JP3135397B2 - 積層用シートおよび積層成形品の製造方法 - Google Patents

積層用シートおよび積層成形品の製造方法

Info

Publication number
JP3135397B2
JP3135397B2 JP34404792A JP34404792A JP3135397B2 JP 3135397 B2 JP3135397 B2 JP 3135397B2 JP 34404792 A JP34404792 A JP 34404792A JP 34404792 A JP34404792 A JP 34404792A JP 3135397 B2 JP3135397 B2 JP 3135397B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sheet
resin
soft touch
mold
laminated
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP34404792A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH06190986A (ja
Inventor
朋子 植松
敏充 辻
顕隆 三宅
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Priority to JP34404792A priority Critical patent/JP3135397B2/ja
Publication of JPH06190986A publication Critical patent/JPH06190986A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3135397B2 publication Critical patent/JP3135397B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、オフィスオートメーシ
ョン機器や家電製品等のハウジング、文具等に用いられ
る成形品の製造に使用する積層用シート、およびこの積
層用シートを使用して積層成形品を製造する方法に関
し、さらに詳しくは、ソフトタッチ感(スエード調)を
有する被覆用層が形成された積層成形品の製造に用いる
ソフトタッチ層を有する積層用シートと、該積層成形品
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチック成形体または金属成形体等
の成形品の表面に、スエード感(ソフトタッチ感)を付
与するために、一般には、スエード調(ソフトタッチ)
塗料が用いられてきた。しかしながら、塗料を用いてス
エード調の被膜を形成する場合には、塗料の粘度や濃度
を調整する必要があり、その作業が煩雑となる。有機溶
剤を用いた塗料では溶剤を乾燥させるブースが必要であ
り、さらに作業環境の汚染及び安全衛生上の問題を生じ
る。
【0003】これらの問題を解決するために、塗料に代
わるシート状のスエード調被覆材料が提案されている。
例えば、特開平2−41243号公報には、ビーズ顔料
を電離放射線硬化樹脂のビヒクルに添加して得られる艶
消し塗料を、成形性のよい基材フィルムの上に塗布し硬
化させてなるスエード調シートが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来のシ
ートは、ABS樹脂、ポリプロピレン等の基材フィルム
上に、電子線によって架橋された樹脂層を設けて形成さ
れるので、シート全体の展延性に劣り、例えば、凹凸や
曲面を有する成形品をシートで被覆する場合に、延伸し
ながら貼付けすることが困難であると同時に、弾力性に
欠けるという欠点があった。また、上記ビーズ顔料は球
形であるために、充分なスエード感を付与することは困
難であった。
【0005】本発明は上記問題点を解決したものであ
り、その目的とするところは、凹凸や曲面を有する成形
品においても延伸しながら貼付けすることが可能であ
り、特にシートが引き延ばされる凹凸や曲面部分等でも
延伸することによって外観やソフトタッチ感の低下が起
こらないスエード調の被膜を形成することが可能であ
る、積層用シートと、そのシートを用いた積層成形品の
製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の積層用シート
は、熱可塑性エラストマー製基材シートと、該基材シー
ト上に積層一体化されたソフトタッチ層と、を有する積
層用シートであって、該ソフトタッチ層は、弾性を有す
る熱硬化性樹脂の硬化物を粉砕して得られた弾性微粒子
と、熱可塑性ウレタン樹脂と、を含有する樹脂組成物か
らなり、そのことにより上記目的が達成される。
【0007】本発明の積層成形品の製造方法は、上記積
層用シートを、ソフトタッチ層が金型の型面に沿って接
触するように金型の型面に展延密着させる工程、および
金型内に成形用樹脂を導入して該積層用シートと一体化
する工程、を包含し、そのことにより上記目的が達成さ
れる。
【0008】本発明におけるソフトタッチ感の発現は、
シート表面の微細な凹凸に起因して滑らかな感触が生じ
るものと推察される。この効果は微細な凹凸の形成によ
る表面の光の反射率の制御、すなわちグロス制御にも役
立つものである。従って、積層用シートに形成されてい
るソフトタッチ層とは、そのようなソフトタッチ感を表
面に有する所定厚みの樹脂層を意味することとなる。微
細な凹凸は、後述するように弾性微粒子がシートに配合
されていることによって生じ、微細な凹凸の寸法は、通
常1〜50μm である。
【0009】(ソフトタッチ層) 上記ソフトタッチ層が形成される上記樹脂組成物に含有
される樹脂は、熱可塑性ウレタン樹脂である。
【0010】また、積層用シートは室温でもしくは加熱
軟化させて延伸させることにより、シート表面のソフト
タッチ層の凹凸を効果的に発現させるため、シート成形
時この樹脂組成物の溶融粘度は20〜500ポイズとなるも
のが好ましい。ただし、この範囲は該弾性微粒子等の添
加量により多少変化する。
【0011】上記熱可塑性ウレタン樹脂について、以下
に詳細に説明する。
【0012】ウレタン樹脂は、積層用シートのソフトタ
ッチ感と耐擦傷性を付与するために、ガラス転移点(T
g)が−50℃〜20℃の範囲のものが好ましい。ガラ
ス転移点が−50℃未満のウレタン樹脂を使用した場合
および20℃を超えるウレタン樹脂を使用した場合に
は、それぞれソフトタッチ感が不良となる。
【0013】ウレタン樹脂には高分子量タイプ(直鎖タ
イプ)と反応成膜タイプ(架橋タイプ)があるがいずれ
も使用することができる。
【0014】高分子量タイプのウレタン樹脂を使用する
場合は、樹脂組成物をそのままキャスティング法により
成膜して積層用シートを作成する方法が適用できる。反
応成膜タイプのウレタン樹脂を使用する場合は、上記と
同様の方法でキャスティング成膜した後、更に架橋反応
させてシート化を完了するのが好ましい。
【0015】そのようなウレタン樹脂は、通常ジイソシ
アネートとジオールと鎖延長剤とを反応させて得られ
る。ジイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイ
ソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナ
フタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネー
ト、p-フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソ
シアネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキ
サン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、リジ
ンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネート、テトラメチルキシリ
レンジイソシアネート、トリメトルヘキサメチレンジイ
ソシアネート等が挙げられ、ジオールとしては、ポリエ
ステルジオール(縮合系ポリエステルジオール、ラクト
ン系ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール
等)、ポリエーテルジオール等が挙げられ、鎖延長剤と
しては、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、ハ
イドロキノンジエチロールエーテル等が挙げられる。
【0016】高分子量タイプのポリウレタンをそのまま
キャスティングすることによってシートを製造する場合
には、上記材料を予め溶液中で重合させてウレタン樹脂
を得ることができる(この反応を促進させるためジブチ
ルチンジラウレート等の触媒が添加される場合もあ
る)。この場合、ウレタン樹脂は、その重量平均分子量
が20,000〜3,000,000の範囲のものが好ましい。重量平
均分子量が20,000を下回るとシート展延時にシートに亀
裂が入りやすい。重量平均分子量が3,000,000を上回る
と樹脂の溶剤への溶解がしにくくなり、例えば溶剤キャ
スティングによってシートを作成する場合には溶剤粘度
が高くなるので樹脂を低濃度でしかキャスティングでき
ず、そのため厚膜のシートを作成するのに多大な費用が
かかることになる。また、キャスティング時にウレタン
樹脂の材料を重合させる場合は、前述の低分子材料やそ
れらの重合した高分子材料を用い、さらに、2官能のイ
ソシアネートを加え成膜時の熱で重合させて積層用シー
トを作成することができる。
【0017】反応成膜タイプ(架橋タイプ)のウレタン
樹脂を使用してシートを作成する場合には、前述のキャ
スティング時に重合させる場合と同様に低分子材料やそ
れらの重合した高分子材料を用い、さらに、少なくとも
3官能以上のイソシアネートを加え成膜時の熱で重合さ
せて積層用シートを作成すればよい。これら少なくとも
3官能以上のイソシアネートは、シートの展延(曲面追
従性)が可能な範囲で加えるものである。このようなイ
ソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソ
シアネートのイソシアヌレート体やトリメチロールプロ
パン付加体等が挙げられる。このように一部架橋された
ウレタン樹脂を用いることにより、積層用シートの耐溶
剤性を向上することもできる。さらに、イソシアネート
に加えてメラミン架橋剤も用いてもよい。これら各材料
の添加量は、シート成形時の溶融粘度の適正範囲内で行
われる。
【0018】
【0019】上記樹脂組成物に含有される弾性微粒子
は、熱硬化性樹脂の硬化物を、例えば、以下に示すよう
に冷凍粉砕して得ることができる。
【0020】すなわち、注型硬化等で硬化させた弾性を
有する熱硬化性樹脂の硬化物を、液体窒素を用いて-100
℃以下に冷却しながら粒度が数100μm以下程度に粉砕
する方法である。
【0021】熱硬化性樹脂としては、例えば、熱硬化性
ポリウレタンが好適に用いられる。粉砕前の熱硬化性樹
脂の硬化物の硬度は、JIS K6301の(A)硬度
で20〜100程度が望ましく、硬度が20より小さい
と粉砕が困難となる。弾性微粒子は、粉砕品であるので
その形状は完全な球形ではない複雑な多角形を有し、か
つその形状が変形するまで加圧した後、開放する時、弾
性回復する性質を有している。この弾性微粒子は、その
粒度分布の極大が、1〜300 μmの範囲のものを熱可塑
ウレタン樹脂100重量部に対して50〜200重量
部添加するのが好ましい。粒度が1 μm を下回ると、得
られたシートに十分なスエード感(ソフトタッチ感)が
得られず、粒度が300 μmを上回ると、シートを延伸時
に、その表面に亀裂が生じ易くなる。添加量が50重量
部より少ないと充分なスエード感(ソフトタッチ感)感
が得られず、添加量が200重量部より多いとシートを
延伸時に、その表面に亀裂が生じ易くなる。
【0022】これらの弾性微粒子を作成する際に、顔
料、染料等の着色剤、酸化防止剤、UV吸収剤等の改質
剤を粉砕前の熱硬化樹脂の硬化物に予め添加しておくこ
とによって、改質剤を比較的容易に添加することができ
る。
【0023】上記着色剤は塗料で用いられる顔料、染料
が使用し得る。顔料では、酸化チタン、酸化鉄、カーボ
ンブラック、シアニン系顔料、キナクリドン系顔料など
がある。染料ではアゾ系染料、アントラキノン系染料、
インジゴイド系染料、スチルベンゼン系染料などがあ
る。
【0024】またこの該弾性微粒子は1種に限らず2種
以上を併用してもよい。さらに、他の公知の球形の弾性
微粒子および/または無機フィラー等を併用してもよ
い。
【0025】本発明に用いられる樹脂組成物には、さら
に必要に応じて顔料、染料等の着色剤、酸化防止剤等の
材料が添加される。上記着色剤は塗料で用いられる顔
料、染料が使用し得る。顔料では、酸化チタン、酸化
鉄、カーボンブラック、シアニン系顔料、キナクリドン
系顔料等がある。染料ではアゾ系染料、アントラキノン
系染料、インジゴイド系染料、スチルベンゼン系染料等
がある。また、アルミフレーク、ニッケル粉、金粉、銀
粉等の金属粉等を着色剤として用いてもよい。これら材
料はできるだけ微粒子のものが好ましい。これらの添加
量は、高隠ぺい性を有する着色剤を用いる場合には、熱
可塑性エラストマーの固形分100重量部に対して、2
〜400重量部の範囲が好ましい。しかし、これら着色
剤を加えると天然微粒子等によって付与されるソフトタ
ッチ感が異なることがあるので、着色剤を加えた系では
適正な天然微粒子、弾性ビーズ、多孔性の無機材料の量
が変わることがある。
【0026】本発明の積層用シートに種々の機能を付与
するために各種機能性付与材が添加され得る。上記各種
機能性付与材とは、公知の導電性材料、結露防止剤、フ
ォトクロミック化合物、防錆剤等がある。
【0027】〔積層用シートの作成〕 上記各材料を混練して得られた樹脂組成物からソフトタ
ッチ層(基層)が作成され、このソフトタッチ層を熱可
塑性エラストマ製基材シート上に積層一体化して積層用
シートが形成される。
【0028】シートの製造法には、例えば、キャスティ
ング成膜法、押出成形法がある。
【0029】積層用シートには、例えば、以下の形態の
ものがある。
【0030】基層と、該基層の裏面に積層された基材
シートとを有するシート。
【0031】この基材シートは、シートの取り扱い性を
さらに向上するためや、該シートを射出成形に用いる場
合には積層用シートと射出成形用樹脂との密着性を向上
するため、あるいは射出成形用樹脂の剪断応力に耐え得
るよう補強するために設けられ、複数層設けられていて
もよい。
【0032】本発明の積層用シートは、必要に応じ引き
伸ばして被着体に貼り付けられるので、基材シート(お
よびプライマー層)は、常温または少なくとも加熱下
で、展延性を有する熱可塑性樹脂フィルムで構成される
ことが好ましい。
【0033】上記基材シートには熱可塑性エラストマー
シート、例えば、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマ
ーシートが用いられる。また、これらの基材シートに
は、発泡層が積層されたものを用いてもよい。
【0034】上記で得られた積層用シートの基材シ
ートの外面、もしくは基層と基材シートとの間に積層さ
れた接着剤層(プライマー層)とを有するシート。
【0035】上記接着剤層に用いられる接着剤として
は、感圧型接着剤、ホットメルト型接着剤、後硬化型接
着剤が好適に用いられる。これらの接着剤の組成物を用
いてもよい。複数の異なる種類の接着剤層を順次積層さ
せてもよい。また、プライマー層としては、積層する樹
脂の性質に合わせて用いられ、例えば、塩素化ポリプロ
ピレン等の塩素化ポリオレフィンが使用できる。
【0036】上記感圧接着剤には、例えばゴム系、アク
リル系、シリコーン系等の粘着剤がある。ホットメルト
系接着剤には、例えばエチレン−酢酸ビニル系共重合体
(EVA)系、スチレン−イソプレン−スチレンブロッ
ク共重合体(SIS)系等がある。後硬化型の接着剤に
は、例えばマイクロカプセル硬化型の接着剤があり、そ
の素材としては、例えば未架橋型不飽和ポリエステル系
接着剤、未架橋型アクリル系接着剤等がある。
【0037】上記またはで得られたシートと、該
シートの表面に積層された保護層とを有するシート。
【0038】保護層は、シートの保存時及び使用時にお
ける形状保持性と貼付後の表面保護性を付与するために
積層される。
【0039】本発明で製造されるシートは必要に応じ引
き伸ばして被着体に貼り付けられるので、保護層は常温
または少なくとも加熱下で展延性を有するフィルム(例
えば、熱可塑性樹脂フィルムやゴムフィルム)で構成さ
れる方が好ましい。
【0040】上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリ
塩化ビニル、ポリウレタン、アクリル系樹脂、ポリエス
テル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、
ポリプロピレン等が挙げられる。ゴムフィルムとして
は、例えば、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ニト
リル−ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴ
ム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴ
ム、アクリルゴム等が挙げられる。これら熱可塑性樹脂
およびゴムとの組成物を用いることもでき、あるいは、
両フィルムを積層してもよい。
【0041】これらの保護層は、シートを被着体の表面
に貼り付けるまでの間、あるいは被着体を使用するまで
の間の保護層として用いてもよい。保護層の表面にエン
ボスや模様を付けておくと、保護層を剥離した後でシー
トの表面形状(外観)を変えることもできる。
【0042】上記〜で得られた積層用シートの厚み
は、貼付ける部位または表面状態により異なるが、20〜
1,000μm程度が好ましい。また、上記基材シートに貼付
けられる他の層の厚さは10〜500μm であるのが好まし
く、特に接着剤層(プライマー層)の厚さは2〜100μm
が好ましい。
【0043】(積層成形品の製造方法)本発明に係る積
層成形品の製造方法とは、上記構成の積層用シートを、
ソフトタッチ層が金型の型面に接触するように密着させ
た後、型内に樹脂を導入し、バッチ式に成形を行うもの
であり、例えば、射出成形、スタンピング成形、プレス
成形、シートモールディング等がある。
【0044】典型的には、雌型に設けられたキャビティ
の内面に空気圧成形、即ち真空および/または圧空成形
により積層用シートを密着させ、その後樹脂を射出する
ことで積層成形品が製造される。
【0045】以下、図面を用いて、積層成形品の製造方
法を説明する。
【0046】図1〜図4は積層成形品の製造方法に使用
する射出成形装置の一例を示したものであり、この装置
はキャビティ5を有する雌型4と、凸部9を有する雄型
8と、雌型4および雄型8で形成されるキャビティ5内
に樹脂を供給するための射出成形機(図示せず)と、シ
ート1を加熱するための加熱盤2とを備えている。加熱
盤2は、雌型4のキャビティ5に対して近接離間自在に
構成され、この加熱盤2を駆動するための駆動手段(図
示せず)が設けられている。
【0047】図2および図3に示すように、上記雌型4
にはキャビティ5内面に開口する通気口4aと、雌形4
の枠部7の上端面に開口する通気口4bが設けられてい
る。雄型8の凸部9には射出成形機から射出された樹脂
12を上記キャビティ5内に供給するためのゲート6が
設けられている。また、上記加熱盤2には吸引口2aが
設けられ、その下面にシート1を吸引できるようになっ
ている。
【0048】このような装置を用いて積層成形品を製造
するには、まず図1に示すように加熱盤2の通気口2a
から吸引した状態でシート2を加熱盤2の下面に密着さ
せてシート2を加熱する。ここで、シート2は加熱盤2
からの熱により加熱されて展延性が増大することにな
る。この状態で、図2に示すように加熱盤2を雌型4の
キャビティ5上に配置することによって、シート2の端
部を雌型4の枠部7の上端面に接触させる。この時、枠
部7の上端面に設けられた吸引口4bから吸引すること
によって、シート1の端部を雌型4の上端面に固着させ
るのがよい。
【0049】次に、図3に示すように、雌型4内の吸引
口4aからキャビティ内の気体を吸引するとともに、加
熱盤2に設けられた通気口2aから圧空することによ
り、キャビティ5内を減圧状態としてシート1を雌型4
のキャビティ4内面に密着させる。次に、シート1から
加熱盤2を離して雌型4の側方へ移動させる。なお、加
熱盤2をシート1から離す時には、加熱盤2に設けられ
た通気口2aから気体を吹き出すことにより、シート1
の分離が容易に行えるようにしてもよい。
【0050】次に、図4に示すように、雄型8を雌型4
に嵌合させ、両金型4、8で形成されるキャビティ5内
に、射出成形機(図示しない)よりゲート6を通して樹
脂12を注入し積層成形品が得られる。なお、雌型4に
設けた吸引孔4aの開口は、出き上がった成形品の目だ
たない部分に設けるのが好ましい。
【0051】上記射出成形用樹脂としては、従来から射
出成形に用いられる材料であればどのような材料でも可
能である。例えば、ポリスチレン、アクリル系ポリマ
ー、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ABS(アクリロニトリル−ブタ
ジエン−スチレン共重合体)、変性ポリフェニレンオキ
シド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミ
ド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンサルフ
ァイド、液晶ポリマー、ガラス繊維強化ポリエステル、
ガラス繊維強化エポキシ、ガラス繊維強化アクリル樹
脂、イソシアネートとグリコール系化合物との混合物等
がある。
【0052】積層成形品は上記した以外の装置を用い、
および上記以外の方法によっても製造することができる
が、いずれの製造方法においても、金型内にシートを導
入し(好ましくは、シートを加熱溶融させ展延した状態
で導入し)て型面に密着し、その状態で樹脂を型内に導
入、型締めして製造するか、型内にシートを導入した後
型締めし、その状態で樹脂を型内に導入して製造する。
【0053】
【作用】本発明の積層用シートは、熱可塑性エラストマ
ー製基材シートと、熱硬化性樹脂の硬化物を粉砕して得
られる弾性微粒子を含有する熱可塑性ウレタン樹脂組成
物から形成されるソフトタッチ層を有しており、従っ
て、シートを基材表面に貼付けするだけで、容易に表面
にソフトタッチ感が付与された積層成形品を得ることが
できる。
【0054】さらに、ソフトタッチ層は熱硬化性樹脂の
硬化物を粉砕して得られる弾性微粒子を含む熱可塑性
レタン樹脂組成物からなるので、積層用シートを加熱し
ながら展延することにより、ソフトタッチ層は軟化して
柔軟性を有するとともに、弾性微粒子はシートが展延さ
れた部分において、その粉砕物特有の多角形形状がソフ
トタッチ層の表面側に表れることになる。このことによ
り、本発明積層用シートは皮革により近いソフトタッチ
感を呈することとなる。
【0055】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明
する。
【0056】なお、以下の実施例で「部」は「重量部」
を意味する。
【0057】(A)積層用シートの作成 (実施例1) 熱可塑性樹脂:ウレタン樹脂(日本ポリウレタン工業(株)製、ポリカーボネ ートウレタンSH703) 100部 弾性微粒子用原料:ポリエステルポリオール(日本ポリウレタン工業(株)製 、ニッポラン4032) 100部 及び トリレンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業(株)製、T -65) 8.3部 を使用した。
【0058】上記ポリオールを脱水した後、これとトリ
レンジイソシアネートとを80〜90℃で混合し、120℃で
6時間注型硬化させて熱硬化性樹脂の硬化物(JIS
K6301の(A)硬度35)を得た。この硬化物を液
体窒素により-140℃に冷却しながら粒度が100μm程度
まで粉砕して弾性微粒子を得た。
【0059】以上の熱可塑性樹脂と弾性微粒子とをそれ
ぞれ攪拌しながら混合し、ポリオレフィン系熱可塑性エ
ラストマーシート(三宝樹脂工業(株)製、膜厚400μ
m、以下TPOシートという)上に塗膜厚が60μmにな
るよう塗布し、80℃で30分以上乾燥してソフトタッチ層
を形成し、積層用シートを得た。
【0060】(実施例2) 熱可塑性樹脂:ウレタン樹脂(実施例1と同様) 100部 弾性微粒子用原料:イソシアネートプレポリマー(日本ポリウレタン工業(株 )製、コロネート4076) 100部 及び 硬化剤として、3,3'-ジクロロ-4,4'-ジアミノジフェニルメタン(イハラケミ カル工業(株)製、イハラキュアミンMT) 7.0部 を使用した。
【0061】まず上記硬化剤を120℃で加熱融解した
後、70〜85℃で加熱融解した上記プレポリマーと混合し
120℃で6時間、室温で1〜3日放置して注型硬化させ
て熱硬化性樹脂の硬化物(JIS(A)硬度70)を得
た。この硬化物を液体窒素により-140℃に冷却しながら
粒度が100μm程度まで粉砕して弾性微粒子を得た。
【0062】以上の熱可塑性樹脂と弾性微粒子とをそれ
ぞれ攪拌しながら混合し、実施例1で用いた熱可塑性エ
ラストマーシート上に塗膜厚が60μmになるよう塗布
し、80℃で30分以上乾燥してソフトタッチ層を形成し、
積層用シートを得た。
【0063】(実施例3) 熱可塑性樹脂:ウレタン樹脂(実施例1と同様) 100部 弾性微粒子用原料:イソシアネートプレポリマー(日本ポリウレタン工業(株 )製、コロネート4048) 100部 及び 硬化剤として、3,3'-ジクロロ-4,4'-ジアミノフェニルメタン(実施例2と同 様) 15.7部 を使用した。
【0064】上記実施例2と同様の方法で注型硬化させ
て熱硬化性樹脂の硬化物を得、この硬化物から弾性微粒
子を得た。硬化物のJIS(A)硬度は95であった。
【0065】以上の熱可塑性樹脂と弾性微粒子とをそれ
ぞれ攪拌しながら混合し、TPOシート(実施例1と同
様)上に塗膜厚が60μmになるよう塗布し、80℃で30分
以上乾燥してソフトタッチ層を形成し、積層用シートを
得た。
【0066】(比較例1) 熱可塑性樹脂:ウレタン樹脂(実施例1と同様) 100部 弾性微粒子:真球状微粒子(積水化成品(株)製、テクポリマーMBX−8、 粒径8μm) 70部 以上を攪拌しながら混合し、TPOシート(実施例1と
同様)上に塗膜厚が60μmになるよう塗布し、80℃で30
分以上乾燥して表面層を形成し、積層用シートを得た。
【0067】(比較例2)TPOシート(実施例1と同
様)上にソフトタッチ塗料(カシュー(株)製、セノソ
フトII)を塗膜厚が60μmになるように塗布し、80℃で
30分間加熱硬化して表面層を形成し、積層用シートを得
た。
【0068】(B)射出成形による積層成形品の製造 上記実施例1〜3および比較例1、2で得られた積層用
シートを用いて射出成形を行った。
【0069】用いた雌型4のキャビティ5の形状を図5
に、雌型4の平面図を図6に示す。キャビティ5は半円
球状の突出部5aを有している。図5および図6に示す
各部材の寸法は(mm)次の通りである。
【0070】L1=90、L6=20、L7=60、L8=7
0、L9=150、L10=15、L11=15、L12=30、
L13=50、L14= 20、R1=30、L21=10、L22=
10。
【0071】成形は図1から図4に示す装置を用いて以
下のように行った。
【0072】シート1を加熱盤2の下面に吸着しなが
ら加熱し、雌型4のキャビティ5の上方位置まで移動し
た(図1)。
【0073】加熱盤2を雌型4の上面に配置し、シー
ト1を枠部7の上端面に密着させ、加熱盤2の吸引を停
止した(図2)。
【0074】雌型4に設けられた通気孔4aから吸引
するとともに、加熱盤2に設けられた通気孔2aからの
圧空によりシート1を雌型4のキャビティ5内面に密着
させた(図3)。
【0075】型締めした後、キャビティ5内にポリプ
ロピレン(三菱油化(株)製、ハイポールX−25)を
230℃で射出した(図4)。
【0076】各実施例および比較例におけるシートの成
形条件、得られた積層成形品の外観、ソフトタッチ感を
評価した結果を表1に示す。
【0077】ソフトタッチ感の評価は、実際に天然の皮
革の感触と比較して 1点:ソフトタッチ感がほとんどない 2点:ソフトタッチ感がわずかにある 3点:ソフトタッチ感がある 4点:どちらかというと皮革に近いソフトタッチ感があ
る。
【0078】5点:皮革に近いソフトタッチ感がある。
【0079】の採点基準で、10人のパネラーが成形品
表面に手を触れたときの感触による官能試験により行
い、以下のように採点した。
【0080】◎:40点以上 ○:30点以上 ×:20点未満
【0081】
【表1】
【0082】比較例2については、実施例1と同様の方
法で射出成形を行おうとしたが、シートの伸びが不十分
なため、キャビティ5aに対応したシートの半球部に亀
裂が生じて良好な成形は行えなかった。
【0083】
【発明の効果】本発明の積層用シートは、展延性に優れ
ているので、平面状の物品だけでなく凹凸や曲面を有す
る成形品を成形する場合にも、亀裂を生じることなくソ
フトタッチ感(スエード調)を有する被膜を成形品表面
に形成することができる。
【0084】従って、従来の塗装スペースの問題や溶剤
等の環境問題がなくなる利点があり、またオフィスオー
トメーション機器、家電等のハウジングや文具等の各種
プラスチック成形体の加飾が容易にまた安価に行える利
点がある。
【0085】さらに、本発明の積層用シートは、ソフト
タッチ層に含まれる弾性微粒子が、熱硬化性樹脂の硬化
物を粉砕して得られるものであるため、多角形形状を有
しており、従って、皮革により近いソフトタッチ感を付
与することができる。
【0086】また、本発明の積層成形品の製造方法によ
れば、これら成形品の製造がきわめて容易に、従って安
価に行える利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層成形品の製造方法に好適に用いら
れる射出成形装置の加熱盤に、積層用シートを吸着させ
た状態を示す縦断面図である。
【図2】図1の射出成形装置の雌型上面に、積層用シー
トを配置した状態を示す縦断面図である。
【図3】図1の射出成形装置の雌型のキャビティ型面に
積層用シート展延密着させた状態を示す縦断面図であ
る。
【図4】図1の射出成形装置を型締めした後、キャビテ
ィ内に成形用樹脂を射出した状態を示す縦断面図であ
る。
【図5】(a)は本発明の積層成形品の製造方法に好適
に使用される装置のキャビティ形状の輪郭を模式的に示
す平面図である。(b)はキャビティ形状の輪郭を示す
側面図である。(c)はキャビティ形状の輪郭を示す側
面図である。
【図6】雌型の平面図である。
【符号の説明】
1 積層用シート 2 加熱盤 4 雌型 5 キャビティ 8 雄型 12 成形用樹脂
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 B29C 33/00 - 33/75 B29C 45/00 - 45/84

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性エラストマー製基材シートと、
    該基材シート上に積層一体化されたソフトタッチ層と、
    を有する積層シートであって、 該ソフトタッチ層は、弾性を有する熱硬化性樹脂の硬化
    物を粉砕して得られた弾性微粒子と、熱可塑性ウレタン
    樹脂と、を含有する樹脂組成物からなる、積層用シー
    ト。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の積層用シートを、ソフト
    タッチ層が金型の型面に沿って接触するように金型の型
    面に展延密着させる工程、および金型内に成形用樹脂を
    導入して該積層用シートと一体化する工程と、を包含す
    る積層成形品の製造方法。
JP34404792A 1992-12-24 1992-12-24 積層用シートおよび積層成形品の製造方法 Expired - Fee Related JP3135397B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34404792A JP3135397B2 (ja) 1992-12-24 1992-12-24 積層用シートおよび積層成形品の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34404792A JP3135397B2 (ja) 1992-12-24 1992-12-24 積層用シートおよび積層成形品の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH06190986A JPH06190986A (ja) 1994-07-12
JP3135397B2 true JP3135397B2 (ja) 2001-02-13

Family

ID=18366249

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP34404792A Expired - Fee Related JP3135397B2 (ja) 1992-12-24 1992-12-24 積層用シートおよび積層成形品の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3135397B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014054127A1 (ja) * 2012-10-03 2014-04-10 株式会社ダイセル 樹脂成形体の化粧料及び化粧フィルム並びに樹脂成形体及び表面改質方法
EP3837297A1 (en) * 2018-08-14 2021-06-23 3M Innovative Properties Company Extruded polyurethane surface films

Also Published As

Publication number Publication date
JPH06190986A (ja) 1994-07-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO1992015636A1 (en) Coating sheet and method of making molded product using said sheet
JP3666279B2 (ja) 熱可塑性樹脂の射出成形体表面被覆用積層シート及び該積層シートの利用
JP2688129B2 (ja) 射出成形品の製造方法及び被覆用シート
JP2015182302A (ja) 加飾シート、及び加飾樹脂成形品
JP2529497B2 (ja) 射出成形品の製造方法
JP3135397B2 (ja) 積層用シートおよび積層成形品の製造方法
JP3135386B2 (ja) 積層用シートおよび積層成形品の製造方法
JPH0538797A (ja) 被覆物の製造方法及び被覆用シート
JPH1148695A (ja) 転写シート及びそれを用いる曲面転写方法
JP2529490B2 (ja) 射出成形品の製造方法
JP3212407B2 (ja) 積層用シートの製造方法および積層成形品の製造方法
JP2000352276A (ja) 化粧扉
JP2642257B2 (ja) 被覆用シート
JP3841894B2 (ja) 化粧シート
JP3212403B2 (ja) 積層用シートおよび積層成形品の製造方法
JP3045766B2 (ja) 射出成形品の製造方法
JPH06157779A (ja) 積層用シートおよび積層成形品の製造方法
JPH06255046A (ja) 積層用シートおよび積層成形品の製造方法
JP2636886B2 (ja) 熱硬化性被覆用シート
JPH03114717A (ja) 被覆体の製造方法
JPH06190864A (ja) 積層用シートおよびこのシートを用いた積層成形品の製造方法
JPH0584772A (ja) 被覆成形用シート、被覆成形品および被覆成形品の製造方法
JPH11277695A (ja) 成形品
JPH0598041A (ja) 被覆用シート及びそれを用いた成形品の製造方法
JP2000033665A (ja) 絵付シート、射出成形同時絵付方法、及び成形品

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees