、平均粒径1.8μm、吸油量310ml/
100g)20部 カーボンブラック 4部 以上を攪拌しながら混合した。
【0106】この混合物をABSシート(三宝樹脂工業
(株)製、A106、膜厚500μm、以下ABSシート
という)上に塗工し、80℃で5分間乾燥させることに
より、被覆用シートを得た。得られた被覆用シートの厚
み(ABS以外のシートの厚み)は100μmであっ
た。
【0107】(B)射出成形 比較例1〜3で得られたシートを用いて、実施例1と同
様の方法で成形テストを行った。その結果を表4に示
す。
【0108】
【表1】
【0109】
【表2】
【0110】
【表3】
【0111】
【表4】
【0112】
【発明の効果】本発明によれば、平面状の物品だけでな
く凹凸や曲面を有する射出成形品においても、高いソフ
トタッチ感(スエード調)を有する被膜を形成すること
ができる。従って、従来の塗装スペースの問題や溶剤等
の環境問題がなくなる利点があり、またインパネ等の自
動車内装、OA器機、家電等のハウジングや文具等の各
種射出成形品の加飾が簡易に、また、安価に行える利点
がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】移動金型と固定金型の正面図である。
【図2】移動金型と固定金型との間にシートを取り付け
た熱盤を配した状態を示す正面図である。
【図3】移動金型の凹部内面にシートを貼付けた状態を
示す一部破断正面図である。
【図4】移動金型と固定金型とを閉じて金型内に樹脂を
射出成形している状態を示す正面図である。
【符号の説明】
1 自動車用ランプケース 2 ガラス 3 ランプ 10 移動金型 10a 凹部 12 固定金型 12a 凸部 13 熱可塑性樹脂シート 14 熱盤 15 樹脂射出機

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ガラス転移点が−50℃〜20℃の樹脂
    と、発泡性ビーズおよび/または中空状のビーズと、を
    主成分として含有する樹脂組成物からなる被覆用シート
    を加熱する工程、射出成形用金型の凹部内面に真空成形
    および/または圧空成形により該被覆用シート貼付する
    工程、および、型を締めた後、該金型の凹部内に成形用
    樹脂を射出成形する工程、を包含する射出成形品の製造
    方法。
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