JP6093649B2 - 水溶性有機物の濃縮方法及び水溶性有機物の濃縮装置 - Google Patents

水溶性有機物の濃縮方法及び水溶性有機物の濃縮装置 Download PDF

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Description

本発明は、水溶性有機物の濃縮方法及び水溶性有機物の濃縮装置に関する。さらに詳しくは、蒸気透過分離膜による膜分離を利用した水溶性有機物の濃縮方法及び水溶性有機物の濃縮装置に関する。
酢酸のように有機物の沸点が水より高い原料を、分離膜を用いて脱水するプロセスや、蒸留分離と膜分離を組み合わせたプロセス(以下、ハイブリッド(Hybrid)プロセスとする場合がある。)で脱水する技術が知られている。また、蒸気透過分離膜を用いて水溶性有機物の脱水を行う場合は、蒸留塔の塔頂蒸気を蒸気透過分離膜によって処理することが効果的であることが知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
国際公開第2004/073841号
しかしながら、前記したハイブリッドプロセスを含む蒸気透過分離膜による膜分離を利用して、酢酸のように水よりも沸点が高い水溶性有機物を含む原料の脱水を行う場合にあって、原料を蒸気透過分離膜によって脱水した後、多量の水溶性有機物を含む非透過成分の脱水後蒸気について冷却水等で凝縮を行ってしまうと、高い熱効率を得ることができなかった。
本発明は前記のような問題を解決するためになされたものであり、蒸気透過分離膜による膜分離を利用し、高濃度の成分が得られることに加え、熱効率がよく、投入熱量を削減可能な水溶性有機物の濃縮方法及び濃縮装置を提供することを目的とする。
前記の課題を解決するために、本発明に係る水溶性有機物の濃縮方法は、水溶性有機物を濃縮する濃縮方法であって、水より沸点の高い水溶性有機物と水との混合物である原料を蒸留塔で蒸留して塔頂蒸気を得る蒸留工程と、前記蒸留工程で得られた塔頂蒸気を蒸気透過分離膜によって脱水することで脱水後蒸気を得る分離膜脱水工程と、得られた前記脱水後蒸気によって前記蒸留塔に導入される前記原料を加熱することで、前記脱水後蒸気を凝縮して前記水溶性有機物の濃縮物を得る脱水後凝縮工程と、を含むことを特徴とする。
本発明に係る水溶性有機物の濃縮方法は、前記した本発明において、前記水溶性有機物は酢酸であり、前記蒸留塔は常圧蒸留塔であり、前記塔頂蒸気の温度が120〜130℃となるように加熱した後、当該塔頂蒸気を前記蒸気透過分離膜によって脱水することを特徴とする。
本発明に係る水溶性有機物の濃縮方法は、前記した本発明において、前記蒸留塔の塔頂蒸気における前記水溶性有機物の濃度は、10.0〜70.0質量%であることを特徴とする。
本発明に係る水溶性有機物の濃縮方法は、前記した本発明において、前記蒸留塔の塔頂蒸気における前記水溶性有機物の濃度は、10.0〜20.0質量%または50.0〜70.0質量%であることを特徴とする。
本発明に係る水溶性有機物の濃縮方法は、前記した本発明において、前記原料における前記水溶性有機物の濃度は70.0質量%以上であることを特徴とする。
本発明に係る水溶性有機物の濃縮装置は、水溶性有機物を濃縮する濃縮装置であって、水より沸点の高い水溶性有機物と水との混合物である原料を蒸留して塔頂蒸気を得る蒸留塔を備え、前記蒸留塔から出力された塔頂蒸気を脱水する蒸気透過分離膜を有する分離膜脱水部と、前記分離膜脱水部により脱水して得られる脱水後蒸気により前記蒸留塔に導入される原料を加熱することで、前記脱水後蒸気を凝縮して前記水溶性有機物の濃縮物を得る脱水後凝縮部と、を備えたことを特徴とする。
本発明に係る水溶性有機物の濃縮装置は、前記した本発明において、前記水溶性有機物は酢酸であり、前記蒸留塔は常圧蒸留塔であり、前記蒸留塔から出力された前記塔頂蒸気の温度が120〜130℃となるように加熱するための加熱器を備えることを特徴とする。
本発明によれば、蒸気透過分離膜により原料を脱水・濃縮するので、高濃度の水溶性有機物が得られることに加え、蒸気透過分離膜によって分離された成分のうち、蒸気透過分離膜によって脱水された非透過成分(水溶性有機物を主とする成分)の凝縮熱を、原料を加熱する加熱媒体として利用するので、蒸留塔への投入熱量を削減することができ、省エネルギー化を図り、熱効率がよい水溶性有機物の濃縮方法及び濃縮装置を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る水溶性有機物の濃縮装置の一態様を示した概略図である。 本発明の第2実施形態に係る水溶性有機物の濃縮装置の一態様を示した概略図である。 本発明の第3実施形態に係る水溶性有機物の濃縮装置の一態様を示した概略図である。 参考例1を実施するために使用される水溶性有機物の濃縮装置を示した概略図である。 蒸留塔の塔頂蒸気の濃度と、蒸気透過分離膜の膜性能及びリボイラー投入熱量との関係を示した図である。
(A)第1実施形態:
以下、本発明の実施形態の例を図面に基づいて説明する。
(I)水溶性有機物の濃縮装置1の構成:
以下、図1に示す水溶性有機物の濃縮装置1を用いて、本発明に係る水溶性有機物の濃縮方法を説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る水溶性有機物の濃縮装置1の一態様を示した概略図である。図1に示す本実施形態に係る水溶性有機物の濃縮装置1(以下、「濃縮装置1」とする場合がある。)は、蒸留塔2、熱交換器3、加熱器5、蒸気透過分離膜6、を基本構成として備え、蒸留と膜分離により水溶性有機物と水との混合物を含む原料から水溶性有機物を脱水・濃縮するものである。
(a)蒸留工程:
本発明に係る濃縮装置1にあって、蒸留塔2は、熱交換器3から経路(入力部)Aを通過して、濃縮対象となる水溶性有機物と水を含む混合物が原料として入力(導入)される。原料は、水より沸点が高い水溶性有機物と水との混合物を含むものであり、水溶性有機物としては、例えば、酢酸等のカルボン酸等が挙げられる。本発明は、腐食性の高い酢酸のような水溶性有機物に対して対応可能であり、水溶性有機物として酢酸を含む原料から、酢酸を脱水・濃縮する手法に適する。
原料における水溶性有機物の濃度は、特に制限はないが、70.0質量%以上とすることが好ましい。例えば、水溶性有機物として酢酸を考えた場合、例えば、高純度テレフタル酸製造プロセスにおける酢酸の脱水のように、原料中の酢酸濃度が高い(例えば、約78.0質量%等)場合に、蒸留塔2で原料の蒸発に必要な熱量に占める水の蒸発分は小さく、原料中の水の濃度が低い(水溶性有機物の濃度が高い)ほど、本発明の構成で回収できない熱量が減るために、熱効率を高くすることができる。原料における水溶性有機物の濃度は、75.0質量%以上であることが特に好ましい。
蒸留塔2は、経路Aから入力された原料を、水蒸気を主成分として気体状態の水溶性有機物を含む塔頂蒸気と、液体状態の水溶性有機物を主成分として水を含む缶出液とに分離する。蒸留塔2は棚段式等、蒸留操作に適したものであれば特に限定されない。蒸留塔2における塔底の液の一部はリボイラー16によって加熱されて蒸気となり、塔内を流下する液体と熱交換をしながら塔内を上昇する。このため、塔底においては蒸気の成分のほとんどは水溶性有機物であり、塔頂の近くでは水(水蒸気)の濃度が大きくなる。なお、塔底から取り出された缶出液は、水溶性有機物の最終製品に要求されるスペック(要求濃度等)を満たすものとして、経路O(ポンプ19)からの水溶性有機物と共に、回収部21から取り出される。
蒸留塔2は、加圧蒸留塔、常圧蒸留塔等の各種蒸留塔とすることができる。本実施形態における蒸留操作は、原料が酢酸等の腐食性の高い水溶性有機物の場合は常圧蒸留塔を用いて対応することが好ましい。蒸留塔2の段数としては、特に制限はなく、要求される水溶性有機物の濃度等のスペック等により適宜決定することができる。蒸留塔2の塔頂蒸気における水溶性有機物の濃度としては、原料を概ね10.0〜70.0質量%とすることが好ましく、10.0〜20.0質量%もしくは50.0〜70.0質量%とすることが特に好ましい。
蒸留塔2から出力された塔頂蒸気は、経路Bを通過して分岐部4に到達し、経路C側と経路D,E側とに分岐される。本実施形態にあっては、分岐部4から経路C側への塔頂蒸気については蒸気透過分離膜6に送られるが、経路D,E側への塔頂蒸気については蒸留塔2に戻して還流するように構成されている。
分岐部4で分離されて、経路D,Eを通過して蒸留塔2に戻される塔頂蒸気は、冷却器10に導入されて冷却凝縮される。冷却器10によって冷却凝縮された塔頂蒸気は、コンデンサドラム(リフラックスドラムとも呼ばれる。)11を通過し、経路Eを通過して、再び蒸留塔2の塔頂に環流される。
(b)加熱工程:
分岐部4を通過した塔頂蒸気は、経路Cを通過して加熱器5により加熱される。加熱器5は、塔頂蒸気を加熱することにより、塔頂蒸気を高温状態の蒸気として後記する蒸気透過分離膜6に導入するようにする。蒸留塔2の塔頂蒸気は飽和蒸気であり、蒸気透過分離膜6によって脱水されると液が凝縮してくるので、蒸気透過分離膜6の出口で蒸気の状態を保てるように、蒸気透過分離膜6に導入される前で予備加熱をする必要がある。
加熱器5としては、特に制限はなく、公知の加熱器5を使用することができ、例えば、蒸気加熱器(スチーム加熱器)等を使用することができる。加熱された塔頂蒸気の温度(経路Fの蒸気温度)としては、蒸気透過分離膜6の非透過側の蒸気がその露点以上となるような温度範囲で、塔頂蒸気における水溶性有機物の濃度等により適宜決定すればよいが、例えば、酢酸の場合(常圧での沸点:118℃)では、塔頂蒸気が概ね120〜130℃となるように加熱することが好ましい。130℃以下とするのは、詳しくは後述するが、蒸留塔2を含む部材として耐食性の高い高価な材料を用いる必要を回避するためである。
(c)分離膜脱水工程:
加熱工程により加熱された塔頂蒸気は、経路Fを通過して蒸気透過分離膜61に導入される。蒸気透過分離膜61及びその後段の蒸気透過分離膜62は、水蒸気成分である透過成分を透過して取り出し、残りの成分である非透過成分を蒸気の状態(脱水後蒸気)で分離して送り出す。本実施形態では、蒸気透過分離膜61,62をまとめて蒸気透過分離膜6(蒸気透過分離膜については、蒸気透過分離膜装置もしくは蒸気透過分離膜システムと称してもよい。)と称している。また、本発明にあっては、かかる蒸気透過分離膜61,62により、導入される蒸気を脱水するための分離膜脱水部7が構成されている。
分離膜脱水部7を構成する蒸気透過分離膜(蒸気分離膜とも呼ばれる。)6の種類は、水溶性有機物を構成する成分の種類や、導入される留出蒸気の温度、圧力等の諸条件により適宜決定すればよく、例えば、無機系であれば、ゼオライト膜、炭素膜、セラミックス多孔膜等が挙げられる。また、本発明にあっては、水(水蒸気)を選択的に透過し、他の成分との分離を効率よく行うことができる水蒸気透過分離膜を用いることができ、特に、原料が、酢酸等の水溶性有機物と水の2成分系の場合には、水(水蒸気)を透過し、蒸気状態の酢酸等と分離するゼオライト膜等を水蒸気透過分離膜として使用することができる。ゼオライト膜としては、例えば、A型膜、Y型、モルデナイト型、チャバサイト型等のゼオライトを利用した膜が挙げられる。
蒸気透過分離膜6の構成(細孔径、形状、多孔質・非多孔質等)は、特に制限はなく、前記した蒸気透過分離膜6の種類と同様、原料を構成する成分の種類や、導入される水溶性有機物の温度、圧力等の諸条件により適宜決定すればよい。また、蒸気透過分離膜6は、多管式の、いわゆる分離膜モジュールのような形態で用いるようにしてもよい。
図1に示すように、本実施形態に係る濃縮装置1にあっては、分離膜脱水部7として2台の蒸気透過分離膜61,62が配設されている態様を示している。本実施形態にあっては、まず、蒸気透過分離膜61によって脱水された成分(非透過成分:蒸留塔2の塔頂蒸気より水溶性有機物を濃縮した成分)は、蒸気透過分離膜62に導入され、さらに脱水がなされる。蒸気透過分離膜62の非透過成分における水溶性有機物の濃度は、要求スペックにより決定されるが、概ね95.0質量%以上(例えば98.0質量%等)となるように脱水することが好ましい。
また、蒸気透過分離膜61,62の透過側の経路G,Iには冷却器14,15が配設されており、透過した蒸気を冷却凝縮させることにより透過側の圧力を下げることができる。さらに経路G,Iには、この透過側の減圧を維持するための真空ポンプ12,13が配設されている。かかる冷却器14,15により発生した透過側の減圧状態と導入側(蒸気透過分離膜61であれば経路F側、蒸気透過分離膜62であれば経路H側)との圧力差をドライビングフォースとして、蒸気透過分離膜61,62について水蒸気成分を優先的に透過させることができる。真空ポンプ12,13は、冷却用水によって透過する水蒸気を冷却・凝縮する冷却器14,15を介して減圧している。
なお、前記したように、ドライビングフォースを確保するため、透過側の圧力を下げる必要があるが、凝縮温度も下がるため、冷却器14,15の冷媒としてチルド冷却を用いるチルド冷却器を使用するようにしてもよい。
蒸気透過分離膜6の性能としては、導入される塔頂蒸気における水溶性有機物の種類や濃度によって決定することができるが、例えば、蒸気透過分離膜6における水の透過度をK_W、水溶性有機物の透過度をK_A(両透過度とも、例えば×10−6mol/m・Pa・s)、透過度比をK_W/K_Aとすると、例えば、透過度比K_W/K_Aを100〜1000の範囲内から選択する(合わせてこの透過度比を実現可能な分離膜を選択する)ことが好ましい。
この場合、原料を要求スペックまで濃縮するために必要な蒸気透過分離膜6の膜面積は、例えば800〜2500m等となる。
(d)脱水後凝縮工程:
蒸気透過分離膜6によって脱水された非透過成分(水溶性有機物を主とする成分)は、蒸気の状態であり、脱水後蒸気そのままでは回収が困難である。本発明にあって、かかる非透過成分の脱水後蒸気は、経路Jを通過し、原料の熱交換器3に送り出され、原料である水溶性有機物と水との混合物を加熱する加熱媒体として利用される。また、脱水された水溶性有機物の脱水後蒸気は、原料の加熱に際して凝縮熱が利用されることにより凝縮され、液状の凝縮液となることにより、水溶性有機物の要求濃度等のスペックを満たす濃縮物を回収可能となる。以上のようにして脱水後蒸気によって(c)分離膜脱水工程による脱水前の原料を加熱することで、脱水後蒸気を凝縮して水溶性有機物の濃縮物を得るようにしており、本実施形態にあっては、蒸留塔2に入力(導入)される原料を脱水後蒸気によって加熱することで脱水後蒸気を凝縮して水溶性有機物の濃縮物を得るようにしている。なお、熱交換器3は、脱水後蒸気によって分離膜脱水部7による脱水前に原料を加熱するとともに、脱水後蒸気を凝縮して水溶性有機物の濃縮物を得るための脱水後凝縮部3としての役割を果たすことになる。
多量の水溶性有機物を含んだ塔頂蒸気を蒸気透過分離膜6により脱水すると、脱水後の非透過成分は高濃度の水溶性有機物の蒸気となる(脱水後蒸気)。この脱水後蒸気の凝縮温度は高いため、かかる脱水後蒸気を凝縮させる際の凝縮熱を原料の予熱や蒸発のための媒体として利用できることになる。
このように、蒸気透過分離膜6によって脱水された非透過成分の脱水後蒸気を原料の予熱等の加熱媒体として利用するだけでなく、かかる蒸気状態の成分を、原料の予熱等として凝縮熱(熱エネルギー)を放出することにより凝縮して凝縮液とし、水溶性有機物の濃縮物を回収可能とする。このようなプロセスを構築することで、蒸留塔2への投入熱量を大幅に削減でき、省エネルギー化を図り、熱効率のよいプロセスが構築される。
なお、蒸気透過分離膜6によって脱水された非透過成分の脱水後蒸気については、熱交換器3(脱水後凝縮部3)に送られて入力される原料の加熱等に用いられるが、これに加えて、非透過成分の凝縮熱をリボイラー16の加熱に利用するようにしてもよい。
一方、蒸気透過分離膜6の透過側については、透過成分(水を主とする成分)が通過する経路G,Iに透過成分(蒸気)を凝縮するための冷却器14,15及びポンプ17,18が配設されており、かかる冷却器14,15で冷却・凝縮された透過成分の凝縮液(主に水)は、経路K、Lを通過して、出力部20から系外に出力されて回収される。
また、蒸留塔2で分離された、水をほとんど含まない液体状態の水溶性有機物からなる缶出液は、蒸留塔2の塔底に連接された経路M,Nを通過して、原料の加熱(予熱)に利用されて凝縮された後にポンプ19により圧送され経路Oを通過した水溶性有機物と合流して、回収部21から系外に出力され、水溶性有機物の濃縮物が回収される。なお、系外に出される缶出液の一部は、経路Pを通過した後、リボイラー16で熱交換が行われ、経路Qを通過して蒸留塔2に戻される。
以上説明した本発明の第1実施形態によれば、蒸留塔2により出力された塔頂蒸気を加熱した後、蒸気透過分離膜6により原料を脱水・濃縮するので、高濃度の水溶性有機物が得られることに加え、蒸気透過分離膜6によって分離された成分のうち、蒸気透過分離膜6によって脱水された非透過成分(水溶性有機物を主とする成分)の凝縮熱を、原料を加熱する加熱媒体として利用するので、蒸留塔2への投入熱量を削減することができ、省エネルギー化を図り、熱効率のよい水溶性有機物の濃縮方法及び濃縮装置1を提供することができる。
なお、本実施形態は、図1に示す濃縮装置1を用いて実施される、蒸留と膜分離を組み合わせたハイブリッドプロセスである。従来、かかるハイブリッドプロセスを用いて、蒸気透過分離膜6の前段に蒸留塔2を組み合わせた場合に、酢酸等の水より沸点が高い水溶性有機物の脱水・濃縮を行う場合において、蒸留塔2への投入熱量を削減するためには、塔頂蒸気に多量の酢酸をロスさせる必要があった。一方、塔頂蒸気にロスさせた酢酸等の水溶性有機物を液体の製品として回収するためには、塔頂蒸気を蒸気透過分離膜6で脱水後、水溶性有機物を主とする非透過成分の脱水後蒸気の凝縮を冷却水等で実施する必要があったが、かかる冷却水等による凝縮の実施は、高い熱効率を得ることができないという問題があった。
加えて、従来では、脱水後蒸気をコンプレッサーで昇圧、あるいは凝縮後にポンプで昇圧して、蒸留塔2へリサイクルし、蒸留塔2の塔底から水溶性有機物を回収する操作を行うこともあったが、かかる操作では、コンプレッサーに必要な動力や凝縮熱が回収できないため、高い熱効率を得ることができなかった。特に、酢酸のような腐食性がある水溶性有機物の場合、コンプレッサーによる昇圧は、耐食性のある高価な材料を装置の構成材料として必要とされるため、装置コストを増大させてしまうという問題もあった。
これに対して、本実施形態にあっては、前記した従来の問題を解決することができ、酢酸のように水よりも沸点が高い水溶性有機物を含む原料の脱水を行うプロセスを構築する場合に、蒸留塔2の塔頂蒸気を蒸気透過分離膜6で脱水後、脱水後蒸気をコンプレッサーで昇圧することなしに、効率的に蒸気の凝縮熱を回収し、熱効率の高いプロセスを構築することができるものである。
また、水溶性有機物として腐食性の高い酢酸を脱水する場合には、次の2点を考えることができる。1点目は、酢酸蒸気の温度(蒸留塔2の操作温度等)がある温度(130℃程度)を超えると耐食性の高い高価な材料(ハステロイC等)を使用する必要が生じるため、酢酸蒸気の許容温度には上限が存在する点である。2点目は、蒸留塔2では加圧蒸留とした方が常圧蒸留に比して熱効率が高くなり得る点である。しかしながら、熱効率を高めるために加圧蒸留しようとすると、蒸留塔2の操作温度が許容される上限より高くなって耐食性の高い高価な材料を使用する必要が生じてしまう。これに対し、本実施形態で蒸留塔2を常圧蒸留塔とすると共に、蒸留と膜分離とのハイブリッドプロセスを採用することによって、熱効率を高めることができる。即ち、加圧蒸留を避ける(コンプレッサーによる昇圧を避ける)ことができ、耐食性のある高価な材料を必要とせず、熱効率の高いプロセスを構築しつつ、装置コストの増大を防ぐことができる技術を提供することができる。
(B)第2実施形態:
以下、本発明の実施形態の他の例を図面に基づいて説明する。
(I)水溶性有機物の濃縮装置1の構成:
以下、図2に示す水溶性有機物の濃縮装置1を用いて、本発明に係る水溶性有機物の濃縮方法を説明する。
なお、以下の説明においては、前記した第1実施形態と同様の構造及び同一部材には同一符号を付して、その詳細な説明は省略または簡略化する
(a)蒸留工程:
図2は、第2実施形態に係る水溶性有機物の濃縮装置1の一態様を示した概略図である。図2に示した第2実施形態に係る水溶性有機物の濃縮装置1は、原料が入力(導入)される蒸留塔2について、いわゆるストリッパータイプの蒸留塔2(ストリッピング蒸留塔)を用いた態様を示している。このようなストリッパータイプの蒸留塔2としては、例えば、常圧ストリッパー、加圧ストリッパー等を使用することができる。
なお、第1実施形態に係る水溶性有機物の濃縮装置1では、蒸留塔2の塔頂蒸気の一部を蒸留塔2に戻して還流するように構成されていたが、本実施形態に係る水溶性有機物の濃縮装置1にあっては、ストリッパータイプの蒸留塔2であるため、かかる還流もなされていない。
本実施形態に係る濃縮装置1は、蒸留塔2としてストリッパータイプのものを用い、第1実施形態の濃縮装置1において還流操作を除いた構成であり、蒸留塔2における原料の入力(導入)が第1実施形態より高い位置で行われている。このようなストリッパータイプの蒸留塔2にあってはその回収部のみが用いられ、第1実施形態と比較して、蒸留塔2の塔頂蒸気における水溶性有機物の濃度が高いため(即ち、後段の蒸気透過分離膜6による水溶性有機物の濃縮負荷が高いため)、リボイラー16への投入熱量は軽減することができる。
本実施形態の(a)蒸留工程における濃縮装置1のこれ以外の構成や操作等は、第1実施形態の(a)蒸留工程と基本的に共通する。
(b)加熱工程:
塔頂蒸気は、経路Bを通過して加熱器5により加熱される。加熱器5は、塔頂蒸気を加熱することにより、塔頂蒸気を高温状態の蒸気として蒸気透過分離膜6に導入するようにする。前記したように、本実施形態にあっては、ストリッパータイプの蒸留塔2にあってはその回収部のみを用い、水溶性有機物の濃縮は第1実施形態に比してより多く蒸気透過分離膜6を有する分離膜脱水部7によって実施されるものであるため、塔頂蒸気、及び蒸気透過分離膜6に導入される直前の蒸気における水溶性有機物の濃度は、蒸留塔2への導入時の水溶性有機物の濃度を同じにした場合における第1実施形態の場合と比較して高くなる。塔頂蒸気等の水溶性有機物の濃度が高い場合には、加熱器5による加熱にあっては、塔頂蒸気を、前記した第1実施形態の場合と比較して高い温度に加熱することが好ましく、具体的には125〜130℃程度等とすることができる。
本実施形態の(b)加熱工程における濃縮装置1のこれ以外の構成や操作等は、第1実施形態の(b)蒸留工程と基本的に共通する。
(c)分離膜脱水工程:
加熱器5により高温の蒸気とされた原料は、第1実施形態と同様に、経路Fを通過して蒸気透過分離膜61に導入される。蒸気透過分離膜61及びその後段の蒸気透過分離膜62は、水蒸気成分(透過成分)を透過して取り出し、残りの成分(非透過成分)を蒸気の状態で分離して送り出す。第2実施形態における(c)分離膜脱水工程にあっては、前記したように、ストリッパータイプの蒸留塔2を使用しているため、第1実施形態と比較して、リボイラー16への投入熱量は軽減されることができるが、その一方、蒸気透過分離膜6における膜性能(透過度比、膜面積)は高い特性(高い透過度比、大きい膜面積)が求められる。
なお、本実施形態の(c)分離膜脱水工程における濃縮装置1の構成や操作等は、第1実施形態の(c)分離膜脱水工程と基本的に共通する。さらに、本実施形態の(d)の脱水後凝縮工程における濃縮装置1の構成や操作等は、第1実施形態の(d)脱水後凝縮工程と基本的に共通する。
以上説明した本発明の第2実施形態によれば、蒸留と膜分離を組み合わせたハイブリッドプロセスにより、蒸気透過分離膜6によって脱水された非透過成分(水溶性有機物を主とする成分)の凝縮熱を原料を加熱する加熱媒体として利用するので、前記した第1実施形態の奏する効果と同様な効果を享受する。
(C)第3実施形態:
以下、本発明の実施形態のもう1つの例を図面に基づいて説明する。
(I)水溶性有機物の濃縮装置1の構成:
以下、図3に示す水溶性有機物の濃縮装置1を用いて、本発明に係る水溶性有機物の濃縮方法を説明する。
なお、以下の説明においては、前記した第1実施形態及び第2実施形態と同様の構造及び同一部材には同一符号を付して、その詳細な説明は省略または簡略化する。
図3は、第3実施形態に係る水溶性有機物の濃縮装置1の一態様を示した概略図である。図3に示す本実施形態に係る水溶性有機物の濃縮装置1は、熱交換器3、加熱器5、蒸気透過分離膜6、を基本構成として備える。
図1及び図2に示した第1実施形態及び第2実施形態に係る水溶性有機物の濃縮装置1にあっては、原料を蒸留塔2に導入して、蒸留塔2の塔頂から出力される水溶性有機物を含む塔頂蒸気をさらに加熱して高温状態とした蒸気を蒸気透過分離膜6によって脱水するものであった。これに対して、図3に示した本実施形態の濃縮装置1は、蒸留塔2を使用せず、熱交換器3と加熱器5(加熱器51,52)により加熱気化された原料の蒸気を蒸気透過分離膜6に導入して(c)分離膜脱水工程で脱水・濃縮するものであり、(a)蒸留工程が実施されないという点で、第1実施形態等と相違する。
(b)加熱工程:
熱交換器3を介して入力された原料は、経路Aを通過し、加熱器5に導入されて加熱され、高温の蒸気とされる。図3に示すように、本実施形態にあっては、経路Qを介して2台の加熱器51,52が直列に配設されている態様を示している。本実施形態では、原料は、熱交換器3による予熱後に、まず加熱器51に導入されて加熱された後、経路Qを通過して加熱器52に導入されてさらに加熱されることになる。
加熱工程で加熱された蒸気の温度としては、蒸気透過分離膜6の非透過側の蒸気がその露点以上となるような温度範囲で、蒸気における水溶性有機物の濃度等により適宜決定すればよい。
なお、本実施形態にあっては、蒸留塔2を用いずに熱交換器3と加熱器51,52による加熱のみで原料を高温の蒸気とし、原料の濃度をほぼ維持した状態で蒸気とされるため、蒸気透過分離膜6を有する分離膜脱水部7に導入される直前の蒸気における水溶性有機物の濃度は、原料の水溶性有機物の濃度が比較的高い場合は第1実施形態及び第2実施形態と比較して高くなる場合がある。水溶性有機物の濃度が高い場合には、加熱器51、52による加熱にあっては、原料を、前記した第1実施形態や第2実施形態の場合と比較して高い温度に加熱することが好ましい。例えば、酢酸の場合(常圧での沸点:118℃)では、加熱器52を通過後の温度が128〜130℃程度としておけばよい。
(c)分離膜脱水工程:
加熱器5により高温の蒸気とされた原料は、第1実施形態等と同様に、経路Fを通過して蒸気透過分離膜61に導入される。蒸気透過分離膜61及びその後段の蒸気透過分離膜62は、水蒸気成分(透過成分)を透過して取り出し、残りの成分(非透過成分)を蒸気の状態で分離して送り出す。第3実施形態における分離膜脱水工程にあっては、前記したように、蒸留塔2による(a)蒸留工程が実施されないため、リボイラー16への投入熱量は発生せず、投入熱量をなくすことができる。その一方、水溶性有機物の要求スペック(要求濃度)を満たすためには、蒸気透過分離膜6における膜性能(透過度比、膜面積)は、第1実施形態及び第2実施形態より高い特性(高い透過度比、大きい膜面積)が求められる場合がある。
本実施形態における分離膜脱水工程について、これ以降の操作や必要とされる濃縮装置1の構成等は、第1実施形態と基本的に共通する。また、本実施形態の(d)脱水後凝縮工程における濃縮装置1の構成や操作等は、第1実施形態の(d)脱水後凝縮工程と基本的に共通する。
以上説明した本発明の第3実施形態によれば、蒸気透過分離膜6により原料を脱水・濃縮するので、高濃度の水溶性有機物が得られることに加え、蒸気透過分離膜6によって分離された成分のうち、蒸気透過分離膜6によって脱水された非透過成分(水溶性有機物を主とする成分)の凝縮熱を、原料を加熱する加熱媒体として利用するので、蒸留塔2への投入熱量を削減することができ、省エネルギー化を図り、熱効率のよい水溶性有機物の濃縮方法及び濃縮装置1を提供することができる。
なお、以上説明した態様は、本発明の一態様を示したものであって、本発明は、前記し
た実施形態に限定されるものではなく、本発明の構成を備え、目的及び効果を達成できる
範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。ま
た、本発明を実施する際における具体的な構造及び形状等は、本発明の目的及び効果を達
成できる範囲内において、他の構造や形状等としても問題はない。本発明は前記した各実
施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形や改良は、本
発明に含まれるものである。
例えば、前記した実施形態では、図1ないし図3に示すように、蒸気透過分離膜6が2台配設された態様を示したが、蒸気透過分離膜6の台数は2台に限定されない。また、前記した実施形態では、加熱器5,51,52について、第1実施形態及び第2実施形態にあっては1台、第3実施形態にあっては2台の加熱器51,52を直列に配設した態様を示したが、加熱器5、51,52の台数や配置は任意であり、これらの台数や配置に限定されない。かかる蒸気透過分離膜6や加熱器5の台数等は、例えば、水溶性有機物に対して要求される濃度スペック等に応じて適宜決定するようにすればよい。
その他、本発明の実施の際の具体的な構造及び形状等は、本発明の目的を達成できる範
囲で他の構造等としてもよい。
以下、実施例等に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例等に何ら限定されるものではない。
[実施例1、実施例2並びに参考例3及び参考例1]
水より沸点の高い水溶性有機物を酢酸とし、酢酸と水との混合物を原料として、図1(実施例1)、図2(実施例2)及び図3(参考例3)に示した濃縮装置1、並びに参考として図4(参考例1)に示した濃縮装置100を用いて、入力時における原料全体に対する酢酸の濃度を78.3質量%、水の含有量を21.7質量%とし、回収時の酢酸の濃度が98.0質量%となるように、実施例1及び実施例2については、前記した(a)蒸留工程、(b)加熱工程、(c)分離膜脱水工程及び(d)脱水後凝縮工程に、参考例3については前記した(b)加熱工程、(c)分離膜脱水工程及び(d)脱水後凝縮工程に従い、濃縮操作を行った場合における、必要な投入熱量、蒸気透過分離膜6における必要な透過度比及び膜面積(蒸気透過分離膜が存在しない参考例1を除く)を、シミュレーション解析を行い算出し、指標となる参考例1の結果と、実施例1、実施例2及び参考例3の結果を比較した。
なお、入力される原料について、酢酸の流量は90057kg/h(濃度:78.3質量%)、水の流量は24908kg/h(濃度:21.7質量%)とし、入力時の温度は50℃と設定した。また、回収部(実施例1、実施例2及び参考例3では回収部21、参考例1では回収部91)における酢酸の流量を89824kg/h(濃度:98.0質量%)、水の流量を1833kg/h、出力部(実施例1、実施例2及び参考例3では出力部20、参考例1では出力部90)における酢酸の流量を233kg/h(1.0質量%)、水の流量を23075kg/h、とそれぞれ設定した。
また、指標となる図4に示した水溶性有機物の濃縮装置100は、1台の蒸留塔81(常圧蒸留塔)と、リボイラー82、冷却器83からなる、蒸気透過分離膜6を有しない装置である。酢酸と水の混合物からなる原料は、リボイラー82により加熱された蒸留塔81に導入され、水を主とする塔頂蒸気が、冷却器83で冷却・凝縮された後に出力部90で回収され、また、酢酸を主とする缶出液を回収部91から回収するものである。
ここで、必要な投入熱量として、実施例1及び実施例2では、蒸留塔2の塔底のリボイラー16及び加熱器5に必要な投入熱量を、参考例3では、加熱器51,52に必要な投入熱量を、参考例1では、蒸留塔81の塔底のリボイラー82に必要な投入熱量を、それぞれ算出し、比較した。
実施例1、実施例2並びに参考例3及び参考例1における蒸留塔2,81、蒸気透過分離膜6の基本的な条件は下記のとおりであり、蒸留塔2、81は実施例1(図1)、実施例2(図2)、比較例1(図4)のいずれもSUS304製の蒸留塔である。基本的な装置の仕様を下記に示すとともに、基本的な条件を表1に載せた。なお、冷却器14は冷水での冷却、冷却器15はチルド冷却で冷却を行った。また、得られた結果を表2にそれぞれ示す。
(基本的な装置の仕様)
蒸留塔2(実施例1)、蒸留塔81(参考例1)(ともに常圧蒸留塔)
蒸留塔2(実施例2)(ストリッパータイプ)
蒸気透過膜6(実施例1,実施例2):ゼオライト膜
加熱器5,51,52:スチーム加熱器
(基本的な条件)
Figure 0006093649
(結果)
Figure 0006093649
表2に示すように、酢酸濃度が98.0質量%となるように濃縮するにあたり、蒸気透過分離膜6を有さない参考例1に示した濃縮装置100による濃縮操作と比較して、実施例1、実施例2及び参考例3に示した濃縮装置1による濃縮操作では、参考例1の総投入熱量を1.0とすると、順に、0.69、0.29、0.26となり、総投入熱量を大幅に抑えることが可能であることが確認できた。
実施例1、実施例2及び参考例3を比較すると、参考例3がもっとも総投入熱量を抑えることができ、次いで実施例2、実施例1の順であったが、蒸気透過分離膜6の膜性能(必要な透過度比や膜面積)は逆に、実施例1がもっとも透過度比や膜面積を抑えることができ、次いで実施例2、参考例3であり、参考例3で用いる蒸気透過分離膜6がもっとも高い透過度比、大きい膜面積を必要とすることが確認できた。
また、図5は、図1の濃縮装置1について、実施例1の濃縮操作の場合におけるシミュレーション解析により、蒸留塔2の塔頂蒸気の濃度と、蒸気透過分離膜6の膜性能及びリボイラー16の投入熱量(リボイラー投入熱量)との関係を解析した結果である。なお、蒸気透過分離膜6の膜性能は、蒸気透過分離膜6における透過側の酢酸濃度を1.0質量%、非透過側の酢酸濃度を98.0質量%とするための透過度比及び膜面積を示している。
図5に示すように、蒸留塔2の塔頂蒸気の濃度が高くなるに従って、リボイラー投入熱量は小さく抑えることができるが、蒸気透過分離膜6の膜性能(透過度比及び膜面積)は高いものを求められることが確認できた。また、図5によれば、蒸留塔2の塔頂蒸気の濃度を所定の値とすれば(例えば20.0質量%)、リボイラー投入熱量及び蒸気透過分離膜6の膜性能が求められる。
また、表1、表2及び図5からは、蒸留塔2の塔頂蒸気の酢酸濃度(塔頂酢酸濃度)を10.0〜70.0質量%にすることが好ましいことが分かる。特に、塔頂酢酸濃度を10.0〜20.0質量%とすることで、塔頂酢酸濃度が10.0質量%未満の場合に比してリボイラー投入熱量を大幅に低減することができると共に、塔頂酢酸濃度が20.0質量%より高い場合に比して膜面積を大幅に低減することができる。また、塔頂酢酸濃度を50.0質量%以上とすることで、塔頂酢酸濃度が50.0質量%未満の場合に比してリボイラー投入熱量を大幅に低減することができ、さらに塔頂酢酸濃度を70.0質量%以下(例えば、表1に示す実施例2の67.0質量%等)とすることで、膜面積が過大になるのを抑制しつつ実現性が高い透過度比を有する蒸気透過分離膜6(例えば、モルデナイト膜等)を選択することができる。
本発明は、例えば、酢酸等の水より沸点が高い水溶性有機物と水との混合物から高純度の水溶性有機物を濃縮するための手段として有利に利用することができ、産業上の利用可能性は極めて高い。
1 …… 水溶性有機物の濃縮装置
2 …… 蒸留塔
3 …… 熱交換器(脱水後凝縮部)
4 …… 分岐部
5 …… 加熱器
51,52 …… 加熱器
6 …… 蒸気透過分離膜
61,62 …… 蒸気透過分離膜
7 …… 分離膜脱水部
10 …… 冷却器
11 …… コンデンサドラム
12、13 …… 真空ポンプ
14,15 …… 冷却器
16 …… リボイラー
17〜19 …… ポンプ
20 …… 出力部
21 …… 回収部
A〜Q …… 経路

Claims (7)

  1. 水溶性有機物を濃縮する濃縮方法であって、
    水より沸点の高い水溶性有機物と水との混合物である原料を蒸留塔で蒸留して塔頂蒸気を得る蒸留工程と、
    前記蒸留工程で得られた塔頂蒸気を蒸気透過分離膜によって脱水することで脱水後蒸気を得る分離膜脱水工程と、
    得られた前記脱水後蒸気によって前記蒸留塔に導入される前記原料を加熱することで、前記脱水後蒸気を凝縮して前記水溶性有機物の濃縮物を得る脱水後凝縮工程と、
    を含むことを特徴とする水溶性有機物の濃縮方法。
  2. 前記水溶性有機物は酢酸であり、
    前記蒸留塔は常圧蒸留塔であり、
    前記塔頂蒸気の温度が120〜130℃となるように加熱した後、当該塔頂蒸気を前記蒸気透過分離膜によって脱水することを特徴とする請求項に記載の水溶性有機物の濃縮方法。
  3. 前記蒸留塔の塔頂蒸気における前記水溶性有機物の濃度は、10.0〜70.0質量%であることを特徴とする請求項または請求項に記載の水溶性有機物の濃縮方法。
  4. 前記蒸留塔の塔頂蒸気における前記水溶性有機物の濃度は、10.0〜20.0質量%または50.0〜70.0質量%であることを特徴とする請求項記載の水溶性有機物の
    濃縮方法。
  5. 前記原料における前記水溶性有機物の濃度は70.0質量%以上であることを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれかに記載の水溶性有機物の濃縮方法。
  6. 水溶性有機物を濃縮する濃縮装置であって、
    水より沸点の高い水溶性有機物と水との混合物である原料を蒸留して塔頂蒸気を得る蒸留塔を備え、
    前記蒸留塔から出力された塔頂蒸気を脱水する蒸気透過分離膜を有する分離膜脱水部と、
    前記分離膜脱水部により脱水して得られる脱水後蒸気により前記蒸留塔に導入される原料を加熱することで、前記脱水後蒸気を凝縮して前記水溶性有機物の濃縮物を得る脱水後凝縮部と、
    を備えたことを特徴とする水溶性有機物の濃縮装置。
  7. 前記水溶性有機物は酢酸であり、
    前記蒸留塔は常圧蒸留塔であり、
    前記蒸留塔から出力された前記塔頂蒸気の温度が120〜130℃となるように加熱するための加熱器を備えることを特徴とする請求項6に記載の水溶性有機物の濃縮装置。
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