JPH06255046A - 積層用シートおよび積層成形品の製造方法 - Google Patents

積層用シートおよび積層成形品の製造方法

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JPH06255046A
JPH06255046A JP5049146A JP4914693A JPH06255046A JP H06255046 A JPH06255046 A JP H06255046A JP 5049146 A JP5049146 A JP 5049146A JP 4914693 A JP4914693 A JP 4914693A JP H06255046 A JPH06255046 A JP H06255046A
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JP
Japan
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sheet
layer
resin
soft touch
laminated
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Application number
JP5049146A
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English (en)
Inventor
Toshimitsu Tsuji
敏充 辻
Akitaka Miyake
顕隆 三宅
Tomoko Uematsu
朋子 植松
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 多孔性の無機材料とシランカップリング剤と
熱可塑性樹脂と、を主成分として含有する樹脂組成物に
て形成されるソフトタッチ層を有する積層用シートを使
用することにより、ソフトタッチ感を有する積層成形品
を得る。 【構成】 積層用シートは、多孔性の無機材料とシラン
カップリング剤と熱可塑性樹脂と、を主成分として含有
する樹脂組成物にて形成されるソフトタッチ層を有す
る。上記積層用シートを、上記ソフトタッチ層が成形品
の表面側になるように、空気圧成形により型面に展延密
着させ、次に、型のキャビティに成形用樹脂を導入して
シートと一体化することにより、積層成形品が得られ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、オフィスオートメーシ
ョン機器や家電製品等のハウジング、文具等に用いられ
る成形品の製造方法に関し、さらに詳しくは、ソフトタ
ッチ感(スエード調)を有する被覆層が形成された積層
成形品の製造に用いるソフトタッチ層を有する積層用シ
ートと、該積層成形品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチック成形体または金属成形体等
の成形品の表面に、スエード感(ソフトタッチ感)を付
与するために、一般には、スエード調(ソフトタッチ)
塗料が用いられてきた。しかしながら、塗料を用いてス
エード調の被膜を形成する場合には、塗料の粘度や濃度
を調整する必要があり、その作業が煩雑となる。有機溶
剤を用いた塗料では溶剤を乾燥させるブースが必要であ
り、さらに作業環境の汚染及び安全衛生上の問題を生じ
る。
【0003】これらの問題を解決するために、塗料に代
わるシート状のスエード調被覆材料が提案されている。
例えば、特開平2−41243号公報には、ビーズ顔料
を電離放射線硬化樹脂のビヒクルに添加して得られる艶
消し塗料を、成形性のよい基材フィルムの上に塗布し硬
化させてなるスエード調シートが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来のシ
ートは、ABS樹脂、ポリプロピレン等の基材フィルム
上に、電子線によって架橋された樹脂層を設けて形成さ
れるので、シート全体の展延性に劣り、例えば、凹凸や
曲面を有する成形品をシートで被覆する場合に、延伸し
ながら貼付けすることが困難であると同時に、充分なス
エード感を付与することは困難であるという欠点があっ
た。
【0005】ところで、本発明者らは、すでに上記問題
点を改善し、凹凸や曲面を有する成形品においても延伸
しながら貼付けすることが可能であり、成形品表面にソ
フトタッチ感(スエード調)を付与できる積層用シート
とそのシートを用いた積層成形品の製造方法を提案し
た。この積層用シートにおいては、多孔性の無機材料を
含む樹脂組成物からシートが形成されており、多孔性の
無機材料の配合によってシートにソフトタッチ感を付与
するものである。
【0006】ところが、シートが大きく引き延ばされる
成形品表面の凹凸や曲面部分等では、ソフトタッチ感が
必ずしも十分とはいえず、また、多孔性の無機材料の配
合量が少ない場合には、成形品表面に引っかき傷が見ら
れる場合があり、多孔性の無機材料の配合量が多い場合
にはシートが硬くなってその展延性に劣り、また展延時
にシートに亀裂を生じるおそれがあった。
【0007】本発明は上記問題点を解決したものであ
り、その目的とするところは、凹凸や曲面を有する成形
品においても延伸しながら貼付けすることが可能であ
り、特にシートが引き延ばされる凹凸や曲面部分等でも
延伸することによって外観やソフトタッチ感の低下が起
こらないスエード調の被膜を形成することが可能である
積層用シートを用いた積層成形品の製造方法及びその積
層用シートを提供することにある。本発明の他の目的
は、多孔性の無機材料と熱可塑性樹脂との界面強度を高
めることにより、シートが大きく引き延ばされる成形品
表面の凹凸や曲面部分等でも充分にソフトタッチ感を付
与でき、また多孔性の無機材料の配合量を多少変動させ
た場合でも成形品表面の耐擦傷性が大きく低下するとい
うことがなく、またシートに亀裂が生じるのを抑えた積
層用シートを用いた積層成形品の製造方法及びその積層
用シートを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の積層用シート
は、多孔性の無機材料とシランカップリング剤と熱可塑
性樹脂と、を主成分として含有する樹脂組成物にて形成
されるソフトタッチ層を有しており、そのことにより上
記目的が達成される。
【0009】本発明の積層成形品の製造方法は、上記積
層用シートを、上記ソフトタッチ層が成形品の表面側に
なるように、空気圧成形により型面に展延密着させる工
程、および型のキャビティーに成形用樹脂を導入して該
シートと一体化する工程、を包含し、そのことにより上
記目的が達成される。
【0010】(ソフトタッチ層)本発明におけるソフト
タッチ感の発現は、シート表面の微細な凹凸に起因して
表面の接触抵抗が低くされ、このことにより滑らかな感
触が生じるものと推察される。この効果は微細な凹凸の
形成による表面の光の反射率の制御、すなわちグロス制
御にも役立つものである。従って、積層用シートに形成
されているソフトタッチ層とは、そのようなソフトタッ
チ感を表面に有する所定厚みの樹脂層を意味することと
なる。微細な凹凸は、後述するように多孔性を有する無
機材料がシートに配合されていることによって生じ、微
細な凹凸の寸法は、通常1〜50μm である。
【0011】上記ソフトタッチ層が形成される上記樹脂
組成物に含有される熱可塑性樹脂は、主鎖がエチレン系
の結合またはシラノール系の結合から成るもの、あるい
は主鎖の中にウレタン結合、エーテル結合もしくはエス
テル結合があるものが好ましく、その中でもガラス転移
点が-150℃〜50℃の範囲のものが特に好ましい。
【0012】ここで用いる熱可塑性樹脂としては、アク
リル樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、ポリエーテ
ル、ポリエステル、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコ
ール、ポリビニルブチラール等があげられる。
【0013】本発明でいう上記熱可塑性樹脂は、熱可塑
性エラストマーを含めるものとする。
【0014】ここで、熱可塑性エラストマーとは、常温
ではいわゆるゴム弾性を示し、高温では可塑化されて各
種の成形加工が可能な高分子材料を言う。
【0015】その種類は、例えば、ポリウレタン系、ポ
リスチレン系、ポリオレフィン系、ポリエステル系、ポ
リ塩化ビニル系、ポリアミド系、アイオノマー系、フッ
素ゴム系、1,2ポリブタジエン系、トランス1,4ポ
リイソプレン系、合成天然ゴム系などに分類される。
【0016】熱可塑性エラストマーは一般に、分子中に
エントロピー弾性を有するゴム成分(ソフトセグメン
ト)と塑性変形を防止するための分子拘束成分(ハード
セグメント)を共有していることが多く、成形可能な範
囲においては一部架橋構造を有する場合もあるが、広範
囲の3次元網目架橋構造は有していない。
【0017】これら熱可塑性エラストマーの硬さとして
は、得たい感触と、用いる多孔性無機材料の硬さや添加
割合によっても異なるが、一般的にはJIS K630
1のA硬度で20〜98の範囲のものが用いられる。
【0018】上記熱可塑性エラストマーとしては、例え
ば、ポリウレタン系では、ハードセグメントとしてポリ
ウレタン、ソフトセグメントとしてポリエーテル、ポリ
エステル、ポリカーボネートなどを持つブロック共重合
体などがある。ポリスチレン系では、ハードセグメント
としてポリスチレンを、ソフトセグメントとしてポリブ
タジエン、ポリイソプレン、ポリエチレンーポリブチレ
ンを持つブロック共重合体(この順に、SBS、SI
S、SEBS共重合体)や、更にこれに水素添加したも
のや、官能基を付与したものなどがある。
【0019】ポリオレフィン系ではハードセグメントと
してポリプロピレンを持ち、ソフトセグメントとしてエ
チレンを持つものやエチレンと共に少量のジエン成分を
持つもの(順にEPM、EPDM、総称してEPR)、
これらをブレンドして得られたもの、これらに更に有機
過酸化物を添加することにより部分架橋したものや、不
飽和ヒドロキシ単量体、不飽和カルボン酸の誘導体でグ
ラフト変性したもの、その他、ブチルゴムグラフトポリ
エチレンなどがある。
【0020】ポリエステル系では、ハードセグメントと
してポリエステル、ソフトセグメントとしてポリエーテ
ルを持つ共重合体などがある。ポリ塩化ビニル系では、
ポリ塩化ビニルの重合度を極端に上げる(直鎖高重合度
ポリ塩化ビニル、例えば重合度2500程度)方法、ポ
リ塩化ビニルの一部に3次元架橋構造を導入する方法、
イオン架橋構造を導入する方法により得られたものなど
がある。ポリアミド系では、ハードセグメントとしてポ
リアミドを、ソフトセグメントとしてポリエーテルを用
いたものなどがある。
【0021】また、熱可塑性エラストマーの種類の選択
は、積層用シートとして得たい性能を考慮して、例えば
耐クラック性、耐摩耗性が必要な場合はウレタン系の熱
可塑性エラストマーが好ましく用いられる。
【0022】本発明の積層用シートは、キャスティング
製膜法、押出成形法、反応製膜法等によって樹脂組成物
から製造することができる。例えば、その一例としての
キャスティング製膜法において、熱可塑性エラストマー
として好適に用いられるウレタン樹脂について詳細に説
明する。
【0023】ウレタン樹脂は、積層用シートにソフトタ
ッチ感と耐擦傷性を付与するために、ガラス転移点(T
g)が−50℃〜20℃の範囲のものが好ましい。ガラ
ス転移点が−50℃未満のウレタン樹脂を使用した場合
および20℃を超えるウレタン樹脂を使用した場合に
は、それぞれソフトタッチ感が不良となる。
【0024】ウレタン樹脂には直鎖タイプ(高分子量タ
イプ)と架橋タイプ(反応製膜タイプ)とがあるがいず
れも使用することができる。
【0025】直鎖タイプのウレタン樹脂を使用する場合
は、樹脂組成物をそのままキャスティング法により成膜
して積層用シートを作成する方法、キャスティング成膜
時に重合させて積層用シートを作成する方法がある。架
橋タイプのウレタン樹脂を使用する場合は、上記後者の
方法でシート化するのが好ましい。
【0026】そのようなウレタン樹脂は、通常ジイソシ
アネートとジオールと鎖延長剤とを反応させて得られ
る。ジイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイ
ソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナ
フタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネー
ト、p-フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソ
シアネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキ
サン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、リジ
ンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネート、テトラメチルキシリ
レンジイソシアネート、トリメトルヘキサメチレンジイ
ソシアネート等が挙げられ、ジオールとしては、ポリエ
ステルジオール(縮合系ポリエステルジオール、ラクト
ン系ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール
等)、ポリエーテルジオール等が挙げられ、鎖延長剤と
しては、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、ハ
イドロキノンジエチロールエーテル等があげられる。
【0027】シートをキャスティングにより製造する場
合には、上記材料を予め溶液中で重合させてウレタン樹
脂を得ることができる(この反応を促進させるためジブ
チルチンジラウレート等の触媒が添加される場合もあ
る)。この場合、ウレタン樹脂は、その重量平均分子量
が20,000〜3,000,000の範囲のものが好ましい。重量平
均分子量が20,000を下回るとシート展延時にシートに亀
裂が入りやすい。重量平均分子量が3,000,000を上回る
と樹脂の溶剤への溶解がしにくくなり、例えば溶剤キャ
スティングによってシートを作成する場合には溶剤粘度
が高くなるので樹脂を低濃度でしかキャスティングでき
ず、そのため厚膜のシートを作成するのに多大な費用が
かかることになる。また、キャスティング時にウレタン
樹脂の材料を重合させる場合は、前述の低分子材料やそ
れらの重合した高分子材料を用い、さらに、2官能のイ
ソシアネートを加え成膜時の熱で重合させて積層用シー
トを作成することができる。
【0028】架橋タイプ(反応製膜タイプ)のウレタン
樹脂を使用してシートを作成する場合には、前述のキャ
スティング時に重合させる場合と同様に低分子材料やそ
れらの重合した高分子材料を用い、さらに、少なくとも
3官能以上のイソシアネートを加え成膜時の熱で重合さ
せて積層用シートを作成すればよい。これら少なくとも
3官能以上のイソシアネートは、シートの展延(曲面追
従性)が可能な範囲で加えるものである。このようなイ
ソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソ
シアネートのイソシアヌレート体やトリメチロールプロ
パン付加体等があげられる。このように一部架橋された
ウレタン樹脂を用いることにより、積層用シートの耐溶
剤性を向上することもできる。さらに、イソシアネート
に加えてメラミ架橋剤も用いてもよい。これら各材料の
添加量は、シート成形時の溶融粘度の適正範囲内で行わ
れる。
【0029】熱可塑性樹脂としてアクリル樹脂を用いる
場合は、上記ウレタン樹脂で説明したと同様な材料設計
の範囲内で行うことができる以外に、アクリル樹脂に、
ビニル基等の反応性二重結合を有する材料と光開始剤と
を添加しておき、溶融粘度を調節し、さらに光照射して
表面を硬化させてもよい。上記樹脂組成物が可塑剤を含
む場合は、上記以外の樹脂、例えば、高分子量のものや
架橋が進んだものを使用することもできる。
【0030】上記樹脂組成物に含有される上記多孔性の
無機材料とは、例えば、含水ケイ酸(SiO2・xH
2O、所謂シリカゲル)や含水ケイ酸アルミニウム(A
23・9SiO2・xH2O)や天然のけいそう土等が
あげられる。一般的にホワイトカーボンと言われるもの
が好ましく用いられる。水分は1〜10重量%を含むの
が好ましい。これら無機材料は、その平均粒子径が30
μm以下のものが好ましく、さらに好ましくは1〜20
μmである。粒系が20μmより大きくなると、得られ
たソフトタッチ層表面の凹凸が大きくなり、優れたソフ
トタッチ感が得られ難くなり、またシート延伸時に、そ
の表面に亀裂が生じ易くなる。
【0031】また、多孔性材料には吸油量という数値が
ある。これは用いるバインダー(例えば、ウレタン樹
脂)の性質により異なるが、例えば、用いるバインダー
と多孔性材料との相溶性が良好である場合にはバインダ
ーが多孔性材料に多く保持されるので、吸油量が50m
l/100g以上のものが好ましく、さらに好ましくは
100〜400である。吸油量が50ml/100gを
下回るとシート表面を凹凸にするために多孔性の無機材
料を多く添加する必要があり塗膜が硬いものとなって、
優れたソフトタッチ感が得られなくなる。
【0032】従って、多孔性の無機材料の添加量は、得
られるシートの膜厚等によっても異なるが、例えば膜厚
100μmのシートを得る場合は、上記の多孔性の無機
材料を用いた場合、バインダー100重量部に対して1
0〜40重量部添加するのが好ましい。添加量が10重
量部を下回ると十分にソフトタッチ層表面を凹凸にする
ことができず優れたソフトタッチ感(滑り感・・・摩擦係
数の低下)が得られない。添加量が多いと、シート延伸
時に、その表面に亀裂が生じ易くなる。これら多孔性の
無機材料は1種に限らず、2種以上を併用してもよい。
また、ソフトタッチ感を更に高めるために、これら多孔
性の無機材料と共に弾性ビーズを添加してもよい。
【0033】上記シランカップリング剤とは、多孔性の
無機材料のシラノール基および熱可塑性樹脂と反応する
ことにより、多孔性の無機材料と熱可塑性樹脂との界面
強度を増加させる作用を持つもので、例えば分子内にア
ミノ基、エポキシ基、イソシアネート基、ビニル基、メ
ルカプト基等の官能基と、加水分解可能な官能基を有す
るシラン系化合物が挙げられる。これらのシランカップ
リング剤の具体的な例として、3−アミノプロピルトリ
エトキシシラン、Nー(2−アミノプロピルトリメトキ
シシラン、3−グリコキシプロピルジメチルシラン、β
−3、4エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシ
ラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン
等が挙げられ、これらの2種以上を併用しても良い。
【0034】これらのシランカップリング剤は、多孔性
の無機材料100重量部に対し0.1〜3重量部添加す
るのが好ましい。0.1重量部未満では効果が発揮でき
ず、3重量部を超えると未反応のシランカップリング剤
が多く残留しシートの展延性等が低下する。
【0035】上記シランカップリング剤と樹脂とを反応
させるには、樹脂末端および/または側鎖の官能基と反
応させる方法と、ラジカル発生剤を用い樹脂にラジカル
を発生させた後、シランカップリング剤と反応させる方
法がある。上記ラジカル発生剤には有機過酸化物あるい
はアゾ化合物が挙げられる。アゾ化合物としてはアゾビ
スイソブチロニトリル、ジメチルアゾイソブチレート等
が挙げられるが、有機過酸化物を用いる方が好ましい。
有機過酸化物としてはジクミルパーオキサイド、2,5
−ジメチルー2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキ
サン等が好適である。
【0036】本発明で熱可塑性樹脂が有する官能基とシ
ランカップリング剤とを反応させて多孔性の無機材料を
処理する場合、該表面処理の方法としては、多孔性の
無機材料にシランカップリング剤を噴霧または滴下し混
合した後、80℃〜150℃の温度で30分〜2時間程
度乾燥させた後、熱可塑性樹脂と混合し処理を行う方
法、多孔性の無機材料、熱可塑性樹脂およびシランカ
ップリング剤を同時に混合し、80℃〜150℃の温度
で30分〜2時間程加熱を行い、処理を行う方法などが
ある。
【0037】本発明に用いられる樹脂組成物には、さら
に必要に応じて顔料、染料等の着色剤、酸化防止剤等の
材料が添加される。上記着色剤は塗料で用いられる顔
料、染料が使用し得る。顔料では、酸化チタン、酸化
鉄、カーボンブラック、シアニン系顔料、キナクリドン
系顔料等がある。染料ではアゾ系染料、アントラキノン
系染料、インジゴイド系染料、スチルベンゼン系染料等
がある。また、アルミフレーク、ニッケル粉、金粉、銀
粉等の金属粉等を着色剤として用いてもよい。これら材
料はできるだけ微粒子のものが好ましい。これらの添加
量は、高隠ぺい性を有する着色剤を用いる場合には、熱
可塑性樹脂の固形分100重量部に対して、2〜400
重量部の範囲が好ましい。しかし、これら着色剤を加え
ると多孔性無機材料によって付与されるソフトタッチ感
が異なることがあるので、着色剤を加えた系では多孔性
の無機材料の量が変わることがある。
【0038】本発明の積層用シートに種々の機能を付与
するために各種機能性付与材が添加され得る。上記各種
機能性付与材とは、公知の導電性材料、結露防止剤、フ
ォトクロミック化合物、防錆剤等がある。
【0039】(積層用シートの作成)上記各材料を混練
して得られた樹脂組成物からソフトタッチ層(基層)が
作成され、シートが単層である場合には、このソフトタ
ッチ層がそのまま積層用シートとされ、シートが複数層
からなっている場合には、例えば、以下のような形態が
ある。
【0040】基層と、該基層の裏面に積層された裏面
層とを有するシート。
【0041】この裏面層は、シートの取り扱い性をさら
に向上するためや、該シートを射出成形に用いる場合に
は積層用シートと射出成形用樹脂との密着性を向上する
ため、あるいは射出成形用樹脂の剪断応力に耐え得るよ
う補強するために設けられる。基層と裏面層との密着性
が悪い場合には、両層の間にプライマー層が設けられて
いてもよく、また裏面層は複数層設けられていてもよ
い。
【0042】本発明の積層用シートは、必要に応じ引き
伸ばして被着体に貼り付けられるので、これらの裏面層
(およびプライマー層)は、常温または少なくとも加熱
下で、展延性を有するフィルムで構成されることが好ま
しい。
【0043】上記裏面層に用いられる樹脂としては、例
えば、基層に用いられる熱可塑性樹脂、ポリスチレン、
アクリル系ポリマー、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニ
ル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS共重合体
(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合
体)、変性ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンサ
ルファイド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテ
ルケトン、アイオノマー等があげられる。
【0044】基層と該基層の裏面側に積層された発泡
樹脂層とを有するシート。
【0045】この発泡樹脂層は、ソフトタッチ層の裏面
側に直接積層されても良く、もしくは上記で示したシ
ートの裏面側に積層されても良い。上記発泡樹脂層を構
成する材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリスチレン、ウレタン樹脂、ポリ塩化ビニ
ル、各種熱可塑性樹脂樹脂等の発泡可能な樹脂材料があ
げられる。
【0046】基層または上記で得られたシートと、
該シートの片面(のシートの場合は裏面層の外面)に
積層された接着剤層とを有するシート。
【0047】上記接着剤層に用いられる接着剤として
は、感圧型接着剤、ホットメルト型接着剤、後硬化型接
着剤が好適に用いられる。これらの接着剤の混合物を用
いてもよい。シートと被着体の材質により1種類の接着
剤で良好な接着を満足できない場合等は、複数の異なる
種類の接着剤層を順次積層させてもよい。また、プライ
マー層としては、積層する樹脂の性質に合わせて用いら
れ、例えば、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレ
フィンが使用できる。
【0048】上記感圧接着剤には、例えばゴム系、アク
リル系、シリコーン系等の粘着剤がある。ホットメルト
系接着剤には、例えばエチレン−酢酸ビニル系共重合体
(EVA)系、スチレン−イソプレン−スチレンブロク
共重合体(SIS)系等がある。後硬化型の接着剤に
は、例えばマイクロカプセル硬化型の接着剤があり、そ
の素材としては、例えば未架橋型不飽和ポリエステル系
接着剤、未架橋型アクリル系接着剤等がある。
【0049】上記、またはで得られたシート
と、該シートの表面に積層された保護層とを有するシー
ト。
【0050】保護層は、シートの保存時及び使用時にお
ける形状保持性と貼付後の表面保護性を付与するために
積層される。本発明の積層用シートは必要に応じ引き伸
ばして被着体に貼り付けられるので、保護層は常温また
は少なくとも加熱下で展延性を有するフィルム(例え
ば、熱可塑性樹脂フィルムやゴムフィルム)で構成され
る方が好ましい。
【0051】上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリ
塩化ビニル、ポリウレタン、アクリル系樹脂、ポリエス
テル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、
ポリプロピレン等があげられる。上記ゴムとしては、例
えば、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ニトリル−
ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ク
ロロプレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、アク
リルゴム等があげられる。これら熱可塑性樹脂およびゴ
ムとの組成物を用いることもでき、あるいは、両フィル
ムを積層してもよい。
【0052】これらの保護層は、シートを被着体の表面
に貼り付けるまでの間、あるいは被着体を使用するまで
の間の保護層として用いてもよい。保護層の表面にエン
ボスや模様を付けておくと、保護層を剥離した後でシー
トの表面形状(外観)を変えることもできる。
【0053】上記基層の厚さは10〜1,000μm であるの
が好ましく、上記〜で得られた積層用シートの厚み
は、貼付ける部位または表面状態により異なるが、20〜
3,000μm程度が好ましい。特に接着剤層(プライマー
層)の厚さは2〜100μmが好ましい。
【0054】(積層成形品の製造方法)本発明に係る積
層成形品の製造方法とは、積層用シートを空気圧成形し
た後、型内に樹脂を導入し、バッチ式に成形を行うもの
であり、例えば、射出成形、スタンピング成形、プレス
成形、シートモールディング等がある。
【0055】典型的には、雌型に設けられた型面に空気
圧成形、即ち真空および/または圧空成形により本発明
の積層用シートを溶融密着させ、その後樹脂を射出する
ことで積層成形品が製造される。
【0056】以下、図面を用いて、積層成形品の製造方
法を説明する。
【0057】図1〜図4は積層成形品の製造方法に使用
する射出成形装置の一例を示したものであり、この装置
は雌型4と、凸部9を有する雄型8と、雌型4および雄
型8で形成されるキャビティ5内に樹脂を供給するため
の射出成形機(図示せず)と、シート1を加熱するため
の加熱盤2とを備えている。加熱盤2は、雌型4の型面
に対して近接離間自在に構成され、この加熱盤2を駆動
するための駆動手段(図示せず)が設けられている。
【0058】図2および図3に示すように、上記雌型4
には型面に開口する通気口4aと、雌形4の枠部7の上
端面に開口する通気口4bが設けられている。雄型8の
凸部9には射出成形機から射出された樹脂12を上記キ
ャビティ5内に供給するためのゲート6が設けられてい
る。また、上記加熱盤2には吸引口2aが設けられ、そ
の下面にシート1を吸引できるようになっている。
【0059】このような装置を用いて積層成形品を製造
するには、まず図1に示すように加熱盤2の通気口2a
から吸引した状態でシート1を加熱盤2の下面に密着さ
せてシート2を加熱する。ここで、シート1は加熱盤2
からの熱により加熱されて展延性が増大することにな
る。この状態で、図2に示すように加熱盤2を雌型4の
型面上に配置することによって、シート1のソフトタッ
チ層側の端部を雌型4の枠部7の上端面に接触させる。
この時、枠部7の上端面に設けられた吸引口4bから吸
引することによって、シート1の端部を雌型4の上端面
に固着させるのがよい。
【0060】次に、図3に示すように、雌型4内の吸引
口4aからキャビティ内の気体を吸引するとともに、加
熱盤2に設けられた通気口2aから圧空することによ
り、キャビティ5内を減圧状態としてシート1を雌型4
のキャビティ4内面に密着させる。次に、シート1から
加熱盤2を離して雌型4の側方へ移動させる。なお、加
熱盤2をシート1から離す時には、加熱盤2に設けられ
た通気口2aから気体を吹き出すことにより、シート1
の分離が容易に行えるようにしてもよい。
【0061】次に、図4に示すように、雄型8を雌型4
に嵌合させ、両金型4、8で形成されるキャビティ5内
に、射出成形機(図示しない)よりゲート6を通して樹
脂12を注入し積層成形品が得られる。なお、雌型4に
設けた吸引孔4aの開口は、出き上がった成形品の目だ
たない部分に設けるのが好ましい。
【0062】上記射出成形用樹脂については、従来から
射出成形に用いられる材料であればどのような材料でも
可能である。例えば、ポリスチレン、アクリル系ポリマ
ー、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ABS(アクリロニトリル−ブタ
ジエン−スチレン共重合体)、変性ポリフェニレンオキ
シド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミ
ド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンサルフ
ァイド、液晶ポリマー、ガラス繊維強化ポリエステル、
ガラス繊維強化エポキシ、ガラス繊維強化アクリル樹
脂、イソシアネートとグリコール系化合物との混合物等
がある。
【0063】積層成形品は上記した以外の装置を用い、
および上記以外の方法によっても製造することができる
が、いずれの製造方法においても、型内にシートを導入
し(好ましくは、シートを加熱溶融させ展延した状態で
導入し)て型面に密着し、その状態で樹脂を型内に導
入、型締めして製造するか、型内にシートを導入した後
型締めし、その状態で樹脂を型内に導入して製造する。
【0064】
【作用】本発明の積層用シートは、多孔性の無機材料と
熱可塑性樹脂とを有する樹脂組成物から形成されるソフ
トタッチ層を有しており、従って、シートを基材表面に
貼付けするだけで、容易に表面にソフトタッチ感が付与
された積層成形品を得ることができる。
【0065】この積層用シートを用いるときは、シート
の延伸部においても外観変化やソフトタッチ感の低下を
生じないために、凹凸を有する積層成形品の製造におい
ても外観の均一な被膜を形成することが可能となる。
【0066】特に、上記ソフトタッチ層は、多孔性の無
機材料と熱可塑性樹脂とシランカップリング剤とを含有
する樹脂組成物から形成されているため、多孔性の無機
材料と樹脂との界面強度は大きくなる。従って、シート
が大きく引き延ばされる凹凸や曲面部分等でも外観変化
やソフトタッチ感の低下が起こらない被膜を形成するこ
とが可能となり、さらに耐擦傷性、耐熱性等の性能も向
上することが可能となる。
【0067】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明
する。
【0068】なお、以下の実施例で「部」は「重量部」
を意味する。
【0069】(A)積層用シートの作成 (実施例1) ウレタン樹脂(日本ポリウレタン工業(株)製、SH7
03、Tg=−21℃、固形分30%)100部 多孔性無機材料(富士デヴィソン化学(株)製、サイロ
イド244、含水ケイ酸塩、平均粒子径1.8μm 、吸油
量310ml/100g) 20部 シランカップリング剤(日本ユニカー(株)製、A−1
87、3−グリコキシプロピルジメチルシラン) 0.
5部 溶剤(トルエン/イソプロピルアルコール=4/1)
150部 上記各材料のうち、先ず無機材料をシランカップリング
剤で処理した後、以上の各材料を攪拌しながら混合し
た。得られた混合物をTPO(オレフィン系熱可塑性エ
ラストマー)(三井化学工業(株)製、ミラストマー8
030N)80部とリニアーローデンシティーポチエチ
レン(LLPE)20部とをカレンダー成形することに
より得られたシート(膜厚500μm))上に塗工し、80
℃で60分間乾燥させることにより、ソフトタッチ層を形
成した。
【0070】このようにして得られたTPOシート上に
ソフトタッチ層が積層された積層用シートの厚み(TP
O以外のシートの厚み)は100μmであった。
【0071】(実施例2) ウレタン樹脂(日本ポリウレタン工業(株)製、SH7
03、Tg=−21℃、固形分30%)100部 多孔性無機材料(富士デヴィソン化学(株)製、実施例
1で用いたのと同じサイロイド244) 20部 シランカップリング剤(チッソ(株)製、I7840、
3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラ ン)
0.2部 溶剤(トルエン/イソプロピルアルコール=4/1)
150部 先ず無機材料をシランカップリング剤で処理した後、以
上を攪拌しながら混合した。得られた混合物をTPOシ
ート(膜厚500μm)上に塗工し、80℃で60分間乾燥さ
せることにより、ソフトタッチ層を形成した。
【0072】このようにして得られたTPOシート上に
ソフトタッチ層が積層された積層用シートの厚み(TP
O以外のシートの厚み)は100μmであった。
【0073】(実施例3) ウレタン樹脂(日本ポリウレタン工業(株)製、SH7
03、Tg=−21℃、固形分30%)100部 多孔性無機材料(富士デヴィソン化学(株)製、サイロ
イド72、含水ケイ酸塩、平均粒子径2.5μm 、吸油量2
20ml/100g) 25部 シランカップリング剤(日本ユニカー(株)製、A−1
87、3−グリコキシプロピルジメチルシラン) 0.
2部 溶剤(トルエン/イソプロピルアルコール=4/1)
120部 先ず無機材料をシランカップリング剤で処理した後、以
上を攪拌しながら混合した。得られた混合物をTPOシ
ート(膜厚500μm)上に塗工し、80℃で60分間乾燥さ
せることにより、ソフトタッチ層を形成した。
【0074】このようにして得られたTPOシート上に
ソフトタッチ層が積層された積層用シートの厚み(TP
O以外のシートの厚み)は100μmであった。
【0075】(実施例4) ウレタン樹脂(日本ポリウレタン工業(株)製、SH7
03、Tg=−21℃、固形分30%)100部 多孔性無機材料(日本シリカ工業(株)製、ニップシル
NS、含水ケイ酸塩、平均粒子径9μm 、吸油量220〜26
0ml/100g) 10部 シランカップリング剤(日本ユニカー(株)製、A−1
87、3−グリコキシプロピルジメチルシラン) 0.
1部 溶剤(トルエン/イソプロピルアルコール=4/1)
150部 先ず無機材料をシランカップリング剤で処理した後、以
上を攪拌しながら混合した。得られた混合物をTPOシ
ート(膜厚500μm)上に塗工し、80℃で60分間乾燥さ
せることにより、ソフトタッチ層を形成した。
【0076】このようにして得られたTPOシート上に
ソフトタッチ層が積層された積層用シートの厚み(TP
O以外のシートの厚み)は100μmであった。
【0077】(B)射出成形による積層成形品の製造 上記実施例1〜4で得られた積層用シートを用いて射出
成形を行った。
【0078】用いた金型のキャビティ5の形状を図5
に、雌型4の平面図を図6に示す。キャビティ5は半円
球状の突出部5aを有している。図5および図6に示す
各部材の寸法は(mm)次の通りである。
【0079】L1=90、L6=20、L7=60、L8=7
0、L9=150、L10=15、L11=15、L12=30、
L13=50、L14=20、R1=30、L21=10、L22=1
0。
【0080】成形は図1から図4に示す装置を用いて以
下のように行った。
【0081】シート1を加熱盤2の下面に吸着しなが
ら加熱し、雌型4の上方位置まで移動した(図1)。
【0082】加熱盤2を雌型4の上面に配置し、シー
ト1を枠部7の上端面に、そのソフトタッチ層側が接触
するように密着させ、加熱盤2の吸引を停止した(図
2)。 雌型4に設けられた通気孔4aから吸引すると共に、
加熱盤2に設けられた通気孔2aからの圧空によりシー
ト1をキャビティ5内面に密着させた(図3)。
【0083】型締めした後、キャビティ5内にポリプ
ロピレン(三菱油化(株)製、ハイポールX−25)を
230℃で射出した(図4)。
【0084】各実施例および比較例におけるシートの成
形条件、得られた積層成形品のソフトタッチ感および耐
擦傷性の結果を表1に示す。
【0085】(ソフトタッチ感の評価)ソフトタッチ感
の評価は、下記パネラーが成形品表面に手を触れたとき
の感触による官能試験により行い、パネラーの評価点の
合計が55点以上であるとき良好とした。
【0086】パネラー:年齢15〜40才の男女計20
名 評価点:3…ソフトな感じがする 2…ややソフトな感じがする 1…ソフトな感じがしない (耐擦傷性試験)擦傷性の評価は、(株)東洋精機製作
所製テイバー式スクラッチテスターを用い、各実施例の
シートを使用して得られた積層成形品の平面部における
引っかき強さ試験で行った。
【0087】試験条件:モーター回転数を0.5〜1.
0rpmとして、所定荷重で引っかき強さ試験を行い、
目視により表皮の傷がわずかに認められるが、目立たな
い時の荷重を求めた。
【0088】それらの結果を表1に示す。
【0089】
【表1】
【0090】<比較例> (A)積層用シートの作成 (比較例1)カレンダー成形したABS樹脂シートにソ
フトタッチ塗料(カシュー(株)製、セノソフトII)を
塗布し80℃で30分間加熱硬化して塗膜厚が50μmのソフ
トタッチ層を形成した。
【0091】(比較例2) ウレタン樹脂(日本ポリウレタン工業(株)製、SH7
03、Tg=−21℃、固形分30%)100 部 多孔性無機材料(富士デヴィソン化学(株)製、サイロ
イド72、含水ケイ酸塩、平均粒子径2.5μm 、吸油量2
20ml/100g) 25部 溶剤(トルエン/イソプロピルアルコール=4/1)
120部 以上を攪拌しながら混合した。得られた混合物をTPO
シート(膜厚500μm)上に塗工し、80℃で60分間乾燥
させてソフトタッチ層を形成した。
【0092】このようにして得られたTPOシート上に
ソフトタッチ層が積層された積層用シートの厚み(TP
O以外のシートの厚み)は100μmであった。
【0093】(比較例3) ウレタン樹脂(日本ポリウレタン工業(株)製、SH7
03、Tg=−21℃、固形分30%)100 部 多孔性無機材料(日本シリカ工業(株)製、ニップシル
NS、含水ケイ酸塩、平均粒子径9μm 、吸油量220〜26
0ml/100g) 10部 溶剤(トルエン/イソプロピルアルコール=4/1)
150部 以上を攪拌しながら混合した。得られた混合物をTPO
シート(膜厚500μm)上に塗工し、80℃で60分間乾燥
させてソフトタッチ層を形成した。
【0094】このようにして得られたTPOシート上に
ソフトタッチ層が積層された積層用シートの厚み(TP
O以外のシートの厚み)は100μmであった。
【0095】(B)射出成形 実施例1と同様にして成形テストを行った。その結果を
表2に示す。
【0096】
【表2】
【0097】比較例1のシートについては、成形温度1
40℃で、圧空真空成形を行ったが、シート半球部に亀
裂が生じ、成形は不可能であった。
【0098】
【発明の効果】本発明の積層用シートは、展延性に優れ
ているので、平面状の物品だけでなく凹凸や曲面を有す
る成形品を成形する場合にも、亀裂を生じることなくソ
フトタッチ感(スエード調)を有する被膜を成形品表面
に形成することができる。
【0099】さらに、本発明の積層用シートは、シート
内に配合された多孔性の無機材料と樹脂との界面強度が
従来に比べて大きいので、シートが大きく引き延ばされ
る凹凸や曲面部分等でも外観変化やソフトタッチ感の低
下が起こらない被膜を形成することが可能となり、さら
に耐擦傷性、耐熱性等の性能も向上することが可能とな
る。
【0100】従って、従来の塗装スペースの問題や溶剤
等の環境問題がなくなる利点があり、またオフィスオー
トメーション機器、家電等のハウジングや文具等の各種
プラスチック成形体の加飾が容易にまた安価に行える利
点がある。また、本発明の積層成形品の製造方法によれ
ば、これら成形品の製造がきわめて容易に、従って安価
に行える利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層成形品の製造方法の一実施態様を
説明する断面図であり、本発明の積層用シートを、射出
成形装置の加熱盤に吸着させた状態を示す。
【図2】本発明の積層成形品の製造方法の一実施態様を
説明する断面図であり、本発明の積層用シートを、射出
成形装置の雌型上面に配置した状態を示す。
【図3】本発明の積層成形品の製造方法の一実施態様を
説明する断面図であり、本発明の積層用シートを、射出
成形装置の雌型のキャビティ内面に貼り付けた状態を示
す。
【図4】本発明の積層成形品の製造方法の一実施態様を
説明する断面図であり、射出成形装置を型締めした後、
キャビティ内に成形用樹脂を射出した状態を示す縦断面
図である。
【図5】(a)は本発明の実施例に用いられる積層成形
品の製造装置のキャビティ形状の輪郭を示す平面図であ
る。(b)はそのキャビティ形状の輪郭を示す側面図で
ある。(c)はそのキャビティ形状の輪郭を示す側面図
である。
【図6】本発明の実施例に用いられる積層成形品の製造
装置の雌型の平面図である。
【符号の説明】
1 積層用シート 2 加熱盤 4 雌型 5 キャビティ 8 雄型 12 成形用樹脂
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29C 45/16 7344−4F B32B 5/18 31/20 7639−4F // B29K 105:04 105:16 B29L 9:00 4F

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多孔性の無機材料とシランカップリング
    剤と熱可塑性樹脂と、を主成分として含有する樹脂組成
    物にて形成されるソフトタッチ層を有する積層用シー
    ト。
  2. 【請求項2】 多孔性の無機材料とシランカップリング
    剤と熱可塑性樹脂と、を主成分として含有する樹脂組成
    物にて形成されるソフトタッチ層を有する積層用シート
    を、前記ソフトタッチ層が成形品の表面側になるよう
    に、空気圧成形により型面に展延密着させる工程、およ
    び型のキャビティーに成形用樹脂を導入して該シートと
    一体化する工程、を包含する積層成形品の製造方法。
JP5049146A 1993-03-10 1993-03-10 積層用シートおよび積層成形品の製造方法 Pending JPH06255046A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004263440A (ja) * 2003-02-28 2004-09-24 Kobayashi Pharmaceut Co Ltd 排水口用フィルタの製造方法及び製造装置
JP2017043560A (ja) * 2015-08-27 2017-03-02 株式会社クラレ 含窒素有機ケイ素化合物および樹脂組成物

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