JP2013240795A - 脱水システム及び脱水方法 - Google Patents

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Hiroyuki Ozora
弘幸 大空
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敦弘 行本
Haruaki Hirayama
晴章 平山
Shinji Ogino
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Abstract

【課題】 膜性能の向上を図った脱水システム及び脱水方法を提供する。
【解決手段】 第一の予熱器3aと、該予熱器の後段に直列に接続された、有機水溶液から水を分離する複数の脱水装置1a、1b、1cと、一以上の脱水装置を経た有機水溶液の一部を、該脱水装置、または該脱水装置の前段の脱水装置に返送する返送手段6とを含んでなる脱水システムであって、前記水分離膜が、シリカ系又はゼオライト系の無機水分離膜である、脱水システム。
【選択図】 図1

Description

本発明は、脱水システム及び脱水方法に関する。さらに詳しくは、水との共沸組成を持つエタノールやプロパノールと水との混合物、あるいは酸と水との混合物などの有機水溶液を効率的に脱水することができる脱水システム及び脱水方法に関する。
石油燃料を代替する燃料源として、エタノールが注目されており、その市場規模は、2010年に5500万キロリットルと予測されている。しかし、エタノールを燃料として採用するためには、トウモロコシ等のバイオ原料から得た粗製物を蒸留精製し、少なくとも99.7wt%以上に脱水しなければならない。従来、脱水にあたっては、希薄エタノール水溶液を、蒸留塔で蒸留することにより、エタノール/水系の共沸点近くまで濃縮し、次いで脱水するといったことが行われている。
脱水するための手法としては、エントレーナを加え、共沸蒸留で脱水する方法がある。しかし、この方法では、三成分系を共沸蒸留し、さらにエントレーナを回収するといった工程を踏む必要があり、多大の熱エネルギーを必要とするといったような幾つかの欠点があった。
また、モレキュラーシーブ槽を複数並列し、これらをバッチ切替しながら脱水する方法もある。しかし、この方法でも、モレキュラーシーブ槽の再生に多大なエネルギーを消費するという難点があった。
さらに、膜分離器を用いたパーベーパレーション法膜分離により、完全に相互溶解する液体混合物から水を分離する方法が知られている。また、ベーパーパーミエーション法とパーベーパレーション法とを組み合わせ、複数の分離器を直列に配置し、中間段で熱を補うことにより、熱エネルギーを抑制する水溶性有機物の濃縮方法も知られている(特許文献1を参照)。
特開2005−177535号公報
パーベーパレーション法膜分離は、エタノール燃料等の精製において有望な方法であるが、実用化に向けて、さらなる性能が求められている。特に、高純度のエタノール無水物等をさらに高い効率で得ることが求められている。
本発明者らは、チューブラ型またはモノリス型の水分離膜を備えた脱水装置を用いてパーベーパレーション法膜分離を行った場合に、処理対象となる有機水溶液が、水分離膜の入口から出口に向かうにつれて、有機水溶液の温度が低下することを見出した。これは、有機水溶液が水分離膜を通過して気体となる際の潜熱が、処理対象となる有機水溶液から奪われていくためである。図8に、水分離膜反応器の膜入口からの距離と、温度との関係を示す。有機水溶液温度の低下は、水分離膜の膜性能を表す透過フラックス(単位はkg/mh)の低下につながる。
このため、複数の脱水装置を直列に接続し、各脱水装置の前段に予熱器を配置して、熱を補う方法をとることが考えられる。図9に、三段の脱水装置100a、100b、100cを設け、各脱水装置の前段に予熱器300a、300b、300cを配置した脱水システムの模式図を示す。この場合、図10に示すように、一段目より二段目、二段目より三段目における温度低下幅は小さくなる。
本発明者らは、水分離膜を備えた脱水装置の実用化に向けて、更なる水分離性能を備え、エネルギー消費が少ないシステムの構築を試み、本発明を完成するに至った。本発明は、脱水システムであって、第一の予熱器と、該予熱器の後段に直列に接続された、有機水溶液から水を分離する複数の脱水装置であって、脱水装置本体内に、有機水溶液を通すための上下に延びる一以上の流路を有する水分離膜の下部に有機水溶液入口を、上部に有機水溶液出口を有してなる水分離膜部と、該水分離膜部の外側面と、装置本体内壁とで規定されるシェル部とを備え、該有機水溶液が該水分離膜を上昇するにつれて、該有機水溶液中の水分が、該水分離膜を透過してシェル部に移動し、該有機水溶液が脱水される脱水装置と、一以上の脱水装置を経た有機水溶液の一部を、該脱水装置、または該脱水装置の前段の脱水装置に返送する返送手段と、該返送手段により返送された有機水溶液を脱水装置に供給する前に予熱する第二の予熱器とを含んでなる。
本発明の脱水システムは、一実施の形態によれば、前記返送手段が、最後段の脱水装置を経た有機水溶液の一部を、最前段の脱水装置に返送する手段であり、前記第一の予熱器が前記第二の予熱器を兼ねることが好ましい。
本発明の脱水システムは、別の実施の形態によれば、前記返送手段が、最後段の脱水装置を経た有機水溶液の一部を、最前段以降の脱水装置に返送する手段であり、前記第二の予熱器が、該最前段以降の脱水装置の前段に設置されていることが好ましい。かかる実施形態において、直列に接続される脱水装置は三以上である。
本発明の脱水システムは、また別の実施の形態によれば、前記返送手段が、最後段以前の脱水装置を経た有機水溶液の一部を、最前段以降の脱水装置に返送する手段であり、前記第二の予熱器が、該最前段以降の脱水装置の前段に設置されていることが好ましい。かかる実施形態において、直列に接続される脱水装置は三以上であり、前記最後段以前の脱水装置は、前記最前段以降の脱水装置よりも、後段に配置される。
本発明の脱水システムは、他の形態においては、有機水溶液を予熱する予熱器と、予熱された有機水溶液から水を分離する脱水装置であって、脱水装置本体内に、有機水溶液を通すための上下に延びる一以上の流路を有する水分離膜の下部に有機水溶液入口を、上部に有機水溶液出口を有してなる水分離膜部と、該水分離膜部の外側面と、装置本体内壁とで規定されるシェル部とを備え、該有機水溶液が該水分離膜を上昇するにつれて、該有機水溶液中の水分が、該水分離膜を透過してシェル部に移動し、該有機水溶液が脱水される脱水装置と、該脱水装置を経た有機水溶液の一部を、該予熱器の前段に返送する返送手段とを含んでなる。
本発明は、別の側面で、脱水方法であって、有機水溶液を通すための上下に延びる一以上の流路を有する水分離膜の下部入口から上部出口に向けて予熱された有機水溶液を流し、該水分離膜の外側を減圧して、該有機水溶液中の水分を水分離膜に透過させる水分離工程を含み、一回以上の水分離工程を経た有機水溶液の少なくとも一部を、該有機水溶液より少ない回数の水分離工程を経た有機水溶液又は未処理の有機水溶液と混合する工程と、混合された有機水溶液を予熱する工程と、予熱された有機水溶液を再度水分離工程に供する工程とを含む。
本発明によれば、水分離性能が向上し、かつ全体としてエネルギー効率の高い脱水システムが得られる。具体的には、本発明の上記構成により、各脱水装置内における有機水溶液の温度を一定に保ち、装置内における有機水溶液の流速を大きくすることができる。また、システムの簡略化を計ることが可能となる。
本発明に係る脱水システムの第一実施形態を説明する概念図である。 本発明に係る脱水装置の一実施の形態を説明する概念図である。 本発明に係る水分離膜部の一実施の形態を説明する概念図である。 本発明に係る水分離膜部の他の実施の形態を説明する概念図である。 本発明に係る脱水システムの第二実施形態を説明する概念図である。 本発明に係る脱水システムの第三実施形態を説明する概念図である。 本発明に係る脱水システムの第四実施形態を説明する概念図である。 水分離膜の入口から出口までの有機水溶液の温度分布を示すグラフである。 本発明ではない脱水システムを説明する概念図である。 図9に示す脱水システムにおける、膜長さと温度との関係を示すグラフである。
以下に、本発明に係る脱水システム及び脱水方法について、その実施の形態を参照しながらさらに詳細に説明する。以下の実施形態においては、特定の数の脱水装置を備える脱水システムについて例示するが、本発明は特定の数の脱水装置に限定されるものではない。
図1に、本発明に係る脱水システムの第一実施形態を示す。
図1に示す脱水システムは、主たる構成要素として、三つの脱水装置1a、1b、1cと、原料ポンプ2と、予熱器3と、冷却器4と、リサイクルポンプ5を備える返送手段6とから構成される。
図1に示す脱水システムにおいて、図示しない原料供給装置の後段に原料ポンプ2が配置され、原料ポンプ2の後段には予熱器3が配置される。予熱器3の後段には第一段の脱水装置1aが配置される。第一段の脱水装置1a、第二段の脱水装置1b、第三段の脱水装置1cは、直列に接続される。これらの間には予熱器は配置されない。第三段の脱水装置1cの後段で、第三段の脱水装置1cから引き出される管は二つに分岐している。一方の管の後段には、冷却器4が配置される。もう一方の管は、返送手段6を構成する。返送手段は、原料ポンプ2と予熱器3とを接続する管に接続される。返送手段6には、リサイクルポンプ5が設置されている。
三つの脱水装置1a、1b、1cは、いずれも、水分離膜を用いて、パーベーパレーション法により、有機水溶液から水を分離する装置である。ここで、有機水溶液とは、水と相互溶解する液体と、水との混合物をいう。水と相互溶解する液体としては、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、または酢酸などの酸、アセトン等のケトンが挙げられるが、これらには限定されない。このような脱水装置1a、1b、1cは、典型的には、脱水装置本体内に、有機水溶液を通すための上下に延びる一以上の流路を有する水分離膜の下部に有機水溶液入口を、上部に有機水溶液出口を有してなる水分離膜部と、該水分離膜部の外側面と、装置本体内壁とで規定されるシェル部とを備え、該有機水溶液の入口付近の該シェル部に減圧手段との接続口が設けられ、該有機水溶液が該水分離膜を上昇するにつれて、該有機水溶液中の水分が、該水分離膜を透過してシェル部に移動し、該有機水溶液が脱水されるものである。
図2に、脱水装置1a、1b、1cとして用いることができる装置の例を挙げて説明する。図2(A)は、脱水装置1の概念的な断面図であり、図2(B)は、図1AのA−Aにおける断面である。図2に示す脱水装置1は、主たる構成要素として、脱水装置1本体内に、水分離膜部10と、シェル部11と、真空ダクト14とを備え、脱水装置本体には減圧装置13が接続される。
水分離膜部10は、水分離膜10dから構成されており、有機水溶液の入口10aが下端に、出口10bが上端にあって、その内部には有機水溶液の流路10cとして、有機水溶液を通すための上下に延びる一以上の中空部が形成されている。シェル部11は、水分離膜部10の側面の周囲に位置する。シェル部11の下方であって、有機水溶液の入口10a付近には、真空ダクト14が設けられている。真空ダクト14は減圧装置13に接続されている。
水分離膜部10は、有機水溶液を無水物と水とに分離する。かかる水分離膜部10としては、様々な形態のものが知られており、市販されている。本実施形態による水分離膜部としては、一例として、モノリス型のものと、チューブラ型の水分離膜部を用いることができる。
図3Aおよび図3Bにモノリス型の水分離膜部110の例を挙げて説明する。図3Bは、図3AのB−Bにおける断面である。モノリス型の水分離膜部は、円柱状の水分離膜110dに有機水溶液を通すための上下に延びる一以上の中空部である有機水溶液の流路110cを複数設けたものである。通常、かかる形態の水分離膜においては、水分離膜内部の有機水溶液の流路110cを、膜の一次側、または供給側といい、水分離膜110dの外側を、膜の二次側、または透過側とよぶ。
このような水分離膜部を用いたパーベーパレーション法膜分離においては、水分離膜部110を、好ましくは流路の方向が鉛直方向と平行になるように設置する。そして、水分離膜部110の透過側を減圧しながら、鉛直方向下側の入口110aから有機水溶液を供給し、重力と逆の向きに流して、鉛直方向上側の出口110bから有機水溶液を排出する。かかる操作により、有機水溶液中の水が、水蒸気となって、円柱状の水分離膜110dの側面から、透過側に引き抜かれる。その結果、水分離膜部出口110bから回収される有機水溶液は、脱水されたものとなっている。
図示したモノリス型の水分離膜部110は、概略的なものであるが、一例として、直径が30mmの円柱状の水分離膜に対して、直径が3mmの穴を30個設けた水分離膜部を用いることができる。別の例として、直径が150〜200mmの水分離膜部に対して、直径が2mmの穴を200個設けた水分離膜部を用いることができる。水分離膜部の長さは、所望の膜性能に応じて当業者が適宜決定することができるが、一例として、150mmから1mのものを用いることができる。
別の例として、図4Aおよび図4Bにチューブラ型の水分離膜部を挙げて説明する。図4Bは、図4AのC−Cにおける断面である。チューブラ型の水分離膜部210は、内部に有機水溶液の流路210cがひとつだけ設けられた管状の水分離膜210dである。チューブラ型の水分離膜部210も、その設置態様および作用効果は、モノリス型の水分離膜部と同様である。チューブラ型の水分離膜部の一例としては、外径が10mm、内径が7mmのものを用いることができ、別の例としては、外径が30mm、内径が22mmのものを用いることができる。長さは、一例として、150mmから1mのものを用いることができる。
水分離膜部を構成する水分離膜の材質としては、無機材でナノオーダーまたはそれより小さい孔径が精密に制御された微細孔多孔膜を用いることができる。微細孔多孔膜は、小分子ガスを通し、大分子ガスを排除する分子ふるい効果を発現し、その透過係数は温度上昇とともに増加する活性化拡散の挙動を示す。微細孔多孔膜の例としては、炭素膜、シリカ膜、ゼオライト膜が挙げられる。本実施形態においては、水分離膜としては、細孔径10オングストローム以下のシリカ系又はゼオライト系の無機水分離膜が好適である。
また、特許第2808479号記載の無機水分離膜も適用可能である。該特許第2808479号の無機水分離膜は、無機多孔体の細孔内に、エトキシ基又はメトキシ基を含むアルコキシシランの加水分解を経て得られたシリカゲルを担持することによって得られる耐酸性複合分離膜である。
水分離膜部の形態、サイズ、および材質は、使用目的に応じて当業者が適宜選択することができる。
シェル部11は、水分離膜部10の周囲にあって、水分離膜の透過側にあたり、水分離膜部10の側面から放出される水蒸気51の流路となる部分である。図示する脱水装置1において、シェル部11は、水分離膜部10の側面と、脱水装置1本体の内壁とにより規定される空間部分である。シェル部11は、水分離膜部10に供給する前の有機水溶液、または水分離膜部10から排出される有機水溶液が流れ込むことがないように構成されている。
シェル部11の下方であって、水分離膜部10の入口10a付近には、真空ダクト14が設けられる。真空ダクト14は、減圧装置13に接続するための接続口となる。真空ダクト14から、シェル部11に放出された水蒸気51を回収する。真空ダクト14は、図示するように横向きに設けられてもよく、鉛直方向下向きに設けられてもよく、その向きが限定されるものではない。
減圧装置13は、シェル部11を減圧して、水分離膜部10から放出された水蒸気を吸引する手段である。圧力を、10〜100torr(1333.22〜13332.2Pa)程度にまで減圧するものであればよく、通常の減圧ポンプ等を用いることができる。
本実施形態では、説明を簡単にするため、一つの水分離膜部10を備える脱水装置1の形態を図示したが、本発明にかかる脱水装置は、脱水装置本体内に複数の水分離膜部を並列に接続して備えるものであってもよい。脱水装置本体内に複数の水分離膜部を並列に接続して設けることにより、一つの脱水装置にて一度に処理する有機水溶液の量を増やすことができる。
上記のような機能を備える脱水装置であれば、本実施形態にかかる脱水システムにおいて用いることができる。三つの脱水装置1a、1b、1cは、全て同一の脱水装置でもよく、一部が異なる脱水装置でもよい。例えば、チューブラ型の水分離膜を備える脱水装置と、モノリス型の水分離膜を備える脱水装置とを交互に配置することもできる。
原料ポンプ2は、例えば、ダイヤフラム式、遠心式、プランジャー式の仕様のものを用いることができるが、これらには限定されない。
脱水装置1aの前段に配置される予熱器3は、脱水装置1aに供給される有機水溶液を加熱することができるものであればよく、通常の熱交換器やヒータを用いることができる。特には、原料の有機水溶液50とリサイクル有機水溶液53とを混合した有機水溶液54を、その共沸点に近い温度であるが、共沸点以下の温度にまで加熱することができるものが用いられる。
脱水装置1cの後段に配置される冷却器4は、脱水装置1cを経て、水分が低減した高温の有機水溶液を常温にまで冷却することができるものであればよく、通常の熱交換器を用いることができる。
返送手段6は、脱水装置1cを経た高温の有機水溶液の一部を、脱水装置1cの前段に返送する手段であり、典型的には、管である。返送手段6は、原料ポンプ2と予熱器3とのあいだに接続される。リサイクルポンプ5は、返送手段6の一部を構成するものである。原料ポンプと同様のものを用いることができる。
このような構成を備える脱水システムは、有機水溶液から効率良く水を分離し、有機水溶液を凝縮することができる。次に、そのような本実施の形態に係る脱水装置システムにより有機水溶液を脱水する方法の一形態を説明する。
第一実施形態にかかる脱水方法は、有機水溶液を通すための上下に延びる一以上の流路を有する水分離膜の下部入口から上部出口に向けて予熱された有機水溶液を流し、該水分離膜の外側を減圧して、該有機水溶液中の水分を水分離膜に透過させる水分離工程を含む脱水方法であって、三回の水分離工程を経た有機水溶液の一部を、未処理の有機水溶液と混合する工程と、混合された有機水溶液を予熱する工程と、予熱された有機水溶液を再度、少なくとも三回の水分離工程に供する工程とを含む。
本実施の形態に係る脱水方法の対象とする有機水溶液は、一般的には、水と相互溶解する液体と、水との混合物である有機水溶液である。具体的には、エタノールと水との混合物、プロパノールと水との混合物、イソプロピルアルコールと水との混合物、又は酢酸などの酸と水との混合物が挙げられる。本実施形態にかかる方法によれば、これらを、例えば燃料用途に好適な99.7%の無水物にまで脱水し、または半導体基板洗浄用途の99.99%以上にまで脱水する。有機水溶液は、原料となる混合物を、蒸留塔やアルコール選択膜で処理して、アルコールまたは酸の濃度を、80〜95wt%としたものである。なお、処理対象となる有機水溶液は、加圧した有機水溶液であってもよい。加圧した有機水溶液を用いることで、本実施の形態に係る脱水装置1に供給する有機水溶液をガス化させることなく、有機水溶液の温度を上げることができる。この場合、例えば、1.5atmから10atm、好ましくは2atmから3atmに加圧した有機水溶液を用いることができる。
以下、燃料として有用なエタノールと水との混合物を有機水溶液の一例として脱水方法を説明する。本実施の形態に係る原料におけるエタノール濃度は、好ましくは、95wt%である。95wt%のエタノールと、5wt%の水との混合物である原料の有機水溶液50は、原料ポンプ2により、図示しない供給元より搬送される。原料の有機水溶液50は、予熱器3の前段で、返送手段6からのリサイクル有機水溶液53と混合される。
リサイクル有機水溶液53は、リサイクル比にもよるが、一般に、約99〜99.7wt%のエタノールと、約0.3〜1wt%の水との混合物である。また、リサイクル有機水溶液53の温度は、リサイクル比にもよるが、リサイクル比が約1〜5のときは、約65〜78℃付近である。ここで、リサイクル比とは、原料の有機水溶液50に対する、リサイクル有機水溶液53の比率をいう。リサイクル比を上げることで、各脱水装置1a、1b、1cの出口における有機水溶液の温度を上げることができ、製品52中のエタノール濃度を上げることができる。一方、リサイクル比を上げるためには、リサイクルポンプ5の動力を要するため、必要以上にリサイクル比を上げることはエネルギーのロスが大きくなる場合がある。したがって、リサイクル比は、所望の製品52濃度、各脱水装置1a、1b、1cの出口における有機水溶液温度、及び全体のエネルギー効率から、当業者が適宜決定することができる。リサイクル比は、例えば、1〜5とすることができるが、これらには限定されない。
混合された有機水溶液54は、予熱器3で昇温する。昇温後の有機水溶液の温度は、エタノールと水との共沸点に近いが共沸点(約80℃)未満である70℃から80℃未満とすることが好ましい。有機水溶液の温度が高いほど、透過フラックスが大きくなり、膜性能が上がるいっぽうで、共沸点より高い温度では、有機水溶液の一部が気化し、蒸発潜熱を奪うためである。予熱器3で昇温した有機水溶液は、第一段の脱水装置1aに、水分離膜部10の有機水溶液入口から供給する。
第一段の脱水装置1aにおいては、水分離膜部10に有機水溶液を供給するとき、シェル部11を減圧する。このとき、シェル部11の圧力が、10〜100torr(1333.22〜13332.2Pa)程度となるように減圧することが好ましい。水分離膜の供給側と透過側の差圧により分離を促進するためである。減圧は、シェル部11下方に設けた真空ダクト14より行う。
有機水溶液は、水分離膜部10の下から上へ流路10cを流れる。このあいだに、有機水溶液中の水が、分離膜10dを介してシェル部11へ水蒸気51として取り出される。水の気化により有機水溶液は、随時気化熱を奪われる。したがって、出口10bから流出する有機水溶液は、温度が供給時よりわずかに低下し、かつ、含有水濃度も低下したものとなっている。
シェル部11へ放出された水蒸気51は、シェル部11の上方から下方へと対流する。これは、シェル部11下方から減圧吸引しているためである。水蒸気51は、図2Bに示すように、ダクト14に向かって対流し、ダクト14から回収される。回収された水蒸気51は、その後段で、図示しない熱交換器等の冷却器で凝縮される。なお、本実施形態で記載した減圧吸引の位置や対流の向きは一例であって、このような態様に限定されるものではない。他の例としては、水蒸気が下方から上方へと対流して、有機水溶液と並流する態様も挙げることができる。
第一段の脱水装置1aを経た有機水溶液は、予熱器等を経ることなく第二段の脱水装置1bに供給される。このとき、有機水溶液の温度は、リサイクル比にもよるが、リサイクル比が、約1〜5の場合、約47〜75℃、有機水溶液中にしめるエタノール濃度が、約96〜98.5%となっている。第二段の脱水装置1bにおいては、第一段の脱水装置1aと同様に、脱水処理が行われ、水51が減圧装置により排出され、脱水がさらに進んだ有機水溶液が脱水装置1bから排出される。
第二段の脱水装置1bを経た有機水溶液は、予熱器等を経ることなく第三段の脱水装置1cに供給される。第三段の脱水装置1cに供給される有機水溶液の温度は、リサイクル比にもよるが、サイクル比が、約1〜5の場合、約48〜76℃であり、有機水溶液中にしめるエタノール濃度が、約97.5〜99.3%となっている。第三段の脱水装置1cにおいては、第一段の脱水装置1a、第二段の脱水装置1bと同様に、脱水処理が行われ、脱水がさらに進んだ有機水溶液が脱水装置1cから排出される。第三段の脱水装置1cの出口での有機水溶液の温度は、リサイクル比にもよるが、リサイクル比が、約1〜5の場合、約50〜79℃であり、有機水溶液中にしめるエタノール濃度が、約98.6〜99.6%である。
脱水装置1cから排出された有機水溶液は、一部が後段の冷却器4によって、約35℃以下にまで冷却され、製品52となる。残部は、リサイクル有機水溶液53として、予熱器3の前段に返送される。製品52となる有機水溶液と、リサイクル有機水溶液53との比率は、前述のリサイクル比から決定することができる。
リサイクル有機水溶液53は、三段の脱水装置1a、1b、1cにおける水分離工程を経て、リサイクル比にもよるが、エタノールが約50〜79%にまで濃縮され、温度が約98.6〜99.6℃となっている。リサイクル水溶液53は、返送手段6を構成する管とリサイクルポンプ5とにより、予熱器3の前段に返送される。
なお、本実施形態で挙げた各段階での温度やエタノール濃度は一例であり、温度、濃度は膜性能により変わってくるため、これらの値に限定されるものではない。
また、本実施の形態においては、三段の脱水装置を用いたシステム及び方法について記載したが、本発明は、三段の脱水装置を用いたシステム及び方法に限定されるものではない。所望の製品濃度に応じて、例えば、二段の脱水装置を含む脱水システムとすることもできるし、四段から十段、あるいはそれ以上の段数の脱水装置を含む脱水システムとすることもできる。
図1に示す本実施の形態にかかる方法によれば、高温のリサイクル有機水溶液53を原料となる有機水溶液50と混合することにより、ワンパス方式の場合と比較して、流量が増加し、予熱器3、脱水装置1a、1b、1cに供給される熱量が大きくなる。供給される熱量の増加幅に対し、水分離膜の透過で奪われる潜熱の増加幅は小さいため、脱水装置における有機水溶液の温度の低下を抑制することができるという利点がある。
また、流速を増加させることは、水分離膜内での濃度分極の抑制につながる。水分離膜内での濃度分極とは、管状の水分離膜内で、管の中心部分の水分濃度が高く、分離膜近傍では水分濃度が低くなり、水分離膜の透過性能が低下する現象をいう。本実施形態にかかる脱水システムによれば、処理済の有機水溶液のリサイクルをおこなわずにワンパス方式で有機水溶液を流したときと比較して、リサイクル比が約4から約9の場合、流速を約5倍から約10倍にまで上げることができる。
さらに、リサイクル有機水溶液と原料の有機水溶液を混合した有機水溶液54を、第一段の脱水装置に供給するため、第一段の脱水装置に供給される溶液中の水分濃度が、原料の有機水溶液よりも低くなっている。この場合、各脱水装置に供給される有機水溶液中の水分濃度幅が小さくなり、各脱水装置の水分離膜の劣化度合いを均一化することができるという利点がある。
さらにまた、予熱器を第二段以降の脱水装置の前段に配置しなくてもよく、システム全体のエネルギー効率に優れているという利点がある。
また、リサイクルに要するリサイクルポンプの動力は、リサイクル有機水溶液と同様の熱量を脱水装置前段の予熱器で供給するための動力と比較して、リサイクル比が5倍、差圧20m、ポンプ効率50%で計算した場合、1/100である。よって、この点においてもシステム全体のエネルギー効率に優れていると言える。
図5に、本発明に係る脱水システムの第二実施形態を示す。
図5に示す脱水システムは、主たる構成要素として、三つの脱水装置1a、1b、1cと、原料ポンプ2と、二つの予熱器3a、3bと、冷却器4と、リサイクルポンプ5を備える返送手段6aとから構成される。
図5に示す脱水システムにおいて、図示しない原料供給装置の後段に原料ポンプ2が配置され、原料ポンプ2の後段には予熱器3aが配置される。予熱器3aの後段には第一段の脱水装置1aが配置される。第一段の脱水装置1aの後段には、第二の予熱器3bが配置され、さらにその後段には第二段の脱水装置1bが配置される。第二段の脱水装置1bの後段には、第三段の脱水装置1cが直列に接続される。第二段の脱水装置1bと第三段の脱水装置1cとの間には予熱器は配置されない。第三段の脱水装置1cの後段で、第三段の脱水装置1cから引き出される管は二つに分岐している。一方の管の後段には、冷却器4が配置される。もう一方の管は、返送手段6aである。返送手段6aは、第一段の脱水装置1aと第二の予熱器3bとを接続する管に接続される。返送手段6には、リサイクルポンプ5が設置されている。
本実施形態においては、第一段の脱水装置1aと、第二段の脱水装置1bとの間に第二の予熱器3bが配置されている点、及び返送手段6aが第一段の脱水装置1aと第二の予熱器3bとを接続する管に接続される点で第一実施形態と異なる。第二の予熱器3bは、第一の予熱器3aと同様のものであってよく、同一の装置を用いることができる。
次に、図5に示す脱水システムを用いた脱水方法について説明する。第二実施形態にかかる脱水方法は、有機水溶液を通すための上下に延びる一以上の流路を有する水分離膜の下部入口から上部出口に向けて予熱された有機水溶液を流し、該水分離膜の外側を減圧して、該有機水溶液中の水分を水分離膜に透過させる水分離工程を含む脱水方法であって、三回の水分離工程を経た有機水溶液の一部を、二回の水分離工程を経た有機水溶液と混合する工程と、混合された有機水溶液を予熱する工程と、予熱された有機水溶液を再度、少なくとも二回の水分離工程に供する工程とを含む。
本実施の形態に係る脱水方法において、原料となる有機水溶液及びその濃度は第一実施形態と同じであるため、説明を省略する。95wt%のエタノールと、5wt%の水との混合物である原料の有機水溶液50は、原料ポンプ2により、図示しない供給元より搬送される。原料の有機水溶液50は、予熱器3aで昇温する。昇温後の有機水溶液の温度は、エタノールと水との共沸点に近いが共沸点(約80℃)未満である70℃から80℃未満とすることが好ましい。予熱器3aで昇温した有機水溶液は、第一段の脱水装置1aに、水分離膜部10の有機水溶液入口から供給する。このときの、有機水溶液の濃度は、原料と同じである。有機水溶液の水分離膜部への供給流速は、透過フラックスとの関係で、当業者が適宜決定することができる。
第一段の脱水装置1aにおける有機水溶液の水分離工程は、第一実施形態と同様であるため、説明を省略する。第一段の脱水装置1aを経た有機水溶液55は、第二段の予熱器3bの前段で、供給手段6aからのリサイクル有機水溶液53と混合される。第一段の脱水装置1aを経た有機水溶液と、リサイクル有機水溶液53との混合比は、リサイクル比により決定される。リサイクル比は、所望の製品52濃度、各脱水装置1a、1b、1cの出口における有機水溶液温度、及び全体のエネルギー効率から、当業者が適宜決定することができ、例えば、1〜5とすることができるが、これらには限定されない。
混合された有機水溶液56は、第二段の予熱器3bで昇温される。第二段の予熱器3bで昇温した有機水溶液は、第二段の脱水装置1bに、水分離膜部10の有機水溶液入口から供給する。有機水溶液の水分離膜部への供給流速は、リサイクル比等との関係で、当業者が適宜決定することができる。また、第二段の脱水装置1bに供給される有機水溶液中のエタノール濃度もリサイクル比によって変わりうる値である。
第二段の脱水装置1b、第三段の脱水装置1cにおける水分離工程、および第三段の脱水装置1cを経たリサイクル有機水溶液の分流は、第一実施形態と同様であるため、説明を省略する。
なお、第二実施の形態においては、三段の脱水装置を用いたシステム及び方法について記載したが、本発明は、三段の脱水装置を用いたシステム及び方法に限定されるものではない。所望の製品濃度に応じて、例えば、四段の脱水装置を含む脱水システムとすることもできるし、五段から十段の脱水装置を含む脱水システムとすることもできる。例えば、四段の脱水装置を含む脱水システムにおいては、第四段の脱水装置出口の有機水溶液をリサイクル有機水溶液として、第二段の脱水装置に返送するシステムとすることもできる。この場合、リサイクル水溶液は第二段の脱水装置の前段で予熱器により予熱する。また、第四段の脱水装置出口の有機水溶液をリサイクル有機水溶液として、第三段の脱水装置に返送するシステムとすることもできる。この場合、リサイクル水溶液は第三段の脱水装置の前段で予熱器により予熱する。
五段以上の脱水装置を含む脱水システムにおいても、同様に最後段の脱水装置から排出される有機水溶液を、二段目以降の任意の段の脱水装置に返送するような返送手段を設けた脱水システムとすることができる。
第二実施形態によれば、第三段目の脱水装置を経たリサイクル有機水溶液を第二段目の脱水装置の前段に返送することで、リサイクル有機水溶液と、第一段目の脱水装置である程度の脱水がなされた高濃度の有機水溶液とが混合されることになる。これは、リサイクル比を下げることができ、リサイクルポンプ5の動力が小さくて済むというメリットがある。
図6に、本発明に係る脱水システムの第三実施形態を示す。
図6に示す脱水システムは、主たる構成要素として、三つの脱水装置1a、1b、1cと、原料ポンプ2と、三つの予熱器3a、3b、3cと、冷却器4と、リサイクルポンプ5を備える送手段6bとから構成される。
図6に示す脱水システムにおいて、図示しない原料供給装置の後段に原料ポンプ2が配置され、原料ポンプ2の後段には予熱器3aが配置される。予熱器3aの後段には第一段の脱水装置1aが配置される。第一段の脱水装置1aの後段には、第二の予熱器3bが配置され、さらにその後段には第二段の脱水装置1bが配置される。第二段の脱水装置1bの後段で、第二段の脱水装置1bから引き出される管は二つに分岐している。分岐した一方の管の後段には、第三の予熱器3cが配置され、さらにその後段には第三段の脱水装置1cが配置される。第三段の脱水装置1cの後段には、冷却器4が配置される。分岐した他方の管は、返送手段6bである。返送手段6bは、第一段の脱水装置1aと第二の予熱器3bとを接続する管に接続される。返送手段6bには、リサイクルポンプ5が設置されている。
本実施形態においては、第二段の脱水装置1bと、第三段の脱水装置1cとの間に第三の予熱器3cが配置されている点、及び返送手段6bが第二段の脱水装置1bの後段から分岐している点で第二実施形態と異なる。第三の予熱器3cは、第一の予熱器3a、第二の予熱器3bと同様のものであってよく、同一の装置を用いることができる。
次に、図6に示す脱水システムを用いた脱水方法について説明する。第三実施形態にかかる脱水方法は有機水溶液を通すための上下に延びる一以上の流路を有する水分離膜の下部入口から上部出口に向けて予熱された有機水溶液を流し、該水分離膜の外側を減圧して、該有機水溶液中の水分を水分離膜に透過させる水分離工程を含む脱水方法であって、二回の水分離工程を経た有機水溶液の一部を、一回の水分離工程を経た有機水溶液と混合する工程と、混合された有機水溶液を予熱する工程と、予熱された有機水溶液を再度、少なくとも二回の水分離工程に供する工程とを含む。
本実施の形態に係る脱水方法において、原料となる有機水溶液及びその濃度は第一実施形態と同じであるため、説明を省略する。95wt%のエタノールと、5wt%の水との混合物である原料の有機水溶液50は、原料ポンプ2により、図示しない供給元より搬送される。原料の有機水溶液50は、予熱器3aで昇温する。昇温後の有機水溶液の温度は、エタノールと水との共沸点に近いが共沸点(約80℃)未満である70℃から80℃未満とすることが好ましい。予熱器3aで昇温した有機水溶液は、第一段の脱水装置1aに、水分離膜部10の有機水溶液入口から供給する。このときの、有機水溶液の濃度は、原料と同じである。有機水溶液の水分離膜部への供給流速は、透過フラックスとの関係で、当業者が適宜決定することができる。
第一段の脱水装置1aにおける有機水溶液の水分離工程は、第一実施形態と同様であるため、説明を省略する。第一段の脱水装置1aを経た有機水溶液55は、第二段の予熱器3bの前段で、供給手段6bからのリサイクル有機水溶液53と混合される。第一段の脱水装置1aを経た有機水溶液と、リサイクル有機水溶液53との混合比は、リサイクル比により決定される。リサイクル比は、所望の製品52濃度、各脱水装置1a、1b、1cの出口における有機水溶液温度、及び全体のエネルギー効率から、当業者が適宜決定することができ、例えば、1〜5とすることができるが、これらには限定されない。
混合された有機水溶液57は、第二段の予熱器3bで昇温する。第二段の予熱器3bで昇温した有機水溶液は、第二段の脱水装置1bに、水分離膜部10の有機水溶液入口から供給する。有機水溶液の水分離膜部への供給流速は、リサイクル比によって適宜決定される。また、第二段の脱水装置1bに供給される有機水溶液中のエタノール濃度もリサイクル比によって変わりうる値である。
第二段の脱水装置1bを経た有機水溶液は、第二段の脱水装置1bの後段で、リサイクル有機水溶液53と、第三段の脱水装置1cに供給する有機水溶液58とに分けられる。このときの比率は、前述のリサイクル比から決定される。リサイクル有機水溶液53は、返送手段6bにより、第二段の予熱器3bの前段へ戻される。第三段の脱水装置1cに供給する有機水溶液58は第三段の予熱器3cで昇温された後、第三段の脱水装置1cに供給する。第三段の脱水装置1cにおける水分離工程、および第三段の脱水装置1cを経た製品となる有機水溶液52については、第一実施形態と同様であるため、説明を省略する。
なお、第三実施の形態においては、三段の脱水装置を用いたシステム及び方法について記載したが、本発明は、三段の脱水装置を用いたシステム及び方法に限定されるものではない。所望の製品濃度に応じて、例えば、四段の脱水装置を含む脱水システムとすることもできるし、五段から十段の脱水装置を含む脱水システムとすることもできる。例えば、四段の脱水装置を含む脱水システムにおいては、第三段の脱水装置出口の有機水溶液をリサイクル有機水溶液として、第二段の脱水装置に返送するシステムとすることもできる。この場合、リサイクル水溶液は第二段の脱水装置の前段で予熱器により予熱する。そして、第三段の脱水装置の前段でも、有機水溶液を予熱器により予熱する。また、別の形態として、第三段の脱水装置出口の有機水溶液をリサイクル有機水溶液として、第三段の脱水装置に返送するシステムとすることもできる。この場合、リサイクル水溶液は第三段の脱水装置の前段で予熱器により予熱する。そして、第四段の脱水装置の前段でも、有機水溶液を予熱器により予熱する。
五段以上の脱水装置を含む脱水システムにおいても、同様に四段目以前の任意の段の脱水装置を、四段目以前であって二段目以降の任意の段の脱水装置に返送するような返送手段を設けた脱水システムとすることができる。
第三実施形態によれば、第二段目の脱水装置3bを経たリサイクル有機水溶液を第二段目の脱水装置3bの前段に返送することにより脱水効率の向上が可能となる。
図7に、本発明に係る脱水システムの第四実施形態を示す。
図7に示す脱水システムは、主たる構成要素として、一つの脱水装置1dと、原料ポンプ2と、一つの予熱器3と、冷却器4と、リサイクルポンプ5を備える返送手段6cとから構成される。
本実施形態に係る脱水システムは、一つの脱水装置のみを設けるものであって、多段の脱水装置を設けるものではない点で、第一から第三実施形態の脱水システムとは異なる。そして、本実施形態において用いる脱水装置1dは、第一から第三実施形態で用いる脱水装置と比較して、大型の脱水装置である。ここで、大型の脱水装置とは、通常用いられる脱水装置を約10段から20段、直列に接続したのと同程度の膜長さを有する脱水装置をいう。
返送手段6cは、脱水装置1dの後段で分岐して、原料ポンプ2と予熱器3との間に接続される。原料ポンプ2、予熱器3、冷却器4、リサイクルポンプ5は他の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
次に、第四実施形態における脱水方法は、有機水溶液を通すための上下に延びる一以上の流路を有する水分離膜の下部入口から上部出口に向けて予熱された有機水溶液を流し、該水分離膜の外側を減圧して、該有機水溶液中の水分を水分離膜に透過させる水分離工程を含む脱水方法であって、一回の水分離工程を経た有機水溶液の少なくとも一部を、未処理の有機水溶液と混合する工程と、混合された有機水溶液を予熱する工程と、予熱された有機水溶液を再度水分離工程に供する工程とを含む。
原料の有機水溶液50は、リサイクル有機水溶液53と混合した後、予熱器3で加熱して、脱水装置1dに供給する。原料の有機水溶液50と、リサイクル有機水溶液53との混合比は、リサイクル比により決定される。リサイクル比は、所望の製品52濃度、脱水装置1dの出口における有機水溶液温度、及び全体のエネルギー効率から、当業者が適宜決定することができ、例えば、1〜5とすることができるが、これらには限定されない。混合された有機水溶液54は、脱水装置1dに供給され、脱水が行われる。脱水装置から排出された有機水溶液の一部は冷却され、製品52となる。残りは、リサイクル有機水溶液53として、返送手段6cにより、予熱器3の前段に返送される。
本実施形態においては、返送手段6cにより、リサイクル有機水溶液53を、原料の有機水溶液50と混合することで、脱水装置1dに供給することができる熱量が大きくなる。このため、大型の脱水装置を用いても、供給する熱量に対して、水の分離時における潜熱が小さいため、水分離膜後段における温度低下を防止することができる。言い換えれば、有機水溶液のリサイクルにより、脱水装置に供給される熱量が、水分離による蒸発潜熱よりも十分に大きくすることができるようになり、脱水装置自体を大きくすることができたのである。
第四実施形態によれば、複数設置していた脱水装置を一つの大型脱水装置とすることで、配管の簡略化、熱交換器等の機器の削減が可能になるという効果が得られる。
[1] 第一の予熱器と、
該予熱器の後段に直列に接続された、有機水溶液から水を分離する複数の脱水装置であって、脱水装置本体内に、有機水溶液を通すための上下に延びる一以上の流路を有する水分離膜の下部に有機水溶液入口を、上部に有機水溶液出口を有してなる水分離膜部と、該水分離膜部の外側面と、装置本体内壁とで規定されるシェル部とを備え、該有機水溶液が該水分離膜を上昇するにつれて、該有機水溶液中の水分が、該水分離膜を透過してシェル部に移動し、該有機水溶液が脱水される脱水装置と、
一以上の脱水装置を経た有機水溶液の一部を、該脱水装置、または該脱水装置の前段の脱水装置に返送する返送手段と、
該返送手段により返送された有機水溶液を脱水装置に供給する前に予熱する第二の予熱器と
を含んでなる脱水システム。
[2] 前記返送手段が、最後段の脱水装置を経た有機水溶液の一部を、最前段の脱水装置に返送する手段であり、前記第一の予熱器が前記第二の予熱器を兼ねる、上記[1]に記載の脱水システム。
[3] 前記直列に接続される脱水装置が三以上であり、前記返送手段が、最後段の脱水装置を経た有機水溶液の一部を、最前段以降の脱水装置に返送する手段であり、前記第二の予熱器が、該最前段以降の脱水装置の前段に設置されている、上記[1]に記載の脱水システム。
[4] 前記直列に接続される脱水装置が三以上であり、前記返送手段が、最後段以前の脱水装置を経た有機水溶液の一部を、最前段以降の脱水装置に返送する手段であり、前記第二の予熱器が、該最前段以降の脱水装置の前段に設置されており、かつ、前記最後段以前の脱水装置が、前記最前段以降の脱水装置よりも後段にある、上記[1]に記載の脱水システム。
[5] 有機水溶液を予熱する予熱器と、
予熱された有機水溶液から水を分離する脱水装置であって、脱水装置本体内に、有機水溶液を通すための上下に延びる一以上の流路を有する水分離膜の下部に有機水溶液入口を、上部に有機水溶液出口を有してなる水分離膜部と、該水分離膜部の外側面と、装置本体内壁とで規定されるシェル部とを備え、該有機水溶液が該水分離膜を上昇するにつれて、該有機水溶液中の水分が、該水分離膜を透過してシェル部に移動し、該有機水溶液が脱水される脱水装置と、
該脱水装置を経た有機水溶液の一部を、該予熱器の前段に返送する返送手段と
を含んでなる脱水システム。
[6] 有機水溶液を通すための上下に延びる一以上の流路を有する水分離膜の下部入口から上部出口に向けて予熱された有機水溶液を流し、該水分離膜の外側を減圧して、該有機水溶液中の水分を水分離膜に透過させる水分離工程を含む脱水方法であって、
一回以上の水分離工程を経た有機水溶液の少なくとも一部を、該有機水溶液より少ない回数の水分離工程を経た有機水溶液又は未処理の有機水溶液と混合する工程と、
混合された有機水溶液を予熱する工程と、
予熱された有機水溶液を再度水分離工程に供する工程と
を含む脱水方法。
1、1a、1b、1c、1d 脱水装置
2 原料ポンプ
3 予熱器
4 冷却器
5 リサイクルポンプ
6 返送手段
10、110、210 水分離膜部
10a、110a、210a 有機水溶液の入口
10b、110b、210b 有機水溶液の出口
10c、110c、210c 流路
10d、110d、210d 水分離膜
11 シェル部
13 減圧装置
14 ダクト
19 熱交換器
50 有機水溶液
51 水蒸気
52 製品
53 リサイクル有機水溶液

Claims (5)

  1. 第一の予熱器と、
    該予熱器の後段に直列に接続された、有機水溶液から水を分離する複数の脱水装置であって、脱水装置本体内に、有機水溶液を通すための上下に延びる一以上の流路を有する水分離膜の下部に有機水溶液入口を、上部に有機水溶液出口を有してなる水分離膜部と、該水分離膜部の外側面と、装置本体内壁とで規定されるシェル部とを備え、該有機水溶液が該水分離膜を上昇するにつれて、該有機水溶液中の水分が、該水分離膜を透過してシェル部に移動し、該有機水溶液が脱水される脱水装置と、
    一以上の脱水装置を経た有機水溶液の一部を、該脱水装置、または該脱水装置の前段の脱水装置に返送する返送手段と、
    該返送手段により返送された有機水溶液を脱水装置に供給する前に予熱する第二の予熱器と
    を含んでなる脱水システムであって、
    前記水分離膜が、シリカ系又はゼオライト系の無機水分離膜である、脱水システム。
  2. 前記返送手段が、最後段の脱水装置を経た有機水溶液の一部を、最前段の脱水装置に返送する手段であり、前記第一の予熱器が前記第二の予熱器を兼ねる、請求項1に記載の脱水システム。
  3. 前記直列に接続される脱水装置が三以上であり、前記返送手段が、最後段の脱水装置を経た有機水溶液の一部を、最前段以降の脱水装置に返送する手段であり、前記第二の予熱器が、該最前段以降の脱水装置の前段に設置されている、請求項1に記載の脱水システム。
  4. 前記直列に接続される脱水装置が三以上であり、前記返送手段が、最後段以前の脱水装置を経た有機水溶液の一部を、最前段以降の脱水装置に返送する手段であり、前記第二の予熱器が、該最前段以降の脱水装置の前段に設置されており、かつ、前記最後段以前の脱水装置が、前記最前段以降の脱水装置よりも後段にある、請求項1に記載の脱水システム。
  5. 有機水溶液を通すための上下に延びる一以上の流路を有する水分離膜の下部入口から上部出口に向けて予熱された有機水溶液を流し、該水分離膜の外側を減圧して、該有機水溶液中の水分を水分離膜に透過させる水分離工程を含む脱水方法であって、
    一回以上の水分離工程を経た有機水溶液の少なくとも一部を、該有機水溶液より少ない回数の水分離工程を経た有機水溶液又は未処理の有機水溶液と混合する工程と、
    混合された有機水溶液を予熱する工程と、
    予熱された有機水溶液を再度水分離工程に供する工程と
    を含む脱水方法であって、
    前記水分離膜が、シリカ系又はゼオライト系の無機水分離膜であり、
    前記混合する工程におけるリサイクル比が、1〜5である、脱水方法。
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