JP4940514B2 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体装置の製造方法に関し、特にDRAM(Dynamic Random Access Memory)とロジック回路とが混載された半導体装置の製造において、スクリーン酸化によるゲート絶縁膜の膜厚変化を制御する半導体装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の半導体装置製造におけるDRAMの形成工程においては、データの保持特性を確保するために、ゲート電極と拡散層であるソースドレイン領域との間の接合リークを抑制することが必要である。
【0003】
この接合リークの抑制には、ゲート電極の形成後に、その側壁およびシリコン基板が露出している状態でスクリーン酸化を行い、ゲート電極の側壁近傍とソースドレイン領域との間に比較的厚い膜厚の酸化膜を形成する方法が有効である。
【0004】
このスクリーン酸化を行うことにより、ゲート電極表面およびシリコン基板表面が酸化される。さらに、ゲート電極とゲート絶縁膜との間にも酸素が進入し、ゲート電極を形成しているポリシリコンが酸化され、二酸化シリコンが形成される。これにより、ゲート電極の側壁近傍では、ゲート絶縁膜が厚膜化される。一方、ゲート電極内部は、酸素が拡散しにくく、ゲート絶縁膜の厚膜化が起こりにくい。その結果、スクリーン酸化後のゲート絶縁膜は、そのゲート電極の側壁近傍で膨らんだ、いわゆるゲート・バーズビーク形状となる。
【0005】
ゲート絶縁膜がゲート・バーズビーク形状となることにより、ゲート絶縁膜全体を厚膜化せずに、ゲート電極の側壁近傍のゲート絶縁膜のみを厚膜化し、ゲート電極とソースドレイン領域との間にかかる電界を緩和することができ、DRAMにおけるソースドレイン領域の接合リークを抑制することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、DRAMとロジック回路とが混載された半導体装置を製造する場合、スクリーン酸化によってゲート絶縁膜をゲート・バーズビーク形状とすることは、DRAM形成には有効であるが、一方、ロジック回路のトランジスタにおいては、チャネル端でのゲート絶縁膜の厚膜化となり、トランジスタの実動作状態におけるソース−ドレイン間の飽和電流(Ids)の低下を引き起こし、電流駆動能力が低下する可能性があるという問題点があった。
【0007】
従来のDRAMとロジック回路とが混載された半導体装置の製造は、まず、シリコン基板上にゲート絶縁膜となる二酸化シリコンおよびゲート電極となるポリシリコンを形成し、次いで、その二酸化シリコンおよびポリシリコンをエッチングして、DRAMを形成する領域であるDRAM形成領域およびロジック回路を形成する領域であるロジック回路形成領域に、それぞれゲート絶縁膜およびゲート電極を形成する。そして、この基板の全面をスクリーン酸化することにより、ゲート電極およびシリコン基板を酸化し、それにより、ゲート絶縁膜をゲート・バーズビーク形状とする。
【0008】
このとき、DRAM形成領域では、そのゲート絶縁膜がゲート・バーズビーク形状となることによって、ゲート電極の側壁近傍のゲート絶縁膜が厚膜化され、ゲート電極とソースドレイン領域との間にかかる電界が緩和され、接合リークが抑制されるようになる。同様に、ロジック回路形成領域でも、そのゲート絶縁膜がゲート・バーズビーク形状となることによって、ゲート絶縁膜が厚膜化される。しかし、ロジック回路形成領域において、トランジスタのゲート絶縁膜の厚膜化は、Idsの低下、すなわち、トランジスタの電流駆動能力の低下を引き起こしてしまう。電流駆動能力の低下は、スペックマージンが極めて少ない近年のトランジスタ形成においては、致命的な欠陥となりかねない。
【0009】
このように、DRAM形成領域とロジック回路形成領域とに形成されるゲート絶縁膜のスクリーン酸化による膜厚変化は、DRAMとロジック回路との特性の両立を困難なものとしている。
【0010】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、DRAMとロジック回路とが混載された半導体装置の製造において、スクリーン酸化によって形成されるゲート絶縁膜の膜厚変化を制御する半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、DRAMとロジック回路とが混載された半導体装置の製造方法において、シリコン基板の、DRAMを形成する領域であるDRAM形成領域とロジック回路を形成する領域であるロジック回路形成領域とに、ゲート絶縁膜とポリシリコンで構成されたゲート電極とを形成し、DRAM形成領域、ロジック回路形成領域のいずれか一方の領域をレジストマスクで保護し、レジストマスクで保護されていない他方の領域のゲート電極とシリコン基板とに、ゲート電極とシリコン基板とを酸化する速度を変化させる不純物をイオン注入し、レジストマスクを除去し、ゲート電極とシリコン基板とをスクリーン酸化して、ロジック回路形成領域よりもDRAM形成領域のゲート電極及びシリコン基板の方に厚い酸化膜を形成し、ロジック回路形成領域をレジストマスクで保護した場合に、レジストマスクで保護されていないDRAM形成領域に、速度を増加させる不純物としてフッ素または酸素をイオン注入し、DRAM形成領域をレジストマスクで保護した場合に、レジストマスクで保護されていないロジック回路形成領域に、速度を減少させる不純物として窒素またはアルゴンをイオン注入する、ことを特徴とする半導体装置の製造方法が提供される。
【0012】
上記構成によれば、まず、シリコン基板のDRAM形成領域とロジック回路形成領域とにゲート絶縁膜およびゲート電極を形成する。次いで、DRAM形成領域、ロジック回路形成領域のいずれか一方の領域をレジストマスクで保護する。そして、このレジストマスクによって保護されていない他方の領域のゲート電極とシリコン基板とに、ゲート電極とシリコン基板とを酸化する速度を変化させる効果を有する不純物をイオン注入する。例えば、ロジック回路形成領域をレジストマスクで保護する場合には、レジストマスクで保護されていないDRAM形成領域に、ゲート電極とシリコン基板とを酸化する速度を増加させる不純物をイオン注入する。また、DRAM形成領域をレジストマスクで保護する場合には、レジストマスクで保護されていないロジック回路形成領域に、ゲート電極とシリコン基板とを酸化する速度を減少させる不純物をイオン注入する。そして、レジストマスクを除去した後、ゲート電極とシリコン基板とをスクリーン酸化する。
【0013】
すなわち、スクリーン酸化の酸化速度を増加または減少させる不純物をイオン注入することによって、このスクリーン酸化によるゲート電極およびシリコン基板の酸化速度を増加または減少させ、それにより、ゲート電極とシリコン基板との間に形成されているゲート絶縁膜の膜厚変化を制御する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の半導体装置の製造方法の流れ図である。
【0015】
まず、シリコン基板に、DRAMを形成する領域であるDRAM形成領域、ロジック回路を形成する領域であるロジック回路形成領域のゲート絶縁膜およびゲート電極をそれぞれ形成する(ステップS1)。次いで、DRAM形成領域、ロジック回路形成領域のいずれか一方の領域をレジストマスクで保護し(ステップS2)、レジストマスクで保護されていない他方の領域に、ゲート電極とシリコン基板とを酸化する速度を変化させる効果を有する不純物イオンを注入する(ステップS3)。そして、レジストマスクを除去し(ステップS4)、最後に、ゲート電極およびシリコン基板をスクリーン酸化する(ステップS5)。
【0016】
上記の半導体装置の製造方法では、ゲート絶縁膜およびゲート電極の形成後に、ゲート電極およびシリコン基板に対して不純物イオンを注入し、スクリーン酸化の酸化速度を調節する。例えば、ゲート電極およびシリコン基板を酸化する速度を増加させる不純物イオンとしては、例えばフッ素イオン(F+)を用いることができ、逆に、ゲート電極およびシリコン基板を酸化する速度を減少させる不純物イオンとしては、例えば窒素イオン(N2 +)を用いることができる。
【0017】
図2および図3はゲート電極およびシリコン基板に対して注入する不純物イオン量とシリコン基板に形成されるスクリーン酸化膜の膜厚との関係を示している。
【0018】
図2はフッ素イオン量とスクリーン酸化膜の膜厚変化との関係を示す図である。
図2では、スクリーン酸化の雰囲気、酸化温度、酸化時間などは変えずに、ゲート電極およびシリコン基板に注入するフッ素イオン量(cm-2)のみを変化させてスクリーン酸化を行った場合に、フッ素イオンを注入してスクリーン酸化を行って形成されるスクリーン酸化膜の膜厚の、フッ素イオンを注入せずにスクリーン酸化を行って形成されるスクリーン酸化膜の膜厚に対する変化量Δbを示している。
【0019】
ゲート電極およびシリコン基板に対してフッ素イオンを注入した場合、フッ素イオン量が約1.7×1015(cm-2)を超えると、フッ素イオン量の増加に伴い、スクリーン酸化膜の膜厚が増加するようになる。したがって、ゲート電極およびシリコン基板に、所定量のフッ素イオンを注入することにより、スクリーン酸化における酸化速度を増加させることができるようになる。
【0020】
図3は窒素イオン量とスクリーン酸化膜の膜厚変化との関係を示す図である。
図3では、スクリーン酸化の雰囲気、酸化温度、酸化時間などは変えずに、ゲート電極およびシリコン基板に注入する窒素イオン量(cm-2)のみを変化させてスクリーン酸化を行った場合に、窒素イオンを注入してスクリーン酸化を行って形成されるスクリーン酸化膜の膜厚の、窒素イオンを注入せずにスクリーン酸化を行って形成されるスクリーン酸化膜の膜厚に対する変化量Δaを示している。
【0021】
ゲート電極およびシリコン基板に窒素イオンを注入した場合、窒素イオン量の増加に伴い、スクリーン酸化膜の厚膜化が抑制されるようになる。したがって、ゲート電極およびシリコン基板に窒素イオンを注入することにより、スクリーン酸化における酸化速度を減少させることができるようになる。
【0022】
このようなスクリーン酸化の酸化速度を変化させる効果を有する不純物イオンを注入する場合、まず、DRAM形成領域、ロジック回路形成領域のいずれかをレジストマスクで保護し、レジストマスクで保護されていない領域に対してその不純物イオンの注入を行う。例えば、ロジック回路形成領域をレジストマスクで保護した場合には、DRAM形成領域のスクリーン酸化の酸化速度を増加させるため、DRAM形成領域のゲート電極およびシリコン基板にフッ素イオンを注入する。一方、DRAM形成領域をレジストマスクで保護した場合には、ロジック回路形成領域のスクリーン酸化の酸化速度を減少させるため、ロジック回路形成領域のゲート電極およびシリコン基板に窒素イオンを注入する。
【0023】
また、DRAM形成領域およびロジック回路形成領域への不純物イオンの注入を組み合わせることもできる。この場合、まず、ロジック回路形成領域をレジストマスクで保護して、DRAM形成領域のゲート電極およびシリコン基板にフッ素イオンを注入し、次いで、ロジック回路形成領域のレジストマスクを除去して、DRAM形成領域をレジストマスクで保護し、ロジック回路形成領域のゲート電極およびシリコン基板に窒素イオンを注入する。
【0024】
このように、スクリーン酸化前に、ゲート電極およびシリコン基板に不純物イオンを注入し、DRAM形成領域のスクリーン酸化の酸化速度を増加させる、若しくはロジック回路形成領域のスクリーン酸化の酸化速度を減少させる、またはDRAM形成領域のスクリーン酸化の酸化速度を増加させかつロジック回路形成領域のスクリーン酸化の酸化速度を減少させることにより、ロジック回路形成領域のゲート絶縁膜の厚膜化を抑制するように制御することができるようになる。その結果、DRAM形成領域では、ゲート絶縁膜がゲート・バーズビーク形状となり、ゲート電極とソースドレイン領域との接合リークを抑制することができるようになる。一方、ロジック回路形成領域では、ゲート絶縁膜の厚膜化が抑制され、電流駆動能力の低下を抑制することができるようになる。
【0025】
以下、本発明の実施の形態について具体的に説明する。
まず、第1の実施の形態について説明する。
図4ないし図6は第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明する図である。
【0026】
図4はゲート電極形成工程における半導体装置の概略の断面図である。
まず、シリコン基板1に対して、STI(Shallow Trench Isolation)法やLOCOS(Local Oxidation of Silicon)法によって、DRAMを形成する領域であるDRAM形成領域、ロジック回路を形成する領域であるロジック回路形成領域を電気的に分離する素子分離領域2を形成する。
【0027】
次いで、このシリコン基板1に不純物をイオン注入し、DRAM形成領域およびロジック回路形成領域にそれぞれ、図示しないウェル領域を形成する。例えば、ロジック回路形成領域に形成するトランジスタがPチャネル型MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタであればリンをイオン注入し、ロジック回路形成領域に形成するトランジスタがNチャネル型MOSトランジスタであればホウ素をイオン注入する。
【0028】
次に、このシリコン基板1の表面を熱酸化して二酸化シリコンを形成する。この二酸化シリコンは、DRAM形成領域とロジック回路形成領域とにおいて、レジストマスクによるドライエッチングにより、DRAM形成領域では厚い膜厚で、ロジック回路形成領域では薄い膜厚で形成してもよい。
【0029】
そして、素子分離領域2、ウェル領域および二酸化シリコンを形成したシリコン基板1上に、ポリシリコンをCVD(Chemical Vapor Deposition)法によって堆積した後、形成する半導体装置の導電型に応じた不純物イオンを注入する。このシリコン基板1に積層されている二酸化シリコンおよびポリシリコンを、ドライエッチングすることにより、ロジック回路形成領域にゲート絶縁膜3aおよびゲート電極4aを形成し、DRAM形成領域にゲート絶縁膜3b,3c,3d,3eおよびゲート電極4b,4c,4d,4eを形成する。
【0030】
次いで、素子分離領域2およびゲート電極4a,4b,4c,4d,4eを自己整合マスクとして、半導体装置の導電型に応じた不純物イオンを注入し、図示しないソースドレイン領域を形成する。
【0031】
図5はフッ素イオン注入工程における半導体装置の概略の断面図である。
ゲート絶縁膜3a,3b,3c,3d,3eおよびゲート電極4a,4b,4c,4d,4eを形成した後、ロジック回路形成領域をレジストマスク5で保護し、DRAM形成領域に、スクリーン酸化の酸化速度を増加させるためにフッ素イオンを注入する。このフッ素イオンは、DRAM形成領域のゲート電極4b,4c,4d,4eおよびシリコン基板1の表面近傍に注入される。一方、ロジック回路形成領域は、レジストマスク5で保護されているので、フッ素イオンの注入はない。
【0032】
図6はスクリーン酸化工程における半導体装置の概略の断面図である。
DRAM形成領域へのフッ素イオンの注入後、ロジック回路形成領域のレジストマスク5を除去する。そして、ゲート電極4a,4b,4c,4d,4eおよびシリコン基板1をスクリーン酸化する。このスクリーン酸化によって、ゲート電極4a,4b,4c,4d,4eの上面と側壁、およびシリコン基板1の表面が酸化され、ロジック回路形成領域には膜厚aのスクリーン酸化膜7が形成され、DRAM形成領域には膜厚bのスクリーン酸化膜8が形成される。
【0033】
以上の工程の後、ロジック回路形成領域では、ゲート電極4aに、図示しないサイドウォールを形成し、イオン注入を行うことにより、シリコン基板1のソースドレイン領域に、図示しないLDD(Lightly Doped Drain)領域を形成する。さらに、ゲート電極4aおよびLDD領域に、低抵抗化のために、図示しないコバルトシリサイドなどの金属シリサイド層を形成する。
【0034】
上記の半導体装置の製造方法によれば、スクリーン酸化の際、DRAM形成領域では、ゲート電極4b,4c,4d,4eとゲート絶縁膜3b,3c,3d,3eとの間に酸素が導入されることによって酸化が進行し、さらに、注入されているフッ素イオンの効果により、そのスクリーン酸化の酸化速度が増加する。同様に、ロジック回路形成領域でも、ゲート電極4aとゲート絶縁膜3aとの間に酸素が導入されることによって酸化が進行する。しかし、DRAM形成領域にフッ素イオンを注入しているため、DRAM形成領域では、フッ素イオンを注入しないときに比べて短い酸化時間で、ゲート電極4b,4c,4d,4eおよびシリコン基板1に形成されるスクリーン酸化膜8を厚膜化することができる。一方、ロジック回路形成領域では、スクリーン酸化の酸化時間が短くなることになり、ゲート電極4aおよびシリコン基板1に形成されるスクリーン酸化膜7の厚膜化が抑制される。
【0035】
その結果、DRAM形成領域では、ゲート絶縁膜3b,3c,3d,3eが厚膜化され、さらにゲート電極4b,4c,4d,4eのそれぞれの側壁近傍が酸化されてゲート・バーズビーク形状となり、ゲート電極4b,4c,4d,4eとソースドレイン領域との間の接合リークを抑制することができるようになる。一方、ロジック回路形成領域では、スクリーン酸化の酸化時間が短くなり、ゲート絶縁膜3aの厚膜化が抑制され、電流駆動能力の低下を抑制することができるようになる。
【0036】
次に、第2の実施の形態について説明する。
図4、図6および図7は第2の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明する図である。
【0037】
まず、上記第1の実施の形態で述べたのと同様の方法で、図4に示したように、ロジック回路形成領域にゲート絶縁膜3aおよびゲート電極4aを形成し、DRAM形成領域にゲート絶縁膜3b,3c,3d,3eおよびゲート電極4b,4c,4d,4eを形成する。次いで、スクリーン酸化の酸化速度を調節するために、不純物イオンを注入する。
【0038】
図7は窒素イオン注入工程における半導体装置の概略の断面図である。
DRAM形成領域をレジストマスク6で保護し、ロジック回路形成領域に、スクリーン酸化の酸化速度を減少させるために窒素イオンを注入する。この窒素イオンは、ロジック回路形成領域のゲート電極4aおよびシリコン基板1の表面近傍に注入される。一方、DRAM形成領域は、レジストマスク6で保護されているので、窒素イオンの注入はない。
【0039】
ロジック回路形成領域への窒素イオンの注入後、DRAM形成領域のレジストマスク6を除去する。そして、ゲート電極4a,4b,4c,4d,4eおよびシリコン基板1をスクリーン酸化する。このスクリーン酸化によって、図6に示したように、ゲート電極4a、4b、4c、4d,4eの上面と側壁、およびシリコン基板1の表面が酸化され、ロジック回路形成領域には膜厚aのスクリーン酸化膜7が形成され、DRAM形成領域には膜厚bのスクリーン酸化膜8が形成される。
【0040】
以上の工程の後、ロジック回路形成領域では、ゲート電極4aに、図示しないサイドウォールを形成し、イオン注入を行うことにより、シリコン基板1のソースドレイン領域に、図示しないLDD領域を形成する。さらに、ゲート電極4aおよびLDD領域に、低抵抗化のためにコバルトシリサイドなどの金属シリサイド層を形成する。
【0041】
第2の実施の形態と上記第1の実施の形態との差異は、第1の実施の形態では、図5に示したように、DRAM形成領域に、スクリーン酸化の酸化速度を増加させる目的でフッ素イオンを注入しているのに対し、第2の実施の形態では、図7に示したように、ロジック回路形成領域に、スクリーン酸化の酸化速度を減少させる目的で窒素イオンを注入している点にある。
【0042】
第2の実施の形態に係る半導体装置の製造方法によれば、スクリーン酸化の際、DRAM形成領域では、ゲート電極4b,4c,4d,4eとゲート絶縁膜3b,3c,3d,3eとの間に酸素が導入されることによって酸化が進行する。同様に、ロジック回路形成領域でも、ゲート電極4aとゲート絶縁膜3aとの間に酸素が導入されることによって酸化が進行する。しかし、ロジック回路形成領域では窒素イオンが注入されているため、スクリーン酸化の酸化速度が減少し、ゲート電極4aおよびシリコン基板1の酸化が抑制され、形成されるスクリーン酸化膜7の厚膜化が抑制される。
【0043】
その結果、DRAM形成領域では、ゲート絶縁膜3b,3c,3d,3eが厚膜化され、さらにゲート電極4b,4c,4d,4eのそれぞれの側壁近傍が酸化されてゲート・バーズビーク形状となり、ゲート電極4b,4c,4d,4eとソースドレイン領域との間の接合リークを抑制することができる。一方、ロジック回路形成領域では、ゲート絶縁膜3aの厚膜化が抑制され、電流駆動能力の低下を抑制することができる。
【0044】
次に、第3の実施の形態について説明する。
図4ないし図7は第3の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明する図である。
【0045】
上記第1、第2の実施の形態で述べたのと同様の方法で、図4に示したように、ロジック回路形成領域にゲート絶縁膜3aおよびゲート電極4aを形成し、DRAM形成領域にゲート絶縁膜3b,3c,3d,3eおよびゲート電極4b,4c,4d,4eを形成する。次いで、スクリーン酸化の酸化速度を調節するために、不純物イオンを注入する。
【0046】
この不純物イオンの注入では、まず、図5に示したように、ロジック回路形成領域をレジストマスク5で保護した状態で、DRAM形成領域に、スクリーン酸化の酸化速度を増加させるためにフッ素イオンを注入する。次いで、ロジック回路形成領域のレジストマスク5を除去した後、図7に示したように、DRAM形成領域をレジストマスク6で保護した状態で、ロジック回路形成領域に、スクリーン酸化の酸化速度を減少させるために窒素イオンを注入する。
【0047】
ロジック回路形成領域への窒素イオンの注入を行った後、DRAM形成領域のレジストマスク6を除去する。そして、ゲート電極4a,4b,4c,4d,4eおよびシリコン基板1をスクリーン酸化する。このスクリーン酸化によって、図6に示したように、ゲート電極4a、4b、4c、4d,4eの上面と側壁、およびシリコン基板1の表面が酸化され、ロジック回路形成領域には膜厚aのスクリーン酸化膜7が形成され、DRAM形成領域には膜厚bのスクリーン酸化膜8が形成される。
【0048】
以上の工程の後、ロジック回路形成領域では、ゲート電極4aに、図示しないサイドウォールを形成し、イオン注入を行うことにより、シリコン基板1のソースドレイン領域に、図示しないLDD領域を形成する。さらに、ゲート電極4aおよびLDD領域に、低抵抗化のためにコバルトシリサイドなどの金属シリサイド層を形成する。
【0049】
第3の実施の形態と上記第1、第2の実施の形態との差異は、第1の実施の形態では、図5に示したように、DRAM形成領域に、スクリーン酸化の酸化速度を増加させる目的でフッ素イオンを注入し、また、第2の実施の形態では、図7に示したように、ロジック回路形成領域に、スクリーン酸化の酸化速度を減少させる目的で窒素イオンを注入しているのに対し、第3の実施の形態では、DRAM形成領域、ロジック回路形成領域にそれぞれ、フッ素イオン、窒素イオンを注入している点にある。
【0050】
第3の実施の形態に係る半導体装置の製造方法によれば、スクリーン酸化の際、DRAM形成領域では、フッ素イオンが注入されているため、スクリーン酸化の酸化速度が増加する。さらに、ロジック回路形成領域では窒素イオンが注入されているため、スクリーン酸化の酸化速度が減少する。
【0051】
図8は不純物イオン量に対するDRAM形成領域とロジック回路形成領域とに形成されるスクリーン酸化膜の膜厚差の変化を示す図である。
図8では、スクリーン酸化の雰囲気、酸化温度、酸化時間などは変えずに、ゲート電極4a,4b,4c,4d,4eおよびシリコン基板1に注入する不純物イオン量(/cm2)のみを変化させてスクリーン酸化を行った場合に、DRAM領域にフッ素イオンを注入してスクリーン酸化を行って形成されるスクリーン酸化膜の膜厚bと、ロジック回路形成領域に窒素イオンを注入してスクリーン酸化を行って形成されるスクリーン酸化膜の膜厚aとの膜厚差Δ(b−a)を示している。
【0052】
DRAM形成領域へのフッ素イオン量の増加、およびロジック回路形成領域への窒素イオン量の増加に伴い、DRAM形成領域に形成されるスクリーン酸化膜8とロジック回路形成領域に形成されるスクリーン酸化膜7との膜厚差Δ(b−a)は大きくなる。
【0053】
すなわち、DRAM形成領域ではゲート絶縁膜3b,3c,3d,3eの厚膜化が促進され、ロジック回路形成領域ではゲート絶縁膜3aの厚膜化が抑制される。その結果、DRAM形成領域では、ゲート絶縁膜3b,3c,3d,3eが厚膜化され、さらにゲート電極4b,4c,4d,4eのそれぞれの側壁近傍が酸化されてゲート・バーズビーク形状となり、ゲート電極4b,4c,4d,4eとソースドレイン領域との間の接合リークを抑制することができるようになる。一方、ロジック回路形成領域では、ゲート絶縁膜3aが厚膜化せず、電流駆動能力の低下を抑制することができるようになる。
【0054】
なお、以上の説明において、スクリーン酸化の酸化速度を増加させる目的で注入する不純物としてフッ素を用いたが、他の不純物であって、例えば酸素などの、酸化速度を増加させる効果を有するものであればよい。また、スクリーン酸化の酸化速度を減少させる目的で注入する不純物として窒素を用いたが、他の不純物であって、例えばアルゴンなどの、酸化速度を減少させる効果を有するものであればよい。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように本発明では、シリコン基板のDRAM形成領域、ロジック回路形成領域のいずれか一方の領域をレジストマスクで保護し、レジストマスクによって保護されていない他方の領域のゲート電極とシリコン基板とに、ゲート電極およびシリコン基板の酸化速度を変化させる効果を有する不純物をイオン注入し、レジストマスクを除去した後、ゲート電極とシリコン基板とをスクリーン酸化するように構成にした。
【0056】
これにより、スクリーン酸化によるゲート電極およびシリコン基板の酸化速度を増加または減少させることができ、それにより、ゲート電極とシリコン基板との間に形成されているゲート絶縁膜の膜厚変化を制御することができるようになる。
【0057】
本発明によれば、DRAMとロジック回路とが混載された半導体装置の製造において、DRAM形成領域では、ゲート絶縁膜の膜厚を厚膜化することができるので、接合リークが減少し、データ保持特性を改善することができるようになる。一方、ロジック回路形成領域では、ゲート絶縁膜の膜厚の厚膜化を抑制することができるので、トランジスタの電流駆動能力の低下を抑制することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体装置の製造方法の流れ図である。
【図2】フッ素イオン量とスクリーン酸化膜の膜厚変化との関係を示す図である。
【図3】窒素イオン量とスクリーン酸化膜の膜厚変化との関係を示す図である。
【図4】ゲート電極形成工程における半導体装置の概略の断面図である。
【図5】フッ素イオン注入工程における半導体装置の概略の断面図である。
【図6】スクリーン酸化工程における半導体装置の概略の断面図である。
【図7】窒素イオン注入工程における半導体装置の概略の断面図である。
【図8】不純物イオン量に対するDRAM形成領域とロジック回路形成領域とに形成されるスクリーン酸化膜の膜厚差の変化を示す図である。
【符号の説明】
1……シリコン基板、2……素子分離領域、3a,3b,3c,3d,3e……ゲート絶縁膜、4a,4b,4c,4d,4e……ゲート電極、5,6……レジストマスク、7,8……スクリーン酸化膜。
Claims (1)
- ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(Dynamic Random Access Memory,DRAM)とロジック回路とが混載された半導体装置の製造方法において、
シリコン基板の、DRAMを形成する領域であるDRAM形成領域とロジック回路を形成する領域であるロジック回路形成領域とに、ゲート絶縁膜とポリシリコンで構成されたゲート電極とを形成し、
前記DRAM形成領域、前記ロジック回路形成領域のいずれか一方の領域をレジストマスクで保護し、
前記レジストマスクで保護されていない他方の領域の前記ゲート電極と前記シリコン基板とに、前記ゲート電極と前記シリコン基板とを酸化する速度を変化させる不純物をイオン注入し、
前記レジストマスクを除去し、
前記ゲート電極と前記シリコン基板とをスクリーン酸化して、前記ロジック回路形成領域よりも前記DRAM形成領域の前記ゲート電極及び前記シリコン基板の方に厚い酸化膜を形成し、
前記ロジック回路形成領域を前記レジストマスクで保護した場合に、
前記レジストマスクで保護されていない前記DRAM形成領域に、前記速度を増加させる前記不純物としてフッ素または酸素をイオン注入し、
前記DRAM形成領域を前記レジストマスクで保護した場合に、
前記レジストマスクで保護されていない前記ロジック回路形成領域に、前記速度を減少させる前記不純物として窒素またはアルゴンをイオン注入する、
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
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