JP4952830B2 - エジェクタ式冷凍サイクル - Google Patents

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Description

本発明は、冷媒減圧手段の役割および冷媒循環手段の役割を果たすエジェクタと、複数の蒸発器と、内部熱交換器とを有するエジェクタ式冷凍サイクルに関するものであり、例えば、車両用空調冷蔵装置の冷凍サイクルに適用して有効である。
従来、蒸気圧縮式冷凍サイクルにおいて、冷媒減圧手段および冷媒循環手段としてエジェクタを使用したエジェクタ式冷凍サイクルが特許文献1において提案されている。
この特許文献1では、図20に示すようにエジェクタ14の冷媒流出側と気液分離器63との間に第1蒸発器61を配置するともに、気液分離器63の液冷媒流出側とエジェクタ14の冷媒吸引口14bとの間に第2蒸発器62を配置した構成が記載されている。
特許文献1のエジェクタ式冷凍サイクルによると、膨張時の冷媒の高速流により生じる圧力低下を利用して、第2蒸発器62から排出される気相冷媒を吸引するとともに、膨張時の冷媒の速度エネルギーをディフューザ部(昇圧部)14dにて圧力エネルギーに変換して冷媒圧力を上昇させるので、圧縮機12の駆動動力を低減できる。このため、サイクルの運転効率を向上することができる。
そして、2つの蒸発器61、62により別々の空間、または2つの蒸発器61、62で同一の空間から吸熱(冷却)作用を発揮することができる(特許文献1の段落0192参照)。
また、特許文献1の図34〜図38には、気液分離器63の液冷媒流出側とエジェクタ14の吸引口14bとの間のみに蒸発器62を配置するエジェクタ式冷凍サイクルにおいて、気液分離器63から流出する低圧気相冷媒と、放熱器13の出口側高圧冷媒との間で熱交換を行う内部熱交換器を設ける構成が記載されている。
特許第3322263号公報
しかし、特許文献1のエジェクタ式冷凍サイクルでは、エジェクタ14の冷媒循環(気相冷媒の吸引)作用を維持しつつ、1つのエジェクタ14にて第1、第2蒸発器61、62の冷媒流量の配分を決定しなければならないので、第1、第2蒸発器61、62の冷媒の流量を適切に調節することが難しいという問題がある。
また、サイクル熱負荷が小さい低負荷条件では、サイクルの高低圧差が小さくなって、エジェクタ入力が小さくなる。この結果、エジェクタ14の冷媒吸引能力が低下して第2蒸発器62を通過する冷媒流量が減少して第2蒸発器62の冷却性能が低下するという問題が生じる。
上記問題点は特許文献1の図34〜図38に図示される内部熱交換器付きのエジェクタ式冷凍サイクルにおいても同様に発生する。
本発明は、上記点に鑑み、複数の蒸発器を備えるエジェクタ式冷凍サイクルにおいて、複数の蒸発器への冷媒の流量調節を容易にすることを目的とする。
また、本発明は、エジェクタ吸引側に接続される第2蒸発器の冷却性能を確保しやすくすることを他の目的とする。
さらに、本発明は、エジェクタ式冷凍サイクルにおける冷却性能を内部熱交換器を用いて向上することを他の目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、エジェクタ(14)から流出した冷媒を蒸発させて冷却性能を発揮する第1蒸発器(15)と、
放熱器(13)の出口側冷媒通路(31)に配置され、出口側冷媒通路(31)の開度を調整して圧縮機(11)吸入側の低圧冷媒の状態を制御する膨張弁(30)と、
膨張弁(30)出口側の冷媒をエジェクタ(14)の入口側で分岐してエジェクタ(14)の冷媒吸引口(14b)に導く分岐通路(16)と、
分岐通路(16)に配置され、膨張弁(30)出口側の冷媒を減圧する絞り手段(17)と、
分岐通路(16)において、絞り手段(17)の出口側に配置され、冷媒を蒸発させて冷却能力を発揮する第2蒸発器(18)と、
圧縮機(11)吸入側の低圧冷媒と、膨張弁(30)入口側の高圧冷媒もしくは膨張弁(30)出口側の中間圧冷媒との間で熱交換を行う内部熱交換器(21)とを備えることを特徴としている。
これによると、圧縮機動力の低減による高効率な運転が可能なエジェクタ式冷凍サイクルにおいて、第1蒸発器(15)および第2蒸発器(18)の両方に冷媒を流す状態を設定できるため、第1、第2蒸発器(15、18)にて同時に冷却対象空間から吸熱することができる。
しかも、本発明では、第1蒸発器(15)の冷媒流量はエジェクタ(14)の絞り特性により調節できる。そして、第2蒸発器(18)の冷媒流量は第1分岐通路(16)に設けた第1絞り手段(17)により独立に調節できる。このため、第1蒸発器(15)および第2蒸発器(18)の冷媒流量をそれぞれの熱負荷に対応して容易に調節できる。
また、第1分岐通路(16)はエジェクタ(14)の入口側で分岐した冷媒をエジェクタ(14)の冷媒吸引口(14b)に導くようになっているから、エジェクタの冷媒吸引能力だけでなく、圧縮機能力をも利用して第1分岐通路(16)に冷媒を流すことができる。このため、サイクルの低負荷時(サイクルの高低圧差が小さくなって、エジェクタ入力が小さくなるとき)においても、第1分岐通路(16)の第2蒸発器(18)を通過する冷媒流量を確保して、第2蒸発器(18)の冷却性能を確保できる。
さらに、圧縮機(11)吸入側の低圧冷媒と圧縮機(11)吐出側の高圧冷媒との間で熱交換を行う内部熱交換器(21、211、212)を備えているから、放熱器(13)出口側の高圧冷媒、ひいては蒸発器入口冷媒のエンタルピを減少して、蒸発器入口、出口間のエンタルピ差を拡大できる。これにより、第1、第2蒸発器(15、18)の冷却性能を向上できる。
なお、圧縮機(11)吐出側の高圧冷媒とは、後述の実施形態の記載から明らかなごとく、圧縮機(11)吐出側から放熱器(13)出口側に至る高圧側冷媒流路の冷媒を包含する。
これに加え、膨張弁(30)によって放熱器(13)の出口側冷媒通路(31)の開度を調整して圧縮機(11)吸入側の低圧冷媒の状態を制御するとともに、膨張弁(30)通過後の中間圧冷媒をエジェクタ(14)の入口側と分岐通路(16)側とに分岐しているから、圧縮機(11)吸入側の低圧冷媒が所定の状態(例えば、所定の過熱状態)となるように冷媒流量を膨張弁(30)により適切に制御でき、そして、この適切に制御された冷媒流量を第1、第2蒸発器(15、18)に分配できる。これにより、第1、第2蒸発器(15、18)の冷却性能をともに良好に発揮できる。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載のエジェクタ式冷凍サイクルにおいて、内部熱交換器(21)は、具体的には、膨張弁(30)入口側に配置された高圧側冷媒流路(21a)と、圧縮機(11)吸入側の低圧側冷媒流路(21b)との間で熱交換を行うように構成されている。
これによると、膨張弁(30)入口側の高圧側冷媒を内部熱交換器(21)により放熱させて、第1、第2蒸発器(15、18)の双方に供給される冷媒のエンタルピを減少して第1、第2蒸発器(15、18)の冷却性能を向上できる。
請求項3に記載の発明では、請求項1に記載のエジェクタ式冷凍サイクルにおいて、内部熱交換器(21)は、具体的には、分岐通路(16)のうち絞り手段(17)入口流側に配置された中間圧冷媒流路(21c)と、圧縮機(11)吸入側の低圧側冷媒流路(21b)との間で熱交換を行うように構成されている。
これによると、膨張弁(30)にて1次減圧され分岐通路(16)を流れる中間圧冷媒のみを内部熱交換器(21)にて放熱させることができる。このため、エジェクタ(14)のノズル部(14a)には膨張弁(30)通過後の中間圧冷媒が内部熱交換(放熱)を行うことなくそのままへ流入することになる。
この結果、ノズル部(14a)への流入冷媒は、内部熱交換に伴うエンタルピの減少を回避して、ノズル部(14a)における冷媒膨張時の損失エネルギーの回収量を十分確保でき、エジェクタ昇圧部(14d)での昇圧量も十分確保できる。一方、分岐通路(16)側の中間圧冷媒は内部熱交換(放熱)によりエンタルピが減少して第2蒸発器(18)の冷却性能を向上できる。
請求項4に記載の発明では、請求項1に記載のエジェクタ式冷凍サイクルにおいて、内部熱交換器(21)は、具体的には、膨張弁(30)出口側と分岐通路(16)の分岐点(z)との間に配置された中間圧冷媒流路(21c)と、圧縮機(11)吸入側の低圧側冷媒流路(21b)との間で熱交換を行うように構成されている。
これによると、膨張弁(30)にて1次減圧された後の中間圧冷媒の全量を内部熱交換(放熱)により液化させることができる。これにより、エジェクタ(14)のノズル部(14a)および分岐通路(16)側の絞り手段(17)の双方に対して過冷却度を持った液相冷媒を流入させることができる。
ここで、もし、ノズル部(14a)および絞り手段(17)に気液2相域の冷媒を流入させると、絞り通路部で不規則な気泡流れが発生して絞り通路部を振動させ、冷媒通過音を生じる。
これに対して、請求項4に記載の発明では、上記のごとく膨張弁(30)通過後の中間圧冷媒を内部熱交換(放熱)により液化できるので、エジェクタノズル部(14a)および絞り手段(17)には所定の過冷却度を持った液相冷媒を流入させることができる。これにより、ノズル部(14a)および絞り手段(17)の絞り通路部における不規則な気泡流れを抑制でき、この絞り通路部からの冷媒通過音の放出を抑制できる。
請求項5に記載の発明では、請求項1に記載のエジェクタ式冷凍サイクルにおいて、絞り手段(17)をキャピラリチューブ(17)にて構成し、内部熱交換器(21)は、このキャピラリチューブ(17)と圧縮機(11)吸入側の低圧側冷媒流路(21b)との間で熱交換を行うように構成されている。
これによると、膨張弁(30)通過後の中間圧冷媒をキャピラリチューブ(17)にて減圧しながら、同時に圧縮機吸入側低圧冷媒へ放熱することが可能となる。
因みに、膨張弁(30)通過後の中間圧冷媒が内部熱交換器(21)での熱交換を行ってから分岐通路(16)の絞り手段(17)に流入する場合は、内部熱交換量の変動により絞り手段(17)に流入する冷媒状態が過冷却液相状態から気液2相状態まで大きく変動する。
過冷却液相状態と気液2相状態とでは冷媒の密度が大きく変動するので、絞り手段(17)としてキャピラリチューブ(17)のような固定絞りを用いる場合には、過冷却液相状態と気液2相状態との双方において適切な減圧特性を維持することが困難となる。
これに対し、請求項5に記載の発明では、膨張弁(30)通過後の中間圧冷媒をキャピラリチューブ(17)にて減圧しながら、同時に圧縮機吸入側低圧冷媒へ放熱することができるので、キャピラリチューブ(17)の通過冷媒を気液2相状態に維持できる。
従って、キャピラリチューブ(17)では冷媒の減圧作用と放熱作用(内部熱交換)を同時に発揮できるのみならず、キャピラリチューブ(17)による減圧特性を狙いとする減圧特性(減圧量)に設定しやすいという効果が得られる。
請求項6に記載の発明では、請求項1ないし5のいずれか1つに記載のエジェクタ式冷凍サイクルにおいて、膨張弁(30)は、第1蒸発器(15)の出口部と低圧側冷媒流路(21b)との間の冷媒の状態を、この冷媒の温度および圧力に基づいて制御するようになっている。
これによると、第1蒸発器(15)直後の冷媒状態を膨張弁(30)により過熱度=0℃近傍の状態に制御できる。つまり、第1蒸発器(15)直後の冷媒状態を過熱度=0℃近傍の状態に制御しても、圧縮機(11)への液冷媒戻りは内部熱交換器(21)の低圧側冷媒流路(21b)での吸熱によって確実に回避できるので、何ら支障はない。
そして、第1蒸発器(15)直後の冷媒状態を過熱度=0℃近傍の状態に制御することで、第1蒸発器(15)の冷媒通路出口で冷媒の蒸発を丁度完了させることができ、第1蒸発器(15)の冷却性能を特に効率よく発揮できる。
請求項7に記載の発明では、請求項1ないし6のいずれか1つに記載のエジェクタ式冷凍サイクルにおいて、第1蒸発器(15)と第2蒸発器(18)とを一体構造に組み付けたことを特徴とする。
これによると、第1、第2蒸発器(15、18)を一体物として取り扱うことができるので、第1、第2蒸発器(15、18)の空気通路内への搭載作業が容易であるとともに、第1、第2蒸発器(15、18)の組み合わせを小型簡潔に構成できる。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
本発明の第1実施形態によるエジェクタ式冷凍サイクルを示す冷媒回路図である。 図1の内部熱交換器の断面図である。 第1実施形態によるエジェクタ式冷凍サイクルの作動を示すモリエル線図である。 第2実施形態によるエジェクタ式冷凍サイクルを示す冷媒回路図である。 第3実施形態によるエジェクタ式冷凍サイクルを示す冷媒回路図である。 第4実施形態によるエジェクタ式冷凍サイクルを示す冷媒回路図である。 第5実施形態によるエジェクタ式冷凍サイクルを示す冷媒回路図である。 第6実施形態によるエジェクタ式冷凍サイクルを示す冷媒回路図である。 第1〜第6実施形態における内部熱交換器の冷媒流路構成の組み合わせ変形例を示す冷媒回路図である。 第7実施形態によるエジェクタ式冷凍サイクルを示す冷媒回路図である。 第8実施形態によるエジェクタ式冷凍サイクルを示す冷媒回路図である。 第9実施形態によるエジェクタ式冷凍サイクルを示す冷媒回路図である。 第10実施形態によるエジェクタ式冷凍サイクルを示す冷媒回路図である。 第11実施形態によるエジェクタ式冷凍サイクルを示す冷媒回路図である。 第12実施形態によるエジェクタ式冷凍サイクルを示す冷媒回路図である。 第13実施形態によるエジェクタ式冷凍サイクルを示す冷媒回路図である。 第14実施形態によるエジェクタ式冷凍サイクルを示す冷媒回路図である。 第15実施形態によるエジェクタ式冷凍サイクルを示す冷媒回路図である。 第16実施形態によるエジェクタ式冷凍サイクルを示す冷媒回路図である。 従来技術によるエジェクタ式冷凍サイクルを示す冷媒回路図である。
以下に説明する第1〜第16実施形態のうち、第9〜第16実施形態が特許請求の範囲に記載した発明の実施形態であり、第1実施形態は本発明の前提となる形態であり、また、第2〜第8実施形態は参考例として示す形態である。
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態によるエジェクタ式冷凍サイクル10を車両用冷凍サイクル装置に適用した例を示す。本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10において、冷媒を吸入圧縮する圧縮機11は、電磁クラッチ12、ベルト等を介して図示しない車両走行用エンジンにより回転駆動される。
この圧縮機11としては、吐出容量の変化により冷媒吐出能力を調整できる可変容量型圧縮機、あるいは電磁クラッチ12の断続により圧縮機作動の稼働率を変化させて冷媒吐出能力を調整する固定容量型圧縮機のいずれを使用してもよい。また、圧縮機11として電動圧縮機を使用すれば、電動モータの回転数調整により冷媒吐出能力を調整できる。
この圧縮機11の冷媒吐出側には放熱器13が配置されている。放熱器13は圧縮機11から吐出された高圧冷媒と図示しない冷却ファンにより送風される外気(車室外空気)との間で熱交換を行って高圧冷媒を冷却する。
ここで、エジェクタ式冷凍サイクル10の冷媒として、本実施形態ではフロン系、HC系等の冷媒のように高圧圧力が臨界圧力を超えない冷媒を用いて、蒸気圧縮式の亜臨界サイクルを構成している。このため、放熱器13は冷媒を凝縮する凝縮器として作用する。
放熱器13の出口側には受液器13aが設けられている。この受液器13aは周知のように縦長のタンク形状のものであり、冷媒の気液を分離してサイクル内の余剰液冷媒を溜める気液分離器を構成する。受液器13a内部の下部側から液冷媒を取り出して受液器13aの出口側に液冷媒を導出するようになっている。なお、受液器13aは本例では放熱器13と一体に設けられている。
また、放熱器13として、冷媒流れ上流側に位置する凝縮用熱交換部と、この凝縮用熱交換部からの冷媒を導入して冷媒の気液を分離する受液器13aと、この受液器13aからの飽和液冷媒を過冷却する過冷却用熱交換部とを有する公知の構成を採用してもよい。
受液器13aの出口側に内部熱交換器21の高圧側冷媒流路21aが設けられている。この内部熱交換器21は、高圧側冷媒流路21aの高温の高圧冷媒と低圧側冷媒流路21bの低温の低圧冷媒との間で熱交換を行うものであって、低圧側冷媒流路21bは圧縮機11の吸入側に設けられている。
内部熱交換器21の具体的構成としては種々なものを採用できるが、本実施形態では、図2に示すような2重管式の熱交換器構成を採用している。具体的には、高圧側冷媒流路21aを構成する外側管21cの内側に低圧側冷媒流路21bを構成する内側管21dを配置した構成になっている。
内部熱交換器21の高圧側冷媒流路21aの出口側にエジェクタ14が配置されている。このエジェクタ14は冷媒を減圧する減圧手段であるとともに、高速で噴出する冷媒流の吸引作用(巻き込み作用)によって冷媒の循環を行う冷媒循環手段(運動量輸送式ポンプ)でもある。
エジェクタ14には、高圧側冷媒流路21aの出口側から流入する高圧冷媒の通路面積を小さく絞って、高圧冷媒を等エントロピ的に減圧膨張させるノズル部14aと、ノズル部14aの冷媒噴出口と同一空間に配置され、後述する第2蒸発器18からの気相冷媒を吸引する冷媒吸引口14bが備えられている。
さらに、ノズル部14aおよび冷媒吸引口14bの冷媒流れ下流側部位には、ノズル部14aから噴射する高速度の冷媒流と冷媒吸引口14bからの吸引冷媒とを混合する混合部14cが設けられている。そして、混合部14cの冷媒流れ下流側に昇圧部をなすディフューザ部14dが配置されている。このディフューザ部14dは冷媒の通路面積を徐々に大きくする形状に形成されており、冷媒流れを減速して冷媒圧力を上昇させる作用、つまり、冷媒の速度エネルギーを圧力エネルギーに変換する作用を果たす。エジェクタ14のディフューザ部14dの出口側に第1蒸発器15が接続される。
一方、エジェクタ14の入口側(放熱器13とエジェクタ14との間の中間部位)から冷媒分岐通路16が分岐され、この冷媒分岐通路16の下流側はエジェクタ14の冷媒吸引口14bに接続される。Zは冷媒分岐通路16の分岐点を示す。
この冷媒分岐通路16には絞り機構17が配置され、この絞り機構17よりも冷媒流れ下流側には第2蒸発器18が配置されている。絞り機構17は第2蒸発器18への冷媒流量の調節作用をなす減圧手段であって、具体的にはキャピラリチューブやオリフィスのような固定絞りで構成できる。また、電動アクチュエータにより弁開度(通路絞り開度)が調整可能になっている電気制御弁を絞り機構17として用いてもよい。
本実施形態では、第1蒸発器15を車室内冷房用として用い、電動送風機19により送風される空気(内気または外気)を第1蒸発器15により冷却し、その冷却空気(冷風)を車室内へ吹き出して車室内を冷房する。
一方、第2蒸発器18を本実施形態では車載の冷凍冷蔵庫内の冷却用として用いている。従って、電動送風機20により送風される庫内空気を第2蒸発器18により冷却し、その冷却空気を庫内に再循環して庫内を冷却する。
次に、第1実施形態の作動を説明する。圧縮機11を車両エンジンにより駆動すると、圧縮機11で圧縮され吐出された高温高圧状態の気相冷媒は放熱器13に流入する。放熱器13では高温高圧の気相冷媒が外気により冷却されて凝縮する。放熱器13から流出した凝縮後の高圧冷媒は受液器13a内に流入して気相冷媒と液相冷媒とに分離される。
そして、受液器13a内から液冷媒が導出されて内部熱交換器21の高圧側冷媒流路21aに流入する。この内部熱交換器21において高圧側冷媒流路21aの高温の高圧液冷媒と低圧側冷媒流路21bの低温の低圧冷媒との間で熱交換が行われ、高圧液冷媒が冷却される。従って、高圧液冷媒の過冷却度が増加する。
次に、この過冷却された高圧液冷媒が分岐点Zにてエジェクタ14に向かう冷媒流れと、分岐冷媒通路16に向かう冷媒流れとに分流する。
エジェクタ14に流入した冷媒流れはノズル部14aで減圧され膨張する。従って、ノズル部14aで冷媒の圧力エネルギーが速度エネルギーに変換され、このノズル部14aの噴出口から冷媒は高速度となって噴出する。この際の冷媒吸引作用により、冷媒吸引口14bから分岐冷媒通路16の第2蒸発器18通過後の冷媒(気相冷媒)を吸引する。
ノズル部14aから噴出した冷媒と冷媒吸引口14bに吸引された冷媒は、ノズル部14a下流側の混合部14cで混合してディフューザ部14dに流入する。このディフューザ部14dでは通路面積の拡大により、冷媒の速度(膨張)エネルギーが圧力エネルギーに変換されるため、冷媒の圧力が上昇する。
そして、エジェクタ14のディフューザ部14dから流出した冷媒は第1蒸発器15に流入する。第1蒸発器15では、低温の低圧冷媒が電動送風機19の送風空気から吸熱して蒸発する。この第1蒸発器15通過後の冷媒は内部熱交換器21の低圧側冷媒流路21bに流入して、内部熱交換器21の高圧側冷媒流路21aの高圧冷媒と熱交換する。この低圧側冷媒流路21b通過後の気相冷媒は圧縮機11に吸入され再び圧縮される。
一方、分岐冷媒通路16に流入した冷媒流れは絞り機構17で減圧されて低圧冷媒となり、この低圧冷媒が第2蒸発器18に流入する。第2蒸発器18では、電動送風機20の送風空気から冷媒が吸熱して蒸発する。この第2蒸発器18通過後の気相冷媒は冷媒吸引口14bからエジェクタ14内に吸引される。
以上のごとく、本実施形態によると、エジェクタ14のディフューザ部14dの下流側冷媒を第1蒸発器15に供給するととともに、分岐通路16側の冷媒を絞り機構17を通して第2蒸発器18にも供給できるので、第1、第2蒸発器15、18で同時に冷却作用を発揮できる。
その際に、第1蒸発器15の冷媒蒸発圧力はディフューザ部14dで昇圧した後の圧力であり、一方、第2蒸発器18の出口側はエジェクタ14の冷媒吸引口14bに接続されているから、ノズル部14aでの減圧直後の最も低い圧力を第2蒸発器18に作用させることができる。
これにより、第1蒸発器15の冷媒蒸発圧力(冷媒蒸発温度)よりも第2蒸発器18の冷媒蒸発圧力(冷媒蒸発温度)を低くすることができる。本実施形態では、第1蒸発器15を車室内冷房用として用い、第2蒸発器18を車載の冷凍冷蔵庫内の冷却用として用いているので、車室内冷房温度よりも車載の冷凍冷蔵庫内の冷却温度を低くすることができる。つまり、車室内冷房作用と冷凍冷蔵庫内の冷却作用とを高低2温度でもって実行できる。
しかも、第2蒸発器18側の冷媒流量をエジェクタ14の機能に依存することなく、絞り機構17にて独立に調整できる。また、第1蒸発器15への冷媒流量についても、圧縮機11の冷媒吐出能力の制御とエジェクタ14の絞り特性とにより調整できる。この結果、第1、第2蒸発器15、18への冷媒流量をそれぞれの熱負荷に対応して容易に調整できる。
この際、エジェクタ14のディフューザ部14dでの昇圧作用によって圧縮機11の吸入圧を上昇できる分だけ、圧縮機11の圧縮仕事量を低減でき、省動力効果を発揮できる。
ところで、サイクル熱負荷が小さい条件では、サイクルの高低圧差が小さくなって、エジェクタ14の入力が小さくなる。この場合に、特許文献1のサイクルでは、エジェクタ吸引側の第2蒸発器62を通過する冷媒流量がエジェクタ14の冷媒吸引能力のみに依存するので、エジェクタ14の入力低下→エジェクタ14の冷媒吸引能力の低下→第2蒸発器62の冷媒流量の減少が発生して、第2蒸発器62の冷却性能を確保しにくい。
これに対し、本実施形態によると、エジェクタ14の上流部で高圧冷媒を分岐し、この分岐冷媒を冷媒分岐通路16を通して冷媒吸引口14bに吸引させるから、冷媒分岐通路16がエジェクタ14に対して並列的な接続関係となる。
このため、冷媒分岐通路16にエジェクタ14の冷媒吸引能力だけでなく、圧縮機11の冷媒吸入、吐出能力をも利用して冷媒を供給できる。これにより、エジェクタ14の入力低下→エジェクタ14の冷媒吸引能力の低下という現象が発生しても、第2蒸発器18側の冷媒流量の減少度合いを特許文献1のサイクルよりも小さくできる。よって、低熱負荷条件でも、第2蒸発器18の冷却性能を確保しやすい。
また、放熱器13出口側、より具体的には受液器13a出口側の高圧液冷媒を内部熱交換器21において圧縮機吸入側の低圧冷媒と熱交換して冷却しているから、この高圧液冷媒の過冷却度を増加できる。これにより、第1、第2蒸発器15、18の入口冷媒のエンタルピを減少できる。その結果、第1、第2蒸発器15、18の入口、出口間の冷媒エンタルピ差を増大でき、第1、第2蒸発器15、18の冷却性能を増大できる。
なお、内部熱交換器21を持つ冷凍サイクルでは、一般に、圧縮機吸入冷媒の過熱度が増大して圧縮機吐出温度が上昇するという不利な点があるが、本実施形態によると、内部熱交換器21をエジェクタ式冷凍サイクルに組み合わせることにより、圧縮機吐出温度の上昇を回避できる。
この点を図3のモリエル線図により説明すると、図3において実線Aは本実施形態による内部熱交換器21を組み合わせたエジェクタ式冷凍サイクルのモリエル線図であり、これに対し、2点鎖線Bはエジェクタ14を持たない通常の冷凍サイクルに内部熱交換器21を組み合わせた比較例のモリエル線図である。なお、後者の比較例では、第1、第2蒸発器15、18を単純に並列接続している。
後者の比較例の場合は、内部熱交換器21での熱交換により圧縮機吸入冷媒がa点の過熱度を持つ状態まで吸熱したときに、このa点の圧縮機吸入冷媒がサイクルバランスにより決まる所定の吐出圧まで圧縮されると、圧縮機吐出冷媒はb点の状態となり、圧縮機吐出温度はこのb点で決まる温度まで上昇する。なお、等温線は図3の右側(エンタルピ増加側)が高温側で、図3の左側(エンタルピ減少側)が低温側となる。
これに対し、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルでは、エジェクタ14のディフューザ部14dでの昇圧作用によって第2蒸発器18の冷媒蒸発圧力よりも第1蒸発器15の冷媒蒸発圧力を所定値(昇圧分)cだけ高くすることができる。
この昇圧分cだけ、圧縮機11の吸入圧を高くすることができるので、圧縮機11の圧縮比を小さくできる。このため、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルでは、圧縮機吐出冷媒がd点の状態となり、比較例の場合よりも等温線の低温側に移行するので、圧縮機吐出温度を比較例の場合よりも低くできる。
ところで、図1において、圧縮機11、放熱器13、受液器13a等の機器は車両のエンジンルーム内に搭載され、これに対し、エジェクタ14、第1、第2蒸発器15、18、絞り機構17、電動送風機19、20等の機器は車室内側に搭載される。そこで、通常の冷凍サイクルでは、エンジンルーム側機器と車室内側機器との間を2本の配管(高圧側配管および低圧側配管)で連結するのであるが、本実施形態によると、エンジンルーム内と車室内側との間に1本の2重管(すなわち、内部熱交換器21)を通すのみで、エンジンルーム側機器と車室内側機器との間を連結できる。
従って、本実施形態では、2重管式の内部熱交換器21を採用することにより、冷凍サイクルの車両への搭載作業が容易になる。
(第2実施形態)
第1実施形態では、分岐通路16の分岐点Zの上流側に内部熱交換器21の高圧側冷媒流路21aを配置しているが、第2実施形態では図4に示すように、分岐通路16の分岐点Zの下流側、すなわち、分岐通路16のうち絞り機構17の入口側に内部熱交換器21の高圧側冷媒流路21aを配置している。
第2実施形態によると、受液器13a出口側の高圧冷媒のうち、分岐通路16に分岐された高圧冷媒のみが内部熱交換器21にて冷却され、過冷却度が増加して、第2蒸発器入口冷媒のエンタルピが減少する。
これに対し、受液器13a出口側の高圧冷媒のうち、エジェクタ14入口側に流れる高圧冷媒は内部熱交換器21にて冷却されないので、受液器13a出口側でのエンタルピを維持する。このため、エジェクタ14入口冷媒の膨張エネルギーが内部熱交換器21の設置に伴って減少することを回避できる。
これにより、内部熱交換器21を設置してもエジェクタ14のディフューザ部14dでの昇圧量を減少させることなくエジェクタ式冷凍サイクルの運転を行うことができる。この結果、第2蒸発器18の蒸発圧力、ひいては蒸発温度を効果的に下げることができ、第2蒸発器18の冷却性能を向上できる。
なお、内部熱交換器21の高圧側冷媒流路21aを分岐通路16の分岐点Zとエジェクタ14の入口部との間に配置することも考えられるが、この場合は、エジェクタ14の入口冷媒のみを内部熱交換器21にて冷却し、エジェクタ14入口冷媒の膨張エネルギーを減少するので、実用上好ましくない。(第3実施形態)
図5は第3実施形態を示すもので、第1実施形態の構成に加えて第2分岐通路22を追加している。この第2分岐通路22はエジェクタ14の入口側で分岐され、その下流側は第1蒸発器15の出口側に接続される。
この第2分岐通路22には絞り機構23と第3蒸発器24が配置されている。絞り機構23は第3蒸発器24への冷媒流量の調節作用をなす減圧手段であって、具体的には温度式膨張弁のような可変絞り、あるいはキャピラリチューブやオリフィスのような固定絞りで構成できる。また、電動アクチュエータにより弁開度(通路絞り開度)が調整可能になっている電気制御弁を絞り機構23として用いてもよい。第3蒸発器24には電動送風機25により冷却対象空間の空気が送風される。
ここで、第3蒸発器24の出口側は第1蒸発器15の出口側に合流して、内部熱交換器21の低圧側冷媒流路21bの入口側に接続されるので、第1、第3蒸発器15、23の冷媒蒸発圧力はほぼ同一圧力となる。従って、第1、第3蒸発器15、23の冷媒蒸発温度も同一温度となる。
そこで、第3実施形態では、第1蒸発器15の具体的な冷却対象空間として例えば車室内の前席側空間を設定し、第3蒸発器24の具体的な冷却対象空間として例えば車室内の後席側空間を設定する。これによると、第1蒸発器15と第3蒸発器24とにより車室内の前席側空間および後席側空間を同時に冷房することができる。
第2蒸発器18の冷却対象空間として、第1実施形態と同様に車載の冷凍冷蔵庫を設定すれば、車室内の前席側空間および後席側空間を冷房すると同時に、車載の冷凍冷蔵庫内を冷却できる。
なお、第2、第3実施形態においても、2重管式の内部熱交換器21を採用することにより、第1実施形態と同様に冷凍サイクルの車両への搭載作業が容易になることはもちろんである。
(第4実施形態)
第1実施形態では、第1、第2蒸発器15、18をそれぞれ独立に構成し、第1、第2蒸発器15、18の冷却作用をそれぞれ独立に発揮させるようにしているが、第4実施形態では、図6に示すように、第1、第2蒸発器15、18を一体構造に組み付けて、1つのケース26内に配置している。
これにより、第1、第2蒸発器15、18を一体物として取り扱うことができ、第1、第2蒸発器15、18のケース26内への組み付けを簡単に行うことができる。
そして、第1、第2蒸発器15、18により共通の冷却対象空間、例えば、車室内空間あるいは冷凍冷蔵庫内空間を冷却する。
従って、第4実施形態では、第1、第2蒸発器15、18への送風手段として1個の共通の電動送風機27を用いている。ここで、電動送風機27の送風方向Dの上流側に冷媒蒸発温度の高い第1蒸発器15を配置し、送風方向Aの下流側に冷媒蒸発温度の低い第2蒸発器18を配置している。
これにより、第1蒸発器15における冷媒蒸発温度と送風空気との温度差および第2蒸発器18における冷媒蒸発温度と送風空気との温度差を両方とも確保できる。このため、第1、第2蒸発器15、18の冷却性能を両方とも有効に発揮できる。従って、共通の冷却対象空間に対する冷却性能を第1、第2蒸発器15、18の組み合わせにて効果的に向上できる。
なお、第4実施形態において、第1、第2蒸発器15、18の一体化の具体例としては、チューブ、フィン、タンク等の蒸発器構成部材をアルミニウム等の金属で構成し、第1、第2蒸発器15、18の全構成部材を一体ろう付けするろう付け方式が生産性向上のために好ましい。
(第5実施形態)
第1〜第4実施形態では、放熱器13の出口側に冷媒の気液分離器をなす受液器13aを配置しているが、第5実施形態では図7に示すように受液器13aを廃止し、その代わりに、第1蒸発器15の出口側と内部熱交換器21の低圧側冷媒流路21bの入口側との間にアキュムレータ28を配置している。このアキュムレータ28は第1蒸発器15の出口側冷媒の気液分離器を構成するもので、縦長のタンク形状からなる。
アキュムレータ28は、液相冷媒と気相冷媒との密度差を利用して冷媒の気液を分離して、液相冷媒をタンク内底部側に溜め、気相冷媒をタンク上部側から内部熱交換器21の低圧側冷媒流路21b側に向けて導出する。なお、アキュムレータ28にはタンク内底部側に溜まる液相冷媒中に含まれる潤滑オイルを圧縮機11の吸入側に戻す周知のオイル戻し機構(図示せず)が備えられている。
(第6実施形態)
第6実施形態は図8に示す通り、上記第4実施形態(図6)による第1、第2蒸発器15、18の一体化構成と、上記第5実施形態(図7)によるアキュムレータ28とを組み合わせるものである。
なお、第1蒸発器15の出口側と内部熱交換器21の低圧側冷媒流路21bの入口側との間にアキュムレータ28を配置する第5、第6実施形態(図7、図8)において、第3実施形態(図5)の第2分岐通路22を組み合わせてもよい。この場合に、第2分岐通路22の出口部は通常、アキュムレータ28の入口側に接続するが、第2分岐通路22の出口部をアキュムレータ28の出口側に接続してもよい。
(第1〜第6実施形態における内部熱交換器21の冷媒流路構成の変形例のまとめ)
内部熱交換器21の高圧側冷媒流路21aと低圧側冷媒流路21bは、図9に示す通り種々な位置に配置できる。
具体的には、高圧側冷媒流路21aは図9の(1)から(7)に示す7つの位置に配置できる。なお、(6)は(1)と(2)の両方にわたって高圧側冷媒流路21aを形成する場合を示し、(7)は(1)と(2)と(3)の3箇所にわたって高圧側冷媒流路21aを形成する場合を示す。
これに対し、低圧側冷媒流路21bは図9の(A)から(C)に示す3つの位置に配置できる。
従って、内部熱交換器21の冷媒流路構成としては、高圧側冷媒流路21aの7つの例と低圧側冷媒流路21bの3つの例との組み合わせにより、7×3=21通りの冷媒流路構成を採用できる。
(第7実施形態)
第1〜第6実施形態および図9に示す変形例ではいずれも、内部熱交換器21の高圧側冷媒流路21aを放熱器13の出口側に配置しているが、第7実施形態では図10に示すように放熱器を冷媒流れ上流側の第1放熱器13bと冷媒流れ下流側の第2放熱器13cとに分割し、この第1放熱器13bと第2放熱器13cとの間に内部熱交換器21の第1高圧側冷媒流路21a−1を設け、更に、分岐通路16において分岐点Zと絞り機構17との間に内部熱交換器21の第2高圧側冷媒流路21a−2を設けている。
なお、第7実施形態において、放熱器を2つの放熱器13b、13cに分割しているのは、例えば、家庭用冷蔵庫の冷凍サイクルにおいて、冷蔵庫の複数場所に放熱器を分散配置するためである。第1放熱器13bは冷却ファンを持ち、強制対流で冷媒の放熱を行い、第2放熱器13cは冷却ファンを持たず、自然対流で冷媒の放熱を行う。
内部熱交換器21の第2高圧側冷媒流路21a−2は第2放熱器13cの冷媒流れ下流側に設けられているので、2つの放熱器13b、13cで放熱した後の高圧冷媒が第2高圧側冷媒流路21a−2に流れる。このため、第2高圧側冷媒流路21a−2の冷媒温度は第1高圧側冷媒流路21a−1の冷媒温度よりも低くなる。
そこで、第2高圧側冷媒流路21a−2を内部熱交換器21の低圧側冷媒流路21bの入口側流路と熱交換するように設け、第1高圧側冷媒流路21a−1を内部熱交換器21の低圧側冷媒流路21bの出口側流路と熱交換するように設けている。
これにより、第1、第2高圧側冷媒流路路21a−1、21a−2の冷媒流れと低圧側冷媒流路21bの冷媒流れとが対向流の関係になって、内部熱交換器21の熱交換性能を確保できる。
ところで、圧縮機11として電動圧縮機を使用する場合には、低温となる吸入配管表面で結露が発生し、この結露水分によって電気回路部の短絡(ショート)事故等の電気的トラブルが発生しやすい。しかし、第7実施形態によると、第1放熱器13bと第2放熱器13cとの間の中間部に内部熱交換器21の第1高圧側冷媒流路21a−1を設けているので、第1高圧側冷媒流路21a−1の冷媒は凝縮域の気液2相冷媒であるから、第2放熱器13c通過後の過冷却域の冷媒に比して温度が高い。
従って、第1高圧側冷媒流路21a−1と低圧側冷媒流路21bの出口側流路との間の熱交換では、高圧冷媒と低圧冷媒との温度差を拡大して熱交換量を増大できる。その結果、圧縮機11の吸入冷媒温度を圧縮機周辺空気の露点温度よりも高めることができるので、圧縮機11の吸入配管における結露を防止して、電動圧縮機11における電気回路部の短絡(ショート)事故等の電気的トラブルを回避できる。
なお、第7実施形態では、1つの低圧側冷媒流路21bに対して複数の高圧側冷媒流路21a−1、21a−2を組み合わせる例について説明したが、図9の変形例から理解されるように、1つの高圧側冷媒流路に対して複数の低圧側冷媒流路を組み合わせるようにしてもよい。更に、複数の高圧側冷媒流路と複数の低圧側冷媒流路とを組み合わせるようにしてもよい。
また、第7実施形態では、放熱器を冷媒流れ上流側の第1放熱器13bと冷媒流れ下流側の第2放熱器13cとに分割し、この第1放熱器13bと第2放熱器13cとの間に内部熱交換器21の第1高圧側冷媒流路21a−1を設けているが、この第1高圧側冷媒流路21a−1を圧縮機11の吐出冷媒流路、すなわち、放熱器入口側の冷媒流路に設けるようにしてもよい。
(第8実施形態)
図11は第8実施形態であり、内部熱交換器として複数個の内部熱交換器、すなわち、サイクルの2箇所に分けて設けられる第1内部熱交換器211と第2内部熱交換器212とを備えている。
より具体的に説明すると、第8実施形態では図5の第3実施形態と同様に、第1分岐通路16と並列的に第2分岐通路22を設け、この第2分岐通路22に絞り機構23と第3蒸発器24を配置している。
第1内部熱交換器211は、第1分岐通路16の絞り機構17の入口側に位置する高圧側冷媒流路211aと、アキュムレータ28の出口側に位置する低圧側冷媒流路211bとの間で熱交換を行うように構成されている。
これに対し、第2内部熱交換器212は、第2分岐通路22の絞り機構23の入口側に位置する高圧側冷媒流路212aと、第3蒸発器24の出口側に位置する低圧側冷媒流路212bとの間で熱交換を行うように構成されている。
第2内部熱交換器212の低圧側冷媒流路212bの出口側は第1内部熱交換器211の低圧側冷媒流路211bの出口側と合流した後に圧縮機11の吸入側に接続される。
なお、第8実施形態の第1内部熱交換器211の高圧側冷媒流路211aは図9の(4)に相当し、低圧側冷媒流路211bは図9の(B)に相当する。また、第2内部熱交換器212の高圧側冷媒流路212aは図9の(3)に相当し、低圧側冷媒流路212bは図9の(C)に相当する。
第8実施形態によると、第1分岐通路16側の第1内部熱交換器211と、第2分岐通路22側の第2内部熱交換器212とを独立に設けているから、第1内部熱交換器211側の熱交換量を第2蒸発器18の冷却性能発揮に有利となるように独立に設定でき、また、第2内部熱交換器212側の熱交換量を第3蒸発器24の冷却性能発揮に有利となるように独立に設定できる。
なお、第7、第8実施形態における第1、第2蒸発器15、18は別々の冷却対象空間を冷却するように構成しても、また、1つの共通の冷却対象空間を冷却するように構成してもよい。前者は図1、図4、図5、図7の第1〜第3実施形態と同じでよい。後者は図6、図8の第4、第6実施形態と同じでよい。
(第9実施形態)
図12は第9実施形態であり、第1実施形態に対して温度式膨張弁30を追加している。
温度式膨張弁30は、内部熱交換器21の高圧側冷媒流路21aと分岐通路16の分岐点Zとの間の冷媒通路31(換言すると分岐点Zの上流側冷媒通路31)に配置され、第1蒸発器15の出口冷媒の過熱度が所定値となるように冷媒通路31の開度(通路面積)を調整する。
このため、温度式膨張弁30は、冷媒通路31の開度(通路面積)を調整する弁体(図示せず)と、この弁体を駆動する弁駆動機構30aとを有している。
この弁駆動機構30a自体は周知の構成であり、第1蒸発器15の出口冷媒温度を感知する感温部30bにより感知される蒸発器出口冷媒温度に応じた圧力と、第1蒸発器15の出口冷媒圧力とに応じて変位するダイヤフラム等の圧力応動部材が弁駆動機構30aに備えられており、この圧力応動部材の変位に応じて膨張弁30の弁体(図示せす)を駆動するようになっている。このため、弁駆動機構30aには図示しない圧力導入通路にて第1蒸発器15の出口冷媒圧力が導入される。と
次に、第9実施形態の特徴を述べると、放熱器13出口側の高圧冷媒が温度式膨張弁30を通過することで1次減圧が行われて、冷媒圧力は所定の中間圧まで低下する。この中間圧冷媒は分岐点Zでエジェクタ14へ向かう流れと分岐通路16側の流れとに分岐され、エジェクタ14および絞り機構17にて再度減圧(2次減圧)が行われて冷媒圧力は所定の低圧圧力まで低下する。
ここで、温度式膨張弁30は、分岐点Zの上流側冷媒通路31に配置されているから、この上流側冷媒通路31の開度(通路面積)を調整することにより第1蒸発器15の出口冷媒の過熱度が所定値となるように第1、第2蒸発器15、18への合計冷媒流量を適切に制御できる。
そして、第1蒸発器15の出口冷媒は、内部熱交換器21の低圧側冷媒流路21bにて吸熱した後に圧縮機11に吸入されるから、温度式膨張弁30によって第1蒸発器15直後の冷媒の状態を過熱度=0℃の飽和ガス付近の状態に制御しても圧縮機11への液冷媒戻りを確実に防止できる。
しかも、温度式膨張弁30によって第1蒸発器15直後の冷媒状態を過熱度=0℃の飽和ガス付近の状態に制御することで、第1蒸発器15出口で液冷媒の蒸発が丁度完了するように冷媒流量を制御できる。これにより、圧縮機11への液冷媒戻りを生じることなく、第1蒸発器15の熱交換部全体にて液冷媒の蒸発による潜熱の吸熱作用を行うことができる。そのため、第1蒸発器15の冷却性能を良好に発揮できる。
第9実施形態においても、内部熱交換器21の採用により温度式膨張弁30上流の高圧冷媒の過冷却度を増大して、第1、第2蒸発器15、18の入口、出口間のエンタルピ差を増大でき、第1、第2蒸発器15、18の冷却性能を増大できる。また、内部熱交換器21を採用しても、図3に示したエジェクタ式冷凍サイクル特有のサイクル挙動から圧縮機吐出温度の上昇を回避できる。これらの利点は第1実施形態等と同じである。
なお、第1蒸発器15の下流側に内部熱交換器21の低圧側冷媒流路21bが設けられているため、第1蒸発器15直後の冷媒の状態として、過熱域でなく乾き度「1」(=過熱度「0℃」)に近似した気液2相域となるように温度式膨張弁30による流量制御を行ってもよい。
また、膨張弁30として純機械的な機構で構成される一般的な温度式膨張弁の他に、冷媒温度センサおよび冷媒圧力センサの検出信号に基づいて電気的に弁開度制御(流量制御)を行う電気式膨張弁を使用してもよい。
第9実施形態および以下述べる実施形態において第1実施形態等と同等部分には同一符号を付して説明を省略している。
(第10実施形態)
図13は第10実施形態であり、上記第9実施形態における第1、第2蒸発器15、18を一体化したものに相当する。この第1、第2蒸発器15、18の一体化構成は図6の第4実施形態と同じでよい。
(第11実施形態)
上記第9実施形態では、内部熱交換器21に温度式膨張弁30の入口側に位置する高圧側冷媒流路21aを設け、この高圧側冷媒流路21aの高圧冷媒と、内部熱交換器21の低圧側冷媒流路21bを流れる圧縮機吸入側の低圧冷媒との間で熱交換を行っているが、第11実施形態では図14に示すように、温度式膨張弁30の出口側に位置する中間圧冷媒流路21cを内部熱交換器21に設け、この中間圧冷媒流路21cを流れる中間圧冷媒と、内部熱交換器21の低圧側冷媒流路21bを流れる圧縮機吸入側の低圧冷媒との間で熱交換を行うようになっている。
中間圧冷媒流路21cは、具体的には、分岐通路16のうち絞り機構17の入口側に配置されている。これにより、第11実施形態の内部熱交換器21の中間圧冷媒流路21cには温度式膨張弁30通過後で、かつ、絞り機構17入口側の中間圧冷媒が流れることになる。
内部熱交換器21の中間圧冷媒流路21cはエジェクタ14の入口側流路と並列関係になっているので、エジェクタ14のノズル部14aには温度式膨張弁30通過後の中間圧冷媒が内部熱交換(放熱)を行うことなくそのまま流入することになる。これにより、第11実施形態では次のごとき作用効果を発揮できる。
もし、エジェクタ14のノズル部14aに流入する中間圧冷媒も内部熱交換を行うと、この中間圧冷媒のエンタルピが低圧冷媒への放熱により減少する。ノズル部14aにおける減圧作用は等エントロピ変化であり、冷媒の物性からモリエル線図上での等エントロピ線の勾配はエンタルピが減少するに伴って小さくなる関係にある。
この結果、エジェクタ14のノズル部14aに流入する中間圧冷媒のエンタルピが減少すると、ノズル部14aにおける冷媒膨張時の損失エネルギーの回収量が減少するので、エジェクタ14のディフューザ部14dでの昇圧量が減少することにつながる。
しかし、第11実施形態によると、上記のごとく分岐通路16側の中間圧冷媒のみ内部熱交換を行って、エジェクタ14入口側の中間圧冷媒は内部熱交換(放熱)を行うことなく温度式膨張弁30通過後の状態のままエジェクタノズル部14aへ流入する。このため、内部熱交換に伴う冷媒エンタルピの減少を回避して、ノズル部14aにおける冷媒膨張時の損失エネルギーの回収量を十分確保でき、ディフューザ部14dでの昇圧量も十分確保できる。
一方、分岐通路16側の中間圧冷媒は内部熱交換(放熱)により過冷却状態となり、エンタルピが減少するので、第2蒸発器(18)の冷却性能を向上できる。
(第12実施形態)
図15は第12実施形態であり、上記第11実施形態における第1、第2蒸発器15、18を一体化したものに相当する。この第1、第2蒸発器15、18の一体化構成は、図6の第4実施形態と同じでよい。
(第13実施形態)
図16は第13実施形態であり、上記第11実施形態に対する相違点は内部熱交換器21の中間圧冷媒流路21cを分岐点Zの上流側に配置した点である。
ところで、放熱器13出口側の高圧液冷媒は温度式膨張弁30における1次減圧作用によって気液2相状態の中間圧に減圧される。
このため、上記第11実施形態であると、この気液2相状態の中間圧冷媒がそのままエジェクタ14のノズル部14aへ流入することになる。この気液2相状態の冷媒では所定割合の気相冷媒を包含しているので、冷媒がノズル部14aを通過する際に不規則な気泡流れが発生してノズル部14aを振動させ、ノズル部14aから冷媒通過音を生じる。
これに対して、第13実施形態では、温度式膨張弁30通過後の中間圧冷媒が内部熱交換器21の中間圧冷媒流路21cにおいて圧縮機吸入側の低圧冷媒に放熱して液化される。このため、分岐通路16の絞り機構17とエジェクタ14のノズル部14aの両方に所定の過冷却度を持った液相冷媒が流入する。
これにより、絞り機構17およびエジェクタノズル部14aにおける不規則な気泡流れを抑制でき、絞り機構17およびエジェクタノズル部14aからの冷媒通過音の放出を抑制できる。
(第14実施形態)
図17は第14実施形態であり、上記第13実施形態における第1、第2蒸発器15、18を一体化したものに相当する。この第1、第2蒸発器15、18の一体化構成は、図6の第4実施形態と同じでよい。
(第15実施形態)
図18は第15実施形態であり、分岐通路16の絞り機構をキャピラリチューブ17により構成し、このキャピラリチューブ17をそのまま用いて内部熱交換器21の中間圧冷媒流路21cを構成している。
したがって、キャピラリチューブ17は分岐通路16の絞り機構を構成すると同時に、内部熱交換器21の一部を構成することになる。
より具体的には、キャピラリチューブ17を内側配管とし、第1蒸発器15の出口冷媒配管(圧縮機吸入配管)を外側配管とする2重配管構造を構成することで内部熱交換器21を構成できる。もちろん、キャピラリチューブ17と第1蒸発器15の出口冷媒配管(圧縮機吸入配管)とを熱伝導良好な接合構造にて接合することで、内部熱交換器21を構成してもよい。
キャピラリチューブ17のうち下流側の所定長さの部分17aは、第1蒸発器15の出口冷媒配管(圧縮機吸入配管)から引き離して、内部熱交換をしない構成、つまり、絞り機構の役割のみを果たす構成になっている。
第15実施形態によると、膨張弁30通過後の中間圧冷媒をキャピラリチューブ17にて減圧しながら、同時に圧縮機吸入側低圧冷媒へ放熱することが可能となる。
因みに、図14の第11実施形態によると、膨張弁30通過後の中間圧冷媒が内部熱交換器21での熱交換を行ってから分岐通路16の絞り機構17に流入する。ここで、内部熱交換量はサイクル運転条件により大きく変動するので、絞り機構17に流入する冷媒状態が過冷却液相状態から気液2相状態まで大きく変動する。
過冷却液相状態と気液2相状態とでは冷媒の密度が大きく変動するので、絞り機構17としてキャピラリチューブ17のような固定絞りを用いる場合には、過冷却液相状態と気液2相状態との双方において適切な減圧特性を維持することが困難となる。
これに対し、第15実施形態では膨張弁30通過後の気液2相状態の中間圧冷媒をキャピラリチューブ17にて減圧しながら、同時に圧縮機吸入側低圧冷媒へ放熱することができる。
従って、キャピラリチューブ17では冷媒の気液2相状態を維持したまま、冷媒の減圧作用と放熱作用とを行うことができる。これにより、キャピラリチューブ17による減圧特性を狙いとする減圧特性(減圧量)に設定しやすい。
なお、キャピラリチューブ17の全長を内部熱交換器21として構成すると、キャピラリチューブ17のうち下流側の所定領域では、その冷媒温度が圧縮機吸入側低圧冷媒の温度より低下して圧縮機吸入側低圧冷媒から逆に吸熱するという現象が起きるが、第15実施形態ではキャピラリチューブ17のうち下流側の所定長さの部分17aを、第1蒸発器15の出口冷媒配管(圧縮機吸入配管)から引き離して、内部熱交換をしない構成にしているため、キャピラリチューブ17の下流側領域での吸熱を確実に防止できる。
(第16実施形態)
図19は第16実施形態であり、上記第15実施形態における第1、第2蒸発器15、18を一体化したものに相当する。この第1、第2蒸発器15、18の一体化構成は、図6の第4実施形態と同じでよい。
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく以下述べるごとく種々変形可能である。
(1)上述の各実施形態において、第1蒸発器15側の冷媒通路、第1分岐通路16および第2分岐通路22にそれぞれ通路開閉用の電磁弁のような電気制御弁を設置すれば、第1蒸発器15、第2蒸発器18および第3蒸発器24への冷媒流れを自由に選択できる。
ここで、第1、第2分岐通路16、22の絞り機構17、23を電気制御弁で構成すれば、絞り機構17、23自体に、通路開閉用弁手段の役割を兼務させることができる。
(2)第1〜第4実施形態のように放熱器13の出口側に受液器13aを配置する冷凍サイクル(レシーバサイクル)において、エジェクタ14の入口側に温度式膨張弁を配置し、この温度式膨張弁により第1蒸発器15の出口冷媒の過熱度を制御するようにしてもよい。
(3)上述の各実施形態では、冷媒としてフロン系、HC系等の冷媒のように高圧圧力が臨界圧力を超えない冷媒を用いて、蒸気圧縮式の亜臨界サイクルを構成しているが、冷媒として二酸化炭素(CO2)のように高圧圧力が臨界圧力を超える冷媒を用いて、蒸気圧縮式の超臨界サイクルを構成する場合にも本発明を同様に適用できる。
但し、超臨界サイクルでは、圧縮機吐出冷媒が放熱器13にて超臨界状態のまま放熱するのみであり、凝縮しないので、高圧側に配置される受液器13aでは冷媒の気液分離作用および余剰液冷媒の貯留作用を発揮できない。そこで、超臨界サイクルでは、図7、図8に示すように第1蒸発器15の出口側に低圧側気液分離器をなすアキュムレータ28を配置するのがよい。
(4)上述の各実施形態では、エジェクタ14として、通路面積が一定のノズル部14aを有する固定エジェクタを例示しているが、エジェクタ14として、通路面積を調整可能な可変ノズル部を有する可変エジェクタを用いてもよい。
なお、可変ノズル部の具体例としては、例えば、可変ノズル部の通路内にニードルを挿入し、このニードルの位置を電気的アクチュエータにより制御して通路面積を調整する機構とすればよい。
可変エジェクタのノズル部通路面積を調整することにより超臨界サイクルおよび亜臨界サイクルの高圧を制御する機能を発揮できる。
(5)第1実施形態等では、車室内冷房用と冷凍冷蔵庫内の冷却とを行う冷凍サイクルに本発明を適用した例を示したが、冷媒蒸発温度が高温側となる第1蒸発器15と冷媒蒸発温度が低温側となる第2蒸発器18の両方をともに車室内の異なる領域(例えば、車室内前席側領域と車室内後席側領域)の冷房に用いてもよい。
(6)冷媒蒸発温度が高温側となる第1蒸発器15と冷媒蒸発温度が低温側となる第2蒸発器18の両方をともに冷凍冷蔵庫内の冷却に用いてもよい。つまり、冷媒蒸発温度が高温側となる第1蒸発器15により冷凍冷蔵庫内の冷蔵室を冷却し、冷媒蒸発温度が低温側となる第2蒸発器18により冷凍冷蔵庫内の冷凍室を冷却するようにしてもよい。
(7)絞り機構17、23として、固定絞りと電磁弁とを一体化した構成を用いれば、固定絞りによる流量調節機能に流路遮断(シャット)機能を組み合わせた絞り機構を構成できる。
12 圧縮機
13 放熱器
14 エジェクタ
14a ノズル部
14b 冷媒吸引口
14d 昇圧部(ディフューザ部)
15 第1蒸発器
16 第1分岐通路
17 絞り機構(第1絞り手段)
18 第2蒸発器
21 内部熱交換器
22 第2分岐通路
23 絞り機構(第2絞り手段)
24 第3蒸発器
28 アキュムレータ(気液分離器)

Claims (7)

  1. 冷媒を吸入し圧縮する圧縮機(11)と、
    前記圧縮機(11)から吐出された高圧冷媒の放熱を行う放熱器(13)と、
    前記放熱器(13)の出口側冷媒通路(31)に配置され、前記出口側冷媒通路(31)の開度を調整して前記圧縮機(11)吸入側の低圧冷媒の状態を制御する膨張弁(30)と、
    前記膨張弁(30)出口側の冷媒を減圧膨張させるノズル部(14a)、前記ノズル部(14a)から噴射する噴射冷媒流により冷媒が内部に吸引される冷媒吸引口(14b)、および前記高い速度の冷媒流と前記冷媒吸引口(14b)からの吸引冷媒とを混合した冷媒流の速度エネルギーを圧力エネルギーに変換する昇圧部(14d)を有するエジェクタ(14)と、
    前記エジェクタ(14)から流出した冷媒を蒸発させて冷却能力を発揮する第1蒸発器(15)と、
    前記膨張弁(30)出口側の冷媒を前記エジェクタ(14)の入口側で分岐して前記冷媒吸引口(14b)に導く分岐通路(16)と、
    前記分岐通路(16)に配置され、前記膨張弁(30)出口側の冷媒を減圧する絞り手段(17)と、
    前記分岐通路(16)において、前記絞り手段(17)の出口側に配置され、冷媒を蒸発させて冷却能力を発揮する第2蒸発器(18)と、
    前記圧縮機(11)吸入側の低圧冷媒と、前記膨張弁(30)入口側の高圧冷媒もしくは前記膨張弁(30)出口側の中間圧冷媒との間で熱交換を行う内部熱交換器(21)とを備えることを特徴とするエジェクタ式冷凍サイクル。
  2. 前記内部熱交換器(21)は、前記膨張弁(30)の入口側に配置された高圧側冷媒流路(21a)と、前記圧縮機(11)吸入側の低圧側冷媒流路(21b)との間で熱交換を行うように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のエジェクタ式冷凍サイクル。
  3. 前記内部熱交換器(21)は、前記分岐通路(16)のうち前記絞り手段(17)入口側に配置された中間圧冷媒流路(21c)と、前記圧縮機(11)吸入側の低圧側冷媒流路(21b)との間で熱交換を行うように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のエジェクタ式冷凍サイクル。
  4. 前記内部熱交換器(21)は、前記膨張弁(30)出口側と前記分岐通路(16)の分岐点(z)との間に配置された中間圧冷媒流路(21c)と、前記圧縮機(11)吸入側の低圧側冷媒流路(21b)との間で熱交換を行うように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のエジェクタ式冷凍サイクル。
  5. 前記絞り手段(17)がキャピラリチューブ(17)にて構成され、前記内部熱交換器(21)は、前記キャピラリチューブ(17)と前記圧縮機(11)吸入側の低圧側冷媒流路(21b)との間で熱交換を行うように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のエジェクタ式冷凍サイクル。
  6. 前記膨張弁(30)は、前記第1蒸発器(15)の出口部と前記低圧側冷媒流路(21b)との間の冷媒の状態を、この冷媒の温度および圧力に基づいて制御することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載のエジェクタ式冷凍サイクル。
  7. 前記第1蒸発器(15)と前記第2蒸発器(18)とを一体構造に組み付けたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載のエジェクタ式冷凍サイクル。
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