以下に、図面を参照して、本願に係る発明を実施するための最良の形態について説明する。図1は本発明の一実施形態である遊技機の概略正面図、図2はその遊技機の概略ブロック図、図3(a)はその遊技機に用いられるメダルセレクタを前面側から見たときの概略斜視図、図3(b)はそのメダルセレクタを裏面側から見たときの概略斜視図である。ここでは、遊技機が、遊技媒体としてメダルを使用した回胴式遊技機である場合について説明する。
本実施形態の回胴式遊技機は、図1、図2及び図3に示すように、第一回胴リール11a,第二回胴リール11b,第三回胴リール11cと、表示窓12と、メダル投入口13と、メダルセレクタ14と、クレジット数表示部15と、MAXベットボタン16と、一枚投入ボタン17と、ベット枚数表示部18と、スタートレバー19と、第一停止ボタン21a,第二停止ボタン21b,第三停止ボタン21cと、清算ボタン22と、払出数表示部23と、メダル放出口24と、メダル受皿25と、扉錠26と、画像表示部30と、電飾表示部40と、スピーカ部50と、情報読取部61と、情報処理部62と、MAXベットボタン操作検出センサ71と、一枚投入ボタン操作検出センサ72と、スタートレバー操作検出センサ73と、第一停止ボタン操作検出センサ74a,第二停止ボタン操作検出センサ74b,第三停止ボタン操作検出センサ74cと、第一回胴リール駆動手段75a,第二回胴リール駆動手段75b,第三回胴リール駆動手段75cと、主制御基板80と、演出制御基板90とを備える。
図1に示すように、回胴式遊技機1の中央部のやや上側には、第一回胴リール11a、第二回胴リール11b、第三回胴リール11cが配設されている。各回胴リール11a,11b,11cは、複数の図柄を一列に配した図柄列を有しており、回転可能に構成されている。第一回胴リール11aは第一回胴リール駆動手段75aにより駆動され、第二回胴リール11bは第二回胴リール駆動手段75bにより駆動され、そして、第三回胴リール11cは第三回胴リール駆動手段75cにより駆動される。ここで、各リール駆動手段75a,75b,75cとしては、例えばステッピングモータが用いられる。これらのリール駆動手段75a,75b,75cの制御は、主制御基板80により行われる。
各回胴リール11a,11b,11cに配される図柄には、例えば、赤色の数字「7」図柄、青色の数字「7」図柄、BAR図柄、リプレイ図柄、スイカ図柄、ベル図柄、チェリー図柄等がある。各回胴リール11a,11b,11cの外周には、これらの図柄が合計21個配されている。また、回胴リール11a,11b,11c毎に各図柄の数及び図柄の配置順序は異なっている。
表示窓12は回胴リール11a,11b,11cに対応する位置に設けられた透明な窓部である。遊技者は、図1に示すように、第一回胴リール11a,第二回胴リール11b,第三回胴リール11cの停止時において表示窓12からそれぞれの回胴リール11a,11b,11cに付された三つの図柄を目視することができる。
メダル投入口13は、遊技者がメダル(遊技媒体)2を投入するための投入口である。本実施形態では、メダル2として、その内部に情報記憶手段が組み込まれたものを用いている。図4(a)はメダル2の概略斜視図、図4(b)はそのメダル2に組み込まれた情報記憶手段の概略斜視図である。
図4(a)に示すように、メダル2の内部には情報記憶手段4が設けられている。かかる情報記憶手段4は、RFID(Radio Frequency Identification)技術を応用したものであって、無線通信によって情報の読み書きが可能なものである。情報記憶手段4は、図4(b)に示すように、専用の情報読取手段又は情報読取・書込手段との間で通信を行うアンテナ4aと、所定の情報が記憶される内蔵メモリと、各部の動作を制御する制御部とを備える。内蔵メモリ及び制御部は、図4(b)に示すICチップ(集積回路素子)4bに組み込まれており、アンテナ4aはそのICチップ4bに外付されている。専用の情報読取手段又は情報読取・書込手段は、情報記憶手段4と通信を行うことにより、情報記憶手段4の内蔵メモリに記憶された情報を非接触で読み取ることができる。尚、一般に、情報記憶手段4には、情報の書き込み及び読み出しが何度でも可能な書込可能なものと、情報を一度書き込んだらその書き換えができない読出専用のものとがある。本実施形態では、不正防止の観点から、情報記憶手段4として読出専用のものを用いている。
本実施形態では、具体的に、情報記憶手段4として、(株)日立製作所製の「外部アンテナ付ミューチップ」を用いている。このミューチップは、0.4mm角のチップに128ビットの情報を記録することができる薄型・超小型のICチップである。ICチップ4bの内蔵メモリには、当該メダルに固有の識別情報が記憶されている。128ビットの識別情報は例えば以下の通りである。どのホールで使用するものかを識別するためのホール識別情報として21ビットを使用する。これにより、最大で約100万までホールを定義することができる。遊技媒体の種類を識別するための媒体種類識別情報として1ビットを使用する。これにより、遊技媒体がパチンコ玉であるのかメダルであるのかを定義することができる。また、媒体識別情報として106ビットを使用する。これにより、最大で2105通りまで遊技媒体を定義することができる。また、図4に示すように、ICチップ4bの両側からは二つのアンテナ4a,4aが伸びている。そして、二つのアンテナ4a,4aはそれぞれ、同じ方向に渦巻状に巻回されている。情報記憶手段4は、このようにアンテナ4a,4aが渦巻状に巻かれた状態でメダル2の内部に組み込まれている。
メダル投入口13から投入されたメダル2は、メダルセレクタ14に導かれる。このメダルセレクタ14は、遊技機の内部であってメダル投入口13のすぐ下側部分に設けられている。メダルセレクタ14は、図3に示すように、メダル入口14aと、メダル通路14bと、メダル出口14cと、ソレノイド14dとを有する。メダル入口14aはメダルセレクタ14の上部に設けられ、メダル出口14cはメダルセレクタ14の一方の側部に設けられている。メダル投入口13から投入されたメダル2は、メダル入口14aを介してメダル通路14bに達した後、メダル通路14bに沿って斜め横方向に進み、そして、メダル出口14cから図示しないメダルホッパー(メダル貯留部)に送出される。
メダル通路14bは、それが垂直に立った状態と、その上部が少し傾いた状態との二つの状態をとることができる。ソレノイド14dは、メダル通路14bの状態を切り替えるものである。このソレノイド14dは、図3(b)に示すようにメダルセレクタ14の裏面に設けられている。ソレノイド14dをオンにすると、メダル通路14bの上部はメダルセレクタ14の表面に引き寄せられ、メダル通路14bはその上部が少し傾いた状態になる。これにより、メダル入口14aを通過したメダル2はメダル通路14bに沿って進行し、メダル出口14cに達することができる。ここで、メダル通路14bには、メダル2の滑りをよくするために複数の溝が設けられている。一方、ソレノイド14dをオフにすると、メダル通路14bの上部はメダルセレクタ14の表面から離れ、メダル通路14bは垂直に立った状態になる。これにより、メダル入口14aを通過したメダル2は、メダル通路14bに沿って進行することができず、そのまま落下することになる。落下したメダル2は、メダル放出口24に戻ることになる。かかるソレノイド14dのオン・オフは、主制御基板80によって制御される。
尚、規定の大きさよりも小さなメダルをメダル投入口13から投入した場合、当該メダルはメダル通路14bに沿って通過できず、そのまま落下してメダル放出口24に戻ることになる。一方、規定の大きさよりも大きなメダルは、そもそもメダル投入口13から投入することができない。
また、図3(a)に示すように、メダル出口14cの近傍であってメダルブロッカー14bの所定部位には、情報読取部61が設けられている。情報読取部61は、情報記憶手段4の内蔵メモリに記憶されている識別情報を非接触で読み取るためのものである。情報読取部61は、情報記憶手段4との間で通信を行う無線アンテナと、情報読取部61の各部の動作を制御する制御部とを有する。本実施形態では、情報読取部61として、メダル2が当該情報読取部61の前を通過するときにそのメダル2の情報記憶手段4と通信することができるものを用いている。すなわち、情報読取部61の通信距離は非常に短い。また、情報読取部61は情報処理部62と接続されており、情報読取部61によって読み取られた識別情報は情報処理部62に送られる。
情報処理部62は、メダル2がメダル投入口13に投入されたことを検出すると共に、そのメダル2の使用が正当であるか不当であるかを判断するものである。この情報処理部62は、図3(b)に示すように、メダルセレクタ14の裏面に設けられており、図2に示すように、ROM62aと、RAM(記憶手段)62bと、CPU(照合手段)62cとを有する。ROM62aには、所定のプログラムが格納されている。RAM62bは、データを一時的に記憶する作業用のメモリである。特に、RAM62bには、情報読取部61によって読み取られた識別情報を新しいものから順に所定個数記憶される。ここでは、例えば、最大100個の識別情報をRAM62bに記憶することにしている。また、回胴式遊技機1内に収納されているメダル2が、メダル払出口24や図示しないメダル回収口から回胴式遊技機1の外に放出された場合には、放出情報読取部63によって、その放出メダル2の識別情報が読み取られ、情報処理部62に送られる。この放出メダル2の中にRAM62b内に識別情報が記憶されているものがあった場合には、情報処理部62のCPU62cは、その識別情報をRAM62bから消去する。これにより、払出または回収等により回胴式遊技機1外に放出されたメダル2の再利用による遊技を可能にしている。CPU62cは、ROM62aに格納されたプログラムを実行することにより、情報読取部61の動作を制御したり、情報読取部61によって読み取られた識別情報に基づいて所定の照合処理を行ったりする。尚、RAM62bに記憶するメダル2の識別情報は、必ずしも100個程度である必要はなく、例えば、本回胴式遊技機1に収納されているメダル2の識別情報を全てRAM62bに記憶させてもよい。本実施形態によれば、たとえ、1万個のメダル2が本回胴式遊技機1に収納されていたとしても、1〜2メガビット程度の記憶容量のRAMがあればよく、記憶容量に関する費用負担はさほど多くない。また、糸釣りゴト対策のみでよければ、遊技媒体の繰り返し投入による不正防止が図れる最小限の数である1個以上あればよい。
具体的に、CPU62cは、情報読取部61の制御部に信号を送ることにより、情報読取部61を動作可能な状態にする。その後、メダル2が情報読取部61の前を通過すると、情報読取部61とメダル2の情報記憶手段4との間で通信が行われ、情報読取部61は情報記憶手段4の内蔵メモリに記憶された識別情報を読み取り、情報処理部62に出力する。CPU62cは、情報読取部61から識別情報が送られたときに、メダル2がメダル投入口13から投入されたことを検出すると共に、当該識別情報がRAM62bに記憶されている識別情報に一致するかどうかの照合を行う。CPU62cは、当該識別情報がRAM62bに記憶されている識別情報に一致しないと判断したときには、メダルの使用が正当である旨の信号を主制御基板80に出力する。そして、当該識別情報を新たにRAM62bに記憶させる。このとき、RAM62bに記憶している識別情報の数が100個よりも多い場合には、最も古い識別情報を消去する。
一方、CPU62cは、当該識別情報がRAM62bに記憶されている識別情報に一致すると判断したときには、メダルの使用が不当である旨の信号を主制御基板80に出力する。通常、あるメダルがメダル投入口13から投入されてメダルホッパーに貯蔵された場合、当該メダルは短時間のうちにメダル放出口24から放出されることはない。したがって、当該識別情報がRAM62bに記憶されている識別情報に一致したときには、糸釣りゴト等の不正行為が行われていたり、メダルの逆流、メダルの滞留等のメダル投入エラーが発生したりしている可能性が極めて高く、当該メダルの使用の正当性は認められないのである。ここで、糸釣りゴトとは、メダル投入口13から投入されたメダル2を強制的に抜き取り同一のコイン2を短時間のうちに何度も使用する不正行為をいう。
本実施形態では、CPU62cは、不当なメダル使用の内容を細かく解析し、メダルの使用が不当である旨の信号として、次のような三種類の信号を出力することにしている。すなわち、CPU62cは、当該識別情報がRAM62bに記憶されている識別情報のうち最新の識別情報に一致すると判断し、その判断を一度だけ行った場合には、当該メダル2が二回続けて情報読取部61の前を通過したことを認識し、メダルの逆流エラーが発生した旨の信号を主制御基板80に出力する。ここで、このメダル逆流エラーは糸釣りゴトが行われた結果として発生した可能性もある。また、CPU62cは、当該識別情報がRAM62bに記憶されている識別情報のうち最新の識別情報に一致すると判断し、その判断を連続して行った場合には、当該メダル2が情報読取部61の前で長時間、留まっていることを認識し、メダルの滞留エラーが発生した旨の信号を主制御基板80に出力する。更に、CPU62cは、当該識別情報がRAM62bに記憶されている識別情報のうち最新の識別情報以外の他の識別情報に一致する場合には、不正行為が行われている旨の信号を主制御基板80に出力する。かかる場合には、メダルの逆流エラーやメダルの滞留エラーが発生しているわけでははく、明らかに、メダル投入に関する不正行為が行われていると考えられるからである。尚、当該識別情報がRAM62bに記憶されている識別情報に一致すると判断した場合、CPU62cは、当該識別情報をRAM62bに記憶する処理を行わない。当該識別情報はすでにRAM62bに記憶されているからである。
表示窓12のすぐ下側には、クレジット数表示部15が設けられている。クレジット数表示部15は、メダル2のクレジット数(貯留数)を所定の範囲内(例えば50枚以内)で表示するものである。メダル投入口13からメダル2が投入され、情報処理部62からメダルの使用が正当である旨の信号が送られると、主制御基板80は、メダル2が一枚投入されたことを認識する。そして、現在のクレジット数からその投入したメダル2の数だけ増加させた数を計数し、その計数した数をクレジット数表示部15に表示させる。また、主制御基板80は、ゲームにおいて所定の役が成立すると、その役に対応して払い出されるメダル2の払出枚数を現在のクレジット数に加算し、その加算した数をクレジット数表示部15に表示させる。
MAXベットボタン16及び一枚投入ボタン17は、メダル2を賭けてゲーム(遊技)を行う旨を指示するための遊技指示手段であり、表示窓12の左下側に設けられている。MAXベットボタン16は、メダル2を三枚賭けてゲームを行うことを選択するボタンであり、また、一枚投入ボタン17は、メダル2を一枚、二枚又は三枚賭けてゲームを行うことを選択するボタンである。具体的には、一枚投入ボタン17を一回押すことにより、メダル2を一枚賭けてゲームを行うことが選択され、一枚投入ボタン17を二回押すことにより、メダル2を二枚賭けてゲームを行うことが選択され、そして、一枚投入ボタン17を三回押すことにより、メダル2を三枚賭けてゲームを行うことが選択される。すなわち、一枚投入ボタン17を三回押すことは、MAXベットボタン16を一回押すことと同じである。MAXベットボタン操作検出センサ71はMAXベットボタン16が押されたことを検出するものであり、一枚投入ボタン操作検出センサ72は一枚投入ボタン17が押されたことを検出するものである。各センサ71,72からの検出信号は、主制御基板80に送られる。これにより、主制御基板80は、メダル2を何枚賭けてゲームを行うのかを認識することができる。
表示窓12の左下には、ベット枚数表示部18が設けられている。かかるベット枚数表示部18は、当該ゲームにおいて賭けられたメダル2の枚数を表示するものである。具体的には、一枚投入ボタン17が一回押されると、主制御基板80は、ベット枚数表示部18の「壱」の部分に対応するランプを点灯させる。一枚投入ボタン17が二回押されると、主制御基板80は、ベット枚数表示部18の「弐」の部分に対応するランプを点灯させる。そして、一枚投入ボタン17が三回押され、又はMAXベットボタン16が押されると、主制御基板80は、ベット枚数表示部18の「参」の部分に対応するランプを点灯させる。
本実施形態では、三つの回胴リール11a,11b,11cを停止させて所定の図柄を揃えるための入賞ラインが六つ設定されている。すなわち、表示窓12の上部、中央部、下部のそれぞれを通り水平方向に延びた三つのラインと、表示窓12の左上から右下に向かって延びるラインと、表示窓12の左下から右上に向かって延びるラインと、表示窓12の左部の真ん中から中央部の真ん中に向かって延び、その中央部の真ん中から右下に向かって延びるラインとである。メダル2を何枚賭けるかに応じて、有効な入賞ラインが異なる。メダル2を一枚賭けてゲームを行う場合には、表示窓12の中央部を通り水平方向に延びる一つの入賞ラインだけが有効な入賞ラインとなる。メダル2を二枚賭けてゲームを行う場合には、表示窓12の上部、中央部、下部のそれぞれを通り水平方向に延びた三つの入賞ラインだけが有効な入賞ラインとなる。そして、メダル2を三枚賭けてゲームを行う場合には、六つの入賞ラインすべてが有効な入賞ラインとなる。三つの回胴リール11a,11b,11cが停止したときに、六つの入賞ラインのうち有効な入賞ライン上に所定の図柄が揃い、所定の役が成立すると、当該ゲームが入賞となり、所定数のメダル2が払い出される。
スタートレバー19は、ゲームを開始する旨を指示するために遊技者が操作するものである。メダル投入口13から一回のゲーム(遊技)に必要な数のメダル2が投入されるか、又は、既に一回のゲームに必要な数のメダル2がクレジットされている状態でMAXベットボタン16の操作、若しくは一枚投入ボタン17の必要回数の操作のうちいずれかの操作が行われることにより、スタートレバー19の操作が可能となる。ここで、一回のゲームは、スタートレバー19が操作されることにより開始し、三つの停止ボタン21a,21b,21cがすべて押されることにより終了する。スタートレバー操作検出センサ73は、スタートレバー19が操作されたことを検出するものである。スタートレバー操作検出センサ73は、スタートレバー19が操作されたことを検出すると、ゲーム開始信号を主制御基板80に送る。主制御基板80は、情報処理部62からメダルの使用が正当である旨の信号、又はMAXベットボタン操作検出センサ71或いは一枚投入ボタン操作検出センサ72から信号を受けているときに、スタートレバー操作検出センサ73からゲーム開始信号を受けると、前回のゲーム開始信号の受信時から所定時間(4.1秒)経過した後、ゲーム開始の処理を行う。具体的には、乱数値を取得し、その乱数値に基づいて内部抽選処理を行うと共に、三つの回胴リール11a,11b,11cの回転動作を開始する。
第一停止ボタン21aは第一回胴リール11aの回転動作の停止を指示するためのものであり、第二停止ボタン21bは第二回胴リール11bの回転動作の停止を指示するためのものであり、第三停止ボタン21cは第三回胴リール11cの回転動作の停止を指示するためのものである。第一停止ボタン操作検出センサ74aは第一停止ボタン21aが押されたことを検出するものであり、第二停止ボタン操作検出センサ74bは第二停止ボタン21bが押されたことを検出するものであり、第三停止ボタン操作検出センサ74cは第三停止ボタン21cが押されたことを検出するものである。各停止ボタン操作検出センサ74a,74b,74cからの検出信号は、主制御基板80に送られる。主制御基板80は、停止ボタン操作検出センサ74a,74b,74cからの検出信号を受けると、当該停止ボタン操作検出センサに対応する回胴リールの回転動作を所定の制御方法により停止する。こうして、三つの回胴リール11a,11b,11cが停止したときに、それらの回胴リール11a,11b,11cに付されている図柄が有効な入賞ライン上において特定の組合せとなると、役が成立することになる。
役の種類には、大きく分けて、大当りである大役(ボーナス)と、小当りである小役とがある。大役には、例えば、赤色の数字「7」の図柄及び青色の数字「7」の図柄(BB図柄)のうちいずれかが有効な入賞ライン上に揃った場合の役であるビッグボーナス(BB)と、「BAR」の図柄(RB図柄)が有効な入賞ライン上に揃った場合の役であるレギュラーボーナス(RB)とがある。大役になると、回胴式遊技機は、遊技者に有利な遊技状態に移行する。例えば、BBが成立した場合には、メダル2が15枚払い出されるとともに、遊技者が最も多量のメダルを獲得可能なBBゲームに突入する。また、RBが成立した場合には、メダル2が15枚払い出されるとともに、BBゲームに次いで遊技者が多量のメダル2を獲得可能なRBゲームに突入する。
一方、小役には、例えば、スイカ図柄が有効な入賞ライン上に揃った場合の役(スイカ小役)と、ベル図柄が有効な入賞ライン上に揃った場合の役(ベル小役)と、チェリー図柄が有効な入賞ライン上の左側の位置に停止した場合の役(チェリー小役)とがある。かかる小役が成立したときには、それぞれ所定枚数のメダル2が払い出される。その他に、リプレイ図柄が有効な入賞ライン上に揃った場合の役(リプレイ)がある。このリプレイが成立した場合には、回胴式遊技機は、再遊技の状態、すなわち、今回のゲームに賭けたメダル2と同数のメダル2が自動投入され、遊技者が新たにメダル2を投入することなく、再度、ゲームを行うことが可能な状態となる。尚、本実施形態では、リプレイはメダル2の払出しがないことから、リプレイを小役に含めていないが、次の遊技のための賭数設定すなわち新たなメダル2の投入操作が不要なので、その遊技に使用したメダル2が払い出されたと仮定して、リプレイを小役として取扱うことも可能である。また、役を構成する図柄が有効な入賞ライン上に揃わなかった場合には、外れとなる。
払出数表示部23は、成立した役に対応して払い出されるメダル2の払出枚数を表示するものである。また、払出数表示部23は、エラーが発生した場合に、エラーコードを表示する役割をも果たす。かかる払出数表示部23の制御は主制御基板80により行われる。メダル放出口24からは、例えば、遊技者が清算ボタン22を押した場合にそのときのクレジット数に対応する数のメダル2が放出される。メダル受皿25は、メダル放出口24から放出されるメダル2を蓄積するための皿である。また、扉錠26は、前扉を開閉するための器具である。
画像表示部30は、表示窓12の上側に設けられている。本実施形態では、画像表示部30として液晶表示装置を用いている。かかる画像表示部30は、図1及び図2に示すように、液晶パネル31と、液晶パネル31を制御する液晶制御基板32とを有する。画像表示部30は、複数の文字、数字、図形やキャラクター等の画像を変動表示することにより、役の成立の予告、所定の情報の告知、その他の遊技の演出を行う。例えば、大当り確定を予告するプレミアム演出を行ったり、有効な入賞ライン上に揃えるべき図柄の種類を告知したりする。この画像表示部30の制御は、主制御基板80からのコマンドに基づいて演出制御基板90により行われる。
電飾表示部40は、各種の遊技状態を報知したり、遊技の演出を行ったりするものである。また、電飾表示部40は、メダル投入に関してエラーが発生した場合に、メダル投入エラーの発生を報知するための演出をも行う。この電飾表示部40の制御は、主制御基板80からのコマンドに基づいて演出制御基板90により行われる。かかる電飾表示部40は、図1及び図2に示すように、三つのトップLEDユニット41a,41b,41cと、八つのパネルLEDユニット42a,42b,・・・,42hと、三つのバックライト(不図示)と、三つのトップLED基板44a,44b,44cと、八つのパネルLED基板45a,45b,・・・,45hと、三つのバックライト基板46a,46b,46cとを有する。
三つのトップLEDユニット41a,41b,41cはそれぞれ、前扉の内側上部の左側、中央、右側に設けられている。これらのトップLEDユニット41a,41b,41cはそれぞれ、トップLED基板44a,44b,44cに搭載されており、各トップLED基板44a,44b,44cは当該トップLEDユニットの点灯を制御する。
前扉の内側であって表示窓12の左側には、パネルLEDユニット42a,42b,42c,42d,42eがこの順番で上から下に向かう方向に沿って設けられている。また、前扉の内側であって表示窓12の右側には、パネルLEDユニット42f,42g,42hがこの順番で上から下へ向かう方向に沿って設けられている。8個のパネルLEDユニット42a,42b,・・・,42hはそれぞれ、パネルLED基板45a,45b,・・・,45hに搭載されており、各パネルLED基板45a,45b,・・・,45hは当該パネルLEDユニットの点灯を制御する。
三つのバックライトはそれぞれ、第一回胴リール11a、第二回胴リール11b、第三回胴リール11cの内部に設けられている。これらのバックライトはそれぞれ、バックライト基板46a,46b,46cに搭載されており、各バックライト基板46a,46b,46cは当該バックライトの点灯を制御する。
スピーカ部50は、音により遊技の演出を行うものである。スピーカ部50の制御は、主制御基板80からのコマンドに基づいて演出制御基板90により行われる。かかるスピーカ部50は、図1及び図2に示すように、第一ドアスピーカ51と、第二ドアスピーカ52と、背面スピーカ53とを有する。第一ドアスピーカ51及び第二ドアスピーカ52はそれぞれ、前扉の内側上部の左側、右側に設けられている。すなわち、図1において、前扉上部に点線で描いた円の部分が第一ドアスピーカ51及び第二ドアスピーカ52である。ここで、前扉の上部においては、トップLEDユニット41a,41b,41cが設けられた部分と画像表示部31が設けられた部分との間に隙間があり、第一ドアスピーカ51及び第二ドアスピーカ52からの音はこの隙間を通して出てくる。また、背面スピーカ53は回胴式遊技機の背面側に設けられている。
主制御基板80及び演出制御基板90は、回胴式遊技機の内部に取り付けられている。ここで、主制御基板80と演出制御基板90とは別の基板に形成されている。そして、演出制御基板90は、主制御基板80と通信ケーブル線を介して接続されている。
主制御基板80は、主に遊技内容やメダル2の払出しの制御及び管理を行う。かかる主制御基板80は、図2に示すように、ROM81と、RAM82と、CPU(遊技制御手段)83とを備えている。ROM81には、遊技内容の制御等に関する各種のプログラムが格納されている。また、RAM82は、データを一時的に記憶する作業用のメモリである。CPU83は、ROM81に格納されたプログラムを実行することにより、乱数値に基づく内部抽選処理、遊技状態の管理、演出制御基板90へのコマンドの送信処理、回胴リール11a,11b,11cの駆動・停止処理、メダル投入時の処理等を行う。
演出制御基板90は、主に遊技の演出に関わる機能を実現する。かかる演出制御基板90には、図2に示すように、ROM91と、RAM92と、CPU93とを備えている。ROM91には、遊技演出の内容等に関する各種のプログラムやデータが格納されている。また、RAM92は、データを一時的に記憶する作業用のメモリである。CPU93は、ROM91に格納されたプログラムを実行することにより、画像表示部30、電飾表示部40、スピーカ部50を制御する。
具体的には、演出制御基板90は、主制御基板80から所定のコマンドを受けたとき、そのコマンドに基づいて遊技の演出の内容を決定し、画像表示部30、電飾表示部40及びスピーカ部50にそれぞれ、画像演出用パターンデータ、電飾演出用パターンデータ、音声データを送る。ここで、これらのデータは例えばROM91に格納されている。これにより、画像表示部30は、その画像演出用パターンデータに基づいて画像を表示し、電飾表示部40は、その電飾演出用パターンデータに基づいてランプやLEDの点灯を行う。また、スピーカ部50は、所定の音声を出力して遊技の演出を行う。
次に、本実施形態の回胴式遊技機において主制御基板80が行う処理の手順について説明する。図5は主制御基板80が行う処理の手順を説明するためのフローチャートである。
まず、主制御基板80のCPU83は、メダル投入時の処理を行う(S1)。このメダル投入時の処理は、クレジットされているメダル2を使用してゲームを行うときには行われず、次のステップS2の処理が実行されることになる。かかるメダル投入時の処理については後に詳述する。次に、CPU83は、ベットボタン操作待ち処理を行う(S2)。すなわち、CPU83は、情報処理部62からのメダルの使用が正当である旨の信号、又はMAXベットボタン操作検出センサ71或いは一枚投入ボタン操作検出センサ72からの検出信号が送られてくるのを待つ。そして、かかる信号を受けると、CPU83は、メダル投入口13からメダル2が所定個数投入された旨又はMAXベットボタン16若しくは一枚投入ボタン17が所定回数押下された旨の操作コマンドを作成し、その作成した操作コマンドを演出制御基板90に送信する。
次に、CPU83は、スタートレバー押下待ち処理を行う(S3)。すなわち、CPU83は、スタートレバー操作検出センサ73から検出信号が送られてくるのを待つ。CPU83は、情報処理部62からのメダルの使用が正当である旨の信号、又はMAXベットボタン操作検出センサ71或いは一枚投入ボタン操作検出センサ72からの信号を受けているときに、スタートレバー操作検出センサ73から信号を受けると、ゲームが開始されたことを認識する。
こうしてゲームが開始されると、CPU83は、乱数値に基づく内部抽選処理を行う(S4)。主制御基板80のROM81には役と乱数値との対応関係を示した抽選テーブルが格納されている。CPU83は、スタートレバー操作検出センサ73からの信号を受けると、乱数抽選を行い、乱数値を取得する。そして、その取得した乱数値が、抽選テーブルにおいていずれの役に該当するかを調べることにより、役の不当選、各種の役の当選のいずれであるかを決定する。その後、CPU83は、その内部抽選の結果に基づいて演出コマンドを作成し、その作成した演出コマンドを演出制御基板90に送信する(S5)。演出制御基板90は、かかる演出コマンドに基づいて遊技の演出内容を決定することになる。
尚、CPU83は、遊技状態の管理をも行っている。本実施形態の回胴式遊技機では、例えば、遊技機の遊技状態として、「BB未作動時の一般遊技状態」、「BB内部中状態」、「RB内部中状態」、「BB作動時の一般遊技状態」等の各種の遊技状態が設定されている。CPU83は、乱数値の内部抽選の結果に基づいて遊技状態の移行を制御する。一般に、遊技状態に応じて、役と乱数値との対応関係を示した抽選テーブルの内容が異なっている。
次に、CPU83は、前回のスタートレバー操作検出センサ73からの信号を受けてから4.1秒経過するのを待つ(S6)。回胴式遊技機に関しては、さまざまな規格が定められている。その一つに、スタートレバー19を操作してから4.1秒を経過しないと、次にスタートレバー19を操作しても、回胴リール11a,11b,11cが回転しないという規格がある。かかる規格を遵守するために、CPU83はステップS6の処理を行っているのである。そして、4.1秒経過すると、CPU83は、回胴リール駆動手段75a,75b,75cの制御して、第一回胴リール11a、第二回胴リール11b、第三回胴リール11cを回転させる(S7)。
次に、CPU83は、三つの回胴リール11a,11b,11cの停止処理を行う(S8)。すなわち、CPU83は、第一停止ボタン操作検出センサ74aから信号を受けたときに、第一回胴リール駆動手段75aを制御して、第一回胴リール11aを停止させる。そして、第一停止ボタン21aが押下された旨の操作コマンドを作成し、その作成した操作コマンドを演出制御基板90に送信する。また、CPU83は、第二停止ボタン操作検出センサ74bから信号を受けたときに、第二回胴リール駆動手段75bを制御して、第二回胴リール11bを停止させる。そして、第二停止ボタン21bが押下された旨の操作コマンドを作成し、その作成した操作コマンドを演出制御基板90に送信する。更に、CPU83は、第三停止ボタン操作検出センサ74cから信号を受けたときに、第三回胴リール駆動手段75cを制御して、第三回胴リール11cを停止させる。そして、第三停止ボタン21cが押下された旨の操作コマンドを作成し、その作成した操作コマンドを演出制御基板90に送信する。
ここで、CPU83が行う回胴リール11a,11b,11cの停止処理には、例えば、役に当選した場合に行われるリール引込み制御、役に当選しなかった場合に行われる外れ制御等がある。
リール引込み制御とは、停止ボタンが押されたときに、その押されたタイミングで有効な入賞ライン上にある図柄を含めて当該図柄から所定のコマ数(例えば、5コマ)の範囲内に当該役を構成する図柄が存在するときに、その図柄を当該有効な入賞ライン上に引き込むように回胴リールの停止位置を制御することをいう。但し、遊技者が停止ボタンを押したタイミングにおいて上記の所定のコマ数の範囲内に当該役を構成する図柄が存在しないときには、リールの引込み制御が働かず、押したなりの図柄が有効な入賞ライン上に停止する。したがって、このときには、当該役を構成する図柄は有効な入賞ライン上に揃わず、当該役は成立しないことになる。
外れ制御とは、有効な入賞ラインにはいずれの役も成立しないように、リールの停止位置を制御することをいう。したがって、この場合には、遊技者が特定の役を狙って停止ボタンを押したとしても、どのような役も成立せず、ゲームの結果は外れとなる。
こうして、三つの回胴リール11a,11b,11cが停止したときに、所定の図柄が有効な入賞ライン上に揃い、所定の役が成立すると、当該ゲームが入賞となり、CPU83は、所定数のメダル2を払い出す(S9)。以上で、図5に示す処理フローが終了するが、その後、CPU83は、再びステップS1から処理を開始する。
次に、情報処理部62が行う識別情報の照合処理の手順について説明する。図6は情報処理部62が行う識別情報の照合処理の手順を説明するためのフローチャートである。ここで、図6に示す処理は、情報処理部62のCPU62cが情報読取部61の制御部に信号を送り、情報読取部61が動作可能な状態になった後に実行される。
まず、情報処理部62のCPU62cは、識別情報受信待ち処理を行う(S11)。情報読取部61が動作可能な状態になった後、メダル投入口13から投入されたメダル2が情報読取部61の前を通過すると、情報読取部61とメダル2の情報記憶手段4との間で通信が行われ、情報読取部61は情報記憶手段4の内蔵メモリに記憶された識別情報を読み取る。CPU62cは、こうして情報読取部によって読み取られた識別情報が送られてくるのを待つ。
次に、CPU62cは、情報読取部61によって読み取られた識別情報を受けると、当該識別情報の照合処理を行う(S12)。すなわち、CPU62cは、当該識別情報がRAM62bに記憶されている識別情報に一致するかどうかの照合を行う。その後、CPU62cは、かかる照合の結果、当該識別情報がRAM62bに記憶されている識別情報に一致するかどうかを判断する(S13)。当該識別情報がRAM62bに記憶されている識別情報に一致しないと判断すると、CPU62cは、メダルの使用が正当である旨の信号を主制御基板80に出力する(S14)。また、CPU62cは、当該識別情報を新たにRAM62bに記憶させる(S15)。このとき、RAM62bに記憶している識別情報の数が100個よりも多い場合には、最も古い識別情報を消去する。その後、CPU62cは、再びステップS11から処理を開始する。
また、ステップS13の処理において、当該識別情報がRAM62bに記憶されている識別情報に一致すると判断すると、CPU62cは、その一致する識別情報が最新のものであるかどうかを判断する(S16)。その一致する識別情報が最新のものであれば、CPU62cは、メダルの逆流エラー又はメダルの滞留エラーが発生したことを認識し、メダルの逆流エラー又はメダルの滞留エラーが発生した旨の信号を主制御基板80に出力する(S17)。具体的に、ステップS17の処理としては、次のような処理が行われる。すなわち、CPU62cは、再度、識別情報受信待ち処理を行い、所定の時間内に情報読取部61から同じ識別情報が送られてくるかどうかを判断する。所定の時間内に同じ識別情報が送られてこなかった場合、すなわち、当該識別情報がRAM62bに記憶されている最新の識別情報に一致すると判断したが、その判断を一度だけ行った場合には、CPU62cは、メダルの逆流エラーが発生したことを認識し、その旨の信号を主制御基板80に出力する。一方、所定の時間内に同じ識別情報が送られてきた場合、すなわち、当該識別情報がRAM62bに記憶されている最新の情報に一致すると判断し、その判断を連続して行った場合には、CPU62cは、メダルの滞留エラーが発生したことを認識し、その旨の信号を主制御基板80に出力する。ステップS17の後、CPU62cは、再びステップS11から処理を開始する。
一方、ステップS16の処理において、その一致する識別情報が最新のものでないと判断すると、CPU62cは、遊技者が不正行為を行っている可能性が高いことを認識し、不正行為が行われている旨の信号を主制御基板80に出力する(S18)。その後、CPU62cは、再びステップS11から処理を開始する。
次に、主制御基板80のCPU83が行うメダル投入時の処理について詳しく説明する。メダル投入時の処理には、大きく分けて、メダル枚数の管理処理、メダル投入エラー処理という二種類の処理がある。
メダル枚数の管理処理は、メダルの使用が正当である旨の信号が情報処理部62から送られた場合に行われる。CPU83は、情報処理部62からメダルの使用が正当である旨の信号が送られると、メダル2がメダル投入口13から一枚投入されたことを認識する。そして、現在のクレジット数からその投入したメダル2の数だけ増加させた数を計数し、その計数した数をクレジット数表示部15に表示させる。
メダル投入エラー処理は、メダルの使用が不当である旨の信号、すなわちメダルの逆流エラーが発生した旨の信号、メダルの滞留エラーが発生した旨の信号、不正行為が行われた旨の信号のうちのいずれの信号が情報処理部62から送られた場合に行われる。図7はメダル投入エラー処理のタイミングチャートである。
CPU83は、メダルの使用が不当である旨の信号が情報処理部62から送られると、メダル投入に関してエラーが発生したことを認識し、遊技機の遊技状態をメダル投入エラー状態に移行させる。そして、CPU83は、まず、図7に示すように、ソレノイド14dをオフにする。これにより、その後にメダル投入口13から投入されるメダル2は、メダルセレクタ14のメダル通路14bを通過することができず、そのままメダル放出口24から排出されることになる。すなわち、メダル投入エラーが発生すると、遊技者は遊技を続行することができなくなる。
また、CPU83は、図7に示すように、払出数表示部23に所定のエラーコードを表示させる。例えば、不正行為が行われた旨の信号が送られた場合には、CPU83は、エラーコード「E.0」を表示させ、メダルの逆流エラーが発生した旨の信号が送られた場合には、エラーコード「E.1」を表示させ、そして、メダルの滞留エラーが発生した旨の信号が送られた場合には、エラーコード「E.6」を表示させる。遊技場の従業員は、かかるエラーコードを見て、メダル投入エラーの内容を容易に知ることができる。更に、CPU83は、図7に示すように、メダル投入エラーが発生した旨のコマンドを演出制御基板90に送出する。演出制御基板90のCPU93は、かかるコマンドを受け取ると、例えば、メダル投入エラーの発生を報知するための演出を電飾表示部40に行わせる。従業員は、かかる電飾表示部40の報知演出により、メタル投入エラーが発生したことを容易に知ることができる。
次に、メダル投入エラーの状態を解除する操作について説明する。メダル投入エラーの状態は、遊技場の従業員による手動操作により解除される。特に、メダル投入エラーの内容がメダルの滞留エラーである場合にあっては、従業員は、メダル投入エラー状態の解除作業を行う前に、遊技機の前扉を開けて、滞留しているメダル2を取り除いておく必要がある。メダル投入エラーの状態を解除するには、従業員がドアセンサ(不図示)又は設定変更スイッチ(不図示)を操作すればよい。ここで、ドアセンサは、遊技機の前扉に設けられている扉錠26に設けられている。鍵を扉錠26に差込み、その鍵を右に回せば前扉が開錠し、逆にその鍵を左に回せばドアセンサがリセット信号を主制御基板80に出力する。また、設定変更スイッチは遊技機の内部に設けられている。この設定変更スイッチは、通常は、設定を変更するために用いられるが、遊技機がメダル投入エラーの状態にあるときには、リセット信号を発生させるためのスイッチとして使用される。
従業員がドアセンサ又は設定変更スイッチを操作すると、図7に示すように、リセット信号が主制御基板80に送られる。主制御基板80のCPU83は、リセット信号を受け取ると、まず、情報処理部62から信号が何も送られてきておらず、メダルの滞留エラーが生じていないことを確認する。この確認を行った後、CPU83は、図7に示すように、ソレノイド14dをオンにする。これにより、遊技者は遊技を再開することができる。また、CPU83は、図7に示すように、払出数表示部23にエラーコードを表示するのを中止し、払出枚数を表示させる。更に、CPU83は、図7に示すように、メダル投入エラーが解除された旨のコマンドを演出制御基板90に送出する。演出制御基板90のCPU93はかかるコマンドを受け取ると、所定の信号を電飾表示部40に送り、これにより、電飾表示部40はメダル投入エラーの発生を報知するための演出を中止する。
本実施形態の回胴式遊技機では、各メダルの内部に、当該メダルを識別するための識別情報を記憶する情報記憶手段を設けると共に、メダルセレクタに、情報記憶手段に記憶された識別情報を非接触で読み取って出力する情報読取部を設けている。情報処理部は、情報読取部から識別情報が送られたときにメダルが投入されたことを認識することができるので、メダルが汚れていたり、変形していたりしたとしても、メダルの投入を正確に判断することができる。しかも、例えばメダルセレクタにおいてメダルの暴れ現象が起こり、あるメダルがメダル貯留部に入ってしまったとしても、情報読取部がそのメダルの識別情報を読み取っている限り、情報処理部は、そのメダルが投入されたという事実を認識することができるので、メダルが飲み込まれるという現象を解消することができる。また、情報処理部は、情報読取部から識別情報が送られた場合に、当該識別情報が情報処理部のRAMに記憶されている識別情報に一致するかどうかの照合を行い、当該識別情報がRAMに記憶されている識別情報に一致すると判断したときには、メダルの使用が不当である旨の信号を出力するので、いわゆる糸釣りゴト等、メダル投入に関する不正行為を確実に防止することができる。更に、光学センサを用いてメダル投入の検出を行う場合のように厳しい検出シーケンスを設ける必要がないので、本実施形態の回胴式遊技機では、メダル投入の検出に関する制御がとても簡略化される。
また、情報処理部は、照合の結果、当該識別情報が情報処理部のRAMに記憶されている識別情報のうち最新の識別情報に一致すると判断し、その判断を一度だけ行ったときに、メダルの使用が不当である旨の信号としてメダルの逆流エラーが発生した旨の信号を主制御基板に出力する。これにより、主制御基板は、メダルの投入エラーとしてメダルの逆流エラーを容易に認識することができる。
更に、情報処理部は、照合の結果、当該識別情報が情報処理部のRAMに記憶されている識別情報のうち最新の識別情報に一致すると判断し、その判断を連続して行ったときに、メダルの使用が不当である旨の信号としてメダルの滞留エラーが発生した旨の信号を主制御基板に出力する。これにより、主制御基板は、メダルの投入エラーとしてメダルの滞留エラーを容易に認識することができる。
尚、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内において種々の変形が可能である。
例えば、上記の実施形態では、情報処理部が、メダルの使用が正当である旨の信号又はメダルの使用が不当である旨の信号を主制御基板に出力する場合について説明したが、情報処理部は、メダルの使用が正当である旨の信号又はメダルの使用が不当である旨の信号を主制御基板だけでなく、演出制御基板にも出力するようにしてもよい。これにより、演出制御基板は、情報処理部からメダルの使用が不当である旨の信号を受けたときに、メダル投入エラーの発生を報知する演出制御を行えばよく、主制御基板は、メダル投入エラーが発生した旨のコマンドを演出制御基板に送信する必要がなくなるので、主制御基板の負担の軽減を図ることができる。
また、上記の実施形態において、情報処理部のRAMには、情報読取部によって読み取られた識別情報を新しいものから順に所定個数だけ記憶すると共に、当該各識別情報についての時間情報を記憶するようにしてもよい。この場合、情報処理部は、照合の結果、情報読取部から送られた識別情報がRAMに記憶されている識別情報に一致しないと判断したときには、メダルの使用が正当である旨の信号を主制御基板に出力し、当該識別情報をRAMに記憶すると共に当該識別情報が送られた時間を上記時間情報としてRAMに記憶する。また、情報処理部は、照合の結果、情報読取部から送られた識別情報がRAMに記憶されている識別情報に一致すると判断したときには、当該識別情報についての時間情報とその一致すると判断された識別情報についての時間情報との時間差が基準の時間間隔以下であるか否かを判定する。そして、情報処理部は、当該時間差が基準の時間間隔以下であれば、メダルの使用が正当である旨の信号を主制御基板に出力し、当該識別情報をRAMに記憶すると共に当該識別情報が送られた時間を上記時間情報としてRAMに記憶する。一方、当該時間差が基準の時間間隔より大きければ、メダルの使用が不当である旨の信号を主制御基板に出力する。これにより、情報処理部は、メダル固有の識別情報とそのメダルの投入された時間間隔とに基づいて、当該メダルの使用が正当であるか不当であるかを、より正確に判断することができる。