JP4949455B2 - 周期構造体 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、電波の反射を抑制する周期構造体に関する。
近年、RFID(Radio Frequency IDentification)タグを物体に取付け、この物体の所在を管理する物品管理システムが導入されている。例えば、書類にRFIDタグを取付けるとともに、固有のIDをこの書類と関連付けして登録した後にこの書類を書類棚に収容する。利用者は、書庫から所定の書類を探す際には、書類棚に設置されたRFID読取装置あるいはハンディ型読取装置を用いて書類と関連付けられたIDをもつRFIDタグの位置を探すことで、書類の検索時間を短くすることができる。この結果、棚卸作業を短縮することもできる。
この物品管理システムを導入する場合、既存の書類棚をそのまま用いることが望まれる。しかしながら、既存の書類棚が金属製のフレームを有する構造である場合、読取装置から出力された通信電波と書類棚で反射した電波が干渉することによって定在波が発生する。
書類に添付されるRFIDタグの位置が上記定在波の節となる位置に一致すると、読取装置からの信号の強度が極端に小さくなり、それゆえ、RFIDタグが読取装置からの信号を読み取れなくなることが生じる。
定在波に起因するRFIDタグを読み取りにくくなるという問題の解消策として、電磁波吸収体を書類棚の内面に貼るという手段がある。電磁波吸収体は、電磁波エネルギを熱に交換する機能を有する損失材料を用いるとともに、この損失材料の材質や厚みを所望の周波数に合わせて設計する。
また、1/4波長型電磁波吸収体がある。1/4波長型電磁波吸収体は、反射面から反射波の1/4波長の位置に抵抗皮膜が設けられる。しかしながら、1/4波長型電磁波吸収体は、所望する周波数の1/4波長の厚みを必要とする。例えば、RFIDの使用周波数帯の1つのUHF帯の場合、空気中での波長の1/4の長さは、約8cmである。
1/4波長型電磁波吸収体では、抵抗皮膜と反射面との間にパッチ素子を配置し、薄型化した構造が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、電磁波吸収体は、電磁波エネルギを熱に変換するための損失材料や抵抗皮膜を必要とする。損失材料としては、磁性体粉末を樹脂に混合した透磁損失を有する材料や、導電性物質を絶縁体に分散して誘電損失を持たせた材料がある。これらの材料を用いる場合、所望の周波数の電磁波の吸収特性を得るためには設計および製造コストが増加する傾向にある。
この結果、上記電磁波吸収体を用いるシステムの導入のコストが増加する傾向にある。このため、反射波による電波干渉を抑制し通信環境を改善することが難しくなる。
本発明は、反射波による電波干渉を抑制し、通信環境を改善できる構造を提供することを目的とする。
2種類以上のLC共振回路であって、これら2種類以上のLC共振回路は特定の周波数をもつ入射波に対し、反射波位相が前記LC共振回路の各種類で異なる2種類以上の共振回路と、複数の導体パッチを具備し、これら導体パッチが互いに隣り合うどうし間にギャップを有して配列されるパッチ層と、前記パッチ層に対して離間して配置されるグランド層と、前記パッチ層と前記グランド層との間に設けられる絶縁層と、前記導体パッチの輪郭部と前記グランド層とを電気的に接続する接続導体とを備える。各LC共振回路は、互いに隣り合う前記導体パッチ間の前記ギャップと、当該ギャップを規定する互いに隣り合う前記導体パッチと前記グランド層とこれら導体パッチとグランド層とを電気的に接続する前記接続導体とによって形成される電流経路とを備える。前記LC共振回路に損失材料で形成される絶縁層がさらに積層される。LC共振回路は、異なる種類が交互に並んで配置される。
本発明は、反射波による電波干渉を抑制し、通信環境を改善できる。
本発明の第1の実施形態にかかる周期構造体が設けられる書類棚を示す斜視図。 図1に示された周期構造体が一部切り欠かれた状態を示す斜視図。 図2に示すF3−F3線に沿って周期構造体が断面された状態を示す断面図。 本発明の第2の実施形態にかかる周期構造体が一部切り欠かれた状態を示す斜視図。 本発明の第3の実施形態にかかる周期構造体の一部を示す平面図。 図5に示した周期構造体の表面から1mm上方の電界のx軸成分のシミュレーションの結果を示すグラフ。 図5に示した周期構造体の表面から上方に157mm離れた位置の反射波電力減衰率の周波数特性のシミュレーションの結果を示すグラフ。 本発明の第4の実施形態にかかる周期構造体の一部を示す平面図。 図8に示した周期構造体の表面から上方に157mm離れた位置での反射電力減衰率の周波数特性のシミュレーションの結果を示すグラフ。 本発明の第5の実施形態にかかる周期構造体が一部切り欠かれた状態を示す斜視図。 図10に示されるF11−F11線にそって示す周期構造体の断面図。 図10に示された周期構造体の、ある瞬間の電荷分布と電気力線(電界)を示した模式図。 本発明の第6の実施形態にかかる周期構造体が一部切り欠かれた状態を示す斜視図。 本発明の第7の実施形態にかかる周期構造体が一部切り欠かれた状態を示す斜視図。 本発明の第8の実施形態にかかる周期構造体の一部を示す平面図。 図15に示された周期構造体の第2のパッチ層の一部を示す、周期構造体の断面図。 図15に示された周期構造体の表面から1mm上方の位置での電界のx軸成分のシミュレーション結果を示すグラフ。 図15に示された周期構造体の表面から上方に157mm離れた位置での反射出力減衰率の周波数特性のシミュレーションの結果。 本発明の第9の実施形態にかかる周期構造体の表面の一部を示す平面図。 図19に示された周期構造体の第2のパッチ層の一部を示す、周期構造体の断面図。 図19に示された周期構造体の表面から上方に157mm離れた位置での反射電力減衰率の周波数特性のシミュレーションの結果を示すグラフ。 本発明の第10の実施形態にかかる周期構造体の表面の一部を示す平面図。 図22に示された周期構造体の第2のパッチ層の一部を示す、周期構造体の断面図。 図22に示された周期構造体の表面から上方に157mmの位置での反射電力減衰率の周波数特性のシミュレーションの結果を示すグラフ。 本発明の第11の実施形態にかかる周期構造体の表面の一部を示す平面図。 図25に示された周期構造体の第2のパッチ層の一部を示す、周期構造体の断面図。 図25に示された周期構造体の表面から上方に157mm離れた位置での反射電力減衰率の周波数特性のシミュレーションの結果を示すグラフ。 本発明の第12の実施形態にかかる周期構造体の表面の一部を示す平面図。 図28に示された周期構造体の第2のパッチ層を示す、周期構造体の断面図。 図28に示された周期構造体の表面から上方に157mmの位置での反射電力減衰率の周波数特性をシミュレーションの結果を示すグラフ。 本発明の第13の実施形態にかかる周期構造体の表面から上方に157mmの位置での反射電力減衰率の周波数特性をシミュレーションの結果を示すグラフ。 本発明の第14の実施形態にかかる周期構造体の表面の一部を示す平面図。 本発明の第15の実施形態にかかる周期構造体の表面の一部を示す平面図。 本発明の第16の実施形態にかかる周期構造体の表面の一部を示す平面図。 図34に示された周期構造体の表面から上方に157mmの位置での反射電力減衰率の周波数特性のシミュレーションの結果を示すグラフ。 本発明の第17の実施形態にかかる周期構造体を積層方向に断面した状態を示す周期構造体の断面図。 本発明の第18の実施形態にかかる周期構造体のLC共振回路が形成される様子を示す概略図。 本発明の第18の実施形態にかかる周期構造体を一部切り欠いて示す斜視図。 図38に示された周期構造体の周期構造体との距離に対するRFIDタグの読取距離を計測する実験の結果を示すグラフ。 図39の実験の条件を示す概略図。 図40に示される実験に用いられるEBGを示す斜視図。 図41に示されるF42−F42線に沿って示すEBGの断面図。 本発明の第19の実施形態にかかる周期構造体を積層方向に断面した状態を示す、周期構造体の断面図。 本発明の第20の実施形態にかかる周期構造体を積層方向に断面した状態を示す、周期構造体の断面図。 図44中のF45−F45線に沿って示す周期構造体の断面図。 図44に示される周期構造体の表面11から157mm上方の位置での反射電力減衰率の周波数特性をシミュレーションの結果を示すグラフ。 図34に示された周期構造体の表面から1mm上方の位置での電界のx軸成分のシミュレーション結果を示すグラフ。
本発明の第1の実施形態にかかる周期構造体を、図1〜3を用いて説明する。図1は、本実施形態の周期構造体10が設けられる書類棚20を示す斜視図である。書類棚は書庫21内に例えば複数設置されており、書類棚20は、これら複数の書類棚のうちの1つである。
図1に示すように、書類棚20には、複数の書類22が保管されている。図中拡大して示すように、各書類22には、RFID(Radio Frequency IDentification)タグ23が設けられている。
周期構造体10が設けられる書類棚20は、これら書類22の所在を管理する物品管理システムに用いられている。各書類22は、RFIDタグ23が取付けられるとともに、固有のIDをこの書類22と関連付けして登録された後、書類棚20に収容される。書類の利用者は、所定の書類を探す際には、RFID読取装置(図44に示す)あるいはハンディ型読取装置(図示せず)を用いて書類と関連付けられたIDをもつRFIDタグの位置を探す。
具体的には、RFID読取装置またはハンディ型読取装置を操作することによって、図中に示すワンド型アンテナ30から特定の周波数の電磁波が出力される。本実施形態では、一例としてUHF帯の953MHzが用いられている。953MHzは、本発明で言う特定の周波数の一例である。RFIDタグは、この電磁波を受信するとともにこのRFIDタグの固有ID信号を出力する。読取装置は、固有ID信号を受信する。このことで、書類の検索時間を短くすることができる。
書類棚20は、金属製のフレーム24を備える構造であって、例えば第1〜3の収容スペース25,26,27を備える。第1〜3の収容スペース25〜27は、上下方向に並んで配置されている。
周期構造体10は、第1〜3の収容スペース25〜27の内面25a,26a,27aに貼り付けられて固定されている。周期構造体10は、当該周期構造体10が貼り付けられる内面25a〜27aの大きさに略合わせた大きさを有している。このため、内面25a〜27aの略全域は、周期構造体10によって覆われている。なお、各内面25a〜27aの略全域ではなく、各内面25a〜27aの全域が周期構造体10によって覆われてもよい。
周期構造体10は、ワンド型アンテナ30から出力された電磁波が第1〜3の収容スペース25〜27の内面25a〜27aからの反射波と干渉して定常波となることを抑制する機能を有する。
周期構造体10について説明する。なお、第1〜3の収容スペース25〜27の内面25a〜27aに貼り付けられる周期構造体10は、各々の大きさは異なるが、構造は同じである。
図2は、周期構造体10の一部を切り欠いて示す斜視図である。図2に示すように、周期構造体10は、複数の導体パッチ41を備えるパッチ層40と、グランド層50と、絶縁層60と、接続導体とを備えている。グランド層50が内面25a〜27aに面するように配置される。
図3は、図2に示すF3−F3線に沿って示す周期構造体10の断面図である。パッチ層40は、金属製の平板状の導体パッチ41を複数備えている。図2,3に示すように、各導体パッチ41は、各々同じ構造(形状)である。図2に示すように、導体パッチ41の平面形状は、四角であり、4つの角度が90度である。
導体パッチ41は、互いに隣り合うどうし離間して配置されている。各導体パッチ41は、互いに対向する辺が平行になるように配置されている。このため、各導体パッチ41は、一方向と、当該一方向に直交する方向とに並んでいる。なお、本実施形態では、便宜上、一方向をx軸xにそう方向、言い換えるとx軸xに平行な方向(以下、x軸x方向)とし、他方向をy軸yにそう方向、言い換えるとy軸yに平行な方向(以下、y軸y方向)とする。導体パッチ41において外部に露出する表面42は、全て面一である。
言い換えると、導体パッチ41は、導体パッチ41の互いに対向する一対の辺部(縁部)がx軸x方向に平行になるように、かつ、上記一対の辺部とは異なる互いに対向する一対の辺部がy軸y方向に平行になるように配置されている。そして、x軸x方向に並ぶ一列上の導体パッチ41の周縁においてx軸x方向にそう辺は、互いに同一直線(x軸xに平行)上に配置される。同様に、y軸yに並ぶ1列上の導体パッチ41の周縁においてy軸y方向にそう辺は、互いに同一直線(y軸yに平行)上に配置される。導体パッチ41は、x,y軸x,y方向に隣り合う別の導体パッチ41と接触しないように離間して配置されている。
なお、図2では一部の導体パッチ41を示しており、x,y軸x,y方向に並ぶ他の導体パッチ41は、2点鎖線で省略されて示されている。
グランド層50は、グランドプレート51で構成されている。グランドプレート51は、金属製の平板状の1つの部材である。グランドプレート51によって構成されるグランド層50は、パッチ層40と対向するように、かつ、パッチ層40から離間して配置されている(各導体パッチ41は、直接はグランドプレート51に接触しない)。
絶縁層60は、誘電体から構成されている。絶縁層60は、グランド層50に積層されており、絶縁層60にパッチ層40が積層されている。絶縁層60の一端がパッチ層40に接し、他端がグランド層50に接している。なお、本実施形態では、周期構造体10は、一例として、両面に銅箔層が形成される基板から形成される。パッチ層40は、絶縁層60の一方の表面に設けられる銅箔層から導体パッチ41以外の部分を取り除くことによって形成されている。他方の銅箔層は、グランド層50になる。このため、絶縁層60の表面61とパッチ層40の表面42とは面一ではない。
接続導体は、本実施形態では、板状接続導体70が用いられている。板状接続導体70は、1つの導体パッチ41に1つ設けられており、導体パッチ41とグランドプレート51とに電気的に接続されており、パッチ層40とグランド層50とを電気的に接続している。板状接続導体70は、厚みが一定の平板形状であって、導体パッチ41のy軸y方向の一端から他端までy軸yに平行に延びている。また、板状接続導体70は、グランドプレート51上においても、パッチ層40と絶縁層60との積層方向に導体パッチ41のy軸y方向の一端から他端までの範囲でグランド層50に接続されている。
このため、板状接続導体70は、導体パッチ41の輪郭部43に電気的に接続されており、それゆえ、導体パッチ41の輪郭部43とグランドプレート51とが電気的に接続される。なお、輪郭部43は、導体パッチ41の輪郭(周縁部)であり、図中、一例として1つの導体パッチ41中に2点鎖線で輪郭部43を示している。
周期構造体10は、x軸x方向に互いに隣り合う導体パッチ41間に、コンデンサとして機能するギャップ80が規定される。具体的には、導体パッチ41において互いに対向する辺部(輪郭部43)が、コンデンサとして機能する。各ギャップ80の間隔は、本実施形態では、同じである。また、ギャップ80の間隔は、y軸方向に一定である。y軸y方向に隣り合う導体パッチ41間のギャップ81の間隔は、全て同じであるとともに、当該ギャップ81の延びる方向(x軸x方向)に一定である。
なお、ギャップ80がコンデンサとして機能することは、周期構造体10に入射される電磁波がx軸x方向の偏波成分を持つことを前提とする。
また、1つのギャップ80を規定する2つの導体パッチ41は、板状接続導体70とグランドプレート51とによって、互いに電気的に直流的に接続される。図3に示すように、上記関係の一対の導体パッチ41を互いに電気的に直流的に接続する電流経路800(導体パッチ41、板状接続導体70、グランドプレート51)は、コイルとして機能する。このため、x軸x方向に互いに隣り合う導体パッチ41によって、LC共振回路が構成される。周期構造体10は、LC共振回路が複数集まった構造体である。
周期構造体10は、表面11(本実施形態では、パッチ層40の表面42)に入射する電磁波を反射する際に、第1の反射波R1と第2の反射波R2とを反射できるように構成されている。第1,2の反射波R1,R2は、互いに同じ周波数であるとともに、位相差が180度である。本実施形態では、第1の反射波R1は、一例として、入射波に対して位相が90度ずれている。第2の反射波R2は、入射波に対して位相が270度ずれている。
図2に示すように、本実施形態では、各導体パッチ41の形状は互いに同じである。x軸x方向に隣り合う導体パッチ41の間に規定されるギャップ80の間隔は、各ギャップ80で同じであり、かつy軸y方向に一定である。
板状接続導体70は、導体パッチ41内において、y軸y方向に平行に延びて両端を結んでいる。板状接続導体70は、x軸x方向においては、一方の端から板状接続導体70のx軸x方向の中心までの距離が第1の距離a1であり、かつ、他方の端から板状接続導体70のx軸x方向の中心までの距離が第2の距離a2となるように配置されている。第1の距離a1と第2の距離a2とは異なる。第1の距離a1を規定する一方の端を第1の端44とし、第2の距離a2を規定する他方の端を第2の端45とする。導体パッチ41は、x軸x方向に第1の端44と第2の端45とが向かい合うように配置されている。
このため、コイルとして機能する電流経路800の距離が互いに異なるLC共振回路が、x軸x方向に交互に配置される。言い換えると、第1の端44どうしが互いに向かい合うように設定されるLC共振回路と、第2の端45どうしが互いに隣り合うように設定されるLC共振回路とが、x軸x方向に交互に入れ替わる。
ここで、第1の端44どうしが互いに対向するように配置されて構成されるLC共振回路を第1のLC共振回路90とし、第2の端45どうしが互いに対向するように配置されて構成されるLC共振回路を第2のLC共振回路91とする。第1のLC共振回路90は、第1の反射波R1を反射するように設定される。第2のLC共振回路91は、第2の反射波R2を反射するように設定される。第1,2のLC共振回路90,91は、入射波に対する反射波の位相が互いに異なるLC共振回路である。
導体パッチ41の大きさ、ギャップ80の間隔、第1の距離a1、第2の距離a2など第1,2のLC共振回路90,91を構成する要素の形状、寸法は、第1のLC共振回路90が第1の反射波R1を反射し、第2のLC共振回路91が第2の反射波R2を反射するように設定されている。
第1,2のLC共振回路90,91は、x,y軸x,y方向に交互に配置される。図2中、周期構造体10の単位素子12を2点差線で示すF2の範囲内に示す。本実施形態では、単位素子12は、x軸方向に隣り合う一対の第1,2のLC共振回路90,91と、これらとy軸方向に隣り合う第1,2のLC共振回路90,91であり、合計2種類4つのLC共振回路を備えている。
つぎに、周期構造体10の動作を説明する。図1に示すように、作業者が目的の書類22を探すために読取装置(図示せず)を動作すると、ワンド型アンテナ30より電磁波が出力される。ワンド型アンテナ30から出力された電磁波は、書類22に設けられるRFIDタグ23に直接到達する部分と、書類棚20の内面25a〜27aに向かう部分がある。内面25a〜27aの略全域には周期構造体10が貼り付けられている。内面25a〜27aに向かって進む電磁波は、周期構造体10に到達する。
図3は、周期構造体10の表面11に電磁波が入射している状態を示している。図3に示すように、入射波Iは、各ギャップ80内に入射し、反射される。このとき、第1のLC共振回路90を構成するギャップ80内に入射した入射波Iに対しては、第1の反射波R1が反射される。第2のLC共振回路91を構成するギャップ80内に入射した入射波Iに対しては第2の反射波R2が反射される。
この点を具体的に説明する。本実施形態の周期構造体10に対して板状接続導体70を備えない点以外の構造が略同様の周期構造体では、各ギャップから入射した入射波は、パッチ層とグランド層との間を移動し、入射したギャップとは別のギャップからも反射する。
言い換えると、特定のギャップから反射される反射波は、他のギャップに入射した入射波が影響する。このため、他のギャップへの入射波の影響により、入射波に対する反射波の位相のずれを制御することが難しくなる。
しかしながら、周期構造体10は、板状接続導体70を備える。板状接続導体70は、他のギャップ80に入射した入射波Iの影響を遮る壁として機能する。このため、1つのギャップ80から反射される反射波R1,R2は、当該ギャップ80に入射した入射波Iからのみ構成されるようになる。
このため、入射波Iに対する反射波の位相のずれを、個々のLC共振回路で制御することができる。本実施形態では、第1,2のLC共振回路90,91を第1,2の反射波R1,R2を反射することができるように設計している。
周期構造体10は、第1,2のLC共振回路90,91がx,y軸x,y方向にそって交互に配置されるので、第1,2の反射波R1,R2が交互に反射される。第1,2の反射波R1,R2の位相差は180度であるので、第1,2の反射波R1,R2は、互いに打ち消し合う。この結果、周期構造体10から反射される反射波は抑制される。
周期構造体10からの反射波が抑制されることによって、反射波と入射波とが干渉することに起因する定在波が発生しなくなる。このため、信号強度が極端に小さくなる節が発生しないので、RFIDタグ23がワンド型アンテナ30から出力された電磁波を検出できなくなるということが抑制される。
このように、本実施形態では、周期構造体10が第1,2の反射波R1,R2を反射し、これら第1,2の反射波R1,R2が互いに干渉することによって、周期構造体10が反射する反射波が抑制される。それゆえ、反射波と入射波との干渉による定在波の発生を抑制する。
このため、周期構造体10は、反射波と入射波との干渉による定在波の発生を抑制する目的として、電磁波エネルギを十分小さくできる損失の大きな損失材料や抵抗皮膜を用いない。この結果、周期構造体10のコストを小さく抑えることができるので、周期構造体10を導入しやすくなり、それゆえ、反射波による電磁波干渉を抑制し、通信環境を改善することができる。
なお、本実施形態では、周期構造体10は、第1,2のLC共振回路90,91を備える構造である。しかしながら、これに限定されない。例えば、2種類ではなく、3、4種類など他の異なる複数の種類のLC共振回路を備えてもよい。
この場合であっても、これら複数の種類のLC共振回路は、各々の構造が調整されることによって(例えば本実施形態のようにコイルとして機能する電流経路の長さを調整することによって)、入射波に対する反射波の位相差が調整される。これら、複数の種類のLC共振回路は、反射波が互いに干渉し、打ち消すように設計される。
このように2種類以上のLC共振回路を備える構造であることによって、反射波が抑制され、それゆえ、入射波と反射波とによる定在波の発生が抑制される。
なお、本実施形態では、第1,2のLC共振回路90,91は、入射波がx軸x方向の偏波成分を持つことを前提として形成されたが、これに限定されない。例えば、板状接続導体70をx軸x方向の両縁(輪郭部43)を結ぶように一例としてx軸x方向に沿って配置することによって、y軸y方向に隣り合う導体パッチ41間のギャップ81がコンデンサとして機能するy軸y方向の偏波成分に対応可能なLC共振回路を構成することができる。この場合でも、上記と同様に、接続導体70の位置を調整するなどして複数のLC共振回路を形成して複数種類の位相差を有する反射波を発生することによって、これら反射波を互いに打ち消し合い、同様の作用と効果とが得られる。
つぎに、本発明の第2の実施形態にかかる周期構造体を、図4を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、接続導体が第1の実施形態と異なる。他の構造は、第1の実施形態と同様であってよい。上記異なる構造を説明する。
図4は、本実施形態の周期構造体10を一部切り欠いて示す斜視図である。図4に示すように、本実施形態では、接続導体は、板状接続導体70ではなく、ビア71が用いられている。ビア71は、導体パッチ41の輪郭部43とグランドプレート51とに電気的に接続されている。
ビア71は、導体パッチ41の輪郭部43のうちx軸x方向に沿う部分であって、かつ、第1の端44から第1の距離a1となり、第2の端45から第2の距離a2となる位置に1つずつ配置されている。
ビア71は、導体パッチ41(パッチ層40)と絶縁層60とグランドプレート51(グランド層50)とを貫通する孔72の内面に導電材料73が設けられることによって形成されている。このため、ビア71の中央部は、導体パッチ41からグランドプレート51まで(グランドプレート51を含む)貫通する孔が形成されている。孔72の平面形状は、例えば円である。ビア71の径は、一例として2mmである。
第1の端44からビア71の中心までの距離が第1の距離a1となり、第2の端45からビア71の中心までの距離が第2の距離a2となっている。このため、第1の実施形態と同様に、x,y軸x,y方向にLC共振回路90,91が交互に配置される。
パッチ層40とグランド層50とは、導体パッチ41とビア71(導電材料)とグランドプレート51とが互いに電気的に接続されることによって、互いに電気的に接続されている。
ビア71は、第1の実施形態で説明された板状接続導体70と同様に壁として機能する。この点を具体的に説明する。高周波の入射波Iが入射することによって導体パッチ41に生じる電流は、導体パッチ41の輪郭部43に沿って流れる。本実施形態のように、輪郭部43に接続導体としてのビア71が配置されることによって、当該ビア71が第1の実施形態で説明した壁として機能する。
このため、本実施形態は、第1の実施形態と同様の作用と効果とを得ることができる。
つぎに、本発明の第3の実施形態にかかる周期構造体を、図5〜7を用いて説明する。なお、第2の実施形態と同様の機能を有する構成は、同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、周期構造体10は、第2の実施形態で説明された周期構造体10と同じ構造である。本実施形態では、第2の実施形態で説明した周期構造体10の寸法を所定の値に定め、さらに、反射波の電力減衰率の周波数特性のシミュレーションを行った。
図5は、周期構造体10の一部を示す平面図である。図中、単位素子12を構成する4つの導体パッチ41を2点鎖線F51で囲って示している。周期構造体10に入射される入射波は、x軸x方向にそう直線偏波成分を有する。周期構造体10の表面11から157mm(ミリメートル)上方の位置でシミュレーションにより算出された入射波と反射波との合成波から入射波成分を差し引いたものを反射波する。そして、当該反射波と入射波とを比較して反射波の電力減衰率を算出する。なお、157mmは、ワンド型アンテナ30から出力される電磁波(一例として953MHz)の半波長である。
ワンド型アンテナ30から出力される電磁波の波長は、本発明出言う、特定の周波数であり、それゆえ、953MHzは、上記特定の周波数の一例となる。
本実施形態では、絶縁層60の比誘電率は、4.4であり、誘電接正は、0.018である。x軸xにそう導体パッチ41の長さをx1とし、y軸yにそう導体パッチ41の長さをy1とする。本実施形態では、x1は、27mmであり、y1は、27mmである。x軸x方向に隣り合う導体パッチ41間のギャップ80の間隔をg1とし、y軸y方向に隣り合う導体パッチ41間のギャップ81の間隔をg2とする。本実施形態では、g1は、1mmであり、g2は、1mmである。
また、図中に2点鎖線で示すF52の範囲内に、周期構造体10の一部を切り欠いた状態を示している。ここに示すように、表面11(本実施形態では、パッチ層40の導体パッチ41の表面42)からグランド層50の上面(絶縁層に対向する面)までの深さをh3とする。本実施形態では、h3は、6.4mmである。本実施形態では、第1の距離a1は、9.5mmである。
図6は、周期構造体10の表面11(表面42)から1mm上方(グランド層50に向かう方向に対して反対方向)であって、図5に示すように導体パッチ41のy軸y方向に中間の位置であるe1=13.5mmでの電界のx軸成分のシミュレーションの結果を示すグラフである。図6は、1つの導体パッチ41近傍のシミュレーション結果を示している。
図6中、横軸は、導体パッチ41のx軸x方向にそう位置を示しており、単位はmmである。また、x軸x方向にそう方向のうち、一方向を正とし他方向を負としている。0は、導体パッチ41の中央の位置(両端から13.5mmの位置)位置を示している。図6中、縦軸は、表面11から上方(グランド層50に向かう方向に対して反対方向)に1mmの位置での入射波に対する反射波のx軸x方向に沿う電界の倍率を示している。
図6に示すように、導体パッチ41の中央の位置(0の位置)では、反射波電界強度は、1(100%)前後となっており、入射波に対する位相差は180度前後である。x軸x方向に隣り合う導体パッチ41との間のギャップ80の位置を示す13.5mmの位置と−13.5mmの位置とでは、反射波電界が強くなっている。
また、13.5mmの位置では、入射波Iに対する反射波(例えば第1の反射波R1)の位相差が略−30度であり、−13.5mmの位置では、入射波Iに対する反射波(例えば第2の反射波R2)位相差が略150度となっており、x軸x方向に隣り合うギャップ80間での位相差が略180度となっている。
前記のとおり、x軸x方向に隣り合う導体パッチ41との間のギャップ80における反射波の内の一方(第1の反射波R1)は、入射波に対する位相差が略−30度である。つまり、−90度以上であって90度以下の範囲内の値である。
通常、金属板で反射される反射波は、入射波に対する位相差が180度前後である。このため、反射波の打ち消し合いを発生させる場合、複数のLC共振回路のうちの少なくとも1種類のLC共振回路での反射波の入射波に対する位相差が、所望の周波数(本実施形態では、953MHz)で−90度以上であってかつ90度以下の範囲の値になるように調整されることが望ましい。
以上のシミュレーション結果より、本実施形態の周期構造体10では周期的に異なる反射位相を有する反射波が反射されることがわかる。このため、本実施形態の周期構造体10の表面11から離れた位置では局所的に位相の異なる反射波が互いに打ち消し合うので、反射波が抑制される。
図7は、周期構造体10の表面11から上方(グランド層50に向かう方向に対して反対方向)157mm離れた位置の反射波電力減衰率の周波数特性のシミュレーションの結果を示している。図7に示すように、953MHz周辺で反射波電力が小さくなっていることがわかる。なお、図7は、周期構造体10が、入射波Iとして953MHzの周波数を用いた場合に反射波を抑制できるように設計された場合のシミュレーションの結果を示している。
つぎに、本発明の第4の実施形態にかかる周期構造体を、図8,9を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
図8は、本実施形態の周期構造体10の一部を示す平面図である。本実施形態では、絶縁層60の比誘電率は、4.4であり、誘電接正は、0.018である。図8に示すように、本実施形態では、導体パッチ41は、一方向に長い形状であって、平面形状が四角形であり、4つの角度は各々90度である。本実施形態では、単位素子12は、四つの導体パッチ群100,101,102,103を備えている。なお、単位素子12を2点鎖線で示す範囲F81内に示す。また、第1,2のLC共振回路90,91に代えて異なるLC共振回路が形成される。
まず、4つの導体パッチ群100〜103について説明する。導体パッチ群100〜103の1つずつは、それぞれ、4つの導体パッチ41を備えており、導体パッチ41がx,y軸x,y方向に2つずつ並んで組み合わさって構成されている。
各導体パッチ郡内の導体パッチ41は、周縁のうち、互いに対向する2辺の1組はx軸xに平行であり、他方の互いに対向する一組はy軸yに平行である。導体パッチ41において、長い方向がx軸x方向にそう姿勢を第1の姿勢P1とする。短い方向がx軸x方向にそう姿勢を第2の姿勢P2とする。
各導体パッチ群内では、導体パッチ41の姿勢は、第1,2の姿勢P1,P2が交互になるように、かつ、互いに隣りあうどうし間にギャップが規定されて配置される。このように配置されることによって、導体パッチ群100〜103の各々は、4つの導体パッチ41が組み合わさることによって四角形となる。
そして、導体パッチ群101〜104は、x軸x方向に隣り合うどうしでは、各導体パッチ41の配置がy軸yをさかいに対称になるように、かつ、y軸yの方向に隣り合うどうしでは、各導体パッチ41の配置がx軸xをさかいに対称になるように、設定されている。このため、単位素子12を90度回転させ、x軸x方向に半周期分移動すると、回転前と同様の形状となる。
また、x軸x方向に隣り合う導体パッチ群(本実施形態では導体パッチ群100,101と、導体パッチ群102,103)の周縁においてx軸x方向に沿う辺は、互いに同一線上にあるとともにx軸x方向に平行である。同様に、y軸y方向に隣り合う導体パッチ群(本実施形態では導体パッチ群100,103と導体パッチ群101,104)の周縁においてy軸y方向に沿う辺は、互いに同一直線状にあるとともにy軸y方向に平行である。
本実施形態では、単位素子12内の周縁に配置される導体パッチ41は、x軸x方向にそって、第2の姿勢P2、第1の姿勢P1、第1の姿勢P1、第2の姿勢P2の順番で配置される。y軸y方向にそって、第2の姿勢P2、第1の姿勢P1、第1の姿勢P1,第2の姿勢P2の順番で配置される。
各導体パッチ群を構成する各導体パッチ41において、各導体パッチ郡の中心に面する内側端に第2の実施形態で説明されたビア71が設けられる。ビア71は、板状接続導体70に代えて用いられる。ビア71は、各導体パッチ41とグランド層50と互いに電気的に接続する。ビア71は、第2の実施形態で説明された構造と同様である。
このように構成されることによって、第1の姿勢P1の導体パッチ41で構成されたx軸x方向に長いLC共振回路94と、第2の姿勢P2の導体パッチ41で構成されたy軸y方向に長いLC共振回路95とが、x軸x方向に交互に並んで配置される。y軸y方向上では、1つおきに第1,2の姿勢P1,P2が入れ交わる。図中、x軸x方向に長いLC共振回路94を2点鎖線F82で囲んで示す。y軸y方向に長いLC共振回路95を2点鎖線F83で囲んで示す。
また、LC共振回路94,95は、y軸y方向にも構成されている。y軸y上においては、図中2点鎖線で示す範囲F86内にLC共振回路94を示す。このLC共振回路94は、y軸y方向に長い。範囲F87中にLC共振回路95を示す。このLC共振回路95は、y軸y方向に短い。このため、入射波Iがy軸y方向の直線偏波成分を有する場合であっても、入射波Iがx軸x方向の直線偏波成分を有する場合と同様の作用と同様の効果とが得られる。
LC共振回路94,95内のコンデンサとして機能する導体パッチ41間のギャップ82の間隔をg3とする。本実施形態では、g3は、1mmである。LC共振回路94のx,y軸x,y方向に沿う長さをx3とする。本実施形態では、x3は、40mmである。LC共振回路94,95の間の間隔をg4とする。本実施形態では、g4は、1mmである。LC共振回路95のx,y軸x,y方向に沿う間隔をx4とする。本実施形態では、x4は、28mmである。
図中、x軸x方向に長い導体パッチ41の近傍を、一部切り欠くとともに斜めから見た状態を2点鎖線で囲う範囲F84内に示す。F84内に示すように、周期構造体10の表面11(表面42)からグランド層50において絶縁層60と対向する面までの距離をh3とする。h3は、第3の実施形態と同様に、6.4mmである。
上記のように構成される周期構造体10では、LC共振回路94,95を備えることによって、2種類のLC共振回路が設けられる。また、LC共振回路94は、第1の反射波R1を反射し、LC共振回路95は、第2の反射波R2を反射するように設定されている。第1,2の反射波R1,R2は、互いの位相差が180度である。このとき、第1,2の反射波R1,R2の少なくともいずれかは、入射波に対する位相差が−90度以上であって90度以下である。
上記各寸法は、LC共振回路94,95が第1,2の反射波R1,R2を反射するように設定された値である。このため、LC共振回路94での反射波とLC共振回路95での反射波どうしが互いに干渉することによって、反射波が抑制される。
また、LC共振回路94,95は、y軸y方向にも構成されている。このため、入射波Iがy軸y方向の直線偏波成分を有する場合であっても、入射波Iがx軸x方向の直線偏波成分を有する場合と同様の作用と同様の効果とが得られる。
このように、本実施形態では、第1の実施形態の効果に加えて、y軸y方向の直線偏波成分を有する場合であっても同様の作用と効果が得られる。
図9は、第3の実施形態で用いた図7と同様であって、周期構造体10の表面11(表面42)から上方(グランド層50に向かう方向に対して反対方向)に157mm離れた位置での反射電力減衰率の周波数特性のシミュレーションの結果を示すグラフである。なお、周期構造体10は、入射波Iの周波数を953MHz(本発明で言う特定の周波数の一例)と想定した場合での反射波の抑制効果を持つように設計されている。
つぎに、本発明の第5の実施形態にかかる周期構造体を、図10〜12を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態では、周期構造体10の構造が第1の実施形態と異なる。本実施形態では、周期構造体10は、パッチ層40に代えて、第1のパッチ層110と、第2のパッチ層120とを備える。さらに、板状接続導体70に代えて、第1,2のパッチ層110,120を互いに電気的に接続する板状接続導体75が設けられる。さらに、絶縁層60に代えて、第1,2の絶縁層130,140が設けられる。他の構造は、第1の実施形態と同様であってよい。上記異なる構造を説明する。
図10は、周期構造体10を一部切り欠いて示す斜視図である。図10に示すように、第1のパッチ層110は、周期構造体10の表面11の一部である。第1のパッチ層110は、複数の第1の導体パッチ112を備えている。各第1の導体パッチ112の形状は、各々同じであってよい。
第1の導体パッチ112は、平面形状が四角であり、一方向に長い形状である。第1の導体パッチ112の4つの角度は、各々90度である。第1の導体パッチ112は、長手方向がy軸y方向に平行になるように、かつ、短い方向がx軸x方向に平行になるように、x,y軸x,y方向に離間して配置されている。このとき、第1の導体パッチ112の長手方向の辺(縁)はy軸y方向に平行であり、第1の導体パッチ112の短い方向の辺(縁)はx軸x方向に平行である。
図中、第1の導体パッチ112は、x軸x方向に一列(4つ並んだ状態)が示されているが、実際には複数あり、かつ、y軸y方向にも複数並んで配置されている。図中では、第1の導体パッチ112が並んでいる状態は、2点鎖線で省略して示している。
x軸x方向に並ぶ第1の導体パッチ112の列(図中では、1列のみ図示)は、x軸x方向に平行であり、かつ、y軸y方向に隣り合う第1の導体パッチ112との距離が一定に保たれている。x軸x方向に並ぶ1列上の第1の導体パッチ112の周縁においてx軸x方向にそう辺は、同一直線(x軸x方向に平行)上に配置されている。
y軸y方向に並ぶ第1の導体パッチ112の列(図中では4列のみ図示)は、互いにy軸y方向に平行であり、かつ、x軸x方向に隣り合う第1の導体パッチ112との距離が一定に保たれている。y軸y方向に並ぶ1列上の第1の導体パッチ112の周縁においてy軸y方向にそう辺は、同一直線(y軸y方向に平行)上に配置されている。
第2のパッチ層120は、第1のパッチ層110とグランド層50との間に設けられている。第2のパッチ層120は、複数の第2の導体パッチ121を備える。各第2の導体パッチ121は、各々同じである。図に示すように、第2の導体パッチ121は、平面形状が四角であり、各角度は90度である。第2導体パッチ121の周縁において互いに対向する2辺の一組はx軸xに平行であり、対向する他方の2辺の一組はy軸yに平行である。
第2の導体パッチ121は、x軸x方向に互いに隣り合う第1の導体パッチ112の1組に対して第1,2のパッチ層110,120の積層方向に重なるように配置されており、x軸x方向に隣り合う第1の導体パッチ112の一組と積層方向に重なる大きさ(同じ大きさ)を有している。さらに、第2の導体パッチ121の周縁は、単位素子12を構成する第1の導体パッチ112の周縁と積層方向に重なる。第2の導体パッチ121間は、ギャップ700が規定されている。
第1の導体パッチ112と第2の導体パッチ121とは、板状接続導体75によって互いに電気的に接続されている。本実施形態の板状接続導体75は、第1の実施形態で説明された板状接続導体70と同様の構造であり、金属製の厚みが略一定(完全に一定も含む概念)である平板形状である。
板状接続導体75は、x軸x方向に隣り合う1組の第1の導体パッチ112の輪郭部114(第1の実施形態の輪郭部43と同様)のうちx軸x方向外側の部分と第2の導体パッチ121のy軸y方向にそう縁部とを電気的に接続している。板状接続導体75は、第1,2の導体パッチ112,121のy軸yの一端から他端まで延びており、y軸y方向に平行である。
図11は、図10に示されるF11−F11線にそう周期構造体10の断面図である。図11は、周期構造体10をx軸x方向にそって断面した状態を示している。図11に示すように、第1,2のパッチ層110,120と板状接続導体75とは、y軸y方向に見る側面形状がC字形状となる。
図11に示すように、第1のパッチ層110から第2のパッチ層120まで第1の絶縁層130が設けられている。周期構造体10の表面11は、第1のパッチ層110の第1の導体パッチ112の表面113と、第1の絶縁層130の表面131とで構成されている。なお、第1のパッチ層110の表面113と、第1の絶縁層130の表面131とは、面一ではなく、表面131上に第1のパッチ層110が形成されている。これは、本実施形態においても周期構造体10がプリント基板から構成されており、第1のパッチ層110は、プリント基板の表面に形成される銅箔層から第1の導体パッチ112以外の部分を取り除くことによって形成されるためである。
第2のパッチ層120からグランド層50までは、第2の絶縁層140が設けられている。第2の絶縁層140は、誘電体で形成されている。
周期構造体10は、第1のパッチ層110から第2のパッチ層120までは、1枚の両面基板で形成される。両面基板は、両面に銅箔層が形成され、これら銅箔層の間に絶縁層が形成されている。この銅箔層の一方が第1のパッチ層110となり、他方が第2のパッチ層120となる。間に設けられる絶縁層が第1の絶縁層130となる。
第2の絶縁層140とグランド層50とは、一枚の片面基板から構成される。片面基板は、絶縁層の一方の面に銅箔層が形成されている。この銅箔層がグランド層50となり、絶縁層が第2の絶縁層140となる。上記のように形成される2枚の基板を重ね合わせて接合することによって、周期構造体10が形成される。
この場合、第2のパッチ層120は、銅箔層から第2のパッチ層120以外の部分を取り除くことによって形成されるので、第2のパッチ層120の表面122と第2の絶縁層140の表面141とは面一にならない。
この結果、第2のパッチ層120において第2の導体パッチ121がない部分は、空気の層125となる。この空気の層も絶縁体として機能する。この空気の層の有無による周期構造体10の反射特性の変化は少ない。
周期構造体10を本実施形態のように2枚の基板から構成する場合では、両面に銅箔層が形成される基板から、第1,2の導体パッチ112,121以外の部分を削りとることによって第1,2のパッチ層110,120を形成できるので、第1,2のパッチ層110,120の調整を容易に行える。また、試作時の反射波の位相の調整が行いやすい。
なお、本実施形態では、周期構造体10は、一例として2枚の基板から構成されている。しかしながら、これに限定されない。例えば、周期構造体10を構成するプリント基板として、多層基板が用いられてもよい。この多層基板の内部には、第2のパッチ層120が予め形成されているので、第2のパッチ層120と第2の絶縁層140との間には、空気の層125は形成されない。
周期構造体10を多層基板で構成する場合には、周期構造体10の組み立て作業が容易になる。
図10中では、第1,2の第1の導体パッチ112,121と板状接続導体75をわかりやすくするために、第1,2の絶縁層130,140は、2点鎖線で省略して図示している。
上記のように、x軸x方向に隣り合う一対の第1の導体パッチ112と第2の導体パッチ121とが、板状接続導体75によって電気的に接続されることによって、上記一対の第1の導体パッチ112が、板状接続導体75と第2の導体パッチ121とによって電気的に直流的に接続される。接続導体(本実施形態では、板状接続導体75)を介して共通の第2の導体パッチ121に電気的に接続される一対の第1の導体パッチ112は、導体パッチユニット500を構成している。
なお、導体パッチユニット500は、本発明で言う導体パッチユニットの一例であるとともに、本発明で言う組み合わせの一例でもある。言い換えると、本実施形態では、導体パッチユニットが、隣り合う第1の導体パッチ112の1つの組み合わせを備えており、それゆえ、導体パッチユニットと組み合わせとが同じとなっている。
この構造では、接続導体75で接続される第1の導体パッチ112間のギャップ83がコンデンサとして機能するとともに、板状接続導体75と第2の導体パッチ121とによる電流経路800がコイルとして機能するLC共振回路96となる。ギャップ83は、本発明で言う第1のギャップの一例である。
上記のように一対の第1の導体パッチ112と、1つの第2の導体パッチ121と、これらを接続する板状接続導体75とによって構成されるLC共振回路96は、全て同様の構造で合ってよい。LC共振回路96のギャップ83の間隔は、全てのLC共振回路96は同じであってよい。このLC共振回路96は、板状接続導体75が第1の実施形態と同様に壁として機能するので、他のLC共振回路のギャップなどに入射した入射波の影響を受けることがない。このため、第1の実施形態のように、1つのLC共振回路96から反射される反射波は、当該LC共振回路96のギャップ83に入射した入射波Iから構成される。
本実施形態では、一対の第1の導体パッチ112と、これら一対の第1の導体パッチ112を第2の導体パッチ121に接続する板状接続導体75とによって、単位素子12が構成されている。
図11に示すように、x軸x方向に隣り合うLC共振回路96間には、LC共振回路97が規定される。LC共振回路97について説明する。LC共振回路97は、x軸x方向に隣り合う第1の導体パッチ112のうち、板状接続導体75と第2の導体パッチ121とによって互いに電気的に接続されていない第1の導体パッチ112間のギャップ84がコンデンサとして機能する。ギャップ84は、本発明で言う第2のギャップの一例である。さらに、このLC共振回路97では、第1,2の絶縁層130,140を電流経路の一部とし、絶縁層130,140とグランド層50とによってコイルとして機能する電流経路が構成される。ギャップ84の間隔は、全て同じでよい。このため、第2の導体パッチ121間のギャップ700の幅は、ギャップ84の幅と同じである。
このLC共振回路97は、壁として機能する接続導体を備えていないので、別のギャップ84に入射する入射波Iの影響を受ける。言い換えると、LC共振回路97が反射する反射波の位相変位は、周囲の影響を受ける。
このため、LC共振回路96,97で反射される反射波の入射波Iに対する位相差を異なるように設定することによって、周期構造体10は、互いに位相が異なる2種類の反射波を反射することができる。すなわち、2種類のLC共振回路が形成される。本実施形態では、LC共振回路96から第1の反射波R1が反射され、LC共振回路97から第2の反射波R2が反射される。
第1の反射波R1の位相と第2の反射波R2の位相とは、互いに異なる。第1の反射波R1の反射位相は、ギャップ83の影響を受ける。第2の反射波R2の反射位相は、ギャップ84の影響を受ける。周期構造体10は、ギャップ83,84の形状(幅)をトライアンドエラーで調整することによって、第1,2の反射波R1,R2の位相差が所望になるように構成される。
図12は、周期構造体10に入射波Iが入射した場合の、ある瞬間の電荷分布と電気力線(電界)を示した模式図である。図12に示すように、LC共振回路96のギャップ83間のうち一方側(本実施形態では、図中右側)がプラス電荷となり、他方側(本実施形態では、図中左側)がマイナス電荷となっている。
LC共振回路97では、ギャップ84の一方側(本実施形態では、右側)がマイナス電荷となり、他方側(本実施形態では、図中左側)がプラス電荷となっている。
以上のように、ギャップ83,84での電荷の正負の位置がx軸x方向に入れ替わることによって、LC共振回路96で反射される第1の反射波R1の位相と、LC共振回路97で反射される第2の反射波R2との位相とが、180度ずれる。つまり、LC共振回路96,97で反射される第1,2の反射波R1,R2の位相差は、180度となる。このため、LC共振回路96,97からの第1,2の反射波R1,R2が互いに打ち消し合うので、周期構造体10で反射される反射波が抑制される。
なお、LC共振回路96,97で反射される電磁波の反射位相は、LC共振回路96,97の構造を調整することによって調整される。具体的には、ギャップ83,84の間隔、第1,2のパッチ層110,120の間隔、第1,2の第1の導体パッチ112,121の形状(大きさも含む)、第2のパッチ層120とグランド層50との間隔などである。
本実施形態であっても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
つぎに、本発明の第6の実施形態にかかる周期構造体を、図13を用いて説明する。なお、第5の実施形態と同様の機能を有する構成は、第5の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、接続導体が第5の実施形態と異なる。他の構造は、第5の実施形態と同様であってよい。上記異なる構造を説明する。
図13は、本実施形態の周期構造体10を一部切り欠いて示す斜視図である。図13に示すように、本実施形態では、接続導体として、第2の実施形態で説明されたビア76が用いられる。ビア76は、第2の実施形態のビア71と同様の構造である。ビア76は、LC共振回路96を構成する一対の第1の導体パッチ112の輪郭部114のうち、外側の隅に配置されている。ビア76は、第1の導体パッチ112と第2の導体パッチ121を電気的に接続している。
本実施形態は、第5の実施形態と同様の作用と効果とを得ることができる。
つぎに、本発明の第7の実施形態にかかる周期構造体を、図14を用いて説明する。なお、第5の実施形態と同様の機能を有する構成は、第5の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、第1の導体パッチ112と接続導体とが、第5の実施形態と異なる。他の構造は、第5の実施形態と同様であってよい。上記異なる構造を説明する。
図14は、周期構造体10を一部切り欠いて示す斜視図である。図14に示すように、周期構造体10の単位素子12は、4つの第1の導体パッチ112と、1つの第2の導体パッチ121とを備えている。図中、2点鎖線で示される範囲F14内に単位素子12を示す。
第1の導体パッチ112は各々同じであって、平面形状は、一例として正方形である。第1の導体パッチ112の周縁のうち互いに対向する2辺の一組はx軸xに平行であり、他方の互いに対向する一組はy軸y方向に平行である。x軸x方向に並ぶ一列上の第1の導体パッチ112の周縁においてx軸x方向にそう辺は、互いに同一直線(x軸xに平行)上に配置される。同様に、y軸yに並ぶ1列上の第1の導体パッチ112の周縁においてy軸y方向にそう辺は、互いに同一直線(y軸yに平行)上に配置される。
単位素子12を構成する4つの第1の導体パッチ112は、x,y軸x,y方向に2つずつ隣り合って配置されている。なお、図14では第1,2の絶縁層130,140を2点鎖線で示して省略している。単位素子12を構成する4つの第1の導体パッチ112間のx,y軸x,y方向に規定されるギャップの間隔は、同じである。
第2の導体パッチ121の平面形状は、四角であり、各角度は90度である。第2の導体パッチ121の周縁のうち、互いに対向する2辺の一組はx軸xに平行であり、他方の一組はy軸yに平行である。
第2の導体パッチ121は、単位素子12を構成する4つの第1の導体パッチ112に、第1,2のパッチ層110,120の積層方向に重なる。さらに、第2の導体パッチ121の周縁は、積層方向に単位素子12を構成する4つの第1の導体パッチ112の周縁と重なる。
本実施形態では、接続導体として、第5の実施形態で用いられたビア76が用いられる。接続導体としてのビア76は、第1の導体パッチ112に1つ設けられており、単位素子12を構成する4つの第1の導体パッチ112の各々の隅に配置されている。ビア76は、第2の導体パッチ121の4隅に電気的に接続している。この第2の導体パッチ121は、本発明で言う共通の第2の導体である。
本実施形態では、単位素子12を構成する4つの第1の導体パッチ112のうちx軸x方向に隣り合うどうしが組み合わせ600を構成し、これら組み合わせ600がy軸y方向に互いに隣り合っており導体パッチユニット500を構成している。
本実施形態では、単位素子12内の第1の導体パッチ112のx,y軸x,y方向に規定されるギャップ85を有するLC共振回路98と、単位素子12間の第1の導体パッチ112のx,y軸x,y方向に規定されるギャップ86を有するLC共振回路99とが設けられる。
第2の導体パッチ121間のギャップ700の幅は、ギャップ86と同じである。ギャップ85は、全て同じ間隔である。ギャップ86は、全て同じ間隔である。ギャップ700は、全て同じである。LC共振回路98は、第1の反射波R1を反射する。LC共振回路99は、第2の反射波R2を反射する。
LC共振回路98,99は、x軸x方向に交互に並ぶとともに、y軸y方向にも交互に並ぶ。このため、入射波Iがy軸y方向にそう直線偏波成分を有する場合であっても反射波が抑制される。このため、本実施形態は、第5の実施形態と同様の作用と効果とが得られるともに、入射波がy軸y方向にそう直線偏波成分を有するであっても反射波を抑制することができる。
本実施形態では、単位素子12内に入射波に対する反射位相が互いに異なる2種類のLC共振回路(LC共振回路98,99)が設けられる構造である。なお、単位素子12内に入射波に対する反射位相が互いに異なる複数種類のLC共振回路が設けられる構造の場合では、言い換えると、局所的に反射位相の異なる強い反射波を発するギャップが単位素子12内に複数ある場合、反射波を入射波の偏波方向成分の電界強度絶対値と位相で表されるベクトルとし、各反射波ベクトルを総和したベクトルの絶対値が一定値以下(例えば、各反射波ベクトルの絶対値の単純加算の1/√2以下)となるよう各ギャップのLC共振回路の構造・寸法を調整する。このように調整することによって、反射波を抑制することができる。
つぎに、本発明の第8の実施形態にかかる周期構造体を、図15〜18を用いて説明する。なお、第7の実施形態と同様の機能を有する構成は、第7の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、周期構造体10の構造は第7の実施形態と同様である。本実施形態では、周期構造体10の各寸法を所定の値に設定している。
図15は、周期構造体10の一部を示す平面図である。図15中では、単位素子12を2点鎖線で示す範囲F151内に示す。単位素子12のx,y軸x,y方向にそう幅をx5とする。本実施形態では、x5は、38mmである。単位素子12内では、x,y軸x,y方向に互いに隣り合うどうしの間にギャップ85が規定されている。ギャップ85の間隔は、g5である。本実施形態では、g5は、0.5mmである。x,y軸x,y方向に隣り合う単位素子12の間に規定されるギャップ86の間隔は、g6である。本実施形態ではg6は、1mmである。
図中、2点鎖線で示す範囲F152内に、1つの第1の導体パッチ112の周辺を切り欠いて斜めに見た状態を示している。範囲F152内に示すように、周期構造体10の表面11(本実施形態では、表面113)から第2のパッチ層120において第1の絶縁層130に対向する面までの距離をh2とし、表面11からグランド層50において第2の絶縁層140に対向する面までの距離をh3とする。本実施形態では、h2=1.6mmとし、h3=6.4mmとする。
本実施形態では、第1,2の絶縁層130,40の比誘電率は、4.4であり、誘電正接は、0.018である。
図16は、周期構造体10を、第1,2のパッチ層110,120間で断面した状態を示す断面図である。図16は、第2のパッチ層120の一部を示している。図16では、第1,2のパッチ層110,120の積層方向に重なる第1の導体パッチ112を、2点鎖線で示している。図に示すように、第2の導体パッチ121は、単位素子12を構成する4つの第1の導体パッチ112と積層方向に重なる。さらに、第2の導体パッチ121の周縁は、単位素子12を構成する4つの第1の導体パッチ112の周縁と上記積層方向に重なる。
図17は、周期構造体10の表面11(本実施形態では、表面113)から1mm上方(グランド層50に向かう方向に対して反対方向)であって、図15に示すように、周期構造体10のy軸y方向の端を規定する第1の導体パッチ112のy軸y方向の端からe2の距離の位置での電界のx軸成分のシミュレーション結果を示すグラフである。本実施形態では、e2=9.5mmである。
図中、横軸は、第2の実施形態で用いられた図6と同様であり、x軸x方向に沿う位置を示している。横軸が示す0の位置は、単位素子12のx軸x方向に沿う中心を示している。本実施形態では、図中右を正とし、左側を負として示している。図中、縦軸は図6と同様であり、表面11から上方1mmでの、入射波に対する反射波のx軸x方向に沿う成分の電界の倍率を示している。
なお、図17においても図6と同様に、周期構造体10の反射特性の代表値のうちの1つ(ギャップ86の電界)の入射波に対する位相差が−90度以上であって90度以下の範囲の値となっている。
図17に示すように、単位素子12内のギャップ85での反射波の、入射波Iに対する位相差は約120度である。単位素子12間のギャップ86で反射される反射波の、入射波Iに対する位相差は約−60度である。この結果、周期構造体10において隣り合うギャップ85,86で反射される反射波の位相差が約180度となるので、反射波は互いに打ち消し合う。
また、図17に示すように、各ギャップ85,86の周辺で強い電界が発生していることから、各ギャップ85,86の電界を周期構造体10の反射特性の代表値として考えることができる。このため、各ギャップ85,86の電界が互いに打ち消し合うような位相差をギャップ85,86に与えることで、反射波を抑制することができる。
図18は、第3の実施形態で用いられた図7と同様であって、周期構造体10の表面11から上方(グランド層50に向かう方向に対して反対方向)に157mm離れた位置での反射出力減衰率の周波数特性のシミュレーションの結果である。図中、横軸は、周波数を示している。図中、縦軸は、入射波電力に対する反射の倍率を示している。図18に示すように、953MHz近傍で小さくなっていることがわかる。
なお、本実施形態の周期構造体10は、入射波Iの周波数が953MHz(本発明で言う特定の周波数の一例)である場合の反射波を抑制する効果をもつことを目的としている。
つぎに、本発明の第9の実施形態にかかる周期構造体を、図19〜21を用いて説明する。なお、第8の実施形態と同様の機能を有する構成は、第8の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、第2の導体パッチ121の形状と、ビア76の配置が第8の実施形態と異なる。また、各寸法が第8の実施形態と異なる。他の構造は、第8の実施形態と同様であってよい。上記異なる構造を説明する。
図19は、周期構造体10の表面11の一部を示す平面図である。図20は、第2のパッチ層120の一部を示す周期構造体10の断面図である。図20は、第8の実施形態の図16と同様に第1,2のパッチ層110,120間を断面している。
図19中では、1つの単位素子12内に一例として、第2の導体パッチ121が点線で示されている。図20中に単位素子12を構成する4つの第1の導体パッチ112の外縁を2点鎖線で示す。本実施形態では、周期構造体10のx,y軸x,y方向にそう幅であるx5は、44mmである。単位素子12内のx,y軸x,y方向に規定されるギャップ85の間隔であるg5は、0.5mmである。
単位素子12間のx,y軸x,y方向に規定されるギャップ86の間隔であるg6は、1mmである。周期構造体10の表面11(表面113)から第2のパッチ層120までの長さであるh2は、1.6mmである。表面11からグランド層50までの長さであるh3は、6.4mmである。本実施形態では比誘電率は、4.4であり、誘電正接は、0.018である。
図19に示すように、本実施形態では、ビア76は、第1の導体パッチ112の周縁よりも内側に配置されている。第1の導体パッチ112は、正方形である。単位素子12を構成する第1の導体パッチ112の縁においてギャップ85を規定する部分からx軸x方向にビア76の中心までの距離をv1とする。また、単位素子12を構成する第1の導体パッチ112の縁においてギャップ85を規定する部分からy軸y方向にビア76の中心までの距離をv1とする。本実施形態ではv1は、14.5mmである。
このように、ビア76が第1の導体パッチ112の周縁の内側に配置されることによって、上記したように2枚の基板から周期構造体10を形成する際に、所望の反射波の位相を得るための調整を行いやすくなる。つまり、基板の表面に形成される銅箔層を削ることによって第1のパッチ層110を形成する場合、所望の反射波の位相を得るためにギャップ85,86を調整するためには、銅箔層をさらに削ることになる。このとき、ビア76が第1の導体パッチ112の周縁よりも内側に位置することによって、ビア76の存在によってギャップ85,86の調整が行えなくなるということがない。
図20に示すように、第2の導体パッチ121の平面形状は、略正方形である。第2の導体パッチ121の周縁のうち対向する2辺の一組はx軸xに平行であり、他方の対向する2辺の一組はy軸y方向に平行である。第2の導体パッチ121の4隅は、ビア76の中心に一致する。言い換えると、第2の導体パッチ121は、4隅に設けられるビア76を除くと、正方形となる。ビア76は、第2の導体パッチ121の4隅に電気的に接続されている。第2の導体パッチ121のx,y軸x,y方向にそう幅をx6とすると、本実施形態では、x6は、29.5mmである。x6は、単位素子12のギャップ85を挟んで隣り合うビア76の中心間のx軸x方向に沿う距離でもある。本実施形態では、第2の導体パッチ121間のギャップ700の幅は、ギャップ86とは異なる。
図21は、第3の実施形態で用いられた図7と同様であって、周期構造体10の表面11(表面113)から上方(グランド層50に向かう方向に対して反対方向)に157mm離れた位置での反射電力減衰率の周波数特性のシミュレーションの結果を示すグラフである。横軸は、入射波Iの周波数を示している。縦軸は、入射波電力に対する反射波の電力の倍率を示している。
本実施形態では、周期構造体10は、入射波Iの周波数が953MHz(本発明で言う特定の周波数の一例)である場合に反射波を抑制することを目的として構成されている。
本実施形態では、第8の実施形態と同様の作用・効果を得ることができる。
つぎに、本発明の第10の実施形態にかかる周期構造を、図22〜24を用いて説明する。なお、第9の実施形態と同様の機能を有する構成は、第9の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、第1の導体パッチ112が第9の実施形態と異なる。他の構造は、第9の実施形態と同様であってよい。上記異なる構造を説明する。
図22は、周期構造体10の表面11の一部を示す平面図である。図23は、周期構造体10を第1のパッチ層110と第2のパッチ層120との間で断面した状態を示す断面図である。図23は、第2のパッチ層120を示している。第2の導体パッチ120は、第9の実施形態と同じ構造であり、正方形である。図22に示すように、本実施形態では、単位素子12を構成する4つの第1の導体パッチ112は、単位素子12の4隅に対応する部位がビア76まで切り欠かれている。2点鎖線で示す範囲F22内に単位素子12を示す。上記4隅は、各導体パッチ112においてx,y軸x,y方向にそって導体パッチ112の中心までいたる範囲である。単位素子12を構成する第1の導体パッチ112の構造は、第9の実施形態と異なる上記点以外は、第9の実施形態と同じであってよい。
本実施形態では、単位素子12のx,y軸x,y方向にそう幅であるx5は、48mmである。第2の導体パッチのx,y軸x,y方向にそう幅であるx6は、33.5mmである。v1は、16.5mmである。
図24は、第3の実施形態で用いられた図7と同様であって、周期構造体10の表面11から上方(グランド層50に向かう方向に対して反対方向)に157mmの位置での反射電力減衰率の周波数特性のシミュレーションの結果を示すグラフである。図中、横軸は、入射波Iの周波数を示している。図中、縦軸は、入射波電力に対する反射電力の倍率を示している。
本実施形態の周期構造体10は、入射波Iの周波数が953MHz(本発明で言う特定の周波数の一例)である場合に反射波を抑制できることを目的として構成されている。
本実施形態では、第9の実施形態と同様の作用と効果とを得ることができる。
つぎに、本発明の第11の実施形態にかかる周期構造体を、図25〜27を用いて説明する。なお、第9の実施形態と同様の機能を有する構成は、第9の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態は、第2の導体パッチ121が第9の実施形態と異なる。他の構造は、第9の実施形態と同様であってよい。上記異なる構造を説明する。
図25は、周期構造体10の表面11の一部を示す平面図である。図26は、周期構造体10を、第1のパッチ層110と第2のパッチ層120との間で断面した状態を示す断面図である。図26は、第2のパッチ層120を示している。図25中、単位素子12を2点鎖線で示す範囲F25内に示す。
図26に示すように、第2の導体パッチ121は、平面形状が正方形であり各角度は90度である。第2の導体パッチ121の周縁のうち互いに対向する2辺の一組はx軸x方向に平行であり、他方の対向する2辺の一組はy軸y方向に平行である。
単位素子12を構成する第2の導体パッチ121は、単位素子12を構成する4つの第1の導体パッチ112とおなじ大きさを有しており、第1,2のパッチ層110,120の積層方向に互いの縁が重なるように配置されている。本実施形態では、第2の導体パッチ121間に規定されるギャップ700の幅は、ギャップ86の幅と同じである。
本実施形態では、単位素子12のx,y軸x,y方向にそう幅であるx5は、58mmである。第2の導体パッチ121のx,y軸x,y方向にそう幅であるx6は、本実施形態ではx5と同じであり、58mmである。単位素子12内のx,y軸x,y方向にそうギャップ85の間隔であるg5は、本実施形態では、0.5mmである。単位素子12間のギャップ86の間隔であるg6は、本実施形態では5mmである。単位素子12内において外縁からビア76の中心までの距離であるv1は、本実施形態では、19.5mmである。周期構造体10の表面11から第2のパッチ層120までの距離であるh2は、本実施形態では1.6mmである。表面11からグランド層50までの距離であるh3は、本実施形態では、6.4mmである。本実施形態では、比誘電率は、4.4であり、誘電正接触は、0.018である。
図27は、第3の実施形態で用いた図7と同様であって、周期構造体10の表面11から上方(グランド層50に向かう方向に対して反対方向)に157mm離れた位置での反射電力減衰率の周波数特性のシミュレーションの結果を示すグラフである。図中、横軸は、入射波Iの周波数を示している。図中、縦軸は、入射波電力に対する反射電力の倍率を示している。
本実施形態の周期構造体10は、入射波Iの周波数が953MHz(本発明で言う特定の周波数の一例)である場合に反射波を抑制することを目的として構成されている。
本実施形態は、第9の実施形態と同様の作用と効果とを得ることができる。
つぎに、本発明の第12の実施形態にかかる周期構造体を、図28〜30を用いて説明する。なお、第11の実施形態と同様の機能を有する構成は、第11の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、第1の導体パッチ112が第11の実施形態と異なる。また、各寸法が第11の実施形態と異なる。他の構造は、第11の実施形態と同様であってよい。上記異なる構造を説明する。
図28は、周期構造体10の表面11の一部を示す平面図である。2点鎖線で示す範囲F28内に単位素子12を示す。図28に示すように、第1の導体パッチ112の輪郭部114からビア76に向かって延びるスロット状の線路115が設けられている。線路115は、第1の導体パッチ112を貫通している。線路115は、第1の導体パッチ112の4辺(輪郭部114)のうち、単位素子12内において隣り合う第1の導体パッチ112と対向する部位からx,y軸x,y方向に平行に延びている。
言い換えると、第1の導体パッチ112は、四角の部分116と、四角の部分116を覆うL字状の部分117とを有している。四角の部分116は、単位素子12内のギャップ85の一部を規定する。L字状の部分117は、単位素子12間のギャップ86を規定する。ビア76の上端には、四角の部分116の輪郭部と、L字状の部分117の輪郭部とが電気的に接続されている。単位素子12を構成する第1の導体パッチ112は、第11の実施形態と異なる上記点以外の構造は、第11の実施形態と同様であってよい。
線路115の幅をs1とし、s1は、一定である。言い換えると、s1を規定する四角の部分116の辺とL字状の部分117の辺とは、平行である。線路115の幅S1の中心は、ビア76の中心を通る。
単位素子12のx,y軸x,y方向にそう幅をx5とし、本実施形態ではx5=57mmとする。単位素子12内のギャップ85の幅g5を、本実施形態ではg5=0.5mmとする。単位素子12間のx,y軸x,y方向に沿うギャップ86の幅g6を、本実施形態では、g6=5mmとする。ビア76の中心から単位素子12内のギャップ85までの距離(具体的には、ビア76の中心からギャップ85を規定する四角の部分116の端までの距離)をv1とし、本実施形態ではv1=19mmとする。
ギャップ84,85で反射される電磁波の位相差を180度とするために、四角の部分116と、L字状の部分117の寸法を調整する。
図29は、周期構造体10を第1のパッチ層110と第2のパッチ層120との間で断面した周期構造体10の断面図である。図29は、第2のパッチ層120を示している。第2の導体パッチ120は、第11の実施形態と同じ構造であり、正方形である。第2の導体パッチ121の幅であるx6は、本実施形態ではx5と同じであり、57mmである。図30は、第3の実施形態で用いた図7と同様であって、周期構造体10の表面11から上方(グランド層50に向かう方向に対して反対方向)に157mmの位置での反射電力減衰率の周波数特性をシミュレーションの結果を示すグラフである。図中、横軸は入射波Iの周波数を示す。図中、縦軸は、入射波電力に対する反射波電力の倍率を示す。
なお、本実施形態の周期構造体10は、入射波の周波数が953MHz(本発明で言う特定の周波数の一例)である場合に反射波を抑制することを目的として構成されている。本実施形態は、第10の実施形態と同様の作用と効果とを得ることができる。
つぎに、本発明の第13の実施形態にかかる周期構造を、図31を用いて説明する。なお、第8の実施形態と同様の機能を有する構成は、第8の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態の周期構造体10は、第1,2の絶縁層130,140の誘電正接の値が第8の実施形態と異なる。他の構造は第8の実施形態と同様である。
本実施形態では、第1,2の絶縁層130,140の誘電正接の値が0.04である。図31は、第3の実施形態で用いた図7と同様であって、本実施形態での周期構造体10の表面11(表面113)から上方(グランド層50に向かう方向に対して反対方向)に157mmの位置での反射電力減衰率の周波数特性のシミュレーションの結果を示すグラフである。
第8の実施形態では、絶縁層130,140の誘電正接は0.018である。このため、本実施形態は、第8の実施形態に比べて損失成分が大きい。このため、本実施形態では、第8の実施形態と同様の効果が得られるとともに、第8の実施形態に比べて反射波の抑制効果が大きい。
反射波の抑制効果が大きくなることを、第8の実施形態と比較して説明する。第8の実施形態の場合では、図18に示すように、2つの谷間(図中a、bで示す)が接近しており、谷間の間の反射波の入射波電力に対する倍率の最大値は69%(1GHz)のため、周期構造体10の損失成分を大きくすることで50%offの帯域幅が大きくなる。本実施形態では50%offの帯域幅は、232MHzであるのに対して、第8の実施形態では、50パーセントoffの帯域幅は、本実施形態よりも小さくなる。なお、図18中に谷間aにおいて50パーセントoffとなる帯域幅は、42MHzである。
なお、第1,2の絶縁層130,140の誘電正接の値を0.04としたことは、一例であってこれに限定されない。
第1,2の絶縁層130,140をより損失成分の大きい損失材料を用いて形成することによって、大きな反射波抑制効果を得ることができる。本発明で言う損失材料とは、磁性体粉末を樹脂に混合して透磁損失を持たせた材料や、導電性物質を絶縁体に分散して誘電損失を持たせた材料である。なお、これらの損失材料は、電波吸収体として市販されているものを使用してもよい。
つぎに、本発明の第14の実施形態にかかる周期構造を、図32を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。本実施では、第1の実施形態に対して、導体パッチ41の構造と、板状接続導体70を備えない点と、LC共振回路90,91に代えてLC共振回路230,240が形成される点が異なる。他の構造は、第1の実施形態と同様であってよい。上記異なる構造を説明する。
図32は、周期構造体10の表面11(表面42)の一部を示す平面図である。図32に示すように、導体パッチ41には、y軸y方向に平行に延びるとともに両端においてx軸x方向に平行に延びる部分を有するI字状の線路220が形成されている。線路220は、導体パッチ41を貫通している。線路220は、LC共振回路230を形成している。
導体パッチ41は、本実施形態では正方形であり、線路220の中心が導体パッチ41の中心に位置している。線路220の形状は、線路220の中心を境にy,x軸y,xに対称な形状である。
LC共振回路230について説明する。このLC共振回路230は、入射波がx軸x方向にそう直線偏波成分をもつ場合、線路220においてy軸y方向に平行に延びる直線部分221がコンデンサとして機能し、当該直線部分221の両端よりx軸x方向に平行に延びる部分222がコイルとして機能する。導体パッチ41間には、導体パッチ41間に規定されるギャップ80がコンデンサとして機能するLC共振回路240が構成される。
本実施形態では、単位素子12は、1つの導体パッチ41より構成される。本実施形態は、LC共振回路230,240を備え、それゆえ、2種類のLC共振回路を備える。
図32中において2点鎖線で示される境界線245より上側には、ある瞬間での電荷分布を模式的に示している。なお、境界線245は、電荷分布の状態を説明するために便宜上用いる線であって、導体パッチ41に実際に境界線が設けられるわけではない。図に示されるように、単位素子12(導体パッチ41)内のギャップである直線部分221の周囲での電荷の符号と、導体パッチ41間に規定されるギャップ80の周囲での電荷の符号が、互いに異なる。
このため、LC共振回路230,240の直線部分221とギャップ80とで反射される反射波の位相差は180度となる。本実施形態では、LC共振回路230は、第1の反射波R1を反射する。LC共振回路240は、第2の反射波R2を反射する。第1,2の反射波R1,R2は、180度の位相差を有するので、互いに打ち消しあう。
本実施形態は、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、導体パッチ41とグランド層50とを接続する接続導体を用いることなく導体パッチ41内にLC共振回路230を形成する構造であるので、板状接続導体70など接続導体の加工が不要になり、それゆえ、周期構造体10の構造を簡素にすることができる。
つぎに、本発明の第15の実施形態にかかる周期構造体を、図33を用いて説明する。なお、第14の実施形態と同様の機能を有する構成は、第14の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、導体パッチ41内でLC共振回路230を構成する線路220が第14の実施形態と異なる。他の構造は、第14の実施形態と同様であってよい。上記異なる構造を説明する。
図33は、周期構造体10の表面11の一部を示す平面図である。図33に示すように、線路220は、導体パッチ41の中央に配置される+(プラス)字状の+字部250と、+字部250の端からx,y軸x,y方向に平行に延びる直線部260とを備える。
+字部250は、コンデンサとして機能する。+字部250は、+字状であることによって、入射波がx,y軸x,y方向のどちらの直線偏波成分を有していてもコンデンサとして機能することができる。本実施形態では、導体パッチ41は正方形であり、+字部250の中心は、導体パッチ41の中心に一致している。
直線部260は、コイルとして機能する。また、直線部260の両端部を折り曲げることによって、コイルとして機能する部分を延長することができる。本実施形態では、直線部260の両端部を、導体パッチ41の中央に向けて折り曲げている。このようにすることによって、コイルとして機能する部分の長さを調整することができる。線路220は、中心を境にx,y軸x,y方向に対称な形状である。
本実施形態であっても、第14の実施形態と同様の作用と効果とが得られる。さらに、入射波がx,y軸x,y方向のどちらの直線偏波成分を有していても、反射波を抑制することができる。
つぎに、本発明の第16の実施形態にかかる周期構造体を、図34,35,47を用いて説明する。なお、第15の実施形態と同様の機能を有する構成は、第15の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、導体パッチ41が第15の実施形態と異なる。他の構造は、第15の実施形態と同様であってよい。上記異なる構造について説明する。
図34は、周期構造体10の表面11の一部を示す平面図である。図34に示すように、1つの導体パッチ41が単位素子12を構成している。導体パッチ41の中央に、線路220が形成されている。
線路220は、+字部250と、+字部250の端部からx,y軸x,y方向に平行に延びる直線部260とを有している。本実施形態では、直線部260は、導体パッチ41の中央に向かって折り曲げられていない。
導体パッチ41(単位素子12)のx,y軸x,y方向にそう幅をx7とし、本実施形態ではx7=27mmとする。単位素子12内のギャップ(+字部分250)の幅をg9とし、本実施形態ではg9=0.5mmとする。単位素子12間のギャップ80,81の幅をg10とし、本実施形態では、g10=1mmとする。直線部260の幅をs3とし、本実施形態では、s3=1mmとする。直線部260の長さをs4とし、本実施形態では、s4=19mmとする。直線部260の外縁間の長さをx8とし、本実施形態ではx8=25mmとする。周期構造体10の表面11からグランド層50までの距離であるh3は、本実施形態では、6.4mmとする。本実施形態では、比誘電率は、4.4であり、誘電正接は、0.018である。
本実施形態であっても、線路220によってLC共振回路230が形成され、単位素子12間にLC共振回路240が形成される。このように、2種類のLC共振回路が形成され、かつ、各種類のLC共振回路での反射波が互いに打ち消し合うので、反射波が抑制される。
図35は、第3の実施形態で用いた図7と同様であって、周期構造体10の表面11から上方(グランド層50に向かう方向に対して反対方向)に157mmの位置での反射電力減衰率の周波数特性のシミュレーションの結果を示すグラフである。図中、横軸は、入射波Iの周波数を示している。図中、縦軸は、入射波電力に対する反射波電力の倍率を示している。
図47は、周期構造体10の表面11(本実施形態では、表面42)から1mm上方(グランド層50に向かう方向に対して反対方向)であってかつ図34に示すように導体パッチ41のy軸yの端からe3の距離の位置での電界のx軸成分のシミュレーション結果を示すグラフである。本実施形態では、e3は、6.5mmである。
図中、横軸は、第2の実施形態で用いられた図6と同様であり、x軸x方向に沿う位置を示している。横軸が示す0の位置は、単位素子12のx軸x方向に沿う中心を示している。本実施形態では、図中右を正とし、左側を負として示している。図中、縦軸は図6と同様であり、表面11から上方1mmでの、入射波に対する反射波のx軸x方向に沿う成分の電界の倍率を示している。
本実施形態であっても、第15の実施形態と同様の作用と効果とが得られる。
つぎに、本発明の第17の実施形態にかかる周期構造体を、図36を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、パッチ層40に、絶縁層300が積層される点が第1の実施形態と異なる。他の構造は、第1の実施形態と同様であってよい。上記異なる構造を説明する。
図36は、周期構造体10を積層方向に断面した状態を示す断面図である。図36に示すように、パッチ層40に絶縁層300が積層されている。言い換えると、LC共振回路に絶縁層300が積層される。絶縁層300は、誘電体から形成されている。絶縁層300は、パッチ層40の全域を覆う大きさを有している。絶縁層300は、本発明で言う、LC共振回路にさらに積層される絶縁層の一例である。
本実施形態では、第1の実施形態と同様の作用と効果とをえることができる。さらに、絶縁層300は、LC共振回路90,91が周囲の物体から受ける影響を小さくするスペーサとして機能する。また、LC共振回路90,91の周囲が絶縁層300で満たされることによって、絶縁体による波長短縮効果により、LC共振回路90,91の小型化にも寄与する。
なお、本実施形態では絶縁層300は、第1の実施形態で説明された周期構造体10に設けられたが、これに限定されない。第2〜5の実施形態で説明された周期構造体10に、本実施形態と同様に、パッチ層40に絶縁層300が積層されてもよい。この場合であっても、本実施形態と同様効果がさらにえられる。
つぎに、本発明の第18の実施形態にかかる周期構造体を、図37〜42を用いて説明する。なお、第5の実施形態と同様の機能を有する構成は、第5の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、LC共振回路96,97に代えて、単位素子12内に3種類のLC共振回路150,151,152が設けられている。また、第1,2の絶縁層130,140の構造が異なる。他の構造は、第5の実施形態と同様であってよい。上記異なる構造を説明する。
図38は、周期構造体10を一部切り欠いて示す斜視図である。図38に示すように、本実施形態では、LC共振回路150,151,152が設けられている。図37は、LC共振回路150,151が形成される様子を示す概略図である。図37に示すように、LC共振回路150は、第1の部材160で形成される。第1の部材160は、銅製の厚みが一定の板部材であり、幅d1(本実施形態では、一例として50mm)、長さがf1(本実施形態では一例として150mm)の板形状である。平面形状は、4角であり、各角度が90度である。
第1の部材160は、C管状に折り曲げられて両端間にギャップ161が形成されるとともに、ギャップ161が上を向くように押しつぶされることによって形成される。ギャップ161の間隔g7は、一例として3mmであってギャップ161が延びる方向に一定である。
LC共振回路151は、第2の部材170で形成される。第2の部材170は、銅製(一例として第1の部材160と同じ材質)であって厚みが一定(一例として第1の部材160と同じ厚み)の板部材であり、幅がd2(本実施形態では一例として50mm)、長さがf2(本実施形態では一例として164mm)の板形状である。平面形状は4角であり、各角度は、90度である。LC共振回路151は、第2の板部材がC管上に折り曲げられて両端間にギャップ171が形成されるとともに、ギャップ171が上を向くように押しつぶされることによって形成される。ギャップ171の間隔g8は、3mmであって、ギャップ171が延びる方向に一定である。
上記のように構成されるLC共振回路150,151は、ギャップ161,171が配置される面を上壁部162,172とする。上壁部162,172において外側に面する面を表面163,173とする。上壁部162,172と対向する壁部を下壁部164,174とする。
図38に示されるように、LC共振回路150,151は、棒状発泡材180に取り付けられる。棒状発泡材180は、第1の絶縁層130を構成する。棒状発泡材180は、断面形状が四角形であり、厚みがd3(本実施形態では一例として10mm)、幅がf3(本実施形態では一例として35mm)であって直線状に延びている。棒状発泡材180は、LC共振回路150,151内に通される。このとき、棒状発泡材180は、上壁部162,172と下壁部164,174とに面接触する。
LC共振回路150,151は、棒状発泡材180上で交互に複数配置されるとともに、一例として互いに2mmの間隔を有して配置されている。このとき、棒状発泡材180に取り付けられるLC共振回路150,151の数は、同じ偶数とする。具体的には、LC共振回路150を4つ取り付けるときは、LC共振回路151の数も同じ4つとする。
棒状発泡材180にLC共振回路150,151が組み付けられて構成されるユニット190は、複数設けられる。グランド層50を構成するグランドプレート51は、一例として銅板が用いられる。また、第2の絶縁層140として、厚みがd4(本実施形態では一例として14mm)の板状発泡材200が用いられる。板状発泡材200は、グランド層50の上に積層される。
各ユニット190は、板状発泡材200の上に積層される。このとき、棒状発泡材180が延びる方向、言い換えると、棒状発泡材180に沿ってLC共振回路150,151が交互に並ぶ方向をy軸y方向に平行にし、各ユニット190を複数並べる方向をx軸x方向に平行にする。各ユニット190は、x軸x方向にLC共振回路150,151が交互に配置されるように並べられる。このため、LC共振回路150,151は、x,y軸x,y方向に交互に配置される。また、グランド層50に対する各上壁部162,172の高さは、同じである。グランド層50に対する各下壁部164,174の高さは、同じである。
ユニット190の数は、棒状発泡材180上のLC共振回路150,151の各々と同じ偶数とする。具体的には、棒状発泡材180にLC共振回路150,151が各々4つ設けられる場合は、ユニット190の数は、4つとする。このように、ユニット190に用いるLC共振回路150,151の各々の数を同じ偶数にするとともに、ユニット190の数を同じ偶数とすることによって、周期構造体10の中心は、2つのLC共振回路150と2つのLC共振回路151とによって囲まれる。
図38中では、単位素子12を2点鎖線で示す範囲F381内に示している。本実施形態では、単位素子12は、x軸x方向に並ぶLC共振回路150,151と、これらとy軸y方向に並ぶLC共振回路150,151との計4つを備える。
複数のユニット190を並べる際、x軸x方向に隣り合うLC共振回路150,151の間隔は、一例として3mmとする。各ユニット190の上方には、厚さがd5(本実施形態では一例として10mm)の板状発泡材210が積層される。図中、板状発泡材210は、2点鎖線で示されている。周期構造体10は、ギャップ161,171が延びる方向(y軸方向y)がRFIDタグ23の長手方向Aと直交するように配置される。なお、RFIDタグ23の長手方向Aは、図1に示される。
上記のように構成される周期構造体10では、上壁部162,172が第5の実施形態で言う第1の導体パッチ112として機能するとともに、上壁部162,172の集まりが第5の実施形態でいう第1のパッチ層110として機能する。下壁部164,174が第5の実施形態で言う第2の導体パッチ121として機能するとともに、下壁部164,174の集まりが第5の実施形態でいう第2のパッチ層120となる。上壁部162,172と下壁部164,174とを連結する部分が接続導体として機能する。LC共振回路150,151が備える一対の上壁部162,172が導体パッチユニット500(本発明で言う組み合わせでもある)を構成する。
また、x軸x方向に隣り合うLC共振回路150,151間に、LC共振回路152が形成される。図38中LC共振回路152を2点鎖線で示される範囲F382内に示す。LC共振回路150,151の間に規定されるギャップ225がLC共振回路152のコンデンサとして機能する。
このようにして、本実施形態では、3種類のLC共振回路150〜152が形成される。LC共振回路150は、第4の反射波R4を反射する。LC共振回路151は、第5の反射波R5を反射する。LC共振回路152は、第6の反射波R6を反射する。第4〜6の反射波R4〜R6は、互いに打ち消しあう位相差を有している。
つぎに、RFIDタグ23と周期構造体10との距離に対するRFIDタグ23の読取距離を計測する実験について説明する。図40は、上記実験条件を示す。図40に示すように、RFIDタグ23は、一例としてUHF帯のダイポールタイプのアンテナが用いられている。RFID読取装置35の出力は、50mWとし、RFID読取装置35のアンテナ30は、円編波が用いられている。RFID読取装置35の本体35aとアンテナ30とは、ケーブル33によって連結されている。RFID読取装置35では、ケーブル33を含めた空中線利得は、4.1dBiとした。
RFIDタグ23とRFID読取装置35のアンテナ30とは、アンテナ30の中心30aと、RFIDタグ23の中心23aとが床36上1mで直線に並ぶよう配置されている。なお、図中、中心31a,23a直線に並ぶ様子を、1点鎖線で示している。
図39は、RFIDタグ23と周期構造体10との距離に対するRFIDタグ23の読取距離を計測する実験の実験結果を示すグラフである。図39に示されるグラフでは、横軸は、RFIDタグ23と周期構造体10との距離を示している。単位は、cm(センチメートル)である。縦軸は、RFIDタグの読取距離を示している。単位は、cmである。ここで言うRFIDタグの読取距離とは、この距離より離れると読み取れなく値である。
また、図39には、図40に示される実験において、周期構造体10の代わりに一般的なEBG(Electronic Band Gap)1000を用いた場合の実験結果も示されている。図41は、EBG1000を示す斜視図である。図42は、図41中に示されるF42−F42線に沿うEBG1000の断面図である。図41,42に示すように、EBG1000は、パッチ層1001と、グランド層1002と、絶縁層1003と、ビア1004とを備えている。EBG1000は、マッシュルーム型である。
EBG1000は、例えば両面に銅箔層が設けられる基板から構成されている。この基板の一方の銅箔層からパッチ層1001が形成され、他方の銅箔層がグランド層1002となる。両銅箔層間に絶縁層1003が形成される。
パッチ層1001は、複数の正方形状のパッチ導体1005を備えている。これらパッチ導体1005は、互いに対向する一対の辺がx軸x方向に平行に、かつ、他方の一対の辺がy軸y方向に平行である。そして、互いに隣り合うどうし、間隔1mmあけて平行に並んでいる。パッチ導体1005は、基板の表面の銅箔層からパッチ導体1005以外の部分を取り除くことによって形成されている。絶縁層1003の厚みは、20mmである。ビア1004の構造は、先の実施形態に示されたビア71,76と同様の構造であってよく、その中心がパッチ導体1005の中心に配置されている。
また、図39には、図40に示される実験において、周期構造体10の代わりに銅板1010を用いた場合の実験結果も示されている。
図39に示すように、本実施形態の周期構造体10では、周期構造体10とRFIDタグ23との間の距離に対する読取距離の変化は、周期構造体10の代わりに銅板1010を用いた場合、または周期構造体10の代わりにEBG1000を用いた場合に比べて小さい。言い換えると、周期構造体10からの反射波による影響が小さいことがわかる。本実施形態では、第5の実施形態と同様の作用と効果とが得られる。
また、板状発泡材210は、第17の実施形態で説明された絶縁層300に対応するので、周囲からの影響を小さくするスペーサとして機能する。また、板状発泡材210の誘電率を調整することによって、第17の実施形態と同様に周期構造体10を小さくすることができる。
つぎに、本発明の第19の実施形態に係る周期構造体を、図43を用いて説明する。なお、第5の実施形態と同様の機能を有する構成は、第5の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、第1のパッチ層110に、第17の実施形態で説明された絶縁層300が積層される点が第5の実施形態と異なる。他の構造は、第5の実施形態と同様であってよい。上記異なる構造を説明する。
図43は、周期構造体10を積層方向に断面した状態を示す断面図である。図43に示すように、第1のパッチ層110に絶縁層300が積層される。
本実施形態では、第5の実施形態の作用と効果とをえることができる。さらに、絶縁層300は、LC共振回路96,97が周囲の物体から受ける影響を小さくするスペーサとして機能する。また、LC共振回路96,97の周囲が絶縁層300で満たされることによって、絶縁層300の誘電率を調整することによって絶縁体による波長短縮効果により、LC共振回路96,97の小型化にも寄与する。
なお、第18,19の実施形態の周期構造体10の第1のパッチ層110に絶縁層300が積層されたが、これに限定されない。例えば、第6〜13の実施形態の周期構造体10においても第1のパッチ層110に絶縁層300が積層されてもよい。この場合であっても、絶縁層300の誘電率を調整することによって、第18,19の実施形態と同様の効果をさらにえることができる。
つぎに、本発明の第20の実施形態にかかる周期構造体を、図44〜46を用いて説明する。なお、第16の実施形態と同様の機能を有する構成は、第16の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、パッチ層40に第17の実施形態で用いられた絶縁層300が積層される点と、各寸法とが第16の実施形態と異なる。他の構造は、第17実施形態と同様であってよい。上記異なる点について説明する。
図44は、周期構造体10を積層方向に断面した状態を示す断面図である。図44に示すように、周期構造体10は、パッチ層40上に絶縁層300が積層されている。絶縁層300は、誘電体から形成されている。絶縁層300は、パッチ層40の全域を覆う大きさを有している。
周期構造体10の表面11(本実施形態では、絶縁層300の表面301)からパッチ層40の表面42までの長さをh1とし、本実施形態では、h1=1.6mmとする。表面11からグランド層50までの距離であるh3は、本実施形態では、6.4mmである。
図45は、図44中のF45−F45線に沿って示す周期構造体10の断面図である。図45は、パッチ層40を示している。本実施形態では、パッチ層40の構造は、各種寸法以外は、第16の実施形態と同様である。
本実施形態では、x7=23mmとする。g9=0.5mmとする。g10=1mmとする。s3=1mmとする。s4=17mmとする。x8=21mmとする。絶縁層60,300の比誘電率は4.4であり、誘電正接は、0.018である。
図46は、第3の実施形態で用いた図7と同様であって、周期構造体10の表面11から157mm上方(グランド層50に向かう方向に対して反対方向)の位置での反射電力減衰率の周波数特性をシミュレーションの結果を示すグラフである。本実施形態の周期構造体10は、入射波の周波数が953MHz(本発明で言う特定の周波数の一例)である場合に反射波を抑制することを目的として形成されている。
本実施形態は、第16の実施形態と同様の作用と効果とが得られる。さらに、絶縁層300は、LC共振回路230,240が周囲の物体から受ける影響を小さくするスペーサとして機能する。また、LC共振回路230,240の周囲が絶縁層300で満たされることから、絶縁層300の誘電率を調整することによって絶縁体による波長短縮効果により、LC共振回路230,240の小型化にも寄与する。
なお、本実施形態の周期構造体10に絶縁層300が積層されたが、これに限定されない。第14〜16の実施形態の周期構造体10のパッチ層40に絶縁層300が積層されてもよい。この場合、本実施形態と同様の効果をさらにえることができる。
第13の実施形態において、第1,2の絶縁層130,140を形成する誘電体として損失材料を用いた。しかしながら、他の実施形態(第5〜13,18,19の実施形態)においても絶縁層130,140を備える構造の場合は、絶縁層130,140を形成する誘電体を第13の実施形態と同様の損失材料とすることによって、第13の実施形態と同様の効果をさらに得ることができる。同様に、絶縁層60を備える他実施形態(第1〜4,14〜17,20の実施形態)においても、絶縁層60を第13の実施形態と同様の損失材料とすることによって、第13の実施形態と同様の効果をさらにえることができる。
また、他の実施形態において、複数の絶縁層を備える構造の場合、例えば、絶縁層60,300(第17,20の実施形態)や絶縁層130,140(第5〜13,18,19の実施形態)や絶縁層130,140,300(第18,19の実施形態)を備える構造の場合、これら複数の絶縁層のうちいずれか1つ形成する誘電体を、第13の実施形態で説明した損失材料を用いることによって、第13の実施形態と同様の効果をさらに得ることができる。
また、第1〜17,19,20の実施形態では、周期構造体10は2種類のLC共振回路を備えている。第18の実施形態では、3種類のLC共振回路が設けられている。しかしながら、これに限定されない。これらの実施形態においても、3つや4つなど、他の複数種類のLC共振回路が設けられてもよい。この場合、これら複数のLC共振回路は、各種のLC共振回路から反射される反射波どうしが互いに打ち消し合うように設計される。
このように3つや4つなど他の複数種類LC共振回路を備える構造であっても、反射波による電波干渉を抑制し、通信環境を改善できる。
また、第1〜20の実施形態の各々が備える入射波に対する位相差が互いに異なる複数種類(2種類以上)のLC共振回路のうち、各実施形態において少なくとも1種類のLC共振回路の入射波に対する反射波の位相差を−90度以上であって90度以下の値に設定することによって、反射波どうしの打ち消し合いがより一層促進される。
これは、通常の金属板での反射波は、入射波に対して180度前後の位相差を有しているためであり、上記のように少なくとも一種類の反射波の入射波に対する位相差が−90度以上であって90度以下の範囲内の値であることによって、反射波どうしの打ち消し合いがより一層効果的になる。
位相差を−90度以上であって90度以下に設定するためには、上記各実施形態で説明したように、LC共振回路を形成するギャップの幅を調整したり、または、導体パッチの長さを調整したりする。
この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
以下に本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
2種類以上のLC共振回路を具備し、これら2種類以上のLC共振回路は特定の周波数をもつ入射波に対し、反射波位相が前記LC共振回路の各種類で異なる
ことを特徴とする周期構造体。
[2]
複数の導体パッチを具備し、これら導体パッチが互いに隣り合うどうし間にギャップを有して配列されるパッチ層と、
前記パッチ層に対して離間して配置されるグランド層と、
前記パッチ層と前記グランド層との間に設けられる絶縁層と、
前記導体パッチの輪郭部と前記グランド層とを電気的に接続する接続導体と
を具備し、
前記LC共振回路は、互いに隣り合う前記導体パッチ間の前記ギャップと、当該ギャップを規定する互いに隣り合う前記導体パッチと前記グランド層とこれら導体パッチとグランド層とを電気的に接続する前記接続導体とによって形成される電流経路とを具備する
ことを特徴とする[1]に記載の周期構造体。
[3]
複数の第1の導体パッチを具備し、これら第1の導体パッチが互いに隣り合うどうし間にギャップを有して配置される第1のパッチ層と、
前記第1のパッチ層に対して離間して配置されるとともに、複数の第2の導体パッチを具備してこれら第2の導体パッチが互いに隣り合うどうし間にギャップを有して配置される第2のパッチ層と、
前記第2のパッチ層を挟んで前記第1のパッチ層と反対側に設けられるグランド層と、
前記第1のパッチ層と前記第2のパッチ層との間に設けられる第1の絶縁層と、
前記第2のパッチ層と前記グランド層との間に設けられる第2の絶縁層と、
前記第1の導体パッチの各々に設けられる接続導体であって、前記複数の第1の導体パッチのうち互いに隣り合う第1の導体パッチからなる組み合わせを少なくとも1つ以上備えるとともに前記組み合わせが互いに隣り合う導体パッチユニットを、前記複数の第2の導体パッチのうちの1つの共通の前記第2の導体パッチに電気的に直流的に接続する接続導体と
を具備し、
前記2種類以上のLC共振回路のうちの1種類のLC共振回路は、前記接続導体と前記第2の導体パッチとを介して互いに直流的に電気的に接続される前記一対の前記第1の導体パッチ間に規定される第1のギャップを具備し、
他の少なくとも1種類のLC共振回路は、互いに隣り合う前記第1の導体パッチのうち互いに直流的に電気的に接続しない前記第1の導体パッチ間に規定される第2のギャップを具備する
ことを特徴とする[1]に記載の周期構造体。
[4]
複数の導体パッチを具備し、前記導体パッチが互いに隣り合うどうし間にギャップを有して配置されるパッチ層と、
前記パッチ層と離間して配置されるグランド層と、
前記パッチ層と前記グランド層との間に設けられる絶縁層と
を具備し、
前記導体パッチの内部には、当該導体パッチを貫通する溝部が形成され、
前記2種類以上のLC共振回路のうち少なくとも1種類は、隣り合う前記導体パッチ間の前記ギャップを具備し、
他の少なくとも1種類のLC共振回路は、前記導体パッチの前記溝部を具備する
ことを特徴とする[1]に記載の周期構造体。
[5]
前記LC共振回路にさらに絶縁層が積層される
ことを特徴とする[1]〜[4]のうちいずれか1つに記載の周期構造体。
[6]
前記絶縁層は、損失材料で形成される
ことを特徴とする[2]に記載の周期構造体。
[7]
前記第1,2の絶縁層のうち少なくとも一方は、損失材料で形成される
ことを特徴とする[3]または[4]に記載の周期構造体。
[8]
前記さらに積層される絶縁層が損失材料で形成される
ことを特徴とする[5]に記載の周期構造体。
[9]
前記2種類以上のLC共振回路のうち少なくとも1種類のLC共振回路の前記入射波に対する反射波の位相差は、−90度以上90度以下の範囲の値となる
ことを特徴とする[1]に記載の周期構造体。
10…周期構造体、40…パッチ層、41…導体パッチ、50…グランド層、60…絶縁層、70…板状接続導体(接続導体)、71…ビア(接続導体)、75…板状接続導体(接続導体)、80…ギャップ、81…ギャップ、83…ギャップ(第1のギャップ)、84…ギャップ(第2のギャップ)、85…ギャップ(第1のギャップ)、86…ギャップ(第2のギャップ)、90…第1のLC共振回路、91…第2のLC共振回路、94…LC共振回路、95…LC共振回路、96…LC共振回路、98…LC共振回路、99…LC共振回路、110…第1のパッチ層、120…第2のパッチ層、121…第2の導体パッチ、130…第1の絶縁層、140…第2の絶縁層、150…LC共振回路、152…LC共振回路、161…ギャップ、171…ギャップ、220…線路(溝部)、225…ギャップ、230…LC共振回路、240…LC共振回路、400…LC共振回路、401…LC共振回路、700…ギャップ、800…電流経路、I…入射波、R1…第1の反射波(反射波)、R2…第2の反射波(反射波)、R3…反射波、R4…反射波、R5…反射波。
特開2004−140194号公報

Claims (2)

  1. 2種類以上のLC共振回路であって、これら2種類以上のLC共振回路は特定の周波数をもつ入射波に対し、反射波位相が前記LC共振回路の各種類で異なる2種類以上の共振回路と、
    複数の導体パッチを具備し、これら導体パッチが互いに隣り合うどうし間にギャップを有して配列されるパッチ層と、
    前記パッチ層に対して離間して配置されるグランド層と、
    前記パッチ層と前記グランド層との間に設けられる絶縁層と、
    前記導体パッチの輪郭部と前記グランド層とを電気的に接続する接続導体と
    を具備し、
    前記LC共振回路は、互いに隣り合う前記導体パッチ間の前記ギャップと、当該ギャップを規定する互いに隣り合う前記導体パッチと前記グランド層とこれら導体パッチとグランド層とを電気的に接続する前記接続導体とによって形成される電流経路とを具備し、
    前記LC共振回路に損失材料で形成される絶縁層がさらに積層され、
    前記2種類以上のLC共振回路は、異なる種類が交互に並んで配置される
    ことを特徴とする周期構造体。
  2. 前記2種類以上のLC共振回路において、各々のギャップ間の距離は、前記特定の周波数を持つ入射波の波長より短い
    ことを特徴とする請求項1に記載の周期構造体
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