JP2002048204A - 摩擦ローラ式変速機 - Google Patents

摩擦ローラ式変速機

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JP2002048204A
JP2002048204A JP2000234789A JP2000234789A JP2002048204A JP 2002048204 A JP2002048204 A JP 2002048204A JP 2000234789 A JP2000234789 A JP 2000234789A JP 2000234789 A JP2000234789 A JP 2000234789A JP 2002048204 A JP2002048204 A JP 2002048204A
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center
cylindrical surface
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wedge
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Hiroyuki Ito
裕之 伊藤
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NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H57/00General details of gearing
    • F16H57/04Features relating to lubrication or cooling or heating
    • F16H57/048Type of gearings to be lubricated, cooled or heated
    • F16H57/0487Friction gearings

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • General Details Of Gearings (AREA)
  • Rolls And Other Rotary Bodies (AREA)
  • Friction Gearing (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 内径側、外径側各当接部26a、26b、2
7a、27bの潤滑を確実に図り、優れた耐久性を有す
る摩擦ローラ式変速機を実現する。 【解決手段】 外輪15a、ガイドローラ10a、10
b及びウェッジローラ11のうちで、下方に位置するガ
イドローラ10bの軸方向一端部に凹凸部44を設け
る。この凹凸部44は、径方向内方に凹んだ凹部45、
45と径方向外方に突出した凸部46、46とを円周方
向に関して交互に形成して成る。そして、この凹凸部4
4によってハウジング3a内に貯溜された潤滑油を掻き
揚げ自在とする事により、内径側、外径側各当接部26
a、26b、27a、27bの潤滑を確実に図り、これ
ら各当接部26a、26b、27a、27bで金属接触
を発生しにくくする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、各種機械装置に
組み込んで、減速或は増速しつつ回転運動を伝達する摩
擦ローラ式変速機の改良に関し、構成部品の耐久性を確
保できる構造を実現するものである。
【0002】
【従来の技術】摩擦ローラ式変速機は、遊星歯車式等の
歯車式変速機に比べて、高速で運転した場合にも発生す
る騒音が小さい。この為、例えば摩擦ローラ式変速機を
電動モータの出力部に組み付けて減速機として使用し、
この電動モータの回転運動を減速すると共にトルクを増
大させる構造が、例えば特開平8−210455号公報
に記載されている。この公報等に記載された一般的な摩
擦ローラ式変速機は、各ローラの周面同士の当接圧を、
伝達すべきトルクの変動に拘らず、常に一定のままに保
持している。
【0003】一方、良好な伝達効率を確保する事を目的
として、伝達すべきトルクが小さい場合には上記当接圧
を低くし、反対に伝達すべきトルクが大きい場合には上
記当接圧を高くする構造として、米国特許第47095
89号明細書には、図6〜8に示す様な摩擦ローラ式変
速機が記載されている。この従来の摩擦ローラ式変速機
は、有底円筒状の本体1とこの本体1の基端開口部を塞
ぐ蓋体2とから成る固定のハウジング3内に中心ローラ
4の内半部(図6の右半部)を、上記蓋体2の略中央部
に形成した通孔5を通じて挿入している。尚、この通孔
5は、上記蓋体2の中心から、少しだけ外れた位置に設
けている。又、上記中心ローラ4の外半部(図6の左半
部)で上記蓋体2から突出した部分には、入力軸6の端
部を結合固定している。
【0004】又、上記ハウジング3の内側で上記中心ロ
ーラ4の周囲部分には、3本の枢軸7a、7b、7c
を、それぞれこの中心ローラ4と平行に配置している。
即ち、これら各枢軸7a、7b、7cの一端部(図6の
左端部)を上記蓋体2に支持すると共に、他端部(図6
の右端部)を連結板8に支持している。尚、これら3本
の枢軸7a、7b、7cのうち、図7〜8の上部中央に
位置する1本の枢軸7aは、その両端部を上記蓋体2及
び連結板8に形成した嵌合孔に圧入固定している。従っ
て、この枢軸7aが、上記ハウジング3内で円周方向或
は直径方向に変位する事はない。
【0005】これに対して、図7〜8の下部左右両側に
位置する残り2本の枢軸7b、7cは、両端部を上記蓋
体2及び連結板8に対し、上記ハウジング3の円周方向
及び直径方向に若干の変位自在に支持している。この為
に、上記蓋体2及び連結板8の一部で上記枢軸7b、7
cの両端部に整合する部分には、図8に示す様に、上記
両枢軸7b、7cの外径よりも大きな内径を有する支持
孔9、9を形成し、これら各支持孔9、9に、上記両枢
軸7b、7cの両端部を緩く係合させている。そして、
これら各枢軸7a、7b、7cの中間部周囲に、それぞ
れが中間ローラであるガイドローラ10及びウェッジロ
ーラ11a、11bを、それぞれラジアルニードル軸受
12により、回転自在に支持している。尚、上記連結板
8は、上記蓋体2の内面(上記ガイドローラ10及びウ
ェッジローラ11a、11bを設置した空間側の面で、
図6の右面)の一部で、上記ガイドローラ10及びウェ
ッジローラ11a、11bから外れた位置に突設した突
部13、13に突き当て、連結ボルト14、14によ
り、上記蓋体2に連結固定している。
【0006】又、上記ハウジング3の内側で上記ガイド
ローラ10及びウェッジローラ11a、11bを囲む部
分には、円環状の外輪15を、回転自在に設けている。
この外輪15の内周面中央部は直径方向内方に突出させ
る事により、土手状の凸部16とし、この凸部16の内
周面を第二の円筒面17としている。そして、この第二
の円筒面17と、上記ガイドローラ10及びウェッジロ
ーラ11a、11bの外周面である第三の円筒面18、
18とを当接自在としている。又、上記外輪15には、
結合ブラケット19の外径側端部を外嵌固定し、この結
合ブラケット19の中心部に、出力軸20の内端部(図
6の左端部)を結合固定している。この出力軸20は、
前記ハウジング3を構成する本体1の中央部に形成した
第二の通孔21を回転自在に挿通して、このハウジング
3外に突出させている。
【0007】上記ガイドローラ10及びウェッジローラ
11a、11bの外周面である、上記各第三の円筒面1
8、18は、それぞれ前記中心ローラ4の外周面に設け
た第一の円筒面22と、上記外輪15の内周面に設けた
上記第二の円筒面17とに当接させている。上記中心ロ
ーラ4の中心と上記出力軸20及び外輪15の中心とは
互いに偏心している。即ち、前述の様に、上記中心ロー
ラ4を挿通する通孔5は、上記ハウジング3の中心から
少しだけ外れた位置に設けているのに対して、上記出力
軸20を挿通する第二の通孔21は、上記ハウジング3
の中心に設けている。又、この第二の通孔21の内側に
回転自在に支持した出力軸20と外輪15とは、互いに
同心である。従って、上記中心ローラ4と上記外輪15
及び出力軸20とは、上記通孔5のハウジング3の中心
からのずれ量δ(図6参照)分だけ、互いに偏心してい
る。そして、上記中心ローラ4の外周面に設けた上記第
一の円筒面22と上記外輪15に設けた上記第二の円筒
面17との間に存在して上記ガイドローラ10及びウェ
ッジローラ11a、11bが設けられた環状空間23の
幅寸法が、このδ分の偏心量に見合う分だけ、円周方向
に関して不同になっている。
【0008】この様に、上記環状空間23の幅寸法を円
周方向に関して不同にした分、上記ガイドローラ10及
びウェッジローラ11a、11bの外径を異ならせてい
る。即ち、上記外輪15に対し中心ローラ4が偏心して
いる側(図6〜8の下側)に位置するウェッジローラ1
1a、11bの径を、互いに同じとすると共に比較的小
径にしている。これに対し、上記外輪15に対し中心ロ
ーラ4が偏心しているのと反対側(図6〜8の上側)に
位置するガイドローラ10の径を、上記両ウェッジロー
ラ11a、11bよりも大きくしている。そして、これ
ら3個の、それぞれが中間ローラであるガイドローラ1
0及びウェッジローラ11a、11bの外周面である第
三の円筒面18、18を、上記第一、第二の円筒面2
2、17に当接させている。
【0009】尚、それぞれが中間ローラである、上記1
個のガイドローラ10及び2個のウェッジローラ11
a、11bのうち、ガイドローラ10を支持した枢軸7
aは、前述の様に、上記ハウジング3内に固定してい
る。これに対して、ウェッジローラ11a、11bを支
持した枢軸7b、7cは、やはり前述した様に上記ハウ
ジング3内に、円周方向及び直径方向に若干の変位を自
在に支持している。従って、上記ウェッジローラ11
a、11bも、上記ハウジング3内で円周方向及び直径
方向に若干の変位自在である。そして、前記蓋体2のシ
リンダ孔24、24内に装着した圧縮コイルばね25、
25等の弾性材により、上記各ウェッジローラ11a、
11bを支持した枢軸7b、7cを、これら各枢軸7
b、7cに回転自在に支持したウェッジローラ11a、
11bを前記環状空間23の幅の狭い部分に向け移動さ
せるべく、弾性的に軽く押圧している。
【0010】上述の様に構成される従来構造の摩擦ロー
ラ式変速機の場合、入力軸6に結合した中心ローラ4の
回転は、この中心ローラ4の外周面に設けた第一の円筒
面22と、ガイドローラ10及びウェッジローラ11
a、11bの外周面である第三の円筒面18、18との
当接部である、各内径側当接部26a、26bを介し
て、これらガイドローラ10及びウェッジローラ11
a、11bに伝わる。更に、これらガイドローラ10及
びウェッジローラ11a、11bの回転は、上記各第三
の円筒面18、18と前記外輪15の内周面に設けた第
二の円筒面17との当接部である、各外径側当接部27
a、27bを介して、この外輪15に伝わる。そして、
この外輪15に結合固定した前記出力軸20が回転す
る。
【0011】上記中心ローラ4が図7〜8の時計方向
(又は反時計方向)に、外輪15が同じく反時計方向
(又は時計方向)に、それぞれ回転すると、図7〜8の
右側の枢軸7b(又は左側の枢軸7c)に回転自在に支
持したウェッジローラ11a(又は11b)が、上記第
一、第二の円筒面22、17同士の間に存在する環状空
間23内で、この環状空間23の幅の狭い部分(図7〜
8の下側中央部分)に向け移動する。この結果、上記枢
軸7b(又は7c)に回転自在に支持したウェッジロー
ラ11a(又は11b)の外周面である第三の円筒面1
8が、上記第一の円筒面22と第二の円筒面17とを強
く押圧する。そして、当該ウェッジローラ11a(又は
11b)に関する第三の円筒面18と上記第一の円筒面
22との当接部である内径側当接部26b、及び、当該
ウェッジローラ11a(又は11b)に関する第三の円
筒面18と上記第二の円筒面17との当接部である外径
側当接部27bの当接圧が高くなる。
【0012】上記1個のウェッジローラ11a(又は1
1b)に関する内径側、外径側両当接部26b、27b
の当接圧が高くなると、上記中心ローラ4と外輪15と
のうちの少なくとも一方の部材が、組み付け隙間、或は
弾性変形等に基づき、それぞれの直径方向に関して僅か
に変位する。この結果、残り2個の中間ローラである、
ガイドローラ10及びウェッジローラ11b(又は11
a)の外周面である第三の円筒面18、18と上記中心
ローラ4の外周面である第一の円筒面22との当接部で
ある2個所の内径側当接部26a、26b、及びこれら
ガイドローラ10及びウェッジローラ11b(又は11
a)の外周面である第三の円筒面18、18と上記外輪
15の内周面である第二の円筒面17との当接部である
2個所の外径側当接部27a、27bの当接圧が高くな
る。
【0013】上記1本の枢軸7b(又は7c)に回転自
在に支持したウェッジローラ11a(又は11b)を、
上記環状空間23内でこの環状空間23の幅の狭い部分
に向け移動させようとする力は、上記中心ローラ4から
上記外輪15に伝達するトルクの大きさに応じて変化す
る。即ち、上記中心ローラ4の駆動トルクが大きくなる
程、上記ウェッジローラ11a(又は11b)を上記環
状空間23の幅の狭い部分に向け移動させようとする力
が大きくなる。そして、この力が大きくなる程、上記各
内径側、外径側両当接部26a、26b、27a、27
bの当接圧が大きくなる。逆に言えば、上記駆動トルク
が小さい場合には、これら各内径側、外径側両当接部2
6a、26b、27a、27bの当接圧が小さい。
【0014】尚、上述した従来構造は、3個の中間ロー
ラのうち、1個の中間ローラのみをガイドローラ10と
し、残り2個の中間ローラをウェッジローラ11a、1
1bとしている。これに対して、3個の中間ローラのう
ちの2個の中間ローラをガイドローラとし、残り1個の
中間ローラのみをウェッジローラとする構造も、従来か
ら知られている。この様な構造を有する摩擦ローラ式変
速機の場合には、一方向の回転力のみを伝達可能であ
り、逆方向の回転力に対しては内部で滑りが発生して、
この回転力を伝達しない。言い換えれば、回転力の伝達
を一方向のみ行なう、クラッチ機能を備える。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】上述の様に構成し作用
する摩擦ローラ式変速機の場合、ハウジング3内にトラ
クショングリース或はトラクションオイル(潤滑油)等
の潤滑剤を封入し、中心ローラ4の外周面に設けた第一
の円筒面22並びに外輪15の内周面に設けた第二の円
筒面17と、ガイドローラ10及びウェッジローラ11
a、11bの外周面である第三の円筒面18、18との
間の動力伝達を、上記潤滑剤を介して行なう。これら各
円筒面22、17、18同士の間に存在する潤滑剤の油
膜は極く薄い為、この油膜に作用する大きな剪断力に基
づき、上記動力伝達を行なえる。又、この様な潤滑剤
は、動力を伝達すると同時に、上記各円筒面22、1
7、18同士の各当接部である内径側、外径側各当接部
26a、26b、27a、27bの潤滑を図り、これら
各円筒面22、17、18同士が直接接触する事を防止
して、金属接触による著しい摩耗の発生を防止する。
【0016】ところで、この様な潤滑剤として(トラク
ション)グリースを使用した場合は、潤滑油に比べて粘
性が高い分、グリースが上記各円筒面22、17、18
に付着し易く、これら各円筒面22、17、18にグリ
ースを保持できる。この為、粘性が低い潤滑油に比べて
上記内径側、外径側各当接部26a、26b、27a、
27bの潤滑性を確保し易くなるが、グリースの剪断抵
抗に基づく回転抵抗が大きくなる。
【0017】これに対して潤滑油を使用した場合は、グ
リースに比べて回転抵抗を低く抑えられるが、粘性の低
い潤滑油が遠心力によりハウジング3の外径寄り部分に
飛ばされる。この為、特に、このハウジング3の中央部
に存在する、上記第一の円筒面22と第三の円筒面1
8、18との当接部である各内径側当接部26a、26
bの近傍で、潤滑油が不足しがちになる。この結果、こ
れら各内径側当接部26a、26bを中心に金属接触が
発生し易くなり、異常摩耗や剥離等の損傷の発生に伴
い、摩擦ローラ式変速機の耐久性を悪化させる原因とな
る。この様な異常摩耗や剥離等の損傷を防止すべく、上
記ハウジング3内に潤滑油を多量に、例えば摩擦ローラ
式変速機の運転時でも上記各内径側当接部26a、26
bが潤滑油に漬かる程、封入する事が考えられる。とこ
ろが、この様に潤滑油を多量に封入すると、粘性が低い
とは言えこの潤滑油による攪拌抵抗が無視できない程大
きくなり、好ましくない。
【0018】又、3個の中間ローラのうち1個の中間ロ
ーラをウェッジローラとすると共に、残り2個の中間ロ
ーラのみをガイドローラとし、摩擦ローラ式変速機にク
ラッチ機構を持たせた場合は、このクラッチ機構の接続
を断った状態で外輪が回転した場合(オーバーラン時)
に、次の様な問題が生じる可能性がある。即ち、各中間
ローラの外周面である第三の円筒面と、上記外輪の内周
面である第二の円筒面又は中心ローラの外周面である第
一の円筒面とが擦れ合う可能性がある。そして、この様
な擦れ合いが潤滑油を十分に介在しない状態で生じる
と、擦れ合い部で無視できない程の発熱や摩耗(異常摩
耗)が発生し、この発熱や異常摩耗に伴って、摩擦ロー
ラ式変速機の内部で異音や焼き付きが発生する等、耐久
性を十分に確保できなくなる。本発明は、この様な事情
に鑑みて、潤滑を必要とする部分の潤滑を効率良く図
り、優れた耐久性を有する摩擦ローラ式変速機を実現す
べく発明したものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明の摩擦ローラ式変
速機は、前述した従来から知られている摩擦ローラ式変
速機と同様に、ハウジングと、このハウジングに対し回
転自在に設けられ、その外周面を第一の円筒面とした中
心ローラと、その内周面を第二の円筒面としてこの中心
ローラの周囲に、この中心ローラに対する相対回転を自
在に、且つ、上記ハウジングに対し回転自在に設けられ
た外輪と、上記第一の円筒面と上記第二の円筒面との間
の環状空間内に、上記中心ローラと平行に配置された複
数本の枢軸と、これら各枢軸により回転自在に支持さ
れ、それぞれの外周面を第三の円筒面とした複数個の中
間ローラとを備える。そして、上記各第三の円筒面と上
記第一の円筒面及び第二の円筒面との摩擦係合に基づ
き、上記中心ローラと上記外輪とのうちの一方の部材か
ら他方の部材への回転力の伝達を自在としている。
【0020】特に、本発明の摩擦ローラ式変速機に於い
ては、上記外輪及び上記各中間ローラのうちの少なくと
も何れかの部材の少なくとも軸方向一端部に、径方向に
凹んだ凹部と径方向に突出した凸部とを円周方向に関し
て交互に形成して成る凹凸部を設けている。そして、こ
の凹凸部によって、上記ハウジング内に貯溜された潤滑
油を掻き揚げ自在としている。
【0021】
【作用】上述の様に構成する本発明の摩擦ローラ式変速
機の場合には、凹凸部を設けた中間ローラや外輪が回転
すると、ハウジング内に貯溜された潤滑油が、この凹凸
部を構成する凹部に溜りつつ掻き揚げられる。そして、
この様に掻き揚げられた潤滑油は、各中間ローラの外周
面と中心ローラの外周面との当接部である各内径側当接
部や、同じく各中間ローラの外周面と外輪の内周面との
当接部である各外径側当接部に、効率良く送り込まれ
る。この為、これら各当接部に潤滑油を送り込む為のポ
ンプ装置等を設けて構造を複雑にする事なく、潤滑を必
要とする部分の潤滑を確実に図れ、優れた耐久性を有す
る摩擦ローラ式変速機を実現できる。
【0022】
【発明の実施の形態】図1〜2は、請求項1〜3に対応
する、本発明の実施の形態の第1例を示している。尚、
図示の例では、3個の中間ローラのうちの2個の中間ロ
ーラをガイドローラ10a、10bとし、残り1個の中
間ローラのみをウェッジローラ11とする事により、摩
擦ローラ式変速機に一方向クラッチの機能を持たせた構
造で、本発明を実施した場合に就いて示している。
【0023】本例の摩擦ローラ式変速機も、前述した従
来構造の場合と同様に、鋼或はアルミニウム合金製で有
底円筒状の本体1aと、この本体1aの基端開口部を塞
ぐ、鋼製の蓋体2aとから成る、固定のハウジング3a
を有する。そして、このハウジング3a内に中心ローラ
4aの内半部(図1の左半部)を、上記蓋体2aの略中
央部に形成した通孔5aを通じて挿入している。尚、こ
の通孔5aは、上記蓋体2aの中心から、少しだけ外れ
た位置に設けている。又、上記中心ローラ4aの外端部
(図1の右端部)には、図示しない電動モータ等の駆動
軸28の端部を結合している。
【0024】図示の例の場合には、上記中心ローラ4a
を、上記駆動軸28により回転駆動自在としつつ、ラジ
アル方向(中心ローラ4a自身の直径方向)に関する若
干の変位自在に設けている。この為に本例の場合は、上
記通孔5aの内径を上記中心ローラ4aの外径よりも大
きくして、この中心ローラ4aがこの通孔5aの内側で
ラジアル方向に変位できる様にしている。又、この中心
ローラ4aの基端面(図1の右端面)に係合凹溝29
を、直径方向に亙って形成すると共に、上記駆動軸28
の先端面(図1の左端面)に係合凸部30を、直径方向
に亙って形成している。そして、この係合凸部30と上
記係合凹溝29とを、緩く係合させている。この為に、
この係合凹溝29の幅は、この係合凸部30の幅よりも
少しだけ大きくしている。従って、上記中心ローラ4a
と上記駆動軸28とは、回転力の伝達を自在に、且つ、
ラジアル方向に関する相対変位自在に結合されている。
尚、この様に中心ローラ4aと駆動軸28とを回転力の
伝達を自在に、且つ、ラジアル方向に関する相対変位自
在に結合する為の構造は、図示の様なものに限らず、緩
いスプライン係合、或は緩いキー係合でも良い。
【0025】又、上記中心ローラ4aの先端面(図1の
左端面)中心部には鋼球31を圧入固定し、この鋼球3
1を、後述する連結板8aの片面(図1の右面)中心部
に突き当てて、ピボット軸受を構成している。このピボ
ット軸受は、上記中心ローラ4aの回転を自在としつ
つ、この中心ローラ4aの軸方向に関する位置決めを図
る為に設けている。尚、本例の場合には、上記中心ロー
ラ4aの外周面と上記通孔5aの内周面との間に隙間が
存在する。そこで、この様な隙間を通じて、前記ハウジ
ング3a内に異物が入り込むのを防止する為に、図示し
ない電動モータ等のケーシングと前記蓋体2aとの間に
シール材を設ける。或は、上記中心ローラ4aの外周面
と上記通孔5aの内周面との間に、弾性変形自在なOリ
ング等のシールリングを設けて、上記隙間そのものを塞
いでも良い。
【0026】又、前記ハウジング3aの内側で上記中心
ローラ4aの周囲部分には、3本の枢軸7a、7b、7
cを、それぞれこの中心ローラ4aと平行に配置してい
る。即ち、これら各枢軸7a、7b、7cの一端部(図
1の右端部)を上記蓋体2aに支持すると共に、他端部
(図1の左端部)を連結板8aに支持している。尚、こ
の連結板8aは、前述の図6〜8に示した従来構造の様
な円輪状ではなく、円板状に形成している。この理由
は、上記ピボット軸受を構成する為である。
【0027】又、本例の場合に、上記3本の枢軸7a、
7b、7cのうち、図2の上部中央並びに下部左側に位
置する2本の枢軸7a、7bは、その両端部を上記蓋体
2a及び連結板8aに形成した嵌合孔32、32に圧入
固定している。従って、これら両枢軸7a、7bが、上
記ハウジング3a内で円周方向或は直径方向に変位する
事はない。これに対して、図2の下部右側に位置する残
り1本の枢軸7cは、両端部を上記蓋体2a及び連結板
8aに対し、上記ハウジング3aの円周方向及び直径方
向に関して若干の変位自在に支持している。この為に、
上記蓋体2a及び連結板8aの一部で上記枢軸7cの両
端部に整合する部分には、この枢軸7cの外径よりも大
きな幅及び長さを有する支持孔9aを形成し、これら各
支持孔9aに、上記枢軸7cの両端部を緩く係合させて
いる。
【0028】そして、これら各枢軸7a、7b、7cの
中間部周囲に、それぞれが中間ローラであるガイドロー
ラ10a、10b及びウェッジローラ11を、それぞれ
ラジアルニードル軸受12により、回転自在に支持して
いる。尚、上記連結板8aは、上記蓋体2aの内面(上
記ガイドローラ10a、10b及びウェッジローラ11
を設置した空間側の面で、図1の左面)の一部で、上記
ガイドローラ10a、10b及びウェッジローラ11か
ら外れた位置に突設した突部13、13に突き当て、連
結ボルト14、14により、上記蓋体2aに連結固定し
ている。又、上記ガイドローラ10a、10b及びウェ
ッジローラ11の軸方向両端面と上記連結板8a及び蓋
体2aとの間には、それぞれスラストニードル軸受3
3、33を設けて、上記各ローラ10a、10b、11
の回転が円滑に行なわれる様にしている。
【0029】又、上記ハウジング3aの内側で上記ガイ
ドローラ10a、10b及びウェッジローラ11を囲む
部分には、円筒状の外輪15aを設け、この外輪15a
の内周面を、第二の円筒面17としている。そして、こ
の第二の円筒面17と、上記ガイドローラ10a、10
b及びウェッジローラ11の外周面である第三の円筒面
18、18とを当接自在としている。又、上記外輪15
aと出力軸20aとを、連結板34を介して結合してい
る。この出力軸20aは、前記ハウジング3aを構成す
る本体1aの中央部に形成した支持筒部35の内側に挿
通して、このハウジング3a外に突出させている。図示
の例では、上記出力軸20aを上記支持筒部35の内側
に、1対の玉軸受36a、36bにより回転自在に支持
すると共に、この支持筒部35の先端(図1の左端)開
口部と上記出力軸20aの中間部内周面との間を、シー
ルリング37により塞いでいる。
【0030】上記連結板34は、この様にハウジング3
aに対し回転自在に支持した出力軸20aの基端部(図
1の右端部)に、この出力軸20aと同心に固定してい
る。そして、上記連結板34の外周縁に形成した複数の
突片38、38と、上記外輪15aの軸方向一端縁部
(図1の左端縁部)に形成した切り欠き39、39と
を、ラジアル方向に関する若干の変位自在に係合させて
いる。又、上記各突片38、38を上記各切り欠き3
9、39の奥部(図1の右部)に進入させた状態で、上
記外輪15aの端部内周面に形成した係止溝40に止め
輪41を係止して、上記各突片38、38が上記各切り
欠き39、39から抜け出ない様にしている。従って、
上記外輪15aと上記連結板34とは、回転力の伝達を
自在に、且つ、ラジアル方向に関する若干の相対変位自
在に結合されている。
【0031】又、前記各ガイドローラ10a、10b及
びウェッジローラ11の外周面である、前記各第三の円
筒面18、18は、それぞれ前記中心ローラ4aの外周
面に設けた第一の円筒面22と、上記外輪15aの内周
面に設けた前記第二の円筒面17とに当接させている。
上記中心ローラ4aの中心と上記出力軸20a及び外輪
15aの中心とは互いに偏心している。即ち、前述の様
に、上記中心ローラ4aを挿通する通孔5aは、前記ハ
ウジング3aの中心から少しだけ外れた位置に設けてい
るのに対して、上記出力軸20aを挿通する支持筒部3
5は、上記ハウジング3aの中心に設けている。又、こ
の支持筒部35の内側に回転自在に支持した出力軸20
aと外輪15aとは、実質的には互いに同心である。従
って、上記中心ローラ4aと上記外輪15a及び出力軸
20aとは、上記通孔5aのハウジング3aの中心から
のずれ量δ(図1参照)分だけ、互いに偏心している。
そして、上記中心ローラ4aの外周面に設けた上記第一
の円筒面22と上記外輪15aに設けた上記第二の円筒
面17との間に存在して上記ガイドローラ10a、10
b及びウェッジローラ11が設けられた環状空間23の
幅寸法が、上記δ分の偏心量に見合う分だけ、円周方向
に関して不同になっている。
【0032】この様に、上記環状空間23の幅寸法を円
周方向に関して不同にした分、上記ガイドローラ10
a、10b及びウェッジローラ11の外径を異ならせて
いる。即ち、上記外輪15aに対し中心ローラ4aが偏
心している側(図2の下側)に位置するガイドローラ1
0b及びウェッジローラ11の径を、互いに同じとする
と共に比較的小径にしている。これに対し、上記外輪1
5aに対し中心ローラ4aが偏心しているのと反対側
(図2の上側)に位置するガイドローラ10aの径を、
上記ガイドローラ10b及びウェッジローラ11よりも
大きくしている。そして、これら3個の、それぞれが中
間ローラであるガイドローラ10a、10b及びウェッ
ジローラ11の外周面である第三の円筒面18、18
を、上記第一、第二の円筒面22、17に当接させてい
る。
【0033】尚、それぞれが中間ローラである、上記2
個のガイドローラ10a、10b及び1個のウェッジロ
ーラ11のうち、両ガイドローラ10a、10bを支持
した枢軸7a、7bは、前述の様に、上記ハウジング3
a内に固定している。これに対して、ウェッジローラ1
1を支持した枢軸7cは、やはり前述した様に上記ハウ
ジング3a内に、円周方向及び直径方向に関する若干の
変位を自在に支持している。従って、上記ウェッジロー
ラ11も、上記ハウジング3a内で円周方向及び直径方
向に亙り若干の変位自在である。そして、前記蓋体2a
及び連結板8aのシリンダ孔24a内に装着した圧縮コ
イルばね25等の弾性材により、上記ウェッジローラ1
1を支持した枢軸7cを、この枢軸7cに回転自在に支
持したウェッジローラ11を前記環状空間23の幅の狭
い部分に向け移動させるべく、弾性的に押圧している。
図示の例では、上記圧縮コイルばね25により、それぞ
れの先端部(図2の左下端部)に外向フランジ状の鍔部
42を形成した押圧ピン43を押圧し、これら両押圧ピ
ン43により、上記枢軸7cの両端部を同方向に押圧し
ている。
【0034】又、本例の摩擦ローラ式変速機の場合は、
前記外輪15a並びにそれぞれが中間ローラである上記
ガイドローラ10a、10b及びウェッジローラ11の
うちで、鉛直方向下側(図1の下側)に位置するガイド
ローラ10bの軸方向一端部(図1の左右方向右端部)
に、前記ハウジング3a内に貯溜された潤滑油を掻き揚
げる為の凹凸部44を、このガイドローラ10bと一体
に設けている。この凹凸部44は、径方向内方に凹んだ
凹部45、45と、同じく径方向外方に突出した凸部4
6、46とを円周方向に関して交互に形成しており、平
歯車、インボリュート歯車、トロコイド歯車等の歯車の
如き形状をしている。
【0035】この様な凹凸部44を設けたガイドローラ
10bが回転すると、上記ハウジング3a内に貯溜され
た潤滑油が上記各凹部45、45に溜りつつ掻き揚げら
れ、この掻き揚げられた潤滑油が遠心力により周囲に飛
散し、その一部が前記中心ローラ4aの外周面に付着す
る。そして、この様に中心ローラ4aの外周面に付着し
た潤滑油は、この中心ローラ4aの外周面に設けた第一
の円筒面22と上記ガイドローラ10a、10b及びウ
ェッジローラ11の外周面である第三の円筒面18、1
8との当接部である各内径側当接部26a、26bに送
り込まれる。更に、この様に各内径側当接部26a、2
6bに送り込まれた潤滑油は、鉛直方向上側(図1の上
側)に位置するガイドローラ10aの外周面を介して、
このガイドローラ10aの外周面である第三の円筒面1
8と上記外輪15aの内周面に設けた第二の円筒面17
との当接部である、上方に位置する外径側当接部27a
に送り込まれる。この様に潤滑油を必要とする部分であ
る上記内径側当接部26a、26bや上記上方に位置す
る外径側当接部27aに、潤滑油を効率良く送り込む事
ができ、上記各円筒面22、17、18に異常摩耗や剥
離等の損傷が発生する事を防止できる。
【0036】尚、この様に凹凸部44によって潤滑油を
掻き揚げる為に、この凹凸部44を設けたガイドローラ
10bは、摩擦ローラ式変速機の運転時に、少なくとも
その一部が上記潤滑油に漬かっている必要がある。即
ち、この凹凸部44を設けた上記ガイドローラ10bの
中心を、上記外輪15aの中心よりも鉛直方向下側に位
置させると共に、上記凹凸部44の少なくとも一部が摩
擦ローラ式変速機の運転時に上記潤滑油に漬かる程度の
量の潤滑油を、上記ハウジング3a内に封入する必要が
ある。この為に、本例の場合は、摩擦ローラ式変速機の
停止時に、潤滑油の液面が図1〜2の鎖線αに位置する
様に、この潤滑油を封入する。従って、上記内径側、外
径側各当接部26a、26b、27a、27bの潤滑を
確保すべく、従来構造の様に上記ハウジング3a内に多
量の潤滑油を、例えば前記玉軸受36a、36bを構成
する玉の一部が潤滑油に漬かる程の量の潤滑油を封入す
る必要はなく、この潤滑油による攪拌抵抗の低減を図れ
る。
【0037】又、上述の様な歯車の如き凹凸部44は、
他の歯車と噛み合わせる為のものではない。従って、こ
の凹凸部44を精度良く形成する必要はなく、転造加工
或はプレス加工等によって成形するだけで良い。即ち、
この様な転造加工或はプレス加工の後に、切削加工や研
削加工等を施して、上記凹凸部44を精度良く仕上げる
必要はない。従って、上記凹凸部44を容易に加工で
き、しかも、潤滑油を送り込む為のポンプ装置等を設け
て構造を複雑にする事なく、潤滑を必要とする部分の潤
滑を確実に図れる。
【0038】以上に述べた様に構成する本発明の摩擦ロ
ーラ式変速機の場合、前記駆動軸28に結合した前記中
心ローラ4aの回転は、この中心ローラ4aの外周面に
設けた第一の円筒面22と、ガイドローラ10a、10
b及びウェッジローラ11の外周面である第三の円筒面
18、18との当接部である、各内径側当接部26a、
26bを介して、上記各ガイドローラ10a、10b及
びウェッジローラ11に伝わる。更に、これら各ガイド
ローラ10a、10b及びウェッジローラ11の回転
は、上記各第三の円筒面18、18と前記外輪15aの
内周面に設けた第二の円筒面17との当接部である、各
外径側当接部27a、27bを介して、上記外輪15a
に伝わる。そして、この外輪15aに結合した前記出力
軸20aが、前記連結板34を介して、上記中心ローラ
4aとは逆方向に回転駆動される。
【0039】上記駆動軸28により上記出力軸20aを
回転駆動すべく、上記中心ローラ4aが図2の時計方向
に回転すると、ウェッジローラ11が、この中心ローラ
4aから加わる力と前記各圧縮コイルばね25の弾力と
により、上記第一、第二の円筒面22、17の間に存在
する環状空間23内で、この環状空間23の幅の狭い部
分(図2の下側中央部分)に向け移動する。この結果、
上記ウェッジローラ11の外周面である第三の円筒面1
8が、上記第一の円筒面22と第二の円筒面17とを強
く押圧する。そして、このウェッジローラ11に関する
第三の円筒面18と上記第一の円筒面22との当接部で
ある内径側当接部26b、及び、上記ウェッジローラ1
1に関する第三の円筒面18と上記第二の円筒面17と
の当接部である外径側当接部27bの当接圧が高くな
る。
【0040】上記ウェッジローラ11に関する内径側、
外径側両当接部26b、27bの当接圧が高くなると、
上記中心ローラ4aと外輪15aとのうちの少なくとも
一方の部材が、組み付け隙間、或は弾性変形等に基づ
き、それぞれの直径方向に関して僅かに変位する。この
結果、残り2個の中間ローラであるガイドローラ10
a、10bの外周面である第三の円筒面18、18と上
記中心ローラ4aの外周面に設けた第一の円筒面22と
の当接部である2個所の内径側当接部26a、26a、
及びこれらガイドローラ10a、10bの外周面である
第三の円筒面18、18と上記外輪15aの内周面に設
けた第二の円筒面17との当接部である2個所の外径側
当接部27a、27aの当接圧が高くなる。そして、上
記外輪15a及び上記出力軸20aが、図2の反時計方
向に回転する。
【0041】上記ウェッジローラ11を、上記環状空間
23内でこの環状空間23の幅の狭い部分に向け移動さ
せようとする力は、上記中心ローラ4aから上記外輪1
5aに伝達するトルクの大きさに応じて変化する。即
ち、上記中心ローラ4aの駆動トルクが大きくなる程、
上記ウェッジローラ11を上記環状空間23の幅の狭い
部分に向け移動させようとする力が大きくなる。そし
て、この力が大きくなる程、上記各内径側、外径側両当
接部26a、26b、27a、27bの当接圧が大きく
なる。逆に言えば、上記駆動トルクが小さい場合には、
これら各内径側、外径側両当接部26a、26b、27
a、27bの当接圧が小さい。この為、上記各内径側、
外径側両当接部26a、26b、27a、27bの当接
圧を、前記駆動軸28と前記出力軸20aとの間で伝達
すべきトルクの大きさに応じた適正値にできて、摩擦ロ
ーラ式変速機の伝達効率を高くできる。この状態では、
クラッチ機構がONとなる。
【0042】この様に中心ローラ4aから出力軸20a
に動力を伝達する際、上記ガイドローラ10bの回転に
伴って、このガイドローラ10bの軸方向一端部に設け
た前記凹凸部44により、前記ハウジング3a内に貯溜
された潤滑油が掻き揚げられる。即ち、前述の様に、こ
のハウジング3a内に貯溜された潤滑油が上記凹凸部4
4を構成する各凹部45、45に溜りつつ掻き揚げら
れ、この掻き揚げられた潤滑油が遠心力により周囲に飛
び散り、その一部が前記中心ローラ4aの外周面に付着
する。そして、この様に中心ローラ4aの外周面に付着
した潤滑油は、この中心ローラ4aの外周面に設けた第
一の円筒面22と上記ガイドローラ10a、10b及び
ウェッジローラ11の外周面である第三の円筒面18、
18との当接部である各内径側当接部26a、26bに
送り込まれる。更に、この様に各内径側当接部26a、
26bに送り込まれた潤滑油は、鉛直方向上側(図1の
上側)に位置するガイドローラ10aの外周面を介し
て、このガイドローラ10aの外周面である第三の円筒
面18と上記外輪15aの内周面に設けた第二の円筒面
17との当接部である、上方に位置する外径側当接部2
7aに送り込まれる。従って、潤滑油を必要とする部分
である上記内径側当接部26a、26bや上記上方に位
置する外径側当接部27aの潤滑を確実に図れ、これら
各当接部で金属接触が発生しにくくなり、上記各円筒面
22、17、18に異常摩耗や剥離等の損傷が発生する
事を防止できる。
【0043】一方、上記駆動軸28が停止した状態のま
ま、上記外輪15aが、図2の反時計方向に回転する
等、前記出力軸20aの回転速度が上記駆動軸28の回
転速度に見合う速度よりも速くなる様な場合には、上記
ウェッジローラ11が、上記外輪15aから加わる力に
より、前記各圧縮コイルばね25、25の弾力に抗し、
上記環状空間23内で、この環状空間23の幅の広い部
分(図2の右側中央部分)に向け移動する。この結果、
上記ウェッジローラ11の外周面である第三の円筒面1
8が、上記第一の円筒面22と第二の円筒面17とを押
圧しなくなる。そして、このウェッジローラ11並びに
前記各ガイドローラ10a、10bに関する第三の円筒
面18、18と上記第一の円筒面22との当接部である
内径側当接部26a、26b、及び、上記ウェッジロー
ラ11並びに前記各ガイドローラ10a、10bに関す
る第三の円筒面18、18と上記第二の円筒面17との
当接部である外径側当接部27a、27bの当接圧が、
低下若しくは喪失する。この結果、上記外輪15aの回
転が上記駆動軸28にまで伝達されなくなる。この状態
では、クラッチ機構がOFFとなる。
【0044】更に、図示の摩擦ローラ式変速機の場合に
は、上記各ガイドローラ10a、10bの外径や取付位
置が多少ずれたり、構成各部材が弾性変形したり、更に
は上記外輪15aが熱膨張した場合でも、これら各ガイ
ドローラ10a、10bの外周面である第三の円筒面1
8、18と、上記中心ローラ4aの外周面である第一の
円筒面22及び上記外輪15aの内周面である第二の円
筒面17との接触部の接触面圧を、設計値通りに規制で
きる。即ち、上記各ガイドローラ10a、10bの外径
や取付位置がずれた場合には、上記ウェッジローラ11
が上記環状空間23の幅寸法が狭い部分に変位するのに
伴って、上記中心ローラ4a及び外輪15aがラジアル
方向に変位する。そして、上記ガイドローラ10a、1
0b及び上記ウェッジローラ11の外周面である、上記
各第三の円筒面18、18と、上記中心ローラ4aの外
周面である第一の円筒面22及び上記外輪15aの内周
面である第二の円筒面17との接触部の接触面圧を設計
値通りにする。従って、上記外径や取付位置が多少ずれ
たり、或は構成部材が弾性変形した場合でも、高い伝達
効率を得られる。
【0045】次に、図3は、同じく請求項1〜3に対応
する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例
の場合には、外輪15a並びにそれぞれが中間ローラで
あるガイドローラ10a、10b(10bは図2参照)
及びウェッジローラ11のうちで、ウェッジローラ11
の軸方向一端部(図3の左右方向右端部)に、潤滑油を
掻き揚げる為の凹凸部44を設けている。その他の構成
及び作用は、上述した第1例の場合と同様である。
【0046】次に、図4〜5は、請求項1〜2に対応す
る、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の
場合には、外輪15a並びにそれぞれが中間ローラであ
るガイドローラ10a、10b及びウェッジローラ11
のうちで、外輪15aの内径側で軸方向一端部(図4の
左右方向右端部)に、潤滑油を掻き揚げる為の凹凸部4
4を設けている。この凹凸部44は、径方向外方に凹ん
だ凹部45、45と、同じく径方向内方に突出した凸部
46、46とを円周方向に関して交互に形成している。
この様な凹凸部44を外輪15aに設けた本例の場合
は、クラッチ機構がOFFとなる所謂オーバーラン状態
でも、上記外輪15aが回転する限り、この外輪15a
の凹凸部44によって潤滑油が掻き揚げられて、内径
側、外径側各当接部26a、26b、27a、27bに
潤滑油を送り込める。この為、オーバーラン時に、上記
ガイドローラ10a、10b及びウェッジローラ11の
外周面である第三の円筒面18、18と、上記外輪15
aの内周面に設けた第二の円筒面17又は中心ローラ4
aの外周面に設けた第一の円筒面22とが擦れ合う場合
でも、擦れ合い部の潤滑性を確保でき、これら各円筒面
22、17、18に異常摩耗や剥離等の損傷が発生する
事を防止できる。又、この様に外輪15aに凹凸部44
を設ける場合は、動力伝達面である上記第二の円筒面1
7から外れた部分にこの凹凸部44を設ける事ができる
為、この凹凸部44を設けても動力伝達面が小さくなる
事はない。その他の構成及び作用は、上述した第2例の
場合と同様である。
【0047】尚、上述した実施の形態の何れもが、外輪
15a並びにそれぞれが中間ローラであるガイドローラ
10a、10b及びウェッジローラ11のうちの、何れ
か1個の部材にのみ凹凸部44を設けているが、この凹
凸部44を設けるのは、何れかのうちの1個の部材のみ
に規制されるものではない。必要に応じて、外輪とガイ
ドローラ、或は、ウェッジローラとガイドローラ等、2
個以上の部材に凹凸部44を設けても良い。但し、この
様な場合でも、この凹凸部44を設けた各部材は、摩擦
ローラ式変速機の運転時に、少なくとも凹凸部44の一
部が、ハウジング3a内に貯留された潤滑剤に漬かる様
にする。
【0048】
【発明の効果】本発明は、以上に述べた通り構成し作用
する為、潤滑を必要とする部分である内径側、外径側各
当接部に確実に潤滑油を送り込む事ができ、優れた耐久
性を有する摩擦ローラ式変速機を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を示す、図2のA
−A′断面図。
【図2】図1のB−B断面図。
【図3】本発明の実施の形態の第2例を示す、図2のA
−A″断面に相当する図。
【図4】本発明の実施の形態の第3例を示す、図5のC
−C断面図。
【図5】図4のD−D断面図。
【図6】従来構造の1例を示す断面図。
【図7】図6のE−E断面図。
【図8】同F−F断面図。
【符号の説明】
1、1a 本体 2、2a 蓋体 3、3a ハウジング 4、4a 中心ローラ 5、5a 通孔 6、6a 入力軸 7a、7b、7c 枢軸 8、8a 連結板 9、9a 支持孔 10、10a、10b ガイドローラ 11、11a、11b ウェッジローラ 12 ラジアルニードル軸受 13 突部 14 連結ボルト 15、15a 外輪 16 凸部 17 第二の円筒面 18 第三の円筒面 19 結合ブラケット 20、20a 出力軸 21 第二の通孔 22 第一の円筒面 23 環状空間 24、24a シリンダ孔 25 圧縮コイルばね 26a、26b 内径側当接部 27a、27b 外径側当接部 28 駆動軸 29 係合凹溝 30 係合凸部 31 鋼球 32 嵌合孔 33 スラストニードル軸受 34 連結板 35 支持筒部 36a、36b 玉軸受 37 シールリング 38 突片 39 切り欠き 40 係止溝 41 止め輪 42 鍔部 43 押圧ピン 44 凹凸部 45 凹部 46 凸部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16H 57/04 F16H 57/04 D 57/08 57/08 Fターム(参考) 3J051 AA01 BA03 BB08 BC02 BC03 BD01 BE03 BE04 EA02 EB03 EC03 EC04 ED08 FA10 3J063 AB35 AC01 BA11 CA01 CB36 XD03 XD17 XD32 XD62 XD72 XE14 3J103 AA02 AA41 AA74 BA48 CA02 CA26 CA35 CA72 CA78 FA25 GA02 GA52

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハウジングと、このハウジングに対し回
    転自在に設けられ、その外周面を第一の円筒面とした中
    心ローラと、その内周面を第二の円筒面としてこの中心
    ローラの周囲に、この中心ローラに対する相対回転を自
    在に、且つ、上記ハウジングに対し回転自在に設けられ
    た外輪と、上記第一の円筒面と上記第二の円筒面との間
    の環状空間内に、上記中心ローラと平行に配置された複
    数本の枢軸と、これら各枢軸により回転自在に支持さ
    れ、それぞれの外周面を第三の円筒面とした複数個の中
    間ローラとを備え、これら各第三の円筒面と上記第一の
    円筒面及び第二の円筒面との摩擦係合に基づき、上記中
    心ローラと上記外輪とのうちの一方の部材から他方の部
    材への回転力の伝達を自在とした摩擦ローラ式変速機に
    於いて、上記外輪及び上記各中間ローラのうちの少なく
    とも何れかの部材の少なくとも軸方向一端部に、径方向
    に凹んだ凹部と径方向に突出した凸部とを円周方向に関
    して交互に形成して成る凹凸部を設け、この凹凸部によ
    って上記ハウジング内に貯溜された潤滑油を掻き揚げ自
    在とした事を特徴とする摩擦ローラ式変速機。
  2. 【請求項2】 中心ローラの中心と外輪の中心とを偏心
    させる事により、環状空間の幅寸法を円周方向に関して
    不同にし、複数個の中間ローラのうちの少なくとも1個
    の中間ローラを、少なくとも上記環状空間の円周方向に
    変位自在に支持してウェッジローラとする共に、残りの
    中間ローラをガイドローラとする事により、上記中心ロ
    ーラ及び外輪が所定方向に回転した場合に、上記ウェッ
    ジローラとなる中間ローラを、上記環状空間の幅の狭い
    部分に向け移動自在とした、請求項1に記載した摩擦ロ
    ーラ式変速機。
  3. 【請求項3】 潤滑油を掻き揚げる為の凹凸部を設けた
    少なくとも1個の中間ローラの中心が、外輪の中心より
    も鉛直方向下側に位置する、請求項1〜2の何れかに記
    載した摩擦ローラ式変速機。
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Cited By (3)

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JP2009138927A (ja) * 2007-06-27 2009-06-25 Kyocera Mita Corp トラクション動力伝達装置及びこれを搭載した画像形成装置
JP2009138924A (ja) * 2007-05-08 2009-06-25 Kyocera Mita Corp トラクション動力伝達装置及びこれを搭載した画像形成装置

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