JP4948746B2 - ハイブリッド電池 - Google Patents

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Description

〔技術分野〕
本発明は、高率充放電可能な活物質と低率充放電可能な活物質を組み合わせて一つの電池としたハイブリッド電池に関するものである。
〔背景技術〕
特許第3051401号公報には、活物質を粉体又は粒子にして構成した、いわゆる三次元電池が開示されている。また、国際公開番号WO00/59062号パンフレットには、積層化された三次元電池が開示されている。また、粒子状活物質を充填して固定層とした三次元電池については、特開2002−141101号公報および特開2002−141104号公報に開示されている。
従来の二次電池は、充放電特性が同一の活物質を使用しているので、高電流で充放電できるが電池容量が小さい電池(パワー用電池)と、高電流では充放電できないが低電流の充放電で電池容量が大きい電池(エネルギー用電池)を作り分けている。高電流で充放電できることと、電池容量が大きいことは同時に成立しないので、高電流で充放電できて、かつ、電池容量が大きい電池というものは存在しない。
高電流で充放電できて、かつ電池容量が大きい電池が必要な場合、次の二通りの方法が考えられる。
▲1▼パワー用電池(高電流で充放電できるが電池容量が小さい電池)を使用し、必要な電池容量を確保するまで複数個の電池を接続する。このときはパワーが極めて過剰スペックとなり、不経済な状態となる。
▲2▼エネルギー用電池(低電流の充放電で電池容量が大きい電池)を使用し、必要なパワーを確保するまで複数個の電池を接続する。このときはエネルギーが極めて過剰スペックとなり、不経済な状態となる。
電熱器などの回転部分がない電気器具の場合は、起動時も定常運転時も必要な電流量はほぼ同じであるが、モーターなどの回転部分が存在する電気機器の場合は、起動時(瞬間的に)には定常運転時の約3倍の電流量が必要となる。モーターなどの回転部分が存在する電気機器を電池で稼動させるときは、上記の特性があるので、定常運転時の機器スペックで電池を選択すると、電池は起動時の瞬間的な大電流に耐えることができず、電池寿命が短くなる。
特に電気自動車や電気二輪車などの場合、加速する際に瞬間的な大電流が必要であるが、走行距離を長くするために、エネルギー量も大量に必要であり、電気自動車や電気二輪車の性能は、電池性能に依存する。
セルスタータなどは、瞬間的に大電流が必要であり、時間的には文字通り瞬間的(数秒以内)なものであり、数十分も必要なことはあり得ない。その特性を有するものが鉛蓄電池で、瞬間的なパワーを出す代わりに、鉛蓄電池の全エネルギー量のうち有効に使われるのは、ほんの10%程度である。
本発明は上記の諸点に鑑みなされたもので、本発明が解決しようとする課題は、充放電特性の異なる活物質、すなわち、パワー用活物質とエネルギー用活物質を組み合わせて1つの電池とすることにより、起動時などに瞬間的にパワーを出すことができ、なおかつエネルギー容量が多くなるハイブリッド電池を提供することにある。
〔発明の開示〕
上記の課題を解決するために、本発明のハイブリッド電池は、セパレータを介して接続された2つのセルの一方のセル内の電解液中に正極活物質の成形体が装墳され、他方のセル内の電解液中に負極活物質の成形体が装填され、正極活物質が装填されたセルに正極活物質と接触する正極集電体が設けられ、負極活物質が装墳されたセルに負極活物質と接触する負極集電体が設けられてなる電池に、正極活物質及び負極活物質の少なくともいずれかとして、充放電特性の異なる少なくとも2種類の活物質成形体を組み合わせたものが1つのセルに装填された構成である。
また、本発明のハイブリッド電池は、対向して設けられた正極集電体と負極集電体の間に、蛇腹状のセパレータが交互に両集電体に近接するように配置され、蛇腹状のセパレータと正極集電体で区画される空間に電解液とともに正極活物質の成形体が装墳され、蛇腹状のセパレータと負極集電体で区画される空間に電解液とともに負極活物質の成形体が装填され、正極活物質と負極活物質とがセパレータを挟んで交互に組み込まれてなる電池に、正極活物質及び負極活物質の少なくともいずれかとして、充放電特性の異なる少なくとも2種類の活物質成形体を組み合わせたものが装填されたことを特徴としている。
上記の構成においては、充放電特性の異なる活物質成形体として、高電流で充放電できるが電池容量が小さい電池となるパワー用活物質と、高電流では充放電できないが低電流の充放電で電池容量が大きい電池となるエネルギー用活物質を使用することができる。
また、上記の構成において、充放電持性の異なる活物質成形体は、粒状、板状、ブロック状、棒状、粒子を二次成形したものなど形状は問わない。
また、上記の構成において、活物質成形体の表面の任意の面をイオン通過型集電体で被覆することが好ましい。イオン通過型集電体としては、内部に空隙があってイオンが通過し、電気伝導性があるもの、例えば、発泡ニッケル金属、ニッケル金属網、ニッケルメッキしたパンチングメタル、エキスパンドメタル等の金属、ニッケルメッキしたウレタン等の発泡樹脂、ニッケルメッキしたポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、綿、カーボン繊維等の多孔質材料、シリカ、アルミナ等の無機繊維にニッケルメッキしたもの、有機繊維にニッケルメッキしたもの、フェルトにニッケルメッキしたもの、及び雲母など無機物の箔にニッケルメッキしたもの等が使用可能である。
セパレータとしては、アルカリ電解液中で腐食など変質せず電気的絶縁が可能でイオンが通過するもの、例えば、四フッ化エチレン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロンなどの織物や不織布又はメンブレンフィルター等が使用可能である。
正極集電体、負極集電体としては、アルカリ電解液中で腐食など変質せずイオンが通過しなくて電気伝導性があるもの、例えは、ニッケル金属板、ニッケル金属箔、炭素、ニッケルメッキした鉄やステンレス鋼、ニッケルメッキした炭素等が使用可能である。
活物質成形体としては、電池反応を起こす材料に導電性フィラーと樹脂を加えて硬化させたものが使用できる。
活物質の材料としては、電池の種類や正極、負極を問わず、全ての活物質材料を用いることができる。一例として、ニッケル水素二次電池の正極活物質である水酸化ニッケル、同じく負極活物質である水素吸蔵合金などが用いられる。導電性フィラーとしては、炭素繊維、炭素繊維にニッケルメッキしたもの、炭素粒子、炭素粒子にニッケルメッキしたもの、有機繊維にニッケルメッキしたもの、シリカ、アルミナ等の無機繊維にニッケルメッキしたもの、雲母など無機物の箔にニッケルメッキしたもの、繊維状ニッケル、ニッケル粒子、ニッケル箔を単独又は組み合わせて用いることができる。
また、活物質に加える樹脂としては、軟化温度120℃までの熱可塑性樹脂、硬化温度が常温から120℃までの樹脂、蒸発温度120℃以下の溶剤に溶解する樹脂、水に可溶な溶剤に溶解する樹脂、又はアルコールに可溶な溶剤に溶解する樹脂を用いることかできる。例えば、活物質として水酸化ニッケルを使用する場合は、130℃以上でその活性を失うため、130℃未満で各種処理を行うことが必要である。また、活物質をアルカリ電解液中で使用するため耐アルカリ性が必要である。
軟化温度120℃までの熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)などが使用可能である。硬化温度が常温から120℃までの樹脂としては、反応硬化型樹脂(エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂など)、熱硬化型樹脂(フェノール樹脂など)などが使用可能である。蒸発温度120℃以下の溶剤に溶解する樹脂としては、上記の熱可塑性樹脂が使用可能である。溶剤に可溶性の樹脂は、溶剤に溶解させて活物質材料に添加し、その溶剤を蒸発、抽出などで除去する方法で使用する。また、水に可溶で抽出可能な溶剤に溶解する樹脂としては、ポリエーテルスルフォン(PES)樹脂、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリアミド、ポリイミド等が使用できる。また、アルコールに可溶で抽出可能な溶剤に溶解する樹脂としては、酢酸セルロース、オキサイドフェニレンエーテル(PP0)等が使用できる。
使用する活物質の充放電特性は、電池反応を起こす材料、導電性フィラー及び樹脂の混合割合、成形体の大きさ及び/又は密度などを調整して任意に選定することが可能である。例えば、パワー用活物質の場合は、電池反応を起こす材料は少なく、導電性フィラーは多く、樹脂は少なく、一次粒子径は小さく、二次成形密度は小さくする。また、エネルギー用活物質の場合は、電池反応を起こす材料は多く、導電性フィラーは少なく、樹脂は多く、一次粒子径は大きく、二次成形密度は大きくする。
本発明は上記のように構成されているので、次のような効果を奏する。
(1)充放電特性の異なる活物質、すなわち、パワー用活物質とエネルギー用活物質を組み合わせて1つの電池とすることにより、起動時などに瞬間的にパワーが出せて、なおかつエネルギー容量の多い電池が実規できる。例えば、電池に使用する活物質の全量を100としたとき、50のパワー用活物質と50のエネルギー用活物質を使用することで、瞬間的にパワーが出て、なおかつエネルギーも十分にある電池とすることができる。
(2)使用する活物質の充放電特性と活物質の量は任意に選定できるので、用途に応じた電池性能とすることができる。
(3)瞬間的にパワーを出したパワー用活物質はすぐさま放電が終了するが、エネルギー用活物質はほとんど放電しておらず、エネルギーは十分あるので、エネルギー用活物質からパワー用活物質に充電ができる。したがって、ある間隔をおけば、瞬間的にパワーを出すことを繰り返すことが可能である。
〔発明を実施するための最良の形態〕
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は下記の実施の形態に何ら限定されるものではなく、適宜変更して実施することが可能なものである。
第1図、第2図は、本発明の実施の第1形態によるハイブリッド電池を示している。電池反応を起こす活物質材料に樹脂と導電性フィラーを加えて成形・硬化させ、粒状、板状、ブロック状、棒状などの活物質成形体をつくる。この場合、粒子状の活物質を二次成形して使用することも可能である。電池反応を起こす活物質材料としては、電池の種類や正極、負極を問わず、全ての活物質材料を用いることが可能であるが、例えば、ニッケル水素二次電池の場合、水酸化ニッケル粉末とEVA樹脂と導電性フィラーを混合した後、加圧成形してプレート状の正極活物質をつくることができる。同様に、ニッケル水素二次電池の場合、水素吸蔵合金粉末とEVA樹脂と導電性フィラーを混合した後、加圧成形してプレート状の負極活物質をつくることができる。
一例として、高出力型の正極活物質(パワー用活物質)10は、水酸化ニッケル粉末300gとEVA樹脂200gと導電性フィラー(カーボンブラックとカーボン繊維)300gを混合した後、0.1MPaで加圧成形して得られる。また、低出力型の正極活物質(エネルギー用活物質)12は、水酸化ニッケル粉末3000gとEVA樹脂200gと導電性フィラー(カーボンブラックとカーボン繊維)300gを混合した後、0.1MPaで加圧成形して得られる。
また、高出力型の負極活物質(パワー用活物質)14は、水素吸蔵合金粉末600gとEVA樹脂200gと導電性フィラー(カーボンブラックとカーボン繊維)300gを混合した後、0.1MPaで加圧成形して得られる。低出力型の負極活物質(エネルギー用活物質)16は、水素吸蔵合金粉末6000gとEVA樹脂200gと導電性フィラー(カーボンブラックとカーボン繊維)300gを混合した後、0.1MPaで加圧成形して得られる。
なお、使用する活物質の充放電特性は、樹脂や導電性フィラーの添加量、成形時の圧力などでも調整することが可能である。
アルカリ電解液中で腐食など変質せず、電気的絶縁が可能でイオンが通過する物質からなるセパレータ18を蛇腹状に配置し、電池セルに装填したときに正極集電体20と接触する側に正極活物質10、12を、同じく負極集電体22と接触する側に負極活物質14、16を、それぞれセパレータ18を挟んで蛇腹状に組み込む。この場合、正極活物質10と12、負極活物質14と16のそれぞれの表面はイオン通過型集電体24で被覆することが好ましい。例えば、プレート状の正極活物質、負極活物質の場合、1〜6面の任意の面をイオン通過型集電体で被覆することができる。なお、上述した活物質の成形工程において、活物質をイオン通過型集電体で覆って一体成形することも可能である。また、活物質を粉末状、ペースト状で使用する場合は、イオン通過型集電体を袋状等としたものに、活物質を充填すればよい。イオン通過型集電体としては、内部に空隙があってイオンが通過し電気伝導性があるもの、例えば、発泡ニッケルシート、ニッケル金属網、ニッケルメッキしたパンチングメタル、エキスパンドメタル等の金属、ニッケルメッキしたウレタン等の発泡樹脂、ニッケルメッキしたポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、綿、カーボン繊維等の多孔質材料、シリカ、アルミナ等の無機繊維にニッケルメッキしたもの、有機繊維にニッケルメッキしたもの、フェルトにニッケルメッキしたもの、及び雲母など無機物の箔にニッケルメッキしたもの等が使用可能である。
高出力型の正極活物質(パワー用活物質)10と低出力型の正極活物質(エネルギー用活物質)12、高出力型の負極活物質(パワー用活物賞)14と低出力型の負極活物質(エネルギー用活物質)16は、それそれ任意の形状及び割合で各セルに組み込むことが可能であるが、一例として、第1図、第2図に示すような形態で組み込むことができる。なお、正極、負極のいずれかの極にのみ充放電特性の異なる活物質を組み込むことも可能である。このようにして得られた基本ユニットを、電解質(KOH、NaOH、LiOH等)溶液とともに、電池セルにおける正極集電体20と負極集電体22の間に装填して電池を構成する。セパレータ18としては、四フッ化エチレン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロンなどの織物や不織布又はメンブレンフィルターなどが使用可能である。正極集電体20、負極集電体22としては、ニッケル金属板、ニッケル金属箔、炭素、鉄やステンレス鋼などにニッケルメッキしたもの、炭素にニッケルメッキしたもの等が使用可能である。基本ユニットである蛇腹状単位ユニットは、正極、負極活物質2組からなる構成に限定されず、活物質1組の最小単位のものから任意の組数のものまで適宜選定して製作することが可能である。また、基本ユニットを並列に組み込んだり、直列に積層したりしてスケールアップを図ることも可能である。
つぎに、本実施形態の電池について充電及び放電の詳細を説明する。
(充電)
電池に電圧をかけ、発電手段(図示せず)から負極集電体22へ電子を供給する。電子は負極集電体22より負極活物質14、16に移動して反応する。反応によって発生したイオンはセパレータ18を通過し、正極活物質10、12と反応して電子を放出する。この電子は正極集電体20に移動して発電手段に送られる。
(放電)
負荷から正極集電体20へ電子が供給される。電子は正極集電体20より正極活物質10、12に移動して反応する。反応によって発生したイオンはセパレータ18を通過し、負極活物質14、16と反応して電子を放出する。この電子は負極集電体22に移動して負荷に送られる。
例えば、第1図において、上述した方法で作製した高出力型の正極活物質10、負極活物質14は、エネルギー量が50Ahであって、250Aで1分間放電可能なパワー用活物質となり、低出力型の正極活物質12、負極活物質16は、エネルギー量が50Ahであって、10Aで5時間放電可能なエネルギー用活物質となり、これらを同じ電池に使用する。この場合、活物質の全エネルギー量は100Ahであるが、初めの1分間は250Aでの放電が可能で、後の5時間は10Aでの放電が可能となる。つまり、瞬間的に高率放電ができ、なおかつエネルギー容量が多い電池となる。また、250Aで1分間放電した後、数十分後にはまた250A放電が可能である。このように、瞬間的にパワーを出したパワー用活物質はすぐさま放電が終了するが、エネルギー用活物質はほとんど放電しておらず、エネルギーは十分あるのでエネルギー用活物質からパワー用活物質に充電ができる。したがって、ある間隔をおけは、瞬間的にパワーを出すことを繰り返すことが可能である。また、使用する活物質の充放電特性と活物質の量は任意に選定できるので、用途に応じた電池性能とすることが可能である。
第3図、第4図は、本発明の実施の第2形態によるハイブリッド電池を示している。電池反応を起こす活物質材料に樹脂と導電性フィラーを加えて成形・硬化させ、粒状の活物質成形体をつくる。この場合、粒子状の活物質を二次成形して使用することも可能である。電池反応を起こす活物質材料としては、電池の種類や正極、負極を問わず、全ての活物質材料を用いることが可能であるが、例えば、ニッケル水素二次電池の場合、水酸化ニッケル粉末とEVA樹脂と導電性フィラーを混合した後、撹拌造粒又は加圧成形等して粒状の正極活物質をつくることができる。同様に、ニッケル水素二次電池の場合、水素吸蔵合金粉末とEVA樹脂と導電性フィラーを混合した後、撹拌造粒又は加圧成形等して粒状の負極活物質をつくることができる。
一例として、高出力型の正極活物質(パワー用活物質)26の作り方は以下の通りである。水酸化ニッケル粉末300gと、EVA樹脂200gを60℃に加熱したキシレン1000gに溶解させたものと、導電性フィラー(カーボンブラックとカーボン繊維)300gを撹拌・混合した後、撹拌しながら混練物を冷却粉砕して粉末状とする。この粉末をハイスピードミキサーに入れ、アジテータで粉体全体を撹拌しつつ、チョッパーで造粒粒子の粒径を調節する。撹拌を続けながら粉体の温度を常温から50℃に昇温し、造粒粒子が生成した後、冷却しつつ撹拌を停止する。この粒子を常温・常圧で乾燥してキシレンを除去する。得られた粒子を2.88mm目の篩と1mm目の篩でふるい、1〜2.88mmの粒径の造粒粒子を高出力型の正極活物質26として使用する。
低出力型の正極活物質(エネルギー用活物質)28は、水酸化ニッケル粉末を3000gとして同じ方法で作ることができる。
同様に、高出力型の負極活物質(パワー用活物質)30の作り方の一例は以下の通りである。水素吸蔵合金粉末600gと、EVA樹脂200gを60℃に加熱したキシレン1000gに溶解させたものと、導電性フィラー(カーボンブラックとカーボン繊維)300gを撹拌・混合した後、撹拌しながら混練物を冷却粉砕して粉末状とする。この粉末をハイスピードミキサーに入れ、アジテータで粉体全体を撹拌しつつ、チョッパーで造粒粒子の粒径を調節する。撹拌を続けながら粉体の温度を常温から50℃に昇温し、造粒粒子が生成した後、冷却しつつ撹拌を停止する。この粒子を常温・常圧で乾燥してキシレンを除去する。得られた粒子を2.88mm目の篩と1mm目の篩でふるい、1〜2.88mmの粒径の造粒粒子を高出力型の負極活物質30として使用する。
低出力型の負極活物質(エネルギー用活物質)32は、水素吸蔵合金粉末を6000gとして同じ方法で作ることができる。
なお、使用する活物質の充放電特性は、樹脂や導電性フィラーの添加量、造粒粒径などでも調整することが可能である。
アルカリ電解液中で腐食など変質せず、電気的絶縁が可能でイオンが通過する物質からなるセパレータ34を介して、正極、負極それぞれのセルが形成され、正極セルに正極活物質26、28、負極セルに負極活物質30、32が電解質溶液とともに装填されている。正極セルには、正極活物質26、28と接触する正極集電体20が設けられ、負極セルには、負極活物質30、32と接触する負極集電体22が設けられている。正極集電体20、負極集電体22は、アルカリ電解液中で腐食など変質せず、イオンが通過しなくて電気伝導性がある物質からなり、集電体を介して外部に電気が取り出される。第4図に示すように、セルに装填された正極活物質、負極活物質をイオン通過型集電体24で被覆することも可能である。
高出力型の正極活物質(パワー用活物質)26と低出力型の正極活物質(エネルギー用活物質)28、高出力型の負極活物質(パワー用活物質)30と低出力型の負極活物質(エネルギー用活物質)32は、均一に混合した状態でなければ、それぞれ任意の形態及び割合で各セルに組み込むことが可能であるが、一例として、第3図に示すような形態で組み込むことができる。なお、第3図、第4図においては、高出力型の正極活物質26を円形、低出力型の正極活物質28を三角形、高出力型の負極活物質30を八角形、低出力型の負極活物質32を六角形で図示しているが、これはそれぞれを区別するために模式的に描いたものであり、実際はすべてほぼ同じ形状の粒子状活物質である。また、正極、負極のいずれかの極にのみ充放電特性の異なる活物質を組み込むことも可能である。
例えば、第3図において、上述した方法で作製した高出力型の正極活物質26、負極活物質30は、エネルギー量が50Ahであって、250Aで1分間放電可能なパワー用活物質となり、低出力型の正極活物質28、負極活物質32は、エネルギー量が50Ahであって、10Aで5時間放電可能なエネルギー用活物質となり、これらを同じ電池に使用する。この場合、活物質の全エネルギー量は100Ahであるが、初めの1分間は250Aでの放電が可能で、後の5時間は10Aでの放電が可能となる。また、250Aで1分間放電した後、数十分後にはまた250A放電が可能である。
他の構成及び作用は、実施の第1形態の場合と同様である。
第5図、第6図、第7図は、本発明の実施の第3形態によるハイブリッド電池を示している。電池反応を起こす活物質材料に樹脂と導電性フィラーを加えて成形・硬化させ、板状、ブロック状、棒状などの活物質成形体をつくる。この場合、粒状に成形した活物質を二次成形して使用することも可能である。電池反応を起こす活物質材料としては、電池の種類や正極、負極を問わず、全ての活物質材料を用いることが可能であるが、例えば、ニッケル水素二次電池の場合、水酸化ニッケル粉末とEVA樹脂と導電性フィラーを混合した後、加圧成形してブロック状又はブレート状の正極活物質をつくることができる。同様に、ニッケル水素二次電池の場合、水素吸蔵合金粉末とEVA樹脂と導電性フィラーを混合した後、加圧成形してブロック状又はプレート状の負極活物質をつくることができる。
一例として、高出力型の正極活物質(パワー用活物質)36は、水酸化ニッケル粉末300gとEVA樹脂200gと導電性フィラー(カーボンブラックとカーボン繊維)300gを混合した後、0.1MPaで加圧成形して得られる。また、低出力型の正極活物質(エネルギー用活物質)38は、水酸化ニッケル粉末3000gとEVA樹脂200gと導電性フィラー(カーボンブラックとカーボン繊維)300gを混合した後、0.1MPaで加圧成形して得られる。
また、高出力型の負極活物質(パワー用活物質)40は、水素吸蔵合金粉末600gとEVA樹脂200gと導電性フィラー(カーボンブラックとカーボン繊維)300gを混合した後、0.1MPaで加圧成形して得られる。低出力型の負極活物質(エネルギー用活物質)42は、水素吸蔵合金粉末6000gとEVA樹脂200gと導電性フィラー(カーボンブラックとカーボン繊維)300gを混合した後、0.1MPaで加圧成形して得られる。
なお、使用する活物質の充放電特性は、樹脂や導電性フィラーの添加量、成形時の圧力などでも調整することが可能である。
アルカリ電解液中で腐食など変質せず、電気的絶縁が可能でイオンが通過する物質からなるセパレータ34を介して、正極、負極それぞれのセルが形成され、正極セルに正極活物質36、38、負極セルに負極活物質40、42が電解質溶液とともに装填されている。正極セルには、正極活物質36、38と接触する正極集電体20が設けられ、負極セルには、負極活物質40、42と接触する負極集電体22が設けられている。正極集電体20、負極集電体22は、アルカリ電解液中で腐食など変質せず、イオンが通過しなくて電気伝導性がある物質からなり、集電体を介して外部に電気が取り出される。第6図に示すように、正極活物質、負極活物質をイオン通過型集電体24で被覆することも可能である。
高出力型の正極活物質(パワー用活物質)36と低出力型の正極活物質(エネルギー用活物質)38、高出力型の負極活物質(パワー用活物質)40と低出力型の負極活物質(エネルギー用活物質)42は、それそれ任意の形状及び割合で各セルに組み込むことが可能であるが、一例として、第5図、第7図に示すような形態で組み込むことができる。なお、正極、負極のいずれかの極にのみ充放電特性の異なる活物質を組み込むことも可能である。
例えば、第5図において、上述した方法で作製した高出力型の正極活物質36、負極活物質40は、エネルギー量が50Ahであって、250Aで1分間放電可能なパワー用活物質となり、低出力型の正極活物質38、負極活物質42は、エネルギー量が50Ahであって、10Aで5時間放電可能なエネルギー用活物質となり、これらを同じ電池に使用する。この場合、活物質の全エネルギー量は100Ahであるが、初めの1分間は250Aでの放電が可能で、後の5時間は10Aでの放電が可能となる。また、250Aで1分間放電した後、数十分後にはまた250A放電が可能である。
他の構成及び作用は、実施の第1、第2形態の場合と同様である。
〔産業上の利用の可能性〕
本発明は、以上説明したように構成されているので、起動時などに瞬間的にパワーを出すことができ、なおかつエネルギー容量が多くなるハイブリッド電池として適している。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の実施の第1形態によるハイブリッド電池(蛇腹状ユニットの場合)の一例を示す模式図である。
第2図は、本発明の実施の第1形態によるハイブリッド電池(蛇腹状ユニットの場合)の他の例を示す模式図である。
第3図は、本発明の実施の第2形態によるハイブリッド電池(活物質が粒子状の場合)の一例を示す模式図である。
第4図は、本発明の実施の第2形態によるハイブリッド電池(活物質が粒子状の場台)の他の例を示す模式図である。
第5図は、本発明の実施の第3形態によるハイブリッド電池(活物質が板状の場合)の一例を示す摸式図である。
第6図は、本発明の実施の第3形態によるハイブリッド電池(活物質が板状の場合)の他の例を示す模式図である。
第7図は、本発明の実施の第3形態によるハイブリッド電池(活物質が板状の場合)のさらに他の例を示す模式図である。

Claims (7)

  1. セパレータを介して接続された2つのセルの一方のセル内の電解質液中に正極活物質の成形体が装填され、他方のセル内の電解質液中に負極活物質の成形体が装填され、正極活物質が装填されたセルに正極活物質と接触する正極集電体が設けられ、負極活物質が装填されたセルに負極活物質と接触する負極集電体が設けられてなる電池において、
    正極活物質及び負極活物質の少なくともいずれかとして、高電流で充放電できるが電池容量が小さい電池となるパワー用活物質の成形体と、高電流では充放電できないが低電流の充放電で電池容量が大きい電池となるエネルギー用活物質の成形体とを組み合わせたものが1つのセルに装填されたハイブリッド電池であって、
    前記活物質の成形体は、活物質材料に樹脂と導電性フィラーを加えて成形・硬化させた成形体であり、
    上記活物質成形体の表面をイオン通過型集電体で被覆したことを特徴とするハイブリッド電池。
  2. 対向して設けられた正極集電体と負極集電体の間に、蛇腹状のセパレータが交互に両集電体に近接するように配置され、蛇腹状のセパレータと正極集電体で区画される空間に電解液とともに正極活物質の成形体が装填され、蛇腹状のセパレータと負極集電体で区画される空間に電解液とともに負極活物質の成形体が装填され、正極活物質と負極活物質とがセパレータを挟んで交互に組み込まれてなる電池において、
    正極活物質及び負極活物質の少なくともいずれかとして、高電流で充放電できるが電池容量が小さい電池となるパワー用活物質の成形体と、高電流では充放電できないが低電流の充放電で電池容量が大きい電池となるエネルギー用活物質の成形体とを組み合わせたものが1つのセルに装填されたハイブリッド電池であって、
    前記活物質の成形体は、活物質材料に樹脂と導電性フィラーを加えて成形・硬化させた成形体であり、
    上記活物質成形体の表面をイオン通過型集電体で被覆したことを特徴とするハイブリッド電池。
  3. イオン通過型集電体が、内部に空隙があってイオンが通過して電気伝導性があるものであり、発泡ニッケル金属、ニッケル金属網、ニッケルメッキしたパンチングメタル又はエキスパンドメタル、ニッケルメッキした発泡樹脂、ニッケルメッキした多孔質材料、無機繊維にニッケルメッキしたもの、有機繊維にニッケルメッキしたもの、フェルトにニッケルメッキしたもの、及び無機物の箔にニッケルメッキしたものの少なくともいずれかである請求項1または2記載のハイブリッド電池。
  4. セパレータが、アルカリ電解液中で変質せず電気的絶縁が可能でイオンが通過するものであり、四フッ化エチレン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン及びナイロンの少なくともいずれかからなる織物、不織布又はメンブレンフィルターである請求項1、2または3記載のハイブリッド電池。
  5. 正極集電体及び負極集電体が、アルカリ電解液中で変質せずイオンが通過しなくて電気伝導性があるものであり、ニッケル金属板、ニッケル金属箔、炭素、ニッケルメッキした鉄、ニッケルメッキしたステンレス鋼及びニッケルメッキした炭素の少なくともいずれかである請求項1、2、3または4記載のハイブリッド電池。
  6. 活物質成形体が、電池反応を起こす材料に導電性フィラーと樹脂を加えて硬化させたものである請求項1、2、3、4または5記載のハイブリッド電池。
  7. 電池反応を起こす材料、導電性フィラー及び樹脂の混合割合、並びに成形体の大きさ及び/又は密度の少なくともいずれかを調整して、パワー用活物質の成形体とエネルギー用活物質の成形体とを得るようにした請求項6記載のハイブリッド電池。
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