JP4934107B2 - トラクション動力伝達装置及びこれを搭載した画像形成装置 - Google Patents

トラクション動力伝達装置及びこれを搭載した画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、ローラ同士の間に発生させたトラクションを利用して動力の伝達や回転速度の減速を行うことができるトラクション動力伝達装置、及びこれを搭載した画像形成装置に関する。
トラクション動力伝達装置に関する先行技術として、回転軸に連結された太陽ローラの回りに複数の遊星ローラを配置し、各遊星ローラの遊星軸をキャリアにより支持した構造のものが知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1の装置では、太陽ローラと遊星ローラとの間に発生させたトラクションを利用して各遊星ローラを回転させるとともに、各遊星ローラが軌道リングに沿って太陽ローラの外側を周回する運動をキャリアから出力軸へ伝達している。
遊星ローラと太陽ローラとの間に充分なトラクションを発生させるためには、遊星ローラを遊星軸によって回転自在に支持しつつ、潤滑剤の存在下で遊星ローラを太陽ローラに対して強く押し付ける(圧接する)必要がある。このため、特許文献1の装置では遊星軸と遊星ローラとの間に間隙を確保しておき、遊星ローラの軸方向の両外側に形成した傾斜部を一対の軌道リングで挟み込み、それぞれの内周に形成した傾斜面を圧接させて各遊星ローラを太陽ローラの周面に押し付けている。
特許文献1の装置によれば、遊星軸はキャリアに固定されているものの、遊星軸に対して遊星ローラは間隙の分だけ自由に移動できる構造である。このため傾斜面に軌道リングを圧接させると、遊星ローラが太陽ローラに対して強く押し付けられ、潤滑剤の存在下で必要なトラクションを発生させることができる。
特開2000−329206号公報
しかしながら、特許文献1の装置では、高価な工具鋼等の材料を用いた軌道リングを2枚使用する必要があるため、材料費の高騰が製品コストの上昇に直結する。また、軌道リングのように高精度な組み付けを要する部品点数が多くなると、それだけ組み付け作業も複雑になり、製造コストの上昇にもつながるという問題がある。
さらに、特許文献1の装置では、遊星軸と遊星ローラとの間に間隙が設けられているため、その構造上、遊星ローラの回転軸線(回転中心)は遊星軸の軸線(中心線)に対してある程度の角度をもって変位する余地がある。このため遊星ローラを太陽ローラに押し付けたとき、僅かに遊星ローラの周面が太陽ローラの周面に対して傾斜してしまうことがある。この場合、遊星ローラの周面では軸方向で圧力分布が不均一となり、いわゆる片当たりを起こして太陽ローラの周面に偏摩耗が生じてしまう。
本発明の目的は、部品点数の増加を招くことなく、遊星ローラと太陽ローラとの間で軸方向に均等なトラクションを発生させることができる技術の提供にある。
本発明の一局面に係るトラクション動力伝達装置は、第1中心軸線を持ち、この第1中心軸線回りに回転自在な太陽ローラと、第2中心軸線を持ち、前記第1中心軸線に対して所定角度だけ傾斜した周辺軸線上に前記第2中心軸線が合致するように配置される複数の軸部材と、前記軸部材に支持された状態で、前記太陽ローラの周面に沿って配置された複数の遊星ローラと、前記軸部材を前記傾斜した状態で保持し、前記遊星ローラとともに前記第1中心軸線回りに回転するキャリアと、前記周辺軸線上でみて、前記第1中心軸線との間隔を狭める方向へ前記遊星ローラを押圧することで、前記太陽ローラの周面に対して前記遊星ローラを押し付け、前記太陽ローラと前記遊星ローラとの間にてトラクションによる動力伝達を可能にする押圧部材と、を備えることを特徴とする(請求項1)。
この構成によれば、太陽ローラの第1中心軸線に対して傾斜した周辺軸線上を各遊星ローラが移動する構造であり、この移動に伴い、遊星ローラを太陽ローラに対して押し付けることができる。従って、各遊星ローラを片側のみから押圧するだけで、両者の間にトラクションを発生させることができる。その結果、より少ない部品点数でトラクション動力伝達装置を構成することができ、コストの抑制、部品の組み付け作業性の向上を図ることができる。さらに、遊星ローラが軸部材に沿って周辺軸線上を移動するだけであり、常に遊星ローラの回転中心が軸部材(周辺軸線)に対してずれることがないため、遊星ローラの姿勢が常に安定し、いわゆる片当たりを確実に防止することができる。
上記構成において、全ての前記軸部材が、前記第1中心軸線上の同じ1点で交差する周辺軸線上に配置されていることが望ましい(請求項2)。この構成によれば、各遊星ローラを同じ条件で太陽ローラに押し付けることができる。
上記構成において、前記遊星ローラは、前記軸部材上をスライド移動可能であることが望ましい(請求項3)。例えば、前記軸部材の回りに前記遊星ローラを回転自在に支持し、前記押圧部材から前記遊星ローラに押圧力が与えられたときに、前記軸部材上を前記遊星ローラとともに前記周辺軸線に沿って移動するベアリングをさらに備えることが望ましい(請求項4)。
この構成によれば、軸部材にベアリングを介して遊星ローラが支持されるため、遊星ローラのより滑らかの回転を実現することができる。さらに、押圧部材からの押圧によってベアリングが遊星ローラと一体になって軸部材に対して移動し、太陽ローラとの間に一層適正なトラクションを発生させることができる。
より具体的には、前記押圧部材を前記遊星ローラに近接する方向に付勢する付勢部材をさらに備え、前記押圧部材は、前記遊星ローラを前記太陽ローラに向けて押圧する押圧面を有し、前記遊星ローラは、押圧面で押圧される受圧面を有し、付勢された前記押圧部材の押圧面が受圧面を押圧することで、前記遊星ローラが前記軸部材上を微小移動する構造であることが望ましい(請求項5)。この構成によれば、安定的にトラクションを発生させることができる。
上記構成において、互いに圧接される前記太陽ローラ、前記遊星ローラ、及び前記押圧部材の各部材として、圧接部分の表面速度の大きな部材から順に、高い硬度を有する材料が用いられることが望ましい(請求項6)。この構成によれば、同材質の部材を組み合わせた場合に比して、焼きつきや磨耗に起因する性能低下が少なくなり、長寿命のトラクション動力伝達装置を提供できる。
上記構成において、互いに圧接される前記太陽ローラ、前記遊星ローラ、及び前記押圧部材の各部材として、少なくとも金型鋼と同等以上の硬度を有する材料が用いられており、これら各部材のうち、圧接部分の表面速度の少なくとも最高値で駆動される部材の表面には、マイクロショットピーニング処理が施されていることが望ましい(請求項7)。この構成によれば、当該処理が未処理の場合に比して磨耗に起因する性能低下が少なくなり、長寿命のトラクション動力伝達装置を提供できる。
上記構成において、その内部に、前記太陽ローラの一部、前記遊星ローラ及び前記押圧部材が収容され、且つ潤滑剤が充填されるケーシングと、前記ケーシングの内部に配置され、前記潤滑剤を強制循環させる循環部材とをさらに備えることが望ましい(請求項8)。この構成によれば、循環部材によって、圧接された状態にある各部材に向けて潤滑剤が積極的に循環される。従って潤滑剤の劣化が防止され、トラクション動力伝達装置の長寿命化を図ることができる。
上記構成において、前記キャリアに接続され、回転駆動される出力軸をさらに備え、該出力軸は、前記案内部材に対して、その駆動時に締まる方向に向けて螺合されることで接続されていることが望ましい(請求項9)。この構成によれば、出力軸はその駆動時に締まる方向に向けて案内部材に螺合されているので、これら案内部材と出力軸との接続は確実に維持される。
上記構成において、前記遊星ローラは、前記周辺軸線上でみて、前記第1中心軸線に近い側の第1端面の直径よりも、前記第1中心軸線から遠い側の第2端面の直径の方が大きい形状を有することが望ましい(請求項10)。この構成によれば、周辺軸線の傾斜に応じた周面を持つ遊星ローラとすることができる。
この場合、前記遊星ローラの前記第1端面と第2端面との間の周面が、緩やかな曲面形状とされていることが特に望ましい(請求項11)。曲面形状を持つ周面とすることで、遊星ローラを支持する軸部材の傾き誤差の影響を抑制することができる。すなわち、軸部材の傾き角度が公差範囲内(例えば±1度)でばらついたとしても、周面が曲面形状であることから、太陽ローラの周面に対する遊星ローラの周面の当接状態(当たり位置)に有意な差異は現れにくくなり、トラクション特性を略一定にすることができる。
上記構成において、前記押圧部材は、前記遊星ローラを前記太陽ローラに向けて押圧する押圧面を有し、前記押圧面から前記軸部材に向かう第1荷重ベクトルと、前記太陽ローラの周面から前記軸部材に向かう第2荷重ベクトルとは、前記軸部材内の1点で交わることが望ましい(請求項12)。この場合、前記第1荷重ベクトルと前記第2荷重ベクトルとは、前記軸部材の第2中心軸線上で交わることが特に好ましい(請求項13)。
この構成によれば、軸部材に作用する曲げモーメントを最小限度に抑制することができ、軸部材の寿命を延ばすことができる。
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、少なくとも感光体ドラム、又は感光体ドラム及び中間転写ベルトを含む画像形成部と、前記感光体ドラムを、又は感光体ドラム及び中間転写ベルトの少なくとも一方を駆動する駆動力を発生する駆動源と、前記駆動源の駆動力を、前記感光体ドラムの回転軸又は前記中間転写ベルトの駆動部材に伝達する請求項1〜13のいずれかに記載のトラクション動力伝達装置と、を含むことを特徴とする(請求項14)。
この構成によれば、感光体ドラムや中間転写ベルトの駆動系に、本発明に係るトラクション動力伝達装置を連結することで、ギア駆動の場合に比して感光体ドラムや中間転写ベルトを高精度に回転制御でき、高品質な画像形成を実現できる。
本発明によれば、太陽ローラに対して遊星ローラを押し付けたときの状態(押圧状態)を正しく管理し、部材の偏摩耗等を防止して本来の材料寿命まで充分に機能し続けることができる。
以下、図面に基づいて本発明の実施形態につき詳細に説明する。図1(A)、(B)は、本発明の実施形態に係るトラクション動力伝達装置Mの外観を2方向から示す斜視図である。トラクション動力伝達装置Mは、円筒形状のケーシング2、太陽ローラ4、エンドプレート6、軸受プレート7及び出力軸8を含んでいる。
ケーシング2の一端には四角形状のフランジ部2aが形成されており、その開口部がフランジ部2aに対応する形状のエンドプレート6により閉止されている。フランジ部2aと反対側のケーシング2の他端には、四角形状のフランジ部2bが形成されている。トラクション動力伝達装置Mは、フランジ部2aの側に図示しない駆動源(モータ)を連結することが可能とされている。
図1(A)に示すように、ケーシング2の内部には、動力の入力軸となる太陽ローラ4の一端部が収容されており、また、ケーシング2の内部からは太陽ローラ4の反対側に出力軸8が突出している。エンドプレート6には軸受プレート7が取り付けられており、この軸受プレート7には、その中央にボス部7aが形成されている。このボス部7a内には2つのベアリング16(図7参照;図1(A)には1つだけ示されている)が設けられており、太陽ローラ4は、これら2つのベアリング16を介して軸受プレート7(ケーシング2)に支持されている。ケーシング2の内部には潤滑剤(グリス)が充填されており、これらベアリング16は太陽ローラ4を回転自在に支持するとともに、ケーシング2内に充填されたグリスを封止している。
図1(B)に示すように、フランジ部2bの中央にもボス部2cが形成されており、このボス部2c内にも2つのベアリング18(図7参照;図1(B)には1つだけ示されている)が設けられている。出力軸8は、これら2つのベアリングを介してフランジ部2b(ケーシング2)に支持されている。これらベアリング18もまた、出力軸8を回転自在に支持するとともに、ケーシング2内に充填されたグリスを封止している。
図2は、トラクション動力伝達装置Mの内部構造を部分的に示す斜視図である。図2では便宜上、ケーシング2からエンドプレート6及び軸受プレート7を取り外して示している。ケーシング2内には、太陽ローラ4の一部と、この太陽ローラ4周面に沿って配置された3つの遊星ローラ22とが収容されている。これら遊星ローラ22は、それぞれ軸部材24に対しベアリング26を介して回転自在に支持されている。
また、ケーシング2内において、図2でみて遊星ローラ22よりも奥(出力軸8が存在する方向)の位置に、遊星キャリア14(キャリア)が配置されている。各軸部材24は、その基端部が遊星キャリア14に圧入された状態で支持されている。遊星キャリア14には、出力軸8が接続されている(図7参照)。遊星キャリア14は、軸部材24を支持していることから、3つの遊星ローラ22の遊星運動(太陽ローラ4の周面を公転する運動)に伴って回転する。この回転力は、出力軸8から取り出される。
ここで、出力軸8に関し、遊星キャリア14と出力軸8とは別部品で構成され、両者は螺合で連結されている。詳しくは、図7に示すように、出力軸8は、遊星キャリア14の中心部に備えられたネジ孔と螺合する螺合部8aを有し、この螺合部8aには、出力軸8のトルクを受ける方向に向けて締まる雄ねじが刻設されている。
これにより、遊星キャリア14と出力軸8とを一体形成する場合に比して加工工程が簡略化され、コストの低廉化を図ることができ、遊星キャリア14と出力軸8との組み付けや分解も容易になる。さらに、出力軸8はその駆動時に締まる方向に向けて遊星キャリア14に螺合されているので、組み立て時に十分なトルクで締め付けておけば、実使用時にはその回転方向に対して、例え一瞬でも締め付け不良による回転ムラ(駆動遅れ)が発生しない。この結果、遊星キャリア14と出力軸8との接続は確実に維持される。
その他、ケーシング2内には、1つのアウタリング10(押圧部材)と、複数の圧縮コイルばね13(図7参照;図2では示されていない)が収容されている。アウタリング10は、圧縮コイルばね13の反発力で遊星ローラ22を押圧し、遊星ローラ22の周面22aを太陽ローラ4の周囲に押し付けるものである。なお、アウタリング10及び圧縮コイルばね13については別の図面を用いてさらに後述する。
アウタリング10の外径はケーシング2の内径より僅かに小さく、これらは僅かな隙間をあけて高精度に嵌め合わされる関係にある。また、ケーシング2の内面には、2つの突条2d(図2には1つだけ示されている)が形成されており、これら突条2dは太陽ローラ4及び出力軸8の中心軸線と平行に延びている。アウタリング10には、2つの突条2dにそれぞれ対応して溝部10aが形成されている。アウタリング10がケーシング2内に嵌め合わせられると、溝部10a内に突条2dが受け入れられる。これにより、ケーシング2内ではアウタリング10の回転方向(太陽ローラ4及び出力軸8周り)への変位が拘束されている。
太陽ローラ4、遊星ローラ22及びアウタリング10の構成材としては、高い硬度を有する材料、特に金型鋼(die steel)と同等以上の硬度を有する材料を用いることが望ましい。例えば、太陽ローラ4としては、高速度鋼(high-speed steel)の一種であるJIS G4403に規定されたSKH系の材料を適切な温度での焼入れ・焼戻し処理したものを用いることができる。遊星ローラ22としては、工具鋼(alloy tool steel)の一種であるJIS G4404に規定されたSKD系の材料を適切な温度にて焼入れ処理が施されたものを用いることができる。また、アウタリング10としては、金型鋼の一種のプリハードン鋼であるNAK(大同特殊鋼株式会社のプラスティック金型材の商品名)を、焼入れ処理を施さずに母材のまま用いることができる。
より具体的には、太陽ローラ4にはSKH51を、遊星ローラ22にはSKD11を、アウタリング10にはNAK55(大同特殊鋼株式会社の商品名)を用いることができる。これらの硬度は、マイクロビッカース硬度Hvで、太陽ローラ4が約700程度、遊星ローラ22が約520程度、アウタリング10が約450程度である。
ここでは、太陽ローラ4、遊星ローラ22、アウタリング10のうち、圧接部分の表面速度の大きな部材から順に、高い硬度を有する材料が用いられている。具体的には、太陽ローラ4、遊星ローラ22、アウタリング10の順に高い硬度を有する材料が用いられている。これにより、ワウフラッタの目標値を満足できる寿命は、同じ荷重条件にて総て同材質で構成させた場合に比して約3倍に延長させることができる。従って、焼きつきや磨耗に起因する性能低下を引き伸ばすことができ、耐磨耗性を向上させ得る。
また、太陽ローラ4、遊星ローラ22、アウタリング10のうち、圧接部分の表面速度の少なくとも最高値で駆動される部材、より詳しくは太陽ローラ4の表面には、マイクロショットピーニング処理(WPC処理)が施されていることが望ましい。当該処理は、約10μm(1μm=1×10−6m)程度のセラミック或いはガラスを音速で部材の表面に衝突させるものである。これにより、太陽ローラ4の耐磨耗性を向上させることができる。
太陽ローラ4にマイクロショットピーニング処理を施した場合、ワウフラッタの目標値を満足できる寿命は、同じ荷重条件で当該処理が施されていない場合に比して約1.5倍に延長させることができる。従って、トラクション動力伝達装置Mの長寿命を図ることができる。
図3は、上記のアウタリング10を分離した状態で、太陽ローラ4に対する3つの遊星ローラ22の配置を示した斜視図である。3つの遊星ローラ22は、太陽ローラ4の回転軸線L1(第1中心軸線)に対して所定角度だけ傾斜した3つの周辺軸線L2上であって、太陽ローラ4の周方向で等間隔(120°)に配置されている。すなわち、各遊星ローラ22は各軸部材24で支持されているが、これら軸部材24の中心軸線(第2中心軸線;遊星ローラ22の回転軸線)が、前記3つの周辺軸線L2に各々合致するように、太陽ローラ4の周囲に3つの遊星ローラ22が配置されている。
各遊星ローラ22の軸部材24の回転軸線(周辺軸線L2)の、太陽ローラ4の回転軸線L1に対する傾斜角度αは、例えば10°程度である。全ての軸部材24の回転軸線が配置される周辺軸線L2は、太陽ローラ4の回転軸線L1上の同じ1点で交差している。遊星キャリア14は、各軸部材24を、上記のような傾斜状態で保持している。この状態で、3つの遊星ローラ22は、いずれもその周面22aが、太陽ローラ4の周面4aに接触されている。
本実施形態では、アウタリング10によって各遊星ローラ22を軸部材24(周辺軸線L2)に沿って押圧し、遊星ローラ22と太陽ローラ4との間にトラクションを発生させる構造である。このときアウタリング10は、周辺軸線L2上でみて、太陽ローラ4の回転軸線L1との間隔を狭める方向へ遊星ローラ22を片側から押圧するだけでよい。すなわち、このような方向へ遊星ローラ22を押圧すると、周辺軸線L2の傾斜に応じて各遊星ローラ22が太陽ローラ4に対して窄まるようにして食い付いていくため、それよって充分なトラクションを発生させることができる。このため図2に示されているように、ケーシング2内でアウタリング10は、遊星ローラ22よりも奧(出力軸8側)に1つだけ配置されている。以下、アウタリング10による遊星ローラ22の押圧について、より詳細に説明する。
図4(A)、(B)は、遊星ローラ22の形態を詳細に示す斜視図である。遊星ローラ22は略円筒体の形状を有し、環状の周面22a、受圧面22b、互いに平行な第1端面22c及び第2端面22dを有する。図4(A)に示される角度では、組み付け状態で遊星ローラ22の奥側(第2端面22dの側)にアウタリング10が位置し、手前側(第1端面22cの側)に太陽ローラ4が位置することになる。一方、図4(B)に示される角度では、組み付け状態で遊星ローラ22よりも手前側(第2端面22dの側)に上記のアウタリング10が位置し、その反対側(第1端面22cの側)に太陽ローラ4が位置することになる。周辺軸線L2上でみて、第1端面22cが太陽ローラ4の回転軸線L1に近い側となる。
図4(A)に示すように、遊星ローラ22は、第1端面22cの側の直径D1よりも、第2端面22dの側の直径D2の方が大きい形状を有している。このため遊星ローラ22の周面22aは、直径D1,D2の寸法差に応じてテーパー形状を有している。このようなテーパー形状は、遊星ローラ22の回転軸線L2が太陽ローラ4の回転軸線L1に対して傾斜しているため、その傾斜角(例えば10°)に対応して設けられたものである。
さらに、周面22a(第1端面22cと第2端面22dとの間)は、緩やかな曲面形状(断面R形状)に成形されている。遊星ローラ22の周面22aが曲面形状を有することで、太陽ローラ4の周面4aに対して遊星ローラ22のエッジが当たらない構造となっている。また、曲面形状を持つ周面22aとすることで、遊星ローラ22を支持する軸部材24の傾き誤差の影響を抑制することができる。すなわち、軸部材24の傾き角度が公差範囲内(例えば±1度)でばらついたとしても、周面22aが曲面形状であることから、太陽ローラ4の周面4aに対する周面22aの当接状態(当たり位置)に有意な差異は現れにくくなり、トラクション特性を略一定にすることができる。
図4(B)に示すように、遊星ローラ22は、アウタリング10に近い第2端面22dの側にボス部22eが設けられており、ボス部22eの周縁部に受圧面22bが形成されている。この受圧面22bは、軸部材24の基端に向かって先細り(テーパー)形状をなしており、さらに本実施形態では、受圧面22bが緩やかな曲面形状(断面R形状)に成形されている。
図5は、ケーシング2内で軸部材24から遊星ローラ22を分離した状態を示す斜視図である。アウタリング10には、その内周縁の片側(遊星ローラ22に面する側)に曲面形状(断面R形状)の押圧面10bが形成されている。この押圧面10bは、遊星ローラ22の組み付け状態で上記の受圧面22bに接触し、遊星ローラ22に対して押圧力を付与するものである。
図6は、ケーシング2内で遊星ローラ22及びアウタリング10を分離した状態を示す斜視図である。ケーシング2内には、内周面に沿って例えば6本の圧縮コイルばね13(付勢部材)が均等に配置されている。トラクション動力伝達装置Mの組み立て状態で、これら圧縮コイルばね13は、ケーシング2内の壁面2fとアウタリング10の側面との間で圧縮されている。このとき圧縮コイルばね13は、ケーシング2内でアウタリング10を太陽ローラ4の方向へ押圧するように反発力(弾性力)を発生する。
圧縮コイルばね13の反発力を受けて、アウタリング10は、遊星ローラ22に近接する方向に付勢されている。アウタリング10は、円形の貫通孔を有し、該貫通孔の内径は遊星キャリア14の外径よりも大きいため、アウタリング10は遊星キャリア14に干渉しない。
アウタリング10の押圧面10bが遊星ローラ22の受圧面22bに対して強く押し付けられることにより、遊星ローラ22は軸部材24に沿って微小移動することが可能とされている。すなわち、遊星ローラ22を回転自在に支持するベアリング26は、軸部材24上を移動可能に組み付けられており、アウタリング10から遊星ローラ22に押圧力が与えられたときに、軸部材24上を遊星ローラ22と一体となって周辺軸線L2上に沿って微小移動する。なおベアリング26は、ガタつきが生じないよう、軸部材24に高精度に嵌め合わされている。
従って、軸部材24が配置される周辺軸線L2と太陽ローラ4の回転軸線L1との傾斜に応じて、遊星ローラ22は太陽ローラ4に対して径方向に強く押し付けられる。本実施形態では、この押圧力により、潤滑剤の存在下で遊星ローラ22の周面22aと太陽ローラ4の周面4aとの間で良好なトラクションが発生される。
次に、トラクション動力伝達装置Mの動作を説明する。図7は、トラクション動力伝達装置Mの軸線方向に沿う縦断面図である。上述の通り、トラクション動力伝達装置Mが組み立てられた状態では、アウタリング10は、圧縮コイルばね13の反発力で太陽ローラ4の方向へ押し付けられている。アウタリング10が、その押圧面10bで3つの遊星ローラ22の受圧面22bを一様に押圧することにより、3つの遊星ローラ22は、いずれもベアリング26とともに軸部材24に沿って僅かにスライドする。
このとき、各遊星ローラ22は、周辺軸線L2上でみて太陽ローラ4の回転軸線L1との間隔を狭める方向に微小移動する。その結果、3つの遊星ローラ22が太陽ローラ4の中心(回転軸線L1)へ窄まる方向へ強く押し付けられた状態となり、それ以上、遊星ローラ22が移動できなくなると、その位置でアウタリング10も静止する。
この状態で、ケーシング2の内部では各遊星ローラ22の周面22aと太陽ローラ4の周面4aとの間(微小隙間)に超高圧力が掛かるので、その微小隙間に挟まれたグリスが弾塑性体としての性質を発揮し、太陽ローラ4の回転時に良好なトラクションを発生させることができる。3つの遊星ローラ22が太陽ローラ4と逆方向に回転しつつ、太陽ローラ4に対して遊星運動(太陽ローラ4の外周面を周回する運動)すると、前記トラクションによって、その運動が軸部材24を介して遊星キャリア14に伝達される。その結果、遊星キャリア14全体が太陽ローラ4と同方向に回転する。このときの遊星キャリア14の回転が、出力回転として出力軸8から取り出される。このようなトラクション動力伝達装置Mによれば、太陽ローラ4に入力されたトルクを正確な減速比で出力軸8に伝達することができるので、トラクション動力伝達装置Mを減速機として利用することができる。
本実施形態に係るトラクション動力伝達装置Mを用いた減速機によれば、歯車伝達機構のようにバックラッシュの影響がなく、滑らかなトルクの伝達を可能にする。従って、回転角度を高精度に制御する必要のある機器の動力源として好適である。
さらに本実施形態では、1つのアウタリング10による1方向からの押圧のみで3つの遊星ローラ22を全て太陽ローラ4に対して押し付け、適正な押圧力を得ている。したがって、より少ない部品点数でトラクション動力伝達装置Mを構成することができる。
また、太陽ローラ4(回転軸線L1)に対する軸部材24(周辺軸線L2)の傾斜角度が極端に大きくない(本実施形態では10°程度である)ことから、軸部材24自体には押圧による影響(曲げモーメント等)がほとんど生じない。したがって、軸部材24に過大な径方向応力が掛かることがないことから、比較的細い軸径で安定したトラクション効果が得られる。
また、ベアリング26と軸部材24とは高精度に嵌め合わされており、遊星ローラ22そのものは軸部材24に沿って回転軸線L2の方向にしか移動できない構造とされている。このため、遊星ローラ22そのものが軸部材24に対して傾斜する(ガタつく)ことがなく、その片当たりによる太陽ローラ4の偏摩耗を確実に防止することができる。これにより、トラクション動力伝達装置Mが長期間にわたる耐久性を発揮することができ、画像形成装置等に適用した場合でも、その製品寿命まで機能し続けることができる。
上記実施形態においては、軸部材24が遊星キャリア14に、該軸部材24の先端側が窄まる方向に傾斜して取り付けられている例を示した。これに代えて、軸部材24の先端が遊星キャリア14への取り付け基端側から拡がっていく方向に傾斜して取り付けられていてもよい。この場合、各軸部材24に対して上記実施形態とは反対向きに遊星ローラ22を嵌め合わせ、さらにアウタリング10を上記実施形態とは反対側(エンドプレート6側)から押し付ける構造とすればよい。
[第1変形実施形態]
上記実施形態の第1変形実施形態として、ケーシング2の内部で潤滑剤(グリス)を強制循環させる循環部材を設ける例を示す。
図8は、循環部材の一例としてのサポート板40が、遊星ローラ22の第1端面22c(図4(A)参照)側に設けられている例を示す斜視図、図9は、サポート板40単体の斜視図である。サポート板40は、略円板形の板金部材からなり、その中央部分に、太陽ローラ4が挿通される孔部42を有している。この孔部42の径方向外側の適宜位置には、3つの切り起こしフィン44が、等間隔(120°)に立設されている。切り起こしフィン44の径方向外側の適宜位置には、3つの係合部46が等間隔(120°)に形成されている。係合部46は、各軸部材24に対して各々係合される。サポート板40は、遊星ローラ22に公転に伴って、回転軸線L1回りに回転する。
サポート板40は、孔部42の周囲に存在する平円板部401と、平円板部401の周囲に連接され、軸部材24の傾きに応じた傾斜をもつ円錐面部402とを有する。切り起こしフィン44は平円板部401に、係合部46は円錐面部402に、それぞれ設けられている。
切り起こしフィン44は、サポート板40を部分的にカッティングし、太陽ローラ4の基端側に向けて折り曲げることにより構成され、回転軸線L1に対して所定の角度を持って形成されている。係合部46は、各軸部材24に対して抜け止め程度のクリック感が得られる状態で係合される狭窄部48と、この狭窄部48よりも拡開した幅広部47とで構成されている。幅広部47は、太陽ローラ4の回転方向で見て狭窄部48の下流側にそれぞれ配設されている。なお、サポート板40の外周縁にも凹部49が等間隔(120°)で形成されている。
ケーシング2内のグリスは、フィン44によって強制循環される。図10は、サポート板40を設置したことによるグリスの流れを説明する図である。図10にて矢印で示されるように、フィン44は、遊星キャリア14の回転駆動時にその周囲に充填されるグリスを掻き集め、太陽ローラ4の回転軸線L1に沿うグリスの流れを生起し、グリスを太陽ローラ4と遊星ローラ22との圧接部分に向けて送出する。
次いで、受圧面22bが軸部材24の基端(遊星キャリア14への取り付け側)に向けて先細り形状をなしていることから、アウタリング10に向かう、換言すれば、太陽ローラ4の径方向に沿うグリスの流れが生起される。従って、グリスは遊星ローラ22とアウタリング10の圧接部分にも向かう。
このように、グリスを、フィン44の作用によって、太陽ローラ4、遊星ローラ22、アウタリング10の重要機能部分をほぼ強制的に循環されることができ、サポート板40を有しない場合に比してグリスの劣化が防止される。より詳しくは、圧接部分に存在するグリスのみが劣化するのではなく、ケーシング2内の総てのグリスが均一に劣化する状態を形成できる。この結果、長寿命のトラクション動力伝達装置Mが得られる。
また、フィン44はサポート板40に配設され、このサポート板40は、軸部材24に対して遊嵌状態で張架されているので、軸部材24の機能も阻害されない。なお、上記フィン44を有したサポート板40は、太陽ローラ4やアウタリング10に設けられていても良く、この場合にもグリスの強制循環が可能である。
[第2変形実施形態]
次に、アウタリング10による遊星ローラ22の望ましい押圧の態様を、第2変形実施形態として示す。
図11は、アウタリング10による遊星ローラ22の押圧部分を拡大して示す図である。上述した通り、アウタリング10の押圧面10bが遊星ローラ22の受圧面22bに対して強く押し付けられることにより、遊星ローラ22を軸部材24(周辺軸線L2)に沿って微少移動させる。このとき、周辺軸線L2の太陽ローラ4の回転軸線L1に対する傾斜に応じて、遊星ローラ22は太陽ローラ4に対して径方向に強く押し付けられる。この押圧力により、グリスの存在下で遊星ローラ22の周面22aと太陽ローラ4の周面4aとの間でトラクションが発生される。
このとき、図11に矢印で示しているように、太陽ローラ4の周面4aから軸部材24に向かう荷重ベクトルF(第1荷重ベクトル)は太陽ローラ4の径方向(回転軸線L1に垂直な方向)に向けて作用する。これに対し、押圧面10bから軸部材24に向かう荷重ベクトルf(第2荷重ベクトル)は回転軸線L1に対して斜め方向に向けて作用する。
ここで、仮に、荷重ベクトルFと荷重ベクトルfとが軸部材24内の1点で交わらない場合には、軸部材24の中心軸線が配置される周辺軸線L2が回転軸線L1に対して所定角度αだけ傾斜していることから、軸部材24には大きな曲げモーメントが作用する。その結果、軸部材24と遊星キャリア14との接合強度に悪影響を及ぼし、長寿命のトラクション動力伝達装置が得られないという問題が生じてしまう。
そこで、第2変形実施形態では、太陽ローラ4からの荷重ベクトルFとアウタリング10からの荷重ベクトルfとの合点を、軸部材24内の1点に合わせている(図11中の矢印F及び矢印fから各々延びる点線参照)。すなわち、荷重ベクトルFと荷重ベクトルfとは、軸部材24の中心軸線上(断面で言えば重心)で交わっている。これにより、軸部材24に作用する曲げモーメントは非常に低くなり、軸部材24の耐疲労限度が拡大する。この結果、より一層長寿命のトラクション動力伝達装置Mが得られ、より安定した減速機構としてトルク伝達効率の向上に寄与する。
[画像形成装置としての実施形態]
上記で説明したトラクション動力伝達装置Mが好適に適用される機器の一つとして、フルカラー画像形成装置を例示することができる。図12は、フルカラー画像形成装置の一例であるタンデム方式のカラープリンタ9の全体構成を示した概略断面図である。
カラープリンタ9は、筐体構造を有する装置本体9a内に、用紙Pを給紙する給紙部92と、この給紙部92から給紙された用紙Pを搬送しながら当該用紙Pに画像を転写する画像形成部93と、この画像形成部93で用紙Pに転写された画像に対して定着処理を施す定着部94とが備えられている。装置本体9aの上面には、定着部4で定着処理の施された用紙Pが排紙される排紙部95が設けられている。
給紙部92は、用紙Pを貯留する給紙カセット921、ピックアップローラ922、給紙ローラ923,924,925、及びレジストローラ926を備えている。画像形成部93は、画像形成ユニット97と、この画像形成ユニット97によってその表面にトナー像が1次転写される中間転写ベルト911と、この中間転写ベルト911上のトナー像を給紙カセット921から送り込まれた用紙Pに2次転写させるための2次転写ローラ912とを備えている。
画像形成ユニット97は、上流側(図12では左側)から下流側に向けて順次配設されたブラック用ユニット97K、イエロー用ユニット97Y、シアン用ユニット97C、及びマゼンタ用ユニット97Mを備えている。各ユニット97K,97Y,97C及び97Mは、それぞれの中央位置に像担持体としての感光体ドラム971を含む。感光体ドラム971は、図中の反時計方向に回転駆動される。各感光体ドラム971の周囲には、帯電器、露光装置、現像装置、クリーニング装置及び除電器等が、回転方向上流側から順に各々配置されている。
中間転写ベルト911は、無端状のベルト状回転体であって、表面側が各感光体ドラム971の周面にそれぞれ当接するように、駆動ローラ913、ベルト支持ローラ914、バックアップローラ915、一次転写ローラ916及びテンションローラ917に架け渡されている。中間転写ベルト911は、各感光体ドラム971と対向配置された一次転写ローラ916によって感光体ドラム971に押圧された状態で、前記複数のローラによって無端回転する。
各感光体ドラム971上に形成されたトナー像は、駆動ローラ913の駆動により矢符(時計回り)方向に周回する中間転写ベルト911に重ね塗り状態で順次転写(1次転写)され、フルカラートナー像が形成される。このフルカラートナー像は、2次転写ローラ912とバックアップローラ915とのニップ部において、用紙Pに二次転写される。フルカラートナー像が転写された用紙Pは、定着部94で定着処理が施された後、排紙部95へ排紙される。
このようなカラープリンタ9において、回転駆動が必要な部品の駆動系に、上記で説明したトラクション動力伝達装置Mを接続することができる。とりわけ、画像形成部93の駆動部品、例えば感光体ドラム971や中間転写ベルト911の駆動に、トラクション動力伝達装置Mを適用することが望ましい。感光体ドラム971の回転軸や中間転写ベルト911を駆動する駆動ローラ913(駆動部材)に、トラクション動力伝達装置Mを介してモータD(駆動源)の回転駆動力を伝達するようにすれば、ギア駆動の場合に比して、伝達ロスや駆動ムラが防止されて高品質な画像形成を実現できる。さらに、モータとしてステッピングモータを用いる場合には、そのパルス制御に応じて、感光体ドラム971等の回転角度が高精度に制御することができ、極めて高品質な画像形成を実現できる。
(A)、(B)は、本発明の実施形態に係るトラクション動力伝達装置の外観を2方向から示す斜視図である。 上記トラクション動力伝達装置の内部構造を部分的に示す斜視図である。 アウタリングを分離した状態で、太陽ローラに対する3つの遊星ローラの配置を示した斜視図である。 (A)、(B)は、遊星ローラの形態を詳細に示す斜視図である。 ケーシング内で軸部材から遊星ローラを分離した状態を示す斜視図である。 ケーシング内で遊星ローラ及びアウタリングを分離した状態を示す斜視図である。 上記トラクション動力伝達装置の軸線方向に沿う縦断面図である。 上記トラクション動力伝達装置に循環部材を適用した第1変形実施形態を示す斜視図である。 図8の循環部材を有する板状部材の斜視図である。 図8のトラクション動力伝達装置によるグリスの流れを説明する図である。 第2変形実施形態を説明するためのトラクション動力伝達装置の部分的な図である。 本発明の実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略断面図である。
符号の説明
2 ケーシング
4 太陽ローラ
6 エンドプレート
8 出力軸
10 アウタリング(押圧部材)
13 圧縮コイルばね
14 遊星キャリア
22 遊星ローラ
24 軸部材
26 ベアリング

Claims (14)

  1. 第1中心軸線を持ち、この第1中心軸線回りに回転自在な太陽ローラと、
    第2中心軸線を持ち、前記第1中心軸線に対して所定角度だけ傾斜した周辺軸線上に前記第2中心軸線が合致するように配置される複数の軸部材と、
    前記軸部材に支持された状態で、前記太陽ローラの周面に沿って配置された複数の遊星ローラと、
    前記軸部材を前記傾斜した状態で保持し、前記遊星ローラとともに前記第1中心軸線回りに回転するキャリアと、
    前記周辺軸線上でみて、前記第1中心軸線との間隔を狭める方向へ前記遊星ローラを押圧することで、前記太陽ローラの周面に対して前記遊星ローラを押し付け、前記太陽ローラと前記遊星ローラとの間にてトラクションによる動力伝達を可能にする押圧部材と、
    を備えることを特徴とするトラクション動力伝達装置。
  2. 全ての前記軸部材が、前記第1中心軸線上の同じ1点で交差する周辺軸線上に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のトラクション動力伝達装置。
  3. 前記遊星ローラは、前記軸部材上をスライド移動可能であることを特徴とする請求項1に記載のトラクション動力伝達装置。
  4. 前記軸部材の回りに前記遊星ローラを回転自在に支持し、前記押圧部材から前記遊星ローラに押圧力が与えられたときに、前記軸部材上を前記遊星ローラとともに前記周辺軸線に沿って移動するベアリングをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のトラクション動力伝達装置。
  5. 前記押圧部材を前記遊星ローラに近接する方向に付勢する付勢部材をさらに備え、
    前記押圧部材は、前記遊星ローラを前記太陽ローラに向けて押圧する押圧面を有し、
    前記遊星ローラは、押圧面で押圧される受圧面を有し、
    付勢された前記押圧部材の押圧面が受圧面を押圧することで、前記遊星ローラが前記軸部材上を微小移動することを特徴とする請求項4に記載のトラクション動力伝達装置。
  6. 互いに圧接される前記太陽ローラ、前記遊星ローラ、及び前記押圧部材の各部材として、圧接部分の表面速度の大きな部材から順に、高い硬度を有する材料が用いられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のトラクション動力伝達装置。
  7. 互いに圧接される前記太陽ローラ、前記遊星ローラ、及び前記押圧部材の各部材として、少なくとも金型鋼と同等以上の硬度を有する材料が用いられており、
    これら各部材のうち、圧接部分の表面速度の少なくとも最高値で駆動される部材の表面には、マイクロショットピーニング処理が施されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のトラクション動力伝達装置。
  8. その内部に、前記太陽ローラの一部、前記遊星ローラ及び前記押圧部材が収容され、且つ潤滑剤が充填されるケーシングと、
    前記ケーシングの内部に配置され、前記潤滑剤を強制循環させる循環部材と、をさらに備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のトラクション動力伝達装置。
  9. 前記キャリアに接続され、回転駆動される出力軸をさらに備え、
    該出力軸は、前記キャリアに対して、その駆動時に締まる方向に向けて螺合されることで接続されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のトラクション動力伝達装置。
  10. 前記遊星ローラは、前記周辺軸線上でみて、前記第1中心軸線に近い側の第1端面の直径よりも、前記第1中心軸線から遠い側の第2端面の直径の方が大きい形状を有することを特徴とする請求項1に記載のトラクション動力伝達装置。
  11. 前記遊星ローラの前記第1端面と第2端面との間の周面が、緩やかな曲面形状とされていることを特徴とする請求項10に記載のトラクション動力伝達装置。
  12. 前記押圧部材は、前記遊星ローラを前記太陽ローラに向けて押圧する押圧面を有し、
    前記押圧面から前記軸部材に向かう第1荷重ベクトルと、前記太陽ローラの周面から前記軸部材に向かう第2荷重ベクトルとは、前記軸部材内の1点で交わることを特徴とする請求項1に記載のトラクション動力伝達装置。
  13. 前記第1荷重ベクトルと前記第2荷重ベクトルとは、前記軸部材の第2中心軸線上で交わることを特徴とする請求項1に記載のトラクション動力伝達装置。
  14. 少なくとも感光体ドラム、又は感光体ドラム及び中間転写ベルトを含む画像形成部と、
    前記感光体ドラムを、又は感光体ドラム及び中間転写ベルトの少なくとも一方を駆動する駆動力を発生する駆動源と、
    前記駆動源の駆動力を、前記感光体ドラムの回転軸又は前記中間転写ベルトの駆動部材に伝達する請求項1〜13のいずれかに記載のトラクション動力伝達装置と、
    を含むことを特徴とする画像形成装置。
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