JP4324353B2 - 変速装置、画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、入力軸の回転を、中間ローラを介して、出力軸に伝達するフリクション方式の変速装置に関するものである。例えば、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置の感光体ドラム、転写ベルト、定着装置、フラットベッド方式のスキャナー用キャリッジ等の主走査駆動装置として用いることができる変速装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の変速装置の一例を図10及び図11に示す。
図10及び図11に示すように、この変速装置の入力軸としての第1の回転軸1は、第1保持部材11に回転自在に軸支されている。この第1の回転軸1は、図示しない駆動源としてのモータ等により、図10において時計方向に駆動回転される。また、この第1の回転軸1の端部には、中心ローラ1aが共軸一体に設けられている。
一方、この変速装置の出力軸としての第2の回転軸6は、本体ケース10に回転自在に軸支されている。この第2の回転軸6の端部には、フランジ状に形成された外輪6aが共軸一体に設けられている。この外輪6aの内側には、その内周面と上記中心ローラ1aの外周面とにより、リング状の空間(環状空間)が形成されている。
この環状空間には、3個の中間ローラ2,3,4が、それぞれ回転自在に配設されている。各中間ローラ2,3,4は、上記第1保持部材11と、これに対向するようにボス13により固定された第2保持部材12とで枢支された支軸2a,3a,4aに、ベアリング5を介して、それぞれ軸支されている。また、各中間ローラ2,3,4は、それぞれの外周面が、上記中心ローラ1aの外周面及び上記外輪6aの内周面に接触するように配置されている。更に、各中間ローラのうちの1個の中間ローラ4の支軸4aは、上記第1保持部材11及び第2保持部材12に形成された長穴状の案内溝7に沿って移動可能となるように構成されている。支軸4aの移動方向は、支軸4aの中心Oと中間ローラ4と中心ローラ1aとの接点aとを結ぶ線分Aと、中心Oと中間ローラ4と外輪6aとの接点bとを結ぶ線分Bとが成す角度θの2等分割線Cの方向に設定されている(図10)。また、この支軸4aには、上記線分A、Bにより形成される角度の大きい側から、押圧部材8を介して、圧縮ばね9により押圧力が付勢されている。この押圧力によって支軸4aが2等分割線Cの方向に移動することにより、中間ローラ4の外周面が、上記中心ローラ1aの外周面及び上記外輪6aの内周面に当接するようになる。このように中間ローラ4の外周面が、中心ローラ1aの外周面及び外輪6aの内周面に当接した状態で、上記第1の回転軸1が図10において時計方向に回転すると、中間ローラ4が上記環状空間に食い込む方向に変位する。この中間ローラ4の変位により、中間ローラ4の外周面が中心ローラ1aの外周面及び外輪6aの内周面に強く圧接するようになり、上記接点a,bに生じる摩擦力によって、上記第2の回転軸6が反時計方向に減速回転される。この第2の回転軸6と上記第1の回転軸1との減速比は、上記中心ローラ1aの外周面の径と、上記外輪6aの内周面の径との比によって決まる。このように構成された変速装置は、これを使用する装置(例えば、複写機やプリンタ等)の本体フレーム43に、ねじ42により固定される。
【0003】
なお、ここでは、第1の回転軸1により第2の回転軸6を減速回転させる減速機としての変速装置を示したが、この変速装置は、第2の回転軸6を入力軸とし、第1の回転軸1を出力軸とすることで、増速機としても機能する。このような変速装置としては、例えば、特開平10−281248号公報、特開平10−325449号公報等の「摩擦ローラ式変速機」が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述のような構成の変速装置においては、上記中心ローラ1a及び上記外輪6aと、上記中間ローラ2,3,4との接触面の、少なくとも一方の接触面を弾性体で構成することが好ましい。これにより、中間ローラ2,3,4の外周面が、中心ローラ1aの外周面、及び外輪6aの内周面に対して弾力的に接触するようになる。このローラ同士の少なくとも一方の接触面を弾性体で構成したフリクション方式の変速装置は、金属ローラ同士が接触回転する構成のトラクション方式の変速装置に比べ、その駆動回転時における騒音の発生が少ないという利点がある。また、フリクション方式の変速装置では、ローラ同士が弾性体の摩擦力により接触回転されるので、その出力軸に掛かる負荷が小さい場合でも、入力軸のトルクを出力軸に確実に伝達できるようになる。このように出力軸に掛かる負荷が小さい場合、トラクション方式の変速装置では、金属ローラ同士の接触面でスリップが発生し易く、動作が不安定になることがある。従って、上記フリクション方式の変速装置を、上記感光体ドラム、転写ベルト、定着装置等の駆動装置として使用することで、高品質な画像形成ができる低騒音の画像形成装置を提供できるようになる。
【0005】
ところが、上記フリクション方式の変速装置においては、長期間停止した状態に置かれると、そのローラ同士の少なくとも一方の接触面を構成している弾性体の接触部が、ローラ同士の接触圧によってクリープ変形することがある。このため、このフリクション方式の変速装置では、その駆動回転時に上記クリープ変形に因る角速度変動が生じて、その入力軸の回転運動(所望の角速度に対する実速度)を出力軸に正確に伝達できなくなるおそれがある。
【0006】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものである。その目的とするところは、ローラの接触面を構成している弾性体の接触圧によるクリープ変形を防止して、入力軸の回転運動を出力軸に正確に伝達することができる変速装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、正逆回転自在に軸支された第1の回転軸に共軸一体に設けられた中心ローラと、
正逆回転自在に軸支された第2の回転軸に共軸一体に設けられた外輪と、
上記中心ローラの外周面と上記外輪の内周面とで形成される環状空間に回転自在に配設された少なくとも1個の中間ローラとを備え、
上記第1の回転軸もしくは上記第2の回転軸の一方の回転が、上記中間ローラを介して他方の回転軸に伝達されるように構成された変速装置において、上記中間ローラを弾性体で形成するとともに、中間ローラと同軸上でスラスト方向移動自在であり、かつ中間ローラに対する係合によって該中間ローラの外径を膨張させることが可能な係合部材設け、該係合部材のスラスト方向の位置によって、上記中間ローラが、上記中心ローラ及び上記外輪と駆動伝達可能に接触する状態と、上記中心ローラの外周面または上記外輪の内周面の少なくとも一方から離間する状態とを選択的に取り得るように構成し、上記中間ローラが上記中心ローラの外周面または上記外輪の内周面の少なくとも一方から離間する状態をとるスラスト方向の位置へ向けて上記係合部材を常時付勢する付勢手段と、上記第1の回転軸もしくは上記第2の回転軸の周面に設けられた係合部と、該係合部が係合するカム溝部を有し、かつ該係合部が設けられた回転軸に沿ってスラスト方向に移動可能な移動部材とを用いて、上記第1の回転軸もしくは上記第2の回転軸の正逆回転により、上記付勢手段の付勢とは逆の向きや付勢と同じ向きに該移動部材の移動に追従させて上記係合部材を移動させる移動手段とを設け、上記第1の回転軸もしくは上記第2の回転軸の正回転時に、上記移動手段で、上記付勢手段の付勢に抗して付勢とは逆の向きに上記係合部材を移動させて、上記中間ローラを、上記中心ローラ及び上記外輪と駆動伝達可能に接触させ、上記第1の回転軸もしくは上記第2の回転軸の逆回転時に、上記移動手段で、上記付勢手段の付勢と同じ向きに上記係合部材を移動させて、上記中間ローラを、上記中心ローラの外周面または上記外輪の内周面の少なくとも一方から離間させることを特徴とするものである。
この変速装置においては、上記係合部材の移動により、上記中間ローラの外周面が、上記中心ローラの外周面または上記外輪の内周面の少なくとも一方の面に対して接離される。例えば、上記第1の回転軸の正回転時には、上記中間ローラの外周面が上記中心ローラの外周面及び上記外輪の内周面に接触した状態になる。また、この第1の回転軸の停止時には、上記中間ローラの外周面が、上記中心ローラの外周面または上記外輪の内周面の少なくとも一方から離間した状態となる。このように、この変速装置においては、停止時にローラ同士が離間されるので、長期間停止した状態に置かれても、上記弾性体の接触部がクリープ変形を起こすことがない。従って、この変速装置では、その駆動回転時の上記弾性体の接触部のクリープ変形に因る角速度変動がなく、その入力軸の回転運動が出力軸に正確に伝達されるようになる。
請求項2の発明は、請求項1の変速装置において、上記係合部材は外周面がテーパ形状であり、上記中間ローラは、上記係合部材が嵌合することにより外周面の外径が膨張し、該係合部材が離脱することにより外周面の外径が収縮する形状の嵌合孔を有していることを特徴とするものである。
請求項3の発明は、請求項2に記載の変速装置において、上記中間ローラは外周面がテーパ形状で、且つ内周面もテーパ形状であり、上記係合部材の嵌合時に、該外周面の外径が膨張することにより上記中心ローラ及び上記外輪と線接触することを特徴とするものである。
請求項4の発明は、請求項1の変速装置において、上記係合部材は上記中間ローラを押圧する押圧部を有し、上記中間ローラは、上記押圧部により押圧されることにより外周面の外径が膨張した状態と、該押圧部による押圧が解除されることにより外周面の外径が収縮した状態とに弾性変形することを特徴とするものである
求項の発明は、回転体を回転駆動するための変速手段を備えた画像形成装置において、上記変速手段として、請求項1、2、3又は4の変速装置を用いることを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した変速装置の実施形態について説明する。図1に、本実施形態に係る変速装置が搭載される画像形成装置としての電子写真方式のカラー複写機(以下、「複写機」という)の概略構成を示す。図2に、この複写機における画像形成部の構成を示す。この複写機は、いわゆるタンデム型の中間転写方式の画像形成装置である。
【0009】
この複写機は、図示しない画像読取部から画像情報である画像データを受け取って画像形成処理を行う。この複写機には、図1及び図2に示すように、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色用の4個の回転体としての潜像担持体である感光体ドラム100Y,100M,100C,100Bkが並設されている。これら4個の感光体ドラムは、駆動ローラ201及び従動ローラ202に張架された無端ベルト状の中間転写ベルト200に接触するように、そのベルト移動方向に沿って並んで配置されている。また、各感光体ドラムの周りには、図示しない帯電器、各色対応の現像装置、クリーニング装置、除電ランプ等の電子写真プロセス用の作像機器がプロセス順にそれぞれ配設されている。
【0010】
この複写機でフルカラー画像を形成する場合は、まず、感光体ドラム100Y上に、上記作像機器によりYトナー像を形成する。このYトナー像は、感光体ドラム100Yの回転に伴い、感光体ドラム100Yと中間転写ベルト200とが接触する1次転写位置に搬送される。この1次転写位置では、中間転写ベルト200の裏面に、1次転写ローラ203Yにより所定の1次転写バイアスが印加される。このバイアス印加によって発生した1次転写電界により、感光体ドラム100Y上のYトナー像が中間転写ベルト200上に1次転写される。以下、同様にして、他の感光体ドラム上に形成されたMトナー像、Cトナー像、Bkトナー像が、1次転写ローラ203M,203C,203Bkにより中間転写ベルト200上のYトナー像に順次重ね合うように1次転写される。
【0011】
このようにして中間転写ベルト200上に1次転写されたカラートナー像は、中間転写ベルト200の回転に伴い、2次転写ローラ204と対向する2次転写位置に搬送される。
一方、給紙カセット300に積載されているシート束から、給紙ローラ301及び分離パッド302により一枚のシートSが分離・給送される。このシートSは、一対のレジストローラ303により、所定のタイミングで上記2次転写位置に搬送される。この2次転写位置では、2次転写ローラ204によりシートSのの裏面に所定の2次転写バイアスが印加される。このバイアス印加により発生した2次転写電界及び2次転写位置での当接圧により、中間転写ベルト200上のカラートナー像がシートS上に一括して2次転写される。このカラートナー像が2次転写されたシートSは、一対の定着ローラ400により定着処理がなされた後、一対の排紙コロ500により装置外に排出される。
【0012】
ところで、本発明が適用される変速装置は、例えば、図10及び図11に示した変速装置における各中間ローラ2,3,4の外周面を弾性体で構成したフリクション方式の変速装置である。このフリクション方式の変速装置は、前述したように、騒音の発生が少なく、出力軸に掛かる負荷が小さい場合でも、入力軸のトルクを出力軸に確実に伝達できるようになる。そこで、このフリクション方式の変速装置を、上記複写機の各感光体ドラム100Y,100M,100C,100Bkを駆動する減速機として用いる。また、このフリクション方式の変速装置を、上記中間転写ベルト200の駆動ローラ201、及び定着ローラ400などを駆動する減速機として用いる。これにより、上記複写機を、高品質な画像形成ができる低騒音の画像形成装置として構成することができるようになる。
【0013】
ところが、上記フリクション方式の変速装置は、長期間停止した状態に置かれると、その中間ローラ2,3,4の外周面を構成している弾性体が、ローラ同士の接触圧によってクリープ変形することがある。このため、このフリクション方式の変速装置では、その駆動回転時に上記クリープ変形に因る角速度変動が生じて、第1の回転軸1の回転運動を第2の回転軸6に正確に伝達できなくなるおそれがある。
【0014】
このような問題は、以下に説明する各実施形態に係る変速装置を用いることにより解決することができる。なお、以下の各実施形態に係る変速装置の各構成要素のうち、図10及び図11に示した変速装置の各構成要素と同等の構成及び機能を有するものには、それぞれの構成要素に同符号を付してその説明を省略する。また、以下の各実施形態に係る変速装置おいては、図10及び図11に示した変速装置と同様、減速機として用いる場合について説明する。
【0015】
(実施形態1)
図3(a)、(b)に、実施形態1に係る変速装置の一例を示す。本実施形態1に係る変速装置は、図10及び図11に示した変速装置における一部の構成要素を、以下の構成要素に置き換えたものである。具体的には、図10及び図11に示した変速装置の中間ローラ2,3,4の少なくとも1つを、後述する弾性中間ローラ27に置き換えたものである。
この変速装置は、第1の回転軸(以下、「入力軸」という)1の正逆回転により、弾性中間ローラ27の外周面を、中心ローラ1aの外周面及び外輪6aの内周面に対して接離させる中間ローラ接離手段を有している。
【0016】
この中間ローラ接離手段は、上記入力軸1の正逆回転により、入力軸1に沿ってスラスト方向に移動する移動部材23を有している。この移動部材23は、図3(a)、(b)に示すように、入力軸1と中間ローラ軸25とにより、スライド自在に軸支されている。また、この移動部材23の外方(図3の上方)には、入力軸1にスライド自在に装着された押圧スリーブ21が配設されている。この押圧スリーブ21には、部分的なスパイラル形状をなす溝カム22が入力軸1の周面に沿って形成されている。この溝カム22には、入力軸1の周面に植設されたピン20が嵌合している。一方、上記移動部材23の内方(図3の下方)には、前述の中間ローラの支軸に相当する中間ローラ軸25にスライド自在に装着されたスラストベアリング31及びテーパ形状の嵌合部材29が配設されている。この嵌合部材29のテーパ形状は、下方が頂点となるように形成されている。中間ローラ軸25は、前述の第2保持部材12に相当する中間ローラ軸保持部材24に植設されており、本体フレーム43に、止め環26とねじ42とで固定されている。また、この中間ローラ軸25には、前述の中間ローラに相当する弾性中間ローラ27が、すべり軸受28を介して軸支されている。さらに、この中間ローラ軸25の、上記すべり軸受28と嵌合部材29との間には、伸張性のコイルスプリング30が装着されている。
【0017】
本実施形態1に係る変速装置の弾性中間ローラ27は、弾性体で構成されており、上記嵌合部材29が嵌合する嵌合孔27aを有している。この弾性中間ローラ27は、その嵌合孔27aに上記嵌合部材29が嵌合することにより、その外周面が法線方向に膨張するように形成されている。また、この弾性中間ローラ27は、その嵌合孔27aから嵌合部材29が離脱することにより、その外周面が初期の形状に復帰するように形成されている。この弾性中間ローラ27を構成する弾性体としては、ポリウレタン、エラストマー、ゴムなどを用いることができる。
【0018】
この変速装置は、その入力軸1の回転を停止する際に、この入力軸1が所定時間だけ逆回転した後に停止されるように構成されている。このように、入力軸1が所定時間だけ逆回転して停止した状態では、図3(a)に示すように、ピン20が溝カム22の下方側に位置しており、押圧スリーブ21が上昇した位置に臨むようになっている。この状態では、コイルスプリング30の伸張力で嵌合部材29が押し上げられ、押圧スリーブ21の上昇に追従して、スラストベアリング31を介して移動部材23が押し上げられている。そして、移動部材23の上面が押圧スリーブ21の下面に所定の圧力で圧接するようになっている。また、コイルスプリング30の伸張力により嵌合部材29が押し上げられた状態では、この嵌合部材29が弾性中間ローラ27の嵌合孔27aから離脱した位置に臨むようになっている。このように弾性中間ローラ27の嵌合孔27aから嵌合部材29が離脱した状態では、上述のように、弾性中間ローラ27が初期の形状に復帰している。この変速装置では、その弾性中間ローラ27が初期の形状に復帰した状態で、弾性中間ローラ27の外周面が中心ローラ1aの外周面及び外輪6aの内周面から離間するようになっている。
【0019】
一方、図3(a)において、入力軸1が正回転すると、その周面に植設されているピン20が上記押圧スリーブ21の溝カム22に沿って移動する。そして、このピン20の移動によって、押圧スリーブ21が変速装置の内側(下方)に変位する。この押圧スリーブ21の変位により、移動部材23が下降する。この移動部材23の下降により、スラストベアリング31を介して、図3(b)に示すように、嵌合部材29が下降して、弾性中間ローラ27の嵌合孔27aに嵌合する。このように嵌合部材29が弾性中間ローラ27の嵌合孔27aに嵌合することにより、嵌合部材29のテーパ面によって嵌合孔27aが押し広げられて、上述したように、弾性中間ローラ27の外周面が法線方向に膨張する。この変速装置では、この弾性中間ローラ27の膨張により、弾性中間ローラ27の外周面が中心ローラ1aの外周面及び外輪6aの内周面に圧接するようになっている。このように弾性中間ローラ27の外周面が膨張することにより、入力軸1の回転が、弾性中間ローラ27を介して、第2の回転軸(以下、「出力軸」という)6に伝達される。
【0020】
なお、上記弾性中間ローラ27は、その初期の形状が、図3(a)に示すように、外周面が上方側にすぼまった円錐形状になり、嵌合孔27aの内周面が円筒形状になるように形成されているが、必ずしもこの形状でなくてもよい。例えば、弾性中間ローラ27の初期の形状は、図3(b)に示すように、外周面が円筒形状になり、嵌合孔27aの内周面が上方側に広がった円錐形状になるように形成されたものであってもよい。
【0021】
(実施形態2)
図4(a)、(b)に、本実施形態2に係る変速装置の一例を示す。この実施形態2に係る変速装置は、実施形態1に係る変速装置における一部の構成要素を、以下の構成要素に置き換えたものである。具体的には、実施形態1に係る変速装置の弾性中間ローラ27と嵌合部材29とを、弾性中間ローラ33と一対の押圧部材32a,32bとに置き換えたものである。この変速装置は、実施形態1に係る変速装置の場合と同様、入力軸1の正逆回転により、上記弾性中間ローラ33の外周面が中心ローラ1aの外周面及び外輪6aの内周面に対して接離される。
【0022】
上記弾性中間ローラ33は、算盤珠状に形成された中空状の弾性体で構成されている。上記一対の押圧部材32a,32bは、弾性中間ローラ33の上下の両端面に対してそれぞれ接離するように、中間ローラ軸25にスライド自在に装着されている。また、上記一対の押圧部材32a,32bには、弾性中間ローラ33の中空部に嵌合するボス部が設けられており、これらボス部の間には前述したコイルスプリング30が装着されている。
【0023】
本実施形態2に係る変速装置の弾性中間ローラ33は、その両端面が上記一対の押圧部材32a,32bにより押圧されることにより、その外周面が法線方向に膨張するように形成されている。また、この弾性中間ローラ33は、少なくとも、その上面から上方側の押圧部材32aが離間することにより、その外周面が初期の形状に復帰するように形成されている。
【0024】
この変速装置では、その入力軸1が所定時間だけ逆回転して停止した状態で、図4(a)に示すように、ピン20が溝カム22の下方側に位置して、押圧スリーブ21が上昇した位置に臨む。また、この状態では、コイルスプリング30の伸張力で上方側の押圧部材32aが押し上げられる。これにより、押圧スリーブ21の上昇に追従して、スラストベアリング31を介して移動部材23が押し上げられ、移動部材23の上面が押圧スリーブ21の下面に所定の圧力で圧接する。また、コイルスプリング30の伸張力により上方側の押圧部材32aが押し上げられた状態では、少なくとも、上方側の押圧部材32aが弾性中間ローラ33の上面から離間した位置に臨む。このように弾性中間ローラ33の上面から押圧部材32aが離間した状態では、弾性中間ローラ33が初期の形状に復帰して、弾性中間ローラ33の外周面が中心ローラ1aの外周面及び外輪6aの内周面から離間する。
【0025】
一方、図4(a)において、入力軸1が正回転すると、その周面に植設されているピン20の移動によって、押圧スリーブ21が変速装置の内側(下方)に変位して、移動部材23が下降する。この移動部材23の下降により、スラストベアリング31を介して、上方側の押圧部材32aが弾性中間ローラ33の上面を押圧する。これにより、図4(b)に示すように、弾性中間ローラ33の両端面が一対の押圧部材32a,32bにより挟み込まれて、弾性中間ローラ33の外周面が法線方向に膨張する。この弾性中間ローラ33の膨張により、弾性中間ローラ33の外周面が中心ローラ1aの外周面及び外輪6aの内周面に圧接し、入力軸1の回転が、弾性中間ローラ33を介して、出力軸6に伝達される。
【0026】
(実施形態3)
図5(a)、(b)に、本実施形態3に係る変速装置の一例を示す。この実施形態3に係る変速装置は、実施形態2に係る変速装置における一部の構成要素を、以下の構成要素に置き換えたものである。具体的には、実施形態2に係る変速装置の弾性中間ローラ33と一対の押圧部材32a,32bとを、弾性中間ローラ35と一対の押圧部材34a,34bとに置き換えたものである。
【0027】
この変速装置は、実施形態2に係る変速装置の場合と同様、入力軸1の正逆回転により、上記弾性中間ローラ35の外周面が中心ローラ1aの外周面及び外輪6aの内周面に対して接離される。上記弾性中間ローラ35は、Oリング状の弾性体で構成されている。上記一対の押圧部材34a,34bは、弾性中間ローラ35の上下の両端面に対してそれぞれ接離するように、中間ローラ軸25にスライド自在に装着されている。
【0028】
本実施形態3に係る変速装置の弾性中間ローラ35は、その両端面が上記一対の押圧部材34a,34bにより押圧されることにより、その外周面が法線方向に膨張するように形成されている。また、この弾性中間ローラ35は、その両端面から上記一対の押圧部材34a,34bが離間することにより、その外周面が初期の形状に復帰するように形成されている。
【0029】
この変速装置では、その入力軸1が所定時間だけ逆回転して停止した状態で、図5(a)に示すように、ピン20が溝カム22の下方側に位置して、押圧スリーブ21が上昇した位置に臨む。この状態では、実施形態2に係る変速装置の場合と同様、少なくとも、上方側の押圧部材34aが弾性中間ローラ35の上面から離間した位置に臨む。このように弾性中間ローラ35の上面から押圧部材34aが離間した状態では、弾性中間ローラ35が初期の形状に復帰して、弾性中間ローラ35の外周面が中心ローラ1aの外周面及び外輪6aの内周面から離間する。
【0030】
一方、図5(a)において、入力軸1が正回転すると、実施形態2に係る変速装置の場合と同様、移動部材23の下降により、スラストベアリング31を介して、上方側の押圧部材34aが弾性中間ローラ35の上面を押圧する。これにより、図5(b)に示すように、弾性中間ローラ35の両端面が一対の押圧部材34a,34bにより挟み込まれて、弾性中間ローラ35の外周面が法線方向に膨張する。この弾性中間ローラ35の膨張により、弾性中間ローラ35の外周面が中心ローラ1aの外周面及び外輪6aの内周面に圧接し、入力軸1の回転が、弾性中間ローラ35を介して、出力軸6に伝達される。
【0031】
(実施形態4)
図6(a)、(b)に、本実施形態4に係る変速装置の一例を示す。本実施形態1に係る変速装置は、図10及び図11に示した変速装置における一部の構成要素を、以下の構成要素に置き換えたものである。具体的には、図10及び図11に示した変速装置の入力軸1、各中間ローラ2,3,4、各支軸2a,3a,4a、外輪6aを、後述する入力軸1、弾性中間ローラ38、中間ローラ軸36、外輪6aに置き換えたものである。
【0032】
この変速装置の入力軸1は、図6(a)、(b)に示すように、その中心ローラ1a側の端部に、入力軸テーパー部1bが形成されている。
上記弾性中間ローラ38は、中間ローラ芯部材37の外周に弾性体を形成して構成されている。例えば、この弾性中間ローラ38は、金属製の中間ローラ芯部材37の外周面にポリウレタンをコーティングした後、その外周面を研磨して形成される。また、上記中間ローラ芯部材37には、芯部材軸受部37aと、芯部材テーパー部37bが形成されている。
上記中間ローラ軸36には、中間ローラ軸小径部36a、中間ローラ軸テーパー部36b、中間ローラ軸大径部36cが形成されている。
上記外輪6aには、外輪テーパー部6bが設けられている。
【0033】
本実施形態4に係る変速装置は、上記各実施形態1、2又は3に係る変速装置の場合と同様、入力軸1の正逆回転により、上記弾性中間ローラ38の外周面が中心ローラ1aの外周面及び外輪6aの内周面に対して接離される。
すなわち、この変速装置では、その入力軸1が所定時間だけ逆回転して停止した状態で、図6(a)に示すように、ピン20が溝カム22の下方側に位置して、押圧スリーブ21が上昇した位置に臨む。この状態では、コイルスプリング30の伸張力で上記弾性中間ローラ38が押し上げられる。これにより、押圧スリーブ21の上昇に追従して、スラストベアリング31を介して移動部材23が押し上げられ、移動部材23の上面が押圧スリーブ21の下面に所定の圧力で圧接する。また、コイルスプリング30の伸張力により弾性中間ローラ38が押し上げられた状態では、中間ローラ芯部材37の芯部材軸受部37aが、中間ローラ軸36の中間ローラ軸テーパー部36bに臨む。これにより、図6(a)に示すように、弾性中間ローラ38が、中間ローラ軸36に対して傾斜した初期状態の姿勢になる。つまり、初期状態の弾性中間ローラ38は、その外周面が中心ローラ1aの外周面及び外輪6aの内周面から離間するように傾斜される。上記各テーパー部1b、37b、36b、6bは、このように弾性中間ローラ38が傾斜した際に、その外周面と中心ローラ1aの外周面及び外輪6aの内周面とが接触しないようにするために形成されている。
【0034】
一方、図6(a)において、入力軸1が正回転すると、上記各実施形態1、2又は3に係る変速装置の場合と同様、移動部材23の下降により、スラストベアリング31を介して、弾性中間ローラ38の上面が押圧される。このように弾性中間ローラ38の上面が押圧されることにより、弾性中間ローラ38の回転中心と中間ローラ軸36の軸心とが平行になる。これにより、図6(b)に示すように、弾性中間ローラ38の外周面が中心ローラ1aの外周面及び外輪6aの内周面に圧接し、入力軸1の回転が、弾性中間ローラ38を介して、出力軸6に伝達される。
【0035】
ところで、上記各実施形態1、2、3又は4に係る変速装置では、入力軸1の正逆回転により、押圧スリーブ21を介して、移動部材23を上下動させるように構成している。この移動部材23を上下動する手段としては、電磁石(アクチェータ)、加熱冷却により変形する形状記憶合金、モータ等の、動作ストロークが制御可能な動力源であってもよい。このような動力源を用いて移動部材23を上下動する構成とした変速装置では、上記移動部材23が入力軸1の正逆回転によらずに上下動されるようになる。従って、このような動力源を用いた変速装置では、そのままの構成で、上記外輪6aの回転を、弾性中間ローラを介して、中心ローラ1aに伝達することにより増速機として機能させることが可能となる。
なお、各実施形態1、2、3又は4に係る変速装置を増速機として機能させる場合には、その外輪6aの回転軸6を上記環状空間に延出させ、この回転軸6の延出部に、上記押圧スリーブ21及び移動部材23を配設した構成とする。つまり、各実施形態1、2、3又は4に係る変速装置における移動部材23を外輪6aがわに、中間ローラ軸保持部材24を中心ローラ1aがわに位置させるように構成する。これにより、外輪6aの回転軸6の正逆回転によって移動部材23が上下動するようになり、この外輪6aの回転が弾性中間ローラを介して中心ローラ1aに伝達される増速機として機能するようになる。
【0036】
(実施形態5)
実施形態5に係る変速装置は、図10及び図11に示した変速装置における入力軸1を、以下のように構成したものである。本実施形態5に係る変速装置は、入力軸1の正逆回転により、入力軸1の回転中心を変位させて、中間ローラ4の外周面を、中心ローラ1aの外周面及び外輪6aの内周面に対して接離させるように構成されている。
【0037】
この変速装置は、図7(a),(b)に示すように、モータ50の回転軸である入力軸1の自由端部の長さLが、前述した変速装置のそれよりも長く形成されている。また、この変速装置の入力軸1は、自由端側の部位の直径φd1が、モータ50の出力部の外径φd2よりも細く形成されている。つまり、この変速装置の入力軸1は、モータ50寄りの大径部1cが、前記第1保持部材11の延出部のベアリングで保持されており、中心ローラ1aが小径部1dにより片持ち支持された構造になっている。
これにより、図10に示したように、入力軸1が矢印方向に正回転している状態では、中間ローラ4が入力軸1と外輪6aと間に食込む位置に移動する。そして、この中間ローラ4の移動に追従して中心ローラ1aが下方に移動し、図7(b)に示すように、入力軸1の小径部1dが鎖線で示す位置から実線で示す位置に撓むように変位する。これにより、各中間ローラ2,3,4の外周面が中心ローラ1aの外周面及び外輪6aの内周面に圧接し、入力軸1の回転が、各中間ローラを介して、出力軸6に伝達される。
一方、上記状態から入力軸1が逆転あるいは停止すると、その小径部1dの撓みが復元され、入力軸1が図7(a)に示す初期位置に復帰する。これにより、中間ローラ4も初期位置に復帰して、各中間ローラの外周面が中心ローラ1aの外周面及び外輪6aの内周面から離間する。
【0038】
(実施形態6)
図8(a)、(b)に、本実施形態6に係る変速装置の一例を示す。本実施形態6に係る変速装置は、実施形態5に係る変速装置の一部の構成要素を、以下の構成要素に置き換えたものである。具体的には、実施形態5に係る変速装置の入力軸1の替わりに、入力軸1の自由端側の部位に入力軸継ぎ手部40を設けた入力軸1をも用いるようにしたものである。すなわち、この変速装置は、例えば図8(a)、(b)に示すように、その入力軸1の自由端側の部位に、ユニバーサルジョイントからなる入力軸継ぎ手部40が設けられている。この入力軸継ぎ手部40により、入力軸1の正逆回転時に、その軸心が自在に屈曲できるようになって、中心ローラ1aが自由な方向に変位するようになる。
そして、図10に示したように、入力軸1が矢印方向に正回転している状態では、中間ローラ4が入力軸1と外輪6aと間に食込む位置に移動し、この中間ローラ4の移動に追従して中心ローラ1aが下方に移動する。これにより、上記入力軸継ぎ手部40の部位で、図8(b)に示すように、入力軸1の軸心が鎖線で示す位置から実線で示す位置に屈曲する。この軸心の屈曲により、各中間ローラ2,3,4の外周面が中心ローラ1aの外周面及び外輪6aの内周面に圧接し、入力軸1の回転が、各中間ローラを介して、出力軸6に伝達される。
一方、上記状態から入力軸1が逆転あるいは停止すると、その自由端側の部位の屈曲が復元され、入力軸1が図8(a)に示す初期位置に復帰する。これにより、中間ローラ4も初期位置に復帰して、各中間ローラの外周面が中心ローラ1aの外周面及び外輪6aの内周面から離間する。
なお、ここでは、上記入力軸継ぎ手部40としてユニバーサルジョイントを使用しているが、この入力軸継ぎ手部40は、コイルスプリングを用いたスプリング継ぎ手や、ボール状のものを介して2軸が直交する方向で挟み込む自在継ぎ手、オルダム継ぎ手などでもかまわない。
【0039】
(実施形態7)
図9(a)、(b)に、本実施形態7に係る変速装置の一例を示す。本実施形態7に係る変速装置は、図10及び図11に示した変速装置における入力軸1を、その駆動用のモータ50と一体的に変位するように構成したものである。つまり、この変速装置は、入力軸1の正逆回転によりモータ50が変位することによって、弾性中間ローラ27の外周面が、中心ローラ1aの外周面及び外輪6aの内周面に対して接離するように構成されている。
【0040】
この変速装置は、図9(a),(b)に示すように、上記モータ50を保持するモータブラケット51が、その長穴部51aに装着されたスライダーピン52により、第1保持部材11に対して変位自在に配設されている。このモータブラケット51は、入力軸1が逆転あるいは停止している状態で、モータブラケット加圧ばね53により、図9(a)に示すように、上方に変位している。
そして、図10に示したように、入力軸1が矢印方向に正回転している状態では、中間ローラ4が入力軸1と外輪6aと間に食込む位置に移動し、この中間ローラ4の移動に追従して上記モータブラケット51が下方に移動する。これにより、図9(b)に示すように、入力軸1がモータ50とともに下降する。この入力軸1の下降により、各中間ローラ2,3,4の外周面が中心ローラ1aの外周面及び外輪6aの内周面に圧接し、入力軸1の回転が、各中間ローラを介して、出力軸6に伝達される。
一方、上記状態から入力軸1が逆転あるいは停止すると、上記モータブラケット51が、モータブラケット加圧ばね53の弾性により、図9(a)に示す初期位置に復帰する。これにより、中間ローラ4も初期位置に復帰して、各中間ローラの外周面が中心ローラ1aの外周面及び外輪6aの内周面から離間する。
ここで、上記モータブラケット51は、支点を中心に円弧状に回転移動するような構成としてもよい。但し、モータブラケット51の理想的な移動方向は、図10(a)に示した線分Aと、線分Bとが成す角度の2等分割線Cに沿った方向がよい。
【0041】
上述のように、実施形態1に係る変速装置においては、入力軸1が所定時間だけ逆回転した後に停止される。この入力軸1が逆回転して停止した状態では、ピン20が溝カム22の下方側に位置し、押圧スリーブ21が上昇した位置に臨む。また、この状態では、嵌合部材29が弾性中間ローラ27の嵌合孔27aから離脱した位置に臨む。このように弾性中間ローラ27の嵌合孔27aから嵌合部材29が離脱した状態では、弾性中間ローラ27が初期の形状に復帰し、弾性中間ローラ27の外周面が中心ローラ1aの外周面及び外輪6aの内周面から離間する。一方、入力軸1が正回転すると、その周面に植設されているピン20が上記押圧スリーブ21の溝カム22に沿って移動して、押圧スリーブ21が変速装置の下方に変位する。この押圧スリーブ21の変位により、移動部材23が下降し、嵌合部材29が弾性中間ローラ27の嵌合孔27aに嵌合する。この嵌合部材29の弾性中間ローラ27の嵌合孔27aへの嵌合により、弾性中間ローラ27の外周面が法線方向に膨張する。この弾性中間ローラ27の膨張により、弾性中間ローラ27の外周面が中心ローラ1aの外周面及び外輪6aの内周面に圧接し、入力軸1の回転が、弾性中間ローラ27を介して、出力軸6に伝達される。このように、この変速装置においては、入力軸1の正逆回転により、弾性中間ローラ27の外周面が、中心ローラ1aの外周面及び外輪6aの内周面に対して接離される。従って、この変速装置では、長期間停止した状態でも弾性中間ローラ27の外周面がクリープ変形しないので、その回転駆動時における角速度変動が少なくなる。また、この変速装置においては、移動部材23の上下動作により弾性中間ローラ27の外周面を法線方向に膨張・圧縮させるというローコストで、且つ省スペースな構成により、弾性中間ローラ27のクリープ変形を防止できる。
また、実施形態2乃至4に係る変速装置においては、その弾性中間ローラ33、35、38が、実施形態1に係る変速装置の弾性中間ローラ27よりも薄肉化された構成になっている。従って、これらの変速装置では、その弾性中間ローラ33、35、38gが、経時劣化や温度依存性等の物性値の変化に対して安定するようになるという効果がある。
また、実施形態5及び6に係る変速装置においては、入力軸1の回転中心が変位されることにより、中間ローラ4の外周面が、中心ローラ1aの外周面及び外輪6aの内周面に対して接離される。従って、これらの変速装置では、入力軸1の回転方向の切換だけで中心ローラ1aと中間ローラ4との法線方向の接触圧力を加減でき、よりシンプルな構成により、中間ローラ4のクリープ変形を防止できるようになる。
また、実施形態7に係る変速装置においては、実施形態5及び6に係る変速装置のように、入力軸1の自由端部の長さLを長くし且つ小径化したり、自由端側の部位に入力軸継ぎ手部40を設けたりする必要がなくなる。従って、この変速装置では、省スペースな構成により、中間ローラ4のクリープ変形を防止できるようになる。また、この変速装置では、実施形態5に係る変速装置のように、入力軸1の撓みによる反発弾性が加わることがないので、中心ローラ1aと中間ローラ4との接触圧が更に低減されるという効果がある。
また、上記各実施形態に係る変速装置は、画像形成装置の感光体ドラム100や中間転写ベルト200等の回転体を駆動する駆動手段の変速装置として用いることができる。この変速装置を用いた画像形成装置は、その回転体の回転時における角速度変動が少なくなるので、主走査方向のピッチむらが少ない良好な画像を得ることができるようになる。
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、中間ローラのクリープ変形を防止でき、第1の回転軸の回転運動を第2の回転軸に、または第2の回転軸の回転運動を第1の回転軸に、角速度変動なく正確に伝達することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の変速装置が適用される画像形成装置の概略構成図。
【図2】上記画像形成装置の中間転写体の概略平面図。
【図3】(a)は、本発明の実施形態1に係る変速装置の停止時の概略構成図。
(b)は、この変速装置の回転時の概略構成図。
【図4】(a)は、本発明の実施形態2に係る変速装置の停止時の概略構成図。
(b)は、この変速装置の回転時の概略構成図。
【図5】(a)は、本発明の実施形態3に係る変速装置の停止時の概略構成図。
(b)は、この変速装置の回転時の概略構成図。
【図6】(a)は、本発明の実施形態4に係る変速装置の停止時の概略構成図。
(b)は、この変速装置の回転時の概略構成図。
【図7】(a)は、本発明の実施形態5に係る変速装置の停止時の概略構成図。
(b)は、この変速装置の回転時の概略構成図。
【図8】(a)は、本発明の実施形態6に係る変速装置の停止時の概略構成図。
(b)は、この変速装置の回転時の概略構成図。
【図9】(a)は、本発明の実施形態7に係る変速装置の停止時の概略構成図。
(b)は、この変速装置の回転時の概略構成図。
【図10】従来の変速装置の概略正面図。
【図11】従来の変速装置の概略断面図。
【符号の説明】
1 第1の回転軸(入力軸)
1a 中心ローラ
1b 入力軸テーパー部
1c 入力軸大径部
1d 入力軸小径部
1e 入力軸元部
1f 入力軸先部
2,3,4 中間ローラ
2a,3a,4a 支軸
5 ベアリング
6 第2の回転軸(出力軸)
6a 外輪
6b 外輪テーパー部
7 案内溝
8 押圧部材
9 圧縮ばね
10 本体ケース
11 第1保持部材
12 第2保持部材
13 ボス
20 ピン
21 押圧スリーブ
22 溝カム
23 移動部材
24 中間ローラ軸保持部材
25 中間ローラ軸
26 止め環
27 弾性中間ローラ
27a 嵌合孔
28 すべり軸受け
29 嵌合部材
30 コイルスプリング
31 スラストベアリング
32a,32b 押圧部材
33 弾性中間ローラ
34a,34b 押圧部材
35 リング状弾性中間ローラ
36 中間ローラ軸
36a 中間ローラ軸小径部
36b 中間ローラ軸テーパー部
36c 中間ローラ軸大径部
37 中間ローラ芯部材
37a 芯部材軸受部
37b 芯部材テーパー部
38 弾性中間ローラ
40 入力軸継ぎ手部
42 ねじ
43 本体フレーム
50 モータ
51 モータブラケット
51a モータブラケット長穴部
52 スライダーピン
53 モータブラケット加圧ばね

Claims (5)

  1. 正逆回転自在に軸支された第1の回転軸に共軸一体に設けられた中心ローラと、
    正逆回転自在に軸支された第2の回転軸に共軸一体に設けられた外輪と、
    上記中心ローラの外周面と上記外輪の内周面とで形成される環状空間に回転自在に配設された少なくとも1個の中間ローラとを備え、
    上記第1の回転軸もしくは上記第2の回転軸の一方の回転が、上記中間ローラを介して他方の回転軸に伝達されるように構成された変速装置において、
    上記中間ローラを弾性体で形成するとともに、中間ローラと同軸上でスラスト方向移動自在であり、かつ中間ローラに対する係合によって該中間ローラの外径を膨張させることが可能な係合部材設け、該係合部材のスラスト方向の位置によって、上記中間ローラが、上記中心ローラ及び上記外輪と駆動伝達可能に接触する状態と、上記中心ローラの外周面または上記外輪の内周面の少なくとも一方から離間する状態とを選択的に取り得るように構成し、
    上記中間ローラが上記中心ローラの外周面または上記外輪の内周面の少なくとも一方から離間する状態をとるスラスト方向の位置へ向けて上記係合部材を常時付勢する付勢手段と、
    上記第1の回転軸もしくは上記第2の回転軸の周面に設けられた係合部と、該係合部が係合するカム溝部を有し、かつ該係合部が設けられた回転軸に沿ってスラスト方向に移動可能な移動部材とを用いて、上記第1の回転軸もしくは上記第2の回転軸の正逆回転により、上記付勢手段の付勢とは逆の向きや付勢と同じ向きに該移動部材の移動に追従させて上記係合部材を移動させる移動手段とを設け、
    上記第1の回転軸もしくは上記第2の回転軸の正回転時に、上記移動手段で、上記付勢手段の付勢に抗して付勢とは逆の向きに上記係合部材を移動させて、上記中間ローラを、上記中心ローラ及び上記外輪と駆動伝達可能に接触させ、
    上記第1の回転軸もしくは上記第2の回転軸の逆回転時に、上記移動手段で、上記付勢手段の付勢と同じ向きに上記係合部材を移動させて、上記中間ローラを、上記中心ローラの外周面または上記外輪の内周面の少なくとも一方から離間させることを特徴とする変速装置。
  2. 請求項1の変速装置において、
    上記係合部材は外周面がテーパ形状であり、
    上記中間ローラは、上記係合部材が嵌合することにより外周面の外径が膨張し、該係合部材が離脱することにより外周面の外径が収縮する形状の嵌合孔を有していることを特徴とする変速装置。
  3. 請求項2に記載の変速装置において、
    上記中間ローラは外周面がテーパ形状で、且つ内周面もテーパ形状であり、
    上記係合部材の嵌合時に、該外周面の外径が膨張することにより上記中心ローラ及び上記外輪と線接触することを特徴とする変速装置。
  4. 請求項1の変速装置において、
    上記係合部材は上記中間ローラを押圧する押圧部を有し、
    上記中間ローラは、上記押圧部により押圧されることにより外周面の外径が膨張した状態と、該押圧部による押圧が解除されることにより外周面の外径が収縮した状態とに弾性変形することを特徴とする変速装置
  5. 転体を回転駆動するための変速手段を備えた画像形成装置において、
    上記変速手段として、請求項1、2、3又は4の変速装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
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