JP4938315B2 - レーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

レーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物 Download PDF

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本発明は、レーザー光線の照射によりマーキングを形成できるレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物、特に着色自由性及びマーキング部の発色性に優れたレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物に関する。本発明は、また、前記レーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物からなるレーザーマーキング可能な製品(成形体、シート、フィルム、塗布物、それらを構成の一部に含む製品)、該レーザーマーキング可能な製品にレーザー光線を照射してレーザーマーキングを施すレーザーマーキング方法、及びこのレーザーマーキング方法により得られるマーキングが施された製品に関する。
インキによる印刷・塗装に替わる技術としてレーザー光照射による印刷(「レーザーマーキング」と称する)が普及している。この方法は、照射されたレーザー光線が樹脂中のエネルギー吸収物質に吸収されて発熱し、その熱で樹脂が炭化、発泡或いは蒸散することによって視覚化される。そのため、レーザーエネルギーを吸収する物質の選択が重要となる。一般的なレーザーマーキングの場合、安価であることからレーザーエネルギー吸収物質としてはカーボンブラックや黒鉛が選択されることが多い。しかし、これらの物質は着色力が大きく、少量添加であっても色目に大きく影響するので、目標とする背景色によっては添加量に制限を受ける。とりわけ目標値が原色のような高彩度色、高明度色、或いは着色顔料濃度の低い色の場合には、発色に必要な量を添加することは不可能である。
一方、カーボンブラック以外の物質のエネルギー吸収物質としての提案もされている(特許文献1、2等)。例えば、マイカにコーティングした真珠光沢顔料などの使用が提案されているが、真珠光沢が残るため使用できる背景色が限定されてしまう問題点がある。また、その他には、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット化合物等の使用が提案されてはいるが、使用できる背景色が限定されるとともに、これらの化合物の安全性に疑問が残るという問題がある。
特開平9−12776号公報 特開平2−204888号公報
本発明の目的は、レーザー加工性を改良した、とりわけ着色自由性が広いレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物、より具体的には、従来のカーボンブラックや黒鉛などのように明度や彩度の低下を起こして樹脂の色がくすんだり、真珠顔料のようにパール光沢を起こして樹脂の色調が変化することが少なく、レーザー発色性に優れたレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。特に、目標色がスケルトン調などの着色染顔料濃度が低い場合においても背景色に変化をできるだけ与えずに、優れたレーザー発色性を示すレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、上記のような優れた特性を有するレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物からなる成形体、シート、フィルム、塗布物又はそれらを構成の一部に含む製品、該成形体等にレーザーマーキングを照射してレーザーマーキングを施すマーキング方法、及びこの方法により得られるマーキングが施された製品を提供することにある。
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、熱可塑性樹脂組成物中に分子中に実質的に他金属を含有しない希土類元素化合物を配合すると、発色性と着色自由性とを両立できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、Pr及び/又はTbの酸化物を含有するレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物を提供する。
Pr及び/又はTbの酸化物の使用量は、例えば、熱可塑性樹脂100重量部に対して0.0001〜5重量部程度である。
前記レーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物は、さらに、カーボンブラックを含有していてもよい。前記カーボンブラックの平均粒子径としては、10〜90nmが好ましく、熱可塑性樹脂100重量部に対して、前記カーボンブラックを0.00001〜5重量部含有することが好ましい。
本発明は、また、前記レーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物からなる成形体、シート、フィルム、塗布物又はそれらを構成の一部に含む製品を提供する。
本発明は、さらに、前記の成形体、シート、フィルム、塗布物又はそれらを構成の一部に含む製品にレーザー光線を照射してレーザーマーキングを施すマーキング方法を提供する。
本発明は、さらにまた、前記のマーキング方法により得られるマーキングが施された製品を提供する。尚、本明細書には上記発明の他に、他金属非含有の希土類元素化合物を含有するレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物、他金属非含有の希土類元素化合物が希土類元素の酸化物である前記レーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物、希土類元素がLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Ho又はErである前記レーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物についても記載する。
なお、本明細書において、他金属非含有の希土類元素化合物とは、分子中に実質的に他金属が含まれていない希土類元素化合物を意味し、製造工程において原料中の不純物等に由来して不可避的に他金属が分子中に取り込まれた希土類元素化合物を排除するものではない。
本発明のレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物は着色自由度が高く、レーザー加工性に著しく優れている。より具体的には、くすんだ色になりにくく、また色調が変化しにくく、レーザー発色性に優れており、とりわけ目標色がスケルトン調などの着色染顔料濃度が低い場合においても背景色に変化を与えずに、優れたレーザー発色性を示す。
本発明のレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物における熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリオレフィン系重合体(ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等;ホモポリマー、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー等の何れであってもよい)、ポリアミド(ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46、ポリアミド12等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンサルファイド、ポリアセタール(ポリオキシメチレン等)、ポリエーテルエステルアミド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリエーテルエステルケトン、ポリアリレート、塩素系重合体、フッ素系重合体、ポリウレタン、熱可塑性エラストマー、セルロース系重合体、ポリカーボネート、スチレン系単量体を構成単量体として含むスチレン系重合体、アクリル系単量体を構成単量体として含むアクリル系重合体などが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
前記スチレン系重合体の構成単量体であるスチレン系単量体としては、例えば、スチレン、アルキル置換スチレン(例えば、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレンなどのビニルトルエン等)、ハロゲン置換スチレン(例えば、o−クロロスチレン、p−クロロスチレン、o−ブロモスチレン等)、α位にアルキル基が置換したα−アルキル置換スチレン(例えば、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン等)などが挙げられる。これらの中でも、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどが特に好ましい。
前記スチレン系重合体は、スチレン系単量体以外の単量体の構造単位を含んでいてもよい。このような単量体としてはスチレン系単量体と共重合可能な単量体であればよく、例えば、シアン化ビニル系単量体、無水マレイン酸、イミド系単量体などが挙げられる。また、スチレン系重合体は構成成分としてゴム成分を含んでいてもよい。
前記シアン化ビニル系単量体には、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが含まれる。前記イミド系単量体には、例えば、N−アルキルマレイミド(例えば、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド等)、N−シクロアルキルマレイミド(例えば、N−シクロヘキシルマレイミド等)、N−アリールマレイミド[例えば、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド等]などが含まれる。前記ゴム成分としては、例えば、ポリブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリイソプレン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、イソブチレン−イソプレン共重合体、エチレン−プロピレンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、ブチルゴムなどが挙げられる。ゴム成分は、ブレンド法、共重合(グラフト共重合、ブロック共重合)などにより前記スチレン系重合体中に含有させることができる。なお、本明細書では、ゴム成分をブレンド法により重合体中に含有させたものも便宜上「共重合体」と称する。
スチレン系重合体の代表的な例として、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(ABS樹脂)、α−メチルスチレン変性ABS樹脂、イミド変性ABS樹脂、スチレン−無水マレイン酸共重合体(SMA)、アクリロニトリル−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体(AES)などが例示される。
前記アクリル系重合体の構成単量体であるアクリル系単量体には、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルなどが含まれる。(メタ)アクリル酸エステルとして、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシルなどの(メタ)アクリル酸C1-18アルキルエステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどの(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;(メタ)アクリル酸フェニルなどの(メタ)アクリル酸アリールエステル;(メタ)アクリル酸ベンジルなどの(メタ)アクリル酸アラルキルエステルなどが挙げられる。これらの中でも、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸C1-10アルキルエステル[特に、(メタ)アクリル酸C1-4アルキルエステル]が好ましい。アクリル系単量体は、単独で又は2種以上組み合わせて用いられる。
前記アクリル系重合体は、アクリル系単量体以外の単量体の構造単位を含んでいてもよい。このような単量体としてはアクリル系単量体と共重合可能な単量体であれば特に限定されず、例えば、シアン化ビニル系単量体、スチレン系単量体、無水マレイン酸、イミド系単量体などが挙げられる。これらの単量体(特に、スチレン系単量体)を構成単量体として用いることにより、より低エネルギーのレーザー光線で白色マーキングを可能にするという顕著なマーキング促進効果や、耐衝撃性、成形性の向上効果が得られる。シアン化ビニル系単量体、スチレン系単量体、イミド系単量体としては前記のものが例示される。
アクリル系重合体は構成成分としてゴム成分を含んでいてもよい。ゴム成分を重合体中に含有させることにより、成形品の耐衝撃性を向上できる。ゴム成分としては前記のものを使用できる。ゴム成分は、ブレンド法、共重合(グラフト共重合、ブロック共重合)などにより前記アクリル系重合体中に含有させることができる。
アクリル系重合体としては、透明性、発色性、色の鮮明性、成形性等の点から、少なくともメタクリル酸メチルを構成単量体として含む重合体が好ましい。
好ましいアクリル系重合体には、(i)(メタ)アクリル酸C1-18アルキルエステル(特にメタクリル酸メチル)、アクリロニトリル、スチレン及びゴム成分(例えば、ブタジエン)からなる共重合体、(ii)エチレン、(メタ)アクリル酸C1-18アルキルエステル(特にメタクリル酸メチル)、及び一酸化炭素からなる共重合体、(iii)ポリメタクリル酸メチル、(iv)メタクリル酸−スチレン共重合体などが含まれる。
前記アクリル系重合体は他の重合体と組み合わせて使用できる。このような他の重合体として、例えば、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(ABS樹脂)、α−メチルスチレン変性ABS樹脂、イミド変性ABS樹脂、スチレン−無水マレイン酸共重合体(SMA)、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体(AES)などが例示される。これらの中でもスチレン−アクリロニトリル共重合体が特に好ましい。樹脂中にスチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)を含有させることにより、耐熱性、耐光性、耐油性、機械的強度、成形加工性などが向上する。
熱可塑性樹脂としては、特に、ポリプロピレン等のポリオレフィン系重合体、アクリル系重合体(アクリル系重合体と他の重合体とのブレンドを含む)が好ましい。
本発明のレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物は他金属を含有しない希土類元素化合物を含んでいる。レーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物にこのような希土類元素化合物を配合すると、樹脂の色(ベース色)に悪影響を及ぼさず、透明性や彩度、白色度等を損なうことなく、レーザーマーキングを施すことができる。このため、着色自由度が極めて大きく、ほとんど全ての色をカバーできる。また、レーザーマーキング性(発色性)にも優れ、背景とのコントラストの高いマーキングが得られる。
希土類元素化合物における希土類元素としては、例えば、Sc(スカンジウム)、Y(イットリウム)、La(ランタン)、Ce(セリウム)、Pr(プラセオジム)、Nd(ネオジム)、Pm(プロメチウム)、Sm(サマリウム)、Eu(ユウロピウム)、Gd(ガドリニウム)、Tb(テルビウム)、Ho(ホルミウム)、Er(エルビウム)などが挙げられる。これらの中でも、La、Ce、Pr、Nd、Tbが好ましく、特にPr、Tbが好ましい。
他金属非含有の希土類元素化合物としては、分子中に他の金属を含まない希土類元素化合物であれば特に限定されず、例えば、酸化物(例えば、M23;Mは希土類元素を示す)、水酸化物[例えば、M(OH)3;Mは希土類元素を示す]、ハロゲン化物、無機酸の塩(例えば、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、炭酸塩など)、有機酸の塩(例えば、シュウ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、酢酸塩など)などが例示される。希土類元素化合物は、3価の化合物、2価の化合物、4価の化合物などの何れであってもよい。希土類元素化合物は単独で又は2以上を組み合わせて使用できる。上記の希土類元素化合物の中でも特に希土類元素の酸化物が好ましい。
他金属非含有の希土類元素化合物の含有量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、例えば0.0001〜5重量部、好ましくは0.001〜4重量部、さらに好ましくは0.005〜3重量部程度である。希土類元素化合物の量が少なすぎると、レーザー光線の熱への変換効率が低下してマーキングが薄くなりやすく、逆に多すぎると機械的強度等の物性低下を起こし易くなる。
本発明のレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物は、さらにカーボンブラックを含んでいてもよい。カーボンブラックを配合することで、レーザー光線の熱への変換効率をより高めることができる。なお、レーザーエネルギーの吸収物質としてカーボンブラックのみを使用すると、特に樹脂の色(ベース色)が有彩色で透明に近い色(淡い色)等の色の場合には、発色性とベース色のバランスをとることが困難なことが多く、発色を重視したカーボンブラック添加量にするとベース色がくすんだ色になって外観が低下する。一方、外観を重視してカーボンブラックを減量すると発色が不十分になることがある。しかし、希土類元素化合物をカーボンブラックと併用することで、ベース色をくすませずに発色を可能にすることができる。カーボンブラックと併用する場合の他金属非含有の希土類元素化合物の使用量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、好ましくは0.0001〜5重量部、より好ましくは0.005〜3重量部、カーボンブラックを併用しない場合の他金属非含有の希土類元素化合物の使用量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、好ましくは0.0005〜5重量部、より好ましくは0.001〜4重量部、さらに好ましくは0.005〜3重量部程度である。
カーボンブラックとしては特に限定されず、アセチレンブラック、ランプブラック、サーマルブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラックなどの何れであってもよい。カーボンブラックの平均粒子径は、例えば10〜90nm、好ましくは14〜90nm、さらに好ましくは17〜50nm程度である。カーボンブラックの粒子径が小さすぎると、マーキングに要するエネルギーを多く必要とし、逆に大きすぎると機械的強度等の物性低下を引き起こしやすい。
カーボンブラックを配合する場合、その使用量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、例えば0.00001〜5重量部、好ましくは0.0001〜1重量部、さらに好ましくは0.0002〜0.1重量部程度である。なお、目標色が有彩色で淡い色の場合、その使用量は、熱可塑性樹脂100重量部に対して、0.00001〜0.1重量部程度が好ましく、より好ましくは0.0001〜0.05重量部程度、さらに好ましくは0.0005〜0.004重量部程度である。一方、顔料濃度の高い色などカーボンブラックの影響を受けにくいベース色である場合には、カーボンブラックの使用量は増やすことができ、例えば、熱可塑性樹脂100重量部に対して、0.0001〜3重量部程度が好ましく、より好ましくは0.0002〜0.5重量部程度、さらに好ましくは0.0005〜0.3重量部程度である。カーボンブラックの使用量が多い場合にはベース色がくすみやすく、マーキング発色が過剰に進み図柄が暗くなることがある。
本発明のレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物は、樹脂を着色するため、他の色材(カーボンブラック以外の色材)を含んでいてもよい。このような色材としては無機又は有機の染顔料の中から適宜選択でき、例えば、白色顔料(例えば、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、リトポンなど)、黄色顔料(例えば、カドミイエロー、黄鉛、チタンイエロー、ジンククロメート、黄土、黄色酸化鉄など)、赤色顔料(例えば、赤口顔料、アンバー、赤色酸化鉄、カドミウムレッド、鉛丹など)、青色顔料(例えば、紺青、群青、コバルトブルーなど)、緑色顔料(例えば、クロムグリーンなど)、カーボンブラック以外の暗色系染顔料(例えば、グラファイト、チタンブラック、黒色酸化鉄など)などが挙げられる。これらの色材は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
酸化チタン等の白色顔料は、レーザー光線を散乱させ、レーザー光線の吸収効率及び熱への変換効率を高めるため、白色度の非常に高い白色マーキングを得ることができる。また、白色染顔料を含有させることにより、レーザー光線の照射エネルギーを低減することができる。
上記色材の使用量は、所望の色彩を得るのに必要な量を適宜選択できるが、通常、熱可塑性樹脂100重量部に対して、例えば5重量部以下(例えば、0.0001〜5重量部)、好ましくは2重量部以下(例えば、0.001〜2重量部)である。これらの色材の使用量が多すぎると、マーキング色が染顔料の色相を帯びるようになり好ましくない。
本発明のレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物は、必要に応じて、相溶化剤、難燃剤、充填剤、酸化防止剤、安定剤、滑剤、分散剤、添着剤、発泡剤、抗菌剤などの添加剤を含んでいてもよい。
本発明のレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物は、前記各成分を、例えば、押出機、ニーダー、ミキサー、ロールなどを用いた慣用の混合方法で混合する(例えば、溶融混合する)ことにより調製できる。
本発明のレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物を、例えば、押出成形、射出成形、圧縮成形などの慣用の成形法に付したり、物品その他にコーティング等することにより、成形体(三次元構造体)、シート、フィルム、塗布物、これらを構成の一部に含む製品が得られる。好ましい成形体等として、カーボンブラックのみの配合では色がくすんで外観が低下しやすい透明樹脂からなる成形体、シート、フィルム、スケルトンなどが挙げられる。
そして、これらの成形体、シート、フィルム、塗布物、これらを構成の一部に含む製品にレーザー光線を照射することにより、表面にレーザーマーキングが施されたマーク形成製品が得られる。マーキング色は成形体を構成する熱可塑性樹脂の種類や添加する色材の種類等によって異なる。成形体を構成する熱可塑性樹脂がアクリル系重合体やポリオレフィン系重合体等の場合は、レーザーを照射すると、通常、樹脂が熱分解して発泡するため、マーキング色は白色になる。一方、成形体を構成する熱可塑性樹脂がABS樹脂やポリカーボネート等の場合は、レーザーを照射すると、通常、樹脂が焼けて炭化するため、マーキング色は黒色になる。また、樹脂やレーザー照射条件により、マーキング色が灰色になる場合もある。
マーキングに用いるレーザーの種類は特に限定されず、ガスレーザー、半導体レーザー、エキシマレーザー、YAGレーザーなどの何れであってもよいが、YAGレーザーが最も好適に使用される。マーキングの種類は特に限定されず、文字、記号、図柄、絵、写真等の何れであってもよい。
こうして得られるマーク形成製品は、例えば、日用雑貨、自動車部品(ボタン部品等)、家電製品、便座、意匠部品、コンピュータのキーボード等のOA機器、家庭用品、建築材料などに利用できる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1〜15、比較例1〜15、基準色(対照)1〜15(実施例3b、3c、3d、8aは参考例とする)
表1〜6に記載されている各成分(表中の数値は重量部)をブレンドし、押出加工によりペレットを作製した後、このペレットから射出成形により厚さ3mmのプレートを作製し、下記の評価試験に付した。
評価試験
下記の評価試験を行った。結果を表1〜6に示す。
(1)レーザーマーキング性
上記で得られたプレート(厚さ3mm)の表面にレーザー光線を照射してレーザーマーキング発色性(LM発色性)を調べた。レーザーとしてNd−YAGレーザー(波長1064nm)をアパーチャー径2.5mm固定で使用し、照射条件は下記の範囲で変化させて明瞭な印字が得られる条件で評価した。なお、発色性の判断は、10mm角のBOX(線間距離100μm)を描写し、背景とのコントラストを目視観察し、コントラストが高いものを○、悪いものを×と判定した。
光源電流値(LC):8〜20A
振動数(QS):1〜10kHz
印字スピード(SP):100〜1500mm/秒
(2)着色自由性
上記で得られたプレート(厚さ3mm)を分光測色計[コニカミノルタセンシング(株)製、商品名「CM3600d」]を用いて測色(C光源、測定径φ25.4mm、SCI方式)した。透明品、半透明品は標準白色板で固定した状態で測定した。着色自由性は各基準色(対照)と比較して下記の基準を満たすものを着色自由性あり(○)、下記の基準を満たさないものを着色自由性なし(×)と判定した。
(i)無彩色(a*、b*の絶対値が両方とも5以下の色)の場合、ΔL*(実施例又は比較例のL*と基準色のL*の差)の絶対値が30以下である。
(ii)有彩色(a*、b*の絶対値の少なくとも一方が5を超える色)の場合、ΔC*(実施例又は比較例のC*と基準色のC*の差)の絶対値が30以下である。
但し、C*=[(a*2+(b*21/2
[実施例等で使用した成分]
・樹脂成分
PA:ポリアミド6、商品名「A1030BRL」、ユニチカ(株)製
GPPS:一般用ポリスチレン、商品名「トーヨースチロールG210C」、東洋スチレン(株)製
PBT:ポリブチレンテレフタレート、商品名「ジュラネックス500FP」、ウインテックポリマー(株)製
PC:ポリカーボネート、商品名「ユーピロンS−2000F」、三菱エンジニアリングプラスチック(株)製
PP:ポリプロピレン、商品名「サンアロマーPMB60A」、サンアロマー(株)製
[ABS及びAS]
ABS−1:スチレン45重量%、アクリロニトリル15重量%、ブタジエン40重量%からなるスチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体[MEK(メチルエチルケトン)30℃のη粘度0.47]
ABS−2:スチレン40重量%、アクリロニトリル15重量%、ブタジエン40重量%、メタクリル酸5重量%からなるスチレン−アクリロニトリル−ブタジエン−メタクリル酸共重合体[MEK(メチルエチルケトン)30℃のη粘度0.67]
AS:スチレン76重量%、アクリロニトリル24重量%からなるスチレン−アクリロニトリル共重合体[220℃/10kg条件でのMI(メルトインデックス)=32g/10分]
M−ABS:スチレン22重量%、アクリロニトリル11重量%、メタクリル酸メチル58重量%、ブタジエン9重量%からなるスチレン−アクリロニトリル−メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合体[220℃/10kg条件でのMI(メルトインデックス)=18g/10分、ゴム平均粒子径250μm]
PMMA:ポリメタクリル酸メチル、商品名「アクリペットVH001」、三菱レイヨン(株)製
・希土類元素化合物
酸化セリウム:信越化学工業(株)製、D50 1.4μm(マイクロトラック)
酸化ネオジム:信越化学工業(株)製、D50 1.6μm(マイクロトラック)
酸化テルビウム:信越化学工業(株)製、D50 1.8μm(マイクロトラック)
酸化プラセオジム:信越化学工業(株)製、D50 1.7μm(マイクロトラック)
・その他の成分
CB:カーボンブラック、平均粒径17nm
TiO2:二酸化チタン、平均粒径0.18μm
酸化防止剤:フェノール系酸化防止剤、商品名「イルガノックス1010」、チバスペシャリティケミカルズ(株)製
展着剤:流動パラフィン、商品名「モレスコホワイト P−70」、(株)松村石油研究所製
赤染料A:「Solvent Red 52」、市販品
赤染料B:「Solvent Red 135」、市販品
青染料:「Solvent Blue 94」、市販品
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表に示されるように、熱可塑性樹脂組成物に他金属非含有の希土類元素化合物を配合した場合(実施例)には、高いレーザーマーキング発色性を維持しながら背景色の着色自由度を向上できる。

Claims (8)

  1. Pr及び/又はTbの酸化物を含有するレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物。
  2. 熱可塑性樹脂100重量部に対して、Pr及び/又はTbの酸化物を0.0001〜5重量部含有する請求項1に記載のレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物。
  3. さらに、カーボンブラックを含有する請求項1又は2に記載のレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物。
  4. カーボンブラックの平均粒子径が10〜90nmである請求項3に記載のレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物。
  5. 熱可塑性樹脂100重量部に対して、カーボンブラックを0.00001〜5重量部含有する請求項3又は4に記載のレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5の何れかの項に記載のレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物からなる成形体、シート、フィルム、塗布物又はそれらを構成の一部に含む製品。
  7. 請求項6記載の成形体、シート、フィルム、塗布物又はそれらを構成の一部に含む製品にレーザー光線を照射してレーザーマーキングを施すマーキング方法。
  8. 請求項7記載のマーキング方法により得られるマーキングが施された製品。
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