JP4950263B2 - 脱水装置の運転方法 - Google Patents
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かかる脱水装置では、使用期間が経過すると、透過されて来る気体中のエタノールの含有量が増大するという傾向があった。すなわち、本来、親水性の特性を持つ水分離膜が親油化し、十分な水分離性能を発揮することができなくなるという傾向があった。
これに対する対策として、新たな水分離膜ユニットを、脱水装置が使用されている場所に工場より搬入し、古い水分離膜ユニットと交換する必要があった。古い水分離膜ユニットは、内部の水分離膜を新しい水分離膜と交換し、次の交換に備えるといったことが行われている。
図1に、本発明に係る運転方法の適用される脱水装置の一実施の形態を示す。
図1に示す脱水装置は、主たる構成要素として、脱水装置1本体内に、水分離膜部2と、シェル部3と、加熱手段4と、真空ダクト6とを備え、脱水装置本体には減圧装置5が接続される。
一方、シェル部3の下方であって、液体の入口2a付近には、真空ダクト6が設けられている。真空ダクト6は減圧装置5に接続されている。
図2にモノリス型の水分離膜部110の例を挙げて説明する。
モノリス型の水分離膜部110は、円柱状の水分離膜110dに液体を通すための上下に延びる一以上の中空部である液体の流路110cを複数設けたものである。なお、図1の水分離膜部2も同様に流路を複数設けたものとして構成することができる。
通常、かかる形態の水分離膜部においては、水分離膜内部の液体の流路110cを、膜の一次側、又は供給側といい、水分離膜110dの外側を、膜の二次側、又は透過側とよぶ。
図3に、水分離膜部110を複数配設し、水分離膜ユニット112として構成した形態を示す。
図示のように、この形態では、複数の水分離膜部を上下の管板で支持し、空間116、118及び120は、水密的に隔絶された空間を形成している。
水分離膜部110の機能は、図2について説明したと同様である。
すなわち、空間116から導入された液体が、水分離膜部110の流路を通って、空間120に流れ、精製された液体として排出される。空間118には、引き抜かれた水蒸気が透過して行く。
上記した図2、図3についての説明と一部重複するが、ここで図1に戻って解説する。図2の水分離膜部110は、液体の流路を複数備え、図3の水分離膜部110は、水分離膜ユニット112内に複数配設されている。これに対し、図1では、単一の水分離膜部であって、流路も一のみである。しかし、図2、図3のような形態の水分離膜部、水分離膜ユニットを備えたものとすることができる。
本実施の形態に係る脱水装置1の対象とする液体は、一般的には、水と相互溶解する液体と、水との混合物である。具体的には、エタノールと水との混合物、プロパノールと水との混合物、又は酢酸などの酸と水との混合物が挙げられる。
本実施形態にかかる方法によれば、エタノールの場合、例えば燃料用途に好適な99.7%の無水物にまで脱水し、又は半導体基板洗浄用途の99.99%以上にまで脱水する。液体は、原料となる混合物を、蒸留塔やアルコール選択膜で処理して、アルコール又は酸の濃度を、80〜95wt%としたものである。なお、処理対象となる液体は、加圧した液体であってもよい。加圧した液体を用いることで、本実施の形態に係る脱水装置1に供給する液体をガス化させることなく、液体の温度を上げることができる。この場合、例えば、1.5atmから10atm、好ましくは2atmから3atmに加圧した液体を用いることができる。
以下、燃料として有用なエタノールと水との混合物を液体の一例として脱水方法を説明する。本実施の形態に係る脱水装置に供給する液体におけるエタノール濃度は、95wt%と例示しているが、特に限定される物ではない。
これは、シェル部3上方を加熱していると同時に、シェル部3下方から減圧吸引しているためである。水蒸気8は、図1の(B)に示すように、ダクト6に向かって対流しながら、分離膜2dを介して流路2c内の液体7を昇温する。そして、水蒸気8はシェル部3下方の真空ダクト6から回収される。回収された水蒸気8は、その後段で、熱交換器等の冷却器で凝縮される。図1には、二つの加熱手段4が設けられている形態を示したが、ダクト6からいちばん遠い位置、すなわち図1(A)のシェル部3の左上に一つの加熱手段が設置されれば、図1(A)のシェル部3の右下のダクト6まで、熱が対流することとなる。
膜性能は、透過フラックスで評価することができ、透過フラックスは温度に比例することが知られている。本実施形態において好ましく用いられる水分離膜は、約40℃から約80℃まで変化させると、透過フラックスが約3倍まで増加する。液体を、水分離膜部2の入口2aから出口2bに至るまで70℃から80℃未満に保持することによって
、水分離膜部2の全ての箇所で、高い透過フラックスを得ることができ、膜性能を高めることができる。具体的には、従来技術と比較して、透過フラックスを約50%上げることができる。そして、液体中のエタノール濃度が、燃料に適する99.7wt%以上となるまで脱水することができる。
次に、本発明に係る脱水装置の運転方法について、その実施の形態を説明する。
本発明に係る脱水装置の運転方法は、参考となる形態として、水分離膜から透過する気体中の漏洩成分の濃度が設定値を超えた際、脱水装置の稼働を停止し、原料液体に酸を加え、稼働させ、水分離膜を再生することとしている。
エタノールの透過速度は、(原料組成×流量−製品組成×製品流量)として検出することができる。
設定値は、理想的にはゼロであるが、コスト面等を考慮し、適切に設定する。
用いることができる酸としては、塩酸、硫酸、酢酸、燐酸、ホウ酸及び硝酸を挙げることができる。酸の濃度は、10〜1,000ppmとすることが好適である。
本発明に係る脱水装置の運転方法は、その一実施の形態として、原料液体に酸を加えて、稼働させ、水分離膜の性能を維持することとしている。
用いることができる酸としては、塩酸、硫酸、酢酸、燐酸、ホウ酸及び硝酸を挙げることができる。酸の濃度は、0.1〜10ppmの範囲とすることが好適である。
次に、図4について、本発明の適用対象となる脱水装置を、複数の水分離膜ユニットを備えた形態とし、上記実施の形態に係る運転方法として実施するシステムを説明する。
そして、水分離膜ユニット202同士が直列に管204によって接続されている。すなわち、一の水分離膜ユニット202の出口と別の水分離膜ユニット202の入口とが、管204によって直列に接続されている直列処理型である。
各水分離膜ユニット202の入口側には、加熱器206が設けられている。図1の実施の形態では加熱手段を、水分離膜ユニット(脱水装置)内に設けている。本実施の形態でも、このような加熱手段を併設することもできる。
直列に接続する水分離膜ユニット202の数は、例えば、3〜5とすることができる。しかし、各水分離膜ユニット202の仕様や性能、処理対象となる液体の所望の純度によって、当業者が接続する数を適宜決定することができる。
したがって、各水分離膜ユニット202において図1にかかる実施の形態と同様の効果が得られる。そして、そのような水分離膜ユニット202が直列に複数接続されていることで、全体としてより高い性能が得られ、液体を純度の高いエタノールにまで脱水することができる。
脱水後、液体は、製品タンク212に送られ、貯蔵される。
このようにして酸が常時供給されることにより、水分離膜ユニット202の脱水性能を維持することができる。
この場合、水分離膜ユニット202中で水分離膜部を透過する気体中の漏洩成分の濃度が設定値を超えているかどうかを、例えば、漏洩成分であるエタノールの透過速度をシェル部で測定する。
エタノールの透過速度は、(原料組成×流量−製品組成×製品流量)として検出することができる。
設定値は、理想的にはゼロであるが、コスト面等を考慮し、適切に設定する。
エタノールの透過速度が25g/hを超えた際に、300ppmの濃度となるように硫酸を加えた。これによって、膜性能が、点線の位置、すなわち、エタノールの透過速度は、約12g/h以下に回復した(図5)。なお、水の透過速度は、約70g/hに維持された。
酸供給タンク210から供給ポンプ216に対し、常時、酸を供給した。酸としては、硫酸を用い、濃度を5ppmに維持した。
このようにして酸が常時供給されることにより、エタノールの透過速度は、概ね12g/h以下に維持することができた(図6)。なお、水の透過速度は、約70g/hに維持された。
2 水分離膜部
3 シェル部
5 減圧装置
6 ダクト
7 液体
8 水蒸気
110 水分離膜部
112 水分離膜ユニット
114 管板
200 脱水装置
202 水分離膜ユニット
206 加熱器
208 原料液体タンク
210 酸供給タンク
212 製品タンク
Claims (1)
- 細孔径10オングストローム以下の親水性無機水分離膜より成る水分離膜部と、該水分離膜部の外側面と、装置本体内壁とで規定されるシェル部とを有する水分離膜ユニットを備える脱水装置の運転方法であって、原料液体に酸を加えて、稼働させ、上記水分離膜の性能を維持するようにしたことを特徴とする脱水装置の運転方法。
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