JP4940692B2 - 燃料電池用電解質材料 - Google Patents
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Description
を有することを特徴とする燃料電池用電解質材料を提供する。
であることが好ましい。上記一般式(2)で表される構造単位は、上記一般式(1)で表される構造単位と同様に、耐酸化性、柔軟性、耐熱性に優れているからである。
を用い、
下記一般式(1)で表される構造単位
を形成する重合工程を有することを特徴とする燃料電池用電解質材料の製造方法を提供する。
を用い、
下記一般式(5)で表される構造単位
を形成することが好ましい。上記一般式(4)で表される化合物を用いることにより、耐酸化性、柔軟性、耐熱性に優れた、一般式(5)で表される構造単位を有する燃料電池用電解質材料を得ることができるからである。
まず、本発明の燃料電池用電解質材料について説明する。本発明の燃料電池用電解質材料は、下記一般式(1)で表される構造単位
を有することを特徴とするものである。
以下、本発明の燃料電池用電解質材料の各構成について説明する。
まず、本発明の燃料電池用電解質材料の構造単位について説明する。本発明の燃料電池用電解質材料は、上記一般式(1)で表される構造単位を少なくとも有するものである。従って、本発明の燃料電池用電解質材料は、上記一般式(1)で表される構造単位のみを有する重合体であっても良く、上記一般式(1)で表される構造単位と、上記一般式(1)で表される構造単位以外の構造単位(「その他の構造単位」と称する場合がある。)と、を有する重合体であっても良い。
以下、一般式(1)で表される構造単位について説明し、次にその他の構造単位について説明する。
上記一般式(1)において、nは0又は正の整数である。nの数値範囲としては、特に限定されるものではないが、通常0〜2の範囲内、中でも0又は1、特に0であることが好ましい。
また、上記一般式(1)において、R2は(CH2)mSO3H(mは0又は正の整数)を表す。mの数値範囲としては、特に限定されるものではないが、通常0〜8の範囲内、中でも0又は1、特に0であることが好ましい。
次に、本発明における、その他の構造単位について説明する。その他の構造単位は、通常、本発明の燃料電池用電解質材料を製造する際に、上記一般式(1)の構造単位を形成するために用いられる化合物と重合可能な化合物を用いて形成される。
等を挙げることができる。
本発明の燃料電池用電解質材料は、上記一般式(1)で表される構造単位を少なくとも有するものである。従って、本発明の燃料電池用電解質材料は、上記一般式(1)で表される構造単位のみを有する重合体であっても良く、上記一般式(1)で表される構造単位と、その他の構造単位とを有する重合体であっても良い。
次に、本発明の燃料電池用電解質材料の製造方法について説明する。本発明の燃料電池用電解質材料の製造方法としては、上記燃料電池用電解質材料を製造することができる方法であれば特に限定されるものではない。具体的には、後述する「C.燃料電池用電解質材料の製造方法」で説明するので、ここでの説明は省略する。
次に、本発明の燃料電池用電解質材料の用途について説明する。本発明の燃料電池用電解質材料は、一般的な燃料電池用電解質材料であるNafion(商品名、デュポン社製)等と同様、膜電極複合体(MEA)を構成する固体電解質膜の材料として用いても良く、触媒電極層に含まれる電解質材料として用いても良い。中でも、本発明においては、上記燃料電池用電解質材料を固体電解質膜の材料として用いることが好ましい。耐酸化性、柔軟性および耐熱性等に優れた固体電解質膜を得ることができるからである。
次に、本発明の燃料電池用電解質材料の製造方法について説明する。本発明の燃料電池用電解質材料は、原材料として、下記一般式(3)で表される化合物
を用い、下記一般式(1)で表される構造単位
を形成する重合工程を有することを特徴とするものである。
まず、本発明における原材料合成工程について説明する。本発明における原材料合成工程は、上記一般式(3)で表される化合物を合成する工程である。
ここでは、その一例として、上記構造式(3−a)で表される化合物、および上記構造式(3−f)で表される化合物の合成方法について説明する。なお、上記構造式(3−f)で表される化合物は、上記構造式(3−a)で表される化合物を用いて合成することができる。
構造式(3−a)で表される化合物の合成について、上述した合成スキームIおよび合成スキームIIの反応1〜反応3を用いて説明する。
反応2においては、ジシクロペンタジエン[5]を熱分解することにより、シクロペンタジエン[6]を得る。
反応3においては、反応1で得られたビニルスルホン酸エチル[4]と、反応2で得られたシクロペンタジエン[6]とを混合し、加熱撹拌し、さらに減圧蒸留することによって、上記構造式(3−a)で表される化合物(Ethyl bicylro[2,2,1]hex-5-ene-2-sulfonate)[7]を得る。
構造式(3−f)で表される化合物の合成について、下記反応10を用いて説明する。
次に、本発明における重合工程について説明する。本発明における重合工程は、上記一般式(3)で表される化合物を開環重合する工程である。本発明においては、上記一般式(3)で表される化合物のみを用いて重合を行っても良く、上記一般式(3)で表される化合物と、上記一般式(3)で表される化合物以外の化合物(「その他の化合物」の称する場合がある。)と、を用いて重合を行っても良い。
反応4においては、反応3で得られた構造式(3−a)で表される化合物[7]を開環重合することにより、重合体[8]を得る。なお、本発明においては、重合工程の際に、Grubbs触媒を用いることが好ましい。燃料電池用電解質材料を効率良く製造することができるからである。上記Grubbs触媒としては、上記重合反応を促進することができるものであれば特に限定されるものではないが、本発明においては、下記構造式のGrubbs触媒であることが好ましい。
等を挙げることができる。なお、一般式(4)中、kの好適な範囲は、上述した一般式(2)と同様であるので、ここでの説明は省略する。
上記一般式(4)で表される化合物の具体例としては、例えば、以下に示す構造式(4−a)〜構造式(4−d)で表される化合物等を挙げることができ、中でも、構造式(4−a)で表される化合物であることが好ましい。
反応7においては、反応3で得られた構造式(3−a)で表される化合物[7]と、構造式(4−a)表される化合物(2-norbornene)[11]と、をテトラヒドロフラン(THF)等の溶媒に溶解し、上述したGrubbs触媒等を用いて開環重合することにより、重合体[12]を得る。なお、この際、構造式(3−a)で表される化合物[7]および(4−a)表される化合物[11]を、順次反応させることによって、ブロック共重合体を得ることができる。
次に、本発明における水素化工程について説明する。本発明における水素化工程は、重合工程により得られる重合体を水素化する工程である。
反応5においては、反応4で得られた重合体[8]を、還元剤を用いて還元し、燃料電池用電解質材料の前駆体[9]を得る。この際に用いられる還元剤としては、二重結合等に水素を付加することができるものであれば特に限定されるものではないが、中でも、本発明においては、上記還元剤としてp-toluenesulfonylhydrazideを用いることが好ましい。
反応8においては、反応7で得られた重合体[12]を、上述した還元剤を用いて還元し、燃料電池用電解質材料の前駆体[13]を得る。
次に、本発明におけるアルカリ処理工程について説明する。本発明におけるアルカリ処理工程は、水素化工程により得られる化合物をアルカリ処理し、スルホン酸基を得る工程である。
反応6においては、反応5で得られた燃料電池用電解質材料の前駆体[9]を、NaI又はKOH等で処理することにより、燃料電池用電解質材料[10]を得る。
反応9においては、反応8で得られた燃料電池用電解質材料の前駆体[13]を、NaI又はKOH等で処理することにより、燃料電池用電解質材料[14]を得る。
なお、燃料電池用電解質材料の前駆体の時点で既にスルホン酸基を有しており、アルカリ処理工程を行う必要が無いときは、燃料電池用電解質材料の前駆体が燃料電池用電解質材料となる。
上述した合成スキームIIに沿って、燃料電池用電解質材料を作製した。
(反応1)
2−クロロエタンスルホン酸クロリド[1]24.80gを、ジクロロメタン100mLに溶解し、エタノール[2]10.70gを加えた。この溶液を氷冷撹拌しながら、トリエチルアミン[3]32.05gを1時間かけて滴下した。滴下終了後、室温でさらに1時間撹拌した。
その後、反応溶液を0.1N HCl水溶液で洗浄後、有機層を純水で2回洗った。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた油状物を減圧蒸留することにより、ビニルスルホン酸エチル(無色透明液体)[4]12.31gを得た。収率は約60%であった。得られた化合物の同定は、1H−NMRを用いて行った。
受け器をドライアイス/メタノールバスで冷却した常圧蒸留装置に、ジシクロペンタジエン[5]を入れ、オイルバスの温度160℃で加熱撹拌を行った。溜出温度40℃〜100℃でシクロペンタジエン(無色透明液体)[6]が得られた。得られた化合物の同定は、ガスクロマトグラフィー(GC)および1H−NMRを用いて行った。
反応1で得られたビニルスルホン酸エチル[4]11.77gと、反応2で得られたシクロペンタジエン[6]4.77gとを混合し、40℃で40分間加熱撹拌した。この際、薄層クロマトグラフィー(TLC)を用いて、原料の消失を確認した。その後、反応溶液を115℃、3mmHgの条件下で減圧蒸留し、Ethyl bicylro[2,2,1] hex-5-ene-2-sulfonate(無色透明液体)[7]9.71gを得た。収率は約67%であった。得られた化合物の同定は、GCおよび1H−NMRを用いて行った。
窒素雰囲気下の3つ口フラスコに、Ethyl bicylro[2,2,1]hex-5-ene-2-sulfonate[7]5.19g、2-norbornene[11]20.44g、およびテトラヒドロフラン(THF)175.64gを仕込み、GCの内部標準として、Diethyl succinate4.76gを加えた。この際、サンプリングを行い、これをGCの初期サンプルとした。
次に、反応溶液を窒素で10〜15分間バブリングし脱気を行った後、grubbs触媒0.042gをTHF16mLに溶解させた溶液を加え、室温で撹拌した。反応追跡をGCで行い、2時間後に反応率が0%になったことを確認した。
次に、反応溶液を空気中で30分間撹拌した。その後、連鎖移動剤としてEthyl vinyl ether0.40gおよび重合禁止剤としてhydroquinone0.51gをTHF50gに溶解させた溶液を反応溶液に加え、30分間撹拌した。
次に、反応溶液に対して、メタノールを用いた再沈殿を行い精製した。その後、ろ過物をTHFに溶解し、さらにメタノールで再沈殿を行った(計3回)。その後、乾燥機(60°)で乾燥を行い、重合体[12]25gを得た。収率は約100%であった。得られた化合物の同定は、1H−NMRを用いて行った。また、GPCで純度、分子量の測定を行った。
ナスフラスコに、反応7で得られた重合体[12]を添加し、THFに溶解させた。その後、p-toluenesulfonylhydrazideを加え、還流を行った。再沈殿を行い精製した。得られた化合物をhexamethlphosphorous triamide(HMPA)に加え、80℃で15時間撹拌した。その後、ろ過、さらに乾燥することによって、燃料電池用電解質材料の前駆体[13]を得た。得られた化合物の同定は、1H−NMRを用いて行った。
燃料電池用電解質材料の前駆体[13]をアルカリ処理することによって、燃料電池用電解質材料[14]を得た。
上述した合成スキームIIに沿って、燃料電池用電解質材料を作製した。
実施例1と同様にして、Ethyl bicylro[2,2,1]hex-5-ene-2-sulfonate[7]を得た。
窒素雰囲気下の3つ口フラスコに、Ethyl bicylro[2,2,1]hex-5-ene-2-sulfonate[7]2.50g、2-norbornene[11]23.14g、およびテトラヒドロフラン(THF)530.15gを仕込み、GCの内部標準として、Diethyl succinate4.46gを加えた。この際、サンプリングを行い、これをGCの初期サンプルとした。
次に、反応溶液を窒素で10〜15分間バブリングし脱気を行った後、grubbs触媒0.0405gをTHF19.93mLに溶解させた溶液を加え、室温で撹拌した。反応追跡をGCで行い、2時間後に反応率が0%になったことを確認した。
次に、反応溶液を空気中で30分間撹拌した。その後、連鎖移動剤としてEthyl vinyl ether0.40gおよび重合禁止剤としてhydroquinone0.65gをTHF50gに溶解させた溶液を反応溶液に加え、30分間撹拌した。
次に、反応溶液に対して、メタノールを用いた再沈殿を行い精製した。その後、ろ過物をTHFに溶解し、さらにメタノールで再沈殿を行った(計3回)。その後、乾燥機(60°)で乾燥を行い、重合体[12]25gを得た。収率は約100%であった。得られた化合物の同定は、1H−NMRを用いて行った。また、GPCで純度、分子量の測定を行った。
実施例1と同様にして、燃料電池用電解質材料[14]を得た。
(破断伸び)
実施例1および実施例2で得られた燃料電池用電解質材料から、シート状(膜厚30μm)の試料を作製した。試料の破断伸びの測定は、オートグラフ(万能材料試験機、インストロン、島津製作所製)を用いて、JIS K7113「プラスチックの引っ張り試験方法」に則り行った。測定は、チャック(摘み具)間距離を5mm、引っ張り速度を10mm/分にて行った。なお、伸度は下式にて算出した。
伸度(%)=(破断時の伸び−チャック間距離)/チャック間距離×100
実施例1および実施例2で得られた燃料電池用電解質材料から、膜状の試料を作製した。この試料を用いて、Curtinらの方法(D.E.Curtin, R.D. Lousenberg, T.J.Henry, P.C.Tangeman, and M.E.Tisack, 第10回燃料電池シンポジウム講演予稿集、A24, p121(2003))に従って、次の手順でフェントン試験を行った。まず、20ppmのFeSO4・7H2Oを含む30%過酸化水溶液100mLを試験液として調整した。一方、試料を減圧乾燥(80℃、0.1Torr、2時間)した後、精秤した。次に、試験液に試料を浸漬(80±1℃、20時間)させた。試験後の試料を水洗後、純水中で煮沸洗浄(0.5時間×2回)した。その後、試料を減圧乾燥(80℃、0.1Torr、2時間)した後、再び精秤した。試験後の試料の重量減少率を下式にて算出した。
重量残存率(%)=(試験前の試料の重量−試験後の試料の重量)/試験前の試料の重量×100
実施例1および実施例2で得られた燃料電池用電解質材料から、矩形膜状(大きさ4cm×1cm)の試料を作製した。この試料のプロトン伝導率を交流インピーダンス法により測定した。まず、1cm角の窓を持つポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製のセルに試料とPt電極を固定した。Pt板電極間距離は1cmとした。セルを小型環境試験機の槽内に設置し、槽内の温度を25℃、40℃、60℃および80℃に設定し、相対湿度を100%RHに設定した。その後、インピーダンスアナライザー(4194A、YHP)を用いて下記の条件で測定を行った。電気容量が最小になる周波数でのコンダクタンスの平均値を測定値(G:単位はS)とした。また、測定後、ノギスを用いて試料の膜厚(d:単位はμm)を測り、下式より求めた値を試料の伝導度(σ:単位はS/cm)とした。
・測定周波数 100Hz〜1MHz
・印加交流電圧 0.05Vrms
・平均回数 4回
・積分時間 5msec
・測定点数 81点
伝導度σ=(G/d)×10000
実施例1で得られた燃料電池用電解質材料から、φ5cmの試料を作製した。次に、80℃、dryまたは80RH%条件下で、等圧法により水素透過係数および窒素透過係数を求めた。なお、試料設置後、飽和のために3時間経った後測定を行った。
得られた結果を図4に示す。図4に示されるように、実施例1で得られた燃料電池用電解質材料は、炭化水素系膜(HC膜)と比較して、水素透過係数および窒素透過係数が高かった。
実施例1で得られた燃料電池用電解質材料に対し、下記条件で動的粘弾性を測定した。
・サンプル形状:短冊状
・幅:5mm、チャック間距離:25mm
・温度:−150℃〜分解温度以下
・昇温速度:5℃/min
・周波数:10Hz
その結果、実施例1で得られた燃料電池用電解質材料のガラス転移温度は約120℃であった。
Claims (8)
- 前記一般式(1)で表される構造単位に加え、さらに飽和脂環式炭化水素からなる構造単位を有することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用電解質材料。
- 前記一般式(1)で表される構造単位と、前記飽和脂環式炭化水素からなる構造単位と、を有するブロック共重合体であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の燃料電池用電解質材料。
- 請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の燃料電池用電解質材料を用いることを特徴とする燃料電池用固体電解質膜。
- 前記重合工程の際に、Grubbs触媒を用いることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の燃料電池用電解質材料の製造方法。
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