上記のように2つの半導体レーザを搭載した光ピックアップにおいては、光ピックアップ自体の小形化及び低コスト化を目的として、対物レンズやコリメートレンズなどの集光光学系部分を共通にした光学系構成としているものが多く存在している。このような従来の光学系構成の一例を図1(a)、(b)に示す。
図1(a)において、例えば650nmの波長で発振する半導体レーザ11より出射した光ビームは、ダイクロハーフプリズム12に至る。ダイクロハーフプリズム12は2つのプリズムを張合わせた光学素子であり、その内部に650nm波長のレーザ光を約50%反射かつ約50%透過させ、780nm波長のレーザ光を約100%透過する反射膜を形成してある。半導体レーザ11より出射した光ビームは、その光軸に対して45°の角度をなして配置されているダイクロハーフプリズム12の反射膜において反射した後、コリメートレンズ5によって平行な光ビームに変換され、対物レンズ6に達する。対物レンズ6はアクチュエータ7に一体に保持されており、駆動コイル8に通電することにより、例えばDVD−ROMなどの光ディスク1の情報記録面上に光ビームを合焦し光スポットを形成することが可能である。光ディスク1を反射した光ビームは、往路光と同様の光路を逆にたどって対物レンズ6、コリメートレンズ5を経て、ダイクロハーフプリズム12に到達する。戻り光量の約50%はダイクロハーフプリズム12を透過した後、ダイクロハーフミラー13に到達する。ここで、ダイクロハーフミラー13は650nm波長のレーザ光を約100%透過し、780nm波長のレーザ光に関しては約50%透過させ約50%を反射させる光学素子である。
そのため、ダイクロハーフミラー13に到達した光ビームは、ダイクロハーフミラー13を透過した後に光検出器14の所定の位置に集光されるようになっている。
一方、図1(b)において、例えば780nmの波長で発振する半導体レーザ15より出射した光ビームは、3ビーム生成用の回折格子16を透過した後、光軸に対して約45°の角度をなして配置されているダイクロハーフミラー13に至るように構成されている。先述したようにダイクロハーフミラー13は780nm波長のレーザ光を約50%反射する特性を備えており、かつダイクロハーフプリズム12は780nm波長のレーザ光を約100%透過する特性を備えているため、半導体レーザ15より出射した光ビームはダイクロハーフミラー13により反射しダイクロハーフプリズム12を透過した後、コリメートレンズ5によって平行な光ビームに変換され、対物レンズ6に達する。対物レンズ6は、例えばCD−ROMなどの光ディスク10に対しても、半導体レーザ15より出射された光ビームを光ディスク上の情報記録面に集光可能なレンズであり、光ディスク10の情報記録面上に光スポットを形成している。光ディスク10を反射した光束は、往路光と同様の光路を逆にたどって対物レンズ6、コリメートレンズ5、ダイクロハーフプリズム12を経て、ダイクロハーフミラー13に到達する。
先述したようにダイクロハーフミラー13は、780nm波長のレーザ光を約50%透過する光学素子であるため、ダイクロハーフミラー13に到達した光ビームは、ダイクロハーフミラー13を透過した後に光検出器14の所定の位置に集光されるようになっている。
図1に示した従来の光学系の構成においてはダイクロハーフプリズム12からコリメートレンズ5を経て対物レンズ6に至る集光光学系部分が共通化されており部品数の低減が図られているが、2つの異なる波長に対して波長選択性があり所定の光学特性をもつダイクロハーフプリズムやダイクロハーフミラーなどの波長選択性の光学素子や2つの異なる波長の半導体レーザを必要としているが、これら波長選択性の光学素子及び半導体レーザは光ピックアップの構成部品からみるとまだまだ高価な部品であり、光ピックアップの更なる低価格化の妨げとなっていた。
以上の状況を鑑み、本発明が解決すべき課題は、複数の種類の異なる光ディスクに対して情報の記録あるいは再生を行う光ピックアップ及びそれを用いた光ディスク装置において、従来の光学系構成と比較して簡素な構成を実現すると同時に、安価な光学素子やできるだけ少ない半導体レーザを用いることにより低コストな光学系構成実現することにある。
上記の課題を解決するために本発明における光検出器、光ピックアップ及びそれを用いた光学的情報再生装置では、第1または第2もしくは両方のレーザ光源を有する半導体レーザと、前記第1または第2もしくは両方のレーザ光源より出射された光ビームを少なくとも3本の光ビームに分岐する光分岐素子と、前記3本の光ビームを含む光ビームを異なる第1または第2の光学的情報記録媒体に集光し光学的情報記録媒体上の所定の位置に各々独立した光スポットを照射する集光光学系と、前記第1のレーザ光源から発し前記第1の光学的情報記録媒体で反射した光ビームが照射される位置に配置される第1の受光領域と、前記第2のレーザ光源から発し前記第2の光学的情報記録媒体で反射した光ビームが照射される位置に配置される第2の受光領域とを有する光検出器と、前記光検出器から得られる光電変換信号に所定の演算を施すことにより前記光学的情報記録媒体に照射された光スポットのフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号の生成と前記光学的情報記録媒体に記録されている情報信号の再生を行う信号処理回路とを有するものであって、前記光検出器は田の字型に4分割された前記第1及び第2の受光領域とを備え、前記信号処理回路は前記第1または前記第2もしくは両方の受光領域からそれぞれ独立に非点収差方式によるフォーカスエラー信号を生成出来る信号を出力し、前記第1あるいは第2もしくは両方の受光領域からディファレンシャルフェーズディテクション方式によるトラッキングエラー信号を生成出来る信号を出力するようにする。
また、上記の課題を解決するために本発明では、前記光検出器は前記第1のレーザ光源から発し前記第1の光学的情報記録媒体で反射した光ビームが照射される位置に配置され各々が2分割され、各々2つの受光面を有する第3及び第4の受光領域とを備え、前記信号処理回路は前記第3または第4もしくは両方の受光領域からそれぞれ独立にプッシュプル方式によるトラッキングエラー信号を生成出来る信号を出力するようにする。
さらに、上記の課題を解決するために本発明では、前記光検出器は前記第1のレーザ光源から発し前記第1の光学的情報記録媒体で反射した光ビームが照射される位置に配置された第3及び第4の受光領域とを備え、前記信号処理回路は前記第3及び第4の受光領域から3ビーム方式によるトラッキングエラー信号を生成出来る信号を出力するようにする。
また、上記の課題を解決するために本発明では、前記光検出器は前記第1のレーザ光源から発し前記第1の光学的情報記録媒体で反射した光ビームが照射される位置に配置された田の字型に4分割された第3及び第4の受光領域とを備え、前記信号処理回路は前記第3または第4もしくは両方の受光領域からそれぞれ独立に非点収差方式によるフォーカスエラー信号を生成出来る信号を出力し、前記第3または第4もしくは両方の受光領域からそれぞれ独立にプッシュプル方式によるトラッキングエラー信号を生成出来る信号を出力するようにする。
さらに、上記の課題を解決するために本発明では、前記光検出器は前記第2のレーザ光源から発し前記第2の光学的情報記録媒体で反射した光ビームが照射される位置に配置され各々が2分割され、各々2つの受光面を有する第5及び第6の受光領域とを備え、前記信号処理回路は前記第5または第6もしくは両方の受光領域からそれぞれ独立にプッシュプル方式によるトラッキングエラー信号を生成出来る信号を出力するようにする。
また、上記の課題を解決するために本発明では、前記光検出器は前記第2のレーザ光源から発し前記第2の光学的情報記録媒体で反射した光ビームが照射される位置に配置された第5及び第6の受光領域とを備え、前記信号処理回路は前記第5及び第6の受光領域から3ビーム方式によるトラッキングエラー信号を生成出来る信号を出力するようにする。
さらに、上記の課題を解決するために本発明では、前記光検出器は前記第2のレーザ光源から発し前記第2の光学的情報記録媒体で反射した光ビームが照射される位置に配置された田の字型に4分割された第5及び第6の受光領域とを備え、前記信号処理回路は前記第5または第6もしくは両方の受光領域からそれぞれ独立に非点収差方式によるフォーカスエラー信号を生成し、前記第5または第6もしくは両方の受光領域からそれぞれ独立にプッシュプル方式によるトラッキングエラー信号を生成するようにする。
また、上記の課題を解決するために本発明では、第1または第2もしくは両方のレーザ光源を有する半導体レーザと、前記第1または第2もしくは両方のレーザ光源より出射された光ビームをそれぞれ3本の光ビームに分岐する光分岐素子と、前記3本に分岐された光ビームを第1または第2の光学的情報記録媒体に集光し光学的情報記録媒体上の所定の位置に各々独立した光スポットを照射する集光光学系と、前記第1のレーザ光源から発し前記第1の光学的情報記録媒体で反射した3つの光ビームがそれぞれ独立に受光されるように配置された第1、第2及び第3の受光領域と、前記第2のレーザ光源から発し前記第2の光学的情報記録媒体で反射した3つの光ビームがそれぞれ独立に受光されるように配置された第4、第5及び第6の受光領域とを有する光検出器と、前記光検出器から得られる光電変換信号に所定の演算を施すことにより前記第1または第2の光学的情報記録媒体に照射された光スポットのフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号の生成と前記第1または第2の光学的情報記録媒体に記録されている情報信号の再生を行う信号処理回路とを有するものであって、前記第1及び第4の受光領域は各々が田の字型に4分割され、各々4つの受光面を有し、前記第2、第3、第5及び第6の受光領域は各々が少なくとも2分割され、各々少なくとも2つの受光面を有し、前記信号処理回路は前記第1または第4もしくは両方の受光領域からそれぞれ独立に非点収差方式によるフォーカスエラー信号を生成し、前記第1または第4もしくは両方の受光領域からディファレンシャルフェーズディテクション方式によるトラッキングエラー信号を生成し、前記第2または第3または第5または第6もしくはこれらの各々の受光領域からはそれぞれ独立にプッシュプル方式によるトラッキングエラー信号を生成するようにする。
さらに、上記の課題を解決するために本発明では、前記第1及び第2の光学的情報記録媒体にそれぞれに照射された複数の光スポットのうち、少なくとも1組の光スポットにおけるトラックに垂直な方向の光スポット間隔がそれぞれの光学的情報記録媒体におけるトラックピッチの略2分の1であり、前記第1及び第2の光学的情報記録媒体におけるトラックピッチの比と前記第1及び第2のレーザ光源における波長の比が略等しくなるようにする。
なお、前記第1または第2もしくは両方のレーザ光源は、1つの筐体内に設けるものであっても良い。
また、前記光検出器から得られる光電変換信号に所定の演算を施すことにより前記光学的情報記録媒体に照射された光スポットのフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号の生成を行う信号処理回路は、光検出器、または、光ピックアップに設けるものであっても良い。
ここで、前記光検出器の受光領域を田の字型に4分割する方法の説明をする。この4分割する方法を用いることで、前記光検出器における受光領域が、互いに交差する第1の分割線と第2の分割線によって、4つに分割される。即ち、受光領域の4分割後の形状は、漢字の『田』の字型となるのである。
また、上記の課題を解決するために本発明における光ピックアップもしくは、それを用いた光学的情報再生装置では、第1または第2もしくは両方のレーザ光源を有する半導体レーザと、前記第1または第2もしくは両方のレーザ光源より出射された光ビームを少なくとも3本の光ビームに分岐する光分岐素子と、前記3本の光ビームを含む光ビームを異なる第1または第2の光学的情報記録媒体に集光し光学的情報記録媒体上の所定の位置に各々独立した光スポットを照射する集光光学系と、前記第1のレーザ光源から発し前記第1の光学的情報記録媒体で反射した光ビームが照射される第1の位置を受光範囲内とするように配置される第1の受光領域と、前記第2のレーザ光源から発し前記第2の光学的情報記録媒体で反射した光ビームが照射される第2の位置を受光範囲内とするように配置される第2の受光領域とを有する光検出器と、前記第1の光学的情報記録媒体で反射した光ビームまたは、前記第2の光学的情報記録媒体で反射した光ビームを前記光検出器の所定の位置に導く光検出光学系とを備えるようにする。
また、前記光検出光学系は該第1の半導体レーザ光源を発し前記光学的情報記録媒体を反射した前記第1の光ビームを前記光検出器の所定位置にある第1の受光領域に導く機能と、前記光学的情報記録媒体を反射した前記第2の光ビームを前記光検出器内の前記第1の受光領域とは異なる位置にある第2の受光領域に導く機能とを有するものとする。
なお、前記光検出光学系は直線状もしくは曲線状の格子溝パターンを有するホログラム素子を備えており、前記ホログラム素子の一例としては、所定の波長を有する前記第1の光ビームは回折せず、該第1の光ビームとは異なる波長を有する前記第2の光ビームは所定の回折効率で回折させる波長選択性を持たせる。
また別の例としては所定の偏光方向を有する光ビームを回折せずに、該偏光方向に対して垂直な偏光方向を持つ光ビームを所定の回折効率で回折させる偏光選択性を持たせ、また前記第1または、第2の半導体レーザ光源を発し、前記光学的情報記録媒体を反射して前記ホログラム素子に向かう前記第1または、第2の光ビームの光路中に、前記ホログラム素子によって回折されない所定の偏光方向を前記第1の光ビームに与え、前記ホログラム素子によって回折される偏光方向を前記第2の光ビームに与える様な偏光変換素子を備える。
また前記集光光学系は前記第1の半導体レーザ光源から出射した第1の光ビームを集光して所定の基板厚さを有する第1の光学的情報記録媒体に絞り込む機能を持たせ、前記第2の半導体レーザ光源から出射した第2の光ビームを集光して第1の光学的情報記録媒体とは異なる基板厚さを有する第2の光学的情報記録媒体に絞り込む機能を持たせる。
さらに以上の光ピックアップ装置において、前記第1の半導体レーザ光源は660nm以下の波長を有する半導体レーザ光源であり、第1の光学的情報記録媒体は約0.6mmの基板厚さを有する光ディスクであり、また前記第2の半導体レーザ光源は波長780nm乃至790nmを有する半導体レーザ光源であり、第2の光学的情報記録媒体は約1.2mmの基板厚さを有する光ディスクであることを特徴としている。また前記偏光変換素子は、前記第1の半導体レーザ光源から出射した前記第1の光ビームに対して5λ/4板として働く事を特徴とする。
また以上の光ピックアップ装置において、前記第1の半導体レーザ光源を発し前記第1の光学的情報記録媒体を反射した第1の光ビームからフォーカス誤差信号を検出する際は非点収差方式を用い、前記第2の半導体レーザ光源を発し前記第2の光学的情報記録媒体を反射した第2の光ビームからフォーカス誤差信号を検出する際は、非点収差方式もしくはナイフエッジ方式もしくはビームサイズ方式を用い、前記第1の半導体レーザ光源を発し、前記第1の光学的情報記録媒体を反射した第1の光ビームからトラッキング誤差信号を検出する際は位相差検出方式(Differential Phase Detection方式)もしくはディファレンシャルプッシュプル方式(DPP方式)を用い、前記第2の半導体レーザ光源を発し前記第2の光学的情報記録媒体を反射した第2の光ビームからトラッキング誤差信号を検出する際はプッシュプル方式またはディファレンシャルプッシュプル方式または3スポット方式を用いる。
また前記第2の光学的情報記録媒体のトラッキング誤差信号をディファレンシャルプッシュプル方式によって検出する場合は、前記第2の半導体レーザ光源を発した前記第2の光ビームを少なくとも3本の光ビームに回折分離させ、かつ該3本の光ビームのスポット間隔を前記第2の光学的情報記録媒体上の半径方向では該光学的情報記録媒体の情報トラックのトラックピッチのほぼ2分の1にする3スポット用回折格子を備えており、さらに該3スポット用回折格子は前記第1の半導体レーザ光源を発した前記第1の光ビームを少なくとも3本の光ビームに回折分離させ、該3本の光ビームのスポット間隔を前記第1の光学的情報記録媒体上の半径方向では所定の追記型もしくは書き換え可能型光学的情報記録媒体にあらかじめ形成されている溝部のピッチのほぼ2分の1にする。
また、前記光検出光学系の位置を調整することによって、前記光学的情報記録媒体で反射した前記第1または第2の光ビームが導かれる前記光検出器内の受光領域の位置を調整することが出来る。
また、前記光検出光学系の位置を調整することによって、前記光学的情報記録媒体で反射した前記第1または第2の光ビームが導かれる前記光検出器内の受光領域の位置を同じ直線状に配置することが出来る。
また、前記光検出光学系の位置を調整することによって、前記光学的情報記録媒体で反射した前記第1または第2の光ビームが導かれる前記光検出器内の受光領域を同一とすることが出来る。
もしくは、本発明における光ピックアップまたは、それを用いた光学的情報再生装置では、第1または第2もしくは両方のレーザ光源を有する半導体レーザと、
前記第1または第2もしくは両方のレーザ光源より出射された光ビームを少なくとも3本の光ビームに分岐する光分岐素子と、前記3本の光ビームを含む光ビームを異なる第1または第2の光学的情報記録媒体に集光し光学的情報記録媒体上の所定の位置に各々独立した光スポットを照射する集光光学系と、前記第1の光学的情報記録媒体で反射した光ビームが照射される第1の位置を受光範囲内とするように配置される第1の受光領域と、前記第2の光学的情報記録媒体で反射した光ビームが照射される第2の位置を受光範囲内とするように配置される第2の受光領域とを有する光検出器と、前記第1の光学的情報記録媒体で反射した光ビームまたは、前記第2の光学的情報記録媒体で反射した光ビームを前記光検出器の所定の位置に導く光検出光学系とを備えるようにする。
また、前記光ピックアップにおいて、前記第1の光学的情報記録媒体で反射した光ビームが照射される第1の位置と前記第2の光学的情報記録媒体で反射した光ビームが照射される第2の位置との相対的な位置を変えるように、前記光検出光学系が、前記第1の光学的情報記録媒体で反射した光ビームまたは、前記第2の光学的情報記録媒体で反射した光ビームを前記光検出器に導くこととする。
また、前記光ピックアップにおいて、前記第1の光学的情報記録媒体で反射した光ビームが照射される第1の位置を受光範囲内とするように配置される第1の受光領域と前記第2の光学的情報記録媒体で反射した光ビームが照射される第2の位置を受光範囲内とするように配置される第2の受光領域とが異なる位置に設けられるように、前記光検出光学系が、前記第1の光学的情報記録媒体で反射した光ビームまたは、前記第2の光学的情報記録媒体で反射した光ビームを前記光検出器に導くこととする。
また、前記光ピックアップにおいて、前記第1の光学的情報記録媒体で反射した光ビームが照射される第1の位置と前記第2の光学的情報記録媒体で反射した光ビームが照射される第2の位置との相対的な位置を変えることで、前記第1の受光領域と前記第2の受光領域を直線状に配置するように、前記光検出光学系が、前記第1の光学的情報記録媒体で反射した光ビームまたは、前記第2の光学的情報記録媒体で反射した光ビームを前記光検出器に導くこととする。
また、前記光ピックアップにおいて、前記第1の光学的情報記録媒体で反射した光ビームが照射される第1の位置と前記第2の光学的情報記録媒体で反射した光ビームが照射される第2の位置との相対的な位置を変えることで、前記第1の受光領域と前記第2の受光領域を同じ位置とするように、前記光検出光学系が、前記第1の光学的情報記録媒体で反射した光ビームまたは、前記第2の光学的情報記録媒体で反射した光ビームを前記光検出器に導くこととする。
以上述べたように本発明の実施例によれば、2つの異なる波長のレーザ光源を同一の筐体内に配置した半導体レーザと、少なくとも一つの回折格子、及び1つの光検出器を用いた光ピックアップの光学系構成で、DVD−ROM、DVD−RAMやCD−ROMなどの異なる基板厚さや異なる溝構造からなる各種光ディスクの再生あるいは記録に必要なフォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号を得ることが可能である。さらに、2つのレーザ波長の比と光ディスクのトラックピッチの比が略等しい場合には、1つの回折格子で光学系が実現できると同時に、この回折格子やハーフミラーなどの光学部品に関しては波長特性や偏光特性を必要としないために、従来と比較して簡素で低価格な光学系を実現することができる。
一方、光ピックアップ装置の光源に2波長マルチレーザを用いた場合に、本発明に基づく回折格子では、光検出器の受光領域を2波長に対して共用化を可能とするので、1つの対物レンズと1系統の光検出系で複数種類の光ディスクの情報の再生を行う事により光学部品数を低減し、光ピックアップ装置のさらなる小型化、簡略化、低価格化を実現できる。
以下、本発明の第1の実施例としての光ピックアップの構成ならびに動作について図面を参照しながら説明する。
図2(a)において、半導体レーザ2は例えば650nmの波長で発振するレーザ光源と例えば780nmの波長で発振するレーザ光源が同一の筐体内に配置されたもの(2波長マルチレーザ)であり、2つのレーザ光源は所定の間隔dで配置されている構成である。図2(a)においては、半導体レーザ2内の650nmのレーザ光源が点灯した状態を示している。650nmのレーザ光源より出射した光ビームは、回折格子3を透過してハーフミラー4に至る。ここで、回折格子3を透過した光ビームは、格子上に形成された回折溝によりそのまま透過する0次光及び所定の回折角で0次光から分離進行する±1次回折光の少なくとも3つの光ビームとなる構成である。ハーフミラー4は光ビームの光軸に対して、45°の角度をなすように配置されており、その表面に形成された反射膜で650nm波長のレーザ光を約50%反射すると同時に約50%透過させる光学素子である。光ビームは、その光軸に対して45°の角度をなして配置されているハーフミラー4の反射膜において反射した後、コリメートレンズ5によって平行な光ビームに変換され、対物レンズ6に達する。ここで、対物レンズ6は650nm波長および780nm波長のレーザ光に対応し、異なる基板厚さの光ディスクに集光可能なものである。対物レンズ6はアクチュエータ7に一体に保持されており、駆動コイル8に通電することにより、例えばDVD−ROMやDVD−RAMなどの基板厚さ0.6mmの光ディスク1の情報記録面上に光ビームを合焦し0次光及び±1次回折光の3つの光スポットを形成することが可能である。光ディスク1を反射した光ビームは、往路光と同様の光路を逆にたどって対物レンズ6、コリメートレンズ5を経て、ハーフミラー4に到達し、光ビームの戻り光量の約50%はハーフミラー4を透過した後に光検出器9の所定の位置に集光されるようになっている。
図2(b)は、半導体レーザ2内の780nmのレーザ光源が点灯している状態を示している。650nmのレーザ光源と所定の間隔dの位置に配置されている780nmのレーザ光源より出射した光ビームは、回折格子3を透過してハーフミラー4に至る。ここで、回折格子3を透過した光ビームは、格子上に形成された回折溝により0次光及び回折された±1次回折光の少なくとも3つの光ビームとなっている。ハーフミラー4は光ビームの光軸に対して、45°の角度をなすように配置されており、その表面に形成された反射膜で780nm波長のレーザ光に対しても約50%反射すると同時に約50%透過させる光学素子である。
光ビームは、その光軸に対して45°の角度をなして配置されているハーフミラー4の反射膜において反射した後、コリメートレンズ5によって平行な光ビームに変換され、対物レンズ6に達する。対物レンズ6はアクチュエータ7に一体に保持されており、駆動コイル8に通電することにより、例えばCD−ROMやCD−Rなどの基板厚さ1.2mmの光ディスク10の情報記録面上に光ビームを合焦し0次光及び±1次回折光の3つのスポットを形成することが可能である。
光ディスク10を反射した光ビームは、往路光と同様の光路を逆にたどって対物レンズ6、コリメートレンズ5を経て、ハーフミラー4に到達し、光ビームの戻り光量の約50%はハーフミラー4を透過した後に光検出器9の所定の位置に集光されるようになっている。
図3から図5は、本発明の第1の実施例における光ディスク上のスポット配置を示したものであり、図3はDVD−ROMディスク上のスポット配置、図4はDVD−RAMディスク上のスポット配置、図5はCD−Rディスク上のスポット配置を示している。
図3において、DVD−ROMディスク上の記録ピット200は、トラックピッチTp1(0.74μm)の間隔で光ディスクのトラック方向に配置されている。図2において説明したように、光ディスク上の光スポットは、回折格子3により0次光及び±1次光の3つのスポットとなっており、0次光のスポット100、+1次回折光のスポット101、−1次回折光のスポット102は、図3に示すようにトラックピッチTp1に相当する間隔Tp11で光ディスク1上に配置されている。
図4において、DVD−RAMディスク上には、案内溝202がトラックピッチTp2(1.48μm)の間隔で案内溝間203と交互に形成されている。また、記録マーク201はTp2の半分に相当する間隔Tp21(0.74μm)で光ディスクのトラック方向に配置されている。光ビームは図3と同様に回折格子3により回折され、光ディスク上で0次光及び±1次回折光の3つのスポットとなっている。この0次光のスポット100、+1次回折光のスポット101、−1次回折光のスポット102は、図4に示すようにトラックピッチTp2の略半分に相当する間隔Tp22(=Tp11)で光ディスク1上に配置されている。
図5において、CD−Rディスクには、案内溝401がトラックピッチTp3(1.6μm)の間隔で案内溝間402と交互に形成されている。また、記録マーク400はTp3で光ディスクの案内溝401上にトラック方向に配置されている。光ディスク10上の光スポットは、図3及び図4と同様に0次光及び±1次回折光の3つのスポットとなっており、これら0次光のスポット100、+1次回折光のスポット101、−1次回折光のスポット102は、Tp3の略半分に相当するTp31の間隔で光ディスク10上に配置されている。
ここで、異なる波長のレーザ光による同じ回折格子における回折角は、回折角度が小さい条件下では波長にほぼ比例するという関係があるため、本第1の実施例における光ディスク上での3つのスポットの間隔は波長にほぼ比例することとなる。さらに、光ディスク上のスポット列の方向、すなわち光ビームの回折方向は、波長に依らず同方向であるため、光ディスク上でのスポットのディスク半径方向の間隔も波長にほぼ比例する。つまり、2つの波長λ1(=650nm)、λ2(=780nm)と光ディスク上のスポット間隔Tp22、Tp31の間には以下の関係が成り立つ。
式(1)によると、CD−Rディスクでのスポット間隔Tp31を0.80μmに設定した場合のDVD−RAMディスク上でのスポット間隔Tp22は、0.67μmとなる。これは、DVD−RAMディスクにおけるトラックピッチの半値0.74μmに対して約10%程度のズレ位置であり、後述するサーボ信号検出方式を用いることにより問題なくDVD−RAMディスクからサーボ信号を検出することが可能となっている。また、逆にDVD−RAMディスク上でのスポット間隔Tp22を0.74μmに設定した場合においては、CD−Rディスクでのスポット間隔Tp31は、0.89μmとなる。これは、CD−Rディスクにおけるトラックピッチ0.8μmに対して約10%程度のズレ位置であり、後述するサーボ信号検出方式を用いることにより問題なくCD−Rディスクからサーボ信号を検出することが可能であり、スポット間隔の設定基準となる光ディスクは任意に選択可能である。
尚、図2にて示した光検出器9は後述するように所定の波長のレーザ光に対して、田の字型に4つの受光面からなる受光領域を少なくとも1つ備えている構成である。光ディスク1または光ディスク10を反射した0次光及び±1次回折光の光ビームは、各受光領域のほぼ中心すなわち受光領域内の縦、横の分割線が十字に交わっている点と光ビームの強度中心がほぼ一致する位置に集光される。このとき各光ビームは光路に対して傾斜して配置されているハーフミラー4を透過するときに所定の非点収差が与えられているために、後ほど説明するように田の字型の受光領域から非点収差方式によりフォーカスエラー信号を検出するようになっている。同様に、4つの受光面からなる出力信号を用いることにより、プッシュプル方式またはディファレンシャルフェイズディテクション方式によるトラッキングエラー信号が検出可能である。
次に、光ディスク1上の光スポットの強度分布について、図6を用いて説明する。本実施例においては、図4にて示したように光ディスク1に照射されるスポット100及び101、102のディスク半径方向に関する照射位置間隔は、DVD−DAMディスクの案内溝ピッチの略半分に一致するように設定されている。すなわち、例えば図6に示すDVD−RAMディスク上の3つの光スポット100、101、102の配置は、図中の(b)に示すように0次光の光スポット100がディスクの案内溝間203の真上に位置している場合は、+1次回折光の光スポット101と−1次回折光の光スポット102はそれぞれ隣接する案内溝202の真上に位置している。そして案内溝202に対して光スポット照射位置が相対的にずれていくような場合でも、光スポット100、101、102の間には、図6(a)または(c)に示すような位置関係が常に保たれる。一方、光ディスクによる反射光ビームは、案内溝202による回折の影響を受けて、光スポットの照射位置とディスクの案内溝の相対的な位置変化に応じて周期的に変化する特有の強度分布パターンを有することになる。そして、0次光の光スポット100の反射光ビームと、+1次回折光による光スポット101及び−1次回折光による光スポット102の反射光ビームでその強度分布を比較すると、図6(a)及び(c)に示すように完全に左右が反転したような変化を示している。
ところで、これら反射光ビームから非点収差方式によるフォーカスエラー信号を検出すると、検出したフォーカスエラー信号に大きな外乱が発生しやすくなるという問題がある。これは先ほど述べた案内溝202での回折の影響による反射光ビームの強度分布パターンの周期的変化と、それによって生じるプッシュプル信号のもれ込み外乱が主要因となっているものである。従って、図7(a)及び(b)に示すように光スポット100の反射光束から得られたフォーカスエラー信号と光スポット101及び光スポット102の反射光束から得られたフォーカスエラー信号を比較すると、フォーカスエラー信号の波形自体はほぼ同一であるのに対して、信号内に発生する外乱成分はその位相がほぼ完全に反転している。
そこで光スポット100の反射光束から得られたフォーカスエラー信号と、光スポット101または光スポット102の反射光束から得られたフォーカスエラー信号もしくはその両者の和信号を加算処理すると、図7(c)に示すようにフォーカスエラー自体は倍加される一方で外乱成分がほぼ完全にキャンセルされた良好なフォーカスエラー信号を得ることができる。
上記に示したような現象は、プッシュプル方式によるトラッキングエラー信号検出についても同様に当てはまる。つまり、一般にプッシュプル方式によるトラッキングエラー信号を検出する際、対物レンズがトラッキング方向に変位するとそれに伴って光検出器9の受光面に照射される光スポットも変位してしまい、図8(a)及び(b)に示すように検出されたトラッキングエラー信号には大きなオフセットが発生する。このオフセットは図8(a)及び(b)のように光スポット100の反射光ビームから検出したトラッキング信号にも光スポット101及び光スポット102の反射光ビームから検出したトラッキングエラー信号にも同じ向きにほぼ同程度だけ発生する。一方、トラッキングエラー信号自体は上記のフォーカスエラー信号の説明で述べた理由と全く同じ理由で、光スポット100の反射光ビームから検出された信号の位相と、光スポット101及び102の反射光ビームから検出された信号の位相がほぼ完全に反転している。このことから、各光スポットのディスク反射光から検出されたトラッキングエラー信号を減算処理することにより、オフセット成分だけをキャンセルし、図8(c)に示したようなオフセットが大幅に低減された良好なトラッキングエラー信号を得ることができる。
本発明による実施例においては、以上のような原理を利用して良好なフォーカスエラー信号およびトラッキングエラー信号を検出するものである。
図9は本発明による光検出器および信号処理回路に関する第1の実施例を示した平面図及びブロック図である。光検出器9のパッケージ20には、図のように各分割受光面が記号a、b、c、dで表されている田の字型に4分割された受光領域210が配置され、その両隣に受光領域210と同様に分割受光面が記号e、f、g、hで表されている4分割受光領域211、及び記号i、j、k、lで表されている4分割受光領域212が配置されている。さらに、分割受光面が記号m、n、o、pで表されている4分割受光領域410、分割受光面が記号q、rで表されている2分割受光領域411、分割受光面が記号s、tで表されている2分割受光領域412が配置されている。そして受光領域210上には、ディスク上光スポット100のディスク反射光が集光され検出光スポット110を形成している。同様に受光領域211上にはディスク上光スポット101のディスク反射光が、受光領域212上にはディスク上光スポット102のディスク反射光がそれぞれ集光され、検出光スポット111および112を形成している。
また、受光領域410上には、ディスク上光スポット300のディスク反射光が集光され検出光スポット310を形成している。同様に受光領域411上にはディスク上光スポット101のディスク反射光が、受光領域412上にはディスク上光スポット102のディスク反射光がそれぞれ集光され、検出光スポット311および312を形成している。
ここで、本発明の第1の実施例においては、同一筐体内の微小距離dだけ離れた2つの異なる波長のレーザ光源(2波長マルチレーザ)と1つの回折格子及び1つの光検出器から光学系を構成している。そのため、受光領域200、201、202からなる受光領域列と受光領域410、411、412からなる受光領域列は、光学系の結像系に対応して異なる位置に配置されることとなる。更に、各レーザ光の±1次回折光に対応する受光領域201、202、411、412に関しては、波長の大きなレーザ光源に対応した受光領域411、412間の間隔が回折格子3での光ビームの回折角度にほぼ比例して大きな配置となっている。
受光面a、b、c、dの各々で光電変換されて検出された各検出電流は、光検出器9のパッケージ20に設けられた電流−電圧変換増幅器40、41、42、43によって電圧に変換され、それぞれ光検出器9の出力端子に送られる。同様に受光面e、f、g、h、i、j、k、l、m、n、o、p、q、r、s、tの出力線は電流−電圧変換増幅器44、45、46、47、48、49、50、51、80、81、82、83、84、85、86、87に接続されている。(以下、説明を簡単にするため、これら電圧変換された検出信号については、その検出信号が検出された受光面と同一の記号を付する。)結局、光検出器9の20本の出力端子には、それぞれ a、b、c、d、e、f、g、h、i、j、k、l、m、n、o、p、q、r、s、tが出力されることになる。
次に演算回路について説明する。光検出器9の出力端子から出力される20本の検出信号のうち、出力信号a、b、c、dからは、加算器52、53、減算器54によって信号(a+c)−(b+d)が出力され、加算器55、56、減算器57によって信号(a+d)−(b+c)が出力される。ここで、信号(a+c)−(b+c)は、いわゆる非点収差方式によって検出されるディスク上光スポット100のフォーカスエラー信号に相当する。また(a+d)、(b+c)は、検出光スポット110をディスクのトラッキング方向(半径方向)に2分割した場合の各々の領域における検出光量に相当し、この2個の信号の差信号(a+d)−(b+c)はいわゆるプッシュプル方式によって検出されるディスク上光スポット100のトラッキングエラー信号に相当する。
さらに、出力信号a、b、c、dには位相差検出回路77が接続されており、この回路によっていわゆる位相差検出方式(ディファレンシャル・フェイズ・ディテクション方式)によるディスク上光スポット100のトラッキングエラー信号も検出されるようになっている。尚、この位相差検出方式については、既に公知の技術なので詳細な説明はここでは省略する。
また、加算器76により出力信号a、b、c、dの和信号DVD−RFを生成することにより、光ディスクに記録されている情報信号を所定の信号再生回路により再生可能となっている。尚、本実施例では示されていないが、前記加算器76を光検出器9のパッケージ20内に格納し、光検出器9の信号出力端子に和信号(a+b+c+d)の出力端子を追加する構成も可能である。
さらに、出力信号e、f、g、hからは、加算器58、59、減算器60によって信号(e+g)−(f+h)が出力され、加算器61、62、減算器63によって信号(e+h)−(f+g)が出力されている。同様に出力信号i、j、k、lからは、加算器64、65、減算器66によって信号(i+k)−(j+l)が出力され、また加算器67、68、減算器69によって信号(i+l)−(j+k)が出力されている。
信号(e+g)−(f+h)及び(i+k)−(j+l)は加算器70によって信号(e+g+i+k)−(f+h+j+l)として出力されており、更に増幅器71によって所定の増幅率K1で増幅されている。この増幅器71の増幅率K1は信号(e+g+i+k)−(f+h+j+l)が信号(a+c)−(b+d)とほぼ同一の信号振幅になるように定められている。なお、この信号(e+g+i+k)−(f+h+j+l)は、いわゆる非点収差方式によって検出されたディスク上光スポット101および102のフォーカスエラー信号の和信号に相当するものである。
一方、(e+h)−(f+g)及び(i+l)−(j+k)は、加算器73によって信号(e+h+i+l)−(f+g+j+k)が出力され、さらに増幅器74によって所定の増幅率K2で増幅されている。この増幅器74の増幅率K2は信号(e+h+i+l)−(f+g+j+k)が信号(a+d)−(b+c)とほぼ同一の信号振幅になるように定められている。尚、この信号(e+h+i+l)−(f+g+j+k)は、検出光スポット111と112をディスクのトラッキング方向(半径方向)に2分割した場合の各々の領域における総検出光量の差に相当し、いわゆるプッシュプル方式によって検出されるディスク上スポット101および102のトラッキングエラー信号の和に相当するものである。減算器75から出力される信号は、{(a+d)−(b+c)}−K2・{(e+h+i+l)−(f+g+j+k)}となる。この信号は、受光領域200から得られたディスク上スポット100のトラッキングエラー信号から、受光領域201および202から得られたディスク上スポット101および102のトラッキングエラー信号を減算した信号に相当するものである。
ところで、この信号処理回路のフォーカスエラー信号出力端子とトラッキングエラー信号出力端子にはそれぞれ切り替えスイッチ78および79が設けられている。これは、以下のように光ディスクの種類に応じて、アクチュエータ7の制御に用いられるフォーカスエラー信号とトラッキングエラー信号を適宜切り替えるために設けられているものである。すなわち、例えばDVD−RAMディスクのようにディスクの記録面に連続した案内溝が設けられている光ディスクを再生する場合は、図9に示すようにまず切り替えスイッチ78を切り替え、減算器54から出力された信号(a+c)−(b+d)と増幅器71から出力された信号K1・{(e+i+g+k)−(h+l+f+j)}を加算器72により加算処理した信号{(a+c)−(b+d)}+K1・{(e+i+g+k)−(h+l+f+j)}をフォーカスエラー信号として出力する。この信号は前記したように非点収差方式による光ディスク上の光スポット100のフォーカスエラー信号と、光スポット101と102のフォーカスエラー信号の和信号振幅を合わせて足しあわせた信号に相当する。したがってこの信号は、前記したように案内溝での回折によるフォーカスエラー信号のもれ込み外乱を大幅に解消した良好なフォーカスエラー信号となっている。
次にトラッキングエラー信号については、切り替えスイッチ79を切り替え、信号{(a+d)−(b+c)}−K2・{(e+h+i+l)−(f+g+j+k)}を出力させる。これは前記したように受光領域210から得られたディスク上スポット100のトラッキングエラー信号から、受光領域211および212から得られたディスク上スポット101および102のトラッキングエラー信号の和信号を減算した信号に相当し、この方式はディファレンシャル・プッシュプル方式といわれている。したがって、この信号はプッシュプル方式で検出されたにも係わらず対物レンズ変位に伴うオフセットが大幅に解消された良好なトラッキングエラー信号になっている。
一方、出力信号m、n、o、pからは、加算器88、89、減算器90によって信号(m+o)−(n+p)が出力され、加算器91、92、減算器93によって信号(m+p)−(n+o)が出力される。ここで、信号(m+o)−(n+p)は、いわゆる非点収差方式によって検出されるディスク上光スポット300のフォーカスエラー信号に相当する。また(m+p)、(n+o)は、検出光スポット310をディスクのトラッキング方向(半径方向)に2分割した場合の各々の領域における検出光量に相当し、この2個の信号の差信号(m+p)−(n+o)はいわゆるプッシュプル方式によって検出されるディスク上光スポット300のトラッキングエラー信号に相当する。
また、加算器99により出力信号m、n、o、pの和信号CD−RFを生成することにより、光ディスクに記録されている情報信号を所定の信号再生回路により再生可能となっている。尚、本実施例では示されていないが、前記加算器99を光検出器9のパッケージ20内に格納し、光検出器9の信号出力端子に和信号(m+n+o+p)の出力端子を追加する構成も可能である。
さらに、出力信号q、r、s、tからは、減算器94からプッシュプル方式によって検出されるトラッキングエラー信号(q−r)、減算器95からプッシュプル方式によって検出されるトラッキングエラー信号(s−t)が出力されており、加算器96によって信号(q+s)−(r+t)が出力され、更に増幅器97によって所定の増幅率K3で増幅されている。この増幅器97の増幅率K3は信号(q+s)−(r+t)が信号(m+p)−(n+o)とほぼ同一の信号振幅になるように定められている。ここで、信号(q+s)−(r+t)は、検出光スポット311と312をディスクのトラッキング方向(半径方向)に2分割した場合の各々の領域における総検出光量の差に相当し、いわゆるプッシュプル方式によって検出されるディスク上スポット301および302のトラッキングエラー信号の和に相当するものである。減算器98から出力される信号は、{(m+p)−(n+o)}−K3・{(q+s)−(r+t)}となる。この信号は、受光領域410から得られたディスク上スポット100のトラッキングエラー信号から、受光領域411および412から得られたディスク上スポット101および102のトラッキングエラー信号を減算した信号に相当するものであり、この方式はディファレンシャル・プッシュプル方式といわれている。したがって、この信号はプッシュプル方式で検出されたにも係わらず対物レンズ変位に伴うオフセットが大幅に解消された良好なトラッキングエラー信号になっている。
尚、DVD−ROMディスクように記録信号に応じた位相ピットがディスク上に設けられている再生専用ディスクを再生する場合は、フォーカスエラー信号として通常の非点収差方式による信号を用いても外乱の影響はない。またトラッキングエラー信号として位相差検出回路77から出力された位相差検出方式によるトラッキングエラー信号を用いることができる。そこで切り替えスイッチ78および79を切り替え、フォーカスエラー信号として(a+c)−(b+d)を、トラッキングエラー信号としては位差検出回路77から出力されたトラッキングエラー信号を出力させるようにすれば、再生専用ディスクに適した所望のエラー信号を得ることができる。また、CD−ROMディスクに関しても、非点収差方式及びディファレンシャル・プッシュプル方式を用いることにより良好な信号再生が可能である。
ここで、光検出面上での検出光スポットの位置調整に関して説明する。図10はDVDでの光検出器上の光スポット、図11はCDでの光検出器上の光スポットを示している。図10において、DVDの検出光スポット110、111、112はそれぞれ受光領域210、211、212の所定の位置に照射されている。また、図11においては、CDの検出光スポット310、311、312はそれぞれ受光領域410、411、412の所定の位置に照射されている。本発明の第1の実施例においては、DVDの光軸を基準にして集光光学系の光軸の設定及び調整を行っている構成である。そのため、CDにおける検出光スポットは、DVDでの光軸を中心にレーザ光源の間隔に略比例した位置に配置されることとなる。図12は、DVD光軸が調整されている状態でのCDでの検出光スポットを示している。CDの0次の検出光スポット310はDVDでの0次の光スポット110が配置される位置を中心とした円周上に配置され、CDの±1次の検出光スポット311、312は0次の検出光スポットを中心として回折した位置に照射される。半導体レーザ2を光軸中心に回転することにより、CDの0次検出光スポット310は図12の矢印方向に回転するために、CDでの検出光スポット位置の調整を可能としている。
次に、本発明による第2の実施例を、図13を用いて説明する。図中に使用している同一記号は、今までの説明で用いられているものと共通である。先の図9の構成と異なる点は、パッケージ21内の受光領域の構成である。図13においては、CD−Rディスクを再生する場合に用いる±1次回折光用の受光領域を、DVD−RAMを再生する場合に用いる±1次回折光用の受光領域と兼用した構成となっている。すなわち、CD−Rの再生あるいは記録を行う場合には、受光領域213、214の受光面e、f、i、jを用いることにより、先の第1の実施例にて説明したのと同様にフォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号を検出することが可能である。このような構成とすることにより、受光面より出力する信号線の本数を4本低減することが可能となり、実際の光検出器を容易かつ安価なものとすることが可能である。尚、DVD−RAMディスクの再生時においても、受光面の面積を拡大した部分には光ディスクからの光は戻らないために、第1の実施例と同様の効果が得られるのは言うまでもない。
次に、本発明による光検出器および信号処理回路に関する第3の実施例を、図14を用いて説明する。図中に使用している同一記号は、今までの説明で用いられているものと共通である。先の図9の構成と異なる点は、パッケージ22内の受光領域の構成である。図14においては、DVD−RAMディスクを再生する場合に用いる±1次回折光用の受光領域を削除した構成となっている。そのため、非点収差方式によるフォーカスエラー信号にもれ込み外乱の影響が残るため、DVD−RAMディスクの再生は困難である。CD−Rディスク再生する場合においては、ディファレンシャルプッシュプル方式によるトラッキングエラー信号の生成が可能であり、さらに、回折格子をCD−R専用として用いることが可能となるため、CD側での±1次回折光の光ディスク2上での位置調整が回折格子の回転を用いることにより容易な構成となっている。
次に、本発明による光検出器および信号処理回路に関する第4の実施例を、図15及び図16を用いて説明する。図中に使用している同一記号は、今までの説明で用いられているものと共通である。図15は、CD−ROMディスク上での光スポットの配置を示している。記録ピット400はトラック方向に配置されており、Tp3(1.6μm)の間隔で形成されている。光ディスク10上の光スポットは、0次光及び±1次回折光の3つのスポットとなっており、+1次回折光のスポット301及び−1次回折光のスポット302は、0次光のスポット300からTp3の4分の1に相当するTp32(0.4μm)の間隔を隔てた位置に配置されている。図16は、光検出器および信号処理回路に関する平面図及びブロック図である。先の図14の構成と異なる点は、パッケージ23内の受光領域の構成である。図16においては、CD側検出系の±1次回折光を受光する受光領域を各1つの受光面413、414で構成している。受光面413、414からの出力は、電流−電圧変換増幅器84、86から出力され減算器94を用いることにより、±1次回折光の差信号として出力されている。その結果、図15で示した光ディスク10上のスポット配置と組合せることにより、3ビーム方式によるトラッキングエラー信号の検出が可能である。
次に、本発明による光検出器および信号処理回路に関する第5の実施例を、図17及び図18を用いて説明する。図中に使用している同一記号は、今までの説明で用いられているものと共通である。図17は、第5の実施例における光学系構成を示したものであり、図2に示した第1の実施例と異なる点は、2つの異なる波長のレーザ光源を同一の筐体内に配置した半導体レーザ17(2波長マルチレーザ)においては、それぞれのレーザ光源から出射されるレーザ光の偏光方向が互いに略垂直となるように配置されている点と、2つの偏光回折格子18、19が光路中に配置されている点である。この偏光回折格子18及び19の互いの偏光による回折方向は垂直に配置されており、さらにそれら偏光による回折方向は対応するレーザ光源の偏光方向と一致するように配置されている。そのため、各偏光回折格子の格子溝及び角度は自由に設定することが可能である。図18は、光検出器および信号処理回路に関する平面図及びブロック図である。先の図14の構成と異なる点は、パッケージ24内の受光領域の構成である。図18においては、CD側検出系の±1次回折光を受光する受光領域を図16と同様に各1つの受光面413、414で構成している。受光面413、414からの出力は、電流−電圧変換増幅器84、86から出力され減算器94を用いることにより、±1次回折光の差信号として出力されている。先に説明したように、偏光回折格子18、19は互いに独立して設計することが可能であるために、例えばDVD−RAMの光ディスク1と例えばCD−ROMの光ディスク10に対して、独立にディスク上のスポット配置が可能である。そのため、DVD側では図4に示
したスポット配置を選択することが可能であり、DVD−ROMやDVD−RAMディスクの再生に必要フォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号を検出することが可能であると同時に、CD側では図15に示したスポット配置を選択することが可能であり、3ビーム方式によるトラッキングエラー信号の検出が可能である。
次に本発明による検出光スポットの調整方法に関する第6の実施例を図19から図22を用いて説明する。図中に使用している同一記号は、今までの説明で用いられているものと共通である。図19は、第6の実施例における光ピックアップの構成図を示したものであり、図2に示した第1の実施例と異なる点は、集光光学系のハーフミラーと光検出器9の間の光路中にダイクロ回折格子30が配置されている点である。このダイクロ回折格子30はCDの光ビームのみ回折させるような特性をもつものであり、CD再生時の光ディスク10からの反射光のみを回折させている。そのため、DVDにおける検出器9上での検出光スポットの照射状態は図10に示したものと同様になる。一方、CDにおいてはダイクロ回折格子30による光ビームの回折により、図20に示すような検出光スポットの照射状態となる。図20において、検出光スポット315、316、317はダイクロ回折格子30での0次光検出スポット、検出光スポット318a、319a、320aはダイクロ回折格子30での+1次光検出スポット、検出光スポット318b、319b、320bはダイクロ回折格子30での−1次光検出スポットを示している。第6の実施例においては、ダイクロ回折格子30での+1次回折光である光検出スポット318a、319a、320aを受光領域410、411、412に照射する構成である。そのため、図21に示すように光検出スポット318a、319a、320aは、ダイクロ回折格子30を光軸に沿って前後に動かすことにより0次の検出光スポットに対して接近あるいは離間させることが可能であり、図22に示すようにダイクロ回折格子30を回転することにより0次の検出光スポット315を中心に回転することが可能である。
そのため、ダイクロ回折格子30の位置及び回転調整によりCDの検出光スポットの照射位置調整が可能である。その結果、CDの検出光スポットの照射位置を受光領域の受光範囲内とすることが出来ることとなる。
また、図21に示すように光検出スポット318a、319a、320aが、ダイクロ回折格子30を光軸に沿って前後に動かすことにより0次の検出光スポットに対して接近あるいは離間させることが可能であることから、検出器9における受光領域の位置を所望な配置にすることも可能となる。即ち、ダイクロ回折格子30の位置を調整することで、検出器9における受光領域配置の設計自由度を大きくすることが可能となる。この例を図10、図20、図21を用いて示す。図20においては、DVDの検出光スポットが照射されるのが、受光領域210、211、212であり(図10参照)、CDの検出光スポットが照射されるのが、受光領域410、411、412である。ここで、ダイクロ回折格子30の位置を調整するとCDの検出光スポット318a、319a、320aの照射位置を受光領域410、411、412上とすることが出来ることが図21に示されている。更に、図21において、ダイクロ回折格子30の位置を調整することで、CDの検出光スポット318a、319a、320aの照射位置を受光領域210、211、212上にすることが出来る。
例えば、まずDVDの検出に使用する反射光(ダイクロ回折格子30における0次光の光ビーム)を検出器9上での検出光スポットの照射状態が図10に示されるような、受光領域での受光出来る範囲内における所定の位置に検出光スポットが照射されるようにする。
ここで、上記にて説明している所定の位置とは、該所定の位置に検出光スポットが照射された場合に、検出光スポットが検出され、検出に基づいて出力される出力信号が、その後の信号処理等に使用可能であるような出力信号を出力可能である受光領域における照射位置のことである。
即ち、図10に示される検出器9上での検出光スポットの照射状態においては、検出光スポットが検出され、検出に基づいて出力される信号出力が、その後の信号処理等に使用可能であるような受光領域における照射位置となるように検出器9などの位置を決めたものである。一方、この時、製造バラツキなどから、CDの検出に使用する反射光(ダイクロ回折格子30における+1次光、もしくは−1次光の光ビーム)は、上記DVDについて説明したような受光領域での受光出来る範囲内における所定の位置に検出光スポットが照射されるとは限らない。従って、上記のDVDの検出に使用する反射光を基準として、検出器9の位置を決めた場合には、CDの検出に使用する反射光に関しては、受光領域での受光出来る受光範囲内における所定の位置に検出光スポットが照射されるとは限らない。
ここで、CDの検出に使用する反射光は、ダイクロ回折格子30における回折光であるから、前記ダイクロ回折格子30を光軸に沿って前後に動かすか、光軸周りに回転させることにより、CDの検出に使用する反射光の照射位置をDVDの受光領域に対して接近あるいは離間させることが可能である。従って、前記ダイクロ回折格子30を光軸に沿って前後に動かすか、光軸周りに回転させることにより、CDの検出に用いる反射光の照射位置を受光領域での受光出来る範囲内における所定の位置となるように調整することが可能となる。この調整においては、DVDの検出に用いる反射光はダイクロ回折格子30における0次光であるので、受光領域での受光出来る範囲内における所定の位置に照射されるように保たれる。
なお、上記において、ダイクロ回折格子30は、DVDの光ビームは回折させず、CDの光ビームのみを回折させるとしていたが、これに限定されるものではない。
すなわち、本実施例のようにDVDの検出に使用する反射光は、ダイクロ回折格子30における0次光を用い、CDの検出に使用する反射光は、ダイクロ回折格子30における+1次光もしくは−1次光を用いる場合において、ダイクロ回折格子30はDVD及びCDの光ビームを共に回折させる機能を有しても一向に構わない。
次に、前記ダイクロ回折格子30を光軸に沿って前後に動かすか、光軸周りに回転させることにより、CDもしくは、DVDの検出に用いる反射光の照射位置を受光領域での受光出来る範囲内における所定の位置となるように調整することを示す実施例を以下に説明する。
なお、以下に示す第7乃至第9実施例においては、上述の式(1)の関係を用いることで、1つの3スポット用回折格子によって、CD系及びDVD系ディスク共にDPP信号を検出できる様な光ビームを生成している。
図23は本発明の第7の実施例である光ピックアップ装置の概略構成図である。レーザ光源7001は互いに発振波長の異なる(発振波長650nm帯と780nm帯)2つの半導体レーザチップを同一のパッケージ内に設けた2波長マルチレーザ光源である。
例えばDVD−ROMの様な高密度光ディスクを再生する場合は、波長650nm帯の光ビームを2波長マルチレーザ光源7001から出射させる。この光ビームは3スポット用の回折格子7009を通過し、光軸に対して45°の角度を成して配置されているハーフミラー7003で反射され、立ち上げミラー7004を経てコリメータレンズ7005によって平行光束に変換されて対物レンズ7006に到達する。この対物レンズ7006はアクチュエータ7007にて保持されており、光ディスク7008上に光ビームを集光させて光スポットを形成する。光ディスク7008を反射した光ビームは往路と同じ光路を逆にたどって対物レンズ7006、コリメータレンズ7005、立ち上げミラー7004を経てハーフミラー7003に入射する。そしてハーフミラー7003を透過した光ビームはホログラム素子7010に達する。ホログラム素子7010は、後述するように波長780nm帯の光ビームに対して+1次回折光ビームまたは−1次回折光ビームを分離発生させ、これら回折光ビームのどちらか一方を光検出器7002内の所定の受光領域に集光させる機能を持つよう格子溝パターンが設計されている素子であるが、当然、波長650nm帯の光ビームが入射しても0次光ビームおよび±1次回折光ビームが生じる。しかしながら本実施例では、このうちホログラム素子7010をまっすぐ透過した0次光ビームだけが検出レンズ7011を経て光検出器7002内の所定の受光領域に入射する様に設計されている。なお検出レンズ7011はシリンドリカルレンズと凹レンズを組み合わせたレンズであり、前記0次光ビームを光検出器7002内の所定の受光領域に集光させる機能とハーフミラー7003によって該0次光ビーム内に付加されたコマ収差並びに図23のy方向とx方向に関する非点収差をキャンセルし、なおかつxy平面内においてy軸方向に対して45°傾いた方向に所定量の非点収差を発生させる機能を有している。
次にCD−ROMの様な従来の光ディスクを再生する場合は、2波長マルチレーザ光源7001から波長780nm帯の光ビームを出射する。この光ビームは上記と同様に3スポット用の回折格子7009を通過し0次回折光と±1次回折光に回折分離するが、その際各々の光ビームは例えば光ディスク7008上において4分の1トラックピッチずつディスク半径方向にずれて光スポットを形成するように回折分離する。回折格子7009を通過した光ビームは光軸に対して45°の角度を成して配置されているハーフミラー7003で反射され、立ち上げミラー7004を経てコリメータレンズ7005によって平行光束に変換され対物レンズ7006に到達する。対物レンズ7006はアクチュエータ7007にて保持されており、前述したようにDVDディスク上に波長650nm帯の光ビームを集光する機能と共に、CD−ROMの様な光ディスク7008上に波長780nm帯の光ビームを集光させて光スポットを形成する機能を同時に有する。
光ディスク7008を反射した光ビームは往路と同じ光路を逆にたどって対物レンズ7006、コリメータレンズ7005、立ち上げミラー7004を経てハーフミラー7003に入射し、このハーフミラー7003を透過した後、ホログラム素子7010に達する。このホログラム素子7010は所定の格子溝パターンを備えており、入射した波長780nm帯の光ビームを所定の回折効率で回折分離し±1次回折光ビームを発生させるが、この際ハーフミラー7003及び検出レンズ7011を透過することによって前記+1次回折光ビームまたは−1次回折光ビーム内に生じる非点収差およびコマ収差をキャンセルし、この回折光ビームを、検出レンズ7011を経て光検出器7002内の波長650nm帯の光ビームが到達する所定の受光領域とは異なる位置にある所定の受光領域にほぼ収差なく集光させる機能を持つ。
上記の図21で、ダイクロ回折格子30を光軸に沿って前後に動かすことにより、光検出スポット318a、319a、320aが、0次の検出光スポットに対して接近あるいは離間させることが可能であることは既に説明した。
従って、図23においても、ホログラム素子7010を光軸に沿って前後に動かすことにより、波長780nm帯の光ビームが到達する光検出器7002内の位置を変えることが可能となる。このことを用いることで、図23において、光検出器7002でのCDの検出光スポットの照射位置調整をすることが出来る。また、ホログラム素子7010の位置を調整することで、光検出器7002における受光領域配置の設計自由度を大きくすることが可能となる。例えば、光ディスクから反射した波長780nm帯の光ビームが到達する光検出器7002内の受光領域と波長650nm帯の光ビームが到達する光検出器7002内の受光領域とを同じ直線状に配置することも可能となる。
もしくは、光ディスクから反射した波長650nm帯の光ビーム波長、及び780nm帯の光ビームの両者を、光検出器7002内の同一の受光領域に集光させることが出来るものである。即ち、波長650nm帯の光ビーム波長、及び780nm帯の光ビームの両者に対して、受光領域の共用化を可能とするものである。
まず本実施例において3スポット用回折格子7009は例えば上記した様に、DVD−ROMやDVD−RAMの様な光ディスク7008上において、図24A 及びBに示すようにディスク半径方向におけるスポット間隔δが0.67μm程度となる様に、波長650nm帯の入射光ビームを回折分離し0次光ビーム7102a、+1次光及び−1次光ビーム7102b、7102cを発生させ、かつCD−ROM並びにCD−Rの様な光ディスク7008上において図24Cに示すように、ディスク半径方向におけるスポット間隔δ'が0.8μm程度となる様に波長780nm帯の入射光ビームを回折分離し0次光ビーム7103a、+1次光及び−1次光ビーム7103b、7103cを発生させる格子溝パターンの回折格子となっている。またホログラム素子7010のホログラムパターンは、ホログラム素子7010により回折分離した波長650nm帯の光ビームの0次光と、ホログラム素子7010により回折分離した波長780nm帯の光ビームの+1次回折光または−1次回折光を光検出器7002内の所定の受光領域に導く機能を有すれば等間隔直線状の格子溝パターンであっても良い。もちろんホログラム素子7010の格子溝パターンが所定の不等間隔曲線状のパターンであっても一向に構わない。適当な不等間隔曲線状格子溝パターンを備えた格子を用いると、この格子で回折され光検出器7002内に導かれる+1次または−1次回折光ビームに所定の波面収差を付加することが出来るので、該+1次または−1次回折光ビームに含まれる不要な収差成分並びに該+1次または−1次回折光ビームの焦点位置を補正し、良好な検出光スポットを光検出器に照射させることが出来る。
次に本実施例における光検出器7002内の受光領域の受光面パターンについて図25を用いて説明する。図25に示した様に受光領域の受光面パターンは、田の字型に4分割された3個の受光面と2分割された2個の合計16個の独立した受光面が直線状に配置された構成となっている。そしてDVD系ディスク再生時は、図 24A及びBにおける光ディスク上のスポット7102a、7102b、7102cのディスク反射光が図25Aに示した様にそれぞれの受光領域に入射し光スポット7112a、7112b、7112cを形成し、CD系ディスク再生時は図24Cにおける光ディスク上のスポット7103a、7103b、7103cのディスク反射光が図25Bに示した様にそれぞれの受光領域に入射し光スポット7113a、7113b、7113cを形成する。ここで3スポット用回折格子7009において生じる回折分離光のうち、0次光ビームを検出する受光領域としては図25に示す様にDVD系ディスク再生時およびCD系ディスク再生時ともに受光領域7020aを用いている。しかしながら3スポット用回折格子7009で生じる回折分離光のうち、+1次光ビームまたは-1次光ビームを検出する受光領域はDVD系ディスク再生時とCD系ディスク再生時で、それぞれ異なった受光領域を用いている。これは、回折格子による光ビームの回折角は先に述べたようにほぼ波長に比例するため、3スポット用回折格子7009によって回折分離した波長780nm帯の0次光ビームと±1次光ビームの光検出器7002面上におけるスポット間隔が、波長650nm帯の光ビームのスポット間隔に比べ約1.2(=780÷650)倍広がるためである。よって光検出器7002面上におけるスポット間隔はDVD系ディスク再生時とCD系ディスク再生時とで異なるものの、DVD系およびCD系共にディファレンシャルプッシュプル方式を適用出来るように、それぞれ異なった受光領域を用いて光ビームを検出している。
この様な光検出器によるフォーカス誤差信号及びトラッキング誤差信号の検出方式は、既に述べたため詳細な説明は省略するが、図26に示すような演算回路によってフォーカス誤差信号を非点収差方式にて検出し、トラッキング誤差信号を位相差検出方式(DPD方式)にて検出する。ここで図中の符号7040、7041、7042、7043、7044、7045、7046、7047は電流-電圧変換増幅器を、符号7048、7049、7050、7051,7052,7053、7054、7055、7056、7057、7058、7059、7063、7064は加算器を、符号7070、7071,7072、7073は減算器を、符号7090、7091は切り替えスイッチを、符号7080は位相差検出回路を、また符号7060は増幅率K3、符号7061及び7062は増幅率K4の増幅器をそれぞれ表している。なおこれ以降、図中における同一符号は今までの説明で用いられているものと共通とする。
DVD−RAMディスクを再生する場合は、図27に示すような演算回路に切り替え、フォーカス誤差信号を差動非点収差方式(詳細は特願平11−171844号で開示しているので詳細は省略。)にて検出し、トラッキング誤差信号をディファレンシャルプッシュプル方式(DPP方式)にて検出する。
さらにCD−ROM、CD−RなどのCD系ディスクを再生する場合は、図17に示す様な演算回路に切り替え、フォーカス誤差信号を非点収差方式、トラッキング誤差信号をディファレンシャルプッシュプル方式(DPP方式)にて検出する。
なお本実施例における光検出器7002内の受光領域の受光面パターンは、図25に示した様に16分割のものを用いたが、当然本発明における受光領域の受光面パターンとしてはこの様な構成に限定されるものではなく、少なくともDVD系ディスク再生時とCD系ディスク再生時でそれぞれの光ビームが同一の光検出器に入射して、各種サーボ信号や情報信号を検出できる受光領域の受光面パターンであれば他のどのような受光領域の受光面パターンを本発明に適用しても良い。以下、光検出器7002の受光領域の受光面パターンを変更した実施例について説明する。
本発明の第8の実施例は、第7の実施例における光ピックアップ装置と同じ構成であるが、受光領域の受光面パターンを図29に示すように、田の字型に4分割された1個の受光面と5分割された2個の合計14個の独立した受光面を直線状に配置した構成に置き換えたものである。この様な受光領域の受光面パターンにすると、3スポット用回折格子7009で生じる回折分離光のうち、+1次光ビームまたは-1次光ビームを検出する際、DVD系ディスク再生時とCD系ディスク再生時とで同じ受光領域を用いることが出来、受光面数の削減が可能となる。
この様な光検出器によるフォーカス誤差信号及びトラッキング誤差信号の検出方式に関しては、第7の実施例に述べたものと同じ検出方式を用いることが出来るので詳細な説明は省略するが、DVD−ROMディスクを再生する場合は、図30に示すような演算回路を用いてフォーカス誤差信号を非点収差方式にて検出し、トラッキング誤差信号を位相差検出方式(DPD方式)にて検出する。
またDVD−RAMディスクを再生する場合は、図31に示すような演算回路に切り替え、フォーカス誤差信号を差動非点収差方式にて検出し、トラッキング誤差信号をディファレンシャルプッシュプル方式(DPP方式)にて検出する。
さらにCD−ROM、CD−RなどのCD系ディスクを再生する場合は、図32に示す様な演算回路に切り替え、フォーカス誤差信号を非点収差方式、トラッキング誤差信号をディファレンシャルプッシュプル方式(DPP方式)にて検出する。
続いて第7の実施例における受光領域の受光面パターンを変更した別の実施例について以下、説明する。
本発明の第9の実施例は第7の実施例における光ピックアップ装置と同じ構成であるが、受光領域の受光面パターンを図33のように田の字型に4分割された1個の受光面と2分割された2個の合計8個の独立した受光面を直線状に配置した構成に置き換えたものである。この様な構成にすると、より受光面数の削減が可能となる。この様な光検出器によるフォーカス誤差信号及びトラッキング誤差信号の検出方式も第7の実施例に述べたものと同じ検出方式を用いることが出来るので詳細な説明は省略するが、DVD−ROMディスクを再生する場合は、図34に示すような演算回路を用いてフォーカス誤差信号を非点収差方式にて検出し、トラッキング誤差信号を位相差検出方式(DPD方式)にて検出する。ここで図中の符号7065は増幅率K3の増幅器を、符号7074は減算器を、また符号7092は切り替えスイッチを表している。
CD−ROM、CD−RなどのCD系ディスクを再生する場合は、図35に示す様な演算回路に切り替え、フォーカス誤差信号を非点収差方式、トラッキング誤差信号をディファレンシャルプッシュプル方式(DPP方式)にて検出する。
さらに受光領域の受光面パターンを簡略化した別の実施例について以下、説明する。
本発明の第10の実施例は第7の実施例における光ピックアップ装置と同じ構成であるが、受光領域の受光面パターンを図36のように田の字型に4分割された1個の受光面とその両端にそれぞれ受光面を配置した合計6個の独立した受光面を直線状に配置した構成に置き換えたものである。
ここで図中の7122a、7122b、7122cはDVD系ディスク再生時において、3スポット用回折格子7009によって回折分離した3本の光ビームが光ディスク7008を反射し、光検出器7002内の受光領域上に集光した様子を表しており、7123a、7123b、7123cはCD系ディスク再生時において3スポット用回折格子7009によって回折分離した3本の光ビームが光ディスク7008を反射し、光検出器7002内の受光領域上に集光した様子を表している。また3スポット用回折格子7009はCD−ROM並びにCD−Rの様な光ディスク7008上において、ディスク半径方向におけるスポット間隔が情報トラックのトラックピッチの4分の1である0.4μm程度となる様に前記第2の半導体レーザ光源を出射した波長780nm帯の光ビームを回折分離させる機能を有するものとする。この様な光ピックアップ装置によるフォーカス誤差信号及びトラッキング誤差信号の検出方式としては、DVD−ROMディスクを再生する場合は、図37に示すような演算回路を用いてフォーカス誤差信号を非点収差方式にて検出し、トラッキング誤差信号を位相差検出方式(DPD方式)にて検出する。なお図中の符号7093は切り替えスイッチを表している。またCD−ROM、CD−RなどのCD系ディスクを再生する場合は、図38に示す様な演算回路に切り替え、フォーカス誤差信号を非点収差方式、トラッキング誤差信号を3スポット方式にて検出する。
ここで第9及び第10の実施例においては、波長650nm帯の光ビームは必ずしも3スポット用回折格子7009において回折分離する必要は無い。よって3スポット用回折格子7009の溝深さを制御することにより波長650nm帯の光ビームの回折光効率をほぼ0%としても良い。
また、第7及至第10の実施例におけるホログラム素子7010を光軸方向に移動及び光軸周りに回転することによって、ホログラム素子7010を素通りする0次光の光検出器7002内における集光位置を変えることなく、ホログラム素子7010で回折分離される+1次回折光(または−1次回折光)の光検出器7002内における集光位置を変位させることが出来る。そのためホログラム素子7010によって、フォーカス誤差信号及びトラッキング誤差信号が正しく出力されるよう光検出器7002内の受光領域と、この受光領域に入射する光スポットとの相対位置を調整することが出来る。
また前記に示したように、ホログラム素子7010に刻んだ格子を鋸歯状化して信号検出に必要な回折光の回折効率を選択的に向上させることにより、信号検出に用いる光束に関し高い光利用効率を得る事が出来、また信号検出に用いない不要な光が迷光成分になって受光領域に飛び込み信号検出のS/N比を低下させる可能性を極力減らす事が出来る。なお、これまでの実施例で述べたホログラム素子7010に刻んだ格子を鋸歯状化する際は、図39に示す様に格子の側壁に傾きをつけても、また格子を階段状にしても一向に構わない。また、ホログラム素子7010の回折効率に波長または偏光依存性を持たせることにより、信号光の光利用効率をさらに改善することができる。
ここで、回折効率に波長依存性をもたせた回折格子について、説明する。
一般に、矩形状の格子溝断面を持つ回折格子の場合、図40に示したように回折格子30の格子溝幅をw、格子周期をp、格子溝深さをhと定義すると、0次光7101aの光強度I0、+1次光7101b(−1次光7101c)の光強度I1はw、p、hに大きく依存し、入射光の光強度を1とした場合、式(2)の様に表わせる。
ただしnは回折格子が刻まれている透明部材7030の屈折率、λは回折格子に入射した光ビームの波長である。よって、式(2)より、650nm帯の入射光に関してはより多くの0次回折光を生じさせるために、次の式(3)
を満たし、なおかつ780nm帯の入射光に関してはより多くの1次回折光を生じさせるために、次の式(4)
を同時に満たす様な格子溝深さにすれば良い。
例えば (n−1)h = 1950[nm]となるように格子溝深さを設定すると、(n−1)h=3 ・650=2.5・780 となり、式(3)と式(4)を同時に満たすため、光の利用効率を改善する事が出来る。
ところで、このような波長依存性もしくは波長選択性を有するホログラム素子は、前述したような格子溝深さのコントロールによって実現される素子に限定されるものではない。780nm帯の光に対しては±1次回折光の回折効率が充分高く、650nm帯の光に対しては0次光の効率が充分高くなるような素子であれば、どのような原理に基づく素子であっても一向に構わない。
ここで、本発明の第11の実施例として、回折効率に偏光依存性を持たせた偏光性素子を用いて信号検出光の光利用効率を改善させた例について図を用いて説明する。図41は本発明の第11の実施例としての光ピックアップ装置の概略構成図である。なお図23に示した本発明の第7の実施例と同じ部品には、同じ番号を付している。本実施例は上記の第7実施例と異なり、ホログラム素子7010の代わりに偏光依存性ホログラム7012を用い、かつ偏光変換素子7013と組み合わせることにより、偏光を利用して光の利用効率を改善している。
ここで偏光変換素子7013としては、650nm帯の光ビームに対して5λ/4 板として機能する波長板を用いている。また偏光依存性ホログラム7012は例えばS偏光を有する光束のみ所定の回折効率で回折させ、それに垂直な偏光方向であるP偏光を有する光束は回折せずにそのまま透過させるよう機能する。
例えばDVD−ROMの様な高密度光ディスクを再生する場合は、波長650nm帯のS偏光の光ビームを2波長マルチレーザ光源7001から出射させる。この光ビームは3スポット用の回折格子7009を通過して、光軸に対して45°の角度を成して配置されているダイクロハーフミラー7003に入射する。ダイクロハーフミラー7003において反射した光ビームは、立ち上げミラー7004を経て偏光変換素子7013に入射する。
ここで偏光変換素子7013は650nm帯の光ビームに対しては 5λ/4 板として働くため、S偏光で入射してきた光ビームは偏光変換素子7013を通過後円偏光の光ビームとなりコリメータレンズ7005によって平行光束に変換され対物レンズ7006に到達する。対物レンズ7006はアクチュエータ7007にて保持されており、例えばDVD−ROMの様な光ディスク7008上に光ビームを集光させて光スポットを形成する事が出来る。光ディスク7008を反射した光ビームは往路を逆にたどって対物レンズ7006、コリメータレンズ7005を経て偏光変換素子7013に入射し、円偏光で入射してきた光ビームは偏光変換素子7013を通過後P偏光の光ビームとなって、立ち上げミラー7004を経てダイクロハーフミラー7003を透過して、偏光依存性ホログラム7012に入射する。偏光依存性ホログラム7012は、P偏光の光ビームに対しては回折機能は作用せず、単なる透明部材となるため、偏光依存性ホログラム7012に入射したP偏光の光ビームは回折されず、そのまま素通りして検出レンズ7011を経て光検出器7002内の所定の受光領域に到達する。
次にCD−ROMの様な従来の光ディスクを再生する場合は、2波長マルチレーザ光源7001から波長780nm帯のS偏光の光ビームを出射する。2波長マルチレーザ1を出射した光ビームは3スポット用の回折格子7009を通過し、光軸に対して45°の角度を成して配置されているダイクロハーフミラー7003に入射する。ダイクロハーフミラー7003において反射した光ビームは立ち上げミラー7004を経て偏光変換素子7013に入射する。ここで偏光変換素子7013は前述したように650nm帯の光ビームに対しては 5λ/4 板として機能する素子であるため、波長780nm帯の光に対してはほぼλ板として働く。そのため波長780nm帯の光は偏光変換素子7013を通過後もS偏光のままでコリメータレンズ7005によって平行光束に変換され対物レンズ7006に到達する。対物レンズ7006はアクチュエータ7007にて保持されており、前述したようにDVDディスク上に光ビームを集光する機能とCD−ROMの様な光ディスク7008上に光ビームを集光させて光スポットを形成する機能を同時に有する。光ディスク7008を反射した光ビームは往路を逆にたどって対物レンズ7006、コリメータレンズ7005を経て偏光変換素子7013に入射し、偏光変換素子7013を通過後もS偏光の光ビームのままで、立ち上げミラー7004を経てダイクロハーフミラー7003を透過して、偏光依存性ホログラム7012に入射する。偏光依存性ホログラム7012はS偏光の光ビームに対しては回折させる機能を持っているため、偏光依存性ホログラム7012において光ビームは所定の回折効率で回折され、検出レンズ7011を経て光検出器7002内の、波長650nm帯の光ビームが到達する所定の受光領域とは異なる位置にある所定の受光領域に到達する。このような構成にすると、DVD再生時、CD再生時いずれの場合においても信号検出に必要な光束だけを効率よく光検出器に導くことができ、光利用効率を大幅に改善させるとともに、不要な迷光成分を除去することができる。
なお光検出器7002の受光領域での光スポットと受光面との位置関係及び光ディスク再生時における情報信号、フォーカス誤差信号,トラッキング誤差信号の検出方法は、上記第7の実施例と同じである。
また、偏光依存性ホログラム7012を光軸方向に移動並びに光軸まわりに回転する事によって、上記第7の実施例と同様に光検出器7002において光検出される650nm帯の光ビーム7113a、7113b、7113cの焦点位置や受光面上の位置を変えずに、光検出器7002において光検出される780nm帯の光ビーム7112a、7112b、7112cの焦点位置や受光面上の位置を独立して変える事が出来るため、650nm帯光ビームと780nm帯光ビームに対するディテクタ調整やフォーカス誤差信号オフセット調整を独立に行う事が可能である。
さらにダイクロハーフミラー7003に対して、650nmの光に関してはS偏光がほぼ全反射、P偏光がほぼ100%透過し、780nmの光に関してはS偏光が反射・透過共に約50%となるような機能を持たせば、より光の利用効率を改善できる。
ところで、今まで述べた実施例においてホログラム素子7010の配置位置はハーフミラー7003と検出レンズ7011の間としていたが、これに限定されるものではなく検出レンズ7011と光検出器7002の間の光路中であっても良い。また今まで述べた実施例では、ホログラム素子7010は波長650nm帯の光ビームの0次光と波長780nm帯の光ビームの+1次回折光または−1次回折光の光ビームを光検出器7002内の所定の位置に導く機能を有するものとしていたが、当然これに限定されるものではなく、例えば全く逆に波長650nm帯の光ビームの+1次回折光または−1次回折光と波長780nm帯の光ビームの0次光を光検出器7002内の所定の位置に導く機能を有する回折格子であっても一向に構わない。
図42に本発明の光ピックアップを搭載した光ディスク装置の概略ブロック図を示す。光ピックアップ508は、例えば図9で示したようなパッケージ20、図24、図41に示すピックアップ装置を搭載しており、ここで検出された各種検出信号は、信号処理回路内のサーボ信号生成回路504及び情報信号再生回路505に送られる。サーボ信号生成回路504では、これら検出信号から各光ディスクに適したフォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号が生成され、これをもとにアクチュエータ駆動回路503を経て光ピックアップ508内の対物レンズアクチュエータを駆動し、対物レンズの位置制御を行う。また、情報信号再生回路505では前記検出信号から光ディスク1に記録された情報信号が再生される。尚、前記サーボ信号生成回路504及び情報信号再生回路505で得られた信号の一部はコントロール回路500に送られる。コントロール回路500は、これら各種信号を用いてそのとき再生しようとしている光ディスク1の種類を判別し、判別結果に応じてDVD用レーザ点灯回路507もしくはCD用レーザ点灯回路506のいずれかを駆動させ、さらにこれまで述べてきたように各光ディスクの種類に応じたサーボ信号検出方式を選択するようにサーボ信号生成回路504の回路構成を切り替える機能を有する。尚、このコントロール回路500にはアクセス制御回路502とスピンドルモータ駆動回路501が接続されており、それぞれ光ピックアップ508のアクセス方向位置制御や光ディスク1のスピンドルモータ509の回転制御が行われる。
1、10……光ディスク、 2、11、15、17……半導体レーザ、3、16、30……回折格子、 4……ハーフミラー、 5……コリメートレンズ、 6……対物レンズ、 7……アクチュエータ、 8……駆動コイル、 9、14……光検出器、 12……ダイクロプリズム、 18、19……偏光回折格子、 20、21、22、23、24……パッケージ、 30……ダイクロ回折格子、 200……マーク、 201……ピット、 100、101、102、300、301、302、303、304……ディスク上光スポット、 110、111、112、310、311、312、313、314、315、 316、317、318、319、320……検出光スポット、 200……記録ピット、 201、400……記録マーク、 202、401……案内溝、 203、402……案内溝間、 210、211、212、213、214、410、411、412……受光領域、 500……コントロール回路、 501……スピンドルモータ駆動回路、 502……アクセス制御回路、 503……アクチュエータ駆動回路、 504……サーボ信号生成回路、 505……情報信号再生回路、 506……CD用レーザ点灯回路、 507……DVD用レーザ点灯回路、 508……光ピックアップ、 509……スピンドルモータ、 7001……レーザ光源、 7002……光検出器、 7003……ハーフミラー、 7004……立ち上げミラー、 7005……コリメータレンズ、 7006……対物レンズ、 7007……アクチュエータ、 7008……光ディスク、 7009……3スポット用の回折格子、 7010……ホログラム素子、 7011……検出レンズ、 7012……偏光依存性ホログラム、 7013……偏光変換素子。