JP6740818B2 - 有機溶剤回収システム - Google Patents

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Description

本発明は、有機溶剤含有ガスから有機溶剤を回収し、回収した有機溶剤を精製する有機溶剤回収システムに関する。
従来、有機溶剤含有ガスを清浄化するシステムとして、有機溶剤含有ガスから有機溶剤を除去し、除去した有機溶剤を高濃度に濃縮して回収する有機溶剤回収システムが知られている。この種の有機溶剤回収システムは、一般的に、吸着材として粒状活性炭或いは繊維状活性炭を充填した処理槽へ有機溶剤含有ガスを供給し、吸着材にて吸着させて清浄化した処理済ガスを排出する吸着処理と、処理槽へ水蒸気を導入して吸着材から有機溶剤を脱着する脱着処理とを交互に繰り返す吸脱着処理装置と、吸脱着処理装置より脱着された高濃度の有機溶剤を含む脱着ガスを凝縮させて高濃度の有機溶剤を含む回収液と水を主成分とする分離排水とに分離する凝縮回収装置と、の組み合わせにて構成されている(例えば、特許文献1、2参照)。
上記有機溶剤回収システムにより回収された回収液中には、通常、有機溶剤の他に脱着処理に用いられる水蒸気に由来する水分、および有機溶剤の分解物等が含まれることがある。故に、純度の高い回収液を得る為には、一般的に回収液を蒸留処理によって有機溶剤とその他水分及び分解物とを分離する操作が必要となる。
しかしながら、蒸留処理においては、蒸留塔等の高額な設備が必要となりイニシャルコストが嵩むばかりでなく、有機溶剤回収システム全体の設置スペースの増大、および莫大なエネルギーを要する為にランニングコストも嵩む。よって、コスト面から好ましいものではない。
このような観点から、蒸留処理に代わる新たな回収液の精製方法として、浸透気化分離法(パーベーパレーション法)に基づく膜分離処理が注目されている。浸透気化分離法は混合物の分離に適した分離法であり、分離膜として、無機膜としてのゼオライト膜や高分子膜としてのポリスルホン膜、シリコン膜、ポリアミド膜、ポリイミド膜等が一般的に利用される。
このような浸透気化分離法に基づいた膜分離装置を備えた有機溶剤回収システムとして、例えば、特許文献3、4に開示のものがある。当該特許文献3、4に開示の有機溶剤回収システムは、上述した従来の有機溶剤回収システムの凝縮回収装置の下流側にさらに浸透気化分離法に基づいた膜分離装置を追加した構成である。膜分離装置は、凝縮回収装置にて回収された高濃度の有機溶剤を含む回収液から水を分離して除去することにより、有機溶剤の精製を行う。さらに、特許文献4においては、膜分離装置へと供給される回収液と吸脱着処理装置より排出される脱着ガスとを熱交換させることにより、膜分離装置へと供給される回収液の熱源として脱着ガスを利用することによってランニングコストを下げる構成となっている。
特公昭64−11326号公報 特開平3−193113号公報 特開2009−66530号公報 特開2011−92871号公報
上記特許文献4に開示される有機溶剤回収システムは、膜分離装置へと供給される回収液と吸脱着処理装置より排出される脱着ガスとを熱交換部にて直接熱交換させている。ここで、吸脱着処理装置より排出される脱着ガスの温度は一定ではなく、脱着処理において通常使用される水蒸気温度の100〜120℃まで到達することもある。そのため、膜分離装置へと供給される回収液と吸脱着装置より排出される脱着ガスとを直接熱交換させることにより、熱交換器内部で局所的に回収液の温度が高温になるという事態が発生することがわかった。その結果として、回収液中に含まれる有機溶剤の分解が促進され、分解物による膜分離性能の低下、および膜分離装置によって処理された透過液に含まれる分解物の処理が必要となってしまう。さらには、局所的に回収液の温度が高温になると有機溶剤の種類によっては酸が発生してしまい、配管などの腐食を促進する原因となってしまう。
そこで、本発明は、上述した問題点を解決すべくなされたものであり、有機溶剤を含有する被処理ガスから当該有機溶剤を回収するに際し、当該有機溶剤の分解物の発生を抑制し、純度の高い有機溶剤を回収可能であり、配管の腐食を抑制可能な、有機溶剤回収システムを提供することを目的とする。
本発明者らは、従来技術の課題を解決するため鋭意検討した結果、ついに本発明を完成するに至った。即ち本発明は以下の通りである
本発明に基づく有機溶剤回収システムは、有機溶剤を含有する被処理ガスから当該有機溶剤を回収する有機溶剤回収システムであって、吸着材を充填した処理槽を有し、処理槽に導入された前記被処理ガス中の有機溶剤を吸着材に吸着させ、有機溶剤の濃度が下げられた処理ガスを排出する吸着処理と、処理槽に導入された水蒸気にて吸着材から有機溶剤を脱着し、高濃度の有機溶剤を含む脱着ガスを排出する脱着処理と、を交互に繰り返す吸脱着処理装置と、前記脱着ガスを冷却凝縮し、有機溶剤を含む回収液と水を主成分とする分離液とに分離する凝縮分液装置と、回収液を接触させることで回収液に含有される水または有機溶剤の分解物が混入した水を選択的に透過して分離する分離膜を有し、前記凝縮分液装置から排出された回収液を導入することで、有機溶剤を主成分とする濃縮液と水を主成分とする透過液とに分離する膜分離装置と、前記吸脱着装置から排出された前記脱着ガスが前記凝縮分離装置に導入される前に、当該脱着ガスから潜熱を取り出し蓄熱する蓄熱部、および蓄熱部に蓄熱された熱を前記凝縮分液装置より排出された回収液へ与える熱付与部を有する熱媒装置と、を備える。
上記本発明に基づく有機溶剤回収システムにあっては、上記吸着材が活性炭素繊維であることが好ましい。
上記本発明に基づく有機溶剤回収システムにあっては、上記膜分離装置が浸透気化分離法に基づくものであることが好ましい。
上記本発明に基づく有機溶剤回収システムにあっては、上記分離膜が炭素膜であることが好ましい。
上記本発明に基づく有機溶剤回収システムにあっては、上記分離膜が中空糸構造を有していることが好ましい。
上記本発明に基づく有機溶剤回収システムにあっては、上記被処理ガス中に含まれる有機溶剤が水と反応することで酸を発生する成分を含んでいる場合に特に好適に利用される。ここで、水と反応することで酸を発生する成分としては、例えば、酢酸エステルまたは塩基性化合物が挙げられる。
本発明に基づく有機溶剤回収システムによれば、吸脱着処理装置が脱着処理時に排出する高濃度の有機溶剤を含む脱着ガスから潜熱を取り出し蓄熱する蓄熱部と、蓄熱部に蓄熱された熱を凝縮分液装置より排出された回収液へ与える熱付与部とを有する熱媒装置を備えている。よって、脱着ガスの潜熱を一旦する蓄積してから回収液に与えることで、回収液が部分的に高温になり有機溶剤が分解することを防げる。また、高温で酸が発生する有機溶剤が含まれていても、酸の発生を抑制できる。
このように、本発明によれば、被処理ガスから有機溶剤を回収するに際し、有機溶剤の分解物の発生を抑制し、純度の高い有機溶剤を回収可能であり、配管などの腐食を抑制可能な、省エネルギー化が図られた有機溶剤回収システムを提供することができる。
本発明の実施形態の有機溶剤回収システムの構成を示す概略図である。 比較例の有機溶剤回収システムの構成を示す概略図である。
本発明の一実施形態の有機溶剤回収システム100について図1を用いて説明する。図1に示すように、本実施形態の有機溶剤回収システム100は、吸脱着処理装置1、凝縮分液装置2、膜分離装置3、熱媒装置4を備えている。
吸脱着処理装置1は、被処理ガス(有機溶剤含有ガス)を処理して清浄ガス(処理済ガス)を排出する装置であり、図1に示すように、それぞれ吸着材14が充填された処理槽13を備えている。本実施形態では2つの処理槽13を備えているが、備える数に限定はなく、1つでも、3つ以上でもよい。
吸着材14は、粒状、粉体状、繊維状、ハニカム状の活性炭、ゼオライト、シリカゲルや活性アルミナなどを用いることができる。特に活性炭素繊維を用いることが好ましい。活性炭素繊維は表面にミクロ孔を有することと繊維状構造であることより、被吸着物質の吸着速度及び脱着速度が速い為、被処理ガスを効率よく処理することができる為である。
吸着材14として活性炭素繊維を用いる場合、そのBET比表面積は、1500〜2000m/g、平均細孔径は、15〜18Å、細孔容積は、0.5〜0.8cm/gであるのが好ましい。この数値範囲であると、被処理ガスを効率よく処理することができる。
吸脱着処理装置1は、処理槽13に有機溶剤含有の被処理ガスを導入して有機溶剤を吸着材14に吸着させて清浄ガスを排出する吸着処理を実施する。また、処理槽13に脱着用ガスを導入して吸着材14から有機溶剤を脱着する脱着処理を実施する。本実施形態では、脱着用ガスとして水蒸気を用いる。
処理槽13には上ダンパー16および下ダンパー15が取付けられており、これらダンパーの開閉によりガスの流路を切替えることができる。
被処理ガスは、被処理ガス供給ダクト11より原ガス送風機12へ送り込まれ、下ダンパー15及び上ダンパー16が開いて吸着処理できる状態となっている処理槽13(処理槽)に導入される。処理槽13での吸着処理により、被処理ガスは、有機溶剤が処理槽13の吸着材14にて吸着されて、清浄ガスとなってと処理槽13に接続された清浄ガス排出ダクト17より排出される。
本実施形態では、被処理ガスに含まれる有機溶剤は、水と反応することで酸を発生させる成分を含むものとする。水と反応することで酸を発生させる成分とは、一般的には酢酸エステル及び塩基性化合物が挙げられる。例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、塩化メチレン、トリクレンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
一方、下ダンパー15及び上ダンパー16が閉じられて脱着処理できる状態となっている処理槽13(脱着槽)には、その処理槽13に設けられた水蒸気供給口18から脱着用ガスとして水蒸気が導入される。この水蒸気は、水蒸気供給ライン20より水蒸気ライン切替弁21を経由して水蒸気供給口18へ供給される。処理槽13への水蒸気の導入により吸着材14に吸着された有機溶剤の脱着処理が行われる。
ここで、被処理ガスを処理槽13に導入し吸着材14に有機溶剤を吸着させる吸着処理と、処理槽13に脱着用ガスを導入し吸着材14から有機溶剤を脱着させる脱着処理とを、下ダンパー15及び上ダンパー16の開閉操作によって交互に繰り返し行うことで、連続して有機溶剤含有ガスを清浄化することができる。
処理槽13から脱着された有機溶剤を含む水蒸気は、処理槽13に設けられた脱着水蒸気排出口19より脱着水蒸気ライン31を経由して第一熱交換器32へ供給される。第一熱交換器32は、処理槽13から脱着された有機溶剤を含む水蒸気の熱と後述のように熱媒装置4を循環する熱媒との熱を交換する機器である。本実施形態では、第一熱交換器32は、後述のように熱媒装置4が備えているが、例えば、凝縮分離装置2が備えていてもよいし、設置場所は問わない。
処理槽13から脱着された有機溶剤を含む水蒸気は、第一熱交換器32において潜熱が奪われ、配管ライン44を介して凝縮分液装置2へと供給される。凝縮分離装置2は、凝縮器33、凝縮液タンク34を備える。処理槽13から脱着された有機溶剤を含む水蒸気は、凝縮器33にて冷却され液化し、配管ライン45を通って凝縮液タンク34へと供給され、比重差により有機溶剤を含む回収液と水を主成分とする分離液とに分離される。凝縮器33では、冷水を用いて冷却するものとするが、これに限定されない。
凝縮分液装置2にて得られた有機溶剤を含む回収液は、配管ライン46を通って膜分離装置3へと供給される。膜分離装置3は、回収液タンク38、送液ポンプ39、ヒーター40、膜分離器41を備えている。配管ライン46を通って供給された有機溶剤を含む回収液は、回収液タンク38に供給され、送液ポンプ39によって配送ライン46を通って第二熱交換器36、ヒーター40、膜分離器41へと順に送られる。第二熱交換器36とヒーター40との間は配管ライン48、ヒーター40と膜分離器41との間は配管ライン49で接続している。第二熱交換器36は、回収液の熱と後述のように熱媒装置4を循環する熱媒との熱を交換する機器である。本実施形態では、第二熱交換器36は、後述のように熱媒装置4が備えているが、例えば、膜分離装置3が備えていてもよいし、設置場所は問わない。
膜分離器41は、有機溶剤を含む回収液中の水分などの不純物を浸透気化分離法に基づいて分離する。膜分離器41にて不純物が取り除かれた回収液は、濃縮液ライン42を経由し回収液タンク38に再び供給される。分離された不純物は排出ライン50から排出される。
膜分離装置3では、上記処理が繰り返されて、回収タンク38中の回収液の不純物が徐々に減らされる。そして所定時間上記処理が繰り返された後、回収タンクに接続した回収ライン43から回収液が排出され回収される。
ここで、膜分離器41に使用する分離膜は、例えば、各種の無機膜や高分子膜が利用可能ではあるが、特に炭素膜を使用することが好ましい。これは、浸透気化分離法にて分離する有機溶剤を含んだ回収液は比較的高温にて使用し、且つ酸成分が含まれる可能性があるからである。耐熱性や耐酸性等に優れた炭素膜を使用することで高寿命化を図ることができる。例えば、高分子膜を使用した場合においては、有機溶剤を含む回収液によって高分子膜が大きく膨潤してしまい、膜分離器41から高分子膜が離脱されてしまう可能性があり、ゼオライト膜を使用した場合においては、有機溶剤を含む回収液中の酸成分によって、膜構造が破壊されてしまう可能性があるためである。
また、膜分離器41に使用する分離膜は、中空糸構造を有していることが好ましい。分離膜の構造を中空糸にすることで、単位体積当たりの分離膜充填量を増加させることができ、結果としてシステムの小型化、低コスト化及び省エネルギー化を図ることができるためである。
なお、中空糸構造を有する炭素膜の原料としては、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、セルロース系樹脂、ポリフェニレンオキシド系樹脂、ポリフルフリルアルコール、フェノール樹脂等が挙げられるが、特にその原料が限定されるものではない。
また、中空糸構造を有する炭素膜とは、上述の樹脂原料などを中空状に加工し、さらにそれを不活性雰囲気下で熱処理したものである。熱処理温度としては、樹脂原料の熱分解開始温度以上であり、一般的には250℃以上である。不活性雰囲気下の熱処理温度は、膜分離性能に直結するため、最適な温度を選定することができる。しかし、温度が高すぎる場合、熱収縮により炭素膜の膜孔が閉塞してしまうため、上限としては1300℃程度が望ましい。
更に、不活性雰囲気下での熱処理の前に、空気中での熱処理(耐炎化、不融化、熱安定化ともいう)や、樹脂に難燃剤などを付与することも可能である。また、不活性雰囲気下での熱処理の後に、薬品による処理や、熱処理による表面処理を加えてもよい。炭素膜は、炭素、水素、酸素、窒素、硫黄などの元素と、前述の金属成分で構成され、主成分としては炭素であり、その含有率は60%以上である。炭素の含有量の上限としては、特に制限はないが、99.9%程度が事実上の上限である。
熱媒装置4は、第一熱交換器32と第二熱交換器36と熱媒タンク35とを備えている。熱媒タンク35には熱媒が蓄えられており、その一部が、第一熱交換装置32、熱媒タンク35、および第二熱交換器36を循環する。第一熱交換装置32、熱媒タンク35、および第二熱交換器36は、循環ライン37で接続されており、熱媒は循環ライン37を通る。
熱媒は、第一熱交換器32を通過する際、吸脱着処理装置1より脱着された有機溶剤を含む水蒸気から受熱する。このとき水蒸気は熱を奪われ温度が下がり、熱媒は温度が上がる。受熱した熱媒は熱媒タンク35内に導入され、熱媒タンク35内の温度を平準化させる。熱媒タンク35から排出された熱媒は、第二熱交換機36を通過する際、回収液タンク38より送液ポンプ39によって第二熱交換器36に供給された有機溶剤を含む回収液を加熱する。このとき回収液の温度は上がり、熱媒の温度は下がる。温度が下がった熱媒は再び第一熱交換器32にて受熱して温度が上がる。これらを繰り返す。
熱媒タンク35の熱媒容量は、熱媒の循環ライン37及び第一熱交換器32及び第二熱交換器36の容量に対して十分大きくすることが望ましい。こうすることで、熱媒タンク35内で熱媒の温度を平準化することができ、第二熱交換器36にて熱媒によって有機溶剤を含む回収液を加熱する際に、有機溶剤の分解物が生成されるのを抑制することができる。
熱媒装置4に使用される熱媒は、熱による安定性及び比熱容量が高い流体であればどのようなものでもよいが、特に水を使用することが好ましい。
熱媒タンク35内の熱媒温度は、50〜70℃の温度領域で安定させるのが望ましい。熱媒温度が50℃を下回ると、処理槽13から脱着された有機溶剤を含む水蒸気の熱を十分に第二熱交換器36に供給される有機溶剤を含む回収液に伝えることができず、結果として膜分離装置3に設置したヒーター40にて加熱する為のエネルギーが多くなってしまう。また、熱媒温度が80℃を上回ると、第二熱交換器36において有機溶剤を含む回収液の分解を促進させてしまい、結果として膜分離器41の膜性能の低下、及び膜分離により得られる濃縮液の品質を低下させてしまう。
以上のように、有機溶剤回収システム100は、熱媒装置4を備えることで、吸脱着処理装置1から排出される脱着された有機溶剤を含む水蒸気と、膜分離装置3を循環する有機溶剤を含む回収液とを、熱媒を通じて間接的に熱交換させることができる。吸脱着処理装置1より排出される脱着された有機溶剤を含む水蒸気が一時的に高温となった場合においても、膜分離装置3を循環する回収液に直接高温熱源を触れさせることが無いため、回収液の熱による分解物生成を大きく抑制することができ、結果として膜分離装置3の性能を高めることが可能となり、かつ濃縮液の純度を高めることができる。
以下に本実施形態の有機溶剤回収システム100を用いた実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の内容に限定されるものではない。
(実施例)
実施例では、有機溶剤回収システム100を用いて、吸着材13として、活性炭素繊維の不織布を用いた。また、膜分離器41として、中空糸炭素膜を用いた。
被処理ガスとして酢酸エチル3000ppmを含む45℃の混合ガスを、風量4.0Nm/分で原ガス送風機12にて処理槽13に導入し、処理槽13の吸着材14にて10分間吸着処理を行った。次に有機溶剤を吸着した吸着材14に水蒸気を用いて8分間脱着処理を行った。有機溶剤を含んだ脱着ガスは、脱着水蒸気排出口19より脱着水蒸気ライン31を経由して第一熱交換器32へ供給され、熱媒装置4を循環させている温水と熱交換した後に凝縮器33へ供給され液化凝縮され、凝縮液タンク34にて分離水と酢酸エチルを主成分とする回収液とに分液された。
凝縮液タンク34内の酢酸エチルを主成分とする回収液を回収液タンク38に移送し、送液ポンプ39にて第二熱交換器36に供給し、熱媒装置4を循環させている温水により熱交換後、ヒーター40にて70℃まで加温させた後に膜分離器41に導入して膜分離処理を行った。
本実施例においては、凝縮液タンクにて分離された酢酸エチルを主成分とする回収液の酢酸エチル濃度は96.5wt%であり、膜分離器41にて膜分離された濃縮液の酢酸エチル濃度は99.9wt%であり、当該濃縮液の水分濃度は0.1wt%、酢酸濃度は10ppm以下であることが確認された。この結果は、被処理ガスから有機溶剤を回収することで得られる回収液の濃度および収率としては、十分に高濃度で高収率なものであると言える。
(比較例)
比較例では、有機溶剤回収システム100の熱媒装置4の代わりに熱交換器30を用いた、図2に示す有機溶剤回収システム100cを用いた。熱交換器30は、回収液と吸脱着処理装置より排出される脱着ガスの熱と、回収液タンク38より送液ポンプ39によって第二熱交換器36に供給された有機溶剤を含む回収液とを、直接熱交換させる機器である。有機溶剤回収システム100cにおいて熱交換器30以外の構成は有機溶剤回収システム100と同様である。比較例において、吸着材14は、実施例と同じものを用いた。また、膜分離器41には、実施例1と同じ中空糸炭素膜を用いた。
被処理ガスとして酢酸エチル3000ppmを含む45℃の混合ガスを、風量4.0Nm/分で原ガス送風機12にて処理槽13に導入し、処理槽13の吸着材14にて10分間吸着処理を行った。次に有機溶剤を吸着した吸着材14に水蒸気を用いて8分間脱着処理を行った。有機溶剤を含んだ脱着ガスは、脱着水蒸気排出口19より脱着水蒸気ライン31を経由して熱交換器30へ供給され、回収液タンク38より送液ポンプ39にて熱交換器30へ供給される回収液と熱交換した後に凝縮器33へ供給され液化凝縮され、凝縮液タンク34にて分離水と酢酸エチルを主成分とする回収液とに分液された。
凝縮液タンク34内の酢酸エチルを主成分とする回収液を回収液タンク38に移送し、送液ポンプ39にて熱交換器30に供給し、有機溶剤を含んだ脱着ガスと熱交換後、ヒーター40にて70℃まで加温させた後に膜分離器41に導入して膜分離処理を行った。
上記比較例においては、凝縮液タンクにて分離された酢酸エチルを主成分とする回収液の酢酸エチル濃度は96.5wt%であり、膜分離器41にて膜分離された濃縮液の酢酸エチル濃度は99.9wt%であり、当該濃縮液の水分濃度は0.1wt%であることが確認された。この結果は、被処理ガスから有機溶剤を回収することで得られる回収液の濃度および収率としては、十分に高濃度で高収率なものであると言える。
しかしながら比較例においては、膜分離装置3において膜分離処理を行う回収液と吸脱着装置から排出される高温の脱着ガスとを直接熱交換させることにより、膜分離された濃縮液中の酢酸濃度が100ppm以上となっていることが確認された。これは、回収液が高温に晒されることにより酢酸エチルが加水分解され酢酸が発生したことを示している。
以上において説明した結果から、上述した本実施の形態の如くの有機溶剤回収システム100を用いることで、膜分離された溶剤中の酸成分の量を抑制することができ、配管の腐食や濃縮液再利用時の酸成分による不具合を減らすことができる。
なお、上記開示した各実施形態および各実施例はすべて例示であり制限的なものではない。また、各実施形態および各実施例に開示された内容を組み合わせた実施形態および実施例も本発明の範囲に含まれる。本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって有効であり、特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内のすべての変更・修正・置き換え等を含むものである。
1 吸脱着処理装置
2 凝縮分液装置
3 膜分離装置
4 熱媒装置
13 処理槽
31 脱着水蒸気ライン
32 第一熱交換器(蓄熱部)
33 凝縮器
34 凝縮液タンク
35 熱媒タンク(蓄熱部)
36 第二熱交換器(熱付与部)
37 循環ライン
38 回収液タンク
100 有機溶剤回収システム

Claims (7)

  1. 有機溶剤を含有する被処理ガスから当該有機溶剤を回収する有機溶剤回収システムであって、
    吸着材を充填した処理槽を有し、処理槽に導入された前記被処理ガス中の有機溶剤を吸着材に吸着させ、有機溶剤の濃度が下げられた処理ガスを排出する吸着処理と、処理槽に導入された水蒸気にて吸着材から有機溶剤を脱着し、高濃度の有機溶剤を含む脱着ガスを排出する脱着処理と、を交互に繰り返す吸脱着処理装置と、
    前記脱着ガスを冷却凝縮し、有機溶剤を含む回収液と水を主成分とする分離液とに分離する凝縮分液装置と、
    回収液を接触させることで回収液に含有される水または有機溶剤の分解物が混入した水を選択的に透過して分離する分離膜を有し、前記凝縮分液装置から排出された回収液を導入することで、有機溶剤を主成分とする濃縮液と水を主成分とする透過液とに分離する膜分離装置と、
    前記吸脱着装置から排出された前記脱着ガスが前記凝縮分離装置に導入される前に、当該脱着ガスから潜熱を取り出し蓄熱する蓄熱部、および蓄熱部に蓄熱された熱を前記凝縮分液装置より排出された回収液へ与える熱付与部を有する熱媒装置と、
    を備えた有機溶剤回収システム。
  2. 上記吸着材が活性炭素繊維を含む請求項1記載の有機溶剤回収システム。
  3. 上記膜分離装置が浸透気化分離法に基づく装置である請求項1または2に記載の有機溶剤回収システム。
  4. 上記分離膜が炭素膜である請求項1から3のいずれか1項に記載の有機溶剤回収システム。
  5. 上記分離膜が中空糸構造を有している請求項1から4のいずれか1項に記載の有機溶剤回収システム。
  6. 上記被処理ガス中に含まれる有機溶剤が水と反応することで酸を発生する成分を含んでいる請求項1から5のいずれか1項に記載の有機溶剤回収システム。
  7. 上記成分が酢酸エステルまたは塩基性化合物である請求項6に記載の有機溶剤回収システム。
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