図1は、実施例1に係る操作装置に関連する主要構成の一例を示す機能ブロック図を示す。本実施例の操作装置は、図1に示すように、操作部100と、表示制御装置70と、操作部100に対する運転者の操作を支援する操作メニュー画像(後に詳述)を表示する表示部40を備える。
表示制御装置70は、マイクロコンピューターを中心に構成されている。即ち、表示制御部70は、所定の実行プログラムに従って各種処理を行うCPU、このCPUの実行プログラム、画像データ、演算結果等を格納するメモリ(例えばROM、RAM、EEPROM等)、タイマ、カウンタ、入出力インターフェイス等を有している。これらCPU、メモリ、及び入出力インターフェイスは、データバスにより相互に接続されている。尚、以下で説明する表示制御装置70の各種動作・機能は、CPUによって実行されるプログラムによって実現される。
表示制御装置70は、操作部100との間に無線又は有線により通信を行う。表示制御装置70は、操作部100から各種スイッチ信号を受信すると、表示部40での表示画面の切り換え(各種メニュー画像の生成)等を行うと共に、他の制御ECU(例えば、カーナビゲーションECU、オーディオECU及びエアコンECU等)に対して、各種スイッチ信号に応じた信号を送る。他の制御ECUは、表示制御装置70からの信号に応答し、各種スイッチ信号に応じた機能を実現するような車載機器80を制御する。
表示制御装置70は、表示部40との間で無線又は有線により通信を行う。本例では、表示部40は、視認可能な位置に設けられたディスプレイであり、ユーザーたる運転者が、運転中に大きく視点を移動させなくて済むように、ユーザーの前方の見易い位置に設置される。また、車両のフロントウィンドシールドガラスに投影して表示する、ヘッドアップ・ディスプレイも好適に用いられる。
車載機器80には、車内で、スイッチ操作に応じて所定の機能を実現するためのナビゲーション・コンピュータ、オーディオ、エアコン及び電話等の他、交通情報等のVICS(Vehicle Information & Communication System)情報を受信するための電波ビーコンアンテナ、光ビーコンアンテナ、VICSコンピュータ、同様にFM多重放送信号を受信するためのラジオアンテナが含まれる。
図2は、本操作装置と交通情報を送る情報センター30、36との関係と、本操作装置の車載機器80の詳細について示した図である。例えば、道路交通情報通信システム(VICS)30では、日本道路交通情報センター31が渋滞、事故、工事、駐車場の満席状況等の収集された交通情報を処理・編集してVICSセンター32に送る。VICSセンター32から、該編集された交通情報を電波ビーコン33、光ビーコン34、FM多重放送35を通じて送信する。また、他の公的又は私的な外部の情報センター36、例えばG−BOOKセンターのような情報センターが交通情報を送信する場合もある。センターや地域の特性により、VICSよりも特化した詳細な情報や、或いは重要度を意識した、情報の重み付けを行った交通情報を送ること等、特色ある有益な交通情報の配信が期待できる。
本操作装置は、電波ビーコンアンテナ81、光ビーコンアンテナ82、ラジオアンテナ83、他の外部センター用アンテナ89、VICSコンピュータ84、記憶手段86を搭載したナビゲーション・コンピュータ85、オーディオ、エアコン、電話等の所定の機能を実現する装置87、音声出力手段88から構成される車載機器80、表示制御装置70、操作スイッチ60を含む操作部100、表示部40から構成されている。
電波ビーコンアンテナ81、光ビーコンアンテナ82、ラジオアンテナ83は、それぞれ電波ビーコン33、光ビーコン34、FM多重放送35から送信されるVICS交通情報を受信する。また、他の外部の情報センター36から送信された信号については、そのセンターで用いる信号搬送波に適した外部センター用アンテナ89が用いられて該信号を受信する。VICSコンピュータ84は、電波ビーコンアンテナ81、光ビーコンアンテナ82で受信したVICS情報を復調する。
ナビゲーション・コンピュータ85は、VICSコンピュータ84、ラジオアンテナ83及び外部センター用アンテナから送られてくる信号を受信し、その情報を記憶手段86に記憶させたり、表示制御装置70に送って表示させたり、音声出力手段88に送って出力したりする。また、オーディオ、エアコン、電話、ナビゲーションシステム等の所定の機能を実現する装置の制御を行う。なお、記憶手段86は、取得した交通情報を必要に応じて記憶しておくためのものであり、一般的なメモリが好適に用いられる。
上述のように、電磁ビーコン33、光ビーコン34、FM多重放送35から送られてくるVICS交通情報及び外部の情報センター36から送られてくる交通情報に対しては、電磁ビーコンアンテナ81と、光ビーコンアンテナ82と、ラジオアンテナ83と、外部センター用アンテナ89で受信して情報を取得するので、これらは情報取得手段として機能する。情報取得手段は、外部から送られた情報を取得できるものであれば、その種類や形式は問わないが、例えば本実施例で説明するようなアンテナ等を用いる情報受信手段であってもよい。
また、取得する情報の種類に関しては、G−BOOKセンターのような外部の情報センター36においては、交通情報以外の運転者にとって有益な情報を提供する場合もあり得る。例えば、台風が来ている場合には、気象情報が有益な情報となり得るし、ある特定の地域に住む運転者にとっては、その地域のバーゲン情報がその運転者にとっては有益な情報となる場合もあり得る。本実施例では、以後、理解の容易のために、一般的に運転者にとって有益な情報である交通情報を例にとって説明するが、他の種類の運転者にとって有益な情報についても、本実施例を同様に適用することができる。
所定の機能を実現する車載装置87は、ナビゲーション・コンピュータ85からの指令に基づき、オーディオ機能、エアコン機能、電話機能、ナビゲーション機能等のスイッチ60の操作に応じた所定の機能を実現するための装置である。
音声出力部88は、ナビゲーション・コンピュータから送られてきた交通情報を音声出力するためのものであり、通常のスピーカーを好適に用いてよい。また、CD、MD、DVD等の情報記録媒体に記録された音楽等の音声や、チューナーを聞くときのスピーカーとして兼用してもよい。
表示制御装置70は、ナビゲーション・コンピュータ85から送られてきた交通情報、ルート提示等のナビゲーション情報等の信号処理及び制御と、スイッチ60の配置の表示部40への表示制御を行う。また、スイッチ60の操作に応じて、該スイッチに対応する所定の機能を実現するための信号をナビゲーション・コンピュータ85に送る。
操作部100は、本操作装置を操作するためのものであり、操作用のスイッチ60を備えている。ユーザーがスイッチ60を操作することにより、当該スイッチに応じた所望の機能を実行させることができる。例えば、オーディオモードにしてCDやMDの音楽を再生したり、また音量を調節したり、エアコンモードにしてエアコンのON、OFFや温度調整を行ったり、電話モードにしてハンドフリーで電話をかけたり、ナビゲーションモードにして目的地への最適ルートを検索することができる。スイッチ60は、本例ではステアリングに設けられたステアリング・スイッチが好適に用いられるが、手が届く、操作可能な範囲に設置されているものであればよい。
表示部40は、上述のスイッチ60の操作を容易にするためのものであり、スイッチ60の配置を、ユーザーから見易い位置に設置されたディスプレイ上に表示する。運転者は、運転中に操作装置の操作を行わなければならないため、安全性を保つべく、ディスプレイの位置は、運転者の視点移動が少ない、前方に設置することが好ましい。例えば、液晶ディスプレイ等のような、運転者が直接見ることができる類の表示器の場合、インストルメントパネル上面の中央部に配置されてもよい。また、フロントウィンドシールドガラスに操作部のスイッチの配置を投影して表示する、ヘッドアップ・ディスプレイ(HUD)も好適に用いられる。
図3は、ヘッドアップ・ディスプレイ装置の一例を示す断面図である。ヘッドアップ・ディスプレイ装置は、HUDユニット42を備える。HUDユニット42は、表示画像のフロントウィンドシールドガラス46上での表示画像の表示位置に応じて、車室内のインストルメントパネル内の適切な位置に搭載されている。HUDユニット42のケース43の内部には、表示器44が収容されている。表示器44は、表示制御装置70からの映像信号(表示画像)に応じた表示光を出射する。表示器44から出射された表示光は、凹面鏡45を介して、フロントウィンドシールドガラス46に到達する。このとき、表示光はフロントウィンドシールドガラス46によって観測者(主に運転者)方向に反射され、運転者の前方に表示器44の表示画像に対応する反射像が表示される。尚、ヘッドアップ・ディスプレイ装置は、操作メニュー画像を表示するのみならず、通常的な使用態様として、例えば夜間走行時に、赤外線カメラで撮像した映像を表示してもよい。
図4は、操作部100の一実施例を示し、ステアリングホイール10に設けられたステアリングスイッチ60の一例を示している。ステアリングホイール10は、運転席側に配置され、図示しないステアリングシャフトに接続され、車両の車輪を転舵させるために操作される。この例では、ステアリングホイール10は、運転者により把持され回転操作される円環状のハンドル部12と、中央部14と、ハンドル部12と中央部14をつなぐ放射状に延びるスポーク16とを備える。ステアリングホイールの中央部14は、エアバックが実装されるため、比較的大きな領域を占める。
ステアリングスイッチ60は、スポーク16の根元付近、即ち中央部の外周側に配設される。実施例1では、ステアリングスイッチ60は、多数配置(左右でそれぞれ6つ以上配置)され、機能が豊富な操作装置を構成する。
図4に示すステアリングスイッチ60は、4つスイッチ群をなす。この例では、4つスイッチ群は、望ましくはステアリングを把持した左手で操作されることが意図された左側のスイッチ群101,102と、望ましくはステアリングを把持した右手で操作されることが意図された右側のスイッチ群103,104とからなる。
第1のスイッチ群101は、運転者から見て左上側に密集して配置され、例えばオーディシステムを操作するために用いられる。図4に示す第1のスイッチ群101は、互いに密接して配置された5つのステアリングスイッチ60から構成される。具体的には、第1のスイッチ群101は、1つのステアリングスイッチ60を囲繞するように4つのステアリングスイッチ60を配置してなる。5つのステアリングスイッチ60は、例えば、ラジオ・TVモードでチューニングをしたり、所望の再生メディアを検索したりするためのシーク(seek)スイッチ、再生出力を増加又は減少させるためのボリュームスイッチ、及び、モードスイッチである。各ステアリングスイッチ60の操作部材(スイッチノブ)64の表面には、それぞれの機能を表す文字ないし図柄が付与されている。尚、中央のステアリングスイッチ60は、モードスイッチとして固定機能のスイッチとしてもよいが、多機能を実現するマルチファンクションスイッチとして構成し、交通情報を取得したときだけ交通情報スイッチとして機能するように構成してもよい。なお、図示しないが、交通情報出力スイッチは、例えばモードスイッチの下方に、独立したスイッチとして設けるようにしてもよい。
第2のスイッチ群102は、運転者から見て左下側に密集して配置され、例えば空調システム(いわゆるエアコン)を操作するために用いられる。図4に示す第2のスイッチ群102は、互いに密接して配置された5つのステアリングスイッチ60から構成される。具体的には、第2のスイッチ群102は、左右2列に、4つのステアリングスイッチ60を配置し、その下側に2列分の幅の1つのステアリングスイッチ60を配置してなる。5つのステアリングスイッチ60は、例えば、温度を増加又は減少させるためのスイッチ、フロントデフロスタスイッチ、リアデフォッガスイッチ、及び、オート機能のオン/オフスイッチである。各ステアリングスイッチ60の表面には、それぞれの機能を表す文字ないし図柄が付与されている。
第3のスイッチ群103は、運転者から見て右上側に密集して配置され、例えば無線通信機能を含む各種音声機能システムを操作するために用いられる。図4に示す第3のスイッチ群103は、互いに密接して配置された5つのステアリングスイッチ60から構成される。具体的には、第3のスイッチ群103は、第1のスイッチ群101と同様、1つのステアリングスイッチ60を囲繞するように4つのステアリングスイッチ60を配置してなる。第3のスイッチ群103の各ステアリングスイッチ60の配置は、第1のスイッチ群101の各ステアリングスイッチ60の配置に対して左右対称であってよい。5つのステアリングスイッチ60は、例えば、携帯電話(又は車両電話)の着呼及び切断のためのスイッチ、認識させる音声を発話する際に押す音声認識スイッチ、ナビゲーション画面の現在地表示に戻すためのMAPスイッチ、及び、各種情報を表示するためのINFOスイッチである。同様に、各ステアリングスイッチ60の操作部材64の表面には、それぞれの機能を表す文字ないし図柄が付与されている。
第4のスイッチ群104は、運転者から見て右下側に密集して配置され、例えば車両情報管理システムを操作するために用いられる。図4に示す第4のスイッチ群104は、互いに密接して配置された5つのステアリングスイッチ60から構成される。具体的には、第4のスイッチ群104は、第2のスイッチ群102と同様、左右2列に、4つのステアリングスイッチ60を配置し、その下側に2列分の幅の1つのステアリングスイッチ60を配置してなる。第4のスイッチ群104の各ステアリングスイッチ60の配置は、第2のスイッチ群102の各ステアリングスイッチ60の配置に対して左右対称であってよい。5つのステアリングスイッチ60は、例えば、クリアランスソナーや周辺監視カメラによる周辺監視結果を示す周辺監視画面に切り替えるためのVIEWスイッチ、メーターやディスプレイの表示切替のためのDISPスイッチや、レーザークルーズコントロールにおける車間距離切り替えスイッチや、レーザークルーズコントロールにおける低速追従モード切替スイッチである。同様に、各ステアリングスイッチ60の表面には、それぞれの機能を表す文字ないし図柄が付与されている。
図5は、操作メニュー画像の通常の表示状態を示す。操作メニュー画像は、操作部100に対する運転者の操作を支援するための画像であり、操作部100の各ステアリングスイッチ60に対する操作で実現される各種機能を、運転者に知らせると共に、当該各種機能を実現するために操作されるべき各ステアリングスイッチ60の位置を、運転者に知らせる役割を果たす。操作メニュー画像は、表示部40において実行される表示画面の切り替えの際にも、基本となる画像であり、詳細な操作案内画像等の他の表示画像に対する入口となる画像である。
図5に示すように、操作メニュー画像の通常の表示状態では、図4に示したステアリングスイッチ60の配置と同様の配置で、各ステアリングスイッチ60の機能を表す機能表示が表示される。
ところで、上述の如く、ステアリングスイッチ60を多数配置する構成では、一のステアリングスイッチ60毎に、全てのステアリングスイッチ60について、その個別機能を表示しようとすると、操作メニュー画像における機能表示が、ステアリングスイッチ60の配置と同様に密集して見づらくなる。
そこで、本実施例では、図5に示すように、操作メニュー画像の通常の表示状態として、同一群に属する複数のステアリングスイッチ60の各機能を1つの代表的な機能で表す全体機能表示が表示される。具体的には、通常の表示状態では、図5に示すように、第1のスイッチ群101に属する各ステアリングスイッチ60に係る機能表示は、オーディオ機能を代表的に表す“音符”を模した図形の全体機能表示からなる。同様に、第2のスイッチ群102に属する各ステアリングスイッチ60に係る機能表示は、空調機能を代表的に表す“ブロア”を模した図形の全体機能表示からなり、第3のスイッチ群103に属する各ステアリングスイッチ60に係る機能表示は、音声機能を代表的に表す“電話”を模した図形の全体機能表示からなり、第4のスイッチ群104に属する各ステアリングスイッチ60に係る機能表示は、車両情報管理機能を代表的に表す“車両”を模した図形の全体機能表示からなる。
このように、全体機能表示は、各スイッチ群101〜104(ひいてはそれぞれの群に属する各ステアリングスイッチ60)と同様の配置で配置されているので、運転者は、全体機能表示の位置関係を頼りに、各スイッチ群101〜104のおよその位置関係を把握することができる。
次に、本操作装置の動作を説明する。
図6は、本操作装置により実行される処理を示すフローチャートである。
ステップ100では、交通情報がビーコン等により取得されたか否かが判断される。取得した交通情報があれば、ステップ110に移る。交通情報が入らなければ、本実施例による本操作装置の処理は実行されないので、処理フローは終了する。
ステップ110では、スイッチ操作があったか否かが判断される。スイッチ操作があれば、ステップ120に移り、取得した交通情報が、スイッチの機能とは独立して出力される。スイッチ操作が無かったときには、ステップ130に移り、取得した交通情報は一時的に記憶手段86に記憶される。これは、交通情報を取得しても、スイッチ操作がすぐに無い場合には、その取得した交通情報を出力せず、しばらくしてスイッチ操作があってその取得した交通情報を出力するまでに、その交通情報を記憶しておく必要があるからである。記憶した取得交通情報は、スイッチ操作があった場合には、既に説明したように、ステップ120に移り、該記憶した交通情報の出力がなされることになる。なお、記憶した交通情報以外に、新しい交通情報が取得された場合には、その交通情報も該記憶した交通情報と併せて出力されることになる。あるいは、新しい交通情報だけを出力してもよい。
ステップ140では、スイッチ操作に応じた所定の機能を実現する。交通情報を出力した後は、ユーザーの所望の機能を実現し、操作装置本来の目的を達成する必要があるからである。オーディオ機能であればCDやMDを再生し、エアコン機能であればON、OFFや温度の調整をし、電話機能であれば電話をかけることになる。そして処理フローは終了することになる。
ところで、本実施例では、上述の如く、スイッチ操作があったときに、本来のスイッチの機能を実現するのではなく、スイッチの機能とは独立した情報である交通情報を出力することとしている。このように、スイッチ操作があったときに交通情報を出力するのは、スイッチ操作をしているときは、ユーザーの注意が操作装置の操作に向き、操作装置から出される情報にも集中が高まっているので、情報が確実にユーザーに伝わる可能性が高いからである。一方、ただ漠然とした状態で、例えば何か考え事をしながら車両の運転をしていたりするときや、また逆に、夜間や雨天時、あるいは狭い道で車両を運転したりしていて運転に集中せざるを得ないときには、流れてくる情報にもあまり関心が向かず、有益な交通情報が流されても聞き逃してしまう可能性が高くなってしまう。このように、本実施例によれば、スイッチ操作という動作を交通情報出力のトリガーとして、ユーザーの状態を考慮に入れた効果的な交通情報の提供を行うので、集中力の高いときに交通情報を出力し、聞き逃しを防止することができる。
また、本操作装置では、更に操作装置の操作負担の軽減も併せて実現している。従来の操作装置では、例えば音声による交通情報を入手しようとすると、目の前に地図が表示されているナビゲーションモードいる場合には、一旦オーディオモードに入り、それから交通情報の出力用の操作スイッチを操作することになる。しかも、その後に新たな交通情報を得たい場合には、そのモードを維持しなければならないし、別のオーディオプログラムを楽しみたい場合やもう一度普通の地図の表示画面に戻りたい場合には、またそのモードに到達するためのスイッチ操作を行わなければならない。即ち、一瞬聞けば用が足りる交通情報を聞いてまた通常のモードに戻るために、二重、三重のスイッチ操作が必要となってしまう。本操作装置では、通常の交通情報を聞くためのモードに入るスイッチ操作手続きが不要であり、いずれかの所望の目的のスイッチ操作をする度に交通情報が入ってくるので、煩わしいスイッチ操作を行うことなく、本来の操作装置が有する機能を楽しみながら、効果的に安全に関わる交通情報を入手することができる。
なお、交通情報の出力は、全てのスイッチ操作を対象としてよいが、特に、オーディオスイッチ101を操作したときにのみ交通情報を出力するようにしてもよい。オーディオモードを選択するときは、ユーザーの音声への関心度が最も高まっているときと考えられるので、ユーザーに交通情報を提供するのに最適な時機と思われるからである。また、総てのスイッチ操作の度毎に交通情報が入ってくると、煩わしいと感じるユーザーもいるであろうから、オーディオ機能のモードを選択・操作するスイッチ101を操作するときにのみ交通情報を出力するようにしてもよい。更に、どの操作スイッチを操作したときに交通情報を出力するかを、ユーザーの方で任意に設定できるようにしてもよい。これにより、ユーザーの方で交通情報を得るのに適切な時機を調整できることになる。また、本実施例において、重要度の高い交通情報について上述の手法により出力し、重要度の低い交通情報については出力せずに、破棄することとしてもよい。ユーザーによっては、重要度の高い交通情報だけ聞きたい場合もあるからである。
図7は、本処理装置により実行される処理の、交通情報の出力履歴も考慮し、既に出力したことのある交通情報は出力しないようにする場合のフローチャートである。図7に示す動作は、図6に示した処理に対して、既に一度出力した取得交通情報と同一の交通情報は、スイッチ操作があっても出力しない点で異なる。ユーザーが既知の交通情報は、再度聞く必要がないため、何度も同じ交通情報を聞かされる煩わしさを排除したものである。なお、図6に示した処理と同様の処理については、同一の参照符号を付して、説明を省略する。
ステップ200では、取得した交通情報が、記憶手段86に記憶されている出力済交通情報と異なるか否かを判断する。取得した交通情報が、出力済交通情報と異なるか否かの判断は、例えば、VICSの情報にはタイムスタンプ・リンク情報等が付加されているため、このような情報を使用して行う。即ち、例えば、いずれかの道路で交通事故や道路工事があったような場合には、その交通事故や道路工事に関する交通情報が生成されたときに、該交通情報の生成時刻に関する情報が、タイムスタンプとして該交通情報に付されて提供される。従って、これを用いれば同一の交通事故や道路工事に関する情報を特定することができ、取得した交通情報が出力済みの交通情報と異なるか否かの判断ができる。なお、本実施例では、タイムスタンプを例にとり、交通情報や道路工事に関する情報を一例として説明したが、他の交通渋滞等の交通情報にも適用でき、またタイムスタンプ以外の情報を特定する手段を用いて好適に本実施例に適用可能であることは言うまでもない。取得した交通情報が、記憶手段86に記憶されている出力済みの交通情報と異なれば、ステップ210に移る。取得交通情報が出力済み交通情報と同一の場合は、該取得交通情報を出力することなく処理フローを終了する。なお、記憶手段は既にステップ130で示した記憶手段86を共通に用いるが、ステップ130に示した取得した交通情報をスイッチ操作があるまで一時記憶する記憶手段と、ステップ200で示す出力済みの交通情報の履歴を記憶する記憶手段を別々に設けるようにしてもよい。
ステップ210では、取得した交通情報を出力するとともに、該出力した交通情報を記憶手段86に記憶する。該取得した交通情報も、出力されればユーザーにとって既知の情報となるため、新たな出力済み交通情報として記憶対象に加える必要があるからである。
図8は、実施例2に係る操作装置に関連する表示部40の表示画像について示した図である。実施例2に係る操作装置は、装置構成については、表示部40の表示画像の動作が異なる以外は実施例1で説明した装置構成と同じであり、図1から5に示した操作装置構成に変更点は無い。
図8(A)は、本操作装置の操作スイッチ60の配置を表示した通常のディスプレイ画面である。その詳細については、図5で説明したので、説明を省略する。
図8(B)は、(A)の本操作装置の操作スイッチ60の配置を表示した通常のディスプレイ画面に、オーディオ機能スイッチ群101が中央に拡大表示されるような形で交通情報出力スイッチの表示50が追加されている。これは、本操作装置が交通情報を取得したときに、ユーザーに交通情報を取得したことを認識させるために、表示部に交通情報出力スイッチの表示50を出現させることとしたものである。これにより、ユーザーは、交通情報を取得した時機にタイミングよく交通情報にアクセスすることができ、常に最新の有用な交通情報を聞くことができる。なお、図8(B)では、見易いように表示部40の中央に交通情報出力スイッチを出現させるようにしたが、ユーザーが見易ければ任意の場所でよい。
図8(C)は、(A)の通常のディスプレイ画面に追加して、オーディオ機能操作スイッチ群101で交通情報出力スイッチをモードスイッチの下に専用に設けた場合のスイッチ60の配置を表示している。オーディオ機能操作スイッチ群101の中央に配置されたモードスイッチ60を固定機能とし、その下方に交通情報出力用の専用スイッチを設けたスイッチ構成とした場合に、交通情報を取得したときに、その旨を運転者に認知させるべく、中央にスイッチ配置51を拡大表示させるようにしたものである。これにより、ユーザーは交通情報を取得したことと、交通情報出力スイッチの位置を知ることができる。なお、図9(B)と同様に、ディスプレイ上の見易い任意の箇所にスイッチ配置51を表示するようにしてよい。
また、表示部40は、実施例1で説明したのと同様に、操作スイッチ60の操作を容易にするためのものであり、スイッチ60の配置を、ユーザーから見易い位置に設置されたディスプレイ上に表示する。運転者は、運転中に操作装置の操作を行わなければならないため、安全性を保つべく、ディスプレイの位置は、運転者の視点移動が少ない、前方に設置することが好ましい。例えば、液晶ディスプレイ等のような、運転者が直接見ることができる類の表示器の場合、インストルメントパネル上面の中央部に配置されてもよい。また、フロントウィンドシールドガラスに操作部のスイッチの配置を投影して表示する、ヘッドアップ・ディスプレイ(HUD)も好適に用いられる。ヘッドアップ・ディスプレイの構成についても、実施例1の図3で説明したものが好適に用いられる。
図9は、実施例2に係る操作装置の処理のフローチャートである。
ステップ300では、交通情報を取得したか否かの判断を行う。交通情報を取得したときには、ステップ310に移る。交通情報を取得しないときは、所定の機能を継続して実行するだけで、特に本操作装置に係る発明は実行しないので、処理は終了となる。
ステップ310では、交通情報出力スイッチの表示を、表示部40に表示する。通常の表示では存在しなかった交通情報出力スイッチが、交通情報を取得したときに出現するため、これによりユーザーは、新たな交通情報を取得したことを知ることができる。
ステップ320は、交通情報出力スイッチの表示に伴い、ユーザーが交通情報出力スイッチをONにしたか否かを判断するステップであり、ONにすれば、ステップ330に移り、取得した交通情報を出力する。ONにしなければ、ステップ340に移行する。
ステップ340では、ステップ330で取得交通情報を出力したものについては、もう目的を達したので、表示器40の交通情報出力スイッチの表示を消去してリセットして処理フローを終了し、次の交通情報の取得に備える。
図10は、図9に示した本操作装置の動作のフローチャートに、取得交通情報の記憶ステップ350のみを追加したものである。ステップ320において、交通情報出力スイッチをユーザーがすぐにONにしなくても、記憶手段86に一旦交通情報を記憶しておけば、ユーザーがしばらくして交通情報出力スイッチをONにすれば、そのときに取得交通情報を聞くことができる。この場合、記憶手段86にタイマーを設け、一定時間経過したら、取得した交通情報を消去してリセットするような構成としてもよい。
図11は、図9において示した本操作装置の動作のフローチャートにおけるステップ320の箇所のみを変更して、ステップ400としたものである。
ステップ400では、ステップ310で表示器40に交通情報出力スイッチが表示された後、交通情報出力スイッチではなく、任意の操作スイッチを操作すれば取得した交通情報が出力されるものとした。これにより、更に取得交通情報を出力させる際の操作労力が軽減されることになる。
図12は、図11において示した本操作装置の動作のフローチャートに、取得交通情報の記憶ステップ350のみを追加したものである。ステップ320において、任意の操作スイッチをユーザーがすぐにONにしなくても、記憶手段86に一旦交通情報を記憶しておけば、ユーザーがしばらくしていずれかの操作スイッチをONにすれば、そのときに取得交通情報を聞くことができる。この場合、記憶手段86にタイマーを設け、一定時間経過したら、取得した交通情報を消去してリセットするような構成としてもよい。
図13は、実施例3に係る操作装置に関連する表示部40の表示画像について示した図
である。実施例3に係る操作装置は、装置構成については、表示部40の表示画像の動作が異なる以外は実施例1で説明した装置構成と同じであり、図1から5に示した操作装置構成に変更点は無い。
図13(A)は、本操作装置の操作スイッチ60の配置を表示した通常のディスプレイ画面である。その詳細については、図5で説明したので、説明を省略する。
図13(B)は、通常の操作スイッチ60の配置を表示した画面(A)から、左上のオーディオ機能を操作するスイッチが拡大された図である。これは、操作装置が交通情報を取得したときに、その旨をユーザーに知らせるために、交通情報出力スイッチが入っているオーディオモード用のスイッチ表示を拡大させることにより、強調して表示させるようにしたものである。これにより、ユーザーは交通情報を取得したことを知ることができ、スイッチを操作することにより該取得した交通情報を出力させることができる。
図13(C)は、通常の操作スイッチ60の配置を表示した画面(A)から、左上のオーディオ機能を操作するスイッチについてフォントを強調させて表示したものである。フォントの強調は、輝度やコントラスト、色等を変化させることにより実現されてよい。これは、操作装置が交通情報を取得したときに、その旨をユーザーに知らせるために、交通情報が入っているオーディオモード用のスイッチ表示のフォントを強調して表示するようにしたものである。これにより、ユーザーは交通情報を取得したことを知ることができ、スイッチを操作することにより該取得した交通情報を出力させることができる。
図13(D)は、通常の操作スイッチ60の配置を表示した画面(A)から、左上のオーディオ機能を操作するスイッチについて、表示を“音符”を模した図形の表示から交通情報を示す「Trafic」の文字と“道路”を模した図の結合の表示に変えたものである。これは、交通情報を取得したときに、その旨ユーザーに知らせるべく、表示そのものを変更したものである。なお、この表示を更に大きくして強調したり、フォントを強調してユーザーの関心を更に高めることが可能なのは言うまでもない。
なお、図13(B)、(C)、(D)の構成において、交通情報の出力をするために、オーディオモードに入ってから更に詳細にメニューを選ぶような構成とはなっておらず、ステアリングスイッチから直接操作できるような構成になっている場合には、オーディオモード選択用スイッチに指を触れたら、実施例2の図8(B)、(C)に示したような交通情報スイッチの位置を示す表示に切り替わるような構成としてもよい。これにより、更に交通情報の出力のためのスイッチ操作が容易となる。
また、表示部40は、実施例1で説明したのと同様に、操作スイッチ60の操作を容易にするためのものであり、スイッチ60の配置を、ユーザーから見易い位置に設置されたディスプレイ上に表示する。運転者は、運転中に操作装置の操作を行わなければならないため、安全性を保つべく、ディスプレイの位置は、運転者の視点移動が少ない、前方に設置することが好ましい。例えば、液晶ディスプレイ等のような、運転者が直接見ることができる類の表示器の場合、インストルメントパネル上面の中央部に配置されてもよい。また、フロントウィンドシールドガラスに操作部のスイッチの配置を投影して表示する、ヘッドアップ・ディスプレイ(HUD)も好適に用いられる。ヘッドアップ・ディスプレイの構成についても、実施例1の図3で説明したものが好適に用いられる。
図14は、実施例3に係る操作装置の、図13(B)及び(C)の処理を示すフローチャートである。
ステップ400では、交通情報を取得したか否かが判断され、取得している場合にはステップ410に移る。交通情報を取得していない場合には、本実施例による操作装置の処理は実行しないので、フローは終了となる。
ステップ410では、オーディオ機能用スイッチの表示が、拡大表示又はフォントの強調がなされる。このオーディオモードスイッチの強調表示により、ユーザーは、操作装置が交通情報を取得したことを認識する。
ステップ420では、オーディオ機能スイッチがONになったか否かが判断される。ONになった場合は、ステップ430に移る。OFFのままの場合は、処理フローを終了する。交通情報出力モードは、オーディオモードの下層にあるため、オーディオ機能スイッチをONにしなければ、その後の取得交通情報の出力が出来ないからである。
ステップ430では、交通情報出力スイッチがONになったか否かを判断する。ONの場合は、ステップ440に移る。OFFの場合は、取得した交通情報が出力できないので、そこで処理フローを終了する。
ステップ440では、取得した交通情報を出力する。これでユーザーは、目的の取得交通情報を得ることになる。
ステップ450では、オーディオ機能スイッチの強調を解除する。もはや目的の取得交通情報を聞いたので、リセットして次の新しい交通情報が入ってきたときに備えるためである。
なお、図14において、ステップの410をオーディオ機能スイッチを「交通情報出力スイッチ表示に変更」とすれば、図13(D)の処理を示すフローとしてそのまま適用できる。
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。特に、本実施例では交通情報を例にとって説明したが、他の運転者にとって有益な情報も本発明の対象としてよい。例えばG−BOOKセンターのような外部の情報センター36等では、気象情報や地域生活に密着した情報等、特定の運転者にとって有益な情報も提供し得るので、そのような情報を対象としてよい。情報の種類の選択を、ユーザーの方で設定できるようにすれば、ユーザーにとって大切な情報について、本発明を好適に適用できる。